JP4464516B2 - ホスフィン・ボラン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン原子上に不斉中心を有する光学活性なホスフィン化合物の中間体として有用なホスフィン・ボランの新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
新しいキラルなホスフィン配位子の研究開発は、金属触媒を用いる不斉合成反応の研究を大きく発展させ、ここ30年間の間に急速に発展した。それらの配位子は、不斉中心が炭素骨格上にあり、リン原子を持ち、リン原子上には2個のアリール基を持つものが大部分である。その一方で、ジアルキル、トリアルキル基を持つP−キラルホスフィン配位子は合成が困難なためあまり研究されてこなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ホスフィン・ボランはホスフィンとボランの付加物(錯体)であり、このホスフィン・ボランに関する研究の歴史は古く、既に1890年にBessonによってホスフィンと三塩化ホウ素の付加物(H3P・BCl3)が合成され(A.Besson、Compt.Rend.、110、516頁、1890年)、1940年にGambleとGilmontが最も単純なホスフィン・ボランであるH3P・BH3を合成し(E.L.Gamble、P.Gilmont、J.Am.Chem.Soc.、62、717頁、1940年)、更に、1950年には、BurgとWagnerがアルキルホスフィンのボラン錯体の合成とその特異な性質について報告している(A.B.Burg、R.I.Wagner、J.Am.Chem.Soc.、75、3872頁、1953年)。
【0004】
また、今本によりホスフィン・ボランが有用な有機リン化合物の中間体となることが示唆され(今本恒雄、有機合成化学協会誌、第45巻第6号、592頁、1987年)、特開平4−69392号公報及び特開平11−269183号公報には、下記一般式(4)
【化3】
(式中、P*は、不斉リン原子を示す。)
で表されるホスフィン・ボラン誘導体を塩基により脱ボラン化して下記一般式(5)
【化4】
(式中、P*は、不斉リン原子を示す。)
で表される不斉水素化反応の不斉触媒として有用な光学活性なホスフィン誘導体を得る方法を提案している。
【0005】
従来のジアルキル、トリアルキル基を持つP−キラルホスフィン配位子の合成が困難な一つの要因としては、主に三塩化燐を原料に用いたグリニアール反応によって合成されてきためと考えられ、これらP−キラルホスフィン配位子の簡便な合成方法の開発が望まれている。
【0006】
従って、本発明は、グリニアール反応を用いることなく、簡便な方法で光学活性なホスフィン配位子を製造することが出来るホスフィン・ボラン誘導体の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題は、下記一般式(1)
【化5】
(式中、R1は、炭素数1〜18のアルキル基を示す。)で表されるモノアルキルホスフィン・ボランと、一般式(2);R2−X(式中、R2は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化物とを、アルキルリチウムの存在下に反応させることにより、下記一般式(3)
【化6】
(式中、R1及びR2は、前記と同義。)で表されるホスフィン・ボラン誘導体が容易に製造することが出来ることを知見し、上記課題を解決した。なお、前記一般式(3)で表されるホスフィン・ボラン誘導体の式中、R1とR2は、異なる基であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の反応原料の前記一般式(1)で表されるモノアルキルホスフィン・ボランの式中、R1は、炭素数1〜18のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ドデシル基、iso−ドデシル基、n−オクタデシル基、iso−オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、この中、炭素数1〜8のものが好ましい。
【0009】
前記一般式(1)で表されるモノアルキルホスフィン・ボランの具体的な化合物としては、メチルホスフィン・ボラン、エチルホスフィン・ボラン、n−プロピルホスフィン・ボラン、iso−プロピルホスフィン・ボラン、n−ブチルホスフィン・ボラン、iso−ブチルホスフィン・ボラン、sec−ブチルホスフィン・ボラン、tert−ブチルホスフィン・ボラン、n−ヘキシルホスフィン・ボラン、iso−ヘキシルホスフィン・ボラン、n−ヘプチルホスフィン・ボラン、iso−ヘプチルホスフィン・ボラン、n−オクチルホスフィン・ボラン、iso−オクチルホスフィン・ボラン、シクロペンチルホスフィン・ボラン、シクロヘキシルホスフィン・ボラン等を例示することが出来る。
【0010】
前記一般式(1)で表されるモノアルキルホスフィン・ボランは、公知の方法により製造することが出来、その一例を示せば、下記反応式(1)
【化7】
(式中、R1は前記と同義。)に従って、容易に製造することが出来る。
即ち、モノアルキルホスフィン(化合物(6))と、ボラン−テトラヒドロフラン錯体のボラン化剤とを、モノアルキルホスフィンに対して等モル以上、0℃程度の温度で反応させた後、反応液を濃縮し、次いで、残留物を蒸留することにより目的とするモノアルキルホスフィン・ボラン一般式(1)を容易に製造することが出来る。
【0011】
もう一方の反応原料の前記一般式(2)で表されるハロゲン化物の式中、R2は、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基を示し、アルキル基は、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ドデシル基、iso−ドデシル基、n−オクタデシル基、iso−オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子を示す。
【0012】
前記一般式(2)で表されるハロゲン化物の具体的な化合物としては、塩化メチル、塩化エタン、塩化n−プロパン、塩化iso−プロパン、塩化n−ブチル、塩化iso−ブチル、塩化sec−ブチル、塩化tert−ブチル、塩化n−ヘキシル、塩化iso−ヘキシル、塩化n−ヘプチル、塩化iso−ヘプチル、塩化n−オクチル、塩化iso−オクチル、塩化n−ドデシル、塩化iso−ドデシル、塩化n−オクタデシル、塩化iso−オクタデシル、塩化シクロペンチル、塩化シクロヘキシル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n−プロピル、ヨウ化iso−プロピル、ヨウ化n−ブチル、ヨウ化iso−ブチル、ヨウ化sec−ブチル、ヨウ化tert−ブチル、ヨウ化n−ヘキシル、ヨウ化iso−ヘキシル、ヨウ化n−ヘプチル、ヨウ化iso−ヘプチル、ヨウ化n−オクチル、ヨウ化iso−オクチル、ヨウ化n−ドデシル、ヨウ化iso−ドデシル、ヨウ化n−オクタデシル、ヨウ化iso−オクタデシル、ヨウ化シクロペンチル、ヨウ化シクロヘキシル等を例示することが出来る。
【0013】
前記一般式(1)で表させるモノアルキルホスフィン・ボランに対する前記一般式(2)で表させるハロゲン化物の添加量は、通常、1〜6倍モル、好ましくは1〜2倍モルである。
【0014】
前記一般式(1)で表されるモノアルキルホスフィン・ボランと、前記一般式(2)で表されるハロゲン化物との反応は、塩基の存在下に不活性溶媒中で行われる。
【0015】
用いることが出来る塩基としては、例えば、アルキルリチウムが好ましく、アルキルリチウムとしては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。前記した塩基の添加量は、前記一般式(1)で表されるモノアルキルホスフィン・ボランに対して、通常1〜3倍モル、好ましくは1〜2倍モルである。
【0016】
不活性溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状または環状エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の1種又は2種以上が挙げられる。
反応温度は、通常、−98〜100℃、好ましくは−78〜60℃であり、反応時間は、通常1〜24時間、好ましくは1〜3時間である。
反応終了後、常法により精製することにより目的とする前記一般式(3)で表されるホスフィン・ボラン誘導体を得ることができる。
【0017】
上記反応により得られる前記一般式(3)で表されるホスフィン・ボラン誘導体の式中、R1及びR2は、同一の基でも異なる基であってもよいが、P原子上に不斉中心を有する光学異性体を得る面で異なる基であることが好ましく、このようなR1とR2が異なるホスフィン・ボラン誘導体を得るには、前記一般式(1)で表されるモノアルキルホスフィン・ボランの式中のR1の種類と、前記一般式(2)で表されるハロゲン化物の式中のR2の種類とが異なる基をもつ化合物をそれぞれ選択して上記反応を行えばよい。
【0018】
前記一般式(3)で表されるホスフィン・ボラン誘導体の好ましい化合物を例示すると、エチルメチルホスフィン・ボラン、イソプロピルメチルホスフィン・ボラン、n−プロピルメチルホスフィン・ボラン、イソブチルメチルホスフィン・ボラン、n−ブチルメチルホスフィン・ボラン、tert−ブチルメチルホスフィン・ボラン、sec−ブチルメチルホスフィン・ボラン、イソヘプチルメチルホスフィン・ボラン、n−ヘプチルメチルホスフィン・ボラン、イソヘキシルメチルホスフィン・ボラン、n−ヘキシルメチルホスフィン・ボラン、シクロペンチルメチルホスフィン・ボラン、シクロヘキシルメチルホスフィン・ボラン、ベンジルメチルホスフィン・ボラン、イソプロピルエチルホスフィン・ボラン、n−プロピルエチルホスフィン・ボラン、イソブチルエチルホスフィン・ボラン、n−ブチルエチルホスフィン・ボラン、tert−ブチルエチルホスフィン・ボラン、sec−ブチルエチルホスフィン・ボラン、イソヘプチルエチルホスフィン・ボラン、n−ヘプチルエチルホスフィン・ボラン、イソヘキシルエチルホスフィン・ボラン、n−ヘキシルエチルホスフィン・ボラン、シクロペンチルエチルホスフィン・ボラン、シクロヘキシルエチルホスフィン・ボラン、ベンジルエチルホスフィン・ボラン、イソプロピル−n−プロピルホスフィン・ボラン、イソブチル−n−プロピルホスフィン・ボラン、n−ブチル−n−プロピルホスフィン・ボラン、tert−ブチル−n−プロピルホスフィン・ボラン、sec−ブチル−n−プロピルホスフィン・ボラン、イソヘプチル−n−プロピルホスフィン・ボラン、n−ヘプチル−n−プロピルホスフィン・ボラン、イソヘキシル−n−プロピルホスフィン・ボラン、n−ヘキシル−n−プロピルホスフィン・ボラン、シクロペンチル−n−プロピルホスフィン・ボラン、シクロヘキシル−n−プロピルホスフィン・ボラン、ベンジル−n−プロピルホスフィン・ボラン、イソブチルイソプロピルホスフィン・ボラン、n−ブチルイソプロピルホスフィン・ボラン、tert−ブチルイソプロピルホスフィン・ボラン、sec−ブチルイソプロピルホスフィン・ボラン、イソヘプチルイソプロピルホスフィン・ボラン、n−ヘプチルイソプロピルホスフィン・ボラン、イソヘキシルイソプロピルホスフィン・ボラン、n−ヘキシルイソプロピルホスフィン・ボラン、シクロペンチルイソプロピルホスフィン・ボラン、シクロヘキシルイソプロピルホスフィン・ボラン、ベンジルイソプロピルホスフィン・ボラン、イソブチル−tert−ブチルホスフィン・ボラン、n−ブチル−tert−ブチルホスフィン・ボラン、sec−ブチル−tert−ブチルホスフィン・ボラン、ベンジル−tert−ブチルホスフィン・ボラン、n−テトラデシル−tert−ブチルホスフィン・ボラン等を例示することができる。
【0019】
本発明の製造方法で得られる前記一般式(3)で表されるホスフィン・ボラン誘導体は、ラセミ体として得られ、例えば、常法の高速液体クロマトグラフィー法等により光学分割することにより、前記一般式(3)で表されるホスフィン・ボラン誘導体の光学活性体を容易に得ることができる。
【0020】
また、前記一般式(3)で表されるホスフィン・ボランを、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン等の塩基と反応させて、脱ボラン化することにより、不斉触媒の配位子として有用なホスフィン化合物を合成することが出来る。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<tert−ブチルホスフィン・ボランの合成>
500mlの3つ口フラスコ内を窒素置換し、3つ口フラスコにtert−ブチルホスフィンを10重量%溶解した溶液(85.8mg、95.3mmol)を仕込んだ。次いで、0℃に冷却した後、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(97.5ml、98.5mmol)を仕込み、0℃で2時間攪拌下に反応を行った。なお、反応終点は、31P−NMRで確認した。
次いで、反応液を濃縮し、残留物を蒸留して、tert−ブチルホスフィン・ボラン8.38gを得た(収率92%)。
【0022】
実施例1
<ベンジル−tert−ブチルホスフィン・ボランの合成>
水分を十分に除去しアルゴンガスで置換した25mlフラスコに前記で調製したtert−ブチルホスフィン・ボラン(311mg、3mmol)、脱水したジエチルエーテル6mlを加え、ドライアイス/アセトン冷媒にて-78℃に冷却した。
ここにn-ブチルリチウム/ヘキサン水溶液(1.91ml、3mmol)をシリンジにて滴下した。30分間撹拌した後マイクロシリンジにて塩化ベンジル417.7mg(3.3mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後フラスコを徐々に昇温し、0℃にて1時間撹拌後、反応液を10gの氷に注ぎクエンチした。ここに希塩酸2ml、飽和食塩水2mlを添加し撹拌した後、酢酸エチル10mlを追加して分液ロートにて有機層と水層を分離した。分離した水層に酢酸エチル5mlを加えて3回抽出を行った後に、有機層を集めて希塩酸1ml、純水5ml、飽和食塩水5mlで洗浄した。硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた有機物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物が溶出している留分を集めてエバポレーターで溶媒を除去し、白色固体のベンジル−tert−ブチルホスフィン・ボランを365.9mg得た(収率61%)。
1HNMR(300MHz、CDCl3);
0.82ppm(broad q、3H、JBH=103Hz、BH3)、1.24ppm(d、9H、JPH=14.4Hz、P-C(CH3)3、2.98ppm(m、1H、Ph-C(H)H-)、3.22ppm(dt、1H、JPH=3.6Hz、Ph-C(H)H-)、4.37(dm、1H、JPH=357Hz、P-H)、7.2-7.26(m、2H、Ph-H)7.3-7.35(m、3H、Ph-H)
31PNMR(121.5MHz、CDCl3);
31.2ppm(q、JPB=42.5Hz)
【0023】
実施例2
<tert−ブチルメチルホスフィン・ボランの合成>
水分を十分に除去しアルゴンガスで置換した25mlフラスコに前記で調製したtert−ブチルホスフィン・ボラン(205mg、2mmol)、脱水したTHF6mlを加え、氷浴で0℃に冷却した。
ここにn-ブチルリチウム/ヘキサン水溶液(1.27ml、2mmol)をシリンジにて滴下した。30分間撹拌した後マイクロシリンジにてヨウ化メチル284mg(2mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後フラスコを徐々に昇温し、室温にて1時間撹拌後、反応液を10gの氷に注ぎクエンチした。ここに希塩酸2ml、飽和食塩水2mlを添加し撹拌した後、酢酸エチル10mlを追加して分液ロートにて有機層と水層を分離した。分離した水層に酢酸エチル5mlを加えて3回抽出を行った後に、有機層を集めて希塩酸1ml、純水5ml、飽和食塩水5mlで洗浄した。硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた有機物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物が溶出している留分を集めてエバポレーターで溶媒を除去し、白色固体のtert−ブチルメチルホスフィン・ボランを153mg得た(収率65%)。
1HNMR(300MHz、C6D6) ;
0.68ppm(dd、3H、JPH=10.3Hz、P-CH3)、0.81ppm(d、9H、JPH=14.4Hz、P-C(CH3)3)、1.34ppm(broad t、3H、JBH=97.4Hz、P-BH3)、3.87ppm(dm、1H、JPH=351Hz、P-H)
31PNMR(121.5MHz、C6D6);
13.1ppm(q、JPB=47.4Hz)
【0024】
実施例3
<n-ブチル−tert−ブチルホスフィン・ボランの合成>
水分を十分に除去しアルゴンガスで置換した25mlフラスコに前記で調製したtert−ブチルホスフィン・ボラン(311mg、3mmol)、脱水したTHF3mlを加え、ドライアイス/アセトン冷媒にて-78℃に冷却した。
ここにn-ブチルリチウム/ヘキサン水溶液(1.91ml、3mmol)をシリンジにて滴下した。30分間撹拌した後マイクロシリンジにて塩化ノルマルブチル305.5mg(3.3mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後フラスコを徐々に昇温し、60℃にて1時間撹拌後、反応液を10gの氷に注ぎクエンチした。ここに希塩酸2ml、飽和食塩水2mlを添加し撹拌した後、酢酸エチル10mlを追加して分液ロートにて有機層と水層を分離した。分離した水層に酢酸エチル5mlを加えて3回抽出を行った後に、有機層を集めて希塩酸1ml、純水5ml、飽和食塩水5mlで洗浄した。硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、溶媒をエバポレーターにて除去し331mgの白色固体を得た。これををシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物が溶出している留分を集めてエバポレーターで溶媒を除去し、n−ブチル−tert−ブチルホスフィン・ボラン162mg得た(収率34%)。
1HNMR(300MHz、C6D6) ;
0.79ppm(t、3H、JHH=7.2Hz、P-(CH2)3-CH3)、0.92ppm(d、9H、JPH=14.1Hz、P-C(CH3)3)、1.15ppm(m、2H、-CH2-)、1.33ppm(m、2H、-CH2-)、1.57ppm(m、2H、-CH2-)、3.89ppm(dm、1H、JPH=347Hz、P-H)
31PNMR(121.5MHz、C6D6);
23.4ppm(q、JPB=48.6Hz)
【0025】
実施例4
<n−テトラデシル−tert−ブチルホスフィン・ボランの合成>
水分を十分に除去しアルゴンガスで置換した25mlフラスコに前記で調製したtert−ブチルホスフィン・ボラン(311mg、3mmol)、脱水したTHF3mlを加え、氷浴にて0℃に冷却した。
ここにn-ブチルリチウム/ヘキサン水溶液(1.91ml、3mmol)をシリンジにて滴下した。30分間撹拌した後マイクロシリンジにて塩化テトラデシル768.4mg(3.3mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後フラスコを徐々に昇温し、60℃にて2時間撹拌後、反応液を10gの氷に注ぎクエンチした。ここに希塩酸2ml、飽和食塩水2mlを添加し撹拌した後、酢酸エチル10mlを追加して分液ロートにて有機層と水層を分離した。分離した水層に酢酸エチル5mlを加えて3回抽出を行った後に、有機層を集めて希塩酸1ml、純水5ml、飽和食塩水5mlで洗浄した。硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、溶媒をエバポレーターにて除去し917mgの無色透明液体を得た。これををシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで分離精製した。目的物が溶出している留分を集めてエバポレーターで溶媒を除去し、n−テトラデシル−tert−ブチルホスフィン・ボラン162mg得た(収率31%)。
1HNMR(300MHz、C6D6) ;
0.93ppm(d、9H、JPH=13.9Hz、P-C(CH3)3)、0.96ppm(t、3H、P-(CH2)13-CH3)、1.1-1.5ppm(broad、26H、-(CH2)13-)、3.91ppm(dm、1H、JPH=321Hz、P-H)
31PNMR(121.5MHz、C6D6);
23.5ppm(q、JPB=58.3Hz)
【0026】
【発明の効果】
上記したとおり、本発明のホスフィン・ボラン誘導体の製造方法によれば、グリニアール反応を用いることなく簡便な方法で、P原子上に不斉中心を持つ光学活性なホスフィン配位子の中間体として有用なホスフィン・ボラン誘導体を製造することが出来るので、工業的な利用価値は極めて大きい。
Claims (3)
- 前記一般式(3)で表されるホスフィン・ボラン誘導体の式中、R1とR2は、異なる基である請求項1記載のホスフィン・ボラン誘導体の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるモノアルキルホスフィン・ボランの式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基である請求項1又は2記載のホスフィン・ボラン誘導体の製造方法。
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