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JP3933530B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

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JP3933530B2
JP3933530B2 JP2002174783A JP2002174783A JP3933530B2 JP 3933530 B2 JP3933530 B2 JP 3933530B2 JP 2002174783 A JP2002174783 A JP 2002174783A JP 2002174783 A JP2002174783 A JP 2002174783A JP 3933530 B2 JP3933530 B2 JP 3933530B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨ておむつに関し、更に詳しくは肌対向面に清拭部を有し、おむつ交換を簡便に行い得る使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
着用中の古い使い捨ておむつを新しいおむつと交換する場合には、着用者を横にした状態で古いおむつを取り外し、着用者の排泄部をウエットティッシュ等の清拭シートで清拭する。周囲を汚さないようにするために、清拭中は、古いおむつを着用者の身体の下に敷いた状態としておくことが一般的である。この場合、一般に、おむつ交換者は片方の手で着用者の脚部を持ち上げ腰を浮かせて、古いおむつに付着している排泄物が着用者に付着しないように注意しながら、他方の手で清拭シートを持って着用者の排泄部の清拭を行わねばならない。排泄物の量等にもよるが、清拭には通常複数枚の清拭シートが必要である。従って、新しい清拭シートを取り出すために視線を移動する際や、新しい清拭シートに手を伸ばしたりする際に誤って、浮かせていた着用者の腰をおむつ上におろしてしまい、おむつに付着している排泄物を着用者に付着させてしまうことがしばしばある。その場合には清拭をやり直さなければならず、非常に手間が掛かってしまう。
【0003】
従って、本発明は、おむつ交換時に着用者の排泄部の清拭を容易に行うことができ、おむつ交換が簡便化された使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、通常の排泄量では、おむつ股下部が排泄物で汚れてしまものの、腹側部の肌対向面までは汚れない場合が多く、また着用者の姿勢によっては背側部の肌対向面も汚れない場合があることに着目し、腹側部及び/又は背側部の肌対向面に所定の処理を施すことで、該肌対向面をおむつ交換時の清拭部として利用し得ることを知見した。
【0005】
本発明は前記知見に基づきなされたもので、股下部並びに該股下部からそれぞれ前後方向に延びる腹側部及び背側部を具備する使い捨ておむつにおいて、該使い捨ておむつの肌対向面を親水性となし、また前記腹側部又は前記背側部における前記肌対向面に、撥水性となされた多数の凸部をおむつ幅方向へ延びるように形成し、該凸部の集合域からなる撥水性領域を設け、撥水性領域は伸縮自在な領域からなり、該伸縮自在な領域はその弛緩状態においてギャザーの形成によるひだよせによって多数の前記凸部を有していると共に隣り合う凸部間が親水性の凹部になっている使い捨ておむつを提供することにより前記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態は、パンツ型使い捨ておむつに係るものである。図1には、パンツ型使い捨ておむつの斜視図が示されており、図2(a)には図1に示すおむつを組み立てる前の状態を表面シート側からみた伸張状態での平面図が示されており、図2(b)には図2(a)におけるb−b線断面図が示されている。
【0007】
本実施形態のおむつ1は、図1及び図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の防漏シート3及び両シート2、3間に介在配置された液保持性の吸収体としての吸収性コア4を有する実質的に縦長の吸収体本体10と、該吸収体本体10の防漏シート3側に配された外層体11とを備えている。おむつ1は、着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとその間に位置する股下部Cとを有し、腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とが互いに接合されて、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6が形成されている。またウエスト開口部5とレッグ開口部6との間は、胴周囲部Dとなる。
【0008】
表面シート2、防漏シート3及び吸収性コア4は所定手段によって互いに接合されて縦長の吸収体本体10を形成している。表面シート2及び防漏シート3はそれぞれ矩形状である。また吸収性コア4も矩形状である。表面シート2及び防漏シート3としては、従来この種のおむつに用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば表面シート2として不織布などの繊維ウエブを用いることができる。後述するように、この繊維ウエブは親水性となされている。吸収性コア4は、高吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成されており、ティッシュペーパ(図示せず)によって被覆されている。
【0009】
図2に示すように、吸収体本体10の左右両側には、液抵抗性ないし液不透過性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス8,8が形成されている。各側方カフス8は、吸収体本体10の長手方向に沿って固定端部及び自由端部を有している。固定端部は、表面シート2に固定されている。一方、自由端部の近傍には、側方カフス弾性部材81が伸張状態で配されている。これにより側方カフス8が起立して、吸収体本体10の幅方向への液の流出が阻止されている。
【0010】
吸収体本体10は、図2に示すように、その長手方向を外層体11の長手方向に一致させて、外層体11の中央部に固定されている。吸収体本体10と外層体11とは、部分的に接合されて固定されている。
【0011】
外層体11は、少なくとも二枚のシート材、即ち外層シート12と該外層シート12の内面側に配された内層シート13とを有している。二枚のシート材は例えば不織布などの繊維ウエブから構成されている。この繊維ウエブは疎水性となされている。外層体11は、おむつ1の外形を形成しており、外層体11を構成する外層シート12はおむつ1の最外表面をなしている。内層シート13は外層シート12の内面側に、ホットメルト粘着剤等の接着剤によって接合されている。外層体11は、その両側縁が、長手方向中央部において内方に括れた砂時計形の形状をしている。外層体11は、吸収体本体10の前後端縁から外方に延出しており、延出した部分が吸収体本体10側に折り返されている。そして、折り返された外層材11の前後端縁は、図2(b)に示すように吸収体本体10における吸収性コア4上に位置している。
【0012】
図2に示すように、外層体11における前後端部には、前後端縁に沿って、複数のウエスト部弾性部材51a、51bがその幅方向に亘り配されている。各ウエスト部弾性部材51a、51bは、外層シート12と内層シート13とによって伸張状態で挟持固定されている。これによって、ウエスト開口部5の付近にはウエストギャザーが形成される。
【0013】
図2に示すように、外層体11における左右両側の湾曲部には、第1のレッグ部弾性部材61a及び第2のレッグ部弾性部材61bが配されている。第1のレッグ部弾性部材61aは、主として股下部Cにおける腹側部A寄りに配されており、第2のレッグ部弾性部材61bは、主として股下部Cにおける背側部B寄りに配されている。第1及び第2のレッグ部弾性部材61a、61bは、外層シート12と内層シート13との間に配されており、所定の接合手段によって、両シート12、13に伸張状態で固定されている。更に、第1及び第2のレッグ部弾性部材61a,61bは、股下部Cにおいて互いに交差している。これによって、おむつ1のレッグ開口部6、6の付近にはレッグギャザーが形成される。
【0014】
図1及び図2に示すように、外層体11における前後端部と左右両側の湾曲部との間に位置する胴周囲部Dには、外層体11の幅方向に向けて複数の胴回り弾性部材71a、71bがそれぞれ配されている。各胴回り弾性部材71a、71bは糸状であり、おむつ1の腹側部A及び背側部Bにおいて、吸収性コア4の両側縁よりも外方の部位D1に配されており且つ伸縮弾性が発現するように外層シート12と内層シート13とによって伸張状態で挟持固定されている。これによって、胴周囲部Dにおける吸収性コア4の両側縁よりも外方の部位D1においては、胴回り弾性部材71a、71bが配された領域に胴周囲ギャザーが形成される。
【0015】
本実施形態のおむつ1においては、前述の通り外層体11を構成する外層シート12及び内層シート13は疎水性になされている。但し、外層体11における外層シート12のうち、トップシート側に折り返された部分(以下、外層シート折り返し部という)100,101は親水性となされている。また前述の通り、吸収体本体10における表面シート2は親水性となされている。これらの部位を親水性とするには、例えば各種界面活性剤をこれらの部位に塗布すれば良い。
【0016】
おむつ1における肌対向面のうち、腹側部Aにおけるウエスト部Eには前述の通りウエストギャザーが形成されており、該ギャザーが形成されている領域は伸縮自在となっている。図3に示すように、ウエスト部Eにおいては、弛緩状態(つまりおむつが着用されていない状態)では、ギャザーによるひだよせが生じて、外層シート折り返し部100において、着用者の肌に当接する多数の凸部9a及び該凸部9a間に位置し表面に露出していない多数の凹部9bが形成される。凸部9a及び凹部9bは交互に位置し、おむつ幅方向へ延びるように形成されている。図3から明らかなように、凸部及び凹部は外層シート12における外面側にも形成されている。尚、図3においては簡便のため内層シート13は省略されている。
【0017】
ウエストギャザーが形成されている伸縮自在な領域には、おむつ幅方向へ延びる撥水性領域14が設けられている(図4参照)。撥水性領域14は、ギャザーによるひだよせによって生じた多数の凸部9a(図3参照)を有している。凸部9aは撥水性となされている。つまり、撥水性領域14は、おむつ幅方向へ延びように形成された多数の凸部9aの集合域から構成されている。隣り合う凸部9a間に位置する凹部9b(図3参照)は、おむつの肌対向面と同様に親水性となされている。
【0018】
凸部9aの集合域は、主としてウエスト弾性部材51a上に形成される。ウエスト弾性部材51aは複数用いられているから、凸部9aの集合域は各ウエスト弾性部材51a上に形成される。各ウエスト弾性部材51aはおむつ長手方向に所定間隔を置いて配置されているから、凸部9aの集合域は、おむつ長手方向に所定間隔を置いて位置する。前述の通り撥水性領域14は、凸部9aの集合域からなるから、撥水性領域14は、おむつ長手方向に所定間隔を置いて複数箇所設けられることになる。そして、各撥水性領域14間は、親水性領域15(図4参照)となっている。この親水性領域15は、撥水性領域14と同様におむつ幅方向へ延びている。その結果、腹側部Aのウエスト部Eにおいては、おむつ長手方向に沿って、撥水性領域14と親水性領域15とが交互に位置することになる。
【0019】
本実施形態のおむつ1が前述の構成を有することによって、おむつ交換時に着用者の排泄部の清拭を容易に行うことができ、おむつ交換が簡便化される。この理由を図4及び図5を参照しながら説明する。着用中の古いおむつを新しいおむつと交換する場合には、おむつ1の両側にある接合部を引き裂き、図4に示すように、着用者の身体の下に敷いた状態としておき、おむつ交換者が片方の手で着用者の脚部を持ち上げ腰を浮かせた状態とする。この状態では、おむつ1の背側部B上に着用者の身体が位置しており該背側部Bの位置は固定されているが、腹側部Aはフリーの状態となっている。また、おむつ1の股下部C付近は排泄物で汚れているが、腹側部Aのウエスト部E付近までは汚れておらず、きれいな状態となっている。そこで、このフリーとなっており且つきれいな状態が維持されている腹側部Aのウエスト部Eを利用して、着用者の排泄部を清拭する。
【0020】
清拭の状態を図5に示す。おむつ1の腹側部Aにおけるウエスト部Eによって着用者の排泄部を清拭する場合には、おむつ交換者は空いている方の手でウエスト部Eの幅方向中央部を持ち、おむつ1の長手方向に沿ってウエスト部Eを一方向(例えば、おむつ交換者からみて奥方向から手前方向)に移動させ、排泄部に付着している排泄物Wを拭き取る。この拭き取り動作の最中、ウエスト部Eにおけるウエストギャザーは伸張状態となり、該ギャザーにおける凸部9a及び凹部9bは多少引き延ばされた状態となる。前述の通り、凸部9aは撥水性であり凹部9bは親水性であるから、拭き取り動作の最中には凸部9aによる撥水部位と凹部9bによる親水部位とによって、着用者の排泄部が交互に拭かれることになる。排泄物は一般に親水性であることから、凸部9aによる撥水部位では排泄物Wは吸収されない。吸収されない代わりに、排泄物Wは、凸部9aによる撥水部位によって掻き取られて集められる。集められた排泄物Wは凸部9aに隣接して位置する凹部9bによる親水部位において該凹部9b内に取り込まれるか或いは外層シート折り返し部100に吸収される。次いで、凹部9bに隣接する新たな凸部9aが再び排泄物Wを掻き取り集め、更に該凸部9aに隣接する新たな凹部9bにおいて、集められた排泄物が凹部9b内に取り込まれるか或いは外層シート折り返し部100に吸収される。この動作が繰り返されて、着用者の排泄部に付着していた排泄物がきれいに拭き取られる。この間、おむつ交換者は視線を移動したり或いは拭き取り動作を行っている方の手を他の場所へ移動させる必要が無い。従って、拭き取り動作中に誤って、浮かせていた着用者の腰を、汚れているおむつ1上におろしてしまうことが防止される。その結果、おむつ交換時における着用者の排泄部の清拭を容易に行うことが可能となる。その上、外層シート折り返し部100自体が風合いの良い材料から構成されているので、拭き取りに際して着用者に違和感を与えることが無い。更に、従来使用していた清拭シートの使用量を削減することができるので経済的である。
【0021】
その上、本実施形態においては、凸部9aの集合域からなる撥水性領域14と親水性領域15とが交互に位置しているので、図6に示すように着用者の排泄部は、撥水性領域14と親水性領域15とによって交互に拭かれることになる。そして、排泄物Wは、撥水性領域14によって掻き取られて集められ、集められた排泄物Wは撥水性領域14に隣接して位置する親水性領域15において吸収される。この操作が繰り返され、これによっても排泄物がきれいに拭き取られる。
【0022】
親水性領域と撥水性領域とを本発明の様に具備しない従来のおむつにおける腹側部を用いて排泄物の拭き取り操作を行うと、図7に示すように、その全面が疎水性である外層シート折り返し部100によって排泄物Wが徒に着用者の排泄部に塗り広げられるだけであり、排泄物Wを拭き取ることは出来ない。
【0023】
撥水性領域14について詳述すると、凸部9aを撥水性とするためには、典型的には油剤成分を含む塗布液を、外層シート折り返し部100上にパターン塗布する。油剤成分としては、流動パラフィン、シリコーンオイル、動植物油(オリーブ油、ホホバ油、ベニバナ油、スクワラン及びスクワレン等)、モノ、ジ、トリグリセライド、脂肪族エーテル(ミリスチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−ジメチルビチルエーテル、ステアリル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−メチルプロピルエーテル及びステアリル−1,3−メチルプロピルエーテル等)、イソステアリル−コレステロールエステルなどが挙げられる。
【0024】
前記塗布液には、前述の油剤成分に加えて、粘度調整剤、着用者の皮膚に対して所望の効能を有する剤、及び有機又は無機微粒子が含有されてもよい。これらの成分を用いる場合には、必要に応じて各種界面活性剤を使用して、塗布液を均一化することが好ましい。
【0025】
粘度調整剤としては、パラフィンワックス、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪アルコール、ワセリン、脂肪酸ソルビタンエステル(モノ、ジ、トリ)、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル(モノ、ジ、トリ)等、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、シリコーン系レジンなどが挙げられる。
【0026】
着用者の皮膚に対して所望の効能を有する剤としては、各種植物エキス、セリシン、キトサン、セラミド類、コラーゲン、保湿剤(1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコール等)などが挙げられる。植物エキスとしては、オーツ麦エキス、海藻エキス(ヒバマタ)、柚子エキス、ハマメリスエキス、ワレモコウエキス、アスナロエキス、アロエエキス、オウバクエキス、スギナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、モモ葉エキスなどが用いられる。特に、柚子エキス、ハマメリスエキス、アスナロエキス、アロエエキス、オウバクエキス、もも葉エキスを用いることが好ましい。
【0027】
有機及び無機微粒子としては、シッカロール、タルク、酸化チタン、アシル化タウリン金属塩(ラウロイルタウリンカルシクウム塩、ラウロイル−β−アラニルカルシウム)ジステアリルエーテル、セチルリン酸亜鉛ナトリウム、N−ε−ラウロイン−L−リジン、シリコーンビーズ、ナイロンビーズなどが挙げられる。これらの微粒子の粒径は、0.05〜50μm、特に1〜20μmであることが好ましい。
【0028】
以上の成分から構成される塗布液を塗工した部位の20℃におけるJIS硬度は20〜50であることが、肌を傷付けず且つ効果的に清拭できる点から好ましい。
【0029】
油剤成分を含む塗布液の塗工量(乾燥後の塗工量)は、5〜100g/m2、特に10〜50g/m2程度であることが、排泄物の掻き取り性を十分に発現させる点から好ましい。油剤成分の塗工方法としては、グラビアコーティング等の公知の塗布方法を用いることができる。
【0030】
前記塗布液はウエスト弾性部材51aに沿って外層シート折り返し部100上に塗工される。塗布液が塗工された部位を確実に凸部9aとさせるためには、内層シート13、外層シート12及びウエスト弾性部材51aとの三者を接合するに当たり、図8に示すようにウエスト弾性部材51aを伸張状態下に内層シート13及び外層シート12と断続的に接合して断続的な接合部Jを形成し、更に、隣り合う接合部J間に位置する内層シート13に塗布液Tを塗工する。つまり塗布液Tは、ウエスト弾性部材51aに沿って断続的に塗工される。これによってウエスト弾性部材51aの伸張状態が解かれると、接合部J間に位置する外層シート折り返し部100(この部分は撥水性となっている)がひだよせされて、図3に示すように、撥水性となっている凸部9aが確実に形成される。これと同時に、接合部J及びその近傍に位置する外層シート折り返し部100(この部分は親水性のままである)に、凹部9bが確実に形成される。接合には、ホットメルト粘着剤などの各種接着剤を用いた接着や、熱融着などを用いることができる。
【0031】
本発明の範囲外であるが、別の実施形態として、弾性部材を利用した凸部の形成に代えて、エンボス加工によって凸部を形成することもできる。具体的には、図9(a)に示すように、凹凸部を有する一対のエンボスロール16,17を備え、各エンボスロールにおける凹凸部が互いに噛み合うようになっているエンボス装置を用いる。両エンボスロール間に内層シートと外層シートとからなる外層体11を通すと、両エンボスロール16,17の凹凸の噛み合いによって外層体11に大きな段差の凸部及び隣り合う凸部間に位置する凹部が形成される。このような凹凸の形成方法は一般にスチールマッチエンボス加工と呼ばれる。そして、このエンボス加工に際して、図9(b)に示すように、一方のエンボスロール16における凹部に開口18が設けられているエンボス装置を用い、該開口18を通じて油剤成分を含む塗布液を外層体11に供給することで、凸部の形成と、該凸部を撥水性となす工程とを同時に行うことができる。この場合には、ウエスト部Eからみて股下部C寄りの部位に弾性部材が存在しないときにでも、胴周囲部Dにおける幅方向中央部にまで撥水性領域を設けることができる。
【0032】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、ウエスト弾性部材51aに沿って塗布液を塗工したが、これに代えて胴周囲部Dにおける内層シート13の内面全域に塗布液を塗工してもよい。この場合には、胴周囲部胴周囲部Dにおける肌対向面全域が撥水性領域となる。
【0033】
また、前記実施形態においては、腹側部Aのウエスト部Eにおける肌対向面にのみ撥水性領域14を形成したが、これに加えて又はこれに代えて背側部Bのウエスト部Eにおける肌対向面に撥水性領域を形成してもよい。腹側部Aのウエスト部Eにのみ撥水性領域14を形成する場合には、背側部Bのウエスト部Eに撥水性領域を形成しないことに起因して低コストでおむつを製造できるという利点がある。一方、背側部Bのウエスト部Eに撥水性領域14を形成する場合には、俯せになった姿勢の着用者に対する清拭操作が容易に行えるという利点がある。また、胴周囲部Dにおける弾性部材が配された領域にも、ウエスト部Eと同様にギャザーを利用して凸部に撥水性領域を設けたり、またエンボス加工によって凸部からなる撥水性領域を設けてもよい。この場合には、胴周囲部Dのみに設けてもよいし、ウエスト部Eに加えて設けてもよい。
【0034】
また前記実施形態はパンツ型使い捨ておむつに係るものであったが、本発明は展開型の使い捨ておむつにも同様に適用できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつによれば、おむつ交換時に着用者の排泄部を、おむつ腹側部の肌当接面で清拭することができる。従って、清拭操作を容易に行うことができ、おむつ交換が簡便化される。また、清拭シートの使用量を削減することができ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図2】図2(a)は図1に示すおむつを組み立てる前の状態を表面シート側からみた伸張状態での平面図であり、図2(b)は図2(a)におけるb−b線断面図である。
【図3】弛緩状態での図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1に示す使い捨ておむつの使用形態を示す模式図である。
【図5】図1に示す使い捨ておむつを用いた排泄部の清拭形態を示す模式図である。
【図6】図1に示す使い捨ておむつを用いた排泄部の別の清拭形態を示す模式図である。
【図7】従来の使い捨ておむつを用いた排泄部の清拭形態を示す模式図である。
【図8】撥水性領域の形成方法を示す模式図である。
【図9】エンボス加工によって凸部を形成し且つ凸部を撥水性とする状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 表面シート
3 防漏シート
4 吸収性コア
9a 凸部
9b 凹部
10 吸収体本体
11 外層体
12 内層シート
13 外層シート
14 撥水性領域
15 親水性領域
71a、71b 胴回り弾性部材
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
D 胴周囲部
J 接合部
W 排泄物

Claims (4)

  1. 股下部並びに該股下部からそれぞれ前後方向に延びる腹側部及び背側部を具備する使い捨ておむつにおいて、該使い捨ておむつの肌対向面を親水性となし、また前記腹側部又は前記背側部における前記肌対向面に、撥水性となされた多数の凸部をおむつ幅方向へ延びるように形成し、該凸部の集合域からなる撥水性領域を設け、撥水性領域は伸縮自在な領域からなり、該伸縮自在な領域はその弛緩状態においてギャザーの形成によるひだよせによって多数の前記凸部を有していると共に隣り合う凸部間が親水性の凹部になっている使い捨ておむつ。
  2. 前記撥水性領域が、前記腹側部又は前記背側部におけるウエスト部に設けられている請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記撥水性領域を、油剤成分のパターン塗布によって設けた請求項1又は2記載の使い捨ておむつ
  4. 前記伸縮自在な領域は、外層シートと、該外層シートの内面側に配された内層シートと、伸張状態下に両シートによって挟持固定された弾性部材とを有し、該弾性部材は両シートと断続的に接合して断続的な接合部が形成されており、隣り合う該接合部間に位置する内層シート側の肌対向面に油剤成分を含む塗布液が断続的に塗工されて、撥水性となされた多数の前記凸部が形成されている請求項3記載の使い捨ておむつ
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