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JP5163022B2 - 光学機能性積層体上に防汚性被膜を形成するための処理剤 - Google Patents

光学機能性積層体上に防汚性被膜を形成するための処理剤 Download PDF

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JP5163022B2 JP2007240463A JP2007240463A JP5163022B2 JP 5163022 B2 JP5163022 B2 JP 5163022B2 JP 2007240463 A JP2007240463 A JP 2007240463A JP 2007240463 A JP2007240463 A JP 2007240463A JP 5163022 B2 JP5163022 B2 JP 5163022B2
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Description

本発明は、薄膜の積層によって、低反射性、無反射性、特定の波長光を透過又は反射させる等の光学的な機能を生じせしめる光学機能性積層体に皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性を付与するための処理剤に関する。
屈折率が異なる薄膜を積層することにより光学的な干渉が生じる。光学機能性積層体は、この干渉を利用して、無反射性、特定の波長光を透過又は反射させる等の光学的な機能を生じせしめている。
これら積層体は光学機能を奏すことを主眼に膜設計がなされているので、皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性が低い。防汚性が低いと、光学機能性積層体を人が取り扱ったとき、積層体の最表面に指紋を始めとする人体からの分泌物等の汚れ成分や水垢汚れが付着しやすくなる。加えて、積層体に付着した汚れ成分は、洗浄することが困難なことが多い。
光学機能性積層体の最表面が汚染されると、その光学的な機能が低下しやすい。特許文献1の積層体では、これを解消するために積層体の最表面に、好適には 10nm以下の膜厚を有するフルオロアルキルシランからなる防汚層が形成されている。また、特許文献1は、防汚層の厚みを好適には10nm以下とする理由として、反射防止積層体としての機能を損なわないようにするためとしている。
特開2002−122703号公報 特開平4−359086号公報
特許文献1にあるようにフルオロアルコキシシランを有して形成される被膜は防汚性被膜として使用されていることが知られている。フルオロアルコキシシランを含む溶液から、被膜を形成する場合、十分な膜厚が得られないと、各種の耐久性試験において、比較的短時間で撥水性が低下することが指摘されている(例えば、特許文献2)。
光学機能性積層体上に防汚性被膜を形成する場合は、背景技術で説明したとおり、10nm以下の極めて薄い膜厚の被膜が要求される。また、既に何らかの装置に組み込まれた光学機能性積層体又は、種々の寸法、形状を有した光学機能性積層体に防汚性を付与する際には、防汚性の付与が容易であることが好ましい。
本発明は、光学機能性積層体上に、薄い膜厚で防汚性と耐久性が良い防汚性被膜を形成することが容易な処理剤を提供することを課題とする。
本発明では、前記の課題を解決するために、まずは光学機能性積層体上に被膜を形成するための過程について考察した。処理剤を積層体に塗布して被膜を形成する際、被膜の強度、耐久性を良くするために加熱工程が実施される。塗布された被膜は、加熱工程によって硬化過程等を経て所謂焼き締まった状態となる。この時、積層体を構成する薄膜も焼き締まった状態となり、該薄膜の膜厚が変化することがある。この膜厚の変化により光学機能性積層体の光学的な干渉パターンが変動し、光学的な機能が低下することがある。これを考慮すると、防汚性被膜を形成するために加熱工程が無く、風乾のみで防汚性被膜を形成できることが好ましい。
この好ましい条件も考慮に入れ課題を解決する手段を検討したところ、手塗りの塗布方法でも、防汚性と耐久性が良い被膜を得ることが可能な特定の処理剤が最適であるとの知見を得、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明、光学機能性積層体上に防汚性被膜を形成するための処理剤であり、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(Si(CHO)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び加水分解可能な官能基を有し、且つフルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が6〜12であるフルオロアルキルシラン、そして、有機溶媒、酸、及び水を混合してなる処理剤であり、処理剤の総量に対し、重量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜3.0重量%、前記フルオロアルキルシランが0.2〜2.0重量%、そして、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.5〜3.5重量%混入されたことを特徴とする。(以降、本明細書において、直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシランの双方を示す場合、「機能成分」と表記することがある。また、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランとの総量を示す場合、「機能成分の総量」と表記することがある。)
前記フルオロアルキルシランは、皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性に優れ、さらに耐久性に優れたフルオロアルキル鎖を有するので、得られる被膜の耐久性を向上させる。前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、滑り性に優れたジメチルシロキサン鎖を有するので、得られる被膜の汚れ除去性に効果を奏する。
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、前記フルオロアルキルシランも加水分解可能な官能基を有する。加水分解可能な官能基は、処理剤に含まれる酸と水によって加水分解し、反応性の高いシラノール基を形成する。これにより処理剤を基材に塗布すると、基材表面とシラノール基が反応し、該直鎖状ポリジメチルシロキサン及び該フルオロアルキルシランは基材と強固に結合し、結果として得られる防汚性被膜の耐久性が改善する。
さらに、前記酸と水は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンや前記フルオロアルキルシランの加水分解可能な官能基を加水分解させて基材と結合可能なシラノール基を生成させる効果を有する。
そして、防汚性と耐久性とがさらに良好な被膜とするためには、ジメチルシロキサンユニット(Si(CHO)の数を200〜300とすることが好ましい。また、処理剤中での直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルコキシシランとの重量比を、1:1.5〜1:3.5とすることが好ましく、さらには、フルオロアルキルシランにおいて、フルオロカーボンユニット数を7〜9、好適には8とすることが好ましい。
さらに本発明の防汚性被膜を得るための処理方法は、前記処理剤を基材に塗布する工程、処理剤が塗布された基材を乾燥する工程、及び乾燥後に遊離状態にある被膜形成に関与しなかった未反応の又は加水分解した若しくは縮合した機能成分を除去する工程を有することを特徴とする。
本発明の処理剤は、基材に処理後、乾燥させた後に遊離状態にある被膜形成に関与しなかった未反応の又は加水分解した若しくは縮合した余剰分を除去することで、光学機能性積層体上に、薄い膜厚で耐久性と防汚性が良い防汚性被膜を形成することができる。このため、低反射性、無反射性、特定の波長光を透過又は反射させる等の光学的な機能を生じせしめる光学機能性積層体の皮脂成分、指紋、水垢汚れなどの汚れ成分に対する防汚性および汚れの除去性を付与するのに効果を奏する。
本発明の処理剤は、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(Si(CHO)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び加水分解可能な官能基を有し、且つフルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が6〜12であるフルオロアルキルシラン、そして有機溶媒、酸、及び水を混合してなる処理剤であり、処理剤の総量に対し、重量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜3.0重量%、前記フルオロアルキルシランが0.2〜2.0重量%、さらに、機能成分の総量が0.5〜3.5重量%混入されたことを特徴とする。本発明の処理剤に使用される直鎖状ポリジメチルシロキサンは、ジメチルシロキサンユニット(Si(CH O)の数を30〜400とすることが重要である。
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンのジメチルシロキサンユニット数が400を超えると、直鎖状ポリジメチルシロキサンの加水分解可能な官能基の数がジメチルシロキサンユニットに対して相対的に減少することになり、ポリジメチルシロキサンの反応性が低下する。この結果、得られる被膜は、基材との結合が弱くなり、被膜の耐久性が低下し、得られる防汚性被膜の劣化が早くなる。
本発明の処理剤を用いて作製した防汚性被膜を有する基材は屋外でも使用される可能性があり、太陽光や雨にもさらされる場合がある。また、清掃時に雑巾などでの払拭時に防汚性被膜の表面を磨耗されることになる。従って、防汚性はもちろんのこと耐久性、耐磨耗性に優れる被膜の形成は、実用の観点から重要である。
一方、本発明の処理剤を基材に処理すると、処理剤中の機能成分の加水分解可能な官能基と基材表面に存在するシラノール基に代表される水酸基等の反応性基が反応して結合することにより機能成分が基材に固定される。従って、該ユニット数が少なくなると、基材上に固定されるジメチルシロキサンユニット数が減少し、形成される被膜の耐磨耗性は、該ユニット数に影響される。そして、該ユニット数を30以上とするとこれら特性が顕著に向上し、得られる被膜の長期使用に奏功する。また、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有することが重要である。両末端の加水分解可能な官能基の数が1個以下である場合、該ポリジメチルシロキサンの反応性が大幅に低下し、基材との結合が弱くなる。これにより得られる防汚性被膜の耐久性が低下し、被膜の劣化が早くなるので好ましくない。
さらに、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、処理剤の総量に対し0.2〜3.0重量%混入されることが重要である。前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが、処理剤の総量に対し0.2重量%未満の場合、得られる被膜の汚れ除去性が低いものとなる。処理剤の総量に対する前記直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度が3.0重量%を超えると、被膜形成の際、乾固物の量が増加し、この除去工程に負荷がかかり、時間を要するようになる。この長時間の払拭は、被膜を擦傷する可能性を高め、滑り性、耐久性等に悪影響を与える危険性を高める。余剰分が残留すると、水滴が余剰分に引っかかりスムーズに移動できなくなるため、滑り性が低下する。さらに、余剰分は白くまだらに被膜表面に残留するため、被膜の透光性の低下をもたらす。
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンとしては、下記一般式[1]で示されるポリジメチルシロキサンが好適に用いられる。
Figure 0005163022
ここで、X及びXは、それぞれ、1価の加水分解可能な官能基であり、A及びAは、それぞれ、2価の炭化水素基、-(CH)-NH-CO-O-基([i]は0〜9の整数)、若しくは、酸素である。また、[n]は30〜400の整数でジメチルシロキサンユニットの数を表す。さらに、[a]及び[b]は、それぞれ、0〜3の整数であり、[a]又は[b]の少なくとも一方は2又は3でなければならない。
また、前記一般式[1]で示されるポリジメチルシロキサンのA 及びA は、加水分解可能な官能基と撥水性を発現するジメチルシロキサン鎖を繋ぐ部位である。従って、この部位の安定性が低下すると、防汚性被膜からジメチルシロキサン鎖が容易に脱落するようになり、被膜の耐久性が低下する。このことから、前記一般式[1]で示されるポリジメチルシロキサンのA 及びA は安定性に優れる2価の炭化水素基や酸素が好ましい。
さらに、前記ポリジメチルシロキサンは、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有していれば良いが、そのようなものとして、加水分解可能な官能基を片側末端のみに有するもの、あるいは、両側末端に加水分解可能な官能基を有しているものを用いることができる。両側末端に加水分解可能な官能基を有するものは反応性が高くなる。このため、基材と強固に結合しやすく、結果として耐久性に優れた防汚性被膜が得られるが、縮合された余剰分が生成しやすいので、処理剤を塗布・乾燥後の余剰分の除去性が悪くなる傾向がある。従って、両側末端に加水分解可能な官能基を有するものを使用する場合は、処理剤中の該ポリジメチルシロキサンや前記フルオロアルキルシランの量を少なくすることが好ましく、具体的には処理剤の総量に対し、その混入量を、重量濃度で直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜2.0重量%、フルオロアルキルシランが0.5〜1.4重量%、さらに、機能成分の総量が0.8〜2.5重量%とすることが好ましい。
また、本発明の処理剤に使用される前記フルオロアルキルシランは、皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性、さらに耐久性に優れたフルオロアルキル鎖を有するので、得られる被膜の耐久性の向上に効果を奏する。そして、処理剤中でのその含有量は、得られた被膜に付着した皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性、耐久性に影響する。前記フルオロアルキルシランの含有量が少ないと皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性が乏しくなる。一方、含有量が多くなると、コスト高になるほか、処理剤の塗布・乾燥後の余剰分の除去工程において、紙タオル、布等を用いる手作業による払拭時間が長くなり、作業の負荷が大きくなり生産性低下に繋がる。
この観点から、被膜に付着した皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性、さらに耐久性に優れ、処理剤を塗布した後の余剰分の除去が容易な防汚性被膜を得るためには、前記フルオロアルキルシランは、処理剤の総量に対し、重量濃度で0.2〜2.0重量%とすることが重要である。0.2重量%未満では皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性、被膜の耐久性が著しく低下する。2.0重量%を超えるとコスト高になるほか、処理剤の塗布・乾燥後の余剰分の除去工程において、紙タオル、布等を用いる手作業による払拭時間が長くなり、生産性低下に繋がる。防汚性、汚れ除去性とより高い生産性を両立するためには、その混入量を、重量濃度で0.5〜1.6重量%とすることが好ましい。
さらに前記フルオロアルキルシランは加水分解可能な官能基を有し、さらに分子中にフルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が6〜12であるパーフルオロアルキル基(CF(CFt−1−)またはパーフルオロアルキレン基(−(CF−)を有するものが用いられる。フルオロカーボンユニット(CF 又はCF )の数が増加すると、得られる防汚性被膜の耐久性が増加する。ここで、前記t、及びuは整数を表している。
しかしながら、フルオロカーボンユニットの数が増加すると、該フルオロアルキルシランの凝固点が常温以上にまで上昇するため、機能成分が凝固しやすくなって塗布が困難になるほか、該フルオロアルキルシランが余剰分となった場合には、これらが基材表面により強固に固着するようになり、余剰分の除去に要する負荷が増加する。従って、得られる被膜の耐久性を向上させ、さらに乾燥後の余剰分の除去を容易にするためには、フルオロカーボンユニットの数は6〜12とすることが重要である。
前記フルオロアルキルシランとしては、下記一般式[2]で示される片側末端に加水分解可能な官能基を有するフルオロアルキルシランや下記一般式[3]で示される両側末端に加水分解可能な官能基を有するフルオロアルキルシランが好適に用いられる。
Figure 0005163022
ここで、Yは1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は6〜12の整数であり、フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数を表す。さらに、[p]は1〜3の整数であり、加水分解可能な官能基の数を表す。
Figure 0005163022
ここで、Y及びYは、それぞれ、1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は6〜12の整数であり、フルオロカーボンユニットの数を表す。さらに、[q]及び[r]は、それぞれ、1〜3の整数である。
前記フルオロアルキルシランとしては、片側末端に加水分解可能な官能基を有するフルオロアルキルシランとして、CF3(CF211CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF211CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF211CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF29CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF29CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF27CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF211CH2CH2SiCl3、CF3(CF211CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF211CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF29CH2CH2SiCl3、CF3(CF29CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF29CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF27CH2CH2SiCl3、CF3(CF27CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF27CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF25CH2CH2SiCl3、CF3(CF25CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32Cl等のものが使用でき、さらに、両側末端に加水分解可能な官能基を有するフルオロアルキルシランとしては、(CH3O)3SiCH2CH2(CF212CH2CH2Si(OCH33、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF212CH2CH2SiCH3(OCH32、CH3O(CH32SiCH2CH2(CF212CH2CH2Si(CH32OCH3、(CH3O)3SiCH2CH2(CF210CH2CH2Si(OCH33、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF210CH2CH2SiCH3(OCH32、CH3O(CH32SiCH2CH2(CF210CH2CH2Si(CH32OCH3、(CH3O)3SiCH2CH2(CF28CH2CH2Si(OCH33、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF28CH2CH2SiCH3(OCH32、CH3O(CH32SiCH2CH2(CF28CH2CH2Si(CH32OCH3、(CH3O)3SiCH2CH2(CF26CH2CH2Si(OCH33、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF26CH2CH2SiCH3(OCH32、CH3O(CH32SiCH2CH2(CF26CH2CH2Si(CH32OCH3、Cl3SiCH2CH2(CF212CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF212CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH32SiCH2CH2(CF212CH2CH2Si(CH32Cl、Cl3SiCH2CH2(CF210CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF210CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH32SiCH2CH2(CF210CH2CH2Si(CH32Cl、Cl3SiCH2CH2(CF28CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF28CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH32SiCH2CH2(CF28CH2CH2Si(CH32Cl、Cl3SiCH2CH2(CF26CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF26CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH32SiCH2CH2(CF26CH2CH2Si(CH32Cl等のものが使用できる。
また、機能成分での加水分解可能な官能基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基又はイソシアネート基等を用いることができる。ただし、加水分解可能な官能基の反応性が高すぎると、処理剤を調合する時の取扱いが難しくなるだけでなく、処理剤のポットライフが短くなる。一方、反応性が低すぎると、加水分解反応が十分進行しなくなり、生成するシラノール基の量が十分でなくなるため、基材と防汚性被膜の結合が不十分となり、被膜の耐久性が低くなる。取扱いの容易さ、処理剤のポットライフ、得られる防汚性被膜の耐久性を考慮すると、加水分解可能な官能基としてはアルコキシ基が好ましく、中でもメトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
また、機能成分の総量は、処理剤の総量に対し、重量濃度で0.3〜3.5重量%混入されることが重要である。0.3重量%未満では得られる被膜の耐久性が低下する。一方、3.5重量%を超える場合では余剰分の除去性が低下し、処理剤の塗布・乾燥後の余剰分の除去工程において、紙タオル、布等を用いる手作業による払拭時間が矩形のガラス基板(1m×1m)において6分を超える。そして、被膜の耐久性をより高いものとし、処理剤の塗布・乾燥後の余剰分の除去を容易なものとするためには、0.8〜3.0重量%とすることが好ましい。
処理剤に用いる溶媒には、他の成分(直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシラン、水、酸)を溶解させる有機溶媒を用いることができ、これらにはエチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素溶媒類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類やそれらの混合物を用いることが好ましい。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ヘキサン、ジエチルエーテル及びジイソプロピルエーテルの中から選ばれる一種以上の溶媒とエチルアルコールやイソプロピルアルコール等の低級アルコールの混合溶媒は、直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシラン、水及び酸の溶解性が高く、さらに、処理剤の塗布性(塗り伸ばしやすさ)や処理剤の乾燥時間(作業時間)が適度になるので特に好ましい。
また、本発明の処理剤に使用される水は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサン及び前記フルオロアルキルシランが有する加水分解可能な官能基の数に対して、分子数で1倍〜100倍とするのが好ましい。1倍未満では、加水分解反応が進行せず、シラノール基が十分に生成しにくく、得られる防汚性被膜の耐久性が低下し、好ましくない。又、100倍を超えると、前記直鎖状ポリジメチルシロキサン、前記フルオロアルキルシラン及び水が処理剤内で均一に溶解することが難しくなり好ましくない。又、水の量が増えると、反応速度が大きくなり、結果として処理剤のポットライフが短くなる。従って、ポットライフを考慮すると50倍以下であることがより好ましい。
さらに処理剤に使用される酸は、機能成分の加水分解反応を促進させる触媒的な役割をし、硝酸、塩酸、酢酸、硫酸、その他有機酸等を使用することができる。そして、前記水と混合した状態でpH値が好ましくは0〜5、より好ましくは、0〜2となるように混合される。
次に本発明の処理剤の好ましい調製方法について説明する。防汚性被膜を得るため処理剤は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランと溶媒の混合物に、加水分解反応を起こさせるための水と酸を添加、混合し、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとを加水分解させることにより得られる。ここで、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランとを先に混合するのは、両成分を処理剤中に均質に混合させるためである。しかしながら、酸、水、直鎖状ポリジメチルシロキサン及びフルオロアルキルシランを同時に混合しても良い。
次に、得られた処理剤を使用して、防汚性被膜を得る方法について説明する。
上記で得られた処理剤を光学機能性積層体に塗布する塗布方法としては、手塗りによるものが好ましいが、その他にノズルフローコート法、ディッピング法、スプレー法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法、フローコート法、スピンコート法、それらの併用等各種被膜の形成方法が適宜採用し得る。
尚、本発明で手塗りとは、処理剤を保持した部材を塗布面に接触させる手段であり、所謂手塗り又はそれに準ずる手段による塗布方法である。布、スポンジ、刷毛、ブラシ、不織布等部材に処理剤を含浸、浸透させる等の手段で処理剤を保持させ、該部材をロボットや人間の手等で基材に接触させることで塗布面上に処理剤を塗着させる。又、処理剤の噴霧による手段は、スプレーによる塗布方法で、ロボットや人間の手等で基材に処理剤を噴霧し、光学機能性積層体上に処理剤を塗着させる。
本発明の処理剤が塗布される光学機能性積層体は、好適には、ガラス基材、プラスチック基材上に形成された多層薄膜が使用される。該多層薄膜には、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ等の高屈折率膜と、酸化ケイ素(SiO膜)、フッ化マグネシウム等の低屈折率膜を交互に積層したものが好適に使用される。これらは、金属アルコキシドなどを用いたゾル−ゲル法やスパッタリング法等の製法により、各層の厚さが数十〜数百nmとなるように形成されうる。
これら多層膜を通過する光には干渉効果が生じ、この効果を利用して、無反射性、低反射、特定の波長光を透過又は反射させる等の光学的な機能を生じせしめることができる。、例えば、パソコン、TVなどの各種ディスプレイ用ガラス、光学レンズ、カメラ、双眼鏡、反射防止膜や光学フィルターなどの光学部材として利用されている。
次ぎに処理剤を基材に塗布後の処理について述べる。光学機能性積層体に処理剤を塗布後、乾燥させることで、前記ポリジメチルシロキサン及び前記フルオロアルキルシランを基材と結合させる。乾燥手段は、風乾でよく、室温で、例えば、15℃〜30℃、相対湿度30%〜60%の環境で、5分間〜20分間で放置するだけでよい。最後に、余剰分が乾固物となって被膜上に残留するので、この余剰分を有機溶剤で湿らした紙タオルや布および/または乾いた紙タオルや布で払拭することにより防汚性が付与された光学機能性積層体が得られる。
以下に本発明の実施例について説明する。本発明で得られる防汚性被膜の評価方法を以下に示す。
〔防汚性被膜の評価方法〕
(1)光学機能性積層体の外観評価
光学機能性積層体として、最表層がSiO膜である多層膜が形成されることで反射防止がなされている眼鏡レンズを準備した。該SiO膜表面に処理剤を塗布、乾燥し、乾燥後に塗布面を紙タオル(品名:キムタオル)で払拭することで、余剰分除去した後、白色蛍光灯下で干渉色の変化を目視観察した。
(2)防汚性被膜の膜厚測定
被膜の膜厚は、防汚性被膜の有無の境界領域の段差を利用し、サーフコーダー(小坂研究所製、ET4000A)を用いて測定した。
(3)余剰分の除去性
処理剤を塗布して風乾させた後、目視で白くまだらに残留している余剰分をイソプロピルアルコールで湿らした紙タオル(品名:キムタオル)で拭き上げて透明なサンプル(1m×1mサイズの矩形ガラス)を作製する際に、透明サンプルを得るのに要する時間を測定した。余剰分の除去時間(拭き取り時間)が6分以下であるものを合格とした(表1又は表2中に○と表記)。さらに3分以内で完了するものは余剰分の除去性が特に優れると判断した(表1又は表2中で◎と表記)。尚、除去時間に6分超要したものは不合格とし、表1中にて×と表記した。
(4)被膜の汚れ除去性
(4)−1 水垢
サンプル表面に工業用水を噴霧し、50℃×3hr乾燥させて、サンプル表面に水垢汚染物を付着させた。汚染物が付着したサンプル表面を綿100%の雑巾を用いて300g/cmの荷重で5往復払拭した。払拭後、目視観察を行い、汚れ成分の除去が確認された試料を汚れ除去性に優れる試料とした。
(4)−2 指紋
サンプル表面に付着させた指紋を綿100%の雑巾で 300g/cmの荷重で10往復払拭した。払拭後、目視観察を行い、汚れ成分の除去が確認された試料を汚れ除去性に優れる試料とした。
(5)耐セリア研磨性(セリア研磨試験)
ガラス用研磨剤ミレークE40T(三井金属鉱業製)を水道水に分散させたセリア懸濁液(10重量%)を染み込ませた綿布で、防汚性被膜に約1.5kg/cmの過重をかけて、被膜の周縁部から被膜の中心部を経て反対側の被膜周縁部まで摺動することで研磨をした。この摺動作業にて、綿布が元の場所に戻ったときを1回の研磨回数とし、研磨領域の全領域が親水化(セリア懸濁液が弾かなくなる状態)するまでの研磨回数を評価した。40回以上を合格とした。
実施例1
(1)処理剤の調製
処理剤を、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランと有機溶媒を混合して得られた混合物に酸、及び水として酸性水溶液を添加、攪拌して混合することによって得た。図1に処理剤の調製手順と各薬液の混入割合(重量比)を示す。又、サンプルの作製条件と結果物の評価結果を表1に示す。先ず、ジメチルシロキサンユニットの数が250の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}50 Si(CHCHCHSi(OCH〕;0.50g、メチルエチルケトン;48.85g、フルオロカーボンユニットの数が8のフルオロアルキルシラン〔CF(CFCHCH i(OCH〕;0.80gとイソプロピルアルコール;48.85gを混合し、約5分間攪拌した。次いで、0.5N硝酸水溶液;1.0gを添加し、約2時間室温で攪拌した。
以上の方法により、処理剤の総量に対し、混入された直鎖状ポリジメチルシロキサンの重量濃度(以降「ポリジメチルシロキサン濃度」と記載する)が0.5重量%、処理剤の総量に対し、混入されたフルオロアルキルシランの重量濃度(以降「フルオロアルキルシラン濃度」と記載する)が0.8重量%の処理剤を得た。
(2)防汚性被膜の形成
上記「(1)処理剤の調」の手順で調製した処理剤を、0.5ml量、500mmφの眼鏡レンズ(最表層がSiO膜である多層膜が形成されることで反射防止がなされている眼鏡レンズ)の多層膜上に滴下し、綿布(商品名;ベンコット)でガラス全面に十分引き伸ばした後、5分程度風乾した。その後、目視で白くまだらに残留している余剰分をイソプロピルアルコールで湿らした紙タオルで拭き上げて透明なサンプルを得た。
上記[防汚性被膜の評価方法]に記載した要領で評価したところ、表1に示すとおり、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに50往復を要し、耐久性に優れていた。
Figure 0005163022
実施例2
ジメチルシロキサンユニットの数が400の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}400Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに45往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例3
ジメチルシロキサンユニットの数が50の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}50Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに50往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例4
ジメチルシロキサンユニットの数が250の片末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHSiO{Si(CHO}250Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに55往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例5
フルオロアルキルシラン濃度を1.6重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに55往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例6
フルオロアルキルシラン濃度を0.4重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに40往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例7
フルオロカーボンユニットの数が10のフルオロアルキルシラン〔CF(CFCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに50往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例8
フルオロカーボンユニットの数が6のフルオロアルキルシラン〔CF(CFCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに45往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例9
フルオロカーボンユニットの数が6であり、両末端トリアルコキシタイプのフルオロアルキルシラン〔(CHO)SiCHCH(CFCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに40往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例10
ポリジメチルシロキサン濃度を1.3重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに45往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例11
ポリジメチルシロキサン濃度を0.25重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに45往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例12
ポリジメチルシロキサン濃度を1.0重量%、フルオロアルキルシラン濃度を1.6重量%、すなわち、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランの総量を処理剤の総量に対して2.6重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに45往復を要し、耐久性に優れていた。
実施例13
ポリジメチルシロキサン濃度を0.25重量%、フルオロアルキルシラン濃度を0.4重量%、すなわち、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランの総量を処理剤の総量に対して0.65重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られた。また、余剰分の除去性は良好であった。さらに、優れた被膜の汚れ除去性を示し、セリア研磨試験においては研磨領域の全領域を親水化させるのに40往復を要し、耐久性に優れていた。
比較例1
ジメチルシロキサンユニットの数が22の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}22Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、干渉ムラの変化もなく良好な外観が得られたが、セリア研磨試験において35往復で研磨領域の全領域が親水化し、耐久性が低かった。
比較例2
ジメチルシロキサンユニットの数が500の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}500Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、セリア研磨試験において35往復で研磨領域の全領域が親水化し、耐久性が低かった。
比較例3
フルオロアルキルシラン濃度を0.05重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、水垢の除去性がやや劣っており、さらにセリア研磨試験において20往復で研磨領域の全領域が親水化し、耐久性が低かった。
比較例4
フルオロカーボンユニットの数が1のフルオロアルキルシラン〔CFCHCHSi(OCH〕を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、セリア研磨試験において10往復で研磨領域の全領域が親水化し、耐久性が低かった。
比較例5
ポリジメチルシロキサン濃度を3.5重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、余剰分の除去性が悪く、容易に透明なものが得られなかった。
比較例6
ポリジメチルシロキサン濃度を2.0重量%、フルオロアルキルシラン濃度を2.0重量%、すなわち、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランの総量を処理剤の総量に対して4.0重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、余剰分の除去性が悪く、容易に透明なものが得られなかった。
比較例7
ポリジメチルシロキサン濃度を0.2重量%、フルオロアルキルシラン濃度を0.2重量%、すなわち、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランの総量を処理剤の総量に対して0.4重量%とした以外はすべて実施例1と同じとした。結果、物性は表1に示すとおり、セリア研磨試験において25往復で研磨領域の全領域が親水化し、耐久性が低かった。
比較例8
(1)シリカゾルの調製
シリカゾルは、アルコキシシランのテトラエトキシシラン〔Si(OC):TEOS〕の加水分解および重縮合反応を進めることにより調製した。図2に、シリカゾルの調製手順と各成分の混合割合(重量比)を示す。先ず、TEOS;312.5gと低級アルコールの混合溶媒(90重量%のエチルアルコールと10重量%のイソプロピルアルコールからなる混合物);450.0gを混合し、30分間攪拌し溶液Aを得た。これとは別に、60重量%硝酸水溶液;7.5g、蒸留水;210.0gおよび上記と同じ低級アルコールの混合溶媒;20.0gを混合し、30分間攪拌し溶液Bを得た。次いで、溶液Aと溶液Bを混合後、約15時間室温で攪拌することによってシリカゾルXを得た。
(2)処理剤の調製
処理剤は、フルオロアルキルシランと直鎖状ポリジメチルシロキサンを混合して得られた混合物に上記シリカゾルXを添加、混合することによって得た。図3に塗布液の調製手順と各薬液の混合割合(重量比)を示す。そして、試料の作製条件を以下に述べる。
イソプロピルアルコールで1重量%に希釈したフルオロカーボンユニットの数が8のフルオロアルキルシラン〔CFCFCHCH i(OCH〕溶液;0.78g、n−ヘキサンで0.2重量%に希釈した直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}250Si(CHCHCHSi(OCH 〕;0.53g、メチルエチルケトン;7.00gとイソプロピルアルコール;7.00gを混合し、約5分間攪拌した。次いで、上記シリカゾルX;1.56gを添加し、約15時間室温で攪拌した。次いで、メチルエチルケトン;26.53gとイソプロピルアルコール;26.53gとn−ブチルアルコール;1.40gを添加し、30分間攪拌した。以上の方法により、シリカに換算すると塗布液に対して0.2重量%となるアルコキシシランの重縮合物を有し、塗布液中にフルオロアルキルシランが0.0016重量%、シリコーンが0.00015重量%となる塗布液を得た。
(3)防汚性被膜の形成
本比較例での「(2)処理剤の調」の手順で調製した処理剤を、500mmφの眼鏡レンズ(最表層がSiO膜である多層膜が形成されることで反射防止がなされている眼鏡レンズ)の多層膜上に、スピンコート法により塗布した。
次いで、120℃で10分間加熱処理を行い、室温まで冷却させて防汚性被膜を得た。上記[防汚性被膜の評価方法]に記載した要領で評価したところ、表1に示すとおり、干渉色の変化があり、良好な外観は得られなかった。
比較例9
アルコキシシランの重縮合物の濃度を0.3重量%となるよう調製した以外はすべて比較例8と同じとした。結果、干渉色の変化があり、良好な外観は得られなかった。
比較例10
アルコキシシランの重縮合物の濃度を0.4重量%となるよう調製した以外はすべて比較例8と同じとした。結果、干渉色の変化があり、良好な外観は得られなかった。
実施例1における処理剤の調製手順を示す図である。 比較例8におけるシリカゾルXの調製手順を示す図である。 比較例8における塗布液の調製手順を示す図である。

Claims (7)

  1. 基材上に薄膜の積層によって光学的な機能を生じせしめた光学機能性積層体の最表面に防汚性被膜を形成するための処理剤であり、
    少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(Si(CHO)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び
    加水分解可能な官能基を有し、且つフルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が6〜12であるフルオロアルキルシラン、そして、
    有機溶媒、前記直鎖状ポリジメチルシロキサン及び前記フルオロアルキルシランの加水分解可能な官能基を加水分解させる酸、及び水を混合してなる処理剤であり、
    処理剤の総量に対し、重量濃度で
    前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜3.0重量%、
    前記フルオロアルキルシランが0.2〜2.0重量%、そして、
    前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.5〜3.5重量%
    混入されたことを特徴とする処理剤。
  2. 直鎖状ポリジメチルシロキサンが加水分解可能な官能基を両側末端に有することを特徴とする請求項1に記載の処理剤。
  3. 処理剤の総量に対し、重量濃度で
    前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜2.0重量%、
    前記フルオロアルキルシランが0.5〜1.4重量%、さらに、
    直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランとの総量が0.8〜2.5重量%
    混入されたことを特徴とする請求項2に記載の処理剤。
  4. 加水分解可能な官能基がアルコキシ基であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の処理剤。
  5. 請求項1乃至請求項4いずれかに記載の処理剤を、基材上に薄膜の積層によって光学的な機能を生じせしめた光学機能性積層体の最表面に塗布後、乾燥して膜厚が10nm以下の防汚性被膜を形成する工程を有することを特徴とする防汚性光学機能性積層体の製法。
  6. 処理剤の塗布方法が手塗りによるものであることを特徴とする請求項5に記載の防汚性光学機能性積層体の製法。
  7. 15℃〜30℃、相対湿度30%〜60%の環境で、5分間〜20分間放置して乾燥することを特徴とする請求項5又は6に記載の防汚性光学機能性積層体の製法。
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