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JP4842521B2 - ビニル系重合体の多孔質球状粒子の製造方法 - Google Patents

ビニル系重合体の多孔質球状粒子の製造方法 Download PDF

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JP4842521B2 JP2004167854A JP2004167854A JP4842521B2 JP 4842521 B2 JP4842521 B2 JP 4842521B2 JP 2004167854 A JP2004167854 A JP 2004167854A JP 2004167854 A JP2004167854 A JP 2004167854A JP 4842521 B2 JP4842521 B2 JP 4842521B2
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Description

本発明は、ビニル系重合体の多孔質球状粒子の製造方法であって、凝集粒子や粗大粒子の生成を抑制することができ、後述の範囲の所望の平均粒径を有し粒径分布が狭い多孔質球状粒子を簡便に製造することができる新規な懸濁重合方法に関する。
近年、架橋重合体の多孔質球状粒子、特に平均粒径が1〜200μm程度の多孔質球状粒子はトナー、塗料用艶消し剤、ギャップ調整剤、液体クロマトグラフィー用充填剤、固相合成用担体等の分野で広く使用されている。これらの用途に応じて、1〜200μmの範囲の所望の平均粒径を有し、凝集粒子や粗大粒子を含まず、かつ粒径分布が狭い多孔質球状粒子は極めて有用である。
多孔質球状粒子の製造方法としては通常、シード重合、懸濁重合、分散重合が用いられている。
しかしながら、シード乳化重合では、粒径分布が狭い粒子、即ち単分散粒子を得ることができるが、5μm程度の粒子を得るためにはシード重合を複数回繰り返す必要があり工程数が多く生産向きでなく、実際工業的に10μm以上の粒子を得ることは難しい。シード重合の応用である二段膨潤法では10μm以上の粒子を得ることは可能であるが、膨潤助剤を必要とするので、重合後に洗浄、抽出等で膨潤助剤を除去する操作が必要であり、また膨潤操作そのものに時間を要し生産性に乏しいという問題がある。また、均質な多孔質構造の粒子を得るのが難しく、再現性が期待し難い。
また、分散重合では、平均粒径が2〜20μmの粒径分布の狭い球状粒子を得る事が可能であるが、重合の進行に伴い生成した重合体の析出により粒子が形成されるというメカニズム上の制約から粒子形状の変形、平均粒径の変動および粒径分布の広範囲化を起こさない重合系の範囲には制限があり、そのような系において生成する球状粒子の架橋度を高くすることは難しいので、耐溶剤性を求められる用途には向かない。また、高濃度の分散安定剤の存在下において、スチレン−ジビニルベンゼンの分散重合を行うことにより、粒径0.5〜5μmの架橋重合体の球状粒子の製造が可能であるが、生成する粒子は非多孔質である。
一方、懸濁重合による多孔質球状粒子の製造は、一般に、単量体をいわゆる多孔質化有機溶剤(即ち重合反応に関与せず、水性媒体に難溶で、単量体は溶解するがその重合体は溶解しない有機溶剤)と混合し、水性媒体中で撹拌等して行うものであり、撹拌等により予め目的の大きさに単量体を含む液滴を微小化しておけば、所望の平均粒径を有する球状粒子を容易、安価に製造することができる。しかし、懸濁重合では、一般に、得られる粒子は広い粒径分布となり、また凝集粒子や粗大粒子が生じやすい。特に、多孔質球状粒子を懸濁重合により製造する場合は、重合の進行とともに多孔質構造が構築されて比表面積が急激に大きくなるため、水性媒体中での粒子の分散安定性が大きく低下するので、非多孔質球状粒子を製造する場合に比べて凝集が生じやすい。凝集粒子や粗大粒子、特に不定形の凝集体が存在すると、これを塗料用艶消し剤に使用すれば、ざらつきや意匠性のばらつき等を引き起こし、また固相合成用担体の用途では、充填性のばらつき、合成能のばらつきや低下を引き起こす。そのため、重合反応により得られた粒子から凝集粒子や粗大粒子を除去する必要があり、分級等に様々な手間を要することになる。
懸濁重合の上記のような問題を解決する種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3では、ビニル系単量体を難溶性リン酸塩の存在下に水性媒体中で懸濁重合する際に、懸濁助剤として非イオン性界面活性剤を使用し、重合の途中で陰イオン界面活性剤、難溶性リン酸塩または水溶性高分子保護コロイドを添加することにより、得られる重合体粒子の粒径分布を狭くする方法が開示されている。また、特許文献4では、難水溶性無機塩と中性の水溶性無機塩を含有する水性媒体中でスチレン系単量体を懸濁重合させる際に、重合途中で陰イオン界面活性剤と難水溶性無機塩とを添加することにより、得られる重合体粒子の粒径分布を狭くする方法が開示されている。しかし、これらの方法では、懸濁助剤として非イオン性界面活性剤や水溶性無機塩を使用しているため、100μm以下の粒子を製造するのが困難であるという欠点がある。またこれらの方法では、難水溶性無機塩等の分散安定剤を反応初期に添加することに加えて、陰イオン界面活性剤等の分散安定剤を重合途中に添加する必要があり、即ち数種の分散安定剤を二段に分けて添加する手間を要する。さらにこれらの方法では、難水溶性無機塩を使用しているため重合後に酸処理等により難水溶性無機塩の可溶化と除去が必要であるため、工程が繁雑であるという問題点がある。
さらに、特許文献5では難水溶性無機塩と陰イオン界面活性剤を含む水性媒体中でビニル系単量体とビニル系架橋剤とを懸濁重合させる際に、重合の途中で陰イオン界面活性剤を投入することにより、凝集粒子や粗大粒子のない球状微粒子を得る方法が開示されている。確かにこの方法では、100μm以下の粒子が得られるが、この方法でも上記方法と同様に、分散安定剤を二段に分けて添加する必要があり、また難水溶性無機塩を使用しているためその可溶化と除去が必要であり、工程が繁雑であるという問題点がある。
特開昭52−47881号公報 特開昭52−47882号公報 特開昭52−51483号公報 特開平3−64308号公報 特許第3467399号公報
本発明の目的は、ビニル系重合体の多孔質球状粒子の製造方法であって、製造工程で各種成分を一括添加しても、凝集粒子や粗大粒子の生成を抑制することができ、1〜200μmの範囲の所望の平均粒径を有し粒径分布が狭い多孔質球状粒子を簡便に製造することができる新規な懸濁重合方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ビニル基を2個以上有する多官能性単量体と1個のビニル基を有するビニル系単量体とを、多孔質化有機溶剤および分散安定剤の存在下で、水性媒体中で懸濁重合して多孔質球状粒子を製造する方法であって、分散安定剤がケン化度75〜85mol%のポリビニルアルコールである方法により、上記目的を達成し得ることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ビニル基を2個以上有する多官能性単量体と1個のビニル基を有するビニル系単量体とを、多孔質化有機溶剤および分散安定剤の存在下で、水性媒体中で懸濁重合して多孔質球状粒子を製造する方法であって、
分散安定剤がケン化度75〜85mol%のポリビニルアルコールであることを特徴とする多孔質球状粒子の製造方法。
(2)多孔質球状粒子の平均粒径が1〜200μmである上記(1)記載の方法。
(3)BET法により測定される多孔質球状粒子の比表面積が1〜300m/gである上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)水銀圧入法により測定される多孔質球状粒子の平均細孔径が1〜200nmである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)ビニル基を2個以上有する多官能性単量体と1個のビニル基を有するビニル系単量体との総重量に占める、ビニル基を2個以上有する多官能性単量体の量が2〜55重量%である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)1個のビニル基を有するビニル系単量体がスチレン系単量体である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)多孔質化有機溶剤の量が、ビニル基を2個以上有する多官能性単量体と1個のビニル基を有するビニル系単量体との総重量に対して、0.1〜2重量倍である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)ポリビニルアルコールの平均重合度が、500〜3000である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
本発明の方法によれば、凝集粒子や粗大粒子の生成を抑制することができ、1〜200μmの範囲の所望の平均粒径を有し粒度分布が狭い多孔質球状粒子を簡便に製造することができる。特に、本発明の方法によれば、懸濁重合における凝集粒子や粗大粒子の生成が抑制されるので、従来必要とされた重合反応後の凝集粒子や粗大粒子を除くための処理が不要となり、またより精度を上げるために重合反応後に凝集粒子や粗大粒子を除くための処理に付す場合であっても処理時間が従来よりも短縮できる。加えて、本発明の方法は、分散安定剤等の各種成分は重合反応の初期に反応系に一括添加するだけでよく、また難水溶性無機塩を使用する従来法のように重合反応後の処理が煩雑になる問題がないので、操作が簡便である。
本発明におけるビニル系単量体としては、ビニル基を分子内に1個有する単量体であれば特に限定されない。本発明における1個のビニル基を有するビニル系単量体を以下単に「ビニル系単量体」という。本発明におけるビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族系ビニル単量体、酢酸ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアルキル基の炭素数が1〜10個の直鎖または分岐鎖状の1価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とから得られるエステル等が挙げられ、具体的には例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル等が挙げられる。芳香族系ビニル単量体としては、ビニル基を分子内に1個有する、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子等のヘテロ原子を含有していてもよい環員数5〜6の芳香環が挙げられる。該芳香環はさらにメチル基、アセトキシ基等の置換基を有していてもよい。芳香族系ビニル単量体としては、具体的には例えば、スチレン系単量体(例えば、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−アセトキシスチレン等)、ビニルピリジン等が挙げられる。ビニル系単量体は、1個または2個以上を組み合わせて使用してもよい。ビニル系単量体としては、芳香族系ビニル単量体(特にスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−アセトキシスチレン等のスチレン系単量体)、スチレンとアクリロニトリルの混合物が好ましい。
芳香族系ビニル単量体と後述のビニル基を2個以上有する多官能性単量体との懸濁重合において、本発明の効果は特に顕著である。
本発明におけるビニル基を2個以上有する多官能性単量体(以下、単に「多官能性単量体」という。)は、架橋剤として使用されるものであり、ビニル基を分子内に2個以上、好ましくは2〜3個有し、前述のビニル系単量体と架橋構造を形成しうるものであれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等が挙げられ、好ましくはジビニルベンゼンである。
多官能性単量体の使用量は、多官能性単量体とビニル系単量体との総重量に占める量として、好ましくは2〜55重量%程度、より好ましくは4〜40重量%程度である。
多官能性単量体の使用量が2重量%未満では、得られる粒子の耐溶剤性、熱安定性、多孔度が十分でなく、塗料用艶消し剤、液体クロマトグラフィー用充填剤、固相合成用担体等に使用した時に所望の効果を期待し難い。また55重量%を超えると、過剰な架橋構造による歪みが生じ、粒子の強度が十分でなく、また真球状粒子が得られなかったりして、液体クロマトグラフィー用充填剤、固相合成用担体等に使用した時に所望の効果を期待し難い。
本発明における多孔質化有機溶剤としては、重合反応に関与せず、後述の水性媒体に難溶で、前述の多官能性単量体とビニル系単量体との混合物は溶解するがこれらの重合体は溶解しないものであれば特に限定されないが、例えば脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ウンデカン、ドデカン等)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、ジエチルベンゼン等)、脂肪族アルコール(例えば、2−エチルヘキサノール、t−アミルアルコール、ノニルアルコール、2−オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、シクロヘキサノール等)等が挙げられる。多孔質化有機溶剤は、単独で使用してもよく、複数種組み合わせて使用してもよい。
多孔質有機溶剤の使用量は、多官能性単量体とビニル系単量体との総重量に対して、好ましくは0.1〜2重量倍、より好ましくは0.5〜1.5重量倍である。多孔質有機溶剤の使用量が、0.1重量倍未満では、得られる粒子の多孔度が充分でなく、トナーや塗料用艶消し剤、液体クロマトグラフィー用充填剤、固相合成用担体等に使用したときに所望の効果を発揮しがたく、2重量倍を超えると、多孔度が大きくなりすぎて粒子の強度が充分でなく、また真球状粒子が得られにくくなり、上記用途に使用したときに、所望の効果を期待しがたくなる。
本発明においては、分散安定剤として、ケン化度が75〜85mol%、好ましくは76.5〜83mol%のポリビニルアルコールを使用する。
ケン化度が75mol%未満では、ポリビニルアルコールの高温での水性媒体への溶解度が低下し、重合中にポリビニルアルコールが析出するため、分散不良や凝集を起こす場合がある。ケン化度が85mol%を超えると、分散安定効果が十分でなく、凝集粒子や粗大粒子が生じやすくなる。
本発明における分散安定剤であるポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは500〜3000程度、より好ましくは500〜2400程度である。
平均重合度が500未満では、十分な分散安定効果が得られない場合があり、またポリビニルアルコールを溶解した水性媒体の粘度が低くなるため、得られる粒子の粒径が大きくなりすぎる場合がある。平均重合度が3000を超えると、水性媒体への溶解度が低下するので所望する濃度に調整できなかったり、重合後の水洗浄によるポリビニルアルコールの除去が困難になったりする場合がある。
本発明における分散安定剤であるポリビニルアルコールの使用量は、通常、多官能性単量体とビニル系単量体と多孔質化有機溶剤の総重量に対して、好ましくは0.7〜22重量%程度であり、より好ましくは1.3〜17.5重量%程度である。
ポリビニルアルコールの使用量が0.7重量%未満であると、十分な分散安定効果が得られず、粗大粒子や凝集粒子が生じる場合や水性媒体の粘度が低くなるため得られる粒子の粒径が大きくなりすぎる場合がある。その使用量が22重量%を超えると、重合反応系全体の粘度が上がりすぎて、重合後の濾過が困難になったり、水洗浄によるポリビニルアルコールの除去が困難になったりする場合がある。
本発明における水性媒体としては、例えば、水等が挙げられる。
水性媒体の使用量は、多官能性単量体とビニル系単量体と多孔質化有機溶剤の総重量に対して、通常1重量倍以上、好ましくは1.5重量倍以上である。水性媒体の使用量が1重量倍未満では、粗大粒子や凝集粒子が生じる場合がある。
懸濁重合は、自体公知の方法により行うことができるが、例えば、分散安定剤を水性媒体に溶解し得られた溶液に、別途調製した多官能性単量体、ビニル系単量体、多孔質化有機溶剤および重合開始剤の混合溶液を添加し、撹拌して重合反応を行うことができる。本発明の方法は、このように各種成分を一括添加して簡便に行うことができ、従来法のように分散安定剤等を二段に分けて添加する等の手間を要しない点で有利である。重合開始剤としては、特に限定されずラジカル重合に通常用いられるものを使用すればよいが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が挙げられる。重合反応の温度は、重合開始剤、ビニル系単量体の種類に応じて適宜選ぶことができるが、通常25〜100℃、好ましくは50〜90℃である。重合反応の時間は、通常3〜48時間、好ましくは5〜36時間である。
懸濁重合の際の重合器は特に制限されないが、従来懸濁重合に用いられるものが用いられる。懸濁重合の際の撹拌は、撹拌翼先端の周速度が0.7m/s以上であるのが好ましく、これよりも遅くなると、水性媒体中にビニル系単量体、多官能性単量体、多孔質化有機溶剤からなる分散相がうまく分散しなかったり、粒径が大きくなりすぎたりする場合がある。なお、撹拌翼の形状はファンタービン翼、ファウドラー翼、パドル翼等、タービン翼等の汎用的に用いられているもののいずれでもよく、また撹拌翼は1段でも複数段であってもよい。邪魔板との組み合わせも特に制限はない。
重合反応終了後、例えば、反応物を冷却し、濾過し、残渣を洗浄し、乾燥することによって多孔質球状粒子を単離することができる。
本発明の方法によれば、平均粒径が1〜200μm程度、好ましくは20〜150μm程度の範囲にある多孔質球状粒子を製造することができる。特に、本発明の方法において、懸濁重合における撹拌周速度等の条件を適宜選択することによって、1〜200μm、好ましくは20〜150μmの範囲の所望の平均粒径を有する多孔質球状粒子を、所望の平均粒径を得るための分級等の操作を経ずに、簡便に製造することができる。本明細書における平均粒径は、レーザ回折(散乱式)により測定するメジアン径である。
また、本発明の方法によれば、粒径分布の狭い多孔質球状粒子を製造することができる。本発明により製造される多孔質球状粒子の変動係数(CV)は、通常15〜35%、好ましくは20〜30%である。ここでいう変動係数は、レーザ回折(散乱式)により測定した粒径分布の変動係数である。
さらに、本発明の方法によれば、平均細孔径が1〜200nm程度、好ましくは20〜150nm程度の範囲にある多孔質球状粒子を製造することができる。本明細書における平均細孔径は、水銀圧入法により測定するメジアン径である。
また、本発明の方法によれば、比表面積が1〜300m/g程度、好ましくは20〜200m/g程度の範囲にある多孔質球状粒子を製造することができる。本明細書における比表面積は、BET法により吸着ガスとして窒素を用いて測定するものである。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1
冷却機、撹拌機、窒素導入管を備え付けた、2Lセパラブルフラスコを恒温水相に設置し、ポリビニルアルコール(和光純薬製、特級、平均重合度約1500、ケン化度78−82mol%)16gを水1600gに溶解し、得られた水溶液を上記のセパラブルフラスコに入れた。これとは別に、スチレン56.8g、ジビニルベンゼン(グレード55%)24.5g、2−エチルヘキサノール73.9g、イソオクタン31.7g、過酸化ベンゾイル(25%含水)1.76gを加えて、単量体、多孔質化有機溶剤および重合開始剤の混合溶液を調製し、この混合溶液を上記のセパラブルフラスコに入れた。窒素気流下、室温で、周速度2.0m/sで撹拌した後、80℃に昇温して7時間懸濁重合を行った。反応物を冷却し、濾過し、残渣を洗浄し、乾燥して多孔質微粒子を得た。得られた粒子は、平均粒径が40.5μmであり、変動係数は29.3%であった。凝集粒子はなかった。得られた粒子のSEM写真を図1に示す。
実施例2
スチレンの代わりにp−アセトキシスチレン、ポリビニルアルコール(和光純薬製、特級、平均重合度約1500、ケン化度78−82mol%)の代わりにポリビニルアルコール(クラレ製、PVA−420、平均重合度約2000、ケン化度78−81mol%)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、多孔質微粒子を得た。得られた粒子は、平均粒径が39.5μmであり、変動係数は24.9%であった。凝集粒子はなかった。
実施例3
スチレンの代わりにスチレンとアクリロニトリルの4:1混合物(重量比)56.8g、ポリビニルアルコール(和光純薬製、特級、平均重合度約1500、ケン化度78−82mol%)の代わりにポリビニルアルコール(クラレ製、PVA−405、平均重合度約500、ケン化度80−83mol%)、ポリビニルアルコールの量を32g、撹拌を周速度1.0m/sに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、多孔質微粒子を得た。得られた粒子は、平均粒径が72.5μmであり、変動係数は26.7%であった。凝集粒子はなかった。
比較例1
ポリビニルアルコール(和光純薬製、特級、平均重合度約1500、ケン化度78−82mol%)に代えて、ポリビニルアルコール(和光純薬製、平均重合度約500、ケン化度86−90mol%)を使った以外は、実施例1と同様の操作を行って、多孔質微粒子を得た。得られた粒子はその殆どが凝集していた。得られた粒子のSEM写真を図2に示す。
比較例2
ポリビニルアルコール(和光純薬製、特級、平均重合度約1500、ケン化度78−82mol%)に代えて、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−505、平均重合度約500、ケン化度72.5−74.5mol%)を使った以外は、実施例1と同様の操作を行って、多孔質微粒子を得た。得られた粒子はその殆どが凝集していた。得られた粒子のSEM写真を図3に示す。
比較例3
ポリビニルアルコール(和光純薬製、特級、平均重合度約1500、ケン化度78−82mol%)に代えて、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−224、平均重合度約2400、ケン化度87−89mol%)を使用し、その量を32g、撹拌を周速度2.5m/sに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、多孔質微粒子を得た。得られた粒子はその殆どが凝集していた。得られた粒子のSEM写真を図4に示す。
実験例1
上記実施例で得られた多孔質微粒子を下記の項目、方法にて評価した。結果を表1に示す。
[粒径分布]
使用機器:堀場製作所製 LA−920
測定方法:レーザ回折/散乱式
平均粒径:メジアン径
[比表面積]
使用機器:QuantaChrome Co.製 NOVA1200
測定方法:多点BET法
吸着ガス:窒素
[細孔径分布]
使用機器:QuantaChrome Co.製 PoerMaster60−GT
測定方法:水銀圧入法
平均細孔径:メジアン径
図1は、実施例1(本発明)で得られた粒子の写真である。 図2は、比較例1で得られた粒子の写真である。 図3は、比較例2で得られた粒子の写真である。 図4は、比較例3で得られた粒子の写真である。

Claims (8)

  1. ビニル基を2個以上有する多官能性単量体と1個のビニル基を有するビニル系単量体とを、多孔質化有機溶剤および分散安定剤の存在下で、水性媒体中で懸濁重合して多孔質球状粒子を製造する方法であって、
    分散安定剤がケン化度75〜85mol%のポリビニルアルコールであることを特徴とする多孔質球状粒子の製造方法。
  2. 多孔質球状粒子の平均粒径が1〜200μmである請求項1記載の方法。
  3. BET法により測定される多孔質球状粒子の比表面積が1〜300m/gである請求項1または2に記載の方法。
  4. 水銀圧入法により測定される多孔質球状粒子の平均細孔径が1〜200nmである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. ビニル基を2個以上有する多官能性単量体と1個のビニル基を有するビニル系単量体との総重量に占める、ビニル基を2個以上有する多官能性単量体の量が2〜55重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 1個のビニル基を有するビニル系単量体がスチレン系単量体である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 多孔質化有機溶剤の量が、ビニル基を2個以上有する多官能性単量体と1個のビニル基を有するビニル系単量体との総重量に対して、0.1〜2重量倍である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. ポリビニルアルコールの平均重合度が、500〜3000である請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
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