JP3905122B2 - スリップ制御付き液圧ブレーキシステム - Google Patents

Description

本発明は、主圧力管路により少なくとも１のホイールブレーキに液圧的に接続された制動圧発生装置と、ホイールブレーキと圧力流体収集装置とに接続された戻り管路と、補助圧管路を介して制動圧発生装置に液圧的に接続された補助圧ポンプと、主圧力管路および戻り管路に介挿されて主圧力管路および戻り管路の圧力流体路を閉じあるいは開状態を保持する入口弁および出口弁と、入口弁とホイールブレーキとの間で主圧力管路に介挿された制御可能なレストリクタとを備え、このレストリクタは、第１切換位置で、主圧力管路中に、ホイールブレーキへの阻害されない圧力流体路を形成し、他の切換位置で、ホイールブレーキへの圧力流体路を制限するスリップ制御付き液圧ブレーキシステムに関し、ドイツ特許出願番号第Ｐ４３１９２２７．０号に記載の発明を発展させたものである。
入口弁および出口弁のディジタル制御による、スリップ制御付きブレーキシステムの不連続的な圧力流体制御は、パルス状の圧力変動により、望ましくない騒音発生の原因となる。
上記出願に記載のブレーキシステムにおいては、制御可能なレストリクタを含む環状ピストンの配置、および、環状ピストンに対応する電磁作動の入口弁の細部に関して、提案された建設的な構造は、最も簡単な小型化された入口弁構造を形成するために更に構造的に簡略化する必要があることが判明した。
本発明の目的は、上記出願に記載のブレーキシステムの回路構造を変更することなく維持しつつ、弁の操作性（operability）を制限することなく、低コストで入口弁を小型化するための解決方法を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明によると、主圧力管路により少なくとも１のホイールブレーキに液圧的に接続された制動圧発生装置と、ホイールブレーキと圧力流体収集装置とに接続された戻り管路と、補助圧管路を介して制動圧発生装置に液圧的に接続された補助圧ポンプと、主圧力管路および戻り管路に介挿されて主圧力管路および戻り管路の圧力流体路を閉じあるいは開状態を弁閉鎖部材を介して保持する入口弁および出口弁と、入口弁とホイールブレーキとの間で主圧力管路に介挿された制御可能なレストリクタとを備え、このレストリクタは、第１切換位置で、主圧力管路中に、ホイールブレーキへの阻害されない圧力流体路を形成し、他の切換位置で、ホイールブレーキへの圧力流体路を制限することにより騒音を低減するスリップ制御付き液圧ブレーキシステムであって、前記入口弁は、この入口弁を開閉する弁閉鎖部材を収容しかつこの弁閉鎖部材と同軸状に環状チャンバを形成された弁キャリアを有し、前記制御可能なレストリクタは、前記環状チャンバ内を、一端側に作用する入口弁の入口側圧力と他端側に作用する入口弁の出口側圧力との差圧に応じて軸方向に移動し、前記環状チャンバ内で圧力流体路の通路断面積を増減する環状ピストンと、該ピストンに穿設されたレストリクタとからなる液圧ブレーキシステムが提供される。
したがって、本来的に環状フィルタおよび弁閉鎖部材を収容する環状チャンバは、更に環状ピストンを好適に一体化する作用をなし、これにより、弁キャリアの外側寸法および弁収容部材の段付き内孔の寸法を維持することができる。更に、弁収容部材と弁キャリアとの間の環状部は、環状フィルタを位置決めするために用いることができる。特にホイールブレーキと逆止め用のカップシールとの間を流れる流体をろ過するためのフィルタ面が増大する点で好ましい。
本発明の他の特徴、利点、および可能な用途は、以下の複数の実施例に関する説明から明らかとなる。
図中、
第１図は、弁閉鎖部材に近接した本発明による環状ピストンの配置を含む拡大した入口弁の部分図である。
第２図は、入口弁内における他の実施例の細部である。
第３図は、拡大した状態の弁キャリアのＡ−Ａ線に沿う断面図である。
第１図は、入口弁１の全体構造の建設的な実施例を示す。入口弁１は、弁キャリア１０を備え、この弁キャリアは、弁閉鎖部材１１と主圧力管路２の通路とを備え、この主圧力管路は制動圧発生装置５に液圧的に接続され、図示しない補助圧管路を介して補助圧ポンプ１８にも液圧的に接続されている。弁キャリア１０は、カートリッジ状構造（ねじ込みカートリッジ、柱状カートリッジ（staked cartridge）、拡径リング（spreading ring）を有するカートリッジとして）に、弁収容部材９内に一体化するのが好ましい。図示の弁取付けシステムにおいては、弁キャリア１０は円錐状に傾斜した外側部が、拡径リング１２８により弁収容部材９内に固定されている。弁収容部材９の開口は、拡径リング１２８を収容する円錐状のアンダーカットを有する。弁キャリア１０は、円錐状に形成された弁キャリア１０の下側に配置されたシールにより、弁収容部材９内にシールされている。制動圧発生装置５および補助圧ポンプ１８に接続された主圧力管路２と、環状ピストン８との間に、弁キャリア１０の延長部上にスナップ止めされたプレート状フィルタ２１、および、通常開の弁閉鎖部材１１により、圧力流体接続が形成される。圧力流体は、環状ピストン８から、ホイールブレーキ３との接続部の上流側に結合された環状フィルタ２２に向け、磁気コア１２７における開の環状スロットを介して、更に、ある程度はレストリクタ（restrictor）４を介して、弁キャリア１０に機械加工された変更不能のオリフィス３１に、伝達される。変更不能のオリフィス３１は、ＡＢＳ制御の質を改善するために用いられる。なお、ホイールブレーキ３は、従来と同様に、図示しない出口弁を介挿した戻り管路により圧力流体収集装置に接続されており、この出口弁により、戻り管路の圧力流体路が閉じあるいは開状態を保持される。
その壁部の横方向孔は、環状ピストン８が制御可能なレストリクタ作用をなすのを可能とする。環状チャンバ１２６内においては、弁座１１６を含む回転対称状の中央部材１１４の縮径された延長部上を、環状ピストン８が軸方向に移動することができる。圧縮ばね７の作用により、環状ピストン８は、ストッパとして作用するその外側カラー１１９を、弁キャリア１０内の環状チャンバ１２６の内孔段部上で支えられている。環状ピストン８はほぼスリーブ状形状を有し、磁気コア１２７に近接するその端面に、ファンネル状のゴム製シール面１１５を有し、このシール面は磁気コア１２７の円錐状先端部に対向している。必要あるいは要請により、円錐状のシールを、環状ピストン８の端面領域内に埋設した金属製の平坦なシールあるいはＯリングにより、設けることもできる。
シールリング１２４が、磁気コア１２７から離隔した環状ピストン８の先端部に設けられる。シールリング１２４は、入口弁１が閉じた状態のときに、圧力流体が制動圧発生装置５からホイールブレーキ３の方向に漏洩するのを防止する。その延長部が内部に突出する回転対称の中央部材１１４は、弁キャリア１０の段付き内孔内にプレス嵌めされており、必要な場合には先端領域に固定される（staked）。図示の実施例では、弁座１１６は段付きのスリーブ部であり、弁閉鎖部材１１に対して同軸状に延びる中央部材１１４の内孔内にプレス嵌めされる。
中央部材１１４の高さで、弁キャリア１０の外周部に配置された環状溝は、ホイールブレーキ３方向への流体流を遮断するシールカップ１１２を収容する。このシールカップ１１２は、ホイールブレーキ３と制動圧発生装置５あるいは補助圧ポンプ１８との間で、流体をろ過する圧力流体接続を可能とする。この圧力流体接続は、弁キャリア１０と弁収容部材９との間のスペースに設けられた環状フィルタ２２と、図に示すように、プレート状フィルタ２１における少なくとも１の側部凹部１２０とにより形成される。
第１図の実施例と対比して、第２図（同じくかなり拡大して示す）は、中央部材１１４内の均等部材（homogeneous component）として一体化された弁座１１６を示す。これは、第１図の実施例で説明したように、弁座１１６を含む別個のスリーブ状圧入部材を配置する必要性を排除する。環状ピストン８上に設けられたシールリング１２４を加圧するため、中央部材１１４は１の孔１１８のみを有し、この孔は内孔として低コストで製造可能な対応した大きさの寸法となっている。ＡＢＳ制御中にホイールブレーキ３への流体流の量を正確に調整するため、弁キャリア１０における変更不能のオリフィス３１が、弁キャリア１０の横方向孔１３内の挿入部材として更にプレス嵌めされている。横方向孔１３は環状チャンバ１２６をホイールブレーキ３に液圧接続する。必要な場合には、第１図の実施例で示したように、横方向孔の校正された細孔（calibrated fineboring）によっても、変更不能のオリフィスの作用をなすことができる。弁キャリア１０は、自己シヤリング取付け（self-shearing attachment）により弁収容部材９内に保持されており、従って、第１図のシールリングを省略することができる。
第２図に示す他の全ての部材は、第１図のものと構造および作用がほぼ同じである。
第３図は、Ａ−Ａ線に沿う第１図の入口弁の上部の図を示す。この図は、その矩形の断面構造により、中央部材１１４が、環状ピストン８に続くシールリング１２４の方向に、弁キャリア１０の内壁に対して対応する大きさの圧力流体通路を形成することを示す。断面は、プレート状フィルタ２１がスナップ止めされる弁キャリア１０の底端部を通って、延在する。プレート状フィルタ２１の周部上に、複数の凹部１２０が展開し、これらの凹部はシールカップ１１２の方向からの圧力流体通路を形成する。従って、断面Ａ−Ａに関して説明したすべての部材は、互いに回転対称の同軸状の配置を有する。
本発明の作用について以下に説明する。
非制御状態におけるスリップしてない通常の制動状態では、入口弁１はその電磁的に無励磁で、開の初期位置を占める。制動圧発生装置５が作動されると、弁座１１６は絞りあるいは規制作用をほとんど行わないため、入口弁１の入口側に圧力が累積（accumulate）されない。これにより、弁の入口と出口との間の大きな差圧が防止される。環状ピストン８は図示の初期位置で、内孔段部に当接した状態を維持し、したがって、制動圧が弁座１１６と、環状ピストン８と磁気コア１２７との間の環状スロットとにより、ホイールブレーキ３に作用する。
ブレーキペダルが解除されると、制動圧は、開の弁閉鎖部材１１とシールカップ１１２とにより、制動圧発生装置５に向け、反対方向に再度減圧される。
ブレーキスリップ制御中に、入口弁１が閉じ、弁入口（マスタシリンダ圧／ポンプ圧）と弁出口（ホイール制動圧）との間の差圧が圧縮ばね７で調整される値を超えると、シールリング１２４上の合成圧力が環状ピストン８をばね力に抗して反対方向に変位させ、磁気コア１２７とシール係合する状態に移動する。したがって、環状ピストン８のレストリクタ４によってのみ、ホイールブレーキ３に対する圧力流体接続が形成される。入口弁１がその通常通路を弁閉鎖部材１１により再度開いたときに、補助圧ポンプ１８の作動で補給された流体が、環状ピストン８内のレストリクタ４によってのみ、ホイールブレーキに伝達され、その後の入口弁１の繰り返される閉動作の際に、圧力サージしたがって騒音が低減されるように減速される。環状ピストン８の作動に必要なスイッチング用差圧が不足し、制動作用が中断されると、環状ピストン８は通路断面積が増大するその初期位置に戻る。
参照符号のリスト
１ 入口弁
２ 主圧力管路
３ ホイールブレーキ
４ レストリクタ
５ 制動圧発生装置
７ 圧縮ばね
８ 環状ピストン
９ 弁収容部材
１０ 弁キャリア
１１ 弁閉鎖部材
１３ 横方向孔
２１ プレート状フィルタ
２２ 環状フィルタ
３１ 変更不能オリフィス
１１２ シールカップ
１１４ 中央部材
１１５ シール面
１１６ 弁座
１１７ 中間スペース
１１８ 開口
１１９ カラー
１２０ 凹部
１２４ シールリング
１２６ 環状チャンバ
１２７ 磁気コア
１２８ 拡径リング

Claims (7)

1. 主圧力管路（２）により少なくとも１のホイールブレーキ（３）に液圧的に接続された制動圧発生装置（５）と、ホイールブレーキ（３）と圧力流体収集装置とに接続された戻り管路と、補助圧管路を介して制動圧発生装置に液圧的に接続された補助圧ポンプと、主圧力管路および戻り管路に介挿されて主圧力管路（２）および戻り管路の圧力流体路を閉じあるいは開状態を弁閉鎖部材（１１）を介して保持する入口弁（１）および出口弁と、入口弁（１）とホイールブレーキ（３）との間で主圧力管路（２）に介挿された制御可能なレストリクタとを備え、この制御可能なレストリクタは、第１切換位置で、主圧力管路（２）中に、ホイールブレーキ（３）への阻害されない圧力流体路を形成し、他の切換位置で、ホイールブレーキ（３）への圧力流体路を制限することにより騒音を低減するスリップ制御付き液圧ブレーキシステムであって、
   前記入口弁（１）は、この入口弁を開閉する弁閉鎖部材（１１）を収容しかつこの弁閉鎖部材（１１）と同軸状に環状チャンバ（１２６）を形成された弁キャリア（１０）を有し、前記制御可能なレストリクタは、前記環状チャンバ（１２６）内を、一端側に作用する入口弁の入口側圧力と他端側に作用する入口弁の出口側圧力との差圧に応じて軸方向に移動し、前記環状チャンバ（１２６）内で圧力流体路の通路断面積を増減する環状ピストン（８）と、該ピストン（８）に穿設されたレストリクタ（４）とからなることを特徴とする液圧ブレーキシステム。
2. 前記環状チャンバ（１２６）は段付き内孔であり、この段付き内孔は、一端側を、入口弁（１）の磁気コア（１２７）により、他端側を、弁座（１１６）を収容する中央部材（１１４）により限定されることを特徴とする請求項１に記載の液圧ブレーキシステム。
3. 前記環状ピストン（８）は、入口弁（１）の弁座（１１６）を含む中央部材（１１４）と、環状チャンバ（１２６）の壁部との間を案内されることを特徴とする請求項１又は２に記載の液圧ブレーキシステム。
4. 前記磁気コア（１２７）に近接する環状ピストン（８）の端面は、磁気コア（１２７）の端部に当接する状態に可動のシール面（１１５）を有することを特徴とする請求項２又は３に記載の液圧ブレーキシステム。
5. シールリング（１２４）を収容するための中間スペース（１１７）が、前記中央部材（１１４）の端面と、中央部材（１１４）に近接する環状ピストン（８）の端面との間に設けられることを特徴とする請求項２から４のいずれか１に記載の液圧ブレーキシステム。
6. 前記中央部材（１１４）は、その対称軸の方向に少なくとも１の開口（１１８）を有し、制動圧発生装置（５）の方向から延びる主圧力管路（２）とシールリング（１２４）を収容する中間スペース（１１７）との間に、常時圧力流体接続を形成することを特徴とする請求項２から５のいずれか１に記載の液圧ブレーキシステム。
7. 前記環状ピストン（８）はカラー（１１９）を有し、このカラーは基本的に、環状チャンバ（１２６）の内孔段部上に配置され、磁気コア（１２７）上に装着された圧縮ばね（７）上に支えられていることを特徴とする請求項１から６のいずれか１に記載の液圧ブレーキシステム。

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