JP4257868B2 - アルミニウム用冷間圧延油の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む、以下同じ)の条(板)または箔形成用の冷間圧延油の製造方法に関するものであり、詳しくは、種々の圧延条件に最適なアルミニウム用冷間圧延油の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウムの冷間圧延は、通常開放系で行われる。従来のアルミニウム冷間圧延油を生産性向上のため高速度、高圧下率での圧延に用いると、作業場に圧延油のミストが大量に発生し、これが臭気の原因となったり、作業者の皮膚に付着して肌荒れを起こすなど、作業環境を著しく悪化させることがある。よって、アルミニウム冷間圧延油には作業環境を損なわない性質が求められる。
【0003】
また、比較的厳しい潤滑状態での圧延条件下でアルミニウムを圧延する場合、使用する圧延油によっては、ワークロール上に形成されたアルミニウムコーティングを肥大化等し、これにより圧延後のアルミニウム板の表面光沢が低下してしまう。また、アルミニウム上に焼き付きやヘリングボーンが発生することがある。
【0004】
一方、厳しい潤滑条件下でも使用可能な圧延油は、油性剤の含有量増大などコストの上昇を伴うと共に、同じ圧延油を比較的マイルドな潤滑条件下で使用した場合では、ワークロールと圧延材間でスリップが発生し、圧延後のアルミニウム板表面を損傷する場合がある。また、スリップが著しくひどい場合には操業に支障をきたすこともある。また、ロールコーティングが不均一となり圧延材の幅方向に光沢のむらを生じる場合がある。つまり、圧延後の製品は、光沢値が高いことと共に、光沢むらがないことが必要であり、このどちらかでも劣っている場合には、製品として出荷できなくなることもある。よって、圧延製品の光沢値を上げ、かつ光沢むらの発生を抑えることができる圧延油が求められている。
【0005】
したがって、厳しい条件、マイルドな条件の何れにも使用可能な圧延油が求められている。
【0006】
また、酸化防止剤の併用または増量はコストアップとなるため、酸化防止性能に優れた圧延油が求められている。
【0007】
このように、アルミニウム用圧延油には、各種様々な性質が求められているが、これら全てを同時に満たすような圧延油を得ることは難しい。
【0008】
このため、圧延条件、製品のグレード等によって圧延油を使い分けるなどの手段が考えられるが、それぞれの場合に応じた圧延油を準備すると圧延油の交換のための作業が煩雑になると共に、圧延油を貯蔵するためのタンクの設置数には限りがあるなど現実的には実施が非常に困難である場合が多い。
【0009】
また、例えば、比較的厳しい潤滑状態の圧延条件に最適な圧延油、および比較的マイルドな潤滑状態の圧延条件に最適な圧延油を準備し、圧延条件に合わせてその都度この2種の圧延油を混合することによって、種々の圧延条件に対応することも考えられるが、いまだ十分な成果は得られていない。
【0010】
また、酸化安定性の悪い圧延油は、圧延後の焼鈍行程で圧延材上にステインと呼ばれる油の焼き付きによるシミを生じやすいので、酸化防止剤の添加によるコストを最小に出来るよう酸化安定性に優れる油が求められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、作業環境を改善でき、圧延条件が厳しくてもマイルドでも使用でき、即ち何れの条件下でも圧延製品の光沢値を上げかつ光沢むらの発生を抑えることができ、並びに酸化防止性能および酸化安定性にも優れたアルミニウム冷間圧延用油の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の2種の基油を混合することによって、種々の圧延条件に最適なアルミニウム冷間圧延油を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明は、アルミニウム用冷間圧延油の製造方法であって、(1)芳香族分が5容量%以下、かつ硫黄分が3質量ppm以下の基油、および(2)芳香族分が10容量%以上30容量%以下、かつ硫黄分が30質量ppm以上500質量ppm以下の基油を、基油全量基準で芳香族分が1容量%以上20容量%以下、硫黄分が10質量ppm以上300質量ppm以下となる範囲で基油(1)と基油(2)を混合することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明を具体的に説明する。
本発明のアルミニウム用冷間圧延油の製造方法に用いられる基油は、下記の2種である。
(1)芳香族分が5容量%以下、かつ硫黄分が3質量ppm以下の基油
(2)芳香族分が10容量%以上30容量%以下、かつ硫黄分が30質量ppm以上500質量ppm以下の基油
(1)の基油の芳香族分は、得られる圧延油が作業者の皮膚に付着しても肌荒れを起こしにくい、臭気が弱いなどの作業環境条件を満たすことから、5容量%以下であることが必要であり、4容量%以下であることが好ましく、3容量%以下であることがより好ましい。本明細書でいう芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法を準用して測定された値を表すものを意味している。
【0015】
基油(1)のナフテン分、パラフィン分には特に限定はないが、以下のものが望ましい。
ナフテン分:圧延後のアルミニウムの表面光沢向上の点から、好ましくは30容量%以上、より好ましくは40容量%以上、最も好ましくは50容量%以上。アルミニウムの高圧下率圧延時での摩擦係数低減の点から、好ましくは95容量%以下、より好ましくは90容量%以下、最も好ましくは80容量%以下。
【0016】
パラフィン分:アルミニウムの高圧下率圧延時での摩擦係数低減の点から、好ましくは10容量%以上、より好ましくは15容量%以上、最も好ましくは20容量%以上。圧延後のアルミニウムの表面光沢向上の点から、好ましくは50容量%以下、より好ましくは40容量%以下、最も好ましくは30容量%以下。
【0017】
本発明においてナフテン分、パラフィン分とは、FIイオン化(ガラスリザーバ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもって、これらの割合を決定するものである。以下にその測定法を具体的に示す。
【0018】
▲1▼径18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
▲2▼n−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿す。
▲3▼試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
▲4▼試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
▲5▼▲4▼の溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
▲6▼▲5▼で得られた飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。
【0019】
測定条件を以下に示す。
加速電圧 :3.0kV
カソード電圧 :−5〜−6kV
分解能 :約500
エミッター :カーボン
エミッター電流:5mA
測定範囲 :質量数35〜700
Sub Oven温度 :300℃
セパレータ温度:300℃
Main Oven 温度:350℃
試料注入量 :1μl
▲7▼▲6▼の質量分析法によって得られた分子イオンは、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(Cn H2n+2)とナフテン類(Cn H2n、Cn H2n-2、Cn H2n-4・・・)の2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、▲5▼で得られた飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
【0020】
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
【0021】
(1)の基油の硫黄分は、作業者の皮膚に付着しても肌荒れを起こしにくい、臭気が弱いなどの作業環境条件を満たすことから、3質量ppm以下であることが必要であり、2質量ppm以下であることが好ましく、1.5質量ppm以下であることがより好ましい。本明細書でいう硫黄分は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定された値を意味している。
【0022】
一方、(2)の基油の芳香族分は、厳しい潤滑状態の圧延条件下でもロールコーティングの肥大化等による圧延後のアルミニウム板表面光沢の低下を抑制できること、油性剤の添加量を多くする必要が無いこと、ワークロールと圧延材間のスリップによる圧延後の板表面の損傷を抑制することができること、酸化防止性能に優れることなどから、10容量%以上であることが必要であり、12容量%以上であることが好ましく、15容量%以上であることがより好ましい。
【0023】
また、作業者の皮膚に付着しても肌荒れを起こしにくい、臭気が弱いなどの作業環境条件を満たすことから、基油(2)は芳香族分が30容量%以下であることが必要であり、25容量%以下であることが好ましく、23容量%以下であることがより好ましい。
【0024】
基油(2)のナフテン分、パラフィン分には特に限定はないが、以下のものが望ましい。
ナフテン分:圧延後のアルミニウム板(箔)表面の光沢向上の点から、好ましくは30容量%以上、より好ましくは40容量%以上、最も好ましくは50容量%以上。アルミニウムの高圧下率圧延時の摩擦係数低減の点から、好ましくは95容量%以下、より好ましくは90容量%以下、最も好ましくは80容量%以下。
【0025】
パラフィン分:アルミニウム高圧下率圧延時の摩擦係数低減の点から、好ましくは10容量%以上、より好ましくは15容量%以上、最も好ましくは20容量%以上。圧延後のアルミニウム板(箔)表面の光沢向上の点から、好ましくは60容量%以下、より好ましくは55容量%以下、最も好ましくは50容量%以下。
【0026】
基油(2)の硫黄分は、厳しい潤滑状態の圧延条件下でもロールコーティングの肥大化等による圧延後のアルミニウム板表面光沢の低下を抑制できること、油性剤の添加量を多くする必要が無いこと、酸化防止性能に優れることなどから、30質量ppm以上であることが必要であり、40質量ppm以上であることが好ましく、50質量ppm以上であることがより好ましい。
【0027】
また、作業者の皮膚に付着しても肌荒れを起こしにくい、臭気が弱いなどの作業環境条件を満たすことから、基油(2)は硫黄分が500質量ppm以下であることが必要であり、450質量ppm以下であることが好ましく、400質量ppm以下であることがより好ましい。
【0028】
本発明で基油(1)または(2)として使用可能な鉱油系基油を例示すれば、原油を常圧蒸留および必要に応じて減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の1種もしくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系またはナフテン系の鉱油を挙げることができる。基油(1)および(2)としてはそれぞれ、上記した基油の何れか1種を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
【0029】
本発明において、基油(1)と基油(2)の混合割合は、得られる圧延油を用いて実際にアルミニウムを圧延する際の圧延条件等により適宜選択される。より厳しい潤滑状態の圧延条件にも対応したい場合、具体的には高圧下率での圧延、硬い材料の圧延などの場合には、基油(2)の混合量を増やす。逆に、よりマイルドな潤滑状態の圧延条件(スリップ発生の観点からは厳しい条件)にも対応したい場合、具体的には低圧下率での圧延、柔らかい材料の圧延などの場合には、基油(1)の混合量を増やす。
【0030】
なお、圧延速度が高くなると、ワークロールと圧延材間の油膜が厚くなるため、一般に潤滑状態はマイルドとなる。しかしながら、300m/minを越えるような圧延速度になると、摩擦熱発生のため油膜切れを生じる可能性があり、潤滑条件は厳しくなる。
【0031】
また、(1)の基油と(2)の基油とを混合した後の混合基油の性状については、特に制限はないが、以下のようなものが望ましい。
【0032】
混合基油の芳香族分は、厳しい潤滑状態の圧延条件下でもロールコーティングの肥大化等による圧延後のアルミニウム板表面光沢の低下を抑制できること、油性剤の添加量を多くする必要が無いこと、酸化防止性能に優れることなどから、1容量%以上であることが好ましく、2容量%以上であることがより好ましく、3容量%以上であることがさらにより好ましい。
【0033】
また、作業者の皮膚に付着しても肌荒れを起こしにくい、臭気が弱いなどの作業環境条件を満たすことから、混合基油は芳香族分が20容量%以下であることが好ましく、18容量%以下であることがより好ましく、16容量%以下であることがさらにより好ましい。
【0034】
混合基油のナフテン分、パラフィン分は特に限定はないが、以下のものが望ましい。
ナフテン分:圧延後のアルミニウム板(箔)表面の光沢向上の点から、好ましくは20容量%以上、より好ましくは25容量%以上、最も好ましくは30容量%以上。高圧下率圧延時の摩擦係数低減の点から、好ましくは80容量%以下、より好ましくは75容量%以下、最も好ましくは70容量%以下。
【0035】
パラフィン分:高圧下率圧延時の摩擦係数低減の点から、好ましくは30容量%以上、より好ましくは35容量%以上、最も好ましくは40容量%以上。圧延後のアルミニウム板(箔)表面の光沢向上の点から、好ましくは75容量%以下、より好ましくは70容量%以下、最も好ましくは65容量%以下。
【0036】
混合基油の硫黄分は、厳しい潤滑状態の圧延条件下でもロールコーティングの肥大化等による圧延後のアルミニウム板表面光沢の低下を抑制できること、油性剤の添加量を多くする必要が無いこと、酸化防止性能に優れることなどから、10質量ppm以上であることが好ましく、50質量ppm以上であることがより好ましく、70質量ppm以上であることがさらにより好ましい。
【0037】
また、作業者の皮膚に付着しても肌荒れを起こしにくい、臭気が弱いなどの作業環境条件を満たすことから、混合基油は硫黄分が300質量ppm以下であることが好ましく、280質量ppm以下であることがより好ましく、260質量ppm以下であることがさらにより好ましい。
【0038】
本発明に係る基油(1)、基油(2)およびこれらの混合油は、その粘度に格別の限定はないが、それぞれ40℃における動粘度が1〜10mm2 /sの範囲にあるものが好ましく、1〜8mm2 /sの範囲にあるものがより好ましく、1〜6mm2 /sの範囲にあるものがさらに好ましい。なお、アルミニウムの圧延加工においては、潤滑性と表面品質を両立できる粘度範囲として、厚さ0.1mm以下のいわゆる箔を形成する場合には1mm2 /s以上3mm2 /s以下の油が好ましく、厚さ0.1mmを超える(0.2mm以上の)いわゆる条を形成する場合には2mm2 /s以上6mm2 /s以下のものが好ましい。
【0039】
基油(1)、基油(2)またはこれらの混合油の動粘度(40℃)が低すぎる場合には、引火による火災等の危険性が増す恐れがある。一方、高すぎる場合には、焼鈍時の被圧延材表面にステインと呼ばれる油成分の焼き付きが生じ易くなる恐れがある、被圧延材表面にオイルピットと呼ばれる損傷が発生し表面光沢が悪くなる恐れがある、過潤滑によるスリップが生じ、摩耗粉の発生量が多くなる、被圧延材表面に傷を付ける、スリップが著しい場合には加工不能となるなどの恐れがある。
【0040】
本発明の製造方法によって得られる圧延油は、上記した基油2種を含有するものであるが、その他に任意の添加剤等を含有しても良い。各成分の混合順序は任意であり、基油(1)と(2)を混合した後に添加剤を添加する、基油(1)に添加剤を添加した後に基油(2)を添加する、または基油(2)に添加剤を添加した後に基油(1)を添加する、のいずれの順序であっても良い。
【0041】
また、この場合の基油(1)と(2)の合計含有量は、通常圧延油全量基準で50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらにより好ましく、80質量%以上であることが最も好ましい。
【0042】
例えば、本発明に係る圧延油は、下記の中から選ばれる含酸素化合物の少なくとも1種を含有しても良い。
【0043】
(A1)数平均分子量が200以上1000未満である、水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物
(A2)(A1)のハイドロカルビルエーテル
(A3)数平均分子量が120以上1000未満のポリアルキレングリコール
(A4)(A3)のハイドロカルビルエーテル
(A5)炭素数2〜10の2価アルコール
このような含酸素化合物を添加すると、より高速度・高圧下率でのアルミニウム圧延に耐え得り、かつ作業環境を改善でき、金属せっけんの生成や摩耗粉の発生の増加を抑え、ステインの発生も抑えることができる圧延油が得られる。
【0044】
上記(A1)成分を構成する多価アルコールは、水酸基を3〜6個有する。このような多価アルコールとしては、具体的には例えば、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜4量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)およびこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、イジリトール、タリトール、ズルシトール、アリトールなどの多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロースなどの糖類を挙げることができるが、この中でも工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点からグリセリン、トリメチロールアルカン、ソルビトール等が好ましい。
【0045】
また、(A1)成分を構成するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のものが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、具体的には例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキサイド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキサイド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタンおよび1,2−エポキシヘキサンが挙げられるが、この中でも工具へのアルミニウムの凝着(移着)量の調整力に優れる点からエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が好ましい。
【0046】
なお、2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していても良い。また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際は、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよいが、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から全ての水酸基に付加させた付加物が好ましい。
【0047】
さらに、本発明で用いる(A1)成分としては数平均分子量が200以上1000未満、好ましくは、250以上750未満であることが必要である。数平均分子量が200未満の付加物は、基油に対する溶解性が低下し好ましくない。また、数平均分子量が1000以上の付加物は、加工後の焼鈍時に被加工材表面に残ってステインを生じる恐れがあり好ましくない。
【0048】
なお、本発明で用いる(A1)成分としては、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際に数平均分子量が200以上1000未満となるように反応させたものを用いても良いし、任意の方法で得られる水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物や市販されている水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物を、蒸留やクロマトによって、数平均分子量が200以上1000未満となるように分離したものを用いても良い。
【0049】
本発明に係る(A2)成分は、数平均分子量が200以上1000未満、好ましくは250以上750未満である、水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を、ハイドロカルビルエーテル化させたものである。(A2)成分としては、(A1)成分のアルキレンオキサイド付加物の末端水酸基の一部または全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここで言うハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表す。炭素数1〜24の炭化水素基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基、直鎖または分枝のノニル基、直鎖または分枝のデシル基、直鎖または分枝のウンデシル基、直鎖または分枝のドデシル基、直鎖または分枝のトリデシル基、直鎖または分枝のテトラデシル基、直鎖または分枝のペンタデシル基、直鎖または分枝のヘキサデシル基、直鎖または分枝のヘプタデシル基、直鎖または分枝のオクタデシル基、直鎖または分枝のノナデシル基、直鎖または分枝のイコシル基、直鎖または分枝のヘンイコシル基、直鎖または分枝のドコシル基、直鎖または分枝のトリコシル基、直鎖または分枝のテトラコシル基等の炭素数1〜24のアルキル基;ビニル基、直鎖または分岐のプロペニル基、直鎖または分枝のブテニル基、直鎖または分枝のペンテニル基、直鎖または分枝のヘキセニル基、直鎖または分枝のヘプテニル基、直鎖または分枝のオクテニル基、直鎖または分枝のノネニル基、直鎖または分枝のデセニル基、直鎖または分枝のウンデセニル基、直鎖または分枝のドデセニル基、直鎖または分枝のトリデセニル基、直鎖または分枝のテトラデセニル基、直鎖または分枝のペンタデセニル基、直鎖または分枝のヘキサデセニル基、直鎖または分枝のヘプタデセニル基、直鎖または分枝のオクタデセニル基、直鎖または分枝のノナデセニル基、直鎖または分枝のイコセニル基、直鎖または分枝のヘンイコセニル基、直鎖または分枝のドコセニル基、直鎖または分枝のトリコセニル基、直鎖または分枝のテトラコセニル基等の炭素数2〜24のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基:トリル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)等の炭素数7〜18のアルキルアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む)等の炭素数7〜12のアリールアルキル基が挙げられる。この中でも、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から、炭素数3〜12の直鎖または分岐のアルキル基が好ましい。
【0050】
(A3)成分は、数平均分子量が120以上1000未満のポリアルキレングリコールであり、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキサイドを単独重合あるいは共重合したものが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、具体的には例えば、(A1)成分を構成するアルキレンオキサイドとして列挙したものが挙げられる。この中でも、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が好ましい。
【0051】
なお、ポリアルキレングリコールの調製に2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していても良い。
【0052】
さらに、(A3)成分としては数平均分子量が120以上1000未満、好ましくは120以上500未満であることが必要である。数平均分子量が120未満のポリアルキレングリコールは、基油への溶解性が低下し好ましくない。また、数平均分子量が1000以上のポリアルキレングリコールは、加工後の焼鈍時に被加工材表面に残ってステインを生じる恐れがあり好ましくない。
【0053】
なお、(A3)成分としては、アルキレンオキサイドを重合させる際に数平均分子量が120以上1000未満となるように反応させたものを用いても良いし、任意の方法で得られるポリアルキレングリコール混合物や市販されているポリアルキレングリコール混合物を、蒸留やクロマトによって、数平均分子量が120以上1000未満となるように分離したものを用いても良い。
【0054】
(A4)成分は、数平均分子量が120以上1000未満、好ましくは120以上500未満のポリアルキレングリコールを、ハイドロカルビルエーテル化させたものである。(A4)成分としては、(A3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基の一部または全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(A2)の説明において列挙した各基が挙げられる。この中でも、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から、炭素数3〜12の直鎖または分岐のアルキル基が好ましい。
【0055】
(A5)成分は、炭素数2〜10、好ましくは炭素数5または6の2価アルコールであるが、ここでいう2価アルコールとは分子中にエーテル結合を有さないものをいう。このような炭素数2〜10の2価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール、1,10−デカンジオールが挙げられる。この中でも、工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整力に優れる点から、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール等が好ましい。
【0056】
本発明において、上記(A1)、(A2)、(A3)、(A4)および(A5)の中から選ばれる1種の含酸素化合物を単独で用いても良いし、異なる構造を有する2種以上の含酸素化合物の混合物を用いても良い。
【0057】
本発明において、含酸素化合物の含有量には特に制限はないが、圧延油全量基準での含有量(合計量)の上限値が、2質量%であることが好ましく、1.5質量%であることがより好ましく、下限値が0.01質量%であることが好ましく、0.03質量%であることがより好ましい。2質量%を越える含酸素化合物は、基油への溶解性が低下したり、圧延油としての性能に悪影響を及ぼす可能性がある。また、0.01質量%に満たない含酸素化合物では工具へのアルミニウム凝着(移着)量の調整効果が小さくなる可能性がある。
【0058】
本発明に係る圧延油は油性剤を含有しても良い。本発明で使用される油性剤としては、通常圧延油の油性剤として用いられているものが含まれる。しかしながら、より加工性を向上させるために下記の中から選ばれる少なくとも1種の油性剤を使用することが好ましい。
【0059】
(1)エステル
(2)1価アルコール
(3)カルボン酸
上記(1)エステルとしては、構成するアルコールが1価アルコールでも多価アルコールでも良く、またカルボン酸が一塩基酸でも多塩基酸であっても良いものである。
【0060】
1価アルコールとしては、通常炭素数1〜24のものが用いられ、このようなアルコールとしては直鎖のものでも分岐のものでもよい。炭素数1〜24のアルコールとしては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、直鎖状または分岐状のプロパノール、直鎖状または分岐状のブタノール、直鎖状または分岐状のオクタノール、直鎖状または分岐状のノナノール、直鎖状または分岐状のデカノール、直鎖状または分岐状のウンデカノール、直鎖状または分岐状のドデカノール、直鎖状または分岐状のトリデカノール、直鎖状または分岐状のテトラデカノール、直鎖状または分岐状のペンタデカノール、直鎖状または分岐状のヘキサデカノール、直鎖状または分岐状のヘプタデカノール、直鎖状または分岐状のオクタデカノール、直鎖状または分岐状のノナデカノール、直鎖状または分岐状のエイコサノール、直鎖状または分岐状のヘンエイコサノール、直鎖状または分岐状のトリコサノール、直鎖状または分岐状のテトラコサノールおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。2〜10価多価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)およびこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトールおよびこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールなどの多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロースなどの糖類、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
これらの中でも特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)およびこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールなどの2〜6価の多価アルコールおよびこれらの混合物等がより好ましい。さらに好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、およびこれらの混合物等である。
【0063】
本発明で用い得るエステル油性剤を構成する一塩基酸としては、通常炭素数6〜24の脂肪酸で、直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的には例えば、直鎖状または分岐状のヘキサン酸、直鎖状または分岐状のオクタン酸、直鎖状または分岐状のノナン酸、直鎖状または分岐状のデカン酸、直鎖状または分岐状のウンデカン酸、直鎖状または分岐状のドデカン酸、直鎖状または分岐状のトリデカン酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン酸、直鎖状または分岐状のペンタデカン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状または分岐状のオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のノナデカン酸、直鎖状または分岐状のエイコサン酸、直鎖状または分岐状のヘンエイコサン酸、直鎖状または分岐状のドコサン酸、直鎖状または分岐状のトリコサン酸、直鎖状または分岐状のテトラコサン酸などの飽和脂肪酸;直鎖状または分岐状のヘキセン酸、直鎖状または分岐状のヘプテン酸、直鎖状または分岐状のオクテン酸、直鎖状または分岐状のノネン酸、直鎖状または分岐状のデセン酸、直鎖状または分岐状のウンデセン酸、直鎖状または分岐状のドデセン酸、直鎖状または分岐状のトリデセン酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン酸、直鎖状または分岐状のペンタデセン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状または分岐状のオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のノナデセン酸、直鎖状または分岐状のエイコセン酸、直鎖状または分岐状のヘンエイコセン酸、直鎖状または分岐状のドコセン酸、直鎖状または分岐状のトリコセン酸、直鎖状または分岐状のテトラコセン酸などの不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物が好ましい。
【0064】
エステル油性剤を構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸およびトリメリト酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的には例えば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状または分岐状のブタン二酸、直鎖状または分岐状のペンタン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサン二酸、直鎖状または分岐状のオクタン二酸、直鎖状または分岐状のノナン二酸、直鎖状または分岐状のデカン二酸、直鎖状または分岐状のウンデカン二酸、直鎖状または分岐状のドデカン二酸、直鎖状または分岐状のトリデカン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状または分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサデカン二酸;直鎖状または分岐状のヘキセン二酸、直鎖状または分岐状のオクテン二酸、直鎖状または分岐状のノネン二酸、直鎖状または分岐状のデセン二酸、直鎖状または分岐状のウンデセン二酸、直鎖状または分岐状のドデセン二酸、直鎖状または分岐状のトリデセン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン二酸;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
また、エステル油性剤としては、
▲1▼一価アルコールと一塩基酸とのエステル
▲2▼多価アルコールと一塩基酸とのエステル
▲3▼一価アルコールと多塩基酸とのエステル
▲4▼多価アルコールと多塩基酸とのエステル
▲5▼一価アルコール、多価アルコールとの混合物と多塩基酸との混合エステル
▲6▼多価アルコールと一塩基酸、多塩基酸との混合物との混合エステル
▲7▼一価アルコール、多価アルコールとの混合物と一塩基酸、多塩基酸との混合物との混合エステル
など、任意のアルコールとカルボン酸の組み合わせによるエステルが使用可能であり、特に限定されるものではない。
【0066】
なお、アルコール成分として多価アルコールを用いた場合、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでも良く、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のままで残っている部分エステルでも良い。また、カルボン酸成分として多塩基酸を用いた場合、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルでも良く、カルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであっても良い。
【0067】
本発明で用いられるエステルとしては、上記した何れのもの使用可能であるが、この中でもより加工性に優れる点から、▲1▼一価アルコールと一塩基酸とのエステル、が好ましい。
【0068】
本発明において油性剤として用いられるエステルの合計炭素数には特に制限はないが、加工性の向上効果に優れる点から合計炭素数が7以上のエステルが好ましく、9以上のエステルがより好ましく、11以上のエステルが最も好ましい。また、炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、合計炭素数が26以下のエステルが好ましく、24以下のエステルがより好ましく、22以下のエステルが最も好ましい。
【0069】
油性剤として用いられる上記(2)1価アルコールとしては、上記(1)エステルを構成するアルコールとして列挙した化合物などが挙げられる。より加工性に優れる点から、炭素数6以上の1価アルコールが好ましく、炭素数8以上のアルコールがより好ましく、炭素数10以上のアルコールが最も好ましい。また、炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる可能性が大きくなることから、炭素数20以下のアルコールが好ましく、炭素数18以下のアルコールがより好ましく、炭素数16以下のアルコールが最も好ましい。
【0070】
上記(3)カルボン酸としては、1塩基酸でも多塩基酸でも良い。具体的には例えば、上記(1)エステルを構成するカルボン酸として列挙した化合物が挙げられる。これらの中でも、より加工性に優れる点から1価のカルボン酸が好ましい。また、より加工性に優れる点から、炭素数6以上のカルボン酸が好ましく、炭素数8以上のカルボン酸がより好ましく、炭素数10以上のカルボン酸が最も好ましい。また、炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる可能性が大きくなることから、炭素数20以下のカルボン酸が好ましく、炭素数18以下のカルボン酸がより好ましく、炭素数16以下のカルボン酸が最も好ましい。
【0071】
本発明に係る圧延油の油性剤としては、上述したように上記各種油性剤の中から選ばれる1種のみを用いても良く、また2種以上の混合物を用いても良いが、より加工性を向上できることから、(1)1価アルコールと1塩基酸とから得られる総炭素数7〜26のエステル、(2)炭素数6〜20の1価アルコール、(3)炭素数6〜20の1塩基酸、およびこれらの混合物が好ましい。
【0072】
上記油性剤の合計含有量は特に制限はないが、圧延油全量基準で好ましくは0.1〜15質量%である。加工性の点から、含有量の下限値は0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上である。また、含有量が多過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる可能性がある、スリップや光沢むらの原因となる可能性がある等の点から、含有量の上限値は15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは12質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下である。
【0073】
また、本発明に係る圧延油は、40℃における動粘度が1〜60mm2 /sのアルキルベンゼンを配合しても良い。アルキルベンゼンおよび油性剤を併用することによって、油性剤の添加効果をより増大させることができる。
【0074】
本発明で用いられるアルキルベンゼンの40℃における動粘度は1〜60mm2 /sであることが好ましい。40℃における動粘度が1mm2 /s未満の場合には、添加効果が期待できない場合がある。また、40℃における動粘度が60mm2 /sを超える場合には、ステインや腐食の発生を増大させる可能性があり、好ましくは40mm2 /s以下、より好ましくは20mm2 /s以下である。
【0075】
また、本発明で用いるアルキルベンゼンのベンゼン環に結合するアルキル基としては直鎖状であっても、分枝状であっても良く、また、炭素数についても特に限定されるものではないが、炭素数1〜40のアルキル基が好ましい。
【0076】
炭素数1〜40のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、直鎖状または分岐状のプロピル基、直鎖状または分岐状のブチル基、直鎖状または分岐状のペンチル基、直鎖状または分岐状のヘキシル基、直鎖状または分岐状のヘプチル基、直鎖状または分岐状のオクチル基、直鎖状または分岐状のノニル基、直鎖状または分岐状のデシル基、直鎖状または分岐状のウンデシル基、直鎖状または分岐状のドデシル基、直鎖状または分岐状のトリデシル基、直鎖状または分岐状のテトラデシル基、直鎖状または分岐状のペンタデシル基、直鎖状または分岐状のヘキサデシル基、直鎖状または分岐状のヘプタデシル基、直鎖状または分岐状のオクタデシル基、直鎖状または分岐状のノナデシル基、直鎖状または分岐状のイコシル基、直鎖状または分岐状のヘンイコシル基、直鎖状または分岐状のドコシル基、直鎖状または分岐状のトリコシル基、直鎖状または分岐状のテトラコシル基、直鎖状または分岐状のペンタコシル基、直鎖状または分岐状のヘキサコシル基、直鎖状または分岐状のヘプタコシル基、直鎖状または分岐状のオクタコシル基、直鎖状または分岐状のノナコシル基、直鎖状または分岐状のトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のヘントリアコンチル基、直鎖状または分岐状のドトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のトリトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のテトラトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のペンタトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のヘキサトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のヘプタトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のオクタトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のノナトリアコンチル基、直鎖状または分岐状のテトラコンチル基が挙げられる。
【0077】
アルキルベンゼン中のアルキル基の個数は通常1〜4個であるが、安定性、入手可能性の点から1個または2個のアルキル基を有するアルキルベンゼン、すなわちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、またはこれらの混合物が最も好ましく用いられる。
【0078】
また、用いるアルキルベンゼンとしては、もちろん、単一の構造のアルキルベンゼンだけでなく、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物であっても良い。
【0079】
本発明に係るアルキルベンゼンの数平均分子量については、なんら制限はないが、添加効果の点から、100以上が好ましく、130以上がより好ましい。また、分子量が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる可能性が大きくなることから、数平均分子量の上限は340以下が好ましく、320以下がより好ましい。
【0080】
上記アルキルベンゼンの製造方法は任意の従来の方法を適用することができ、何ら限定されるものでないが、例えば以下に示す物質を用いてアルキル化合成法等によって製造することができる。
【0081】
原料となる芳香族化合物としては、具体的には例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、およびこれらの混合物が用いられる。またアルキル化剤としては、具体的には例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレンなどの低級モノオレフィン、好ましくはプロピレンの重合によって得られる炭素数6〜40の直鎖状または分枝状のオレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱分解によって得られる炭素数6〜40の直鎖状または分枝状のオレフィン;灯油、軽油などの石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数9〜40の直鎖状オレフィン;およびこれらの混合物が使用できる。
【0082】
またアルキル化の際のアルキル化触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのフリーデルクラフツ型触媒;硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸、活性白土などの酸性触媒;など、公知の触媒が用いられる。
【0083】
40℃における動粘度が1〜60mm2 /sのアルキルベンゼンを調製するには、例えば上記に例示したような方法によって得られるアルキルベンゼン混合物や市販されているアルキルベンゼン混合物を蒸留やクロマトによって分離し、動粘度が1〜60mm2 /sであるアルキルベンゼン留分を得ることが実用上便利である。
【0084】
本発明に係る圧延油は、上記したアルキルベンゼンを圧延油全量基準で、0.1〜50質量%含有することができる。含有量の下限値は、添加効果の点から、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。また、含有量が多過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる可能性が大きくなることから、上限値は50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0085】
本発明に係る圧延油には、さらにその優れた効果を向上させるため、必要に応じて、極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤などを更に、単独でまたは2種以上組み合わせて添加してもよい。
【0086】
上記極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のりん系化合物、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が例示できる。
【0087】
酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミンなどの芳香族アミン、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が例示できる。
【0088】
さび止め剤としては、オレイン酸などの脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネートなどのスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエートなどの多価アルコールの部分エステル、アミンおよびその誘導体、リン酸エステルおよびその誘導体が例示できる。
腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
消泡剤としては、シリコン系のものなどが挙げられる。
これらの添加剤の合計含有量は、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下(いずれも圧延油全量基準)であることが望ましい。
【0089】
本発明に係る基油(1)および基油(2)に必要に応じて添加剤等を混合して得られる圧延油は、その粘度に格別の限定はないが、40℃における動粘度が1〜10mm2 /sの範囲にあるものが好ましく、1〜8mm2 /sの範囲にあるものがより好ましく、1〜6mm2 /sの範囲にあるものがさらに好ましい。なお、アルミニウムの圧延加工においては、潤滑性と表面品質を両立できる粘度範囲として、厚さ0.1mm以下のいわゆる箔を形成する場合には1mm2 /s以上3mm2 /s以下の圧延油が好ましく、厚さ0.1mmを超える(0.2mm以上の)いわゆる条を形成する場合には2mm2 /s以上6mm2 /s以下のものが好ましい。
【0090】
圧延油の動粘度(40℃)が低すぎる場合には、引火による火災等の危険性が増す恐れがある。一方、高すぎる場合には、焼鈍時の被加工材表面にステインと呼ばれる圧延油成分の焼き付きが生じ易くなる恐れがある、被加工材表面にオイルピットと呼ばれる損傷が発生し表面光沢が悪くなる恐れがある、過潤滑によるスリップが生じ、摩耗粉の発生量が多くなる、被加工材表面に傷を付ける、スリップが著しい場合には加工不能となるなどの恐れがある。
【0091】
本発明の方法により製造される圧延油は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の冷間圧延に用いるものであるが、その他鉄鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、銅などの各種金属およびこれら金属の合金の圧延にも用いることができる。
【0092】
また、本発明に係る圧延油は主として冷間圧延に用いた場合に優れた効果を発揮するものであるが、絞り、しごき、引き抜き、プレス等の塑性加工一般にも使用可能である。さらに、塑性加工以外の切削、研削加工等にも用いることができる。
【0093】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実施例1〜10および比較例1〜7
下記の組成を有する各種圧延油を調製し、これらについて、下記に示す方法により各種試験を行った。試験の結果は表1および2に示す。
【0094】
圧延油(基油Aと基油Bの質量%は混合基油全量基準、その他の質量%は圧延油全量基準)
実施例1:基油A60質量%+基油B40質量%+混合油性剤A
実施例2:基油A60質量%+基油B40質量%+混合油性剤B
実施例3:基油A70質量%+基油B30質量%+混合油性剤A
実施例4:実施例1の圧延油+アルキルベンゼン(動粘度8.3mm2/s@40℃)5質量%
実施例5:実施例1の圧延油+ポリエチレングリコールモノステアレート0.5質量%(オキシエチレン基の平均重合数n=25)
実施例6:実施例1の圧延油+ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル0.5質量%(オキシエチレン基の平均重合数n=25)
実施例7:実施例1の圧延油+ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル0.5質量%(オキシエチレン基の平均重合数n=25)
実施例8:実施例1の圧延油+トリプロピレングリコール0.5質量%
実施例9:実施例1の圧延油+ヘキシレングリコール0.5質量%
実施例10:基油A80質量%+基油B20質量%+混合油性剤A
比較例1:基油A100質量%+混合油性剤A
比較例2:基油A100質量%+混合油性剤B
比較例3:基油B100質量%+混合油性剤A
比較例4:基油A100質量%+混合油性剤C
【0095】
基油
A:芳香族分0.5容量%、硫黄分1.2質量ppm 、パラフィン分28.5容量%、ナフテン分71容量%、動粘度2.58mm2 /s@40℃
B:芳香族分18容量%、硫黄分348質量ppm 、パラフィン分36容量%、ナフテン分46容量%、動粘度2.49mm2 /s@40℃
【0096】
混合油性剤(質量%は圧延油の全量基準):
A:ラウリルアルコール7質量%+ステアリン酸ブチル1.5質量%+オレイン酸0.05質量%
B:ラウリルアルコール2質量%+ステアリン酸ブチル1.0質量%+オレイン酸0.05質量%
C:ラウリルアルコール10質量%+ステアリン酸ブチル2.5質量%+オレイン酸0.05質量%
【0097】
限界圧下率試験
材料A:JIS A1050、0.5mm厚
材料B:JIS 1N30 H18、0.1mm厚
ワークロール:径51mm、表面粗さ:Ra=0.04μm
圧延速度:30m/ min
圧下率%=100×(材料の初期厚み−圧延された材料の残厚み)/材料の初期厚み
各圧延油を用い、材料AまたはBを二本のワークロールの間を通して、圧下率を45%から徐々に上げて圧延し、材料表面に焼き付きやヘリンボーンなどの損傷を発生させることなしに圧延可能な最高圧下率を求めた。
【0098】
スリップ試験
材料C:JIS A5182、1.0mm厚
ワークロール:径51mm、表面粗さ:Ra=0.04μm
圧延速度:30m/ min、圧下率:40%
先進率%=100×(出側板速度−ワークロール周速)/ ワークロール周速
各圧延油を用いて材料Cを温度27℃、湿度49%の雰囲気で圧延し、その時のワークロールと材料との間に生じるスリップ度合いを先進率を測定することによって求めた。なお、先進率がマイナスの場合、スリップが発生したことを示している。
【0099】
但し、実施例10の圧延油(実施例1と比べ基油の混合比を変えたもの)だけは、高い圧延速度70m/ minにて試験した。
【0100】
ステイン性試験
J.Inst.Metals.,88,481(1959)に記載のCan Testに準拠して、アルミニウム製のカップに各圧延油(スリップ試験後の圧延油を孔径1μmのフィルターに通したろ液)を0.1ml滴下し、150分かけて室温から350℃に昇温し、さらに60分間350℃に保った後に取り出して、カップ内面のステインの発生具合を目視により評価した。評価は、1:ステインなし、2:僅かにあり、3:小、4:中、5:大として、試験5回で平均値を求めた。平均値が1.5未満を◎、1.5以上2.5未満を○、2.5以上3.5未満を△、3.5以上を×とした。
【0101】
酸化安定度試験
各圧延油の酸化安定度を、JIS K2514「回転ボンベ式酸化安定度試験」により求めた。結果をRBOT値で示す。
【0102】
臭気判定試験
実施例1、3および10並びに比較例1および3の各圧延油30gを油性剤を含まない状態で100mLスクリュー瓶に採取し、40℃のウォーターバスで30分加熱した後で、20人によって臭気の判定を行った。大変気になる(5点)、気になる(4点)、やや気になる(3点)、ほとんど気にならない(2点)、気にならない(1点)の5段階で点数を付け、平均点が2.5点未満を○、2.5点以上を×とし臭気の判定とした。
【0103】
肌荒れ判定試験
実施例1、3および10並びに比較例1および3の各圧延油0.3mLを油性剤を含まない状態で市販のパッチテスト用絆創膏に含浸させ、これを上腕内側部の5カ所に張り付け、1時間後にはがし肌の状態を目視観察した。被験者は20人で、赤い(3点)、かすかに赤い(2点)、変化なし(1点)の3段階で点数を付け平均点が1点を○、1点より大きく2点未満を△、2点以上を×と判定した。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
また、実施例1および10の結果から明らかな通り、基油A(基油(1))の割合を増やすことによって、よりマイルドな潤滑状態の圧延条件(スリップ発生の観点からは、厳しい条件)にも対応できることが分かる。
【0107】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、特定の2種の基油を混合比を変えて混合するため、種々の圧延条件に最適なアルミニウム冷間圧延油を製造することができる。
【0108】
具体的には、得られた圧延油は厳しい圧延条件下でもマイルドな圧延条件下でも使用でき、圧延製品の光沢値を上げかつ光沢むらの発生を抑えることができ、また臭気や作業者の肌荒れが少なく、酸化防止性能および酸化安定性にも優れている。
Claims (1)
- アルミニウム用冷間圧延油の製造方法であって、(1)芳香族分が5容量%以下、かつ硫黄分が3質量ppm以下の基油、および(2)芳香族分が10容量%以上30容量%以下、かつ硫黄分が30質量ppm以上500質量ppm以下の基油を、基油全量基準で芳香族分が1容量%以上20容量%以下、硫黄分が10質量ppm以上300質量ppm以下となる範囲で基油(1)と基油(2)を混合することを特徴とするアルミニウム用冷間圧延油の製造方法。
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