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JP5040565B2 - カラーフィルタ用インクジェットインク組成物、及びカラーフィルタ及びこの製造方法 - Google Patents

カラーフィルタ用インクジェットインク組成物、及びカラーフィルタ及びこの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はカラー液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物および該インクにより形成されたカラーフィルタ、さらにはその製造方法に関するものである。
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ、薄型カラーテレビの発展に伴い、カラーLCDの需要が増加しており、特に、薄型カラーテレビの大型化が著しい。しかしながら、需要の増加に合わせて低価格化の進行も著しく、部材の中でもコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
このようなカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルタの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に、染色される透明の水溶性の高分子材料をフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染料水溶液に浸漬して透明なパターンを染色する。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルタ層を形成するものである。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成する。
さらに他の方法としては、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルタの製造方法として、近年、インクジェット方式を利用したカラーフィルタの製造方法が検討されている。インクジェット方式はインク吐出口からインクを液滴として吐出させ、これをガラスなどの透明基板上に付着させるもので、精細な多数の画素を精度よくかつ高速に形成することができ、さらにインクを画素形成部分にのみ付着させればよく、インクの無駄が生じないため、大幅な生産性の向上とコストの低減を図ることができる。
より詳しく説明すると、インクジェット方式のカラーフィルタ形成方法としては、予め基板上に透明な被染色層を一層設け、その上に染料を主成分とする赤、青、緑色のインクをインクジェット装置で噴射し、赤、青、緑の各画素に対応する被染色層の所定の位置を染色する方式が知られている(例えば、特許文献1から6など)。この方式は、透明な被染色層を染料インクで染め付けるため、散乱の少ない透明度の高いカラ−フィルタが得られるが、その反面、被染色を形成した後に染料インクを用いて染め付けるため熱による染料の昇華および溶剤による溶出が起こりやすく、高い耐熱性、耐薬品性が得られにくい。それに対して、より高い耐熱性および耐薬品性を有する着色層を実現する方法として、透明な基板上の赤、青、緑色各画素の所定の位置に樹脂と有機顔料およびまたは染料の混合物から主としてなるインクをインクジェット装置で噴射して着色層を形成する方法が知られている(例えば、特許文献7、8および9など)。しかし、色仕様および/または液晶カラー表示装置の方式によっては、インクの組成が著しく制限され、上記方法で調製されるインクジェット用インクの保存安定性、耐熱性、耐薬品性は、不十分であるといった問題を有しており、フォトリソグラフィー方式同等の耐熱性、対薬品性は未だ実現していない。
特開昭59−75205号公報 特開昭61−245106号公報 特開昭63−294503号公報 特開平1−217302号公報 特開02−173703号公報 特開02−173704号公報 特開平5−224007号公報 特開平8−171010号公報 特開平10−104416号公報
本発明は係る問題点を解決するためになされたもので、耐熱性、耐薬品性に優れ、かつインクジェット法による安定した吐出が可能であるインクジェットインク組成物を提供し、該インクを用いて形成されたカラーフィルタ、さらにはその製造方法の提供を課題とする。
上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
請求項1に記載の発明は、少なくとも着色剤、活性水素基を有する透明樹脂およびブロックイソシアネート化合物からなることを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインク組成物である。
請求項2に記載の発明は、透明基板と、この透明基板上に設けられた遮光パターンと、この遮光パターンの開口部に設けられた着色層を含んでなるカラーフィルタにおいて、前記着色層が、請求項1に記載のインクジェット用インクを乾燥及び熱硬化させたものであることを特徴とするカラーフィルタである。
請求項3に記載の発明は、透明基板と、この透明基板上に設けられた遮光パターンと、この遮光パターンの開口部に設けられた着色層を含んでなるカラーフィルタの製造方法において、透明基板上にストライプ状又は格子状の遮光パターンを形成する工程と、前記遮光パターンの開口部にインクジェット法により請求項1に記載のインクジェットインク組成物を付与する工程と、前記インクジェット組成物を150℃以上300℃以下の温度にて加熱し、該インク中に含まれるブロックイソシアネート化合物の保護基を解離せしめる工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
本発明におけるインクジェットインク組成物では、ブロックイソシアネート化合物を含有することを特徴とし、該化合物は常温付近では不活性で安定であるが、所定の温度以上に加熱することによって保護基が解離し、活性に富んだイソシアネート基を再生するという性質があり、解離温度以上に加熱することで容易に架橋を促進することができるため、耐熱性や耐溶媒性に優れたインクジェット用インク組成物を提供することができる。
さらに、常温付近では不活性で安定であるため、保存時の粘度上昇も生じることなく、良好な吐出特性を有するインクジェット用インク組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1に、本発明の実施の形態によるカラーフィルタを示す説明図である。図中、1は遮光パターン、200は遮光パターンの断面、300は透明基板である。なお、本実施の形態は本発明の一例であり、本発明を限定しないものとする。
なお、本発明に係るパターン形成体は、表示ディスプレイの表示画面を構成する光学部品として好適に利用できる。この場合には、多数の前記領域は表示画面を構成する画素に相当する。また、遮光パターンには黒色顔料等の遮光材料を混合してブラックマトリクスとしての機能を併せ持つことができる。
本発明の適用対象としては、例えば、カラー液晶ディスプレイの表示画面を構成するカラーフィルタが例示でき、この場合には、着色パターンは透過光を着色する着色層を構成し、この着色層は前記領域ごとに異なる色彩を有する複数色のものである。
また、その他の適用対象として、有機エレクトロルミネセンス素子を例示することもでき、この場合には、着色パターンは有機発光材料層を構成する。また、前記領域ごとに異なる色彩を有する複数色の有機発光材料層である。
なお、この外、本発明に係るパターン形成体として、回路基板、薄膜トランジスタ、マイクロレンズ、バイオチップ等を例示することができる。
本発明に用いる透明基板は、ガラス基板、石英基板、TAC(トリアセテートセルロースフィルム)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET、アクリル樹脂等その他のプラスチック等、公知の透明材料を使用することができる。通常は、透明性、強度、耐熱性、対候性において優れたガラス基板を使うのが望ましい。しかしこれらに限定するものではない。
本発明では、遮光パターンは透明基板上に略直交する格子状に形成される。遮光パターンは、透明基板の表面を多数の開口部に区分けすると共に、この多数の開口部のそれぞれに充填するインクが、混色を避けたい隣接する開口部の着色インク同士の混色を防止する機能を有するものである。この遮光パターンに区画された開口部の中に後の工程で、複数色の略ストライプ状の着色パターンを設けるためである。
遮光パターンの形成法は印刷法、フォトリソグラフィー法等の公知の様々な方法が使用できる。例えば、フォトリソグラフィー法によって形成する場合には、感光性を付与した感光性樹脂組成物を用いる。
本発明に用いる遮光パターンは金属系の組成物または樹脂系の組成物からなるものがあげられる。金属系の組成物を採用する場合には、Cr、Mn等を用いて、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などでパターン形成ができる組成物を用いる。
また、遮光パターンを樹脂系の組成物を用いて設ける場合、スピンコート、ダイコート、ロールコート、カーテンコートなど全面に組成物を塗布した後にフォトリソ法で形成する方法や、スクリーン印刷、凸版印刷、グラビア印刷、平版印刷、インクジェット印刷、転写法など最初からパターニングを行う方法で形成することができる。
遮光パターンを、フォトリソ法で設ける場合、ポジレジスト、ネガレジストを用いることができる。このポジレジスト、ネガレジストは、例えば、バインダー樹脂、溶媒、モノマー、遮光剤を含むことができる。ネガレジストの場合には、さらに光重合開始剤を含むことができる。また必要に応じて、その他の添加剤を加えてもよい。
遮光パターンに用いるバインダー樹脂としては、アミノ基、アミド基地、カルボキシル基、ヒドロキシル基を含有している樹脂が好ましい。具体的には、クレゾール−ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂組成物は単独で用いても、2種類以上混合してもよい。
溶媒の一例として具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサノン、エチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エチルエトキシアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルエーテル、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2’エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を用いることができる。溶媒の使用量は、基板上に印刷又は塗布した際に均質であり、ピンホール、塗りむらの無い塗布膜ができる塗布であることが望ましい。このような溶媒の含有割合として、樹脂組成物の全重量に対し、溶媒量が50〜97重量%になるよう調製することが好ましい。
モノマーとしては、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマー、オリゴマー、末端あるいは、側鎖にビニル基あるいはアリル基を有する分子を用いることができる。具体的には(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類、及びこれらの誘導体を挙げることができる。好適な化合物としては、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレートなど比較的低分子量の多官能アクリレート等を挙げることができる。これらのモノマーは単独で用いても、2種類以上混合してもよい。モノマーの量は、バインダー樹脂100重量部に対して1〜200重量部の範囲をとることが可能であり、好ましくは50〜150重量部である。
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物が挙げられる。また、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導体を使用することもできる。また、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン誘導体を使用しても良い。また、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体であっても良い。また、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体を使用することもできる。また、フェニルビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキシド等のアシルフォスフィン誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(4’−メチルフェニル)イミダゾリル二量体等のロフィン量体、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、4,4’−ジアジドカルコン等の有機アジド類、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボキシ)ベンゾフェノン、キノンジアジド基含有化合物等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種類以上混合してもよい。光重合開始剤の量は、バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲をとることが可能であり、好ましくは1〜20重量部である。
添加剤として、例えばレベリング剤、連鎖移動剤、安定剤、増感色素、界面活性剤、カップリング剤等を加えることができる。
また、遮光パターンは、可視光吸収性を有する遮光剤を含むことが好ましい。遮光剤としては公知の材料を用いることができる。具体的にはカーボンブラックやアニリンブラック、黒鉛、鉄黒、酸化チタン、黒色顔料、黒色染料、無機顔料、及び有機顔料等を用いることができる。これらの遮光剤は単独で用いても、2種類以上混合してもよい。
また、遮光パターンは、撥インク性を有していてもよい。撥インク性を付与する方法としては、樹脂組成物中に撥インク性材料を混ぜるか、パターン形成後に撥インク処理を行うことでできる。
以上のような形態で、透明基板上に遮光パターンを形成した後、この遮光パターンの開口部に、インク組成物をインクジェット法により付与し、遮光パターンの開口部に着色層を形成する。
本発明のインクジェット用インク組成物は、少なくとも着色剤、活性水素基を有する透明樹脂およびブロックイソシアネート化合物からなり、該ブロックイソシアネートの性質を利用して、優れた耐熱性および耐溶媒性を付与することができるものである。
上記ブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物と保護化合物とを常法により反応させて得られる保護されたイソシアネート基を有する化合物であり、常温で不活性であるが、加熱することで保護基が解離してイソシアネート基が再生される性質を持つものである。このため、活性水素基を有する化合物とあらかじめ配合しておくことが可能となる。
イソシアネート基を有する化合物としては、1分子中に1個あるいは2個以上含有していればよく、脂肪族、芳香族あるいは脂環式のモノあるいはジイソシアネート、トリイソシアネート化合物が挙げられる。
イソシアネート基を保護する保護化合物としては、アルコール化合物、フェノール化合物、ラクタム化合物、オキシム化合物、アセト酢酸アルキルエステル化合物、マロン酸アルキルエステル化合物、フタルイミド化合物、イミダゾール化合物などが挙げられる。
本発明に用いる着色剤としては顔料を用いることが好ましく、例えば、Pigment Red9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、254、Pigment Green36、Pigment Blue15、15:6、22、23、60、64などが挙げられる。所望の色相を得るためにPigment Yellow20、24、83、86、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168,185、Pigment Violet23、Pigment Orange36等を含め、これら1種のみでも又は複数種混ぜ合わせて使用してもよい。各色の顔料は白色光を分解する役割を担うため、透明性、対候性、耐熱性に優れているものがよい。顔料の一次粒子径は0.3μm以下、更には、0.1μm以下が好ましく、可視光の波長に対して十分に小さくする。特に透明性に優れた顔料として有機顔料が好ましい。
本発明に用いられる活性水素を有する透明樹脂としては、一分子中に少なくとも一個または二個以上の水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基またはイミド基を有し、かつ重量平均で1,000,000以下の分子量の化合物であればよく、具体的にはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂やカゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコールが挙げられる。
インク組成物中における着色剤としては、インク組成物の全重量中0.1〜30部、特に好ましくは1〜20部であり、着色剤と透明樹脂の比率が重量比で1:4〜3:2の範囲であることが好ましい。また、ブロックイソシアネート化合物は透明樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部の範囲であることが好ましい。これらの範囲において画素に満足しうる光学特性を担持せしめられるとともに、インク特性がインクジェット記録法によって正確に吐出せしめることのできる範囲を逸脱するほどに変化することなく好ましいものである。
インク組成物に用いる溶剤は、インクジェット装置の印刷適性により選択され、特に表面張力が35mN/m未満で、かつ沸点が130℃以上であることが好ましい。表面張力がこの範囲を逸脱するとインクジェット吐出時のドット形状に悪影響を及ぼす恐れがあり、また、沸点が130℃未満であるとノズル近傍での乾燥性が著しく高くなり、ノズル詰まり等の不良発生を招くため好ましくない。
具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸、2−エチルヘキサン酸、無水酢酸のような脂肪族カルボン酸類又はその酸無水物;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸のようなハロゲン化カルボン酸類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;N−エチルモルホリン、フェニルモルホリンのようなモルホリン類;ペンチルアミン、トリペンチルアミン、アニリンのような脂肪族又は芳香族アミン類などが挙げられ、必要に応じて2種類以上混合し調整したものを用いることができる。
本発明においては、着色剤の分散性を向上させるために分散剤を用いてもよく、イオン性、非イオン性界面活性剤などが挙げられる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、その他に有機顔料誘導体、ポリエステルなどが挙げられる。
インクジェット法でカラーフィルタを形成する場合には、吐出した着色インクが所定部位に着弾し、該所定範囲外へ広がることを防ぐため隔壁を形成する。多くの場合、該隔壁はブラックマトリックス材を用いて形成され、本発明もこの構造である。
また、隔壁材料には隣接画素へのインク組成物の流出、混色を防ぐため、撥インク剤を添加することが好ましく、シリコーン系やフッ素系化合物などが挙げられる。
インクジェットに用いる装置としては、インク吐出方法の相違によりピエゾ方式と熱方式があるが、ピエゾ方式の装置を用いることが好ましい。また、ピエゾ方式でのインクジェット装置の、インクの粒子化周波数は5〜100KMHz程度が望ましい。また、インクジェット装置の、ノズル径は5〜80μm程度が望ましい。さらに、インクジェット装置はヘッドを複数個配列し、1ヘッドにノズルを60〜500個程度組み込んだものを用いるのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
(ブラックマトリックスの作製)
ポリイミド前駆体(東レ(株)製:セミコファインSP−510 10重量部
カーボンブラック 7.5重量部
NMP 130重量部
分散剤(銅フタロシアニン誘導体) 5重量部
Irgcure907(チバスペシャリティケミカルズ社製) 5重量部
パーフルオロアルキル基含有オリゴマー((株)ネオス製:FTX−720C)
0.1重量部
上記化合物をビーズミル分散機で冷却しながら3時間分散してブラックマトリックス組成物を調整した。調整したブラックマトリックス組成物を無アルカリガラス基板(コーニング社製:品番1737)上にスピンコート法により塗布した後、100℃のオーブンに20分静置し溶媒を除去後、パターン露光による露光工程を行い、次いで不必要部を現像液にて除去する現像工程を経た後、230℃のオーブンにて90分ポストベークを行い、ブラックマトリックスを形成した。
前記ブラックマトリックスの上頂部での着色インク(表面張力30mN/m)に対する接触角を測定したところ35°であり、前記ブラックマトリックス上頂部が着色インクに対して撥インク性があることを確認した。
(顔料分散組成物の調整)
カラーフィルタ作製に用いる顔料分散組成物には次のものを用いた。
赤色顔料 「イルガフォーレッドB−CF」:チバスペシャルティケミカルズ社製
緑色顔料 「リオノールグリーン 6YK」:東洋インキ製造社製
青色顔料 「ヘリオゲンブルー」:BASF社製
下記表1に示す処方でビーズミル分散により十分混連錬し、赤色顔料分散組成物(組成物1)、緑色顔料分散組成物(組成物2)及び青色顔料分散組成物(組成物3)を調整した。
Figure 0005040565
(インク組成物の調整)
このようにして得た顔料分散組成物に下記表2に示す処方で樹脂、ブロックイソシアネート化合物及び有機溶剤を加えて良く攪拌し、カラーフィルタ用インクジェットインク組成物(インクA〜I)を調整した。なお、同様にして保護されていないイソシアネート化合物を加えた、あるいはブロックイソシアネート化合物を加えないインクジェットインク組成物を比較例として調整した。
Figure 0005040565
(カラーフィルタ基板の作製)
ガラス基板上に形成されたブラックマトリクスの開口部に、12pl、180dpiヘッド(セイコーインスツルメンツ社製)を搭載したインクジェット印刷装置によりインクジェットインク組成物を吐出し、着色画素パタ−ンを描画した。その後、90℃のオーブンで3分間静置し、溶媒を除去乾燥させ、さらに240℃のオーブンで20分加熱することで、ブロックイソシアネート化合物の保護基を解離させ、再生したイソシアネート基と活性水素基とを反応・架橋させることでカラーフィルタ基板を得た。
(カラーフィルタの耐性評価)
上記カラーフィルタ基板について、着色層の耐熱性および耐薬品性を評価した。耐熱性については上記カラーフィルタを250℃で1時間加熱、耐溶媒性についてはNMP(N−メチル−2−ピロリドン)に30分浸漬し、着色層の膜厚の変化および表面状態の変化を観察し、下記の基準で評価した。それらの結果を下記表3に示す。
Figure 0005040565
・膜厚変化率
試験前(初期状態)からの膜厚増減率
・外観
○:良好 ひび割れ、表面荒れや色相の変化等の異常なし
×:不良 ひび割れ、表面荒れや色相の変化等の異常がある
上記表3から、以下のことが明らかである。本発明に基づく実施例においては、250℃における膜変化率が小さく外観変化も生ぜず、さらにNMPのような非常に極性の高い溶媒中への浸漬においても膜変化率が小さく外観変化を生ぜず、十分な耐性を有していた。
これに対し、比較例1および2においては、アクリルあるいはエポキシ樹脂のみをインク組成物の構成物としたため、耐熱性と耐溶媒性を十分に満足するには至らなかった。また、比較例3においては、イソシアネート基を保護していない化合物を用いているため、調整後すぐにゲル化してしまい、貯蔵安定性が不十分であった。
本発明のカラーフィルタに用いる透明基板と遮光パターンの概略図

Claims (1)

  1. 透明基板と、この透明基板上に設けられた遮光パターンと、この遮光パターンの開口部
    に設けられた着色層を含んでなるカラーフィルタにおいて、
    前記着色層が、少なくとも着色剤、活性水素基を有する透明樹脂およびブロックイソシアネート化合物からなるカラーフィルタ用インクジェットインク
    を乾燥及び熱硬化させたものであり、
    前記透明樹脂の含有量が前記ブロックイソシアネート化合物の含有量の2〜4倍であり、
    当該カラーフィルタの耐熱性について当該カラーフィルタを250℃で1時間加熱したときの前記着色層の膜厚変化率が−5.0〜−6.7%であり、
    当該カラーフィルタの耐溶剤性について当該カラーフィルタをN−メチル−2−ピロリドンに30分浸漬したときの前記着色層の膜厚変化率が−2.5〜−4.5%である
    ことを特徴とするカラーフィルタ。
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