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JP3971525B2 - 鋼帯の接合方法 - Google Patents

鋼帯の接合方法 Download PDF

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    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys
    • B23K2103/04Steel or steel alloys

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  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は板厚や強度或いは性質などの異なる複数の鋼帯をその長手方向の端部において溶接してプレス成形用に供されるようにする鋼帯の接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車部品の製造においては、深絞り成形、張出し成形等成形性が要求される自動車部品あるいは高強度が要求される自動車部品毎に、その要求に応じた鋼板をプレス成形して自動車部品を製造していたが、自動車部品の中には、成形性が厳しく要求される部位とそれ程成形性が要求されない部位とを備えた自動車部品や、高強度が厳しく要求される部位とそれ程高強度が要求されない部位を備えた自動車部品等がある。このような自動車部品を製造する場合、従来は要求される性能に耐えられる一枚の鋼板を用いてプレス成形を行い、成形後の自動車部品を溶接して自動車を製造していた。
【0003】
また、最近では自動車部品の製造において、必要な部位に必要な板厚と強度を持たせるために、板厚あるいは強度の異なる鋼板をレーザー等で接合して一枚の鋼板となし、その後一体でプレスに供するという、いわゆるテーラードブランクと呼ばれる方法が注目されてきており、このような方法は、例えば、特開平7−290182、特開平8−174246号公報等に見ることができる。また、亜鉛メッキ鋼帯同士をレーザービームで突き合わせ溶接する方法も特公平5−25596号公報などにより公知となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、同一素材の一枚の鋼板を用いて自動車部品を成形する方法では、成形する自動車部品に要求される成形性がそれ程要求されない部位まで優れた成形性を有することになり、言い換えれば、素材のオーバーアクションとなるもので、それに伴う素材費のコストアップとなる問題を有していた。また、特開平7−290182号公報、特開平8−174246号公報などにより知られるテーラードブランク法は、鋼板を小さな形状に剪断し、これを接合して一枚の鋼板とするために生産性が高められないという課題を有しており、更に、溶接開始端と終了端では接合品質が安定せず、この部分を切り捨てなければならず、製品の歩留りが悪いという欠点を有しており、一方、前述した特公平5−25596号公報に記載された方法では接合が満足するものでなく、有利な接合方法の出現が待たれているところである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記したような要望に応えることを目的として完成された本発明に係る鋼帯の接合方法の基本構成は、複数の異なる鋼帯のエッジ部を連続的に溶接するに際し、鋼帯の溶接を行わない側の端部の一方に端部位置決め装置を設置し、複数の鋼帯を、溶接ロールと、それぞれの鋼帯が前記した端部位置決め装置が設置されている方向に押付力が働くように傾斜して配置する複数の押さえロールとの間を通過させることにより鋼帯に幅方向の力を加えて鋼帯のエッジ部端面に押付力が働くようにし、鋼帯の突き合わせ面を同一平面上で押し付けながらレーザー溶接することにある。また、このような方法において、レーザー溶接する溶接点の上流側にフランジロールを配置して、鋼帯の間に隙間を設けることが好ましい。
【0006】
即ち、本発明は、自動車部品に供される鋼板を同一素材の一枚の鋼板とするのではなく、プレス成形する前に板厚や強度或いは性質などの異なる素材を帯鋼のまま溶接しておき、これより成形しようとする自動車部品が要求する成形性あるいは強度を必要な部位に具備する鋼板を得る鋼帯の接合方法であり、しかも、異質の鋼板を小さな形状に剪断した後、これらの端部を突き合わせて接合するという生産性が悪い方法に代え、コイルから捲戻された複数の異なる鋼帯の端部同士を連続的に溶接することにより、生産性が良好でしかも鋼帯の端部の形状精度が悪い場合でも接合品質が良好となる極めて有利となる鋼帯の接合方法を提供することにある。なお、本発明により得られた鋼帯から製造される自動車部品としては、自動車の骨格構造部位などの柱状に近い部品あるいはフロアなどの異種材が平行に接合されて使用される可能性のある部品などがあり、本発明方法によってこれらの部品の飛躍的生産性と歩留りの向上を図ることができることとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は前記したように、材質、板厚等の異なる鋼帯のエッジ部を連続的に有利に溶接する鋼帯の接合方法であり、その大きな特徴とするところは、傾斜する押さえロールを鋼帯に押しつけることにより鋼帯の幅方向に力を加えて鋼帯のエッジ間に押付力が働くようにし、生産性を向上させるとともに、接合品質が良好となる接合を可能とした点にある。
以下、図1〜図8を参照しながら本発明を詳細に説明する。
本発明では材質、板厚等の異なる2種の鋼帯1、2のエッジ部を連続的に接合するものであり、これら鋼帯1と鋼帯2とを並べて上側の押さえロール3、4と、これら押さえロール3、4に比べて大径の下側の溶接ロール5との間を通過させる。このとき鋼帯1、2は大径の溶接ロール5側に巻き付けられて通過するものであるが、前記した押さえロール3、4は溶接ロール5の長手方向に対してそれぞれ角度θ1 、θ2 だけ傾斜させて配置されるようにして鋼帯1、2に幅方向の力が積極的に加えられるようにして溶接ロール5に押付ける。
【0008】
このように本発明では、押さえロール3、4を傾斜させておくことにより鋼帯1、2に幅方向の力を積極的に加え、溶接する鋼帯1、2のエッジ間に面圧を働かせることを大きな特徴としている。鋼帯1、2の端部を突き合わせてレーザー溶接する際、溶接する鋼帯1、2の間に隙間が発生すると溶接後にアンダーカット等の品質不良が発生しやすくなる。しかし、通常、鋼帯を製造する際には鋼帯幅精度や鋼帯端部の形状品位を確保するために、鋼帯中央部をスリットしたり、端部をトリミングするなどの端部の剪断加工により仕上げるが、鋼帯端部には微少な凹凸が残るため、これらの端面を突き合わせた場合に多少の隙間が発生し、更に、レーザー溶接するを行う場合、溶接部の熱収縮により鋼帯の突き合わせ面を押し開こうとする力が加わるため溶接部上流近傍では隙間が発生する。そこで本発明では押さえロール3、4を傾斜させ、鋼帯1、2に幅方向の力を加え、溶接する鋼帯1、2の端部に突き合わせ力を与えることにより、熱収縮による隙間を押しつけ、更に、鋼帯端部の凸部の弾性変形もしくは塑性変形を加え、凹凸のよる隙間についても著しく低減させることにより、溶接点のおいて鋼帯1.2の端部間の隙間を著しく小さくすることができ、安定した溶接品質の確保を可能とするものである。
【0009】
この際、鋼帯の幅方向の力を与えるには、通常、サイドガイドロール等の鋼帯の溶接しない側の端部から力を加える方法が一般的に考えられるが、自動車部品に用いられるような薄手の鋼帯に対しては、これらの方法では大きな力を加えると鋼帯の座屈や端部の耳荒れ等を発生するため大きな力を加えることができず、十分に前述の溶接する鋼帯の端部間の隙間を小さくすることができないという問題があった。そこで、本発明では鋼帯1、2に幅方向の力を加えるのに押さえロール3、4を傾斜させて押しつけるという方法を採用し、押さえロール3、4の押し付ける力と傾斜角度を適正に調整することにより、鋼帯1、2の座屈や端部の耳荒れを発生させることなく十分な押し付ける力を自動車部品に用いられるような薄手の鋼帯にも与えることができるようにする。
【0010】
また、本発明では鋼帯1、2の溶接を行わない側の端部の一方に、鋼帯の端部位置決め装置を設置し、押さえロール3、4をそれぞれの鋼帯1、2が前記端部位置決め装置を設置してある方向に押付力が働くように傾斜させておくもので、このために押さえロール3、4を同一方向に傾斜させることも特徴としている。即ち、鋼帯1と鋼帯2の接合面10に対して、一般的には接合面10に向かって両側より押しつける力を働かせて接合するものであるが、本発明では鋼帯1と鋼帯2共に同一方向に押付力を働かせるようにしたものであり、そのために、押さえロール3、4は共にそれぞれ同じ方向の角度θ1 、θ2 だけ傾斜させるものとしてある。接合面10に向かって両側より押付力を働かせるのは、接合面10が常に溶接位置に変動しないように両側よりの押付力をバランス良く調整する必要があるが、その両側よりの押付力を調整することが難しく、本発明の如く、端部位置決め装置側の鋼帯1に対し、押さえロール3をθ1 傾けて押しつけることにより鋼帯1の端部位置決め装置側の端部を端部位置決め装置に押し付け、鋼帯1の幅方向位置を安定させることができることとなる。さらに、押さえロール4をθ2 傾けて押し付けることにより鋼帯1の溶接端部に押し付けられる鋼帯2の幅方向位置も安定することから、接合面10と溶接位置が変動しないように調整することが極めて容易とする知見より成されたものである。また、溶接する鋼帯端部間の押付力は押さえロール4の押し付け力と傾斜角θ2 を調整することにより容易に制御することができ、さらにまた、鋼帯1、2を大径の溶接ロール5に巻き付けるのは鋼帯1、2の厚み方向の突き合わせ精度を良く合わせることが可能となるもので、巻き付けをしないと鋼帯1、2と溶接ロール5の間の空間ができやすく、鋼帯1と鋼帯2の厚み方向の突き合わせ精度が十分でない可能性が高いからである。
【0011】
本発明は、レーザービーム9を照射する固定されたレーザー発射管6の位置に対して、溶接される接合面10が常に溶接位置になるように種々の検討を行い、その結果、通常の発想とは大きく異なる本発明に至ったものである。即ち、通常は接合面10の位置が溶接位置から変動しないように接合面10を中心に、その位置へ両側から押付力が鋼帯に与える発想がなされるものであるが、本発明では鋼帯1、2の一側に鋼帯が移動するよう押付力を付与する発想よりなされたものである。例えば、図1に示す如く、端部位置決め装置として鋼帯1の外側に入側エッジガイド7と出側エッジガイド8を設け、その入側エッジガイド7と出側エッジガイド8の方向へ鋼帯1が移動するよう傾斜した押さえロール3を溶接ロール5の上部に設ける。押さえロール3は、例えば、シリンダーなどにより溶接ロール5へ押さえる力を与え、鋼帯1を拘束しながら鋼帯1を矢印の方向へ移動させる。このとき押さえロール3は角度θ1 だけ傾斜しているので、鋼帯1は入側エッジガイド7と出側エッジガイド8へ押付けられるものである。なお、鋼帯1のエッジが損傷しないように押さえロール3は、その押し付け力と角度θ1 を調整できるようにしている。また、鋼帯1が入側エッジガイド7と出側エッジガイド8に拘束された時、鋼帯1の溶接される接合面10の位置が溶接位置となるよう入側エッジガイド7と出側エッジガイド8を鋼帯1の幅方向の調整が可能としている。
【0012】
このように鋼帯1を巾方向の位置調整するものであるが、同様に鋼帯2を角度θ2 だけ傾斜させた押さえロール4により拘束した状態で移動させ、且つ、θ2 と押さえロール4の押さえ力を適度に調整することにより、鋼帯2の接合面10が鋼帯1の接合面10に適度な押付力を働かせるようにし、鋼帯1、2のエッジ間に面圧を立て、隙間を押し潰した状態で溶接することとなり、言い換えれば、ピンチ方式の突き合わせをすることになり、溶接品質が向上し、極めて有利なものである。かくすることにより、一方向への押付力を考慮するのみで、鋼帯1、2の接合位置が精度良く調整できると共に、鋼帯1、2のエッジ間に面圧を立てて溶接することとなり溶接品質が向上するものである。このように鋼帯1、2の接合面10を溶接位置へ調整した後にレーザー発射管6よりレーザービーム9を照射して溶接し、鋼帯1、2を接合する。なお、押さえロール3、4は、図3、図4に示す如く、鋼帯1、2毎に4個用いてもよく、その配置形態は種々考えられるが、特にこだわるものではない。
【0013】
また、溶接ロール5は図5に示す如く、溶接位置に相当する箇所に溝11を設けたものとして、溶接時における溶接ロール5の熱影響による損傷を防止するものとしている。この図5では厚みの異なる鋼帯1、2の接合を示しているが、溶接ロール5の径は全長のわたって同一径としているために鋼帯1、2は鋼帯1、2の下面に合わせて溶接するようにしている。なお、図6では鋼帯1、2の上面を合わせて溶接し、図7では厚い鋼帯1の厚みの中央に薄い鋼帯2を溶接しているものであるが、このような接合の形態は溶接ロール5の溝11を挟んで左右の径を変えた溶接ロール5を用いるようにすれば容易になされるものである。また、溶接ロール5の左右の径を可変するには溶接ロール5を拡縮自在とするようにしてもよくその手段は特にこだわるものではない。
【0014】
さらに、本発明では図8に示す如く、溶接点12の上流側にフランジロール13を配置して鋼帯1、2の間に隙間を設けるようにしている。また、本発明は鋼帯1、2を同一平面上で通板し、溶接点12へ搬送するものであるが、その為に鋼帯1、2の接合面10が擦れたり、鋼帯1と鋼帯2が重なる場合があるので、それを防止するために鋼帯1、2間にフランジロール13を設けることはより好ましいものである。
【0015】
なお、本発明に用いる押さえロール3、4は、それぞれ角度θ1 、θ2 傾斜させるものであるが、角度θ1 、θ2 は共に2°〜25°が好ましく、また、押さえロール3、4の押さえ力は350N〜20000Nが好ましい。その理由は、角度θ1 、θ2 が2°未満もしくは押さえ力が350N未満では、鋼帯1、2の幅方向への押付力が不足して溶接品質が好ましくなく、角度θ1 、θ2 が25°超もしくは押さえ力が20000N超では押付力が大きくなりすぎ、鋼帯1、2の座屈等が発生する場合があるからである。但し、角度や押さえ力の前記した範囲は好ましい範囲を述べたに過ぎないもので、座屈等の発生がなければこの範囲にこだわるものでない。
【0016】
実施例1
常法に従い製造された表1に示す化学成分の板厚0.7mm、幅250mmの鋼帯1と、板厚1.4mm、幅690mmの鋼帯2を準備し、2kwのレーザー溶接機にて1.7m/分の速度で鋼帯1と鋼帯2を接合した。
その条件を表1に示し、溶接結果を表2および表3に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003971525
【0018】
【表2】
Figure 0003971525
【0019】
【表3】
Figure 0003971525
上表から明らかなように、本発明方法によると座屈の発生もなく、アンダーカットの発生もなく、極めて良好な溶接品質が得られる。
【0020】
実施例2
実施例1で示す鋼帯1と鋼帯2を自動車部品(センターピラー)に成形すべく、各々1000mmに切断した。この場合、本発明では鋼帯1、2を接合した後に切断するものとし、比較例では鋼帯1、2を切断した後に鋼板を接合した。
その時の所要時間を表4に示す
【0021】
【表4】
Figure 0003971525
表4に示すように、本発明によると比較例で示す切板接合法に比べると、生産性も飛躍的に向上することが判る。
【0022】
【発明の効果】
前記説明から明らかなように本発明によれば、自動車部品等をテーラードブランク法で製造する際、溶接品質が良好で、しかも、生産性の良い鋼帯の接合が可能となり、その効果は極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の平面説明図である。
【図2】 図1に示す本発明方法の側面説明図である。
【図3】 押さえロールを多くした本発明方法の平面説明図である。
【図4】 図3に示す本発明方法の側面説明図である。
【図5】 本発明方法の溶接近傍を示す拡大説明図である。
【図6】 本発明方法の溶接近傍を示す拡大説明図である。
【図7】 本発明方法の溶接近傍を示す拡大説明図である。
【図8】 本発明方法の溶接点上流側にフランジロールを具備した状態の説明図である。
【符号の説明】
1 鋼帯
2 鋼帯
3 押さえロール
4 押さえロール
5 溶接ロール
6 レーザー発射管
7 入側エッジガイド
8 出側エッジガイド
9 レーザービーム
10 接合面
11 溝
12 溶接点
13 フランジロール

Claims (2)

  1. 複数の異なる鋼帯のエッジ部を連続的に溶接するに際し、鋼帯の溶接を行わない側の端部の一方に端部位置決め装置を設置し、複数の鋼帯を、溶接ロールと、それぞれの鋼帯が前記した端部位置決め装置が設置されている方向に押付力が働くように傾斜して配置する複数の押さえロールとの間を通過させることにより鋼帯に幅方向の力を加えて鋼帯のエッジ部端面に押付力が働くようにし、鋼帯の突き合わせ面を同一平面上で押し付けながらレーザー溶接することを特徴とする鋼帯の接合方法。
  2. レーザー溶接する溶接点の上流側にフランジロールを配置して鋼帯の間に隙間を設けるようにしてあることを特徴とする請求項1記載の鋼帯の接合方法。
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