JP5099506B2 - 光qam信号の復調方法,及び復調装置 - Google Patents
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ピーク位置算出工程は,受信した信号のコンスタレーションマップにおけるピークの位置を求めるための工程である。コンスタレーションマップは,信号点配置図などともよばれるものである(たとえば,特開2003−101602号公報,及び特開2007−110386号公報を参照)。
受信信号の振幅補正工程は,受信した信号のI成分及びQ成分の振幅を補正するための工程である。すなわち,受信装置によって,I成分及びQ成分の感度にばらつきがある。このため,受信装置において,I成分及びQ成分に関する補正を行うことで,適切なコンスタレーションマップを得ることができる。この工程は,受信信号の振幅補正装置を用いて実装できる。受信信号の振幅補正装置は,たとえば,受信装置の特性をあらかじめ把握し,I成分及びQ成分の補正値を記憶する。そして,受信信号の振幅補正装置は,受信装置が受信した信号のI・Q各成分に,この補正値を掛け合わせ,振幅補正後の値を得る。このようにして,受信装置による,I成分及びQ成分のばらつきを補正できる。
受信信号の重み付け工程は,受信信号に対して重み付けを行う工程である。光信号と量子雑音の比(S/N比)は,光強度に比例して増大する。そこで,振幅の絶対値が大きい光信号の重みを大きくするような演算処理が重み付けのひとつとして挙げられる。ピークの重み付け装置により,この演算処理を実装できる。受信信号の重み付け装置は,たとえば,指数関数テーブルを含む。そして,この受信信号の重み付け装置は,指数関数テーブルから,入力されたピーク値に対応する指数値を読み出す。このようにして,振幅の絶対値に応じた指数値を得ることができる。なお,この例では,ピークの重み付け装置として,指数関数テーブルを用いた演算処理を行うものについて説明した。しかしながら,この演算は,指数演算回路を用いても良いし,ソフトウェアにより実装されてもよい。また,重み付け関数は,指数関数に限られない。なお,この重み付け処理を施されたI成分及びQ成分を,それぞれIw及びQwと表記する。
Iw+jQw=(I+jQ)×exp(A)
A=(I2+Q2)1/2
受信信号に関する4乗計算工程は,受信信号に関する4乗演算を行うことで,位相ドリフトを求めるための工程である。受信信号の位相のドリフトに応じて,コンスタレーションマップにおけるI成分・Q成分をそれぞれ実数部・虚数部とした複素数を4乗したものの偏角は変化する。本発明では,上記のとおり,重み付けを施した受信信号に対して,4乗計算処理を施し,位相ドリフトを求める。このようにして,光信号に対して位相ドリフトを求めることができる。
z=(Iw+jQw)4
そして,Arg(z/4)が位相ドリフトに相当する。
4乗値の平均算定工程は,z値の時間平均値を求めるための工程である。このz値の時間平均値をzavと表記する。z値の時間平均値を求めることにより,時間揺らぎを抑えることができる。この作業は,数回程度,z値を求めて,その平均を求めればよい。すなわち,上記のステップ111〜113をn回繰り返し,複数のz値を求める。その上で,求めたz値を足し合わせる。その上で,足し合わせたz値をnで割ればよい。nとして概ね,2以上1000以下があげられる。4乗値の平均算定工程は,4乗値の平均算定装置を用いて実装できる。この平均算定装置は,記憶装置と,加算回路及び乗算回路を用いて容易に実装できる。記憶装置は,複数のz値,及び1/n値を記憶する。加算回路は,複数のz値を足し合わせる。これにより,この平均算定装置は,Σzを得る。乗算回路は,Σzと1/nとを乗算する。これにより,この平均算定装置は,Σz/nを得る。このΣz/nがzavである。勿論,この4乗値の平均算定装置は,上記とは別の回路を用いて実装しても良い。また,この4乗値の平均算定装置を,ソフトウェアにより実装してもよい。
位相シフト工程は,受信信号の位相を所定量ずらすことにより位相の補正を行い,補正後の受信信号を求めるものである。位相シフト工程において,ずらす位相の量は,先に求めた値を用いて求めることができる。具体的には,位相シフト工程における位相シフトの量として,Arg(zav/4)があげられる。位相シフト装置は,Argテーブルを用いて求めることができる。このArgテーブルは,zavと,対応するArg(zav/4)とが関連付けられて記憶されている改良Argテーブルである。すなわち,zavが入力されると,位相シフト装置は,zavを用いてArgテーブルからArg(zav/4)を読み出す。このようにして,位相シフト装置は,位相シフト量を得る。その上で,受信した信号のコンスタレーションマップにおけるピークの位置をずらす。
受信信号の重み付け工程は,受信信号に対して重み付けを行う工程である。QPSK信号の場合と異なり,QAM信号の場合は,受信信号に関する4乗計算工程をそのまま適用すると,位相ドリフトが全くない場合でも,コンスタレーションマップ上のシンボルの位置によって,4乗計算工程により得られる点が異なる。具体的には,コンスタレーションマップの原点を通り水平軸(I軸)に対して±45度の傾きをもつ直線上に存在するシンボルと,前述の直線上に存在しないシンボルとで,4乗計算工程により得られる点が異なる。この影響を抑制するためには,続く工程となる4乗値の平均算定工程を,十分多い受信信号に対して施す必要があり,計算量が増大してしまう。これを避けるために,受信信号の重み付けにより4乗計算工程に用いるシンボルを選択するような演算処理を行う。受信信号の重み付け装置により,この演算処理を実装できる。
境界算出工程は,ピーク位置算出工程で求められたピークの位置に基づいて,信号を復調するための境界を求めるための工程である。この工程は,ピーク位置算出手段が求めたピークの位置に基づいて,信号を復調するための境界を求めるための境界算出手段により実現される。
対角点算出工程(ステップ201)は,ピーク位置算出工程で求められたピークであって,隣接する4つのものが構成する四角形の対角点を求める工程である。隣接する4つのピークは,光検出器と接続された制御装置により容易に解析できる。たとえば,頂点(A),頂点(B),頂点(E)及び頂点(F)は,隣接する4つのピークである。これらの各頂点が構成する四角形の対角点も制御装置により容易に求めることができる。この場合,対角点は,(1a)である。
中点算出工程(ステップ202)は,ピーク位置算出工程で求められたピークであって,外郭に位置するピークについて,隣接するピーク間の中点を求める工程である。
点群連結工程(ステップ203)は,対角点算出工程で求めた複数の対角点と,中点算出工程で求めた複数の中点であって,隣接するものを連結し,連結線を境界とする工程である。なお,中点と対角点とを連結する場合は,対角点から中点の方向へ延長し,境界を求めている。
中点算出工程(221)は,ピーク位置算出工程で求められたピークであって,隣接するものの中点を求めるための工程である。特に図示しないが,たとえば,図4では,ピーク(A)とピーク(B),ピーク(E)とピーク(F),ピーク(I)とピーク(J),ピーク(M)とピーク(N)は,それぞれ隣接するピークである。この工程では,それらの中点を求めればよい。中点の求め方は,ピーク位置の座標の平均を求めることにより容易に求めることができる。
点群連結・延長工程(222)は,中点算出工程で求めた複数の中点であって,隣接するものを連結するとともに,前記中点のうち外郭に位置するものについては,連結線を外郭方向へ延長し,連結線及び延長線を境界とする工程である。すなわち,先の工程で求めた中点を連結するとともに,延長すればよい。
復号化工程(ステップ300)は,境界算出工程で求められた境界を用いて,受信した信号を復号化する工程である。境界で囲まれている領域に対応した値が割り当てられているので,光QAM信号がどの領域の信号として観測されたかという情報を用いて,復号化することができる。このような復号化処理は,公知のソフトウェア,又は演算回路を用いて実現できる。
2nASK信号の各レベルは,(2n−1)/(2n−1), (2n−1−2x1)/(2n−1),..(2n−1−2*k)/(2n−1),...(2n−1−2*(2n−1))/(2n−1)となる。具体的には,64QAM信号を得る場合のASK信号のレベルは,それぞれ1,5/7,3/7,1/7,−1/7,−3/7,−5/7,−1となる。各QPSKの強度比を調整するためには,上記に説明したと同様にして調整できる。具体的には,光回路内にアッテネータなどを設置して,適宜振幅を調整しても良い。また,入力信号を各QPSK信号発生器に分波する際に,分岐比率を調整しても良い。
QPSK発生などの時に90度,または270度の位相差を維持する必要がある。これはSSB変調信号発生の条件と同じであるので,伝送に影響を与えない低い周波数(例えば数キロヘルツ以下)で90度の位相差を与えたいバイアス電極にテスト用正弦波信号を入力する。SSB条件が満たされているときには側波帯成分が片側しか出ないが,ずれているときには両方が出力され,これらのビートから変調周波数の2倍成分が発生する。これを,最小にするように制御すればSSB条件=90度の位相差が得られる。サブマッハツェンダー導波路のバイアスは,正弦波信号を入力し,同じ周波数成分を最小,2倍成分を最大とすることで,設定できる。
2つのDPMZMを用いた16QAMマッピング
図16に,本発明の16QAM変調器の原理図を示す。この例では,異なる振幅(強度)を有する2つのQPSK信号を重ね合わせることで,16QAM信号が得られる。2つのQPSK信号の強度差は,6dBとした。大きな振幅を有するQPSK信号(図16のQPSK2で示されるもの)は,四値(quadrant)がマッピングされる領域を決定する。一方,小さな振幅を有するQPSK信号(図16のQPSK1で示されるもの)は,それぞれの四値の位置を固定する。2つのQPSK信号を組み合わせることで,位相ダイアグラムにおいて,等間隔な16個のシンボルをマッピングすることができる。この16QAMマッピングは,多レベルの電気信号を用いることなく2値データを用いることにより得ることができることとなる。
LiNbO3導波路と,シリコンベースのPLC(planner lightwave circuit)とを光学的に結合させ,16QAM変調用のQPMZM(4つの並列したMZM)を具備する,図17に示されるような変調器を製造した。このQPMZMは,4つのMZM(MZM−I,MZM−Q,MZM−i及びMZM−q)が,並列に結合されている。換言すると,このQPMZMは,2つのDPMZM(2つの並列したMZM)を具備している。そして,それぞれのMZMは進行波型の電極(RFa1,RFb1,RFa2,およびRFb2)を有している。図17に示されるように,QPMZMは,MZM間の位相オフセット(Phase offset)を制御するため,さらに6つのバイアス電極を有していた。2つのDPMZMの入力及び出力は,その末端においてPLCベースの光カプラと結合された。
図19は,本実施例で用いた装置の概略構成図である。送信器側では,QPMZMにより外部共振器型半導体レーザからの連続光に16QAM変調を施した。変調器のそれぞれのアームを,市販の4チャンネルパルスパターン発生器によって生成された,データ長が29−1で12.5Gb/sの2値NRZ(non−return−to−zero)のPRBS(pseudo random bit sequence)データを用いて,プッシュプル駆動した。ひと組のMZM(MZM−I及びMZM−Q)を,大きな振幅のQPSK信号が得られるように,−πからπの範囲で駆動した。残りのMZMの組を,振幅の小さなQPSK信号が得られるように,−π/2からπ/2の範囲で駆動した。
図23は,実施例2において用いた装置の概略図である。図23に示されるように,本実施例では,光SSB変調器を用いて,2つの4−ASK信号を重畳し,16値光QAM信号を得た。すなわち,電気信号を用いて,それぞれ2ビットの情報を2種類用意し,それらを合波して16値光QAM信号を得た。変調レートは,2GBaud(8Gb/s)であった。
Claims (9)
- コンスタレーションマップにおける受信信号のヒストグラムのピークの位置を求めるピーク位置算出工程と,
前記ピーク位置算出工程で求められたピークの位置に基づいて,信号を復調するための境界を求める境界算出工程と,
前記境界算出工程で求められた境界を用いて,受信した信号を復号化する復号化工程であって,前記受信した信号は2値以上の値をとり,光QAM信号,光ASK信号,光PSK信号,光FSK信号,光CPFSK信号,光APSK信号,又は光MSK信号のいずれかであり,
前記境界算出工程は,
前記ピーク位置算出工程で求められたピークであって,隣接する4つのものが構成する四角形の対角点を求める対角点算出工程と,
前記ピーク位置算出工程で求められたピークであって,外郭に位置するピークについて,隣接するピーク間の中点を求める中点算出工程と,
前記対角点算出工程で求めた複数の対角点と,前記中点算出工程で求めた複数の中点であって,隣接するものを連結し,連結線を境界とする点群連結工程と,
を含む,
復調方法。 - 前記境界算出工程は,さらにコンスタレーションマップにダミーシンボルを設ける工程を含み,
前記コンスタレーションマップにダミーシンボルを設ける工程は,
コンスタレーションマップにおける2つのピークの内積を求める工程,
前記内積を求める工程で求められた内積値が所定の範囲内かどうか判断する工程,及び
前記内積値が所定の範囲内の場合に,内積を求めた2つのピークの和ベクトルを求めて,この和ベクトルに相当する位置にダミーシンボルを設置する工程,
を繰り返し行う工程であり,
前記境界算出工程は,前記ダミーシンボルの位置と,前記ピーク位置算出工程で求められたピークの位置に基づいて,境界を求める,
請求項1に記載の復調方法。 - 前記ピーク位置算出工程は,前処理工程を含み,
前記前処理工程は,
振幅補正工程,重み付け工程,受信信号に関する4乗計算工程,4乗値の平均算定工程,及び位相シフト工程を含み,
前記振幅補正工程は,コンスタレーションマップにおけるピーク位置に相当する同相成分の振幅を補正するとともに,直交成分の振幅を補正する工程であり,
前記重み付け工程は,補正後の同相成分及び直交成分に対して重み付けを行う工程であり,
前記受信信号に関する4乗計算工程は,重み付けされたピーク値について4乗演算を行うことで,位相ドリフトに関連する値を求める工程であり,
前記4乗値の平均算定工程は,前記位相ドリフトに関連する値の時間平均値を求める工程であり,
前記位相シフト工程は,前記時間平均値に基づいて,位相シフト値を求め,この位相シフト値に基づいて,受信信号の位相を所定量ずらし,位相シフト補正後のピークを求める工程であり,
前記境界算出工程は,前記位相シフト補正後のピークの位置に基づいて,境界を求める工程である,
請求項1に記載の復調方法。 - 前記受信信号の重み付け工程は,
各ピークを得るために用いる受信信号の同相成分・直交成分各々を,指数関数を用いて重み付けする工程である
請求項3に記載の復調方法。 - 前記受信信号の重み付け工程は,
コンスタレーションマップの四隅に位置する受信信号を抽出することで,これらの受信信号を重み付けする工程である,
請求項3に記載の復調方法。 - 前記受信信号の重み付け工程は,
コンスタレーションマップの四隅に位置するピークを抽出する工程と,
コンスタレーションマップの中央に位置するピークを抽出する工程と,
抽出されたコンスタレーションマップの四隅に位置するピークが大きくなるように重み付けする工程と,
抽出されたコンスタレーションマップの中央に位置するピークが大きくなるように重み付けする工程と,
を含む,
請求項3に記載の復調方法。 - 前記境界線は,曲線である
請求項1に記載の復調方法。 - コンスタレーションマップにおける受信信号のヒストグラムのピークの位置を求めるピーク位置算出手段と,
前記ピーク位置算出手段が求めたピークの位置に基づいて,信号を復調するための境界を求める境界算出手段と,
前記境界算出手段が求めた境界を用いて,受信した信号を復号化する復号化手段であって,前記受信した信号は2値以上の値をとり,光QAM信号,光ASK信号,光PSK信号,光FSK信号,光CPFSK信号,光APSK信号,又は光MSK信号のいずれかであり,
前記境界算出手段は,
前記ピーク位置算出手段が求めたピークであって,隣接する4つのものが構成する四角形の対角点を求める対角点算出手段と,
前記ピーク位置算出手段が求めたピークであって,外郭に位置するピークについて,
隣接するピーク間の中点を求める中点算出手段と,
前記対角点算出手段が求めた複数の対角点と,前記中点算出手段が求めた複数の中点であって,隣接するものを連結し,連結線を境界とする点群連結手段と,
を含む,信号の復調装置。 - 前記境界算出手段は,さらにコンスタレーションマップにダミーシンボルを設ける手段を含み,
前記コンスタレーションマップにダミーシンボルを設ける手段は,
コンスタレーションマップにおける2つのピークの内積を求める工程,
前記内積を求める工程で求められた内積値が所定の範囲内かどうか判断する工程,及び
前記内積値が所定の範囲内の場合に,内積を求めた2つのピークの和ベクトルを求めて,この和ベクトルに相当する位置にダミーシンボルを設置する工程,
を繰り返し行う手段であり,
前記境界算出手段は,前記ダミーシンボルの位置と,前記ピーク位置算出手段で求められたピークの位置に基づいて,境界を求める,
請求項8に記載の復調方法。
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