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JP5082498B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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JP5082498B2 JP2007047102A JP2007047102A JP5082498B2 JP 5082498 B2 JP5082498 B2 JP 5082498B2 JP 2007047102 A JP2007047102 A JP 2007047102A JP 2007047102 A JP2007047102 A JP 2007047102A JP 5082498 B2 JP5082498 B2 JP 5082498B2
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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図3および図4に示すように構成されている。図3に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁(中間壁)13に対しアンギュラ玉軸受107を介して支持されるとともに、この仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図4参照)が回転自在に挟持されている。
図3中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図3の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図3のA−A線に沿う断面図である図4に示すように、ケーシング50の内側であって、出力側ディスク3,3の側方位置には、両ディスク3,3を両側から挟む状態で一対のヨーク23A,23Bが支持されている。これら一対のヨーク23A,23Bは、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。そして、後述するトラニオン15の両端部に設けられた枢軸14を揺動自在に支持するため、ヨーク23A,23Bの四隅には、円形の支持孔18が設けられるとともに、ヨーク23A,23Bの幅方向の中央部には、円形の係止孔19が設けられている。
一対のヨーク23A,23Bは、ケーシング50の内面の互いに対向する部分に形成された支持ポスト64,68により、支持ポスト64,68を支点として揺動できるように支持されている。これらの支持ポスト64,68はそれぞれ、入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク3の内側面3aとの間にある第1キャビティ221および第2キャビティ222にそれぞれ対向する状態で設けられている。
したがって、ヨーク23A,23Bは、各支持ポスト64,68に支持された状態で、その一端部が第1キャビティ221の外周部分に対向するとともに、その他端部が第2キャビティ222の外周部分に対向している。
第1および第2のキャビティ221,222は同一構造であるため、以下、第1キャビティ221のみについて説明する。
図4に示すように、ケーシング50の内側において、第1キャビティ221には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸(傾転軸)14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図4においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、その本体部である支持板部16の長手方向(図4の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15は、パワーローラ11を収容するための凹状の収容空間であるポケット部Pを形成している。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には支軸としての変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、前述したように、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図4の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。前述したように、各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受(傾転軸受)30を介して揺動自在(傾転自在)に支持されている。また、前述したように、ヨーク23A,23Bの幅方向(図4の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、支持ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図4で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(転動体)26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図4の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(枢軸14から延びる軸部)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、駆動軸22の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2および入力軸1に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位(オフセット)する。例えば、図4の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面(トラクション面)11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、このようなトロイダル型無段変速機において、パワーローラ11と入出力側ディスク2,3との動力伝達は、これらの部材表面の損傷を防止するべく、油膜を介したトラクション力により非接触で行なわれる。そのため、パワーローラ11と入出力側ディスク2,3との間に形成されるトラクション面には、トルクを非接触で伝達するための油膜を形成できる十分な量の潤滑油(トラクション油)を供給する必要があるとともに、ディスク2,3やパワーローラ11を回転可能に軸支する軸受(以下、パワーローラ軸受とも言う)等に対しても十分な潤滑を行なう必要がある。そこで、例えば、特許文献1では、パワーローラ軸受における変位軸23に対してメッシュフィルタを装着し、使用条件の厳しいスラスト玉軸受24の直前でコンタミ(異物)を除去することにより、軸受の潤滑を良好に行なおうとしている。
特開2004−324877号公報(図10)
しかしながら、特許文献1に開示されるような構造では、フィルタが変位軸23に装着されるため、強度・剛性の観点から、フィルタ装着のための大きな空間を確保することが難しく、小さなフィルタしか装着することができない。そのため、フィルタが早期に目詰まりを起こす虞がある。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、パワーローラ軸受へ供給される潤滑油中の異物を除去するためのフィルタの目詰まりを軽減できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの回転中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に揺動するとともに、前記各パワーローラを回転自在に支持するトラニオンと、前記パワーローラに加わるスラスト方向の荷重を支承するスラスト軸受とを備え、前記スラスト軸受は、前記パワーローラによって形成される内輪と、外輪と、これらの内輪と外輪との間で転動する転動体とを有して成り、前記トラニオンには、互いに対向しかつ前記パワーローラの回転中心軸と直交捩れ方向に沿って延びる一対の案内面部が設けられ、前記パワーローラに前記枢軸に沿う方向の接線力が作用したときに、これらの案内面部に前記外輪の外周面が当接可能となっているトロイダル型無段変速機において、前記外輪は、前記スラスト軸受の外輪部を成す外輪本体部と、この外輪本体部から略垂直に延びて前記パワーローラを回転可能に支持する軸部とから構成され、前記外輪には、前記スラスト軸受へ潤滑油を供給するための油路の一部を形成する凹部が設けられ、この凹部内には潤滑油中の異物を除去するためのフィルタが装着されていることを特徴とする。
この請求項1に記載された発明においては、パワーローラに接線力が作用したときに、外輪の外周面とトラニオンの案内面部とが当接して、案内面部上をパワーローラが転がることにより、入力側ディスクから出力側ディスクへと押し付け力が伝達される構成となっており、外輪の軸部が強度、剛性、機能上寄与しない部分となるので、外輪に凹部を設けることにより、とりわけ軸部に凹部を設けることにより、強度、剛性、機能上支障を来たすことなく凹部を大きく確保することができ、したがってサイズの大きいフィルタを凹部に装着することができる。その結果、フィルタの目詰まりを軽減することができるとともに、凹部を設けた分だけ外輪の重量を軽くすることもでき、装置全体を軽量化することができる。
また、請求項2に記載されたトロイダル型無段変速機は、請求項1に記載された発明において、前記凹部は、前記外輪本体部から前記軸部にわたって軸方向に延びていることを特徴とする。
この請求項2に記載された発明においては、凹部が前記外輪本体部から前記軸部にわたって軸方向に延びているので、凹部の内容積を最大限に大きく確保することができ、フィルタの目詰まりを更に軽減することができるとともに、装置全体の軽量化を促進することができる。
本発明によれば、パワーローラを支持する軸部を有する外輪に凹部を設け、この凹部にオイルフィルタを装着するようにしているので、オイルフィルタの目詰まりを軽減できるとともに、装置全体の軽量化を図ることもできる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、スラスト軸受に対して潤滑油を供給する潤滑油供給構造にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図3および図4と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1および図2は本発明の実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態においては、パワーローラ11を支持する軸部のオフセットを回避しつつ、トラニオン15に対してパワーローラ11を円滑に揺動且つ転がり案内できるような構造が採用されている。より具体的には、外輪28は、スラスト玉軸受24の外輪を形成する概略円板状の外輪本体部28aと、この外輪本体部28aの内側面の中心から垂直に延び、パワーローラ11を回転可能に支持する軸部28bとから成っている(前述した従来構造の外輪28と変位軸23とがいわば一体となった構造を成している)。外輪本体部28aは、パワーローラ11の回転中心軸すなわち軸部28bの回転中心軸と同心の外周面110を有している。外輪本体部28aの外周面110にはクラウニングが施されている。
外輪28は、トラニオン15の内側の凹状のポケット部P内に収容されており、トラニオン15には、この外輪本体部28aの外周面110に対向する位置に、互いに対向しかつパワーローラ11の回転中心軸(回転軸)と直交捩れ方向に沿って延びる一対の案内面部120,120が形成されている。より詳しく説明すると、一対の案内面部120,120は、パワーローラ11の回転中心軸(回転軸)と直交するとともに枢軸14と直交する方向に沿って延びている。各案内面部120は、トラニオン15の折れ曲がり壁部20の内側面から内側に向かってほぼ四角板状に少し突出している突出部のほぼ四角形の平面からなる先端面(前面)により形成されている。各案内面部120は、トラニオン15の折れ曲がり壁部20において、パワーローラ11の回転中心軸(回転軸)と直交捩れ方向のほぼ中央部に形成されている。各案内面部120は、高周波焼入れなどにより硬度が高められ、また研削加工により面粗度が高められている。これらの案内面部120,120の間の距離は、外輪本体部28aの外径寸法よりも僅かに大きく設定されている。
また、案内面部120,120および外輪28の外輪本体部28aの外周面110の少なくとも一方に、摩擦係数低減処理が施されている。摩擦係数低減処理としては、例えば、案内面部120,120および外輪本体部28aの外周面110の少なくとも一方に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)あるいは二硫化モリブデン(MoS)などの皮膜を形成する。
また、トラニオン15と外輪本体部28aとの間には、パワーローラ11に加わるスラスト方向(パワーローラ11の小端面側から大端面側に向かう方向)の荷重を支承するスラスト転がり軸受130が介挿されている。
また、軸部28bとパワーローラ11との間には、ラジアル転がり軸受140が介挿されている。
したがって、上記構成では、パワーローラ11に対してラジアル方向(トラニオン15の枢軸14に沿う方向;図中y方向)の接線力が作用すると、パワーローラ11が枢軸14,14の一方側(図中y方向)に変位し、これに伴い外輪本体部28aの外周面110がトラニオン15の案内面部120,120の一方に押し付けられる。そして、外輪本体部28aはこの案内面部120上を転がることができる。すなわち、外輪本体部28aしたがってパワーローラ11は、トラニオン15に対してパワーローラ11の回転中心軸と直交捩れ方向(図中x方向)に移動することができる。
また、本実施形態において、トラニオン15には、ポケットPに達する(外輪28に対向する)部位へと潤滑油を供給するための油供給路200が形成されている。この油供給路200は、駆動シリンダ31内に通じる駆動ロッド29から延びている。また、外輪28には、この油供給路200と連通する油路202が形成されている。この油路202は、油供給路200の端部と対向する外輪本体部28aの端面から軸部28bの端面に向かって軸方向に延びており、その一部(本実施形態では、軸部28bの端部付近を除く油路202の殆どの部分)が径方向に大きく広がった幅広な凹部空間Sとして形成されている。そして、この凹部空間Sには潤滑油中の異物を除去するためのフィルタ210が装着されている。
このような構成では、図2に示すように、油供給路200から供給される潤滑油は、矢印で示すように、外輪28の凹部空間Sに装着された大きなフィルタ210により異物が除去された後、油路202の軸部端部から軸部28bとパワーローラ11の小端面側との間の隙間を介してラジアル転がり軸受140へと流れ、ここからスラスト玉軸受24へと供給される。
以上説明したように、本実施形態においては、パワーローラ11に接線力が作用したときに、外輪28の外周面とトラニオン15の案内面部120とが当接して、案内面部120上をパワーローラ11が転がることにより、入力側ディスクから出力側ディスクへと押し付け力が伝達される構成となっており、外輪28の軸部28bが強度、剛性、機能上寄与しない部分となるため、外輪28に凹部Sを設けることにより、とりわけ軸部28bに凹部を設けることにより、強度、剛性、機能上支障を来たすことなく凹部Sを大きく確保することができ、したがって、サイズの大きいフィルタ210を凹部Sに装着することができる。その結果、フィルタ210の目詰まりを軽減することができるとともに、凹部Sを設けた分だけ外輪28の重量を軽くすることもでき、装置全体を軽量化することができる。
また、本実施形態では、凹部Sが外輪本体部28aから軸部28bにわたって軸方向に延びているため、凹部Sの内容積を最大限に大きく確保することができ、フィルタ210の目詰まりを更に軽減することができるとともに、装置全体の軽量化を促進することができる。
また、本実施形態では、トラニオン15に、互いに対向しかつパワーローラ11の回転中心軸(回転軸)と直交捩れ方向に沿って延びる一対の案内面部120,120が設けられており、パワーローラ11にラジアル方向の接線力が作用したときに、これらの案内面部120,120の一方に外輪28の外輪本体部28aの外周面110が当接し、該案内面部120上を外輪本体部28aが転がることにより、ディスク2,3の回転中心軸に沿って外輪28したがってパワーローラ11がスライドするので、パワーローラ11を支持する軸部のオフセットを回避しつつ、外輪28とともにパワーローラ11をトラニオン15に対して小さい摩擦抵抗で円滑に転がり案内することができ、よって入力側ディスク2から出力側ディスク3へ押し付け力を円滑に伝えることができる。また、トラニオン15に一対の案内面部120,120を設けるだけでこのような作用効果を実現できるので、構造が簡単であり、また、精度の高い多数の加工を施さなくても済むため(パワーローラを支持する軸部をオフセットさせなくて済むため)、加工性が良好であり、且つ安価である。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 図1の構成における潤滑油の供給経路を示す断面図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図3のA−A線に沿う断面図である。
符号の説明
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
14 枢軸
15 トラニオン
24 スラスト玉軸受
28 外輪
28a 外輪本体部
28b 軸部
120 案内面部
202 油路
210 フィルタ
S 凹部空間(凹部)

Claims (2)

  1. それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの回転中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に揺動するとともに、前記各パワーローラを回転自在に支持するトラニオンと、前記パワーローラに加わるスラスト方向の荷重を支承するスラスト軸受とを備え、前記スラスト軸受は、前記パワーローラによって形成される内輪と、外輪と、これらの内輪と外輪との間で転動する転動体とを有して成り、前記トラニオンには、互いに対向しかつ前記パワーローラの回転中心軸と直交捩れ方向に沿って延びる一対の案内面部が設けられ、前記パワーローラに前記枢軸に沿う方向の接線力が作用したときに、これらの案内面部に前記外輪の外周面が当接可能となっているトロイダル型無段変速機において、
    前記外輪は、前記スラスト軸受の外輪部を成す外輪本体部と、この外輪本体部から略垂直に延びて前記パワーローラを回転可能に支持する軸部とから構成され、前記外輪には、前記スラスト軸受へ潤滑油を供給するための油路の一部を形成する凹部が設けられ、この凹部内には潤滑油中の異物を除去するためのフィルタが装着されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記凹部は、前記外輪本体部から前記軸部にわたって軸方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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