JP4751077B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
潤滑油に求められる上記各特性を改善する添加剤としては、例えば、非特許文献1に記載されるように、古くからアルコールが油性剤として知られている。
前記アルコールは、その水酸基がアルミニウム表面に吸着し、該水酸基に結合したアルキル基の鎖長が長い方が、一般的に潤滑性に優れ、摩擦係数や金属凝着(移着)を低減させるとともに、圧延加工の場合、圧延荷重の低減、圧延可能な圧下率の向上効果が得られ易い。しかし、アルキル基の鎖長が長すぎる場合は、潤滑油として処方した際に析出し易く、安定性に劣るとともに、潤滑油の除去性が悪化し、いわゆるオイルステインと呼ばれる油の焼きつきを生じる。そこで、アルミニウム系材料の加工用潤滑油には、潤滑性、安定性及び除去性等を鑑み、通常、炭素数12〜18の1価アルコールが油性剤として使用される。
しかし、他の油性剤や極圧剤を配合する場合、潤滑性以外の要求性能、特に、前記除去性、低臭気性、安全性及び潤滑油の安定性が犠牲となり、優れた潤滑性とこれら要求性能とを両立することが困難であった。
尚、特許文献3、5及び6には、潤滑油組成物に、炭素数1〜24又は炭素数5〜30の1価アルコールの混合物を配合できることが記載されている。しかし、これらの文献に記載された好ましい混合物としては、炭素数12以上の特定の1価アルコールの混合物が記載されているに過ぎず、特定の長鎖アルコールと短鎖アルコールとを配合すること、更には、これらを特定割合で配合することによる作用効果等については何等教示されていない。
材料試験技術Vol.29、No.2、p117〜p123(1984)
前記(A)炭素数9以上の1価アルコールの含有割合が、組成物全量基準で0.5〜15質量%及び前記(B)炭素数8以下の1価アルコールの含有割合が、組成物全量基準で0.05〜10質量%であることを特徴とする非水系のアルミニウム系材料の加工用潤滑油組成物が提供される。
本発明は、特にアルミニウム系材料の加工用、さらには圧延加工用であることが好ましい。
従って、金属加工用、特にアルミニウム系材料の冷間圧延加工に特に効果を発揮する。また、アルミニウム系材料の各種加工用、例えば冷間圧延以外の圧延、絞り、しごき、引き抜き、プレス等の塑性加工、さらには塑性加工以外の切削、研削加工等にも有用であり、また、その他鉄鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、銅、銅合金等の各種金属及びこれら金属の合金の加工にも用いることができる。
なお、ここでアルミニウム系材料としては、純アルミニウム、99.9%以上の高純度アルミニウムだけでなく、各種アルミニウム合金、例えば、アルミニウムと、マグネシウム、マンガン、鉄、スズ、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、チタン、ケイ素から選ばれる1種又は2種以上の金属との合金が挙げられ、本発明の潤滑油組成物は、特に純アルミニウム、99.9%以上の高純度アルミニウム、アルミニウム−マンガン系合金、アルミニウム−マグネシウム系合金等の加工に適用することができる。
本発明の潤滑油組成物は、基油として鉱油、油脂及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。即ち、基油としては、鉱油、油脂、合成油をそれぞれ単独で用いてもよいし、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。
基油として鉱油を使用する場合、その芳香族分は特に制限はないが、作業環境の点から、芳香族分が通常10容量%以下、好ましくは8容量%以下、より好ましくは6容量%以下であることが望ましい。ここで芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法を準用して測定された値を表すものを意味する。
鉱油のナフテン分は特に制限はないが、アルミニウムの高加工率圧延時での耐焼き付き限界を高くできることより通常20容量%以上、好ましくは25容量%以上、より好ましくは30容量%以上であることが望ましい。また、アルミニウムの低加工率時での摩擦係数を低くできることより、ナフテン分は通常90容量%以下、好ましくは85容量%以下、より好ましくは80容量%以下であることが望ましい。
鉱油のパラフィン分は特に制限はないが、アルミニウムの低加工率時での摩擦係数を低くできることより通常5容量%以上、好ましくは10容量%以上、より好ましくは15容量%以上であることが望ましい。また、アルミニウムの高加工率圧延時での耐焼き付き限界を高くできることより通常80容量%以下、好ましくは75容量%以下、より好ましくは70容量%以下であることが望ましい。
1)径18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
2)n−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿す。
3)試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
4)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
5)上記4)の溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
6)上記5)で得られた飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。
この際の測定条件は以下のとおりである。
加速電圧:3.0kV、カソード電圧:−5〜−6kV、分解能:約500、エミッター:カーボンエミッター、電流:5mA、測定範囲:質量数35〜700、補助オーブン温度:300℃、セパレータ温度:300℃、主要オーブン温度:350℃、試料注入量:1μl。
7)上記6)の質量分析法によって得られた分子イオンは、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(CnH2n+2)とナフテン類(CnH2n、CnH2n-2、CnH2n-4・・・)の2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、上記5)で得られた飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
鉱油の動粘度(40℃)が低すぎる場合は、引火による火災等の危険性が増す恐れがある。一方、高すぎる場合には、焼鈍後にステインと呼ばれる潤滑油成分の焼き付きが生じ易くなる恐れ、被加工材表面にオイルピットと呼ばれる表面損傷が発生し表面光沢が悪くなる恐れ、過潤滑によるスリップが生じ、摩耗粉の発生量が多くなる恐れ、被加工材表面に傷を付ける恐れ、スリップが著しい場合には加工不能となる恐れ等がある。このような点を考慮して、鉱油の動粘度(40℃)の上限は、好ましくは6mm2/s以下、より好ましくは5.5mm2/s以下であることが望ましい。
本発明の潤滑油組成物において基油の含有量は任意であるが、作業環境の点から、組成物全量基準で60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらにより好ましい。一方、組成物の潤滑性向上の点から、組成物全量基準で99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましい。
(A)成分としては、例えば、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、トリコサノール、テトラコサノール等の1価アルキルアルコール;ノネノール、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール、エイコセノール、ヘンエイコセノール、トリコセノール、テトラコセノール等の1価アルケニルアルコール;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらはいずれも直鎖状又は分岐状のいずれであっても良く、飽和でも不飽和でも良い。好ましくは炭素数9〜24、より好ましくは炭素数10〜18、特に好ましくは炭素数12〜16の1価アルキルアルコール及び/又はアルケニルアルコールであることが望ましい。
本発明の潤滑油組成物において、(A)成分の炭素数が24を超える場合は、除去性が悪化しオイルステイン等を生じる傾向にある。
(B)成分としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール;プロぺノール、ブテノール、ペンテノール、ヘキセノール、ヘプテノール、オクテノール;及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうちメタノール、エタノール以外は、直鎖状又は分岐状のいずれであっても良く、飽和でも不飽和でも良い。好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数3〜6、さらに好ましくは3〜5、特に好ましくは3〜4の1価アルコールが望ましい。この際、(B)成分の炭素数は、引火性や安全性の点で3以上がより好ましい。
なお、2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していても良い。また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際は、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよいが、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から全ての水酸基に付加させた付加物が好ましい。
(C1)成分としては、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際に数平均分子量が100以上1000未満となるように反応させたものを用いても良いし、任意の方法で得られる水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物や市販されている水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物を、蒸留やクロマトによって、数平均分子量が100以上1000未満となるように分離したものを用いても良い。
(C1)成分としては、上記化合物をそれぞれ単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
炭素数1〜24の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシル基等の炭素数1〜24のアルキル基;ビニル基、直鎖又は分岐のプロペニル基、直鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテニル基、直鎖又は分枝のヘキセニル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝のペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオクタデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリコセニル基、直鎖又は分枝のテトラコセニル基等の炭素数2〜24のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基:トリル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)等の炭素数7〜18のアルキルアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む)等の炭素数7〜12のアリールアルキル基が挙げられる。中でも、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分岐のアルキル基及びオレイルアルコールから水酸基を除いた残基であるオレイル基がより好ましい。
前記1塩基酸としては、炭素数6〜24の脂肪酸で、直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のものでも良い。例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等の飽和脂肪酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、ヒドロキシオクタデセン酸、ノナデセン酸、エイコセン酸、ヘンエイコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン酸等の不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物が挙げられる。中でも、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸又は炭素数8〜20の不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物が好ましい。
炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、例えば、(C1)成分を構成するアルキレンオキサイドとして列挙したものが挙げられる。中でも、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。
なお、ポリアルキレングリコールの調製に2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合又はブロック共重合のいずれでも良い。
(C3)成分としては、アルキレンオキサイドを重合させる際に数平均分子量が100以上1000未満となるように反応させたものを用いても良いし、任意の方法で得られるポリアルキレングリコール混合物や市販されているポリアルキレングリコール混合物を、蒸留やクロマトによって、数平均分子量が100以上1000未満となるように分離したものを用いても良い。(C3)成分としては、上記化合物をそれぞれ単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
ここで、ハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、例えば(C2)の説明において列挙した各基が挙げられる。中でも、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から、炭素数2〜18のアルキル基及び炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12のアルキル基及びオレイル基がより好ましい。
また、(C4)成分としては、(C3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基をエステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、1塩基酸でも多塩基酸でも良いが、通常、1塩基酸が用いられ、例えば(C2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。
(C4)成分としては、上記化合物をそれぞれ単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
(C5)成分としては、上記化合物をそれぞれ単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
(C6)成分としては、(C5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここで、ハイドロカルビルエーテル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、例えば(C2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。中でも、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から、炭素数2〜18のアルキル基及び炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12のアルキル基及びオレイルアルコールから水酸基を除いた残基であるオレイル基がさらに好ましい。
(C6)成分としては、上記化合物をそれぞれ単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
(C7)成分としては、上記化合物をそれぞれ単独で用いても、また2種以上の混合物として用いてもよい。
(C8)成分としては、(C7)成分のうち、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール及び1,4,5−ヘキサントリオールそれぞれのハイドロカルビルエーテル又は部分エステルが好ましい。
(C8)成分としては、上記化合物をそれぞれ単独で用いても、また2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明において、上記(C)含酸素化合物を配合する場合、その組成物全量基準での合計含有量は、0.005〜5質量%が好ましい。
(D1)エステルとしては、構成するアルコールが1価アルコールでも多価アルコールでも良く、またカルボン酸が1塩基酸でも多塩基酸であっても良い。具体的には、(D1-1)1価アルコールと1塩基酸とのエステル、(D1-2)多価アルコールと1塩基酸とのエステル、(D1-3)1価アルコールと多塩基酸とのエステル、(D1-4)多価アルコールと多塩基酸とのエステル、(D1-5)1価アルコール、多価アルコールとの混合物と多塩基酸との混合エステル、(D1-6)多価アルコールと1塩基酸、多塩基酸との混合物との混合エステル、(D1-7)1価アルコール、多価アルコールとの混合物と1塩基酸、多塩基酸との混合物との混合エステル等、任意のアルコールとカルボン酸の組み合わせによるエステルが使用可能であり、特に限定されない。
なお、(D1)エステルを構成するアルコール成分として多価アルコールを用いた場合、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルを示す。また、(D1)エステルを構成するカルボン酸成分として多塩基酸を用いた場合、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルでも、カルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであっても良い。
(D1)成分を構成する多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられ、具体的には上記(C5)成分の項で挙げた2価アルコール、上記(C7)成分の項で挙げた3価アルコール、及び上記(C1)成分の項で挙げたものから2価及び3価アルコールを除いた4〜10価アルコールが例示できる。
(D1)成分を構成するカルボン酸としては、1塩基酸及び多塩基酸が例示でき、具体的には上記(C2)成分の項で挙げたカルボン酸が例示できる。
(D1)成分のエステルとしては、上記した何れのものも使用可能であるが、中でもより加工性に優れる点から、(D1-1)1価アルコールと1塩基酸とのエステルが好ましい。
(D1)成分の合計炭素数は特に制限はないが、加工性の向上効果に優れる点から合計炭素数は7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上が最も好ましい。また、炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、合計炭素数は26以下が好ましく、24以下がより好ましく、22以下が最も好ましい。
本発明の潤滑油組成物に上記(D)油性剤を配合する場合、その合計含有量は、潤滑油組成物全量基準で0.01〜15質量%が好ましい。
直鎖オレフィンの具体例としては、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種以上の直鎖オレフィンを混合して用いても良い。
直鎖オレフィンは、様々な製法によって得られ、例えば、エチレンを通常の手段で重合させて得たエチレンオリゴマー等を用いることができる。
本発明の潤滑油組成物において、(E)成分を配合する場合、その含有量は任意であるが、組成物の潤滑性向上の点から、組成物全量基準で、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。
極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のリン系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が例示できる。
さび止め剤としては、オレイン酸等の脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネート等のスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、アミン及びその誘導体、リン酸エステル及びその誘導体が例示できる。
腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール等が例示できる。
消泡剤としては、シリコン系のもの等が例示できる。
これら他の添加剤を配合する場合の合計含有量は、組成物全量基準で通常0.1〜15質量%、好ましくは10質量%以下であることが望ましい。
実施例1〜9及び比較例1〜8
表1及び2に示す組成を有する各種潤滑油組成物を調製し、これら組成物について、下記各種試験を行った。結果を表1及び2に示す。なお、使用した基油、各成分及び圧延材料は以下の通りである。
基油:非芳香族系鉱油 40℃における動粘度2.2mm2/s(芳香族分:0.7容量%、パラフィン分:28.2容量%、ナフテン分:71.1容量%)
A1:ラウリルアルコール、A2:脂肪族1価アルコール混合物(C10:C12:C14:C16=3:50:40:7(質量比))、A3:オレイルアルコール、B1:ヘキサノール、B2:ブタノール、B3:イソプロパノール、油性剤1:ステアリン酸ブチル、油性剤2:オレイン酸。
表1及び表2に示す各組成の潤滑油組成物を用いてアルミニウム材(JIS A−1050材:0.65mm厚)の冷間圧延を圧延速度60m/min、圧下率((材料の初期厚み−圧延された材料の残厚み)/材料の初期厚み×100%)を40%から徐々に上げていく条件で行い、材料の表面に損傷が生じることなく正常に圧延できる最高の圧下率(圧延限界圧下率)を測定した。
(2)摩耗粉発生量試験
表1及び表2に示す各組成の潤滑油組成物を用いてアルミニウム材(JIS A−1050材:0.65mm厚)の冷間圧延を圧下率40%、圧延速度135m/minで10分間行い、油中の摩耗粉量と圧延後の材料表面に付着している摩耗粉量を測定した。各々の数値を材料1m2を圧延する際に発生した値に換算し、それらの値の合計(油中の摩耗紛量+材料表面付着摩耗粉量)を摩耗粉発生量(mg/m2)とした。
(3)除去性試験
表1及び2に示す各組成の潤滑油組成物0.2gをアルミニウム材(JIS A5182材)でサンドイッチし、室温から150分かけ350℃まで昇温し、そのまま1時間保持した。室温に戻った後、ステインの発生及び水濡れ性を評価した。
ステイン発生度合いは、ステインが発生しないものを0点、発生したものを5点とし、同様のサンプル10枚の平均値を求め、平均値が1点未満を○、それ以上を×と評価した。また、水濡れ性は、アルミニウム材より50cmの距離から蒸留水をスプレーし、水のはじき度合いを評価した。水をはじかないものを○、一部でも水をはじくものを×とした。
一方、表2に示す本発明の規定を満たさない潤滑油組成物(比較例1〜8)は、特に摩耗粉発生量が高めであり潤滑性に劣り、また、(B)成分の代わりにエステルやカルボン酸を用いた場合(比較例5〜8)ではさらに潤滑後における潤滑油の除去性に劣ることがわかる。
Claims (1)
- 鉱油、油脂及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも一種の基油と、(A)炭素数9以上の1価アルコールと、(B)炭素数8以下の1価アルコールとを含み、且つ
前記(A)炭素数9以上の1価アルコールの含有割合が、組成物全量基準で0.5〜15質量%及び前記(B)炭素数8以下の1価アルコールの含有割合が、組成物全量基準で0.05〜10質量%であることを特徴とする非水系のアルミニウム系材料の加工用潤滑油組成物。
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