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JP4143161B2 - 部材の分離装置 - Google Patents

部材の分離装置 Download PDF

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JP4143161B2
JP4143161B2 JP08897098A JP8897098A JP4143161B2 JP 4143161 B2 JP4143161 B2 JP 4143161B2 JP 08897098 A JP08897098 A JP 08897098A JP 8897098 A JP8897098 A JP 8897098A JP 4143161 B2 JP4143161 B2 JP 4143161B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、部材の分離装置及び処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁層上に単結晶Si層を有する基板として、SOI(silicon oninsulator)構造を有する基板(SOI基板)が知られている。このSOI基板を採用したデバイスは、通常のSi基板では達成し得ない数々の優位点を有する。この優位点としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)誘電体分離が容易で高集積化に適している。
(2)放射線耐性に優れている。
(3)浮遊容量が小さく、素子の動作速度の高速化が可能である。
(4)ウェル工程が不要である。
(5)ラッチアップを防止できる。
(6)薄膜化による完全な空乏型電解効果トランジスタの形成が可能である。
【0003】
SOI構造は、上記のような様々な優位点を有するため、ここ数十年、その形成方法に関する研究が進められてきた。
SOI技術としては、古くは、単結晶サファイア基板上にSiをCVD(化学気層成長)法でヘテロエピタキシ成長させて形成するSOS(silicon on sapphire)技術が知られている。このSOS技術は、最も成熟したSOI技術として一応の評価を得たものの、Si層と下地のサファイア基板との界面における格子不整合による大量の結晶欠陥の発生、サファイア基板を構成するアルミニウムのSi層への混入、基板の価格、大面積化への遅れ等の理由により実用化が進んでいない。
【0004】
SOS技術に次いで、SIMOX(separation by ion implanted oxygen)技術が登場した。このSIMOX技術に関して、結晶欠陥の低減や製造コストの低減等を目指して様々な方法が試みられてきた。この方法としては、基板に酸素イオンを注入して埋め込み酸化層を形成する方法、酸化膜を挟んで2枚のウェハを貼り合わせて一方のウェハを研磨又はエッチングして、薄い単結晶Si層を酸化膜上に残す方法、更には、酸化膜が形成されたSi基板の表面から所定の深さに水素イオンを打ち込み、他方の基板と貼り合わせた後に、加熱処理等により該酸化膜上に薄い単結晶Si層を残して、貼り合わせた基板(他方の基板)を剥離する方法等が挙げられる。
【0005】
本出願人は、特開平5−21338号において、新たなSOI技術を開示した。この技術は、多孔質層が形成された単結晶半導体基板上に非多孔質単結晶層を形成した第1の基板を、絶縁層(SiO2)を介して第2の基板に貼り合わせ、その後、多孔質層で両基板を分離し、第2の基板に非多孔質単結晶層を移し取るものである。この技術は、SOI層の膜厚均一性が優れていること、SOI層の結晶欠陥密度を低減し得ること、SOI層の表面平坦性が良好であること、高価な特殊仕様の製造装置が不要であること、数100Å〜10μm程度の範囲のSOI膜を有するSOI基板を同一の製造装置で製造可能なこと等の点で優れている。
【0006】
更に、本出願人は、特開平7−302889号において、上記の第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後に、第1の基板を破壊することなく第2の基板から分離し、その後、分離した第1の基板の表面を平滑にして再度多孔質層を形成し、これを再利用する技術を開示した。この技術は、第1の基板を無駄なく使用できるため、製造コストを大幅に低減することができ、製造工程も単純であるという優れた利点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の技術において、量産化を容易にするには、歩留まりを低下させる要因を可能な限り排除すべきである。例えば、貼り合せた基板を多孔質層で分離する一連の処理においては、基板を落下させる危険性を排除することが重要である。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、基板等の部材の分離に好適な分離装置及び基板等の部材の処理に好適な処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る部材の分離装置は、部材の主表面の方向を変更する操作手段と、鉛直方向に束状の流体を噴射して該束状の流体によって前記部材を分離する分離手段と備え、前記操作手段は、前記部材をその主表面が水平になるように操作する機能と、該主表面が鉛直になるように操作する機能とを有し、前記操作手段は、前記部材をその主表面が水平な状態で受け取り、前記部材をその主表面を鉛直にするとともに前記分離手段が前記部材を処理可能な位置に移動させる他、前記分離手段により分離された各部材の少なくとも1つの部材の主表面を水平にすることを特徴とする。
本発明の好適な実施形態に係る部材の分離装置は、部材の主表面の方向を変更する操作手段と、束状の流体を利用して部材を分離する分離手段とを備え、前記操作手段は、部材をその主表面の方向が第1の方向に一致するように操作する機能と、該主表面の方向が第2の方向に一致するように操作する機能とを有す
【0009】
上記の分離装置において、前記操作手段は、その主表面の方向が前記第1の方向に一致する部材を受け取り、該主表面の方向を前記第2の方向に一致させると共に該部材を前記分離手段が処理可能な位置に移動させる他、前記分離手段により分離された各部材の少なくとも1つの部材の主表面の方向を前記第1の方向に一致させることが好ましい。
【0010】
上記の分離装置において、前記操作手段は、その主表面の方向が前記第1の方向に一致する部材を受け取り、該主表面の方向を前記第2の方向に一致させると共に該部材を前記分離手段が処理可能な位置に移動させる他、前記分離手段により分離された各部材の主表面の方向を夫々前記第1の方向に一致させることが好ましい。
【0011】
上記の分離装置において、前記第1の方向と前記第2の方向とが略直交することが好ましい。
上記の分離装置において、前記第1の方向は、部材の主表面が略水平になる方向であることが好ましい。
上記の分離装置において、処理対象の部材は板状部材であり、前記分離手段は、該板状部材を面方向に切断して2枚の板状部材に分離することが好ましい。
【0012】
上記の分離装置において、前記第2の方向は、板状部材の主表面が略垂直になる方向であり、前記分離手段は、板状部材に向かって流体を鉛直方向に噴射して該板状部材を2枚の板状部材に分離することが好ましい。
上記の分離装置において、前記第1の方向は、板状部材の主表面が略水平になる方向であることが好ましい。
【0013】
上記の分離装置において、前記操作手段は、前記分離手段により板状部材を分離する際に該板状部材を両面から挟むようにして保持する一対の保持手段を有することが好ましい。
上記の分離装置において、前記保持手段は、板状部材を吸着する吸着手段を有することが好ましい。
【0014】
上記の分離装置において、前記操作手段は、前記吸着手段の吸着面に平行な軸を中心として前記一対の保持手段のうち少なくとも一方を回動させる回動手段を有し、該回動手段により板状部材の主表面の方向を変更することが好ましい。
上記の分離装置において、前記操作手段は、前記吸着手段の吸着面に平行な軸を中心として前記一対の保持手段を夫々回動させる回動手段を有し、該回動手段により板状部材の主表面の方向を変更することが好ましい。
【0015】
上記の分離装置において、前記保持手段を回動させる際の中心となる軸は、前記一対の保持手段が互いに干渉しない位置に配置されていることが好ましい。
上記の分離装置において、部材をその主表面に直交する軸を中心として回転させる回転手段を更に備えることが好ましい。
上記の分離装置において、前記回転手段は、前記分離手段により部材を分離する際に該部材を回転させる手段を有することが好ましい。
【0016】
上記の分離装置において、前記分離手段は束状の液体を利用して部材を分離し、前記回転手段は、前記分離手段により分離された各部材の少なくとも1つの部材を回転させて、これにより該部材に付着している液体を除去する手段を有することが好ましい。
上記の分離装置において、前記一対の保持手段の少なくとも一方をその保持面に直交する軸を中心として回転させる回転手段を更に備えることが好ましい。
【0017】
上記の分離装置において、前記回転手段は、前記分離手段により部材を分離する際に前記保持手段を回転させることが好ましい。
上記の分離装置において、前記分離手段は束状の液体を利用して部材を分離し、前記回転手段は、前記分離手段により部材を分離した後に、前記保持手段を回転させて、これにより該保持手段によって保持された部材に付着している液体を除去することが好ましい。
【0018】
上記の分離装置において、装置を被うチャンバを更に備えることが好ましい。
上記の分離装置において、前記チャンバは、開閉可能なシャッタを有することが好ましい。
上記の分離装置において、処理対象の部材を前記操作手段に引き渡す他、分離された部材を前記操作手段から受け取るための搬送手段を更に備え、前記搬送手段は前記チャンバの外部に配置され、前記シャッタを開放した状態で、前記操作手段との間で部材の引き渡し及び受け取りを行うことが好ましい。
【0019】
上記の分離装置において、少なくとも前記分離手段により部材を分離する際には、前記シャッタを閉じることが好ましい。
上記の分離装置において、処理対象の部材を前記操作手段に対して位置合せする位置合せ手段を更に備えることが好ましい。
上記の分離装置において、分離対象の部材は、分離用の層として脆弱な層を有し、該脆弱な層は該部材の主表面に略平行な層であることが好ましい。
【0020】
本発明に係る部材の処理装置は、部材の主表面の方向を変更する操作手段と、部材をその主表面に直交する軸を中心として回転させる回転手段と、前記回転手段により部材を回転させた状態で該部材を処理する処理手段とを備え、前記操作手段は、その主表面の方向が前記第1の方向に一致する部材を受け取り、該主表面の方向を前記第2の方向に一致させると共に該部材を前記処理手段が処理可能な位置に移動させる他、前記処理手段により処理された部材の主表面の方向を前記第1の方向に一致させることを特徴とするとする。
【0021】
上記の処理装置において、前記第1の方向と前記第2の方向とが略直交することが好ましい。
上記の処理装置において、前記第1の方向は、部材の主表面が略水平になる方向であることが好ましい。
上記の処理装置において、前記処理手段は液体により部材を処理し、前記回転手段は、前記処理手段により部材が処理された後に、該部材を回転させて、これにより該部材に付着している液体を除去することが好ましい。
【0022】
本発明に係る他の処理装置は、部材を保持する保持手段と、前記保持手段の保持面の方向を変更する操作手段と、前記保持手段によって保持された部材を処理する処理手段と、前記処理手段により部材を処理する際及び/又は処理の終了後に、前記保持面に直交する軸を中心として、該部材を保持している前記保持手段を回転させる回転手段とを備え、前記操作手段は、前記保持手段が処理対象の部材を受け取る際は前記保持手段の保持面の方向を第1の方向に一致させ、前記保持手段が該部材を受け取って保持した後に、前記保持手段の保持面の方向を第2の方向に一致させると共に前記処理手段が該部材を処理可能な位置に前記保持手段を移動させ、前記処理手段による処理が完了した後に、前記保持手段の保持面の方向を前記第1の方向に一致させることを特徴とする。
【0023】
上記の他の処理装置において、前記第1の方向と前記第2の方向とが略直交することが好ましい。
上記の他の処理装置において、前記第1の方向は、部材の主表面が略水平になる方向であることが好ましい。
上記の他の処理装置において、前記処理手段は液体により部材を処理し、前記回転手段は、前記処理手段により部材が処理された後、該部材を回転させて、これにより該部材に付着している液体を除去することが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明の好適な実施の形態に係るSOI基板の製造方法を工程順に説明する図である。
図1(a)に示す工程では、単結晶Si基板11を準備して、その表面に陽極化成等により多孔質Si層12を形成する。次いで、図1(b)に示す工程では、多孔質Si層12上に非多孔質単結晶Si層13をエピタキシャル成長法により形成する。その後、その表面を酸化することによりSiO2層15を形成する。これにより、第1の基板(▲1▼)が形成される。
【0025】
図1(c)に示す工程では、単結晶Siの第2の基板(▲2▼)を準備し、第1の基板(▲1▼)と第2の基板(▲2▼)とを、第2の基板14と絶縁層15とが面するように室温で密着させる。その後、陽極接合、加圧若しくは熱処理又はこれらを組合わせた処理により第1の基板(▲1▼)と第2の基板(▲2▼)とを貼り合わせる。この処理により、第2の基板14と絶縁層15が強固に結合される。なお、絶縁層15は、上記のように非多孔質単結晶Si層13側に形成しても良いし、第2の基板14上に形成しても良く、両者に形成しても良く、結果として、第1の基板と第2の基板を密着させた際に、図1(c)に示す状態になれば良い。
【0026】
図1(d)に示す工程では、貼り合わせた2枚の基板を、多孔質Si層12の部分で分離する。これにより、第2の基板側(▲1▼’’+▲2▼)は、多孔質Si層12’’/単結晶Si層13/絶縁層15/単結晶Si基板14の積層構造となる。一方、第1の基板側(▲1▼’)は、単結晶Si基板11上に多孔質12’を有する構造となる。
【0027】
分離後の基板(▲1▼’)は、残留した多孔質Si層12’を除去し、必要に応じて、その表面を平坦化することにより、再び第1の基板(▲1▼)を形成するための単結晶Si基板11として使用される。
貼り合わせた基板を分離した後、図1(e)に示す工程では、第2の基板側(▲1▼’’+▲2▼)の表面の多孔質層12’’を選択的に除去する。これにより、単結晶Si層13/絶縁層15/単結晶Si基板14の積層構造、すなわち、SOI構造を有する基板が得られる。
【0028】
第2の基板としては、例えば、単結晶Si基板の他、絶縁性基板(例えば、石英基板)や光透過性基板(例えば、石英基板)等が好適である。
この実施の形態では、2枚の基板を貼り合せた後にこれを分離する処理を容易にするために、分離領域に脆弱な構造の多孔質層12を形成するが、この多孔質層の代わりに、例えば微小気泡層を形成してもよい。微小気泡層は、半導体基板にイオンを注入することにより形成することができる。
【0029】
この実施の形態においては、図1(d)に示す工程、すなわち、貼り合わせた2枚の基板(以下、貼り合わせ基板)を分離する工程において、貼り合せ基板の分離領域に高圧の液体又は気体(流体)を挟入させることにより多孔質層を破壊して、これにより貼り合せ基板を2枚の基板に分離する。
[分離装置の原理]
まず、本発明の好適な実施の形態に係る分離装置の原理を説明する。この実施の形態に係る分離装置は、ウォータージェット法を適用したものである。一般に、ウォータジェット法は、水を高速、高圧の束状の流れにして対象物に対して噴射して、加工、表面の塗膜の除去、表面の洗浄等を行う方法である(「ウォータージェット」第1巻1号第4ページ参照)。
【0030】
この分離装置は、貼り合わせ基板の多孔質層(分離領域)に対して、基板の面方向に、高速、高圧の液体又は気体(流体)を束状の流れにして噴射して、多孔質層を選択的に崩壊させることにより、多孔質層の部分で基板を分離するものである。以下では、この束状の流れを「ジェット」という。また、ジェットを構成する液体又は気体(流体)を「ジェット構成媒体」という。ジェット構成媒体としては、水、アルコール等の有機溶媒、弗酸、硝酸その他の酸、水酸化カリウムその他のアルカリ、空気、窒素ガス、炭酸ガス、希ガス、エッチングガスその他の気体を使用し得る。
【0031】
図2は、本発明の好適な実施の形態に係る分離装置の原理を示す図である。この分離装置は、基板を支持するための一対の基板保持部22及び23を有する。基板保持部22,23には、夫々回転軸24、25が連結されている。また、基板保持部22,23は、夫々回転軸26,27を中心として回動可能に支持されている。
【0032】
貼り合せ基板21を2枚の基板21a,21cに分離するには、まず、図2(a)に示すように、基板保持部22,23の基板支持面を水平にする。そして、一方の基板保持部22の上の所定位置に貼り合せ基板21を載置し基板支持面に吸着させる。
次いで、図2(b)に示すように、両基板保持部22,23を夫々回転軸26,27を中心として回動させて対向させ、両基板保持部22,23により貼り合せ基板21を挟むようにして保持する。このとき、両基板保持部22,23の基板支持面は垂直になる。
【0033】
この状態で、噴射ノズル28からジェット構成媒体(例えば、水)29を噴射させて貼り合せ基板21の分離領域(多孔質領域)に挟入させると共に回転軸24,25を中心として貼り合せ基板21を回転させる。これにより、貼り合せ基板21は、2枚の基板21a,21cに分離される。
次いで、図2(c)に示すように、回転軸26,27を中心として、基板保持部22,23を夫々の基板支持面が水平になるまで回動させる。なお、この動作は、基板保持部22に基板21aを吸着させ、基板保持部23に基板21cを吸着させて行う。
【0034】
ここで、ジェット構成媒体として、例えば水等の液体を使用する場合は、回転軸24,25を中心として基板保持部22,23を夫々高速に回転させることにより、分離後の各基板21a,21cを乾燥させることができる。
回転軸26,27は、夫々、図2(b)に示す状態、すなわち、両基板保持部22,23により挟持した状態において、貼り合せ基板21の面を軸方向に投影した空間(投影空間)30の外部に配置する必要がある。これは、両基板保持部22,23が互いに干渉することを避けるためである。ただし、基板保持部22及び23のいずれか或いは双方を水平方向に移動させる機構を設ける場合は、基板保持部22,23を投影空間30内に配置することも可能である。
【0035】
上記の分離装置によれば、貼り合せ基板21を水平にした状態で分離装置に引き渡し、分離後の基板21a,21cを水平な状態で分離装置から受け取ることができる。このように、基板を水平にした状態で受け渡しすることを可能にすることにより、基板を下方から支持することが可能になるため、搬送時や受け渡し持に基板を落下させる危険性が低減される。
【0036】
以下、本発明の好適な実施の形態に係る分離装置の具体的な構成例を挙げる。
[分離装置の第1の構成例]
図3乃至図7は、第1の構成例に係る分離装置の概略構成を示す図である。この分離装置100は、基板を操作するための一対の基板操作部150及び160を備える。
【0037】
基板操作部150,160は、夫々基板を支持するための基板保持部108,109を有する。基板保持部108,109は、基板を吸着する機構として真空吸着用の溝108a,109aを有し、各溝108a,109aは、回転軸106,107の中を通る真空ラインに夫々通じている。この真空ラインは、ロータリー真空継手を介して外部の真空ラインに接続されている。
【0038】
処理対象の貼り合せ基板101は、内部に脆弱な構造部である多孔質層101bを有し、この多孔質層101bの部分で2つの基板101a,101cに分離される。
貼り合せ基板101を分離する際は、図5に示すように、2つの基板保持部108a,109aにより貼り合せ基板101を挟むようにして垂直に支持する。
【0039】
この分離装置100においては、例えば、基板101aが図1(d)における第1の基板側(▲1▼’)、基板101cが第2の基板側(▲1▼’’+▲2▼)になるようにセットする。
基板保持部108は、ベアリング104を介して軸支持部102に回転可能に軸支された回転軸106の一端に連結され、この回転軸106の他端は駆動源114に連結されている。この駆動源114としては、例えばモータが好適である。分離処理に際して、貼り合せ基板101は、この駆動源114から伝達される回転力により回転される。この駆動源114は、不図示の制御器からの命令に従って、指定された回転速度で回転軸106を回転させる。
【0040】
一方、基板保持部109は、ベアリング105を介して軸支持部103に回転可能に軸支された回転軸107の一端に連結され、この回転軸107の他端は駆動源115に連結されている。この駆動源115としては、例えばモータが好適である。分離処理に際して、貼り合せ基板101は、この駆動源115から伝達される回転力により回転される。この駆動源115は、不図示の制御器からの命令に従って、回転軸106の回転と同期させて回転軸107を回転させる。このように、回転軸106及び107を同期して回転させるのは、貼り合せ基板101がねじられることを防止するためである。
【0041】
ここで、上記のように、回転軸106,107に夫々別個の駆動源を連結してもよいが、1つの駆動源を設けて、この1つの駆動源が発生する回転力を分配して回転軸106,107に夫々供給することもできる。この場合、回転軸106及び107を同期して回転させることが容易になる。
また、回転軸106及び107のうち、いずれか一方のみを駆動する構成を採用することもできる。例えば、回転軸106を駆動する駆動源114のみを設けた場合、貼り合せ基板101が分離される前の状態においては、回転軸106、基板保持部108、貼り合せ基板101、基板保持部109及び回転軸107は、一体化して回転する。そして、貼り合わせ基板101が2枚の基板に分離されることにより、回転軸107側の各部は静止することになる。
【0042】
回転軸107側の軸支持部103の内部には、貼り合せ基板101を押圧するためのバネ111が設けられている。したがって、貼り合わせ基板101は、バネ111により、基板101aを基板101cに押し付ける方向(x軸の負の方向)に力を受ける。その結果、噴射ノズル110からのジェットにより貼り合わせ基板101が2枚の基板101a,101cに分離された後において、2枚の基板101a,101cが基板保持部109,108に真空吸着されていない場合であっても、両基板101a,101cが落下することはない。
【0043】
この実施の形態では、バネ111が基板101aを基板101cに押し付ける方向(x軸の負の方向)に力を加えているが、例えばバネの配置位置を変更することにより、基板101aを基板101cから引き離す方向に(x軸の正の方向)に力を加えてもよい。この場合、貼り合わせ基板101が噴射ノズル110からのジェットにより2枚の基板101a,101cに物理的に分離された場合、基板101aが基板101cから引き離されることになる。
【0044】
この分離装置100は、基板保持部108,109間の間隔を調整するための調整機構を備える。以下に該調整機構の具体例を挙げる。
図8は、調整機構の第1の構成例を示す図である。図8に示す調整機構は、エアシリンダ122を用いた調整機構である。エアシリンダ122は、軸支持部103に固定されており、そのピストンロッド121を収容(駆動)することにより駆動源(例えば、モータ)115を引っ張り、一方、ピストンロッド121の駆動を解除することにより、バネ111の力を回転軸107に作用させて基板を押圧することができる。
【0045】
図9は、調整機構の第2の構成例を示す図である。図9に示す構成例は、偏心カム131及びモータを用いた調整機構である。偏心カム131は不図示のモータに連結されており、駆動源115の後端に連結された駆動板132を摺動させることにより基板保持部108,109間の間隔を調整する。回転軸107には、バネ111により、基板を押圧する方向に力が作用している。したがって、貼り合せ基板101を保持し、それを2枚の基板に分離する際には、図9に示すように、偏心カム131による駆動板132の拘束を解除する向き、すなわち、偏心カム131と駆動板132との間に間隙が生る向きに偏心カム131を回動させることにより、バネ111による押圧力を貼り合せ基板101に作用させることができる。
【0046】
なお、バネ111の代わりに、貼り合せ基板101を引っ張る方向に作用するバネを設けた場合においても、基板保持部108,109間の間隔を調整する調整機構を設ける必要がある。この場合の調整機構は、貼り合せ基板101を基板保持部109の基板支持面に吸着させるために、基板保持部109を押し出して貼り合せ基板101に接触させる際に使用される。
【0047】
この分離装置100は、回転軸112,113を回動させることにより基板操作部150,160を回動させる駆動源(例えば、モータ)151,161を備える。この駆動源151,161は、例えば、分離装置100の本体のフレームに固定されている。
この分離装置100は、図3に示すように、駆動源151,161により夫々基板操作部150,160を回転軸112,113を中心として回動させて、基板保持部108,109の基板支持面を水平にしたり、垂直にしたりすることができる。
【0048】
なお、基板操作部150,160の双方に駆動源を設ける代わりに、1つの駆動源を設けて、この駆動源の出力を分配して、各基板操作部150,160を駆動してもよい。
この分離装置100では、基板保持部108,109で貼り合せ基板101を挟持した状態(垂直に支持した状態)において、貼り合せ基板101をその軸方向に投影した空間(投影空間)の外部に回転軸112,113を配置している。また、回転軸112,113は、基板保持部108,109の基板支持面に平行な方向(y軸方向)に配置されている。したがって、基板操作部150,160は互いに干渉することなく動作し、そのため貼り合せ基板101又は分離後の基板101a及び101cに損傷を与えることがない。
【0049】
ここで、基板保持部109を軸支持部103側に退出させることができる距離を大きくすれば、上記投影空間内に回転軸112,113を配置した場合においても、基板操作部150,160が互いに干渉することを避けることができる。以下、この分離装置100による貼り合せ基板の分離処理の一連の手順を説明する。
【0050】
まず、図3に示すように、基板保持部108,109の基板支持面が夫々水平になるように、基板操作部150,160を駆動源151,161により駆動する。また、例えば図8又は図9に示す調整機構により、図3に示すように、基板保持部109を軸支持部103に収容させる。この状態で、一方の基板保持部108上に貼り合せ基板101を載置して、溝108a内を減圧することにより、その基板支持面に貼り合せ基板101を吸着させる。ここで、貼り合せ基板101は、その中心が基板保持部108の中心に一致するようにして基板保持部108上に載置することが好ましい。
【0051】
次いで、図4に示すように、基板保持部108,109の基板支持面が夫々垂直になるように、基板操作部150,160を駆動源151,161により回動させる。
次いで、図5に示すように、バネ111の作用により基板保持部109を軸支持部103から押し出すことにより、基板保持部109により貼り合せ基板101を押圧する。この動作は、図8又は図9に示す構成例を採用する場合、エアシリンダ122又は偏心カム131による回転軸107の拘束を解除することにより行うことができる。
【0052】
この状態で、貼り合せ基板101を基板保持部108,109の双方で真空吸着してもよいし、いずれか一方でのみ真空吸着してもよい。また、バネ111による押圧力が十分であれば、真空吸着することなく、押圧力のみにより貼り合せ基板101を保持することも可能である。
次いで、駆動源114及び115を同期して動作させて、これにより貼り合せ基板101を回転させる。そして、不図示の高圧ポンプよりジェット構成媒体(例えば、水)を圧縮して噴射ノズル110に送り込み、貼り合せ基板101の分離領域である多孔質層101bに対して、例えば鉛直方向にジェットを挟入させる。このように、貼り合せ基板101を回転させながら多孔質層101bにジェットを挟入することにより、貼り合せ基板101は、2枚の基板101a,101cに分離される。
【0053】
貼り合せ基板101が物理的に2枚の基板に分離された後、図6に示すように、例えば図8又は図9に示す調整機構により、基板保持部109を軸支持部103側に退出させる。これにより、物理的に2枚に分離された基板101a,101cは、空間的に引き離される。ここで、貼り合せ基板101の分離の際に基板101a,101cを夫々基板保持部109,108に吸着しない場合には、基板保持部109を軸支持部103側に退出させる前に基板101a,101cを夫々基板保持部109,108に吸着させる必要がある。
【0054】
次いで、図7に示すように、駆動源151,161により基板操作部150,160を夫々回転軸112,113を中心として回動させて、基板保持部108,109の基板支持面を水平にする。これにより、両基板101a,101cは水平に支持される。
ここで、ジェット構成媒体として液体を採用して分離処理を実行する場合には、分離された両基板101a,101cにはジェット構成媒体が残存している。そこで、基板保持部108,109を夫々駆動源114,115により高速に回転させることにより、各基板108,109に付着したジェット構成媒体を除去して各基板を乾燥させることが好ましい(スピン乾燥)。ここで、スピン乾燥の際には、2つの基板操作部150,160間に、飛散するジェット構成媒体を遮蔽するための遮蔽板を配置することが好ましい。
【0055】
なお、基板101a,101cを他の乾燥装置に移して、該他の乾燥装置により乾燥させてもよい。いずれか一方の基板を廃棄する場合には、廃棄する基板は、必ずしも乾燥させる必要はない。
上記のように、この分離装置100では、貼り合せ基板を垂直に保持して分離処理を実行する。この1つの理由は、ジェットの噴射方向を鉛直方向にしない場合、ジェットの軌跡が重力により下方に曲がり、ジェットを貼り合せ基板の所望の位置(分離領域)に挟入させることが困難であるという点にある。もう1つの理由は、貼り合せ基板の分離面(多孔質層)をジェットの方向と平行にすることにより該分離面にジェットを効率的に作用させ、分離処理を効率化することができる点にある。
【0056】
この分離装置100によれば、基板操作部150,160を設けることにより、貼り合せ基板101を垂直に保持して分離処理を実行することができる一方、貼り合せ基板を水平にして該分離装置100に引き渡し、分離された各基板を水平な状態で受け取ることが可能になる。したがって、基板の受け渡しの際に、基板を下方から支持することができるため、基板を落下させる危険性を低減することができる。一方、貼り合せ基板を垂直にして分離装置に引き渡さなければならない機構や分離後の基板を垂直な状態で受け取らなければならない機構を採用した場合、基板を落下させる危険性があると言える。
【0057】
また、この分離装置によれば、基板保持部108,109の基板支持面を水平にした状態において、基板支持面上に広い空間を確保することができるため、基板の引き渡し又は受け取りが容易になる。
[分離装置の第2の構成例]
この構成例は、第1の構成例に係る分離装置100を組み込んだ自動分離装置に係り、カセットに収容された貼り合せ基板を取り出して分離装置100に引き渡し、該分離装置100において貼り合せ基板101を2枚の基板に分離し、この分離された各基板を他のカセットに収容する一連の動作を自動で実行する。
【0058】
図10乃至図13は、第2の構成例に係る自動分離装置の概略的な構成を示す図である。より具体的には、図10は、貼り合せ基板101を分離装置100にセットする様子を模式的に示す平面図、図11は、図10を側方から見た図、図12は、貼り合せ基板を分離する際の状態を模式的に示す平面図、図13は、図12を側方から見た図である。
【0059】
この構成例に係る自動分離装置は、第1の構成例に係る分離装置100と、貼り合せ基板及び分離後の各基板を搬送する搬送装置500とを備える。
分離装置100は、チャンバ400内に配置し、チャンバ400と搬送装置500との間にシャッタ503を設けることが好ましい。そして、貼り合せ基板101を分離装置100にセットする際及び分離された各基板を取り出す際はシャッタ503を開き、分離処理の際はシャッタ503を閉じることが好ましい。これにより、分離処理の際に、ジェット構成媒体(例えば、水)がチャンバ400の外部に飛散することを防止することができる。
【0060】
搬送装置500は、貼り合せ基板101及び分離後の各基板を搬送ロボット501と、貼り合せ基板101を基板保持部108に対して位置合せするための位置合せ装置507とを有する。
分離処理を実行する際には、1又は複数枚の貼り合せ基板101を収容したカセット504と、分離後の基板101a,101cを収容するための空のカセット505及び506とを搬送装置500内の所定の位置に載置する。この際、カセット504は、貼り合せ基板が水平になるようにして、その開口部を搬送ロボット501に向けて載置する。また、カセット505,506は、分離後の各基板を水平な状態で収容可能なようにして、その開口部を搬送ロボット501に向けて載置する。
【0061】
以下、この自動分離装置における分離処理の手順を説明する。
まず、オペレータは、貼り合せ基板101が収容されたカセット504、空のカセット505及び506を搬送装置500内の所定の位置に載置する。そして、不図示の制御パネルを介してオペレータより分離処理の開始が指示されると、この自動分離装置は、以下の一連の処理を開始する。
【0062】
まず、分離装置100は、図10及び図11に示すように、各基板支持面が水平になるように、基板操作部150,160を回動させる。
次いで、搬送ロボット501は、吸着機構を有するロボットハンド502により、カセット504内の該当する貼り合せ基板101の下部に差し込み、その下部を吸着して貼り合せ基板101を取り出す。
【0063】
次いで、搬送ロボット501は、吸着した貼り合せ基板101を位置合せ装置507の支持台上に載置し、吸着を解除する。位置合せ装置507は、対向する2つのガイド部材により、貼り合せ基板101の中心位置を基準位置に合せる。次いで、搬送ロボット501は、位置合せ装置507の支持台上の貼り合せ基板101の下部を吸着して保持し、ロボットハンド502を分離装置100の基板保持部108に向かって伸ばして、図10及び図11に示すように、基板保持部108上の所定位置に貼り合せ基板101をセットする。このように、位置合せ装置507を設けることにより、貼り合せ基板101を基板保持部108に対して位置合せすることができる。
【0064】
なお、搬送ロボット501が貼り合せ基板101を基板保持部108上にセットする際、シャッタ503は開放される。
位置合せ装置507により1枚毎に貼り合せ基板101の位置合せを行うことにより、基板保持部108上の正確な位置に各貼り合せ基板101をセットすることができる。これにより、貼り合せ基板101の中心を回転軸106の中心軸に一致させることができるため、貼り合せ基板101を回転させながら分離する際に、噴射ノズル110と貼り合せ基板101の外周との距離が一定に維持される。したがって、貼り合せ基板101の全周にわたってジェットを一様に作用させることができる。
【0065】
基板保持部108への貼り合せ基板101のセットが完了すると、搬送ロボット501は、そのロボットハンド502を収容し、その後、シャッタ503が閉じられる。
一方、分離装置100は、基板操作部150,160を夫々駆動源151,161により回動させて、図12及び図13に示すように、貼り合せ基板101を垂直にし、基板保持部108,109により貼り合せ基板101を挟持すると共に真空吸着する。
【0066】
次いで、分離装置100は分離処理を実行する。すなわち、分離装置100は、駆動源114,115’により貼り合せ基板101を回転させると共に、噴射ノズル110によりジェットを噴射させて貼り合せ基板101の分離領域(多孔質領域101b)に挟入させる。この分離処理により、貼り合せ基板101は、2枚の基板101a,101cに分離される。なお、駆動源115’には、前述の駆動源115の他、図8又は図9に示す調整機構が含まれる。
【0067】
貼り合せ基板101が2枚の基板101a,101cに分離された後、分離装置100は、前述の調整機構により2枚の基板101a,101cを引き離した後、駆動源151,161により基板操作部150,160を回動させて、基板保持部108,109の基板支持面を水平にする。
次いで、基板保持部108,109を夫々駆動源114,115’により高速に回転させることにより、分離後の各基板に付着しているジェット構成媒体を除去する(スピン乾燥)。
【0068】
次いで、シャッタ503を開放し、搬送ロボット501は、基板保持部108上の基板101cの下方にロボットハンド502を伸ばし、この基板101cの下方の面を吸着して保持し、カセット505内に収容する。同様にして、搬送ロボット501は、基板保持部109上の基板101aの下方にロボットハンド502を伸ばし、この基板101aの下方の面を吸着して保持し、カセット506内に収容する。
【0069】
以上の処理により、1枚の貼り合せ基板の分離処理が完了する。この自動分離装置は、以上の処理を未処理の貼り合せ基板について繰り返すことにより、カセット504内の全貼り合せ基板を分離することができる。
この自動分離装置によれば、貼り合せ基板を収容したカセットと、空の2つのカセットを準備して搬送装置500にセットして、分離処理の実行を指示することにより、自動的に分離処理が実行され、2つの回収用のカセットに分離し乾燥された2種類の基板が分類して収容される。
【0070】
以上のように、分離処理を自動で実行させる場合においても、搬送装置と分離装置との間で基板を水平な状態で受け渡しできる構成の利益は大きい。
この利益は、搬送装置と分離装置との間で基板を垂直な状態で受け渡しする場合を考えると理解し易い。この場合、搬送ロボットは、基板を正確に垂直にして基板保持部に引き渡さないと、基板保持部により貼り合せ基板の吸着を確実に行うことが困難であり、場合によっては、貼り合せ基板を落下させることになる。また、分離された基板を搬送ロボットが受け取る時も同様であり、ロボットハンドの基板保持面と基板とを正確に平行にしないと、ロボットハンドへの基板の吸着を確実に行うことが困難である。
【0071】
[分離装置の適用例]
以下、上記の分離装置の適用例として、図1を参照しながらSOI基板の製造方法を説明する。
単結晶Si基板11として、厚さ625[μm]、直径5[inch]、比抵抗0.01[Ω・cm]のP型又はN型の(100)単結晶Si基板を準備した。この単結晶Si基板11をHF溶液に浸漬して陽極化成を施して、厚さ12[μm]の多孔質層12を形成した(図1(a)参照)。陽極化成の条件は次の通りである。
【0072】
電流密度 :7[mA/cm2
陽極化成溶液:HF:H2O:C25OH=1:1:1
処理時間 :11[min]
次いで、この基板を酸素雰囲気中で400[℃]に加熱し、1時間にわたって酸化させた。この処理により多孔質Si層12の孔の内壁は熱酸化膜で覆われた。次いで、多孔質Si層12上にCVD法により0.3μm厚の単結晶Si層13をエピタキシャル成長させた。このエピタキシャル成長の条件は次の通りである。
【0073】
ソースガス :SiH4
キャリアガス:H2
温度 :850[℃]
圧力 :1×10-2[torr]
成長速度 :3.3[nm/sec]
更に、この単結晶Si層(エピタキシャルSi層)13上に0.2μmのSiO2層15を形成した(図1(b)参照)。そして、単結晶Si基板14を別途準備し、SiO2層15の表面と単結晶Si基板14とを室温で密着させた後に温度1100[℃]で1時間の熱処理を施し、2枚の基板を貼り合わせた(図1(c)参照)。
【0074】
この貼り合わせ基板をカセット504に収容し、上記の第2の構成例に係る自動分離装置の搬送装置500にセットし、分離処理を実行させた(図1(d)参照)。この際、ジェット構成媒体として純水を使用し、ジェットの径を0.2[mm]、噴射する水の圧力を350[Kgf/cm2]とした。また、噴射ノズルの位置を貼り合わせ面の直上に固定して分離処理を行った。また、貼り合わせ基板は約8[rpm]の速度で回転させた。
【0075】
貼り合わせ基板のほとんどは、略5回転した時点で完全に分離されるが、基板間のばらつきを考慮して、約2分間、貼り合せ基板を回転させながらジェットを挟入させるよう自動分離装置を設定した。
バネ111の作用により、貼り合せ基板が2枚の基板に分離された後においても該2枚の基板は密着し続ける。貼り合せ基板の分離処理を開始した後、所定時間の経過後、一方の基板保持部109が軸支持部103側に後退し、これにより、物理的に分離された2枚の基板は空間的に引き離された。各基板には、傷、割れ、欠損がなかった。
【0076】
次いで、分離されカセット505に夫々収納された基板(▲1▼''+▲2▼)を取り出して、表面の多孔質Si層をHF/H22/H2O系のエッチング液で選択的にエッチングした。単結晶Siのエッチング速度は極めて低いため、多孔質Si層の下地となっている単結晶Si基板がエッチングされる量は、実用上無視することができる。このエッチング処理により、SiO2膜15上に約0.2μmの厚さの単結晶Si層13を有するSOI基板を形成することができた(図1(e)参照)。
【0077】
完成したSOI基板の表面、すなわち、単結晶Si層15の表面には不良がないことが確認された。また、透過型電子顕微鏡により、単結晶Si層15の断面を観察した結果、エピタキシャル成長以後の工程で結晶欠陥等が増加しておらず、良好な結晶性が維持されていることが確認された。
なお、単結晶Si層(エピタキシャル層)13側の表面にSiO2膜を形成する代わりに、1)単結晶Si層13側の表面にSiO2膜を形成せずに、別途用意した単結晶Si基板側にSiO2膜を形成した場合、2)単結晶Si層13側の表面にSiO2膜を形成すると共に、別途用意した単結晶Si基板側にもSiO2膜を形成した場合、のいずれにおいても、同様に良好なSOI基板を形成することができた。
【0078】
多孔質Si層を形成した基板(単結晶Si基板11)に関しては、表面の多孔質Si層を除去し、表面を平坦化することにより、再度、第1の基板又は第2の基板として利用することができた。
以上、本発明の好適な実施の形態として、SOI基板の製造に好適な基板の分離装置及び分離方法について説明したが、本発明に係る分離装置及び分離方法は、他の部材を分離或いは切断する場合にも使用できる。分離する対象となる部材は、例えば多孔質層のように、脆弱な分離領域を有することが好ましい。
【0079】
以上、特定の実施の形態を挙げて特徴的な技術的思想を説明したが、本発明は、これらの実施の形態に記載された事項によって限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において様々な変形をなし得る。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、基板等の部材を落下させる危険性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施の形態に係るSOI基板の製造方法を工程順に説明する図である。
【図2】本発明の好適な実施の形態に係る分離装置の原理を示す図である。
【図3】第1の構成例に係る分離装置の概略構成を示す図である。
【図4】第1の構成例に係る分離装置の概略構成を示す図である。
【図5】第1の構成例に係る分離装置の概略構成を示す図である。
【図6】第1の構成例に係る分離装置の概略構成を示す図である。
【図7】第1の構成例に係る分離装置の概略構成を示す図である。
【図8】第1の構成例に係る基板保持部間の間隔の調整機構を示す図である。
【図9】第2の構成例に係る基板保持部間の間隔の調整機構を示す図である。
【図10】第2の構成に係る自動分離装置の概略構成を示す図である。
【図11】第2の構成に係る自動分離装置の概略構成を示す図である。
【図12】第2の構成に係る自動分離装置の概略構成を示す図である。
【図13】第2の構成に係る自動分離装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
11 単結晶Si基板
12,12’,12’’ 多孔質Si層
13 非多孔質単結晶Si層
14 単結晶Si基板
15 絶縁層
21 貼り合わせ基板
21a、21c 基板
22,23 基板保持部
24,25 回転軸
26,27 回転軸
28 噴射ノズル
29 ジェット構成媒体
30 投影空間
100 分離装置
101 貼り合せ基板
102,103 軸支持部
104,105 ベアリング
106,107 回転軸
108,109 基板保持部
110 噴射ノズル
111 バネ
112,113 回転軸
114,115,115’ 駆動源
150,160 基板操作部
400 チャンバ
500 搬送装置
501 搬送ロボット
502 ロボットハンド
503 シャッタ
504〜506 カセット
507 位置合せ装置

Claims (9)

  1. 部材を分離する分離装置であって、
    部材の主表面の方向を変更する操作手段と、
    鉛直方向に束状の流体を噴射して該束状の流体によって前記部材を分離する分離手段と、
    を備え、前記操作手段は、前記部材をその主表面が水平になるように操作する機能と、該主表面が鉛直になるように操作する機能とを有し、前記操作手段は、前記部材をその主表面が水平な状態で受け取り、前記部材をその主表面を鉛直にするとともに前記分離手段が前記部材を処理可能な位置に移動させる他、前記分離手段により分離された各部材の少なくとも1つの部材の主表面を水平にすることを特徴とする分離装置。
  2. 前記部材は板状部材であり、前記分離手段は、該板状部材を面方向に切断して2枚の板状部材に分離することを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
  3. 前記操作手段は、前記分離手段により板状部材を分離する際に該板状部材を両面から挟むようにして保持する一対の保持手段を有することを特徴とする請求項に記載の分離装置。
  4. 前記部材をその主表面に直交する軸を中心として回転させる回転手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
  5. 前記装置を被うチャンバを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
  6. 前記チャンバは、開閉可能なシャッタを有することを特徴とする請求項に記載の分離装置。
  7. 前記部材を前記操作手段に引き渡す他、分離された部材を前記操作手段から受け取るための搬送手段を更に備え、前記搬送手段は前記チャンバの外部に配置され、前記シャッタを開放した状態で、前記操作手段との間で部材の引き渡し及び受け取りを行うことを特徴とする請求項に記載の分離装置。
  8. 少なくとも前記分離手段により部材を分離する際には、前記シャッタを閉じることを特徴とする請求項に記載の分離装置。
  9. 前記部材を前記操作手段に対して位置合せする位置合せ手段を更に備えることを特徴とする請求項に記載の分離装置。
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