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JP4365907B2 - 試料の分離方法 - Google Patents

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JP4365907B2
JP4365907B2 JP21151098A JP21151098A JP4365907B2 JP 4365907 B2 JP4365907 B2 JP 4365907B2 JP 21151098 A JP21151098 A JP 21151098A JP 21151098 A JP21151098 A JP 21151098A JP 4365907 B2 JP4365907 B2 JP 4365907B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料の分離方法に係り、特に、内部に分離用の層を有する試料を該分離用の層で分離するのに好適な分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁層上に単結晶Si層を有する基板として、SOI(silicon on insulator)構造を有する基板(SOI基板)が知られている。このSOI基板を採用したデバイスは、通常のSi基板では達成し得ない数々の優位点を有する。この優位点としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)誘電体分離が容易で高集積化に適している。
(2)放射線耐性に優れている。
(3)浮遊容量が小さく、素子の動作速度の高速化が可能である。
(4)ウェル工程が不要である。
(5)ラッチアップを防止できる。
(6)薄膜化による完全な空乏型電解効果トランジスタの形成が可能である。
【0003】
SOI構造は、上記のような様々な優位点を有するため、ここ数十年、その形成方法に関する研究が進められてきた。
【0004】
SOI技術としては、古くは、単結晶サファイア基板上にSiをCVD(化学気層成長)法でヘテロエピタキシ成長させて形成するSOS(silicon on sapphire)技術が知られている。このSOS技術は、最も成熟したSOI技術として一応の評価を得たものの、Si層と下地のサファイア基板との界面における格子不整合による大量の結晶欠陥の発生、サファイア基板を構成するアルミニウムのSi層への混入、基板の価格、大面積化への遅れ等の理由により実用化が進んでいない。
【0005】
SOS技術に次いで、SIMOX(separation by ion implanted oxygen)技術が登場した。このSIMOX技術に関して、結晶欠陥の低減や製造コストの低減等を目指して様々な方法が試みられてきた。この方法としては、基板に酸素イオンを注入して埋め込み酸化層を形成する方法、酸化膜を挟んで2枚のウェハを貼り合わせて一方のウェハを研磨又はエッチングして、薄い単結晶Si層を酸化膜上に残す方法、更には、酸化膜が形成されたSi基板の表面から所定の深さに水素イオンを打ち込み、他方の基板と貼り合わせた後に、加熱処理等により該酸化膜上に薄い単結晶Si層を残して、貼り合わせた基板(他方の基板)を剥離する方法等が挙げられる。
【0006】
本出願人は、特開平5−21338号において、新たなSOI技術を開示した。この技術は、多孔質層が形成された単結晶半導体基板上に非多孔質単結晶層(単結晶Si層を含む)を形成した第1の基板を、絶縁層を介して第2の基板に貼り合わせ、その後、多孔質層で両基板を分離し、第2の基板に非多孔質単結晶層を移し取るものである。この技術は、SOI層の膜厚均一性が優れていること、SOI層の結晶欠陥密度を低減し得ること、SOI層の表面平坦性が良好であること、高価な特殊仕様の製造装置が不要であること、数100Å〜10μm程度の範囲のSOI膜を有するSOI基板を同一の製造装置で製造可能なこと等の点で優れている。
【0007】
更に、本出願人は、特開平7−302889号において、上記の第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後に、第1の基板を破壊することなく第2の基板から分離し、その後、分離した第1の基板の表面を平滑にして再度多孔質層を形成し、これを再利用する技術を開示した。この技術は、第1の基板を無駄なく使用できるため、製造コストを大幅に低減することができ、製造工程も単純であるという優れた利点を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の技術において、2枚の基板を貼り合わせた基板(以下、貼り合わせ基板)を多孔質層で分離する際、基板に損傷を与えることなく、再現性良く分離することが望まれる。
【0009】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、例えば、内部に分離用の層を有する基板等の試料を分離する際に欠陥が発生することを防止するために好適な分離方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面に係る分離方法は、部に分離用の層を有する試料を前記分離用の層で分離する分離方法であって、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、前記分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離工程と、前記第1の分離工程で処理された前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて前記試料を完全に分離する第2の分離工程とを有し、前記第1の分離工程では、前記分離用の層に直交する軸を中心として前記試料を回転させながら、前記分離用の層に向けて流体を噴射することにより前記試料を部分的に分離し、前記第2の分離工程では、前記試料を回転させることなく保持して、部分的な分離処理により生じた前記試料の隙間に向けて流体を噴射することにより、前記試料に残っている前記未分離領域を分離する。
本発明の第2の側面に係る分離方法は、内部に分離用の層を有する試料を前記分離用の層で分離する分離方法であって、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、前記分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離工程と、前記第1の分離工程で処理された前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて前記試料を完全に分離する第2の分離工程とを有し、前記第1の分離工程では、前記分離用の層に直交する軸を中心として前記試料を回転させながら、前記試料の前記分離用の層に向けて流体を噴射することにより前記試料を部分的に分離し、前記第2の分離工程では、前記試料の回転を実質的に停止させて、部分的な分離処理により生じた前記試料の隙間に向けて流体を噴射することにより、前記試料に残っている前記未分離領域を分離する。
本発明の第3の側面に係る分離方法は、内部に分離用の層を有する試料を前記分離用の層で分離する分離方法であって、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、前記分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離工程と、前記第1の分離工程で処理された前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて前記試料を完全に分離する第2の分離工程とを有し、前記第2の分離工程では、部分的な分離処理により生じた前記試料の隙間に楔を挿入することにより、前記試料を完全に分離する。
その他、明細書に記載された分離装置は、内部に分離用の層を有する試料を該分離用の層で分離する分離装置であって、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、該分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離手段と、前記第1の分離手段により処理された前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて前記試料を完全に分離する第2の分離手段とを備え
【0011】
上記分離装置において、例えば、前記試料は、前記分離用の層として脆弱な構造の層を有する板状部材であることが好ましい。
【0012】
上記分離装置において、例えば、前記第1の分離手段は、前記未分離領域として略円形の領域を残すようにして、前記試料を部分的に分離することが好ましい。
【0013】
上記分離装置において、例えば、前記第1の分離手段は、前記未分離領域として略円形の領域を前記分離用の層の略中央部に残すようにして、前記試料を部分的に分離することが好ましい。
【0014】
上記分離装置において、例えば、前記第1の分離手段は、前記分離用の層に直交する軸を中心として該試料を回転させながら、該分離用の層に向けて流体を噴射することにより該試料を部分的に分離し、前記第2の分離手段は、前記試料を回転させることなく保持して、部分的な分離処理により生じた該試料の隙間に向けて流体を噴射することにより、該試料に残っている前記未分離領域を分離することが好ましい。
【0015】
上記分離装置において、例えば、前記第1の分離手段は、前記分離用の層に直交する軸を中心として該試料を回転させながら、該試料の前記分離用の層に向けて流体を噴射することにより該試料を部分的に分離し、前記第2の分離手段は、前記試料の回転を実質的に停止させて、部分的な分離処理により生じた該試料の隙間に向けて流体を噴射することにより、該試料に残っている前記未分離領域を分離することが好ましい。
【0016】
上記分離装置において、例えば、前記第2の分離手段は、部分的な分離処理により生じた前記試料の隙間に楔を挿入することにより、該試料を完全に分離することが好ましい。
【0017】
上記分離装置において、例えば、前記第1の分離手段による処理の後に残る前記未分離領域は、前記第1の分離手段により分離される領域よりも小さいことが好ましい。
【0018】
上記分離装置において、例えば、前記試料は、脆弱な層を内部に有する第1の板状部材と、第2の板状部材とを貼り合わせてなることが好ましい。
【0019】
上記分離装置において、例えば、前記脆弱な層は、多孔質層であることが好ましい。
【0020】
上記分離装置において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板である。
【0021】
上記分離装置において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板の片面に多孔質層を形成し、該多孔質層上に非多孔質層を形成してなる。
【0022】
上記分離装置において、例えば、前記非多孔質層は、単結晶半導体層を含む。
【0023】
その他、明細書に記載された他の分離装置は、内部に分離用の層を有する試料を該分離用の層で分離する分離装置であって、前記試料の分離用の層に直交する軸を中心として前記試料を回転させる駆動機構と、前記分離用の層に向けて流体を噴射する噴射部とを備え、まず、前記駆動機構により前記試料を回転させながら、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、前記噴射部からの流体により該分離用の層で該試料を部分的に分離し、次いで、該試料の回転を実質的に停止させた状態で、前記噴射部からの流体により該未分離領域の部分を分離して該試料を完全に分離す
【0024】
上記分離装置において、例えば、前記試料は、前記分離用の層として脆弱な構造の層を有する板状部材であることが好ましい。
【0025】
上記分離装置において、例えば、前記試料の部分的な分離処理の際に、前記未分離領域として略円形の領域を残すことが好ましい。
【0026】
上記分離装置において、例えば、前記試料の部分的な分離処理の際に、前記未分離領域として略円形の領域を前記分離用の層の略中央部に残すことが好ましい。
【0027】
上記分離装置において、例えば、部分的な分離処理の後に残る前記未分離領域は、該部分的な分離処理により分離された領域よりも小さいことが好ましい。
【0028】
上記分離装置において、例えば、前記試料は、脆弱な層を内部に有する第1の板状部材と、第2の板状部材とを貼り合わせてなることが好ましい。
【0029】
上記分離装置において、例えば、前記脆弱な層は、多孔質層であることが好ましい。
【0030】
上記分離装置において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板である。
【0031】
上記分離装置において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板の片面に多孔質層を形成し、該多孔質層上に非多孔質層を形成してなる。
【0032】
上記分離装置において、例えば、前記非多孔質層は、単結晶半導体層を含む。
【0033】
本発明分離装置は、内部に分離用の層を有する試料を該分離用の層で分離する分離装置、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、該分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離機構と、前記第1の分離機構による分離処理により前記試料に生じた隙間に所定方向から力を作用させることにより、該試料を完全に分離する第2の分離機構とを備え
【0034】
上記分離装置において、例えば、前記第1の分離機構は、前記分離用の層に直交する軸を中心として前記試料を回転させながら該分離用の層に向けて流体を噴射することにより該試料を部分的に分離することが好ましい。
【0035】
上記分離装置において、例えば、前記第2の分離機構は、前記試料の隙間に対して楔を挿入することにより該試料を完全に分離することが好ましい。
【0036】
上記分離装置において、例えば、前記第1の分離機構により処理された試料を前記第2分離機構に搬送する搬送ロボットを更に備えることが好ましい。
【0037】
上記分離装置において、例えば、前記試料を前記第1の分離機構又は前記第2の分離機構に対して位置合わせする位置合わせ機構を更に備えることが好ましい。
【0038】
上記分離装置において、例えば、前記第1の分離機構による処理の後に残る前記未分離領域は、前記第1の分離機構により分離される領域よりも小さいことが好ましい。
【0039】
上記分離装置において、例えば、前記試料は、脆弱な層を内部に有する第1の板状部材と、第2の板状部材とを貼り合わせてなることが好ましい。
【0040】
上記分離装置において、例えば、前記脆弱な層は、多孔質層であることが好ましい。
【0041】
上記分離装置において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板である。
【0042】
上記分離装置において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板の片面に多孔質層を形成し、該多孔質層上に非多孔質層を形成してなる。
【0043】
上記分離装置において、例えば、前記非多孔質層は、単結晶半導体層を含む。
【0044】
その他、明細書に記載された他の分離装置は、内部に分離用の層を有する試料を該分離用の層で分離する分離装置であって、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして該分離用の層で部分的に分離された試料の一部を保持して実質的に静止させる保持機構と、前記保持機構により保持された試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて該試料を完全に分離する分離機構とを備え
【0045】
上記分離装置において、例えば、前記試料は、前記分離用の層として脆弱な構造の層を有する板状部材であることを特徴とする請求項35に記載の分離装置。
【0046】
上記分離装置において、例えば、前記分離機構は、部分的な分離処理により形成された前記試料の隙間に向けて流体を噴射することにより該試料を完全に分離することが好ましい。
【0047】
上記分離装置において、例えば、前記分離機構は、部分的な分離処理により形成された前記試料の隙間に楔を挿入することにより、該試料を完全に分離することが好ましい。
【0048】
上記分離装置において、例えば、前記未分離領域は、既に分離されている領域よりも小さいことが好ましい。
【0049】
上記分離装置において、例えば、前記試料は、脆弱な層を内部に有する第1の板状部材と、第2の板状部材とを貼り合わせてなることが好ましい。
【0050】
上記分離装置において、例えば、前記脆弱な層は、多孔質層であることが好ましい。
【0051】
上記分離装置において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板である。
【0052】
上記分離装置において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板の片面に多孔質層を形成し、該多孔質層上に非多孔質層を形成してなる。
【0053】
上記分離装置において、例えば、前記非多孔質層は、単結晶半導体層を含む。
【0054】
その他、明細書に記載された分離方法、内部に分離用の層を有する試料を該分離用の層で分離する分離方法であって、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、該分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離工程と、前記第1の分離工程で処理された前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて前記試料を完全に分離する第2の分離工程とを有す
【0055】
上記分離方法において、例えば、前記試料は、前記分離用の層として脆弱な構造の層を有する板状部材であることが好ましい。
【0056】
上記分離方法において、例えば、前記第1の分離工程では、前記未分離領域として略円形の領域を残すようにして、前記試料を部分的に分離することが好ましい。
【0057】
上記分離方法において、例えば、前記第1の分離工程では、前記未分離領域として略円形の領域を前記分離用の層の略中央部に残すようにして、前記試料を部分的に分離することが好ましい。
【0058】
上記分離方法において、例えば、前記第1の分離工程では、前記分離用の層に直交する軸を中心として該試料を回転させながら、該分離用の層に向けて流体を噴射することにより該試料を部分的に分離し、前記第2の分離工程では、前記試料を回転させることなく保持して、部分的な分離処理により生じた該試料の隙間に向けて流体を噴射することにより、該試料に残っている前記未分離領域を分離することが好ましい。
【0059】
上記分離方法において、例えば、前記第1の分離工程では、前記分離用の層に直交する軸を中心として該試料を回転させながら、該試料の前記分離用の層に向けて流体を噴射することにより該試料を部分的に分離し、前記第2の分離工程では、前記試料の回転を実質的に停止させて、部分的な分離処理により生じた該試料の隙間に向けて流体を噴射することにより、該試料に残っている前記未分離領域を分離することが好ましい。
【0060】
上記分離方法において、例えば、前記第2の分離工程では、部分的な分離処理により生じた前記試料の隙間に楔を挿入することにより、該試料を完全に分離することが好ましい。
【0061】
上記分離方法において、例えば、前記第1の分離工程の後に残る前記未分離領域は、前記第1の分離工程で分離される領域よりも小さいことが好ましい。
【0062】
上記分離方法において、例えば、前記試料は、脆弱な層を内部に有する第1の板状部材と、第2の板状部材とを貼り合わせてなることが好ましい。
【0063】
上記分離方法において、例えば、前記脆弱な層は、多孔質層であることが好ましい。
【0064】
上記分離方法において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板である。
【0065】
上記分離方法において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板の片面に多孔質層を形成し、該多孔質層上に非多孔質層を形成してなることが好ましい。
【0066】
上記分離方法において、例えば、前記非多孔質層は、単結晶半導体層を含むことが好ましい。
【0067】
その他、明細書に記載された分離方法は、内部に分離用の層を有する試料を該分離用の層で分離する分離方法であって、前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして該分離用の層で部分的に分離された試料の一部を保持して実質的に静止させる静止工程と、静止した前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて該試料を完全に分離する分離工程とを有す
【0068】
上記分離方法において、例えば、前記試料は、前記分離用の層として脆弱な構造の層を有する板状部材であることが好ましい。
【0069】
上記分離方法において、例えば、前記分離工程では、部分的な分離処理により形成された前記試料の隙間に向けて流体を噴射することにより該試料を完全に分離することが好ましい。
【0070】
上記分離方法において、例えば、前記分離工程では、部分的な分離処理により形成された前記試料の隙間に楔を挿入することにより、該試料を完全に分離することが好ましい。
【0071】
上記分離方法において、例えば、前記未分離領域は、既に分離されている領域よりも小さいことが好ましい。
【0072】
上記分離方法において、例えば、前記試料は、脆弱な層を内部に有する第1の板状部材と、第2の板状部材とを貼り合わせてなることが好ましい。
【0073】
上記分離方法において、例えば、前記脆弱な層は、多孔質層であることが好ましい。
【0074】
上記分離方法において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板である。
【0075】
上記分離方法において、例えば、前記第1の板状部材は、半導体基板の片面に多孔質層を形成し、該多孔質層上に非多孔質層を形成してなる。
【0076】
上記分離方法において、例えば、前記非多孔質層は、単結晶半導体層を含む。
【0077】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0078】
図1は、本発明の好適な実施の形態に係るSOI基板の製造を方法を工程順に説明する図である。
【0079】
図1(a)に示す工程では、単結晶Si基板11を準備して、その表面に陽極化成等により多孔質Si層12を形成する。次いで、図1(b)に示す工程では、多孔質Si層12上に非多孔質単結晶Si層13をエピタキシャル成長法により形成する。これにより、第1の基板(▲1▼)が形成される。
【0080】
図1(c)に示す工程では、先ず、単結晶Si基板14の表面に絶縁層(例えば、SiO2層)15を形成した第2の基板(▲2▼)を準備し、第1の基板(▲1▼)と第2の基板(▲2▼)とを、非多孔質単結晶Si層13と絶縁層15とが面するように室温で密着させる。その後、陽極接合、加圧若しくは熱処理又はこれらを組合わせた処理により第1の基板(▲1▼)と第2の基板(▲2▼)とを貼り合わせる。この処理により、非多孔質単結晶Si層13と絶縁層15が強固に結合される。なお、絶縁層15は、上記のように単結晶Si基板14側に形成しても良いし、非多孔質単結晶Si層13上に形成しても良く、両者に形成しても良く、結果として、第1の基板と第2の基板を密着させた際に、図1(c)に示す状態になれば良い。
【0081】
図1(d)に示す工程では、貼り合わせた2枚の基板を、多孔質Si層12の部分で分離する。これにより、第2の基板側(▲1▼''+▲2▼)は、多孔質Si層12''/単結晶Si層13/絶縁層15/単結晶Si基板14の積層構造となる。一方、第1の基板側(▲1▼')は、単結晶Si基板11上に多孔質Si層12’を有する構造となる。
【0082】
分離後の基板(▲1▼’)は、残留した多孔質Si層12’を除去し、必要に応じて、その表面を平坦化することにより、再び第1の基板(▲1▼)を形成するための単結晶Si基板11として使用される。
【0083】
貼り合わせた基板を分離した後、図1(e)に示す工程では、第2の基板側(▲1▼''+▲2▼)の表面の多孔質層12''を選択的に除去する。これにより、単結晶Si層13/絶縁層15/単結晶Si基板14の積層構造、すなわち、SOI構造を有する基板が得られる。
【0084】
この実施の形態においては、図1(d)に示す工程、すなわち、貼り合わせ基板を分離する工程の少なくとも一部において、分離用の層である多孔質Si層に向けて液体又は気体(流体)を噴射することにより該分離用の層で貼り合わせ基板を2枚に分離する分離装置を使用する。
【0085】
[分離装置の基本構成]
この分離装置は、ウォータージェット法を適用したものである。一般に、ウォータジェット法は、水(固い材料を切断する場合には研磨材を加える)を高速、高圧の束状の流れにして対象物に対して噴射して、セラミックス、金属、コンクリート、樹脂、ゴム、木材等の切断、加工、表面の塗膜の除去、表面の洗浄等を行う方法である(ウォータージェット第1巻1号第4ページ参照)。従来、ウォータージェット法は、主に材料の一部を除去することにより、上記のような切断、加工、塗膜の除去、表面の洗浄を行うことに利用されていた。
【0086】
この分離装置は、脆弱な構造部分である貼り合わせ基板の多孔質層(分離用の層)に向けて流体を束状の流れにして噴射して、多孔質層を選択的に崩壊させることにより、多孔質層の部分で基板を分離するものである。以下では、この束状の流れを「ジェット」という。また、ジェットを構成する流体を「ジェット構成媒体」という。ジェット構成媒体としては、水、アルコール等の有機溶媒、弗酸、硝酸その他の酸、水酸化カリウムその他のアルカリ、空気、窒素ガス、炭酸ガス、希ガス、エッチングガスその他の気体、プラズマ等を使用し得る。
【0087】
この分離装置を半導体装置の製造工程、例えば貼り合わせ基板の分離工程に適用する場合、ジェット構成媒体としては、不純物金属やパーティクル等を極力除去した純水を使用することが好ましい。
【0088】
この分離装置は、貼り合せ基板の側面に表出した多孔質層に向けてジェットを噴射することにより、多孔質層を外周部分から中心部分に向かって除去する。これにより、貼り合わせ基板は、その本体部分に損傷を受けることなく、機械的な強度が脆弱な多孔質層のみが除去され、2枚の基板に分離される。
【0089】
図2は、本発明の好適な実施の形態に係る分離装置の概略構成を示す図である。この分離装置100は、真空吸着機構を備えた基板保持部120,150を有し、この基板保持部120,150により貼り合わせ基板101を両側から挟むようにして保持する。貼り合わせ基板101は、内部に脆弱な構成部である多孔質層101bを有し、この分離装置100により、この多孔質層101bの部分で2つの基板101a,101cに分離される。この分離装置100においては、例えば、基板101aが図1における第1の基板側(▲1▼’)、基板101cが図1における第2の基板側(▲1▼''+▲2▼)になるようにセットする。
【0090】
基板保持部120,150は、同一の回転軸上に存在する。基板保持部120は、ベアリング108を介して支持台109に回転可能に軸支された回転軸104の一端に連結され、この回転軸104の他端はモータ110の回転軸に連結されている。したがって、モータ110が発生する回転力により、基板保持部120に真空吸着された貼り合わせ基板101が回転することになる。このモータ110は、コントローラ190により制御され、該コントローラ190から指示される回転速度で回転軸104を回転させたり、回転を停止させたりする。
【0091】
基板保持部150は、ベアリング111を介して支持台109に摺動可能かつ回転可能に軸支された回転軸103の一端に連結され、この回転軸103の他端は、支持台109に固定されたエアシリンダ112に連結されている。このエアシリンダ112は、コントローラ190により制御されるシリンダ駆動部191により駆動される。このエアシリンダ112が回転軸103を押し出すことにより、貼り合わせ基板101は、基板保持部150によって押圧される。支持台109には、回転軸103の周囲を覆うようにしてシール部材113が固定されている。このシール部材113は、例えばゴム等で構成され、ジェット構成媒体がベアリング111側に進入することを防止している。
【0092】
基板支持部120,150には、真空吸着機構として、夫々1又は複数の吸引孔181,182が設けられており、この吸引孔181,182は、夫々回転軸104,103中を通して回転シール部104a,103aに通じている。回転シール部104a,103aには、夫々真空ライン104b,103bが連結されている。これらの真空ライン104b,103bには、貼り合わせ基板101又は分離後の基板の着脱を制御するための電磁弁が取り付けられている。この電磁弁は、コントローラ190により制御される。
【0093】
以下、まず、この分離装置100を使用した基本的な分離処理及びその処理の問題点を説明し、次いで、本発明の好適な実施の形態として、改良された分離処理に関して説明する。
【0094】
[分離装置による基本的な分離処理]
まず、エアシリンダ112に回転軸103を収容させることにより、基板保持部120及び150の夫々の吸着面の間に相応の距離を設ける。次いで、基板保持部120と基板保持部150との間に搬送ロボット等により貼り合せ基板101を搬送し、該貼り合わせ基板101の中心と回転軸104及び103の中心軸とを位置合せする。次いで、コントローラ190がエアシリンダ112に回転軸103を押し出させることにより、貼り合わせ基板101を押圧して保持する(図2に示す状態)。
【0095】
次いで、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101を一定の回転速度で回転させる。これにより、回転軸104、基板保持部120、貼り合わせ基板101、基板保持部150及び回転軸103は一体化して回転する。
【0096】
次いで、コントローラ190は、ポンプ114を制御してノズル102にジェット構成媒体(例えば、水)を送り込み、ノズル102から噴射されるジェットが安定するまで待つ。ジェットが安定したら、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して貼り合わせ基板101の中心上にノズル102を移動させ、貼り合わせ基板101の多孔質層101bにジェットを挟入させる。
【0097】
ジェットが挟入されると、貼り合わせ基板101には、脆弱な構造部である多孔質層101bに連続的に注入されるジェット構成媒体の圧力による分離力が作用し、これにより基板101a及び101cを連結している多孔質層101bが破壊される。この処理により、例えば数分程度で貼り合わせ基板101を完全に分離することができる。
【0098】
貼り合わせ基板101が2枚の基板に分離されたら、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御してノズル102を待機位置に移動させ、次いで、ポンプ114の動作を停止させる。また、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101の回転を停止させ、前述の電磁弁を制御することにより、分離された各基板101a,101cを夫々基板保持部120、150に真空吸着させる。
【0099】
次に、コントローラ190は、エアシリンダ112に回転軸103を収容させる。これにより、物理的に分離されていた2枚の基板は、ジェット構成媒体(例えば、水)の表面張力を断って2体に引き離される。
【0100】
上記のような分離処理によれば、貼り合わせ基板101を効率的に分離することができ、また、基板の損傷や汚染が少ない。従って、この分離処理は、貼り合わせ基板又は他の類似の試料を分離する上で極めて有望であると考えられる。しかしながら、以下に示すような解決すべき課題が残されている。
【0101】
[基本的な分離処理における課題]
図3は、上記の分離処理、即ち、貼り合わせ基板を一定速度で回転させながら2枚の基板に分離する処理により生じることがある欠陥101d及び101eを模式的に示す図である。このような欠陥101d及び101cは、貼り合わせ基板101の分離処理の最終段階で分離される部分において生じる。
【0102】
このような欠陥101d及び101cが大きい場合は、多孔質層(101b;図1では12)と隣り合う層(例えば、図1に示す単結晶Si層13)に損傷を与えることとなり、分離された基板を次工程(例えば、図1(e)に示す工程)で使用することができなくなる。
【0103】
このような欠陥101d、101eが生じる原因は、大凡次の通りであると考えられる。貼り合わせ基板の分離処理において、貼り合わせ基板101には、第1に、基板保持部150(エアシリンダ112)による押圧力が貼り合わせ基板101を挟む方向に作用し、第2に、貼り合わせ基板101の分離により生じる隙間に注入されるジェット構成媒体による貼り合わせ基板101を膨張させる力(分離力)が作用し、第3に、貼り合わせ基板101の未分離領域における多孔質層101の結合力(分離力に対する抗力)が作用する。
【0104】
ここで、エアシリンダ112による押圧力は略一定に維持される。一方、分離力は、貼り合わせ基板の分離された領域の拡大に伴って急速に増大すると考えられる。また、結合力は、未分離領域の縮小に伴って当然に減少する。
【0105】
従って、貼り合わせ基板の外周部分を分離している段階では、(結合力)+(押圧力)>>(分離力)の関係が維持され、過大な分離力が貼り合わせ基板に対して作用することはないと考えられる。
【0106】
ところが、分離が進行して、(結合力)+(押圧力)<(分離力)の関係が成立すると、基板保持部150が後退を開始するため、貼り合わせ基板に対して分離力がより効率的に作用して分離の進行が加速される。そして、分離処理の最終段階では、結合力の低下と分離力の急速な増大により、(結合力)+(押圧力)<<(分離力)となり、この過大な分離力が未分離領域の略全体に対して作用すると考えられる。この時、貼り合わせ基板101の最終的な分離は、ジェットの衝撃ではなく、主に分離力、即ち、貼り合わせ基板の分離により生じた隙間に注入されたジェット構成媒体が貼り合わせ基板を膨張させる力によって未分離領域の全体が一括して引き剥がされることによって起こると考えられる。
【0107】
以下では、分離処理による欠陥の発生を低減するための改良された分離処理に関して説明する。
【0108】
[改良された分離処理]
本発明者は、実験の結果、次のような方法により上記の欠陥の発生を低減するできることを見出した。
【0109】
即ち、第1工程において、多孔質層101bの所定領域を未分離領域として残すようにして、貼り合わせ基板101を部分的に分離する。ここで、未分離領域は、略円形であることが好ましく、その位置は、貼り合わせ基板101の略中央部であることが好ましい。
【0110】
次いで、第2工程において、未分離領域に対して、全周的にではなく、所定方向から力を作用させて、貼り合わせ基板101を完全に分離する。このように、未分離領域に対して所定方向から力を作用させることにより、未分離領域の周辺の一部に対しては強い分離力を作用させ、他の部分に対しては弱い分離力を作用させながら徐々に分離領域を拡大させることができる。したがって、未分離領域を一括的に分離する場合と比較して、分離された各基板に欠陥が生じることが効果的に防止される。
【0111】
以下、改良された分離処理の好適な実施の形態を説明する。
【0112】
(第1の実施の形態)
この実施の形態では、先ず、第1工程において、ノズル102を貼り合わせ基板101の中心上に位置させ、モータ110により貼り合わせ基板101を回転させながら(例えば、8rpm)、貼り合わせ基板101の周辺部を分離し、中央部を未分離領域として残す。ここで、貼り合わせ基板101を回転させながら分離処理を実行するのは、第1工程の後に残る未分離領域202の形状及び位置を多数枚の貼り合わせ基板について均一化するためである。これにより、第2工程において各貼り合わせ基板101を略同一の条件で処理することができる。
【0113】
図4は、この実施の形態の第1工程により貼り合わせ基板101が部分的に分離される様子を模式的に示す図である。同図において、201は、第1工程の進行中における分離領域と未分離領域との境界を示す、境界201の外側が既に分離された領域であり、境界201の内側が未だ分離されていない領域である。この実施の形態の第1工程では、貼り合わせ基板101を回転させながら分離処理を進めるため、境界201の軌跡は渦巻状になる。斜線を付していない領域202は、第1工程の実行後に残った未分離領域であり、その形状は略円形であり、その位置は貼り合わせ基板101の略中央部である。また、斜線を付した領域203は、第1工程の実行により分離された領域(分離領域)である。未分離領域202は、分離領域203よりも小さいことが好ましい。
【0114】
このように、貼り合わせ基板101を回転させながら第1工程を実行することにより、目標とする領域、例えば、貼り合わせ基板101の中央部分を未分離領域202として残すことができるため、各貼り合わせ基板101について第2工程を略同一の条件で実行することができる。
【0115】
次いで、第2工程において、貼り合わせ基板101の回転速度を低くして実質的に回転を停止させた状態(例えば、2rpm以下)、或いは、貼り合わせ基板101の回転を完全に停止させた状態で未分離領域202を分離する。これにより、未分離領域202に対して所定方向から力を作用させることができる。ここで、貼り合わせ基板101の回転を完全に停止させることが最も好ましい。
【0116】
図5は、この実施の形態の第2工程により貼り合わせ基板101が完全に分離される様子を模式的に示す図である。同図において、204は、第2工程の実行中における分離領域と未分離領域との境界である。この境界204は、矢印に示すように移動する。
【0117】
このように、貼り合わせ基板101の回転速度を実質的に停止させた状態で貼り合わせ基板101の隙間にジェットを挟入することにより、未分離領域202に対して所定方向から力を作用させることができる。これにより、未分離領域202の周辺の一部に対しては強い分離力を作用させ、他の部分に対しては弱い分離力を作用させながら徐々に分離領域を拡大させることができるため、分離された各基板に欠陥が生じることが防止される。
【0118】
図6は、この実施の形態における分離装置100の制御手順を概略的に示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、コントローラ190により制御される。また、このフローチャートに示す処理は、貼り合わせ基板101が分離装置100にセットされた後、即ち基板保持部120及び150により貼り合わせ基板101が保持された後に実行される。
【0119】
ステップS101〜S104は、第1工程に相当する。まず、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101を所定の回転速度で回転させる(S101)。この時の回転速度は、例えば、4〜12rpm程度であることが好ましく、6〜10rpm程度であることが更に好ましい。なお、この実施の形態では8rpmとした。
【0120】
次いで、コントローラ190は、ポンプ114を制御して、所定の圧力(例えば、500kgf/平方cm)のジェットをノズル102より噴射させる(S102)。次いで、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置(ジェットが貼り合わせ基板101に衝突しない位置)から貼り合わせ基板101の中心軸上の多孔質層101b上に移動させる(S103)。これにより、貼り合わせ基板101の部分的な分離が開始される。その後、コントローラ190は、未分離領域202として残す領域以外が分離されるのを待った後(例えば、所定時間が経過した後)、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置に移動させる(S104)。これにより第1工程が完了する。
【0121】
ステップS105〜S107は、第2工程に相当する。まず、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101の回転を実質的に停止させる(S105)。次いで、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置から貼り合わせ基板101の中心軸上の多孔質層101b上に移動させる(S106)。これにより、貼り合わせ基板101の未分離領域202の分離が開始される。その後、コントローラ190は、貼り合わせ基板101が完全に分離されるのを待った後(例えば、所定時間が経過した後)、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置に移動させ、ポンプ114を制御して、ジェットの噴射を停止させる(S107)。これにより第2工程が完了する。
【0122】
(第2の実施の形態)
この実施の形態は、第1工程の後に残す未分離領域の形状及び位置を更に良好に制御する方法に関する。この実施の形態の第1工程は、ノズル102を貼り合わせ基板101の中心上に位置させ、モータ110により貼り合わせ基板101を回転させながら貼り合わせ基板101の周辺部を分離し、中央部を未分離領域として残す点において、第1の実施の形態の第1工程と同様である。
【0123】
しかし、この実施の形態の第1工程は、貼り合わせ基板101の回転速度を徐々に或いは段階的(2段階を含む)に高くしながら、貼り合わせ基板101を部分的に分離する点において、第1の実施の形態の第1工程と異なる。例えば、分離の開始後、貼り合わせ基板101が約1回転するまでは低速で貼り合わせ基板101を回転させ(第1段階)、その後、回転速度を高速にすることが好ましい(第2段階)。
【0124】
ここで、第1段階における貼り合わせ基板101の回転速度は、例えば、4〜12rpm程度であることが好ましく、6〜10rpm程度であることが更に好ましい。なお、この実施の形態では8rpmとした。また、第2段階における貼り合わせ基板101の回転速度は、例えば、25〜35rpm程度であることが好ましく、28〜32rpm程度であることが更に好ましい。なお、この実施の形態では30rpmとした。
【0125】
このように、第1工程の初期段階に貼り合わせ基板101を低速で回転させるのは、初期段階は、貼り合わせ基板101に対して分離力が効率的に作用しにくいからである。また、回転速度を徐々に或いは段階的に高くしながら第1工程を進めるのは、貼り合わせ基板101を高速で回転させた方が、より点対称に近い形状の未分離領域を残すことができるからである。
【0126】
図7は、この実施の形態の第1工程により貼り合わせ基板が部分的に分離される様子を模式的に示す図である。図7に示す例は、貼り合わせ基板101が約1回転するまでは約8rpmで回転させ、その後、回転速度を約30rpmにした場合の例である。
【0127】
なお、この実施の形態の第2工程は、第1の実施の形態と同様である。図8は、この実施の形態の第2工程により貼り合わせ基板101が完全に分離される様子を模式的に示す図である。
【0128】
このように、第1工程において、貼り合わせ基板101の回転速度を徐々に或いは段階的に高くすることにより、第1工程の完了後に残る未分離領域202の形状をより円形に近い形状にすることができると共に、その位置をより貼り合わせ基板101の中心に一致させることができる。これは、各貼り合わせ基板101について未分離領域202の形状をより均一化することができることを意味する。したがって、第1の実施の形態に比べて、第2工程において生じる可能性のある欠陥を低減することができる。
【0129】
図9は、この実施の形態における分離装置100の制御手順を概略的に示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、コントローラ190により制御される。また、このフローチャートに示す処理は、貼り合わせ基板101が分離装置100にセットされた後に実行される。
【0130】
ステップS201〜S205は、第1工程に相当する。まず、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101を低速で回転させる(S201)。この時の回転速度は、例えば、4〜12rpm程度であることが好ましく、6〜10rpm程度であることが更に好ましい。なお、この実施の形態では8rpmとした。
【0131】
次いで、コントローラ190は、ポンプ114を制御して、所定の圧力(例えば、500kgf/平方cm)のジェットをノズル102より噴射させる(S202)。次いで、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置から貼り合わせ基板101の中心軸上の多孔質層101b上に移動させる(S203)。これにより、貼り合わせ基板101の部分的な分離が開始される。
【0132】
その後、コントローラ190は、貼り合わせ基板101が例えば1回転するのを待った後に、モータ110を制御して貼り合わせ基板101の回転速度を高速にする(S204)。この時の回転速度は、例えば、25〜35rpm程度であることが好ましく、28〜32rpm程度であることが更に好ましい。なお、この実施の形態では30rpmとした。
【0133】
その後、コントローラ190は、未分離領域202として残す領域以外が分離されるのを待った後(例えば、所定時間が経過した後)、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置に移動させる(S205)。これにより第1工程が完了する。
【0134】
ステップS206〜S208は、第2工程に相当する。まず、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101の回転を実質的に停止させる(S206)。次いで、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置から貼り合わせ基板101の中心軸上の多孔質層101b上に移動させる(S207)。これにより、貼り合わせ基板101の未分離領域202の分離が開始される。
【0135】
その後、コントローラ190は、貼り合わせ基板101が完全に分離されるのを待った後(例えば、所定時間が経過した後)、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置に移動させ、ポンプ114を制御して、ジェットの噴射を停止させる(S208)。これにより第2工程が完了する。
【0136】
(第3の実施の形態)
この実施の形態も、第1工程の後に残す未分離領域の形状及び位置を更に良好に制御する方法に関する。この実施の形態の第1工程は、ノズル102を貼り合わせ基板101の中心上に位置させ、モータ110により貼り合わせ基板101を回転させながら貼り合わせ基板101の周辺部を分離し、中央部を未分離領域として残す点において、第1の実施の形態の第1工程と同様である。しかし、この実施の形態の第1工程は、ジェットの圧力を徐々に或いは段階的(2段階を含む)に低くしながら、貼り合わせ基板101を部分的に分離する点において、第1の実施の形態の第1工程と異なる。例えば、分離の開始後、貼り合わせ基板101が約1回転するまでは、ジェットの圧力を高圧(例えば、500kgf/平方cm程度)に設定し、その後、例えば未分離領域として残す中央部が分離されない程度の圧力(例えば、220kgf/平方cm程度)にジェットの圧力を設定することが好ましい。
【0137】
このように、第1工程の初期段階にジェットの圧力を高圧に設定するのは、初期段階は、貼り合わせ基板101に対して分離力が効率的に作用しにくいからである。また、ジェットの圧力を徐々に或いは段階的に低くしながら第1工程を進めるのは、ジェットの圧力を低圧にした方が、より点対称に近い形状の未分離領域を残すことができるからである。
【0138】
図10は、この実施の形態の第1工程により貼り合わせ基板が部分的に分離される様子を模式的に示す図である。図10に示す例は、貼り合わせ基板101が約1回転するまではジェットの圧力を500kgf/平方cmに設定し、その後、ジェットの圧力を220kgf/平方cmに設定した場合の例である。
【0139】
なお、この実施の形態の第2工程は、第1の実施の形態と同様である。第2工程による貼り合わせ基板101の分離の様子は、図8に示す例と略同様である。
【0140】
このように、第1工程において、ジェットの圧力を徐々に或いは段階的に低くすることにより、第1工程の完了後に残る未分離領域202の形状をより円形に近い形状にすることができると共に、その位置をより貼り合わせ基板の中心に一致させることができる。これは、各貼り合わせ基板101について未分離領域202の形状をより均一化することができることを意味する。したがって、第1の実施の形態に比べて、第2工程において生じる可能性のある欠陥を低減することができる。
【0141】
図11は、この実施の形態における分離装置100の制御手順を概略的に示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、貼り合わせ基板101が分離装置100にセットされた後に実行される。
【0142】
ステップS301〜S305は、第1工程に相当する。まず、コントローラ19は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101を所定速度で回転させる(S301)。この時の回転速度は、例えば、4〜12rpm程度であることが好ましく、6〜10rpm程度であることが更に好ましい。なお、この実施の形態では8rpmとした。
【0143】
次いで、コントローラ190は、ポンプ114を制御して、高圧(例えば、500kgf/平方cm)のジェットをノズル102より噴射される(S202)。次いで、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置から貼り合わせ基板101の中心軸上の多孔質層101b上に移動させる(S303)。これにより、貼り合わせ基板101の部分的な分離が開始される。その後、コントローラ190は、貼り合わせ基板101が例えば1回転するのを待った後に、ポンプ114を制御して、ジェットの圧力を低圧(例えば、220kgf/平方cm)に設定する。
【0144】
その後、コントローラ190は、未分離領域202として残す領域以外が分離されるのを待った後(例えば、所定時間が経過した後)、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置に移動させる(S305)。これにより第1工程が完了する。
【0145】
ステップS306〜S309は、第2工程に相当する。、まず、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101の回転を実質的に停止させる(S306)。次いで、コントローラ190は、ポンプ114を制御して、未分離領域202を分離可能な圧力(例えば、500kgf/平方cm)までジェットの圧力を高くする(S307)。
【0146】
次いで、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置から貼り合わせ基板101の中心軸上の多孔質層101b上に移動させる(S308)。これにより、貼り合わせ基板101の未分離領域202の分離が開始される。その後、コントローラ190は、貼り合わせ基板101が完全に分離されるのを待った後(例えば、所定時間が経過した後)、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置に移動させ、ポンプ114を制御して、ジェットの噴射を停止させる(S309)。これにより第2工程が完了する。
【0147】
ところで、第2の実施の形態と第3の実施の形態とを組合せることも有効である。即ち、第1工程において、分離の初期段階(例えば、1回転目)では、貼り合わせ基板101を低速で回転させながら高圧のジェットにより分離を行い、その後、貼り合わせ基板101の回転速度を徐々に或いは段階的に高くすると共に、ジェットの圧力を徐々に或いは段階的に低くしながら分離を進めることにより、第1工程の後に残す未分離領域202をより均一にすることができる。
【0148】
(第4の実施の形態)
この実施の形態も、第1工程の後に残す未分離領域の形状及び位置を更に良好に制御する方法に関する。この実施の形態の第1工程では、ノズル102を貼り合わせ基板101の中心上から所定距離(例えば、ジェットの噴射方向に対して垂直な方向に20〜30mm)ずれた位置に配置し、モータ110により貼り合わせ基板101を回転させながら(例えば、8rpm)、貼り合わせ基板101の周辺部を分離し、中央部を未分離領域として残す。このように、ジェットを貼り合わせ基板101の中心からずれた位置に向けて噴射するのは、第1工程の後に残る未分離領域202の形状及び位置を多数枚の貼り合わせ基板101について更に均一化するためである。
【0149】
図12は、この実施の形態の第1工程により貼り合わせ基板が部分的に分離される様子を模式的に示す図である。同図において、201は、第1工程の実行中における分離領域と未分離領域との境界を示す、境界201の外側が既に分離された領域であり、境界201の内側が未だ分離されていない領域である。この実施の形態の第1工程では、貼り合わせ基板101を回転させながら分離処理を進めるため、境界201の軌跡は渦巻状になる。斜線を付していない領域202は、第1工程の実行後に残った未分離領域であり、第1の実施の形態に比べて、その形状は円形に近く、その中心は貼り合わせ基板101の中心に近い。また、斜線を付した領域203は、第1工程の実行により分離された領域である。このように、第1の実施の形態に比べて未分離領域202を点対称に近い形状にすることができるのは、第1工程が終盤に近づくにつれて、第1の実施の形態に比べて、多孔質層に作用する分離力が弱くなるからであると考えられる。
【0150】
なお、この実施の形態の第2工程は、第1の実施の形態と同様である。図13は、第2工程により貼り合わせ基板101が完全に分離される様子を模式的に示す図である。
【0151】
図14は、この実施の形態における分離装置100の制御手順を概略的に示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、コントローラ190により制御される。また、このフローチャートに示す処理は、貼り合わせ基板101が分離装置100にセットされた後、即ち基板保持部120及び150により貼り合わせ基板101が保持された後に実行される。
【0152】
ステップS401〜S404は、第1工程に相当する。まず、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101を所定の回転速度(例えば、8rpm)で回転させる(S401)。次いで、コントローラ190は、ポンプ114を制御して、所定の圧力(例えば、500kgf/平方cm)のジェットをノズル102より噴射させる(S402)。次いで、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置から貼り合わせ基板101の中心軸上から水平方向に所定距離(例えば、20〜30mm)ずれた位置の上の多孔質層101b上に移動させる(S403)。これにより、貼り合わせ基板101の部分的な分離が開始される。その後、コントローラ190は、未分離領域202として残す領域以外が分離されるのを待った後(例えば、所定時間が経過した後)、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置に移動させる(S404)。これにより第1工程が完了する。
【0153】
ステップS405〜S407は、第2工程に相当する。まず、コントローラ190は、モータ110を制御して貼り合わせ基板101の回転を実質的に停止させる(S405)。次いで、コントローラ190は、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置から貼り合わせ基板101の中心軸上の多孔質層101b上に移動させる(S406)。これにより、貼り合わせ基板101の未分離領域202の分離が開始される。その後、コントローラ190は、貼り合わせ基板101が完全に分離されるのを待った後(例えば、所定時間が経過した後)、ノズル駆動部106を制御して、ノズル102を待機位置に移動させ、ポンプ114を制御して、ジェットの噴射を停止させる(S407)。これにより第2工程が完了する。
【0154】
なお、以上の第1乃至第4の実施の形態において、第1工程の最後にノズル102を待機位置に戻すことなく、そのまま第2工程の実行を開始してもよい。
【0155】
(第5の実施の形態)
この実施の形態は、第2工程において、流体の代わりに楔を使用する方法に関する。なお、第1工程は、第1乃至第4のいずれかの実施の形態における第1工程が好適である。
【0156】
図15及び図16は、第2工程に実施に好適な分離装置(以下、最終分離装置)の構成を概略的に示す図である。この最終分離装置350は、第1工程を経た貼り合わせ基板101の所定位置を支持する第1及び第2支持部353及び356を有する。支持する位置は、例えば周辺部の一部であることが好ましい。
【0157】
第1支持部353は、ステージ354に固定されており、第2支持部356は、ステージ354に固定されたシリンダ355のピストンの先端に固定されている。この最終分離装置350に貼り合わせ基板101をセットする際は、シリンダ355にピストンを収容することにより、第1支持部353と第2支持部356との間に所定の間隙を設け、その間隙に貼り合わせ基板101を挿入した後にシリンダ355からピストン355を押し出すことにより、第2支持部356により上方から貼り合わせ基板101を押圧して保持する。
【0158】
第1支持部354及び/又は第2支持部356が貼り合わせ基板101と接触する部分には、例えばゴム等からなる弾性部材を設けることが好ましい。これは、貼り合わせ基板101の分離を容易にすると共に、第1支持部353及び第2支持部356によって支持された部分に対して分離の際に過度な応力が作用することを避けるためである。図示の例は、第2支持部356に弾性体357を設けた例である。
【0159】
この最終分離装置350は、貼り合わせ基板101に対して所定方向から力を作用させるための楔351を有する。この楔351は、シリンダ352により摺動される。具体的には、貼り合わせ基板101を分離する際は、図16に示すように、シリンダ352から楔351を押し出して、楔351の先端を貼り合わせ基板101の隙間に挿入する。これにより、貼り合わせ基板101の未分離領域の一部に対しては強い分離力を作用させ、他の部分には弱い分離力を作用させながら徐々に分離領域を拡大させることができるため、分離された各基板に欠陥が生じることが効果的に防止される。
【0160】
図17は、分離装置100及び最終分離装置350を用いた分離処理の流れを概略的に示す図である。まず、分離装置100に貼り合わせ基板101をセットし(S501)、例えば第1乃至第4のいずれかの実施の形態に係る第1工程と同様の方法により、所定領域を未分離領域として残すようにして、その貼り合わせ基板101を部分的に分離する(S502)。次いで、第1工程を経た貼り合わせ基板101を最終分離層値350にセットし(S503)、その貼り合わせ基板101を楔により完全に分離する(S504)。
【0161】
図18は、分離装置100及び最終分離装置350を組み込んだ自動分離装置を概略的に示す平面図である。この自動分離装置300は、図2に示す分離装置100と、図15及び図16に示す最終分離装置350と、基板搬送ロボット340と、ローダ333と、第1アンローダ332と、第2アンローダ331と、芯出し装置370と、エアーブロー装置361とを備える。
【0162】
分離装置100は、ジェット構成媒体(例えば、水)が飛散することを防止するためにチャンバー310内に配置されている。このチャンバー310には、第1工程の実行前及び実行後に貼り合わせ基板101を出し入れするためにシャッター320が設けられている。
【0163】
分離処理に先立って、ローダ333上には、未処理の貼り合わせ基板101を収容したキャリア336が載置され、第1及び第2アンローダ332及び331上には、分離後の基板を収容するための空のキャリア335及び334が夫々載置される。
【0164】
芯出し装置370は、シリンダ372により、貼り合わせ基板101の形状に適合する円弧状の面を有するガイド部材371を押し出して、該ガイド部材371とガイド部材373との間に貼り合わせ基板101を挟むことにより、貼り合わせ基板101の芯出しを行う。この実施の形態では、芯出し装置370と最終分離装置370が一体化されており、第1工程を経た貼り合わせ基板101の芯出しを行った後に、そのまま該貼り合わせ基板101の一部を保持して、楔351により最終的な分離を行うことができる。なお、図18においては、図15及び図16に示す第2支持部材356等は省略されている。
【0165】
基板搬送ロボット340は、ロボットハンド341により貼り合わせ基板101又は分離後の各基板を保持して各装置又はキャリアに搬送する。ロボットハンド341は、保持した基板を垂直にしたり、裏返したりする機能を有する。
【0166】
図19は、自動分離装置300による分離処理を概略的に示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、不図示のコントローラにより制御される。また、この処理は、ローダ333上に未処理の貼り合わせ基板101を収容したキャリア336が載置され、第1及び第2アンローダ332及び331上に、分離後の基板を収容するための空のキャリア335及び334が夫々載置された後に実行される。
【0167】
まず、搬送ロボット340によりローダ333上のキャリア336から貼り合わせ基板101を取り出して、芯出し装置370により、その貼り合わせ基板101の芯出しを行う(S601)。次いで、シャッター320を開いて(S602)、ロボットハンド341を90度回転させることにより、芯出しを終えた貼り合わせ基板101の面を垂直にし、分離装置100にセットする(S603)。
【0168】
次いで、シャッター320を閉じて(S604)、ジェットの噴射を開始し(S605)、ノズル102を待機位置311より移動経路312に沿って貼り合わせ基板101の中心上に移動させて第1工程の分離処理を開始する(S606)。なお、第1工程の分離処理としては、第1乃至第4のいずれかの実施の形態に係る第1工程が好適である。
【0169】
所定時間が経過して、所定領域を未分離領域として残した分離処理が完了したら、ノズル102を移動経路312に沿って待機位置311に戻し(S607)、ジェットの噴射を停止する(S608)。
【0170】
次いで、シャッター320を開いて(S609)、ロボットハンド341により分離装置100から貼り合わせ基板101を受け取り、これを90度回転させることによって水平にして最終分離装置350(芯出し装置370)に引き渡し(S610)、シャッター320を閉じる(S611)。
【0171】
次いで、芯出し装置370により、その貼り合わせ基板101の芯出しを行い、そのまま第1及び第2支持部材353及び356(図15及び図16参照)により保持する(S612)。次いで、その貼り合わせ基板101の隙間に楔351を挿入することにより完全に分離し(S613)、エアブロー装置361により、各基板、最終分離装置350及び芯出し装置370から分離の際に生じた屑等を取り除く(S614)。
【0172】
次いで、分離された上側の基板101cをロボットハンド341により裏返して(180度回転)、アンローダ332上のキャリア335に収容する(S615)。また、分離された下側の基板101aをロボットハンド341によりアンローダ331上のキャリア334に収容する(S616)。
【0173】
以上の処理により1枚の貼り合わせ基板101の分離が完了する。未処理の貼り合わせ基板101が残っている場合には、上記の処理を繰り返せばよい。
【0174】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、内部に分離用の層を有する基板等の試料を分離する際に欠陥が発生することを防止するために好適な分離方法を提供することができる。
【0175】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施の形態に係るSOI基板の製造を方法を工程順に説明する図である。
【図2】本発明の好適な実施の形態に係る分離装置の概略構成を示す図である。
【図3】貼り合わせ基板を一定速度で回転させながら2枚の基板に分離する処理により生じることがある欠陥を模式的に示す図である。
【図4】第1の実施の形態の第1工程により貼り合わせ基板が部分的に分離される様子を模式的に示す図である。
【図5】第1の実施の形態の第2工程により貼り合わせ基板が完全に分離される様子を模式的に示す図である。
【図6】第1の実施の形態における分離装置の制御手順を概略的に示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態の第1工程により貼り合わせ基板が部分的に分離される様子を模式的に示す図である。
【図8】第2の実施の形態の第2工程により貼り合わせ基板が完全に分離される様子を模式的に示す図である。
【図9】第2の実施の形態における分離装置の制御手順を概略的に示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態の第1工程により貼り合わせ基板が部分的に分離される様子を模式的に示す図である。
【図11】第3の実施の形態における分離装置の制御手順を概略的に示すフローチャートである。
【図12】第4の実施の形態の第1工程により貼り合わせ基板が部分的に分離される様子を模式的に示す図である。
【図13】第4の実施の形態の第2工程により貼り合わせ基板101が完全に分離される様子を模式的に示す図である。
【図14】第4の実施の形態における分離装置の制御手順を概略的に示すフローチャートである。
【図15】第5の実施の形態に係る最終分離装置の構成を概略的に示す図である。
【図16】第5の実施の形態に係る最終分離装置の構成を概略的に示す図である。
【図17】第1工程用の分離装置及び第2工程用の最終分離装置を用いた分離処理の流れを概略的に示す図である。
【図18】第1工程用の分離装置及び第2工程用の最終分離装置を組み込んだ自動分離装置を概略的に示す平面図である。
【図19】自動分離装置による分離処理を概略的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
11 単結晶Si基板
12 多孔質Si層
13 非多孔質単結晶Si層
14 単結晶Si基板
15 絶縁層
100 分離装置
101 貼り合わせ基板
101b 多孔質層
101d,101e 欠陥
103,104 回転軸
108,111 ベアリング
109 支持台
110 モータ
112 エアシリンダ
113 シール部材
120,150 基板保持部
181,182 吸引孔
104a,103a 回転シール部
104b,103b 真空ライン
190 コントローラ
191 シリンダ駆動部
201 分離領域と未分離領域との軌跡
202 未分離領域
203 分離領域
204 分離領域と未分離領域との軌跡
300 自動分離装置
310 チャンバー
311 待機位置
312 移動経路
320 シャッター
331,332 アンローダ
333 ローダ
334〜336 キャリア
340 搬送ロボット
341 ロボットハンド
350 最終分離装置
351 楔
352 シリンダ
353 第1支持部
354 ステージ
355 シリンダ
356 第2支持部
357 弾性部材
361 エアブロー装置
370 芯出し装置
371,373 ガイド部材

Claims (7)

  1. 内部に分離用の層を有する試料を前記分離用の層で分離する分離方法であって、
    前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、前記分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離工程と、
    前記第1の分離工程で処理された前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて前記試料を完全に分離する第2の分離工程とを有し、
    前記第1の分離工程では、前記分離用の層に直交する軸を中心として前記試料を回転させながら、前記分離用の層に向けて流体を噴射することにより前記試料を部分的に分離し、
    前記第2の分離工程では、前記試料を回転させることなく保持して、部分的な分離処理により生じた前記試料の隙間に向けて流体を噴射することにより、前記試料に残っている前記未分離領域を分離することを特徴とす分離方法。
  2. 内部に分離用の層を有する試料を前記分離用の層で分離する分離方法であって、
    前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、前記分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離工程と、
    前記第1の分離工程で処理された前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて前記試料を完全に分離する第2の分離工程とを有し、
    前記第1の分離工程では、前記分離用の層に直交する軸を中心として前記試料を回転させながら、前記試料の前記分離用の層に向けて流体を噴射することにより前記試料を部分的に分離し、
    前記第2の分離工程では、前記試料の回転を実質的に停止させて、部分的な分離処理により生じた前記試料の隙間に向けて流体を噴射することにより、前記試料に残っている前記未分離領域を分離することを特徴とす分離方法。
  3. 内部に分離用の層を有する試料を前記分離用の層で分離する分離方法であって、
    前記分離用の層の所定領域を未分離領域として残すようにして、前記分離用の層で前記試料を部分的に分離する第1の分離工程と、
    前記第1の分離工程で処理された前記試料の前記未分離領域に対して所定方向から力を作用させて前記試料を完全に分離する第2の分離工程とを有し、
    前記第2の分離工程では、部分的な分離処理により生じた前記試料の隙間に楔を挿入することにより、前記試料を完全に分離することを特徴とする分離方法。
  4. 前記試料は、前記分離用の層として脆弱な構造の層を有する板状部材であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分離方法。
  5. 前記試料は、脆弱な層を内部に有する第1の板状部材と、第2の板状部材とを貼り合わせてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分離方法。
  6. 前記脆弱な層は、多孔質層であることを特徴とする請求項に記載の分離方法。
  7. 前記第1の板状部材は、半導体基板であることを特徴とする請求項5又は6に記載の分離方法。
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