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JP2012118360A - カラーフィルタ用インクジェットインキ組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用インクジェットインキ組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタ Download PDF

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JP2012118360A
JP2012118360A JP2010268936A JP2010268936A JP2012118360A JP 2012118360 A JP2012118360 A JP 2012118360A JP 2010268936 A JP2010268936 A JP 2010268936A JP 2010268936 A JP2010268936 A JP 2010268936A JP 2012118360 A JP2012118360 A JP 2012118360A
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Japan
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color filter
ink
solvent
pigment
color
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Pending
Application number
JP2010268936A
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English (en)
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Masahiro Sugihara
真広 杉原
Kazuhiro Shirouchi
一博 城内
Mayuko Okamoto
真由子 岡本
Takeshi Tsuruta
剛士 鶴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
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Abstract

【課題】インクジェット法を用いたカラーフィルタ製造において、画素部の平坦性に優れ、画素部内の色濃度のばらつきが小さく、色ムラのない表示品質に優れたカラーフィルタを製造可能なカラーフィルタ用インクジェットインキを提供する。
【解決手段】少なくとも顔料、有機溶剤、バインダー成分としてアクリル樹脂、熱硬化成分としてアクリルモノマー及び、熱硬化反応抑制剤を含有することを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルタ用インクジェットインキ組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタに関する。
薄型テレビジョンなどに利用されている液晶ディスプレイパネルには、主要な構成要素として、カラーフィルタ基板と、液晶セル基板と、バックライトユニットとが含まれている。バックライトユニットは、液晶セル基板の裏面に設けた光源である。液晶セル基板の液晶は、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基板とカラーフィルタ基板との間に充填されている。カラーフィルタ基板には、3原色(赤・青・緑;RGB)の繰り返しパターンが、TFTアレイ基板の各画素に対向する位置に形成されている。カラーフィルタ基板の全面には透明電極が設けられており、TFTアレイ基板の画素電極との電圧によって液晶の方向が制御され、透過する光量がコントロールされる。
前記カラーフィルタ基板は、具体的には、ガラス等の透明な基板の表面に3種以上の異なる色相の微細なストライプ状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なモザイク状のフィルタセグメントを縦横一定の配列に配置したものからなっている。そして、フィルタセグメント間には、カラーフィルタ基板の表示コントラストを高めるために、一定の幅を持つ遮光領域(ブラックマトリックス)が設けられる。カラーフィルタ基板を構成するストライプの幅及びモザイクの一辺の長さは、約70μmと微細であり、しかも色相毎に所定の順序で整然と配列されている。また、通常のカラーフィルタ基板の膜厚は0.8〜1.5μmであり、顔料がフィルタセグメント中の25〜45重量%を占めている。
従来、カラーフィルタ基板の製造は、顔料が分散されたフォトレジスト液を透明基板上に塗布してから、乾燥、露光、現像、及び硬化などの工程を繰り返すことによって行われていた。そのため、生産性が低く、コスト低減の要求が高くなっている。特に、液晶ディスプレイパネルの大型化に伴って、フォトレジストに替わる技術が求められてきた。
こうした要求に従い、製造方法や製造設備の見直しが行われ、インクジェット法によるカラーフィルタ基板の製造が注目されている。インクジェット法は、特に製造装置の小型化が容易で、生産性の高い点で有利である。更に、近年は、プリンタヘッドやインクに関する技術の進歩により、インクジェット法にも顔料系インクが使用され始め、その結果、耐光性や堅牢性も改良されている。この点からも、カラーフィルタ基板用途にインクジェット法を適用することが有利であり、種々の提案が行われている。
インクジェット法によるフィルタセグメントの形成は、予め透明基板上にブラックマトリックスを設け、ブラックマトリックスで区分けされた領域内にインクジェット法によりインクを塗布することによって実施する。塗布されたインクは、溶媒を除去するため、ホットプレートまたはクリーン・オーブンなどの加熱装置を用いて溶媒乾燥させるプリベークプロセスを経て、インク塗膜を透明基板上に緻密化させる。さらに、乾燥したインク塗膜を熱架橋させて基板との密着性・塗膜耐性を高めるために、プリベークプロセスよりも高い温度にてベーキングを行うポストベークプロセスを経て、所望のフィルタセグメントを形成することができる。
しかしながら、インクジェット装置によりカラーフィルタを形成する場合、塗布後のインク塗膜の流動性が十分に確保されていないと、ブラックマトリックスで区分けされた領域内の画素が凸型になり、画素平坦性が悪くなるという問題が起こる。また、画素平坦性が悪くなることで画素部内に色ムラが生じ、画素部内の色濃度が均一なカラーフィルタを形成することが困難となる。
このような問題に対して、たとえば特開平11−84123には、顔料濃度、固形分濃度の低いインクにより、吐出性や画素内平坦性を悪化させない方法が開示されている。しかしながら、低顔料濃度では、必要な色濃度の塗膜を形成したとき膜厚が厚くなりすぎる。また、低固形分濃度では、ブラックマトリックスで区分けされた領域内に充填するインク量を増やすことになり、ブラックマトリックスを越えてインクが溢れて、隣接する領域にインクが混入し、フィルタセグメントの色相を損なった。
また、特開2003−66222には、乾燥時の温度と時間の制御により画素内平坦性を改善する方法が開示されている。しかしながら、そのようなプロセスの制御だけでは上記問題を解決できなかった。また、特開2004−177867では、顔料濃度の異なるインキを用い、吐出プロセスを2回に分けることによって画素中の濃度を制御し、画素平坦性を改善する方法が開示されている。しかしながら、そのようなプロセスでは、平坦性は改善できても、生産性が低下するという問題があった。
また、特開2007−302884には、インク中の分散樹脂を選択することによりインクの流動性をコントロールし、画素内平坦性を改善する方法が開示されている。しかしながら、実際には流動性の良好なインク中の顔料と分散樹脂との組み合わせにはかなり制限があった。
また特開2009−258619には、インキとブラックマトリックス表面との親和性を持たせることにより、画素平坦性を改善する方法が開示されている。しかしながら、親和性を良くすることによってブラックマトリックス上へ乗り上げてしまい混色に繋がるという問題があった。
さらに、平坦性を改善するインクとして、重合性モノマーを含有し、45℃の条件で8時間乾燥した後のインク残部の粘度を制御するインクが開示されている。(特開2007−310315、特開2007−316148、特開2008−33206)しかしながら、上記文献では溶剤乾燥時の流動性を付与できず、優れた画素平坦性は得られなかった。また、重合開始剤が重合性モノマーの反応を引き起こすことで、インキの保存安定性も損なわれるという問題があった。
また、特開2010−134278には、酸化防止剤を含有することで加熱工程における酸化・色ずれを抑制したインクが開示されている。しかしながら、選択する酸化防止剤によっては、プリベークプロセスの溶剤乾燥時において架橋剤の反応抑制が不十分なため、インク塗膜が硬化し流動性を失うことで、優れた画素平坦性が得られなかった。また、酸化防止剤の溶剤に対する溶解性が不十分なため、ノズル詰まりを引き起こしたりする問題があった。さらに、バインダー樹脂として使用しているエポキシ系樹脂が、溶剤中での相溶性が不十分なため、プリベークプロセスの溶剤乾燥時、及びポストベークプロセスの熱架橋時において、インク塗膜の流動性を悪化させ、優れた画素平坦性が得られないという問題があった。
すなわち、インクジェット法により優れた画素平坦性を得るには、ブラックマトリックスで区分けされた領域内にインクを塗布した後の溶剤乾燥時、及び熱架橋時において十分な流動性を付与する必要がある。
特開平11−84123号公報 特開2003−66222号公報 特開2004−177867号公報 特開2007−302884号公報 特開2009−258619号公報 特開2007−310315号公報 特開2007−316148号公報 特開2008−33206号公報 特開2010−134278号公報
本発明は、インクジェット法を用いたカラーフィルタ製造において、画素部の平坦性に優れ、画素部内の色濃度のばらつきが小さく、色ムラのない表示品質に優れたカラーフィルタを製造可能なカラーフィルタ用インクジェットインキを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、少なくとも顔料、有機溶剤、バインダー成分としてアクリル樹脂、熱硬化成分としてアクリルモノマー及び、熱硬化反応抑制剤を含有し、前記熱硬化反応抑制剤が下記一般式(A)の構造を少なくとも1つ以上有することを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物に関する。
一般式(A)
Figure 2012118360
[式中、R1はtert−ブチル基であり、R2は炭素数1〜8の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。]
また本発明は、上記アクリルモノマーの少なくとも1種が、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物であることを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物に関する。
また本発明は、上記インキに用いる溶剤として、常温における沸点が200℃以上である(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系溶剤、またはアルキレングリコールジアセテート系溶剤を少なくとも1種類以上含有することを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物に関する。
また本発明は、上記溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテートであることを特徴とするカラーフィルター用インクジェットインキ組成物に関する。
また本発明は、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物を含むことを特徴とするカラーフィルター用インクジェットインキ組成物に関する。
さらに本発明は、透明基板と、該透明基板上に1色または2色以上の着色パターンからなる着色層を備え、該着色層の少なくとも1色は、上記のインキ組成物を用いて作製されたものであることを特徴とするカラーフィルタに関する。
本発明によれば、画素部の平坦性に優れ、画素部内の色濃度のばらつきが小さく、色ムラのない表示品質に優れたカラーフィルタ用インクジェットインキを提供することができる。
本発明のインクジェットインキは、顔料、有機溶剤、バインダー成分としてアクリル樹脂、熱硬化成分としてアクリルモノマー及び、熱硬化反応抑制剤を含有することを特徴とする。
インクジェット法によりカラーフィルタを製造する場合、プリベークプロセスの溶剤乾燥時、及びポストベークプロセスの熱架橋時における画素内のインク塗膜の流動性が十分に確保されていないと、画素平坦性が損なわれるため、画素内の色濃度がばらついてしまい、色ムラの発生の原因になることが考えられた。
溶剤乾燥時、及び熱架橋時の両プロセスにおいてインク塗膜の流動性を確保するためには、インクを構成する各材料どうしの相溶性が十分であることが必要である。相溶性が不十分な場合、乾燥時における塗膜形成プロセスにおいて、画素内におけるインク塗膜の広がりが不十分となるため、画素内に凸部が生じ、色ムラが出来てしてしまう。
インク塗膜中の相溶性を十分に付与するには、組み合わせる材料の選択が重要となる。中でもバインダー成分としてアクリル樹脂、熱硬化成分としてアクリルモノマーを組み合わせた場合、溶剤乾燥時、及び熱架橋時において優れた相溶性を有するため、インクが十分に流動することが可能となり、インク塗膜が十分な広がりを確保することができることが本発明者の検討により明らかとなった。また、優れた相溶性を有するため、溶剤中で分子鎖が十分な広がりを保ちやすく、インクジェットヘッドにおけるピエゾの動きに追随しやすいことから、偏飛行など発生せず、優れた安定吐出性が得られやすくなる。
さらに、溶剤乾燥時において塗膜の流動性を確保するためには、熱硬化成分の硬化反応を抑制し、インク塗膜の流動性を保持させる必要がある。熱硬化成分の硬化反応が一度進行すると、インク塗膜が流動性を失い画素平坦性を悪化させてしまう。そのため、熱硬化成分は、インク塗膜の流動性を保持するため、プリベークプロセスの溶剤乾燥時で反応させず、ポストベークプロセスの熱架橋時において十分に熱硬化させることを可能とする熱硬化反応抑制剤を用いることにより、画素平坦性と塗膜耐性に優れたカラーフィルタを製造することができる。
プリベークプロセスにおいて、熱硬化成分の硬化反応を抑制し、インク塗膜の流動性を保持した後、ポストベークプロセスの初期には乾燥流動性を十分与えつつ、途中から硬化反応抑制効果を失活させ、最終的には十分硬化を進行させる熱硬化反応抑制剤を添加することが本発明においては好適である。
<熱硬化反応抑制剤>
本発明で用いられる熱硬化反応抑制剤とは、プリベークプロセスの溶剤乾燥時において、熱硬化成分の硬化反応を抑制するために用いられる。中でも溶剤中に十分溶解し、優れた画素平坦性を有するという観点ならびに前述の硬化抑制とポストベークプロセス中における抑制力失活のバランスから、下記一般式(A)の構造を少なくとも1つ以上有するフェノール系熱硬化反応抑制剤を用いることが好ましい。
一般式(A)
Figure 2012118360
[式中、R1はtert−ブチル基であり、R2は炭素数1〜8の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。]
上記の構造を有しない熱硬化反応抑制剤は、溶剤に対して溶解性が不十分なため、インクジェット法によるインクの吐出時において、ノズル詰まりを引き起こしたり、酸化防止剤自身がプリベークプロセスの溶剤乾燥時に揮発し、熱硬化反応の抑制が不十分になることで、画素平坦性を悪化させたりするため好ましくない。
上記構造を有するフェノール系熱硬化反応抑制剤は、優れた画素平坦性を得るという観点から、プリベークプロセスの溶剤乾燥時において揮発性の低いものが望ましい。中でも、熱硬化反応抑制剤を単体で、大気圧下にて150℃で5分乾燥させた後の重量減変化が0〜20%であることが好ましく、0〜10%であることが特に好ましい。上記乾燥条件における熱硬化反応抑制剤単独の重量減変化が20%を上回ると、溶剤乾燥時における熱硬化反応の抑制が不十分となり、優れた画素平坦性を得ることが難しくなる。
また、上記構造を有するフェノール系熱硬化反応抑制剤は、優れた塗膜耐性を得るという観点から、ポストベークプロセスの熱架橋時において熱硬化反応抑制剤自身が揮発し、硬化反応を十分に進行させることが望ましい。中でも、熱硬化反応抑制剤を単体で、大気圧下にて230℃で30分乾燥させた後の重量減変化が80〜100%であることが好ましく、90〜100%であることが特に好ましい。上記乾燥条件における熱硬化反応抑制剤単独の重量減変化が80%を下回ると、ポストベークプロセスにおいて、熱硬化成分の硬化反応が十分に進まず、優れた塗膜耐性を得ることが難しくなる。
上記のフェノール系熱硬化反応抑制剤の市販品の具体例としては、チバ・ジャパン株式会社製IRGANOX 1076、IRGANOX 245、IRGANOX 3114、IRGANOX 1035、IRGANOX 1098、IRGANOX 1135、IRGANOX 1330、IRGANOX 1425、IRGANOX 259、IRGANOX 565、IRGAMOD 295、IRGANOX 1010等が挙げられる。また、これらのフェノール系熱硬化反応抑制剤を単独あるいは複数併用しても良い。
本発明で用いられるフェノール系熱硬化反応抑制剤は、優れた画素平坦性と安定吐出性を得るという観点から、インク組成物中に0.01重量%〜10重量%の量で含有されていることが好ましい。含有量が10重量%を超えると溶剤に対する溶解性が不十分となり、安定吐出性を確保することが難しくなる。
<アクリルモノマー>
本発明で用いられるアクリルモノマーは熱反応性物質として、溶剤乾燥時及び熱架橋時におけるインク塗膜流動性や熱架橋後の塗膜耐性を付与するために用いられる。
アクリルモノマーの中でも、多価アルコールの末端OH基をε−カプロラクトンで変性したものは、アクリルモノマー自身の分子鎖が長く、プリベークプロセスの乾燥時及びポストベークプロセスの熱架橋時における熱流動に追随することが可能であるため、優れた画素平坦性を有することができる。中でもε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物は、溶剤に対して十分溶解し、バインダー樹脂等に対する相溶性が良好であることから、分子鎖が十分な広がりを保ちやすく、優れた画素平坦性を得ることが可能であることが本発明者の研究により明らかとなった。
ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物の市販品の具体例としては、日本化薬(株)製KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120等が挙げることができる。また、これらのアクリルモノマーを単独あるいは複数併用しても良い。
上記以外に使用できるアクリルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、6−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、上記アクリルモノマーは、単独あるいは複数併用することが好ましいが、優れた塗膜平坦性を得るという観点から、アクリルモノマーとしてε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物を併用することが特に好ましい。
本発明で用いられるアクリルモノマーは優れた画素平坦性と安定吐出性、塗膜耐性を得るという観点から、インク組成物中に1重量%〜15重量%の量で含有されていることが好ましく、5重量%〜15重量%で含有されていることが特に好ましい。含有量が15重量%を超えると優れた画素平坦性を満たすことは出来るが、インキ粘度が高くなるため、安定吐出性を得ることが難しくなる。
<バインダー樹脂>
本発明で使用できるバインダー樹脂としては、アクリルモノマーとの相溶性という観点から、アクリル樹脂を用いることが好ましい。バインダー樹脂は、前記熱硬化成分の反応温度においても、非反応性の樹脂であり、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
バインダー樹脂として、架橋可能な官能基を有するものを用いることもできる。架橋可能な官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、及びアルコキシル基等を挙げることができる。しかし、架橋可能な官能基の中でも、エポキシ基を有するエポキシ系樹脂は、溶剤及びアクリルモノマーとの相溶性が悪く、優れた画素平坦性を得るのが難しいため、バインダー樹脂として使用するのは本発明においては好ましくない。
架橋可能な官能基を有する樹脂としては、アクリルモノマーとの優れた相溶性や、エステル化反応により優れた硬化性を有するという観点から、水酸基及びカルボキシル基を有するアクリル樹脂が好ましい。
水酸基及びカルボキシル基を有するアクリル樹脂は、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、その他のモノマーとを共重合することにより得られる樹脂である。
<溶剤>
本発明にて用いられる溶剤は、樹脂に対する溶解性、装置部材に対する膨潤作用、粘度、及びノズルにおけるインキの乾燥性の点から選択され、例えば、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤等の1種類を単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、アミルアルコール等が挙げられる。
グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1−ブトキシエトキシプロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、乳酸エチル、乳酸プロパン、乳酸ブチル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、イソホロン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン等が挙げられる。
中でも、顔料の分散性能と、インクジェットインキの吐出性の点から、常温における沸点が200℃以上である(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系溶剤、またはアルキレングリコールジアセテート系溶剤を使用することが好ましい。さらに良好な顔料分散性やε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物との溶解性・安定した吐出性を得るためには、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテートを好適に用いることができる。
<分散樹脂>
さらに顔料分散時の低粘度化の点からエステル変性された分散樹脂を用いることが好ましい。また、低粘度化は、インキ中の顔料濃度を向上させることができるため、インクジェット吐出工程での時間を短縮できることから、生産性を向上させることができるため、好ましい。
本発明のインクジェット用インキは、熱架橋剤を含有することが好ましい。UV露光工程を必要とせず、タクトタイムの低減につながるためである。熱架橋剤としては具体的にはメラミン化合物やベンゾグアナミン化合物、アルキル化メラミン樹脂、イソシアネート化合物などが挙げられ、これらは単独または2種類以上混合して用いることができる。中でも優れた塗膜耐性を得るという観点からメラミンまたはメラミン誘導体を含有することが好ましい。
<メラミン化合物>
メラミン化合物としては、例えば、イミノ基、メチロール基、及び/又はアルコキシメチル基を有するものが挙げられ、特にアルコキシメチル基のみを含有するメラミン化合物が好ましい。アルコキシメチル基含有メラミン化合物の具体例としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、又はヘキサブトキシメチロールメラミン等を挙げることができる。
メラミン化合物の市販品の具体例としては、以下のものを挙げることができる。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。三和ケミカル社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−302、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、285、232、235、236、238、マイコート506、508等を挙げることができる。
上記メラミン化合物は優れた平坦性を得るという観点からインク組成物中に1重量%〜10重量%の量で含有されていることが好ましく、1重量%〜5重量%で含有されていることが特に好ましい。含有量が10重量%以上を超えると、焼き付け時の塗膜の架橋密度が高くなり過ぎてしまい、塗膜の柔軟性を損なってしまうため、優れた画素平坦性を満たすことが難しい。
また、上記メラミン化合物は、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物と併用することにより、薬品耐性にすぐれ、且つ平坦性の良好なバランスに優れたカラーフィルタを形成することができる。さらに、酸価を有するバインダー樹脂、反応性モノマー、分散樹脂などを併用することで、さらなる薬品耐性を得ることができるため、好適に用いることができる。
本発明におけるインキ中には着色剤として染料または顔料を用いることができる。染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応性染料、分散染料、含金属染料等が挙げられ、本発明の目的に反しない限り単独で、または混合して使用することができる。
<顔料>
顔料としては一般的に用いられているものや、特に耐光性、耐候性が求められる場合は、キナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、モノアゾ系、不溶性アゾ系、ナフトール系、フラバンスロン系、アンスラピリミジン系、キノフタロン系、ピランスロン系、ピラゾロン系、チオインジゴ系、アンスロン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、インダンスロン系等の有機顔料やニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩、カーボンブラック、アルミニウム、雲母等の無機顔料が挙げられる。またメタリック感やパール感を出すためにはアルミニウム等の金属微紛マイカ微紛が用いられる。染料としては、アゾ系、キノリン系、スチルベンゼン系、チアゾール系、インジゴイド系、アントラキノン系、オキサジン系等が挙げられる。
カラーインデックスで記載すると、例えば、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、または、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、または、C.I.Pigment orange 36、43、51、55、59、61、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の顔料を挙げることができる。
本発明のインクジェット用インキは、上記の顔料を1種単独で含有するか、あるいは2種以上を混合して含有することができる。
上記の顔料のうち、優れたコントラストを得るという観点からグリーン顔料としてC.I.Pigment Green 58を用いることが好ましい。
また、耐光性や、耐水性などの点から顔料を用いることが好ましい。
また、上記顔料を安定に分散するために、顔料誘導体を用いることができる。顔料誘導体は、例えば、一般式(2):
1−(E) (2)
(式中、G1は、色素原型化合物残基であり、Eは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基である)
で表される化合物であり、本発明を達成するために必要であれば、単独で、または複数の顔料誘導体を混合して使用することができる。
またインキ中にレベリング剤、消泡剤などの添加剤を適宜混合して使用することも可能である。レベリング剤としては、アクリル系、シリコン系、フッ素系などパターニング条件に応じて単独もしくは併用して用いることが可能である。中でもインキのブラックマトリックスからの漏洩による混色を防止する点で、アクリル系及びシリコン系のレベリング剤を単独もしくは併用することにより、歩留まり良く、フィルタセグメント内のムラを防止することができるため、好適に用いることができる。
<カラーフィルタ基板>
本発明のインクジェットインクを用いて、インクジェット法により、カラーフィルタ基板を製造することができる。カラーフィルタ基板は、例えば、薄型テレビジョンなどに利用されている液晶ディスプレイパネルに利用することができる。
カラーフィルタ基板は所望の色相のフィルタセグメントを具備するものであり、フィルタセグメントは、ブラックマトリックスが形成された基板のブラックマトリックスで区分けされた領域内に、インクジェット法によりカラーフィルタ用インクジェットインクを吐出することに形成される。
基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板を用いることができる。ブラックマトリックスは、例えば、ラジカル重合型のブラックレジストを塗布し、露光、そして現像してパターニングするフォトリソグラフィー法、黒色インクを印刷する印刷法、又は金属を蒸着したのちエッチングする蒸着法等により基板上に形成することができる。
本発明におけるポストベーク工程では、230℃で30分焼き付けを行った。しかしここで示すポストベークとは、架橋をほぼ進行させる工程を示し、現在一般的に行われている時間、温度条件であればこれを限定しない。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例中、部及び%は、重量部及び重量%を表す。
[顔料]
1)レッド顔料A:C.I.Pigment Red 254(チバスペシャリティケミカルズ社製)
2)レッド顔料B:C.I.Pigment Red 177(東洋インキ製造社製)
3)グリーン顔料:C.I.Pigment Grenn 36(東洋インキ製造社製)
4)グリーン顔料:C.I.Pigment Grenn 58(DIC社製)
5)イエロー顔料:C.I.Pigment Yellow 150(東洋インキ製造社製)
6)ブルー顔料:C.I.Pigment Blue 15:6(東洋インキ製造社製)
7)バイオレット顔料:C.I.Pigment Violet 23(東洋インキ製造社製)
[溶剤]
1)CBAc:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
2)1,3−BGDA:1,3−ブチレングリコールジアセテート
3)メチルシクロヘキサノン
[分散樹脂]
1)顔料分散剤A
2)PB821:アジスパーPB−821(味の素ファインテクノ社製)
<製造例1(顔料分散剤A)>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、及び攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、及び触媒として、モノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱下に撹拌した。固形分測定により、98%が反応したことを確認し、第一の工程を終了した。この反応生成物にピロメリット酸二無水物36.6部を追加し、100℃で5時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認して、第二の工程を終了し顔料分散用のエステル変性樹脂を作製した。得られたエステル変性樹脂を顔料分散剤Aとした。
[バインダー樹脂]
1)アクリル系バインダー樹脂:バインダー樹脂A
2)エポキシ系バインダー樹脂:EPPN−201(日本化薬社製)
<製造例2(バインダー樹脂A)>
セパラブル4ロフラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)100部を仕込み、100℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管より下記の原料を添加し、5時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液(固形分50%)を得た。
メタクリル酸 20部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20部
n−ブチルメタクリレート 57部
ホスマーM 3部
2,2−アゾビスイソブチロニトリル 4部
得られたバインダー樹脂を樹脂Aとした。
[顔料分散ペースト作成]
以下記載の表1の原料と配合量を用いて顔料分散ペーストを作製した。
具体的には、分散剤とバインダー樹脂を溶剤に溶解させた後、顔料を充分混合し、同溶剤で固形分25%に希釈したのち、サンドミルで湿式分散を行い、顔料分散ペーストを作成した。また、各ペーストの45℃オーブンで、7日間加熱後の粘度変化はいずれも30%未満であった。
Figure 2012118360
[熱硬化反応抑制剤]
1)IRGANOX1010(チバ・ジャパン(株)製)
2)IRGANOX1035(チバ・ジャパン(株)製)
3)IRGAFOS38(チバ・ジャパン(株)製)
4)IRGANOX PS 800(チバ・ジャパン(株)製)
上記の熱硬化反応抑制剤の構造について下記に示す。
Figure 2012118360
[アクリルモノマー]
1)トリメチロールプロパントリアクリレート KAYARAD TMPTA(日本化薬(株)製)
2)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
3)ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート KAYARAD
DPCA−20(日本化薬(株)製)
4)ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート KAYARAD
DPCA−30(日本化薬(株)製)
5)ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート KAYARAD
DPCA−60(日本化薬(株)製)
[メラミン樹脂]
アルコキシアルキル基含有メラミン樹脂 ニカラックMx−43 (三和ケミカル社製)
[レベリング剤]
シリコン系レベリング剤 BYK−370 (ビックケミー・ジャパン(株)製)
アクリル系レベリング剤 BYK−361N (ビックケミー・ジャパン(株)製)
[カーボンブラックレジストの調整]
カーボンブラック分散体を60部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)4.3部、光重合開始剤2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバガイギー社製「イルガキュア369」)2部、増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)0.4部、及びシクロヘキサノン21.6部、撥インキ剤(東洋インキ製造株式会社製「フルシェードFSA−RCS001」)0.9部の混合物を均一に攪拌混合した後、1μmのフィルターで濾過して感光性黒色組成物を調製した。
[パターン形成]
感光性黒色組成物をスピンコート法により10cm×10cmのガラス基板に塗工した後、70℃で15分の乾燥により乾燥膜厚2μmの塗膜を作成した。その後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を200mJ/cm2露光した。次いで、炭酸ナトリウム水溶液を用いて未露光部をスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し未露光部を取り除き、230℃、30分のポストベークを行い作成した。得られたBMは、およそ縦100μm、横300μmの開口部を有していた。
・評価方法
[評価:インクジェット吐出によるカラーフィルタ製造]
得られたインキをSII社512ヘッド(公称12pl/1drop)乃至はKonica社製KM512ヘッド(公称42pl/1drop)に充填し、電圧25VでBM開口部に1滴ずつ吐出回数を増やしながらピクセルをインキで充填し、所望の濃度になるまでインキを充填したピクセルを作成した。その後、このガラス基板を振動や風圧でインキがこぼれない様に100℃で5分乾燥させ、さらに230℃で30分焼き付けを行い、着色層を備えたカラーフィルタを作製した。
<画素平坦性の評価>
上記のインクジェット装置を用いて形成した画素部の形状を非接触式表面解析顕微鏡New View6K (Zygo社製)を用いて観察し、画素中の凸部において最も膜厚が高い部分Aから最も低い部分Bまでの高低差A−Bを測定した。
◎:A−B ≦0.20μm (フォトレジストと同等レベル)
○:0.20 <A−B ≦0.35μm (フォトレジストよりはやや劣るが実用上問題ないレベル)
△:0.35 <A−B ≦0.50μm (フォトレジストよりは劣るが実用上使用可能なレベル)
×:A−B > 0.50μm (画像品質が悪化し、実用上問題であるレベル)
<保存安定性>
45℃オーブンで、7日間加熱後の粘度を測定した。
○:加熱前の粘度と比較して増粘率10%未満
△:加熱前の粘度と比較して増粘率10%以上30%未満
×:加熱前の粘度と比較して増粘率30%以上
<連続吐出性>
上記インクジェット設備を用いて、連続安定吐出評価を行った。この評価は、128ノズル全部から吐出を連続で吐出を行い、10分ごとに普通紙に印字を行い、印字の様子を観察した。評価内容は、印字間隔にバラツキが出た場合、液滴が偏飛行していると判断し、ドットが欠けている部分はヘッド詰まりが発生したと判断した。吐出の評価は60分まで継続して行った。
○:60分まで良好な吐出が可能 (吐出性に優れ、実用上問題ないレベル)
△:40分まで良好な吐出が可能 (吐出性にやや優れ、実用上使用可能なレベル)
×:5分以内で偏飛行や詰まりが発生 (実用上、使用できないレベル)
<薬品耐性>
塗膜を形成したガラス基板をN−メチルピロリドンに浸漬し、浸漬前後の塗膜の色変化ΔEを測定した。
○:ΔE≦2
△:2<ΔE≦3
×:ΔE>3
<コントラスト>
分散性を評価する点から、カラーフィルタの代表値であるコントラスト比の評価を行った。目標色度のインキが塗工されたガラス基板を得るために、適した回転速度においてスピンコーターでガラスに塗工したのち、上記と同様の乾燥、焼き付け工程を行い、コントラスト測定用のガラス基板を得た。
コントラスト比は、コントラスト計(CT−1:壷坂電機社製)により、ハロゲン光源を用いて測定を行った。また、測定の条件は、偏光板が完全に平行になった時の輝度を1000になるように光源電圧を調整し最大輝度とし、また、輝度が0.1となる、殆ど90°近くに偏光板を交差させたときを最小輝度として、コントラスト比=最大輝度/最小輝度がブランク状態で10000になるように調整した状態で、偏光板の間に前記の通りに準備したガラス基板を挟み測定した。
<実施例1>
作成したインキの配合量を表2に示した。具体的には、顔料分散ペーストAを32重量部、顔料分散ペーストBを27重量部、溶剤(CBAc)29.9重量部、アクリルモノマー(TMPTA)7重量部、熱硬化反応抑制剤(IRGANOX1010)0.1重量部、バインダー樹脂A 4重量部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、インクジェットインキを得た。
<実施例2〜14及び比較例1〜6>
表2、3に示すように構成成分の種類、量を変更した以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインキを調製した。レベリング剤を添加する場合は、最後に配合した。実施例1〜16及び比較例1〜6の評価結果はそれぞれ表4、5に示す。
Figure 2012118360
Figure 2012118360
Figure 2012118360
Figure 2012118360
表4、5に示すようにアクリルモノマー、アクリルバインダー樹脂、フェノール系熱硬化反応抑制剤を含有する実施例1〜16において画素平坦性に優れたカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物を得ることができた。また、熱硬化反応抑制剤を含まない比較例1、熱硬化反応抑制剤がフェノール系ではない比較例2〜3、アクリルモノマーまたは、アクリルバインダー樹脂のうち何れかを含まない比較例4〜6においては、優れた画素平坦性を満たすことができなかった。

Claims (6)

  1. 少なくとも顔料、有機溶剤、バインダー成分としてアクリル樹脂、熱硬化成分としてアクリルモノマー及び、熱硬化反応抑制剤を含有し、前記熱硬化反応抑制剤が下記一般式(A)の構造を少なくとも1つ以上有することを特徴とするカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物。
    一般式(A)
    Figure 2012118360
    [式中、R1はtert−ブチル基であり、R2は炭素数1〜8の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。]
  2. 上記アクリルモノマーの少なくとも1種が、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物。
  3. 上記インキに用いる溶剤として、常温における沸点が200℃以上である(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系溶剤、またはアルキレングリコールジアセテート系溶剤を少なくとも1種類以上含有することを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物。
  4. 上記溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテートであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物。
  5. アルコキシアルキル基含有メラミン化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のカラーフィルタ用インクジェットインキ組成物。
  6. 透明基板と、該透明基板上に1色または2色以上の着色パターンからなる着色層を備え、該着色層の少なくとも1色は、請求項1〜5いずれか記載のインキ組成物を用いて作製されたものであることを特徴とするカラーフィルタ。
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