JP4930194B2 - ブロック共重合体及びその用途 - Google Patents
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Description
例えば、スルホン酸基が実質的に導入されていないセグメントおよびスルホン酸基が導入されたセグメントを有するブロック共重合体であって、前者のセグメントがポリエーテルスルホンからなり、後者のセグメントがジフェニルスルホンとスルホン酸基を有するビフェノールとのエーテル結合体を繰返し単位とするブロック共重合体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、燃料電池の実用化には、さらなるプロトン伝導度(イオン伝導度)の向上が求められ、単にイオン伝導度の向上を求めて、イオン交換基総数を増加させると、耐水性が悪化する傾向があった。
[1]イオン交換基が導入されたセグメントと、イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ有するブロック共重合体であって、
前記イオン交換基が導入されたセグメントが下記一般式(1A)、一般式(1B)または一般式(1C)で表され、且つそのイオン交換基密度が4.0meq/g以上のセグメントであり、
(式中、mは5以上の整数を表し、kは1または2を表す。Ar1、Ar2、Ar3a、Ar3bは互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアリールカルボニル基で置換されていてもよい。Ar1、Ar2のいずれか少なくとも一つはイオン交換基を有し、Ar3a、Ar3bはイオン交換基を有していても有していなくてもよい。Rは酸素原子、炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のフッ素置換アルキレン基を表し、Rが複数個ある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
前記イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントが、下記一般式(2)で表されるセグメントであるブロック共重合体
(式中、nは5以上の整数を表し、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアリールカルボニル基またはフルオロ基で置換されていてもよい。rは0または1、sは0,1または2を表す。Xは、直接結合または、
から選ばれる2価の基を表し、Xが複数個ある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
を提供するものである。
[2]イオン交換基が導入されたセグメントと、イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントの重量組成比が、[イオン交換基が導入されたセグメント]/[イオン交換基が実質的に導入されていないセグメント]で表して、3/97〜70/30である、上記[1]のブロック共重合体
[3]イオン交換基が酸基である、上記[1]または[2]のブロック共重合体
[4]イオン交換基が、強酸基又は超強酸基である、上記[1]または[2]のブロック共重合体
[5]イオン交換基がスルホン酸基である、上記[1]または[2]のブロック共重合体
[6]イオン交換基が導入されたセグメントが、下記一般式(4)
(式中、m、kは上記一般式(1)と同義である。xは0または1、yは0または1を表し、x+yは1または2である。zは0、1または2を表す。)
で表されるセグメントを含む、上記[1]または[2]に記載のブロック共重合体
[7]イオン交換容量が、0.5meq/g〜4.0meq/gである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のブロック共重合体
[8]上記いずれかに記載のブロック共重合体を主成分とする高分子電解質
[9]上記[8]の高分子電解質に記載の高分子電解質を含む、高分子電解質膜
[10]上記[8]の高分子電解質と多孔質基材とを用いてなる、高分子電解質複合膜
[11]上記[8]の高分子電解質と、触媒成分とを含有する、触媒組成物
なお、「主成分」とは当該高分子電解質中、本発明のブロック共重合体が主としてイオン伝導を担う成分であることを示し、通常該ブロック共重合体を80重量%以上含有するものを示す。
[12]上記[9]の高分子電解質膜、上記[10]の高分子電解質複合膜または上記[11]の触媒組成物を用いて得られる触媒層のうち、少なくとも1つを有する燃料電池
本発明のブロック共重合体は、イオン交換基が導入されたセグメントと、イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ一つ以上を有するブロック共重合体であって、イオン交換基が導入されたセグメント(以下、場合により「親水性セグメント」と呼ぶことがある)が、上記一般式(1A)、一般式(1B)または一般式(1C)(以下、「一般式(1A)〜(1C)で表されたセグメント」のように略称することもある。)で表されるセグメントであり、イオン交換基を実質的に有しないセグメント(以下、場合により「疎水性セグメント」と呼ぶことがある)が上記一般式(2)で表されるセグメントであることを特徴とするものであり、かかるブロック共重合体は、燃料電池のイオン伝導膜として用いた場合に、従来のポリエーテルスルホン骨格を有するブロック共重合体と比して、優れた耐水性と優れたイオン伝導性を発現する。本発明者らは、ブロック共重合体を構成するそれぞれのセグメントにおいて、親水性セグメントが、カルボニル基およびオキシ基を有する特定の構造単位からなり、高度のイオン交換基密度を有するセグメントと、疎水性セグメントとしてスルホニル基およびオキシ基を有するセグメントであるブロック共重合体が、燃料電池用部材、特にイオン伝導膜として必要とされる特性を高度に兼ね備えたイオン伝導体となり得ることを見出した。かかる効果を発現する理由は必ずしも明らかではないが、本発明者等は以下のとおり推察する。一般に親水性セグメントと疎水性セグメントをともに有するブロック共重合体においては、親水性セグメントを主として含む親水性ドメインと、疎水性セグメントを主として含む疎水性ドメインと、からなるミクロ相分離構造を形成する。本発明においては、前記一般式(1A)〜(1C)で表される親水性セグメントと、前記一般式(2)で表される疎水性セグメントでは、両セグメント間の反発力が比較的大きくなり、親水性ドメインには、より密に親水性セグメントが配され、疎水性ドメインには、より密に疎水性セグメントが配されたミクロ相分離構造が発現する。また、疎水性セグメントが、その主鎖に比較的柔軟なスルホン結合を有するので、親水性セグメント同士が凝集して親水性ドメインを形成する際に、疎水性セグメントが、かかる親水性セグメントの凝集を妨げないようにして、疎水性ドメインを形成する。その結果、親水性ドメインは、連続相を形成しやすくなる。このようにして得られるミクロ相分離構造は、両セグメントがより密に配されたドメインをそれぞれ有し、親水性セグメントが、良好なイオン伝導経路を発現し得る連続相となるので、燃料電池用イオン伝導膜として優れた耐水性と優れたイオン伝導性が両立し得うると考えられる。
上記の一般式(1A)、一般式(1B)、一般式(1C)におけるAr1、Ar2、Ar3a、Ar3bは互いに独立に2価の芳香族基を表すが、該2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、フルオレンジイル基などの炭化水素系芳香族基、ピリジンジイル基、キノキサリンジイル基、チオフェンジイル基などの複素芳香族基などが挙げられる。好ましくは、2価の炭化水素系芳香族基である。
ここで、該イオン交換基はAr1、Ar2のいずれか少なくとも一つに有する。また、Ar3a、Ar3bはイオン交換基を有していても有していなくてもよい。
これらのブロック共重合体に係る各セグメントの重量比は、該ブロック共重合体を製造する方法によってコントロールすることが可能であり、その製造方法については後述する。
該イオン交換基の中でも、酸基がイオン交換基であると、燃料電池用途として、特に好適であり、とりわけ、酸基の中でも、強酸基、超強酸基が好ましく、例えば、スルホン酸、パーフルオロアルキレンスルホン酸、パーフルオロフェニレンスルホン酸等が好適に用いられる。
(式中、m及びkは前記と同じ意味を表す。x、yはそれぞれ独立に0または1を表すが、x+yは1または2である。zは0、1または2を表す。)
かかる例示の中でも、セグメントを構成する構造単位にある、全ての2価の芳香族基にイオン交換基を有するものが好ましく、この観点から、(1A)−4〜(1A)−12が好ましい。
また、このようにイオン交換基として、スルホン酸基を有する繰返し構造を有するセグメントであると、燃料電池用イオン伝導膜として、特に好適であることは上述のとおりである。
ここで、(1A)−4Uで表される構造単位を構成する元素の組成式は、C19H12O12S3で表され、モル質量は528.5(g)となる。(1A)−4Uにはイオン交換基(スルホン酸基)を3つ有していることから、イオン交換基当量数は、3000ミリ当量(3000meq)となる。イオン交換基密度は、単位重量当たりのイオン交換基当量数、すなわち構造単位において、イオン交換基当量数をモル質量で除した値に相当するものであり、3000÷528.5=5.7(meq/g)となる。同様にして、(1A)−5Uで表される構造単位は、元素の組成式が、C25H16O15S4となり、モル質量は684.7となる。(1A)−5Uで表される構造単位は、イオン交換基を4つ有しているので、イオン交換基密度は4000÷684.7=5.8(meq/g)となる。
このようにして、親水性セグメントを構成する構造単位から、そのイオン交換基密度を求めることができる。
このように、mを5以上とするためには、ブロック共重合体の製造段階において、親水性セグメントを与えるセグメント前駆体(親水性ポリマー)を製造する際に、その分子量をゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(以下、「GPC法」と呼ぶ)のポリスチレン換算重量平均分子量で表して、5000以上の親水性ポリマーを使用すればよい。
イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントとしては、上記一般式(2)で表されるセグメントである。
ここで「イオン交換基が実質的に導入されていない」セグメントとは、該セグメントを構成する構造単位当りのイオン交換基の導入量が平均0.1個以下であることを示すものであり、構造単位当たりのイオン交換基は0個、すなわちイオン交換基を含まないセグメントであると好ましい。
ここで、式(2)におけるAr4、Ar5は、互いに独立に2価の芳香族基を表し、その代表例としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮環系芳香族基、3,3’−ビフェニリレン、3,4’−ビフェニリレン、4,4’−ビフェニリレン等の2価のビフェニリレン基などが挙げられる。
これらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールカルボニル基又はフルオロ基で置換されていてもよい。ここで、これらの炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アリールオキシ基およびアリールカルボニル基の具体例としては、上記Ar1、Ar2、Ar3a、Ar3bにおける置換基として例示したものと同様のものが挙げられが、かかる炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アリールオキシ基またはアリールカルボニル基に置換基を有している場合、セグメント全体での、構造単位当たりのイオン交換基数が前記の範囲となるようにする必要があり、該置換基はイオン交換基でないことが特に好ましい。
このように、nを5以上とするためには、ブロック共重合体の製造に係る疎水性セグメントを与えるセグメント前駆体(疎水性ポリマー)を製造する際に、その分子量をGPC法のポリスチレン換算重量平均分子量で表して、5000以上の疎水性ポリマーを使用すればよい。
かかる製造方法としては、例えば、
I.一般式(1A)〜(1C)で表されるセグメントを誘導する、イオン交換基を有するモノマーを用いて、イオン交換基が導入されたセグメントの前駆体(親水性ポリマー)を製造する。一方、一般式(2)で表されるセグメントを誘導する、イオン交換基を有さないモノマーを用いて、イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントの前駆体(疎水性ポリマー)を製造する。次いで、親水性ポリマーと、疎水性ポリマーとを結合せしめてブロック共重合体を製造する方法;
II.上記Iで示した方法と同様にして、親水性ポリマーを製造する。次いで、該親水性ポリマーと、一般式(2)で表されるセグメントを誘導する、イオン交換基を有さないモノマーとを重合して、ブロック共重合体を製造する方法;
III. 上記Iで示した方法と同様にして、疎水性ポリマーを製造する。次いで、該疎水性ポリマーと、一般式(1A)〜(1C)で表されるセグメントを誘導する、イオン交換基を有するモノマーとを重合して、ブロック共重合体を製造する方法;
IV.上記の、Iと、IIまたはIIIとを組合わせて、ブロック共重合体を製造する方法;
等が挙げられる。
さらに、親水性ポリマーと、疎水性ポリマーとを結合する際に、これらセグメント前駆体の末端基と反応する反応基を有する化合物を連結剤として使用してもよい。具体的には、上記の両セグメント前駆体がどちらも末端基として、ヒドロキシ基を有する場合、ハロゲン基を分子内に複数有する化合物を連結剤として用いることができる。該ハロゲン基を分子内に複数有する化合物としては、例えば、デカフルオロビフェニル、ヘキサフルオロベンゼン、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン等が例示される。同様にして、両セグメント前駆体がどちらも末端基として、ハロゲン基を有する場合は、ヒドロキシ基を分子内に複数有する化合物を連結剤として用いればよく、該ヒドロキシ基を分子内に複数有する化合物としては、4、4'−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、4、4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン等が挙げられる。
その際、該親水性ポリマーと、該疎水性ポリマーの仕込み組成を変えることによって、直鎖構造を有するブロック共重合体、分岐構造を有するブロック共重合体を作り分けることもできる。
かかる製造方法としては、例えば、親水性ポリマーがその両末端に、ヒドロキシ基を有するポリマーであるか、ハロゲン基を有するポリマーである場合、イオン交換基を有さないモノマーとして、2つのヒドロキシ基を有するものと、2つのハロゲン基を有するものとを用いて、重合させることにより、ブロック共重合体を得ることができる。同様にして、親水性ポリマーが、片方の末端にヒドロキシ基を有し、他方の末端にハロゲン基を有するポリマーである場合、1つのヒドロキシ基と、1つのハロゲン基を有し、イオン交換基を有さないモノマーと重合させることによっても、ブロック共重合体を得ることができる。
これらの製造方法においても、ヒドロキシ基とハロゲン基が縮合反応に基づいて容易に実施することができる。
イオン交換基が導入されたセグメントの平均分子量としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量で表して、上記のとおり5000以上であるが、5000〜200000が好ましく、中でも10000〜100000のものが特に好ましい。
一方、イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントの平均分子量としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量で表して、上記のとおり5000以上であるが、5000〜200000が好ましく、中でも10000〜100000であると、特に好ましい。
また、上述のように、本発明のブロック共重合体は、親水性セグメントおよび疎水性セグメントをそれぞれ有するが、少なくともどちらか一方を二つ以上有する場合や、両セグメントをそれぞれ二つ以上有する場合のような所謂マルチブロックになっているブロック共重合体が特に好ましい。
この場合は、本発明のブロック共重合体は、通常フィルムの形態で使用される。フィルムへ転化する方法に特に制限はないが、中でも溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が、操作が容易な点から好ましく使用される。
具体的には、ブロック共重合体を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の基板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。製膜に用いる溶媒は、ブロック共重合体を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と呼ぶ)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と呼ぶ)、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ)、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」と呼ぶ)等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、水が好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、DMSO、DMF、DMAc、NMP等がポリマーの溶解性が高く好ましい。
燃料電池用途では他に水管理を容易にするために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加することも知られている。これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。また、フィルムの機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋させることもできる。
多孔質基材の膜厚が薄すぎると複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果が不十分となり、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しやすくなる。また膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、得られた複合膜が燃料電池の隔膜として不十分なものとなる。孔径が小さすぎると高分子固体電解質の充填が困難となり、大きすぎると高分子固体電解質への補強効果が弱くなる。空隙率が小さすぎるとイオン伝導膜としての抵抗が大きくなり、大きすぎると一般に多孔質基材自体の強度が弱くなり補強効果が低減する。
耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を鑑みれば、脂肪族系、芳香族系高分子または、含フッ素高分子が好ましい。
本発明が提供する燃料電池は、該ブロック共重合体を高分子電解質膜および/または高分子電解質複合膜として使用したものや、本発明の高分子電解質を触媒層中の高分子電解質として使用したもの等を挙げることができる。
分子量の測定:
GPC法により、下記条件A又は条件Bでポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を測定した。
条件A
GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
カラム SHOWA DENKO社製 AT−80M(Shodex)を2
本直列に接続
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
条件B
GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
カラム TOSOH社製 TSKgel GMHHHR−M 1本
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
プロトン伝導度の測定:
温度80℃、相対湿度90%の条件で交流法で測定した。
イオン交換容量の測定:
滴定法により求めた。
吸水率の測定:
乾燥した高分子電解質膜を秤量し、100℃の脱イオン水に2時間浸漬したのちの膜重量増加量から吸水率を算出し、前記乾燥膜に対する比率を求めた。
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム4.50g(9.90mmol)、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム2.71g、(11.88mmol)、炭酸カリウム1.71g(12.36mmol)を加え、DMSO30mLおよびトルエン30mLを添加した。その後バス温150℃でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後4時間保温攪拌することで、親水性ポリマーを得た。得られた親水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は22000であり、構造単位から計算されるイオン交換基密度は5.7meq/gであった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン3.94g(18.06mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン5.04g(20.14mmol)、炭酸カリウム2.60g(18.78mmol)を加え、DMSO45mLおよびトルエン30mLを添加した。その後バス温120℃でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後6時間保温攪拌することで、疎水性ポリマーを得た。得られた疎水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は39000であった。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、親水性ポリマーの反応溶液を疎水性ポリマーの反応溶液に滴下して、親水性ポリマーの反応マスをDMSO20mLで十分に共洗いして仕込み、その後内温130℃にて20時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、80℃の熱水で洗浄処理して濾過した。次いで80℃にて常圧乾燥し、12.05gの下記に示す構造のブロック共重合体aを得た。得られたブロック共重合体のGPC法(条件A)による重量平均分子量は122000であった。
得られたブロック共重合体aの製膜は以下に示す溶液キャスト法を用いて行った。得られたポリマー2.0gをNMP8.0gに溶解した後、ろ過して、濃度20重量%の溶液を得た。次いで、この溶液をガラス基材上に流延塗布し、全排気オーブン中、80℃にて約5時間かけて、NMPを除去した。その後、2N塩酸で1時間処理する工程を2回繰り返し、さらに8時間流水にて水洗し、膜厚39μmの高分子電解質膜を得た。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 1.8 meq/g
吸水率 136%
プロトン伝導度 1.86×10-1 S/cm
特開2005−126684号公報の実施例5と同様にして、下記に示す構造のブロック共重合体bを製造した。親水性ポリマー段階での、構造単位から計算されるイオン交換基密度は、5.3meq/gであった。高分子電解質膜への製膜方法は実施例1に準拠して行った。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 1.7 meq/g
吸水率 193%
プロトン伝導度 1.20×10-1 S/cm
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム4.78g(10.51mmol)、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム2.00g(8.76mmol)炭酸カリウム1.51g(10.93mmol)を加え、DMSO30mLおよびトルエン30mLを添加した。その後バス温150℃で2時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後4時間保温攪拌することで、親水性ポリマーを得た。得られた親水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は42000であり、構造単位から計算されるイオン交換基密度は5.7meq/gであった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル6.12g(18.09mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン4.15g(16.31mmol)炭酸カリウム2.60g(18.81mmol)を加え、DMSO45mLおよびトルエン30mLを添加した。
その後バス温150℃でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後8時間保温攪拌することで、疎水性ポリマーを得た。得られた疎水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は24000であった。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、親水性ポリマーの反応溶液を疎水性ポリマーの反応溶液に滴下して、親水性ポリマーの反応マスをDMSO20mLで十分に共洗いして仕込み、その後内温150℃にて6時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、80℃の熱水で洗浄処理して濾過した。次いで80℃にて常圧乾燥し、13.71gの下記に示す構造のブロック共重合体cを得た。得られたブロック共重合体のGPC法(条件A)による重量平均分子量は175000であった。
高分子電解質膜への製膜方法は実施例1と同様な溶液キャスト法の操作を行った。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 1.7 meq/g
吸水率 79%
プロトン伝導度 1.05×10-1 S/cm
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム5.16g(10.51mmol)、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム2.00g(8.76mmol)炭酸カリウム1.51g(10.93mmol)を加え、DMSO30mLおよびトルエン30mLを添加した。その後バス温150℃で2時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後4時間保温攪拌することで、親水性ポリマーを得た。得られた親水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は56000であり、構造単位から計算されるイオン交換基密度は5.3meq/gであった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル6.43g(19.00mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン4.34g(17.21mmol)炭酸カリウム2.73g(19.76mmol)を加え、DMSO47mLおよびトルエン35mLを添加した。
その後バス温150℃で2時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後4時間保温攪拌することで、疎水性ポリマーを得た。得られた疎水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は23000であった。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、親水性ポリマーの反応溶液を疎水性ポリマーの反応溶液に滴下して、親水性ポリマーの反応マスをDMSO20mLで十分に共洗いして仕込み、その後内温150℃にて15時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、80℃のして濾過した。次いで80℃にて常圧乾燥し、14.98gの下記に示す構造のブロック共重合体dを得た。得られたブロック共重合体のGPC法(条件A)による重量平均分子量は274000であった。
高分子電解質膜への製膜方法は実施例1と同様な溶液キャスト法の操作を行った。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 1.7 meq/g
吸水率 98%
プロトン伝導度 1.04×10-1 S/cm
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム5.97g(13.14mmol)、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム2.50g(10.95mmol)、炭酸カリウム1.59g(11.50mmol)を加え、DMSO38mLおよびトルエン40mLを添加した。その後バス温150℃、2時間でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後4時間保温攪拌することで、親水性ポリマーを得た。得られた親水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は38000であり、構造単位から計算されるイオン交換基密度は5.7meq/gであった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、2,6−ジヒドロキシナフタレン4.10g(25.58mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン5.95g(23.39mmol)、炭酸カリウム3.89g(28.14mmol)を加え、DMSO91mLおよびトルエン40mLを添加した。その後バス温150℃ 2時間でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後3時間保温攪拌することで、疎水性ポリマーを得た。得られた疎水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は27000であった。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、親水性ポリマーの反応溶液を疎水性ポリマーの反応溶液に滴下して、親水性ポリマーの反応マスをDMSO20mLで十分に共洗いして仕込み、その後内温150℃にて12時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、80℃の熱水で洗浄して濾過した。次いで80℃にて常圧乾燥し、13.82gの下記に示す構造のブロック共重合体eを得た。得られたブロック共重合体のGPC法(条件A)による重量平均分子量は131000であった。
高分子電解質膜への製膜方法は実施例1と同様な溶液キャスト法の操作を行った。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 2.0 meq/g
吸水率 106%
プロトン伝導度 1.74×10-1 S/cm
特開2005−139432号公報の実施例2と同様にして、下記に示す構造のブロック共重合体fを製造した。親水性ポリマーの構造単位から計算されるイオン交換基密度は5.3meq/gであった。高分子電解質膜への製膜方法は実施例1に準拠して行った。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 1.80 meq/g
吸水率 115%
プロトン伝導度 1.52×10-1 S/cm
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム6.81g(14.98mmol)、2,6−ジヒドロキシナフタレン2.00g、(12.49mmol)、炭酸カリウム1.81g(13.11mmol)を加え、DMSO36mLおよびトルエン35mLを添加した。その後バス温165℃で3時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後8時間保温攪拌することで、親水性ポリマーを得た。親水性ポリマーの構造単位から計算されるイオン交換基密度は4.0meq/gであった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル7.39g(21.83mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン4.91g(19.33mmol)、炭酸カリウム3.32g(24.01mmol)を加え、DMSO63mLおよびトルエン40mLを添加した。その後バス温165℃で3時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後8時間保温攪拌することで、疎水性ポリマーを得た。得られた疎水性ポリマーのGPC法(条件B)による重量平均分子量は10000であった。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、疎水性ポリマーの反応溶液を親水性ポリマーの反応溶液に滴下して、疎水性ポリマーの反応マスをDMSO20mLで十分に共洗いして仕込み、その後内温150℃にて10時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、80℃の熱水で洗浄して濾過した。次いで80℃にて常圧乾燥し、17.84gの下記に示す構造のブロック共重合体gを得た。得られたブロック共重合体のGPC法(条件B)による重量平均分子量は135000であった。
高分子電解質膜への製膜方法は実施例1と同様な溶液キャスト法の操作を行った。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 1.5 meq/g
吸水率 53%
プロトン伝導度 0.46×10-1 S/cm
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム141.84g(289.14mmol)、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム55.00g(240.95mmol)、炭酸カリウム34.97g(253.00mmol)を加え、DMSO790mLおよびトルエン158mLを添加した。その後バス温150℃、5時間でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後12時間保温攪拌することで、親水性ポリマーを得た。得られた親水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は35000であり、構造単位から計算されるイオン交換基密度は5.7meq/gであった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、2,6−ジヒドロキシナフタレン109.46g(683.39mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン161.5g(254.25mmol)、炭酸カリウム103.90g(138.21mmol)を加え、DMSO1195mLおよびトルエン190mLを添加した。その後バス温150℃ 5時間でトルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後1時間保温攪拌することで、疎水性ポリマーを得た。得られた疎水性ポリマーのGPC法(条件A)による重量平均分子量は36000であった。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、親水性ポリマーの反応溶液を疎水性ポリマーの反応溶液に滴下して、親水性ポリマーの反応マスをDMSO30mLで十分に共洗いして仕込み、その後内温140℃にて2時間、その後120℃にて1時間保温攪拌した。反応液を100℃まで放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、90℃の熱水で洗浄して濾過した。次いで80℃にて常圧乾燥し、下記に示す構造のブロック共重合体hを得た。得られたブロック共重合体のGPC法(条件A)による重量平均分子量は176000であった。高分子電解質膜への製膜方法は実施例1と同様な溶液キャスト法の操作を行った。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 1.6 meq/g
吸水率 75%
プロトン伝導度 0.25×10-1 S/cm
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム8.10g(17.80mmol)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル3.00g、(14.84mmol)、炭酸カリウム2.15g(15.58mmol)を加え、DMSO46mLおよびトルエン35mLを添加した。その後バス温165℃で9時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後5時間保温攪拌することで、親水性ポリマーを得た。得られた親水性ポリマーのGPC法(条件B)による重量平均分子量は34000であり、構造単位から計算されるイオン交換基密度は3.7meq/gであった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル3.79g(11.19mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン2.09g(8.22mmol)、炭酸カリウム1.70g(12.31mmol)を加え、DMSO30mLおよびトルエン35mLを添加した。その後バス温165℃で9時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後12時間保温攪拌することで、疎水性ポリマーを得た。得られた疎水性ポリマーのGPC法(条件B)による重量平均分子量は5000であった。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、親水性ポリマーの反応溶液を疎水性ポリマーの反応溶液に滴下して、親水性ポリマーの反応マスをDMSO20mLで十分に共洗いして仕込み、その後内温150℃にて9時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、80℃の熱水で洗浄して濾過した。次いで80℃にて常圧乾燥し、13.41gの下記に示す構造のブロック共重合体iを得た。得られたブロック共重合体のGPC法(条件B)による重量平均分子量は163000であった。
高分子電解質膜への製膜方法は実施例1と同様な溶液キャスト法の操作を行った。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 2.3 meq/g
吸水率 255%
プロトン伝導度 1.44×10-1 S/cm
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム8.10g(17.80mmol)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル3.00g、(14.84mmol)、炭酸カリウム2.15g(15.58mmol)を加え、DMSO46mLおよびトルエン35mLを添加した。その後バス温165℃で3時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後1.5時間保温攪拌することで、親水性ポリマーを得た。得られた親水性ポリマーのGPC法(条件B)による重量平均分子量は27000であり、構造単位から計算されるイオン交換基密度は3.7meq/gであった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、ビス(4−ヒドロキシ)メタン3.22g(16.06mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン2.86g(13.09mmol)、炭酸カリウム2.44g(17.66mmol)を加え、DMSO31mLおよびトルエン35mLを添加した。その後バス温165℃で3時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後1.5時間保温攪拌することで、疎水性ポリマーを得た。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、親水性ポリマーの反応溶液を疎水性ポリマーの反応溶液に滴下して、親水性ポリマーの反応マスをDMSO20mLで十分に共洗いして仕込み、その後内温150℃にて5時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、80℃の熱水で洗浄して濾過した。次いで80℃にて常圧乾燥し、14.40gの下記に示す構造のブロック共重合体jを得た。得られたブロック共重合体のGPC法(条件B)による重量平均分子量は222000であった。
得られたブロック共重合体jの製膜は以下のようにして行った。得られたポリマー2.0gをNMP60.0gに溶解した後、ろ過して、濃度3重量%の溶液を得た。次いで、この溶液をガラスシャーレに流延塗布し、全排気オーブン中、80℃にて約5時間かけて、NMPを除去した。その後、2N塩酸で1時間処理する工程を2回繰り返し、さらに8時間流水にて水洗し、膜厚48μmの高分子電解質膜を得た。
なお、上式において「Block」の表記は、括弧内の構造単位からなるセグメントを有するブロック共重合体であることを意味する。
イオン交換容量 2.3 meq/g
吸水率 370%
プロトン伝導度 2.08×10-1 S/cm
一方、本発明のブロック共重合体からなる高分子電解質膜は、吸水率とプロトン伝導性のバランスが良好であり、燃料電池用プロトン(イオン)伝導膜として極めて優れるものが得られる。
Claims (9)
- スルホン酸基が導入されたセグメントと、イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントとをそれぞれ有するブロック共重合体であって、
前記スルホン酸基が導入されたセグメントが下記一般式(1A)、一般式(1B)または一般式(1C)で表され、且つそのイオン交換基密度が4.0meq/g以上のセグメントであり、
(式中、mは5〜1000の整数を表し、kは1または2を表す。Ar1、Ar2、Ar3a、Ar3bは互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフチルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフチルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフチルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基およびフェノキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基並びにハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基およびフェノキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアリールカルボニル基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。Ar1、Ar2のいずれか少なくとも一つはスルホン酸基を有し、Ar3a、Ar3bはスルホン酸基を有していても有していなくてもよい。Rは酸素原子、炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のフッ素置換アルキレン基を表し、Rが複数個ある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
前記イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントが、下記一般式(2)で表されるセグメントであるブロック共重合体。
(式中、nは5〜1000の整数を表し、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフチルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフチルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフチルオキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基およびフェノキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基およびフェノキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアリールカルボニル基並びにフルオロ基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。rは0または1、sは0,1または2を表す。Xは、直接結合または、
から選ばれる2価の基を表し、Xが複数個ある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。) - スルホン酸基が導入されたセグメントと、イオン交換基が実質的に導入されていないセグメントの重量組成比が、[スルホン酸基が導入されたセグメント]/[イオン交換基が実質的に導入されていないセグメント]で表して、3/97〜70/30である、請求項1記載のブロック共重合体。
- イオン交換容量が、0.5meq/g〜4.0meq/gである、請求項1〜3のいずれかの記載のブロック共重合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のブロック共重合体を主成分とする高分子電解質。
- 請求項5に記載の高分子電解質を含む、高分子電解質膜。
- 請求項5に記載の高分子電解質と多孔質基材とを用いてなる、高分子電解質複合膜。
- 請求項5の高分子電解質と、触媒成分とを含有する触媒組成物。
- 請求項6記載の高分子電解質膜、請求項7記載の高分子電解質複合膜または請求項8記載の触媒組成物から得られる触媒層のうち、少なくとも1つを有する燃料電池。
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