JP4052870B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨ておむつに関し、更に詳しくは肌対向面に清拭部を有し、おむつ交換を簡便に行い得る使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
着用中の古い使い捨ておむつを新しいおむつと交換する場合には、着用者を横にした状態で古いおむつを取り外し、着用者の排泄部をウエットティッシュ等の清拭シートで清拭する。周囲を汚さないようにするために、清拭中は、古いおむつを着用者の身体の下に敷いた状態としておくことが一般的である。この場合、一般に、おむつ交換者は片方の手で着用者の脚部を持ち上げ腰を浮かせて、古いおむつに付着している排泄物が着用者に付着しないように注意しながら、他方の手で清拭シートを持って着用者の排泄部の清拭を行わねばならない。排泄物の量等にもよるが、清拭には通常複数枚の清拭シートが必要である。従って、新しい清拭シートを取り出すために視線を移動する際や、新しい清拭シートに手を伸ばしたりする際に誤って、浮かせていた着用者の腰をおむつ上におろしてしまい、おむつに付着している排泄物を着用者に付着させてしまうことがしばしばある。その場合には清拭をやり直さなければならず、非常に手間が掛かってしまう。
【0003】
従って、本発明は、おむつ交換時に着用者の排泄部の清拭を容易に行うことができ、おむつ交換が簡便化された使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、通常の排泄量では、おむつ股下部が排泄物で汚れてしまものの、腹側部の肌対向面までは汚れない場合が多く、また着用者の姿勢によっては背側部の肌対向面も汚れない場合があることに着目し、腹側部及び/又は背側部の肌対向面に所定の処理を施すことで、該肌対向面をおむつ交換時の清拭部として利用し得ることを知見した。
【0005】
本発明は前記知見に基づきなされたもので、股下部並びに該股下部からそれぞれ前後方向に延びる腹側部及び背側部を具備する使い捨ておむつにおいて、該使い捨ておむつの肌対向面を親水性となし、また前記腹側部又は前記背側部における前記肌対向面に、多数の小面積の撥水性部位をおむつ幅方向へ延びるように配し、多数の該撥水性部位を有する撥水性領域を形成し、更に該撥水性領域に隣接する前記股下部側の位置における吸収体の高さを、おむつの他の領域における吸収体の高さよりも高くした使い捨ておむつを提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、股下部並びに該股下部からそれぞれ前後方向に延びる腹側部及び背側部を具備する使い捨ておむつにおいて、該使い捨ておむつの肌対向面を親水性となし、また前記腹側部又は前記背側部における前記肌対向面に、多数の小面積の撥水性部位をおむつ幅方向へ延びるように配し、多数の該撥水性部位を有する撥水性領域を形成し、更に吸収体のうち該撥水性領域に対応する領域の厚みを、吸収体の他の領域の厚みよりも大きくして、トップシートのうち、該撥水性領域が形成されている領域が、トップシートの他の領域よりも高い位置にあるようにした使い捨ておむつを提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、第1の実施形態の使い捨ておむつをトップシート側からみた平面図が示されている。本実施形態は、本発明の前提となる形態を示すものであり、本発明の範囲外である。
【0007】
図1に示す使い捨ておむつ1は縦長の形状をしており、液透過性のトップシート2、液不透過性のバックシート(図示せず)及び両シート間に介在された液保持性の吸収体(図示せず)を有している。吸収体は、その長手方向がおむつ1の長手方向と一致する長方形となっている。トップシート2及びバックシートは同形で、長手方向の中央部が内方に湾曲してくびれた砂時計形状をしており、おむつ1の輪郭をなしている。そして、おむつ1における側縁がくびれた領域が、おむつ1の股下部Cを構成しており、該股下部Cからそれぞれ前後方向に延びる領域が腹側部A及び背側部Bを構成している。
【0008】
吸収体はトップシート2及びバックシートよりも小さな寸法となっている。トップシート2及びバックシートは吸収体の左右側縁から側方に延出しており、延出したトップシート2及びバックシートが互いに接合されてサイドフラップ5,5を形成している。サイドフラップ5には、おむつ1の長手方向に延びる複数本の弾性糸7が伸張状態で配されている。弾性糸7はサイドフラップ5を構成するトップシート2とバックシートとの間に挟持固定されている。おむつ1の弛緩状態においては、弾性糸7が収縮してサイドフラップ5にレッグギャザー(図示せず)が形成される。またトップシート2及びバックシートは吸収体の前後端縁から前後方向に延出しておりウエストフラップ6,6を形成している。各ウエストフラップ6には、トップシート2とバックシートとに挟持固定された弾性バンド(図示せず)が配されている。
【0009】
おむつ1のサイドフラップ5においては、該サイドフラップ5を構成するトップシート2上に細帯状の立体ガード形成用シート8が配されている。立体ガード形成用シート8は、その外側寄りの領域が長手方向に亘ってトップシート2に接合されている。一方、内側寄りの領域は、長手方向に亘って(但し、前後端部を除く)トップシート2から離間した自由状態となっている。そして、自由状態となっている立体ガード形成用シート8の内側縁はスリーブ状に折り返され、折り返された内部に、おむつ1の長手方向に延びる複数本の弾性糸9が伸張状態で接合固定されている。おむつ1の弛緩状態においては、弾性糸9が伸縮して、自由状態となっている立体ガード形成用シート8を上方に引き上げ、ギャザリングされた立体ガードが形成される。
【0010】
背側部Bにおける左右両側縁部には、それぞれテープファスナー等からなる一対の止着具10が取り付けられている。一方、腹側部Aにおけるバックシート上には、矩形のランディングテープ等からなる被着具(図示せず)が貼付されている。そして、おむつ1が着用される際に、止着具10が被着具上に止着するようになされている。
【0011】
トップシート2は、おむつ1における着用者肌対向面を構成している。本実施形態におけるトップシート2は繊維材料のシート、例えば不織布から構成されており、肌対向面の全域が親水性となされている(但し後述する撥水性領域を除く)。トップシート2を親水性となすには、例えば繊維材料として親水性の繊維を用いたり、疎水性の繊維を用いる場合には、界面活性剤等の各種親水化剤を用いて該繊維を親水化処理すればよい。
【0012】
肌対向面を構成するトップシート2のうち腹側部Aにおける領域には、おむつ幅方向へ延びる撥水性領域11が設けられている。撥水性領域11は、おむつ長手方向に所定間隔を置いて複数箇所設けられている。各撥水性領域11間は、前述の通り親水性領域12となっている。この親水性領域12は、撥水性領域11と同様におむつ幅方向へ延びている。その結果、腹側部Aにおいては、おむつ長手方向に沿って、撥水性領域11と親水性領域12とが交互に位置することになる。
【0013】
各撥水性領域11には、多数の小面積の撥水性部位11aが形成されている。撥水性部位11aは円形であり、おむつ長手方向へ延びるように千鳥格子状に配されている。おむつ幅方向に沿う撥水性部位11aの配置間隔は、撥水性部位11aの径以下となっている。その結果、撥水性部位11aは、撥水性領域11内に、おむつ長手方向へ延び且つ該撥水性領域11を貫ぬく間隙が生じないようなパターンで配置されることになる。撥水性部位11aをこのようなパターンで配置することで、後述する排泄物の拭き取り動作を行う場合に、撥水性領域11の幅方向のどの部分においても、排泄物を残さずに掻き取ることが可能となる。撥水性部位11aは前述の通り小面積であり、その径は1〜10mm、特に1.5〜5mmであることが、拭き取り性能及び拭き取り時の簡便さの点で好ましい。同様の観点から、おむつ長手方向に沿う撥水性部位11aの配置間隔は2〜20mm、特に5〜15mmであることが好ましい。
【0014】
また、各撥水性領域11内におむつ長手方向へ延び且つ該撥水性領域11を貫ぬく間隙が生じるようなパターンで撥水性部位11aが配置されていても、複数の撥水性領域全体としてみたときに、全体としての撥水性領域をおむつ長手方向へ貫く間隙が生じないように、それぞれの撥水性領域11内において撥水性部位11aが配置されていれば、図1に示すパターンと同様の効果が得られる。例えば、おむつ幅方向に沿って所定間隔をおいて撥水性部位11aが一列に配列したパターンから各撥水性領域11が構成されている場合であっても、一の撥水性領域11における撥水性部位11a間の間隙に、他の撥水性領域11における撥水性部位11aが位置していれば、撥水性領域全体としては、おむつ長手方向へ貫く間隙は生じないので、確実且つ簡便な拭き取りが実現できる。
【0015】
本実施形態のおむつ1が前述の構成を有することによって、おむつ交換時に着用者の排泄部の清拭を容易に行うことができ、おむつ交換が簡便化される。この理由を図2及び図3を参照しながら説明する。前述の通り、着用中の古いおむつを新しいおむつと交換する場合には、図2に示すように古いおむつ1を着用者の身体の下に敷いた状態としておき、おむつ交換者が片方の手で着用者の脚部を持ち上げ腰を浮かせた状態とする。この状態では、おむつ1の背側部B上に着用者の身体が位置しており該背側部Bの位置は固定されているが、腹側部Aはフリーの状態となっている。また、おむつ1の股下部C付近は排泄物で汚れているが、腹側部A付近までは汚れておらず、きれいな状態となっている。そこで、このフリーとなっており且つきれいな状態が維持されている腹側部Aを利用して、着用者の排泄部を清拭する。
【0016】
清拭の状態を図3に示す。おむつ1の腹側部Aによって着用者の排泄部を清拭する場合には、おむつ交換者は空いている方の手で腹側部Aを持ち、おむつ1の長手方向に沿って腹側部Aを一方向(例えば、おむつ交換者からみて奥方向から手前方向)に移動させ、排泄部に付着している排泄物Wを拭き取る。この拭き取り動作によって、着用者の排泄部は、腹側部Aに形成された撥水性領域11と親水性領域12とによって交互に拭かれることになる。排泄物は一般に親水性であることから、撥水性領域11では排泄物Wは吸収されない。吸収されない代わりに、排泄物Wは、撥水性領域11によって掻き取られて集められる。集められた排泄物Wは撥水性領域11に隣接して位置する親水性領域12においてトップシート2に吸収される。次いで、該親水性領域12に隣接する新たな撥水性領域11が再び排泄物Wを掻き取り集め、更に該撥水性領域11に隣接する新たな親水性領域12において、集められた排泄物がトップシート2に吸収される。この動作が繰り返されて、着用者の排泄部に付着していた排泄物がきれいに拭き取られる。しかも、撥水性領域11を微視的にみた場合、該撥水性領域11内に、撥水性部位11aと、撥水性部位11a以外の部位11b(つまり親水性を有する部位)とが存在しているので、排泄物の拭き取り効果が一層高まるという利点もある。更に、図4に示すように撥水性部位11aが中抜きの円形であると、親水性を有する部分が撥水性を有する部分に取り囲まれて撥水性部位11aが形成されることになるから、これによっても排泄物の拭き取り効果が一層高まる。この間、おむつ交換者は視線を移動したり或いは拭き取り動作を行っている方の手を他の場所へ移動させる必要が無い。従って、拭き取り動作中に誤って、浮かせていた着用者の腰を、汚れているおむつ1上におろしてしまうことが防止される。その結果、おむつ交換時における着用者の排泄部の清拭を容易に行うことが可能となる。その上、トップシート2自体が風合いの良い材料から構成されているので、拭き取りに際して着用者に違和感を与えることが無い。更に、従来使用していた清拭シートの使用量を削減することができるので経済的である。
【0017】
なお、図3においては、撥水性領域11の構成物質がトップシート2上に位置しているように描かれているが、撥水性領域11の構成物質(例えば後述する塗布液の種類)によっては、撥水性領域の構成物質がトップシート2中に存在している場合もある。またトップシート2上及びトップシート2中の両方に存在している場合もある。
【0018】
撥水性領域が形成されていない従来のおむつにおける腹側部を用いて排泄物の拭き取り操作を行うと、図5に示すように、その全面が親水性であるトップシート2によって排泄物Wが徒に着用者の排泄部に塗り広げられるだけであり、排泄物Wを拭き取ることは出来ない。また、全面を撥水処理したトップシートにおける腹側部に部分的に親水処理を施した場合にはトップシートの液透過性能が低下する。
【0019】
撥水性領域11について詳述すると、撥水性領域11を構成する撥水性部位11aは、典型的にはトップシート2上に油剤成分を含む塗布液をパターン塗布することによって設けられる。油剤成分としては、流動パラフィン、シリコーンオイル、動植物油(オリーブ油、ホホバ油、ベニバナ油、スクワラン及びスクワレン等)、モノ、ジ、トリグリセライド、脂肪族エーテル(ミリスチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−ジメチルビチルエーテル、ステアリル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−メチルプロピルエーテル及びステアリル−1,3−メチルプロピルエーテル等)、イソステアリル−コレステロールエステルなどが挙げられる。
【0020】
撥水性部位11aの形成に用いられる塗布液には、前述の油剤成分に加えて、粘度調整剤、着用者の皮膚に対して所望の効能を有する剤、及び有機又は無機微粒子が含有されてもよい。「所望の効能」とは、皮膚のかぶれ防止、消炎、収斂、抗菌等の皮膚の状態を正常にする効果や、皮膚を撥水性にして排泄物の付着を抑制し、付着した排泄物を容易に除去できるようにする効果をいう。特に、着用者の皮膚に対して所望の効能を有する剤を用いた場合には、便を拭き取る行為あるいは便を拭き取った後に仕上げ拭き様の行為をすることで、自然に皮膚の保護等ができる点でも優れている。従来のおむつのように、単にトップシートにエモリエント剤のような剤を付与する場合に比べて、少量の剤で、所望の部位に的確に剤を付与することができる。
【0021】
粘度調整剤としては、パラフィンワックス、C12〜C22脂肪酸、C12〜C44脂肪酸エーテル、C12〜C22脂肪アルコール、ワセリン、脂肪酸ソルビタンエステル(モノ、ジ、トリ)、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル(モノ、ジ、トリ)等、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、ショ糖脂肪酸エステル、シクロデキストリン脂肪酸エステル、シリコーン系レジン、アルキルシリコーンなどが挙げられる。
【0022】
着用者の皮膚に対して所望の効能を有する剤としては、各種植物エキス、セリシン、キトサン、セラミド類、コラーゲン、保湿剤(1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコール等)などが挙げられる。また、以下の一般式(1)で表されるジアミド誘導体を用いることもできる。このジアミド誘導体の詳細は本出願人の先の出願に係る特開2002−47261号公報に記載されている。このジアミド誘導体として好ましいものは、例えば同公報の記載の式(1a)、(1b)及び(1c)で表される化合物である。
【0023】
【化1】
【0024】
植物エキスとしては、オーツ麦エキス、海藻エキス(ヒバマタ)、柚子エキス、ハマメリスエキス、ワレモコウエキス、アスナロエキス、アロエエキス、オウバクエキス、スギナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、モモ葉エキスなどが用いられる。特に、柚子エキス、ハマメリスエキス、アスナロエキス、アロエエキス、オウバクエキス、もも葉エキスを用いることが好ましい。
【0025】
有機及び無機微粒子としては、シッカロール、タルク、酸化チタン、アシル化タウリン金属塩(ラウロイルタウリンカルシクウム塩、ラウロイル−β−アラニルカルシウム)ジステアリルエーテル、セチルリン酸亜鉛ナトリウム、N−ε−ラウロイン−L−リジン、シリコーンビーズ、ナイロンビーズなどが挙げられる。これらの微粒子の粒径は、0.05〜50μm、特に1〜20μmであることが好ましい。
【0026】
以上の成分から構成される撥水性部位11aは、20℃におけるJIS硬度が20〜50であることが、肌を傷付けず且つ効果的に清拭できる点から好ましい。
【0027】
各撥水性部位11aにおける、油剤成分を含む塗布液の塗布量(乾燥後の塗布量)は、5〜100g/m2、特に10〜50g/m2程度であることが、排泄物の掻き取り性を十分に発現させる点から好ましい。油剤成分の塗布方法としては、スロットコーティング、ダイコーティング、ビード状コーティング、スパイラルコーティング、グラビアコーティング等の公知の塗布方法を用いることができる。
【0028】
撥水性領域11を形成する別法としては、次の方法も挙げることができる。即ち、親水性シートと撥水性シートとを積層し、エンボス等を用いて積層体を親水性シート側から押し出し、撥水性シートを突出させて多数の突起を形成する方法を用いることができる。或いは、親水性シート上に撥水性の発泡体を貼り付ける方法を用いることができる。
【0029】
次に、第2〜第4の実施形態について図6〜図8を参照しながら説明する。これらの実施形態のうち、図6に示す第2の実施形態及び図8に示す第4の実施形態が本発明の範囲内のものであり、それ以外の実施形態は本発明の範囲外のものである。これらの実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図6〜図8において、図1と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0030】
第2及び第3の実施形態は、何れも複数の撥水性領域11のうち、最も股下部C寄りに存する撥水性領域11Aに隣接する股下部C側の位置(図6及び図7中、Nで示す位置)に、排泄物が撥水性領域11へ移行するのを妨げるバリア手段を、おむつ幅方向へ延びるように形成したものである。バリア手段としては、第2の実施形態においては高低差を利用しており、第3の実施形態においては、おむつ幅方向へ延びるバリアカフを用いている。以下、各実施形態について詳述する。
【0031】
図6に示す第2の実施形態においては、最も股下部C寄りに存する撥水性領域11Aに隣接する股下部C側の位置Nでの吸収体の高さが、おむつ1の他の領域における吸収体の高さよりも高くなっている。詳細には、本実施形態におけるおむつの吸収体は、第1吸収体4aと第2吸収体4bとから構成されている。両吸収体4a,4bは、おむつ長手方向に配列されている。且つ両吸収体4a,4bは、第1吸収体4aの一端部と、第2吸収体の一端部とが互いに重なり合うように配列されている。両吸収体4a,4bの重なり部は、前述したNで示される位置となるようになされている。その結果、両吸収体4a,4bの重なり部は、吸収体における他の部位に比べて高くなる。従って、おむつ1の股下部C付近に排泄された排泄物は、両吸収体4a,4bの重なり部によって腹側部A側、即ち撥水性領域側へ移行することが妨げられる。これによって、腹側部Aは、汚れていないきれいな状態が維持され、おむつ交換時に腹側部Aによって着用者の排泄部を清拭することが確保される。
【0032】
吸収体の高低差は、3〜30mm、特に5〜20mm程度とすることが、排泄物が腹側部A側へ移行することを効果的に妨げる点、及び装着違和感を発生させない点から好ましい。
【0033】
図7に示す第3の実施形態においては、最も股下部C寄りに存する撥水性領域11Aに隣接する股下部C側の位置Nに、おむつ幅方向に延びるバリアカフ13が形成されている。バリアカフ13は、撥水性のシート、例えば撥水性不織布から構成された縦長矩形状のシートから構成されている。該シートは、その長手方向に沿って固着領域13aと自由領域13bとを有している。固着領域13aは、トップシート2における腹側部Aの領域に固着されている。一方、自由領域13bは、前述した位置Nから立ち上がっている。自由領域13bの端縁はスリーブ状に折り返され、折り返された内部に、弾性糸13cが伸張状態で接合固定されている。
【0034】
バリアカフ13を構成する前記シートにおける固着領域13a上には、撥水性領域を形成するための親水性シート14が固着されている。親水性シート14には、複数の撥水性領域11が第1の実施形態と同様のパターンで形成されている。
【0035】
本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、おむつ1の股下部C付近に排泄された排泄物が、バリアカフ13によって腹側部A側へ移行することが妨げられる。これによって、腹側部Aは、汚れていないきれいな状態が維持され、おむつ交換時に腹側部Aによって着用者の排泄部を清拭することが確保される。
【0036】
バリアカフ13の立ち上がりの高さは、3〜50mm、特に10〜40mm程度とすることが、排泄物が腹側部A側へ移行することを効果的に妨げる点から好ましい。
【0037】
図8に示す第4の実施形態においては、吸収体4のうち、撥水性領域11に対応する位置の領域4cの厚みが、吸収体4の他の領域4dの厚みよりも大きくなっている。その結果、トップシート2のうち、撥水性領域11が形成されている領域2cは、トップシート2の他の領域2dよりも高い位置にある。従って、第2の実施形態と同様に、股下部C付近に排泄された排泄物が、撥水性領域11へ移行することが妨げられる。これによって、撥水性領域11を含む腹側部Aは、汚れていないきれいな状態が維持され、おむつ交換時に腹側部Aによって着用者の排泄部を清拭することが確保される。本実施形態における吸収体4の厚み差(高低差)は、第2の実施形態と同様とすることができる。
【0038】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、撥水性部位11aは円形であったが、これに代えて楕円形や多角形など他の形状の撥水性部位11aを形成してもよい。
【0039】
また第1の実施形態においては、トップシート2上に油剤成分を含む塗布液が直接塗布されて形成されていたが、これに代えて腹側部Aの寸法と同程度又はそれより小さい寸法の親水性シートを別途用意し、該シートに撥水性部位を前述した配置パターンで形成し、該親水性シートをトップシート2における腹側部Aの領域に貼り付けてもよい。
【0040】
また、各撥水性領域における撥水性部位の配置パターンは前記実施形態に制限されるものではなく、撥水性領域内に、おむつ長手方向へ延び且つ該撥水性領域を貫ぬく間隙が生じないような配置パターンであれば、それ以外のものであってもよい。更に、各撥水性領域における撥水性部位の配置パターンはすべて同じである必要はなく、それぞれ異なった配置パターンであってもよい。尚、撥水性領域は複数本形成しなくてもよく、おむつの具体的用途によっては一本のみ形成してもよい。
【0041】
また、前記実施形態においては、腹側部Aにおける肌対向面にのみ撥水性領域11を形成したが、これに加えて又はこれに代えて背側部Bにおける肌対向面に撥水性領域を形成してもよい。腹側部Aにのみ撥水性領域11を形成する場合には、背側部Bに撥水性領域を形成しないことに起因して低コストでおむつを製造できるという利点がある。一方、背側部Bに撥水性領域11を形成する場合には、俯せになった姿勢の着用者に対する清拭操作が容易に行えるという利点がある。
【0042】
【実施例】
以下の実施例及び比較例中、特に断らない限り「部」は「重量部」を意味する。
【0043】
〔実施例1〕
図1に示す構造のおむつを作製した。スクワラン40部とステアリン酸マグネシウム60部とを加熱溶融下に均一混合して塗布液を得た。この塗布液を、グラビアコータを用いてトップシート上に塗布した。約30g/m2とした。塗布パターンは図9に示すように、半径1mmのドットが千鳥パターンとなるように配置されたものであった。撥水性領域は、おむつ腹側部の端縁から長手方向に約100mmの領域に形成された。トップシートとして、ポリエチレン/ポリプロピレンの芯鞘型複合繊維(2.2dtex、繊維長51mm)からなるエアスルー不織布(坪量25g/m2、繊維表面は界面活性剤で親水処理されている)を用いた。吸収体として、粉砕パルプ100部と高吸収性ポリマー100部とを合計400g/m2で積繊し、坪量16g/m2のティッシュで包んだもの(前後端部の幅120mm、股下部の幅100mm、長さ400mm)を用いた。裏面シートとして、ポリエチレン/炭酸カルシウムからなる延伸開孔フィルムを用いた。それ以外の部材には公知の材料を用いた。
得られたおむつを幼児に装着させ、排便後におむつ腹側部で便の拭き取り操作を行った。その結果、便が各撥水性領域で堰き止められ、便のひろがりをおさえつつ拭き取りが行えた。
【0044】
〔比較例1〕
実施例1で用いた塗布液と同様のものを、スロットコーターを用い、幅100mmで、おつむ長手方向に100mmの長さで塗布した。これにより、おむつ腹側部全域を撥水性となした。それ以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
得られたおむつを幼児に装着させ、排便後におむつ腹側部で便の拭き取り操作を行った。その結果、便の拭き取りを首尾良く行えないばかりか、逆に塗り広げてしまった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつによれば、おむつ交換時に着用者の排泄部を、おむつ腹側部の肌当接面で清拭することができる。従って、清拭操作を容易に行うことができ、おむつ交換が簡便化される。また、清拭シートの使用量を削減することができ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の使い捨ておむつをトップシート側からみた平面図である。
【図2】図1に示す使い捨ておむつの使用形態を示す模式図である。
【図3】図1に示す使い捨ておむつを用いた排泄部の清拭形態を示す模式図である。
【図4】撥水性部位の他の形態を示す図(図1相当図)である。
【図5】従来の使い捨ておむつを用いた排泄部の清拭形態を示す模式図である。
【図6】第2の実施形態の使い捨ておむつの腹側部を、おむつ長手方向に沿って切断した状態の断面図である。
【図7】第3の実施形態の使い捨ておむつの腹側部を、おむつ長手方向に沿って切断した状態の断面図である。
【図8】第4の実施形態の使い捨ておむつの腹側部を、おむつ長手方向に沿って切断した状態の断面図である。
【図9】撥水性領域の別の塗布パターンを示す模式図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 トップシート
4a 第1吸収体
4b 第2吸収体
11 撥水性領域
12 親水性領域
13 バリアカフ
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
W 排泄物
Claims (8)
- 股下部並びに該股下部からそれぞれ前後方向に延びる腹側部及び背側部を具備する使い捨ておむつにおいて、該使い捨ておむつの肌対向面を親水性となし、また前記腹側部又は前記背側部における前記肌対向面に、多数の小面積の撥水性部位をおむつ幅方向へ延びるように配し、多数の該撥水性部位を有する撥水性領域を形成し、更に該撥水性領域に隣接する前記股下部側の位置における吸収体の高さを、おむつの他の領域における吸収体の高さよりも高くした使い捨ておむつ。
- 股下部並びに該股下部からそれぞれ前後方向に延びる腹側部及び背側部を具備する使い捨ておむつにおいて、該使い捨ておむつの肌対向面を親水性となし、また前記腹側部又は前記背側部における前記肌対向面に、多数の小面積の撥水性部位をおむつ幅方向へ延びるように配し、多数の該撥水性部位を有する撥水性領域を形成し、更に吸収体のうち該撥水性領域に対応する領域の厚みを、吸収体の他の領域の厚みよりも大きくして、トップシートのうち、該撥水性領域が形成されている領域が、トップシートの他の領域よりも高い位置にあるようにした使い捨ておむつ。
- 複数の前記撥水性領域をおむつ長手方向に所定間隔を置いて設けた請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
- 前記撥水性領域内に、おむつ長手方向へ延び且つ該撥水性領域を貫ぬく間隙が生じないようなパターンで、前記撥水性部位が配置されている請求項1ないし3の何れかに記載の使い捨ておむつ。
- 複数の撥水性領域全体としてみたときに、全体としての撥水性領域をおむつ長手方向へ貫く間隙が生じないように、各撥水性領域内において前記撥水性部位が配されている請求項1ないし3の何れかに記載の使い捨ておむつ。
- 前記撥水性領域を、前記腹側部にのみ又は前記腹側部及び前記背側部に設けた請求項1〜5の何れかに記載の使い捨ておむつ。
- 前記撥水性領域のうち、最も前記股下部寄りに存する撥水性領域に隣接する前記股下部側の位置に、排泄物が前記撥水性領域へ移行するのを妨げるバリアカフを、おむつ幅方向へ延びるように形成した請求項1〜5の何れかに記載の使い捨ておむつ。
- 吸収体が第1吸収体と第2吸収体とから構成され、第1及び第2吸収体は、第1吸収体の一端部と、第2吸収体の一端部とが互いに重なり合うようにおむつ長手方向に配列されており、両吸収体の重なり部が、撥水性領域に隣接する股下部側の前記高い位置となるようになされている請求項1記載の使い捨ておむつ。
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