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JP4264186B2 - 鋼板または鋼帯の突き合わせ接合方法及び装置 - Google Patents

鋼板または鋼帯の突き合わせ接合方法及び装置 Download PDF

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JP4264186B2 JP2000249714A JP2000249714A JP4264186B2 JP 4264186 B2 JP4264186 B2 JP 4264186B2 JP 2000249714 A JP2000249714 A JP 2000249714A JP 2000249714 A JP2000249714 A JP 2000249714A JP 4264186 B2 JP4264186 B2 JP 4264186B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板厚や強度或いは性質などの異なる複数の鋼板または鋼帯を、その長手方向の端部においてレーザービームにより突き合わせ溶接をおこなう、接合方法及び装置に関するものである
【0002】
【従来の技術】
鋼板同士を突き合わせ接合する方法として、鋼板を突き合わせた状態で治具上に締めつけ固定し、溶接はつき合わせシーム部に添ってレーザービームトーチが移動し溶接する方法が知られている。ただしこの場合、溶接シーム長は設備上のトーチ移動ストロークにより制限されるため、長いシームを持つ鋼板や、鋼帯を連続溶接することができないという問題があった。
【0003】
この問題を解決するため、トーチを固定し、鋼板または鋼帯を連続的につき合わせしながら搬送し連続溶接を実施する方法が提案されている。
レーザービームにより鋼板または鋼帯を長手方向に連続的に突き合わせ接合するためには、これらの板端同士を隙間無く突き合わせ、しかも突き合わせシーム位置がレーザービーム照射位置に対してある許容値範囲内に案内する必要がある。
【0004】
これを実現するための技術として、例えば特公平6−13153号公報では、鋼帯の溶接突き合わせ端面同士を隣り合わせ、上下にはなれて搬送されるそれぞれの鋼帯を傾斜配置した搬送ローラーと縦型ローラーで押しこんで、溶接側の端面同士を同一の鉛直面にある案内部材の案内面に接触させながら搬送し、グリップローラーで同一平面上に拘束した後、レーザーにて溶接するものがある。
この構成では、端部が直線でないこともあり、グリップローラーで収束する際にかえって隙間が広がったり、あるいは端部同士がせりあがったりして、パス拘束を安定的に行なう事ができず、突き合わせ部を溶接した際に、溶接精度の安定確保ができず、溶接して得られる溶接部性状が低下してしまうという問題を生じることがある。この現象は特に薄鋼板の鋼帯を溶接対象とした場合に顕著である。
【0005】
これに対し特開2000−158163号公報では、複数の鋼帯を、溶接ローラーと、傾斜して配置する複数の押さえローラーとの間を通過させて鋼帯に幅方向の力を加えることにより、異なる鋼帯のエッジ部端面に押しつけ力が働く様にしながらレーザー溶接する溶接方法が提案されている。
しかし、この方法では、傾斜した押さえローラーが複数であり、大径の溶接ロールに比べ小径のため、押さえローラーと鋼帯は、ほぼ線接触のような状態で、幅方向の力は線に近いこの小さな接触面を介してしか伝わらないため、鋼帯の表面租度や塗油状態によっては十分な力が発生せず、まれに溶接品位が不安定になるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、板厚や強度或いは性質などの異なる複数の鋼板または鋼帯を、その端部においてレーザービームにより突き合わせ溶接をおこなうに際し、上記のような問題を有利に解消して溶接側の板端同士をより確実に隙間無く突き合わせ、パス拘束をより確実にして溶接することにより、溶接品位の安定した溶接鋼板または溶接鋼帯を、安価且つ高生産性で製造できる方法及び装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、
(1)レーザービームにより、複数の鋼板または鋼帯のエッジ部をつき合わせ接合する方法において、複数の鋼板または鋼帯を、その全幅よりロール胴長が長く、その進行直角方向に対して傾いて設置されている溶接ローラーに巻き付くように通過させ、前記溶接ローラー円周上で、レーザービームにて溶接を実施することを特徴とする鋼板または鋼帯の突き合わせ接合方法。
(2)溶接される一方の鋼板または鋼帯の、突き合わせシームと反対側で、溶接ローラーにより押し付け力の働く側のエッジ部を溶接ローラー前後でガイドしながら溶接することを特徴とする前記(1)記載の鋼板または鋼帯の突き合わせ接合方法。
(3)溶接ローラーと接する鋼板又は鋼帯の反対側から溶接位置の前後で鋼板又は鋼帯を押さえながら溶接することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の鋼板または鋼帯の突き合わせ接合方法。
(4)レーザービームにより、複数の鋼板または鋼帯のエッジ部をつき合わせ接合する装置において、複数の鋼板または鋼帯を巻き付ける溶接ローラーと、前記溶接ローラー円周上にレーザービーム溶接機を有し、前記溶接ローラーは複数の鋼板または鋼帯の全幅よりロール胴長が長く、鋼板又は鋼帯の進行直角方向に対して傾いて設置されていることを特徴とする鋼板または鋼帯の突き合わせ接合装置。
(5)溶接される一方の鋼板または鋼帯の、突き合わせシームと反対側で、溶接ローラーにより押し付け力の働く側のエッジ部をガイドするサイドガイドを溶接ローラー前後に設けたことを特徴とする前記(4)記載の鋼板または鋼帯の突き合わせ接合装置。
(6)溶接ローラーと接する鋼板又は鋼帯の反対側の面で溶接位置の前後に押さえロールを設けたことを特徴とする前記(5)又は(6)記載の鋼板または鋼帯の突き合わせ接合装置。
にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は前記した様に材質、板厚等の異なる鋼板または鋼帯のエッジ部を連続的に有利に溶接する鋼板の接合方法及び装置であり、その大きな特徴とするところは、鋼板または鋼帯を前記鋼板又は鋼帯の全幅よりロール胴長が長い溶接ローラーに巻き付けた円周上で、レーザービームにて溶接を実施する際に、当該溶接ローラーが鋼板または鋼帯の進行直角方向に対して、傾いて設置されることにより、鋼帯の幅方向に力を加えて接合される鋼板または鋼帯のエッジ間に押しつけ力が働く様にし、生産性を向上させるとともに接合品質が良好となる溶接を可能とした点にある。
【0009】
鋼板または鋼帯のエッジ部を突き合せてレーザー溶接する場合、突き合せ溶接シーム部に隙間が発生すると、溶接後にアンダーカット等の品質不良が発生しやすくなる。しかし、通常鋼板や鋼帯を製造する際には幅精度やエッジ部の形状品位を確保するために、スリットやトリミングやシャーリングなどのせん断加工を施すことがあるが、この場合においても鋼帯端部には微妙な凹凸が残るため、これらの端面を突き合せた場合に多少の隙間が発生し、さらに、レーザー溶接時には、溶接熱変形により突き合せ部をさらに開こうとする力が作用し、さらに溶接シーム部の隙間は拡大する。そこで、本発明では溶接ローラーを鋼板または鋼帯の進行直角方向に対して傾斜させ、鋼板または鋼帯のエッジ部につき合わせ力を与える事により、熱変形により生じた隙間を押しつけ、さらにエッジ部の凹凸による隙間も低減させることにより、溶接シームの隙間を小さくすることができ、安定した溶接品位の確保を可能としたものである。
【0010】
この際、鋼板または鋼帯に幅方向の力を与えるには、通常サイドガイドローラー等の鋼帯の溶接しない側のエッジ部から力を加える方式が一般的に考えられるが、自動車部品に用いられるような薄手の鋼板または鋼帯に対しては、これらの方法では大きな力を加えるとエッジの座屈や耳荒れ等が発生するために十分な力を加えることができず、十分に溶接シームの隙間を小さくする事ができないという問題があった。そこで、本発明では鋼板または鋼帯に幅方向の力を与えるのに傾斜させた溶接ローラーに巻き付けるという方法を採用し、傾斜角度を適正に調整することにより、鋼板又は鋼帯の座屈や耳荒れを発生させることなく、十分な押しつけ力を自動車部品に用いられるような薄手の鋼板にも与える事ができるようにする。
【0011】
溶接ローラーは鋼板又は鋼帯の進行直角方向に対して、0.1°〜0.8°傾けて設置することが好ましい。その傾斜角α(図1及び図2参照)は実験の結果、この角度が過小であれば、鋼板又は鋼帯同士の押しつけ力が不足し、更にサイドガイドを有する場合にはサイドガイドへの押しつけ力も不足し鋼帯の挙動が安定せず場合によっては数ミリの単位で蛇行することになるので、好ましくない。また、傾斜角αが過大であればサイドガイドへ過大な力によって鋼帯が押し付けられるため、鋼帯エッジ部の座屈変形が発生するので、好ましくない。
【0012】
又、鋼板又は鋼帯同士の接合部がその厚み方向にずれて溶接された場合も品質上問題になる。本発明の様に鋼板又は鋼帯を上記の溶接ローラーに巻き付けた状態で溶接することにより、この溶接部の厚み方向の目違いを防止することもできる。溶接ローラーに巻き付けることにより、鋼板又は鋼帯は厚み方向に溶接ローラー表面で拘束されるため、厚み方向の目違いが発生せず、安定した溶接が可能である。
【0013】
また、本発明では鋼帯または鋼板の溶接を行なわない側のエッジ部で、溶接ローラーにより押し付け力の働く側のエッジ部を、エッジ位置決めのため溶接ローラーの前後でガイドしながら、溶接ローラーがそれぞれの鋼帯に対し前記エッジ位置決め位置の方向に力が働く様に傾斜を付与するものである。すなわち一般的には、特公平6−13153号公報に示されているが如く、鋼板又は鋼帯の接合面に向かって両側から押しつけ力を働かせて接合するものであるが、接合面に向かって両側から押しつけ力を働かせるのは、接合面が常に変動しない様に両側よりの押しつけ力をバランスさせねばならないが、塗油の状況や表面処理や製造工程の違いに起因する表面租度の違いなどの外乱で、表面の摩擦力は一定でなく、調整することが難しい。それに対し本発明の如く、先ず一方の鋼板又は鋼帯の溶接しないエッジをサイドガイドに押しつけて幅方向を位置決めし、その位置決めされた鋼板又は鋼帯にもう一方の鋼板または鋼帯を押しつける事になるので、溶接位置はきわめて簡単に安定することができる。
【0014】
また特開平2000−158163号公報では、上記大径の溶接ローラーを傾斜させる代わりに、溶接ローラーに巻き付けた鋼帯上に設けた複数の押さえローラーを傾斜する事により、鋼帯に幅方向の力を付与している。この方式を採用した場合でも本発明と同様に溶接品位はきわめて簡単に安定することを確認したが、押さえローラーと鋼帯は、ほぼ線接触のような状態で、幅方向の力は線に近いこの小さな接触面を介してしか伝わらないため、鋼帯の表面租度や塗油状態によっては十分な力が発生せず、まれに溶接品位が不安定になることがある。これは押さえローラーの押しつけ力を増加することにより改善するが、その場合でも接触面積が小さいため局部的な面圧が過大となり押さえローラーの表面磨耗が早くなる等の問題を誘引する恐れがある。しかし、本発明の如く鋼板又は鋼帯の全幅よりロール胴長の長い溶接ローラーを鋼板又は鋼帯の進行直角方向に傾斜させれば、巻き付けた溶接ローラーと鋼板又は鋼帯とが接触する十分広い面積に、鋼板又は鋼帯を幅方向に押しつける力が作用するために、上記のような問題も無く安定的に十分な幅方向押しつけ力を確保する事ができる。
【0015】
なお、エッジ部(サイド)をガイドする手段としてはロールやシュー等で構成されたサイドガイドを使用することができる。
また、溶接ローラーと接する鋼板又は鋼帯の反対側から溶接位置の前後で鋼板又は鋼帯を押さえながら溶接することにより、鋼板又は鋼帯の浮き上がりを押さえ、接合面での鋼板又は鋼帯の高さ方向の目違いを防止することが可能になる。鋼板又は鋼帯を抑える手段として、押さえロール等を使用することができる。
【0016】
【実施例】
本発明の実施例について図1から図3に基づいて説明する。本実施例では2つの鋼帯1、2を接合する装置としたが、場合によっては図3の様に3つ以上の鋼帯1、2、10を一度に接合する場合にも本発明が有効である。鋼帯1、2は板厚×板幅がそれぞれ0.7mm×500mm、1.4mm×500mmのものを用いた。鋼帯1、2は溶接ローラー3に巻き付けられて搬送され、溶接ローラーは鋼帯の進行方向に対して0.3度傾けて設置した。サイドガイド4、5はシューによるガイドとし、速度2〜10mpm の範囲で通板したところ、突き合せ開き量を0.1mm以下、突き合せシームの位置ズレ量が±0.2mm以下に制御する事ができ、本発明の有用性が確認できた。そして接合面6において、溶接ローラー円周上である溶接点8において、レーザービーム9を照射し溶接を行なった。また今回の実施例では溶接ローラー3上で、鋼帯1、2を挟むように押さえローラー7を複数個配置してもよく、この事により鋼帯の浮き上がりを押さえ、接合面6での鋼帯1、2の高さ方向の目違いを有効的に防止する事ができ、さらに特開平2000−158163号公報の様に、この押さえローラー7の押しつけ力や傾き角を調整することで、本発明の趣旨である溶接ローラーの傾斜による効果と合わせて、鋼帯1、2の微妙な位置決め調整が可能である。
【0017】
【発明の効果】
本発明方法及び装置により、溶接部性状が良好で品質の良好な、鋼板または鋼帯の連続溶接を行なう事ができると共に、このような鋼板または鋼帯を安価に且つ高生産性で製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の平面図である。
【図2】図1に示す本発明装置の側面図である。
【図3】3枚の鋼板又は鋼帯を同時溶接する場合に本発明を適用した場合の平面図である。
【符号の説明】
1、2、10 鋼帯
3 溶接ローラー
4 サイドガイド
5 サイドガイド
6 接合面
7 押さえローラー
8 溶接点
9 レーザービーム

Claims (6)

  1. レーザービームにより、複数の鋼板または鋼帯のエッジ部をつき合わせ接合する方法において、複数の鋼板または鋼帯を、その全幅よりロール胴長が長く、その進行直角方向に対して傾いて設置されている溶接ローラーに巻き付くように通過させ、前記溶接ローラー円周上で、レーザービームにて溶接を実施することを特徴とする鋼板または鋼帯の突き合わせ接合方法。
  2. 溶接される一方の鋼板または鋼帯の、突き合わせシームと反対側で、溶接ローラーにより押し付け力の働く側のエッジ部を溶接ローラー前後でガイドしながら溶接することを特徴とする請求項1記載の鋼板または鋼帯の突き合わせ接合方法。
  3. 溶接ローラーと接する鋼板又は鋼帯の反対側から溶接位置の前後で鋼板又は鋼帯を押さえながら溶接することを特徴とする請求項1又は2記載の鋼板または鋼帯の突き合わせ接合方法。
  4. レーザービームにより、複数の鋼板または鋼帯のエッジ部をつき合わせ接合する装置において、複数の鋼板または鋼帯を巻き付ける溶接ローラーと、前記溶接ローラー円周上にレーザービーム溶接機を有し、前記溶接ローラーは複数の鋼板または鋼帯の全幅よりロール胴長が長く、鋼板又は鋼帯の進行直角方向に対して傾いて設置されていることを特徴とする鋼板または鋼帯の突き合わせ接合装置。
  5. 溶接される一方の鋼板または鋼帯の、突き合わせシームと反対側で、溶接ローラーにより押し付け力の働く側のエッジ部をガイドするサイドガイドを溶接ローラー前後に設けたことを特徴とする請求項4記載の鋼板または鋼帯の突き合わせ接合装置。
  6. 溶接ローラーと接する鋼板又は鋼帯の反対側の面で溶接位置の前後に押さえローラーを設けたことを特徴とする請求項5又は6記載の鋼板または鋼帯の突き合わせ接合装置。
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