JP3943726B2 - 回生制動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、モータの電機子に流れる電流を制御することで、回生制動時に該モータに生じる回生トルクを制御する回生制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、エンジンと該エンジンの出力を補助するモータとを車両の走行駆動源として具備するハイブリッド車においては、車両の加速時にはエンジンの駆動力と共に、モータの駆動力も車両の駆動輪に付与される。これにより、必要な加速性能を確保しつつ、エンジンの出力を抑制し、エンジンの燃料消費の低減や排気性能の向上を図っている。
【0003】
また、前記モータは、発電機としても動作し、例えば車両の減速走行時に、車両の運動エネルギーを駆動輪側からモータに付与することで、該モータを発電機として動作させ、発電時に該モータに生じる回生トルクにより車両を制動する(回生制動動作)。そして、発電エネルギーをモータの電源(バッテリや電気二重層コンデンサ等)に回収(充電)することで、エネルギーの有効利用を図っている。
【0004】
ここで、モータの回生トルクの制御方法としては、モータの電機子に流れる電流(以下、電機子電流という)を検出し、検出した電流値が所定のトルク指令に応じた目標電流値と一致するように、モータの電機子電流をフィードバック制御する方法が一般的に採用されている。具体的には、例えばモータの電機子から出力される発電電圧のパルス幅を、モータの電機子電流の検出値と目標電流値との偏差に応じて変更することで、電機子電流を調節するPWM制御が用いられる。
【0005】
このように、電機子電流を調節してモータの回生トルクを制御する場合、モータの電源としてバッテリを用いたときのように、電源電圧の変動が比較的小さいときには、実電流の追従特性が一定であるため、良好なトルク制御性能を得ることができる。しかし、モータの電源として、例えば電気二重層コンデンサのように出力電圧の変動が大きい電源を使用したときには、電源電圧の変動によりモータの電機子から電源に流れる電機子電流の追従特性が変化するため、回生トルクの制御性能が悪化するという不都合がある。
【0006】
この不都合を解決するため、電源電圧の検出値、電機子電流の検出値、モータ回転数の検出値等を制御パラメータとして入力し、これらの制御パラメータに応じて電機子電流を制御する、いわゆるソフトウェアサーボ制御を行うことが考えられる。
【0007】
しかし、このようなソフトウェアサーボ制御を行うためには、各制御パラメータの値から電機子電流を制御する操作量を決定するために多量のデータを予め保持する必要がある。そして、保持したデータに基づいて操作量を決定するためには複雑な演算処理が必要となる。さらに、これらの演算処理は、モータの制御遅れを生じないように高速に行う必要がある。そのため、ソフトウェアサーボ制御を行うためには、複雑な演算処理を高速に行うことができる高性能のCPUやDSPを用いなければならず、回生制動装置の構成が複雑になると共に、コスト的にも高いものとなるという不都合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、出力電圧の変動が大きい電源と比較的演算処理能力の低いCPUを使用して、精度良く回生トルクの制御を行うことができる回生制動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、DCブラシレスモータの回生動作によって生じる発電エネルギーを該モータの電源に回収することで、所定のトルク指令に応じた回生トルクを該モータに発生させる回生制動装置において、前記モータの電機子に流れる電流である電機子電流を検出する電流検出手段と、前記モータの電源電圧を検出する電圧検出手段と、前記モータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記電圧検出手段により検出された前記モータの電源電圧と前記回転数検出手段により検出された前記モータの回転数と前記トルク指令とから、前記トルク指令に応じた回生トルクを前記モータに生じさせるために、前記モータの電機子から該モータの電源に出力させる必要がある目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段と、前記電流検出手段により検出された前記モータの電機子電流と前記電圧検出手段により検出された前記モータの電源電圧とから、前記モータの電機子から実際に出力される電力である実発電電力を算出する実発電電力算出手段と、前記目標発電電力と前記実発電電力との偏差を解消するための操作量を、該偏差から算出する操作量算出手段と、前記回生制動の実行時に、前記モータを、該モータの界磁の磁束方向であるq軸上にある第1電機子と、q軸と直交するd軸上にある第2電機子とを有する等価回路に変換して扱い、該第1電機子に流れるiq電流と該第2電機子に流れるid電流とを制御することで、前記モータの電機子電流を制御する回生制御手段とを備える。この場合、前記回生制御手段は、前記操作量算出手段により算出された前記操作量を所定の基準操作量と比較し、比較結果に応じて、前記モータに生じる回生トルクを増加させる第1回生制御と、前記モータに生じる回生トルクを減少させる第2回生制御とを選択的に実行するものであると共に、前記id電流およびid電流のそれぞれの制御目標であるid電流指令およびiq電流指令を決定するdq電流指令決定手段と、該dq電流指令決定手段により決定されたid電流指令とiq電流指令とから、前記モータの電機子電流の制御目標である電機子電流指令を算出する電機子電流指令算出手段と、該電機子電流指令算出手段により算出される電機子電流指令の位相を遅らせた遅角電流指令を生成する遅角電流指令生成手段と、前記電機子電流算出手段により算出された電機子電流指令または前記遅角電流指令生成手段により生成された遅角電流指令と前記電流検出手段により検出される前記モータの電機子電流とが一致するように、前記モータの電機子電流を制御する電機子電流制御手段とを備える。そして、該回生制御手段は、前記第1回生制御においては、前記dq電流指令決定手段により、前記iq電流指令を第1固定値に決定すると共に、前記id電流指令を前記操作量に応じて決定して、その決定したiq電流指令とid電流指令とから前記電機子電流指令算出手段により前記電機子電流指令を算出し、その算出した電機子電流指令と前記電流検出手段により検出された前記モータの電機子電流とが一致するように、前記モータの電機子電流を前記電機子電流制御手段により制御し、前記第2回生制御においては、前記dq電流指令決定手段により、前記id電流指令を第2固定値に決定すると共に、iq電流指令を前記操作量に応じて決定して、その決定したid電流指令とiq電流指令とを前記電機子電流指令算出手段に与えた場合に該電機子電流指令算出手段により算出される電機子電流指令の位相を遅らせた前記遅角電流指令を前記遅角電流指令生成手段により生成し、その生成した遅角電流指令と前記電流検出手段により検出された前記モータの電機子電流とが一致するように、前記モータの電機子電流を前記電機子電流制御手段により制御することを特徴とする。
【0010】
かかる本発明によれば、前記回生制御手段は、前記操作量算出手段により算出される前記目標発電電力と前記実発電電力との偏差を解消するための操作量に応じて、モータの電機子電流を制御する。換言すれば、前記目標発電電力と前記実発電電力との偏差を解消するように、モータの電機子電流を制御し、これによりモータに生じる回生トルクを前記トルク指令に追従させる。そのため、モータの電源電圧の変動が大きい場合であっても、前記回生制御手段により、該モータの電源電圧の変動の影響を抑制するように該モータの電機子電流が制御され、該モータに生じる回生トルクを精度良く追従させることができる。
【0011】
例えば、モータの発電エネルギーを回収することでモータの電源電圧が上昇すると、モータの発電電圧と電源電圧との差が小さくなるため、モータから電源に流れる電流である電機子電流が減少する。そして、このように電機子電流が減少すると、モータに生じる回生トルクが前記トルク指令よりも小さくなる場合が生じ得る。かかる場合には、前記実発電電力が減少して、前記目標発電電力との偏差が大きくなるため、前記操作量算出手段により算出される操作量が大きくなる。そして、前記回生制御手段は前記操作量に応じて、即ち、この場合には前記実発電電力が増加して前記目標発電電力との偏差が解消するように、モータの電機子電流を増加させる制御を行う。そのため、モータの電源電圧が上昇しても、モータの電機子電流の減少が抑制され、モータに生じる回生トルクを前記トルク指令に追従させることができる。
【0012】
そして、前記操作量は簡易な演算処理(例えばPI制御の演算処理)で算出できるため、高性能なCPUやDSPを用いる必要がない。そのため、比較的演算能力の低いCPUを用いてモータの制御装置を構成することができ、装置構成が複雑化することや、装置コストが上昇することを抑制することができる。
【0014】
DCブラシレスモータは3相(u,v,w)の電機子を有するのが一般的であるが、3相の電機子に流れる電機子電流を直接制御すると電機子電流の制御方法が複雑になる。そこで、3相のモータを該モータの界磁の磁束方向であるq軸上にある第1電機子と、q軸と直交するd軸上にある第2電機子とを有する等価回路に変換したdq座標系でモータを制御することで、制御方法を簡素化することが一般的に行われている。
【0015】
このように、dq座標系でモータの回生トルクを制御する場合、基本的にはid電流を制御してモータに生じる回生トルクを調節する前記第1回生制御が行われるが、id電流を0としてもなおモータに生じる回生トルクが大きいときには、iq電流を増加させることで、前記モータの界磁の磁束を減少させるのと同等の効果を生じさせ、これにより、モータに生じる回生トルクを減少させる前記第2回生制御が行われる。このように、前記第1回生制御と前記第2回生制御という2種類の制御方法を切り替えてモータの回生トルクを制御する場合に、本発明によれば、前記基準操作量と前記操作量との比較結果という単一の条件により、前記第1回生制御と前記第2回生制御とを切り替えることができる。そのため前記第1回生制御と前記第2回生制御間の移行が連続的に行われて、スムーズな回生トルク制御を行うことができる。
【0017】
この場合、前記dq電流指令決定手段により、前記第1回生制御におけるid電流指令と、前記第2回生制御におけるiq電流指令とが、前記操作量に応じて決定される。そして、前記第1回生制御においては、前記dq電流指令決定手段により決定されたid電流指令とiq電流指令とから、前記電機子電流指令算出手段により、前記モータの電機子電流の目標値である電機子電流指令が算出される。即ち、前記目標発電電力と前記実発電電力との偏差を解消するように、前記電機子電流指令が決定される。そして、前記電機子電流制御手段は、前記電流検出手段により検出されたモータの電機子電流と前記電機子電流指令とが一致するように、前記モータの電機子電流を制御する。これにより、前記モータの電源電圧が変動した場合であっても、該変動の影響を抑制するように前記モータの電機子電流が制御され、前記トルク指令に応じた回生トルクを前記モータに生じさせることができる。
【0019】
一方、dq座標系でモータの回生トルクを制御する場合、前記電機子電流指令は正弦波となり、その位相はモータの界磁の位置を検出する位置センサの検出結果に基づいて決定される。そのため、前記第2回生制御においては、前記dq電流指令決定手段で決定されたid電流指令(第2固定値)とiq電流指令(前記操作量に応じて決定されたiq電流指令)とから前記電機子電流指令決定手段により算出される電機子電流指令の位相は、界磁の検出位置に対して界磁の磁束を弱める向きの磁束が発生するように決定される。しかし、正弦波は実効値が低いため、電機子電流指令に応じた電機子電流を得るために電機子に生じさせる必要がある通電波形のピーク値が大きくなる。そのため、電機子電流のピーク値が大きくなって、モータの銅損が増加しモータの効率(モータの発電電力/モータへの入力エネルギー)が悪化する。
【0020】
しかるに本発明によれば、第2回生制御においては、前記遅角電流指令生成手段により前記電機子電流指令の位相を遅らせることで、モータの界磁の検出位置に対して故意に電機子電流指令の位相をずらすことができる。そして、このように電機子電流指令の位相が実際の界磁の位置からずれると、前記電流検出手段により検出される電機子電流と、前記電機子電流指令との偏差が大きくなる。その結果、前記電機子電流制御手段は、該偏差を解消するために電機子電流を増加させる制御を行うが、電機子電流は、電機子に生じる発電電圧やモータの電源電圧、回生回路の構成等により制限されるため、電機子電流を無制限に増大させることはできず、電機子の通電波形は振幅が制限されて正弦波ではなく矩形波となる。
【0021】
そして、このように電機子の通電波形を矩形波とすることで、通電波形の実効値が高くなり、電機子電流のピーク値が減少するので、モータの銅損を低減して、モータの効率を改善することができる。そして、本発明によれば、前記電機子電流制御手段の制御特性を利用して、モータの電機子の通電波形を矩形波とするので、矩形波を生成するための専用の回路等を設ける必要がない。
【0022】
また、前記遅角電流指令生成手段は、前記トルク指令と前記回転数検出手段により検出された前記モータの回転数とに応じて、前記dq電流指令決定手段により決定されたid電流指令を変更し、変更したid電流指令と前記dq電流指令決定手段により決定されたiq電流指令とに応じて該iq電流指令を変更し、変更したid電流指令とiq電流指令とを前記電機子電流指令算出手段に与えることで、前記電機子電流指令算出手段で算出される電機子電流指令の位相を遅らせて、遅角電流指令を生成することを特徴とする。
【0023】
詳細は後述するが、id電流指令はiq電流指令よりも90度遅角した位相を持つ。そのため、id電流指令を前記第1固定値(通常0に設定される)から変更することで、前記電機子電流算出手段によって算出される電機子電流指令の位相を遅らせることができる。そして、前記電機子電流指令の位相が遅れる角度(以下、遅角量という)は、id電流指令とiq電流指令との比に応じて定まり、前記電機子電流指令の振幅は、id電流指令とiq電流指令の大きさに応じて定まるため、id電流指令と共にiq電流指令も変更することで、例えば振幅を一定に保ったまま電機子電流指令の位相を遅らせることができる。
【0024】
そして、モータの誘起電力は、モータの回転数に依存して変化するため、前記遅角電流指令生成手段は、前記トルク指令と前記回転数検出手段により検出されたモータの回転数と電源電圧とに応じて前記id電流指令を変更し、変更したid電流指令と前記dq電流指令とに応じてiq電流指令を変更する。これにより、モータの回転数の変化に応じて、電機子電流指令の遅角量を定めることができる。そして、電機子電流指令の遅角量を大きくするほど、電機子電流指令と前記電流検出手段により検出される電機子電流との偏差が大きくなるため、前記電機子電流制御手段により制御されるモータの電機子に印加される矩形波のパルス幅が広がり、界磁の磁束を弱める効果が大きくなる。そのため、このようにモータの回転数に応じて電機子電流指令の遅角量を決定することで、モータの効率の変化により実際にモータに生じる回生トルクが変動することを抑制して、精度良く回生トルクの制御を行うことができる。
【0025】
また、前記遅角電流指令生成手段は、電機子電流指令の位相を遅らせる角度である遅角量を、前記電圧検出手段により検出される前記モータの電源電圧と前記回転数検出手段により検出された前記モータの回転数とに応じて決定し、前記遅角量と、前記dq電流指令決定手段により決定されたiq電流指令とに応じて、前記dq電流指令決定手段により決定されたid電流指令とiq電流指令とを変更し、変更したid電流指令とiq電流指令とを前記電機子電流指令算出手段に与えることで、前記電機子電流算出手段で算出される電機子電流指令の位相を遅らせて、遅角電流指令を生成することを特徴とする。
【0026】
モータの効率は、モータの回転数やモータの電源電圧により変化する。そのため、前記モータの回転数と電源電圧に応じて前記遅角量を定めることで、モータの効率の変化により、実際にモータに生じる回生トルクが変動することを抑制して精度よく回生トルクの制御を行うことができる。そして、上述したように、電機子電流指令の遅角量はid電流指令とiq電流指令の比で定まり、振幅はid電流指令とiq電流指令の大きさで定まる。そのため、id電流指令とiq電流指令を前記遅角量と前記iq電流指令とに応じて変更することで、例えば振幅を一定に保ったままで電機子電流指令の位相を遅らせることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態について、図1〜図5を参照して説明する。図1は本発明の回生制動装置の全体構成図、図2はdq座標の説明図、図3は図1に示した回生コントローラの制御ブロック図、図4は図2に示したdq電流指令決定手段の作動説明図、図5は電機子電流指令の遅角処理の説明図である。
【0028】
図1を参照して、本実施の形態の回生制動装置は、エンジン(図示しない)とDCブラシレスモータ1の組合わせにより駆動力を得るいわゆるハイブリッド車両に搭載される。この種のハイブリッド車両においては、例えば車両の加速走行時にはエンジンの駆動力と共に、モータ1の駆動力も車両の駆動輪に付与される。また、車両の減速走行時には、車両の運動エネルギーを駆動輪側からモータ1に付与することでモータ1を発電機として動作させ、発電時にモータ1に生じる回生トルクにより車両の制動力を得る(回生制動動作)と共に、発電エネルギーをモータ1の電源2に回収する。
【0029】
モータ1は回転磁界を発生する3相の電機子3と永久磁石の界磁を備えたロータ6とを有するDCブラシレスモータであり、電源2はモータ1の発電電力により充電される電気二重層コンデンサである。また、8,9はモータ1の電機子3に流れる電流(以下、電機子電流という)を検出する電流検出手段、10は電源2の電圧を検出する電圧検出手段、12はモータ1の回転速度に応じたパルス信号を出力するエンコーダ(本発明の回転数検出手段に相当する)である。
【0030】
本発明の回生制動装置は、車両の制動時にモータ1に所望の回生トルクが発生するようにモータ1の電機子3に流れる電流を制御する回生ドライバー4と、回生ドライバー4に対して回生トルクの制御指示を与える回生コントローラ5とを備える。尚、回生ドライバー4と回生コントローラ5により本発明の回生制御手段が構成される。
【0031】
回生コントローラ6は、CPU,ROM,RAM等によって構成され、車両の速度や電源2の出力電圧等を入力して車両の作動を制御する統括的コントローラ(図示しない)から与えられるトルク指令に応じた回生トルクがモータ1に生じるように、回生ドライバー5に電機子電流の制御目標値を指示する。
【0032】
ここで、回生コントローラ5と回生ドライバー4とは、図2に示したように、3相(u,v,w)の電機子を持つモータ1を、ロータ6に備えられた永久磁石の界磁20の磁束方向であるq軸上にある第1電機子21と、q軸と直交するd軸上にある第2電機子22とを有する等価回路に変換して扱う。この等価回路においては、回生制動時に駆動輪からの駆動力により界磁20がq軸、d軸と共に角速度ωで回転すると、界磁20の磁束の向きの変化により第2電機子22にはω×Φ(Φは界磁鎖交磁束数)の誘起起電力が生じる。
【0033】
そして、dq座標におけるモータの回生トルクTrの制御式は、以下の式(1)で表現される。
【0034】
【数1】
【0035】
但し、pは電機子の極対数、Φは界磁鎖交磁束数、idはd軸上にある第2電機子21に流れる電流(以下、id電流という)である。
【0036】
即ち、界磁20の磁束が一定であれば、id電流を制御することでモータ1に生じる回生トルクを制御することができる。また、q軸上にある第1電機子21に流れる電流(以下、iq電流という)は通常0となるように制御されるが、iq電流を流すことでq軸上の第1電機子21に界磁20の磁束の向きと逆向きの磁束が生じ、界磁20の磁束を減少させるのと同等の効果が得られる。そして、界磁20の磁束が減少すると、界磁鎖交磁束数Φが減少するため、モータ1に生じる回生トルクを小さくすることができる。
【0037】
尚、id電流及びiq電流と、実際の3相(u,v,w)の電機子3に流れる電流との変換式は、以下の式(2)のようになる。
【0038】
【数2】
【0039】
但し、iu ,iv iw はそれぞれ電機子3のu,v,w相に流れる電流、idはid電流、iqはiq電流、θはエンコーダ12の出力から検出されるu軸を基準としたq軸の傾き(図2参照)である。
【0040】
以上説明したdq座標による制御方法を採用して、回生コントローラ5は、トルク指令とエンコーダ12により検出されるモータ1の回転数と電圧検出手段10により検出される電源2の電圧とに応じて、モータ1に発生させる発電電力の制御目標である目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段7と、電流検出手段8,9による電機子電流の検出値(以下、実電機子電流という)と、電圧検出手段10による電源2の電圧の検出値とから実際にモータ1から電源2に出力される発電電力(以下、実発電電力という)を算出する実発電電力算出手段11と、前記目標発電電力と前記実発電電力との偏差を解消するための操作量を算出する操作量算出手段12とを有し、操作量算出手段12により算出された操作量から電機子電流の制御目標に対応するid電流指令とiq電流指令とを決定して回生ドライバー4に指示する。
【0041】
回生ドライバー4は、回生コントローラ5から指示されたid電流指令とiq電流指令とから、前記式(2)に従って、実際に電機子3に供給する電機子電流の制御目標である電機子電流指令を算出する電機子電流指令算出手段13と、該電機子電流指令と電流検出手段8,9により検出される実電機子電流とが一致するように、PWM制御によりモータ1の電機子3から出力される交流電圧のパルス幅を調節して電機子電流を制御する電機子電流制御手段14とを備える。
【0042】
次に、図3を参照して、回生コントローラ5に備えられた目標発電電力算出手段7は、エンコーダ12により検出されたモータ1の回転数とトルク指令とに応じて目標発電電力を決定するためのマップを電源2の所定電圧幅ごとに有し、電圧検出手段10により検出された電源2の電圧に応じてマップを選択して、目標発電電力を決定する。
【0043】
ここで、モータ1に生じる回生トルクは、基本的には前記式(1)に示したように、id電流の大きさで決定する。しかし、モータの回転数に応じて変化する機械的な損失や、電源2の電圧に応じて変化する回生ドライバー4での電気的な損失等の影響を受けるため、id電流指令を同一としても、実際にモータ1から駆動輪に伝達される回生トルクが一定とならない場合が生じ得る。
【0044】
そこで、目標発電電力算出手段7は、上述したように、エンコーダ12により検出されるモータ1の回転数と、電圧検出手段10により検出された電源2の電圧とに応じて、トルク指令に応じた回生トルクが得られるように目標発電電力を決定する。これにより、モータ1の回転数の変化や電源2の電圧の変化の影響を考慮した目標発電電力を決定することができる。
【0045】
そして、操作量算出手段12は、目標発電電力算出手段7により算出された目標発電電力と、実発電電力算出手段により算出実発電電力算出手段11により算出された実発電電力との偏差ΔPowerを解消するための操作量αを、以下の式(3)に示したフィードバック制御のPI演算処理により算出する。
【0046】
【数3】
【0047】
但し、KP,KIは、それぞれモータ1の特性や実験結果等に基づいて決定された係数である。
【0048】
このように、操作量αの算出は簡易な演算処理で行われるため、回生コントローラ5を構成するCPUには高度な演算能力は要求されず、比較的能力の低いCPUを採用することができる。
【0049】
dq電流指令決定手段30は、操作量算出手段12により算出された操作量αに基づいて、回生ドライバー4に指示するid電流指令とiq電流指令とを決定する。dq電流指令決定手段30は、操作量α(αmin ≦α≦αmax )を基準操作量αL と比較し、αL ≦αのとき(実発電電力が目標発電電力よりも小さく、モータ1に生じる回生トルクが不足した状態にあるとき)は、id電流指令を制御してモータ1に生じる回生トルクを増加させる第1回生制御を行い、α<αL のとき(実発電電力が目標発電電力よりも大きく、モータ1に生じる回生トルクが過大な状態にあるとき)は、iq電流指令を制御してモータ1に生じる回生トルクを減少させる第2回生制御を行う。
【0050】
このように、目標発電電力算出手段7により、電源2の検出電圧とモータ1の回転速度neとに応じて、指令トルクが得られるように目標発電電力が算出され、該目標発電電力が得られるように、dq電流指令決定手段30によりid電流指令とiq電流指令とが回生ドライバー4に指示されるので、電源2の電圧の変動が大きい場合であっても、精度の良い回生トルク制御を行うことができる。
【0051】
また、dq電流指令決定手段30は、操作量αと基準操作量αL との比較結果という単一の条件により、前記第1回生制御と前記第2回生制御とを切り替えるため、両制御間の移行が連続的に行われて、スムーズな回生トルクの制御を行うことができる。尚、本実施の形態では、基準操作量αL をid電流指令とiq電流指令が共に0となる点に設定している。
【0052】
dq電流指令決定手段30は、第1回生制御においては、iq電流指令を0(本発明の第1固定値に相当する)に決定し、id電流指令を前記操作量αからスケーリング関数f1 (α)により決定する。また、第2回生制御においては、id電流指令をidマップ31により決定し、iq電流指令を前記操作量αからスケーリング関数f2 (α)により決定する。
【0053】
図4はスケーリング関数f1 (α)とf2 (α)の説明図であり、第1回生制御領域(αL ≦α≦αmax )においては、操作量αに基づいて、f1 (α)によりid電流指令が決定される(id電流指令=f1 (α),Dmin ≦f1 (α)≦Dmax )。f1 (α)によれば、操作量αが大きい程(目標発電電力に対して実発電電力が小さい程)、id電流指令が大きい値に決定される。また、第2回生制御領域(αmin ≦α<αL )においては、操作量αに基づいて、f2 (α)によりiq電流指令が決定される(iq電流指令=f2 (α),Qmin ≦f2 (α)≦Qmax )。f2 (α)によれば、操作量αが小さい程(目標発電電力に対して実発電電力が大きい程)、iq電流指令が大きい値に決定される。
【0054】
図3を参照して、idマップ31は、回生ドライバー4に備えられた電機子電流指令算出手段13(図1参照)により、id電流指令とiq電流指令とから前記式(2)により算出される電機子電流指令の位相を遅らせるためのid電流指令を決定するものである。第2回生制御においては、基本的には、id電流指令を0(本発明の第2固定値に相当する)に決定し、iq電流指令を上述したようにスケーリング関数f2 (α)で決定して回生ドライバー4に指示することで、回生ドライバー4に備えられた電機子電流制御手段7(図1参照)により、トルク指令に応じた回生トルクがモータ1に生じるように電機子電流が制御される。
【0055】
ここで、電機子電流指令算出手段13により算出される電機子電流指令は、エンコーダ12の出力から検出された界磁20の位置θに基づく正弦波であるため、実際にモータ1の電機子から回生ドライバーに出力される電流波形が正弦波となるように、電機子電流制御手段7により制御される。しかし、正弦波は実効値が低いため、電機子電流のピーク値が大きくなり、その結果、モータ1の銅損が増加してモータ1の効率(モータの発電電力/モータへの入力エネルギー)が悪化するという不都合がある。
【0056】
そこで、dq電流指令決定手段30は、かかる不都合が生じることを防止するため、電機子電流指令の位相を遅らせる処理を行う。図5は電機子電流指令の位相を遅らせたときの効果を示したものであり、a0 はid電流指令を0、iq電流指令をスケーリング関数f2 (α)としたときに電機子電流指令算出手段13で算出される電機子電流指令の波形である。図5中、a1 はa0 の位相を5度遅角させた波形、a2 はa0 の位相を20度遅角させた波形である。
【0057】
上述したように電機子電流指令a0 は、界磁20の検出位置に基づいて算出されたものであるため、電機子電流指令を故意に遅角させると電機子3に生じる発電電流である実電機子電流と電機子電流指令との偏差が大きくなる。その結果、電機子電流制御手段7は、実電機子電流と電機子電流指令との偏差を解消するべく、電機子電流を増加させる制御を行う。
【0058】
電機子電流制御手段7は、上述したように、実電機子電流と電機子電流指令の偏差に応じて、モータ1の電機子3から回生ドライバー4に出力される交流発電電圧のパルス幅を制御するいわゆるPWM制御により、電機子電流を増加させる制御を行うが、実電機子電流と電機子電流指令との偏差が所定量を超えると、PWM制御により制御される交流発電波形のパルス幅が飽和する(デューテイ100%)。
【0059】
しかし、交流発電波形のパルス幅を飽和させても、電機子電流を無制限に増加させることはできず、モータ1の発電電圧や電源2の電圧、回生ドライバー4の回生回路構成等の要因により、電機子電流には上限がある。そのため、モータ1の電機子の通電波形は図5のb1 に示すように、振幅が制限されて矩形波形となる。そして、このようにモータ1の電機子3の通電波形を矩形波とすることで、通電波形の実効値が上がり、電機子電流のピーク値が減少する。これにより、モータ1の銅損が減少し、モータ1の効率を高めることができる。尚、図5に示したように、電機子電流指令の位相を遅らせる角度(以下、遅角量という)を大きくする程、生じる矩形波のパルス幅が大きくなり、界磁20の磁束を弱める効果が大きくなる。
【0060】
ここで、前記式(2)を変形すると以下に示す(4)のようになる。即ち、iq電流指令にid電流指令を加えることで、電機子電流指令を遅角させることができる。
【0061】
【数4】
【0062】
【数5】
【0063】
そして、遅角させた電機子電流指令(以下、遅角電流指令という)の振幅は、式(4)より、iq電流指令とid電流指令の大きさにより定まり、遅角量は式(5)より、iq電流指令とid電流指令の大きさの比で定まる。
【0064】
そこで、idマップ31は、トルク指令とエンコーダ12により検出されるモータ1の回転数とに応じて、電機子電流指令を遅角させるためのidマップ値を決定する。そして、dq電流指令決定手段30は、idマップ値をid電流指令とし、関数hにより変更されたiq電流指令(=h(f2 (α),idマップ値))と共に回生ドライバー4に指示する。ここで、関数hは、遅角処理の前後で電機子電流指令の振幅が変わらないように、idマップ値に応じてiq電流指令を変更するものである。
【0065】
そして、回生ドライバー4に備えられた電機子電流指令算出手段13が、dq電流指令決定手段30から指示されたid電流指令とiq電流指令により、式(4)に従って電機子電流指令を算出することで、遅角電流指令が生成される。このように、トルク指令とモータ1の回転数とに応じて決定したid電流指令に基づいて遅角電流指令を生成することで、モータ1の回転数の変化により、実際にモータ1に生じる回生トルクが変動することを抑制して、精度のよい回生トルクの制御を行うことができる。また、電機子電流制御手段14の制御特性を利用して電機子3の通電波形を矩形波としているので、矩形波を生成するための専用回路等を新たに設ける必要はない。
【0066】
尚、本第1の実施の形態においては、dq電流指令算出手段30とidマップ31と回生ドライバー4に備えられた電機子電流算出手段13とにより、本発明の遅角電流指令生成手段が構成される。
【0067】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図6,7を参照して説明する。本第2の実施の形態の回生制動装置の主な構成は、図1に示した前記第1の実施の形態における回生制動装置と同様であり、回生コントローラにおける電機子電流指令を遅角させるための構成のみが相違する。
【0068】
図6を参照して、本第2の実施の形態における回生コントローラ60は、電機子電流指令の遅角量θL を、エンコーダ12(図1参照)により検出されるモータ1の回転数neと、電圧検出手段10(図1参照)により検出される電源2(図1参照)の電圧とに応じて決定する遅角量マップ61を有する。そして、本第2の実施の形態のdq電流指令決定手段62は、遅角量マップ61で決定された遅角量θL が得られるように、回生ドライバー4に指示するid電流指令とiq電流指令とを決定する。尚、図3に示した前記第1の実施の形態における回生コントローラ5と同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
dq電流指令決定手段62は、前記第1の実施の形態と同様に、操作量算出手段12により算出された操作量αと基準操作量αL との比較結果に応じて、第1回生制御と第2回生制御とを選択的に実行する。第1回生制御においては、前記第1の実施の形態と同様、dq電流指令算出手段30は、iq電流指令を0(本発明の第1固定値に相当する)に決定し、id電流指令をスケーリング関数f1 (α)により決定して回生ドライバー4に指示する。
一方、第2回生制御においては、dq電流指令決定手段62は、基本的にはid電流指令を0(本発明の第2固定値に相当する)に決定する。そして、先ず遅角量マップ61により、エンコーダ12により検出されるモータ1の回転数neと、電圧検出手段10により検出される電源2の電圧とに応じて、電機子電流指令の遅角量θL を決定し、また、スケーリング関数f2 (α)により、操作量算出手段12により算出された操作量αに応じて、iq電流指令を決定する。
【0070】
次に、dq電流指令算出手段62は、図7に示したid電流指令変更マップ70に基づく関数m1 により、0に決定されていたid電流指令を変更し、iq電流指令変更マップ71に基づく関数m2 により、スケーリング関数f2 (α)で決定されたiq電流指令を変更する。
【0071】
ここで、関数m1 とm2 は、遅角量θL とスケーリング関数f2 によるiq電流指令(=f2 (α))とに応じて、遅角処理の前後で電機子電流指令の振幅が変化しないように、id電流指令とiq電流指令を変更する(id電流指令=m1 (f2 (α),θL )、iq電流指令=m2 (f2 (α),θL ))。このように、id電流指令とiq電流指令とを変更して回生ドライバー4に指示することで、前記第1の実施の形態と同様、電機子電流指令算出手段13により遅角電流指令が算出される。
【0072】
このように、モータ1の回転数と電源2の電圧に応じて電機子電流指令の遅角量を決定することで、モータ1の回転数や電源2の電圧の変化に依存するモータ1の効率の変化により、実際にモータ1に生じる回生トルクが変動することを抑制して、精度良く回生トルクの制御を行うことができる。
【0073】
尚、前記第1,第2の実施の形態においては、iq電流指令にid電流指令を加えることで、電機子電流指令を遅角させた遅角電流指令を生成したが、他の方法、例えば遅延回路を設け、電機子電流算出手段13により算出される電機子電流指令を該遅延回路を通して出力することで、遅角電流指令を生成するようにしてもよい。
【0074】
また、モータ1の銅損がさほど問題とならないときには、前記第2回生制御における電機子電流指令の位相を遅角させる処理を行わず、dq電流指令決定手段により、id電流指令を0に決定し、iq電流指令をスケーリング関数f2 (α)により決定して、そのまま回生ドライバー4に指示するようにしても良い。
【0075】
また、前記第1,第2の実施の形態では、モータ1を図2に示したdq座標系に変換した等価回路を介してモータ1を制御したが、モータ1の電機子3に流れる3相の交流電流を直接制御してもよく、或いは3相交流を2相交流に変換した2相交流座標系での等価回路を介して制御してもよい。
【0076】
また、前記第1固定値と前記第2固定値を共に0としたが、これらは厳密なものではなく、0付近の固定値に設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】回生制動装置の全体構成図。
【図2】dq座標の説明図。
【図3】図1に示した回生コントローラの制御ブロック図。
【図4】図2に示したdq電流指令決定手段の作動説明図。
【図5】電機子電流指令の遅角処理の説明図。
【図6】図1に示した回生コントローラの制御ブロック図。
【図7】図6に示したdq電流指令決定手段の作動説明図。
【符号の説明】
1…DCブラシレスモータ、2…電源、3…電機子、4…回生ドライバー、5…回生コントローラ、6…ロータ、7…目標発電電力算出手段、8,9…電流検出手段、10…電圧検出手段、11…実発電電力算出手段、12…操作量算出手段、13…電機子電流指令算出手段、14…電機子電流制御手段、20…界磁、30…dq電流指令決定手段、31…idマップ、60…回生コントローラ、61…遅角量マップ、62…dq電流指令決定手段
Claims (3)
- DCブラシレスモータの回生動作によって生じる発電エネルギーを該モータの電源に回収することで、所定のトルク指令に応じた回生トルクを該モータに発生させる回生制動を行う回生制動装置において、
前記モータの電機子に流れる電流である電機子電流を検出する電流検出手段と、前記モータの電源電圧を検出する電圧検出手段と、前記モータの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された前記モータの電源電圧と前記回転数検出手段により検出された前記モータの回転数と前記トルク指令とから、前記トルク指令に応じた回生トルクを前記モータに生じさせるために、前記モータの電機子から該モータの電源に出力させる必要がある目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段と、
前記電流検出手段により検出された前記モータの電機子電流と前記電圧検出手段により検出された前記モータの電源電圧とから、前記モータの電機子から実際に出力される電力である実発電電力を算出する実発電電力算出手段と、
前記目標発電電力と前記実発電電力との偏差を解消するための操作量を、該偏差から算出する操作量算出手段と、
前記回生制動の実行時に、前記モータを、該モータの界磁の磁束方向であるq軸上にある第1電機子と、q軸と直交するd軸上にある第2電機子とを有する等価回路に変換して扱い、該第1電機子に流れるiq電流と該第2電機子に流れるid電流とを制御することで、前記モータの電機子電流を制御する回生制御手段とを備え、
前記回生制御手段は、前記操作量算出手段により算出された前記操作量を所定の基準操作量と比較し、比較結果に応じて、前記モータに生じる回生トルクを増加させる第1回生制御と、前記モータに生じる回生トルクを減少させる第2回生制御とを選択的に実行するものであると共に、前記id電流およびid電流のそれぞれの制御目標であるid電流指令およびiq電流指令を決定するdq電流指令決定手段と、該dq電流指令決定手段により決定されたid電流指令とiq電流指令とから、前記モータの電機子電流の制御目標である電機子電流指令を算出する電機子電流指令算出手段と、該電機子電流指令算出手段により算出される電機子電流指令の位相を遅らせた遅角電流指令を生成する遅角電流指令生成手段と、前記電機子電流算出手段により算出された電機子電流指令または前記遅角電流指令生成手段により生成された遅角電流指令と前記電流検出手段により検出される前記モータの電機子電流とが一致するように、前記モータの電機子電流を制御する電機子電流制御手段とを備え、
該回生制御手段は、前記第1回生制御においては、前記dq電流指令決定手段により、前記iq電流指令を第1固定値に決定すると共に、前記id電流指令を前記操作量に応じて決定して、その決定したiq電流指令とid電流指令とから前記電機子電流指令算出手段により前記電機子電流指令を算出し、その算出した電機子電流指令と前記電流検出手段により検出された前記モータの電機子電流とが一致するように、前記モータの電機子電流を前記電機子電流制御手段により制御し、前記第2回生制御においては、前記dq電流指令決定手段により、前記id電流指令を第2固定値に決定すると共に、iq電流指令を前記操作量に応じて決定して、その決定したid電流指令とiq電流指令とを前記電機子電流指令算出手段に与えた場合に該電機子電流指令算出手段により算出される電機子電流指令の位相を遅らせた前記遅角電流指令を前記遅角電流指令生成手段により生成し、その生成した遅角電流指令と前記電流検出手段により検出された前記モータの電機子電流とが一致するように、前記モータの電機子電流を前記電機子電流制御手段により制御することを特徴とする回生制動装置。 - 前記遅角電流指令生成手段は、前記トルク指令と前記回転数検出手段により検出された前記モータの回転数とに応じて、前記dq電流指令決定手段により決定されたid電流指令を変更し、
変更した該id電流指令と前記dq電流指令決定手段により決定されたiq電流指令とに応じて該iq電流指令を変更し、変更したid電流指令とiq電流指定とを前記電機子電流指令算出手段に与えることで、前記電機子電流指令算出手段で算出される電機子電流指令の位相を遅らせて、遅角電流指令を生成することを特徴とする請求項1記載の回生制動装置。 - 前記遅角電流指令生成手段は、電機子電流指令の位相を遅らせる角度である遅角量を、前記電圧検出手段により検出される前記モータの電源電圧と前記回転数検出手段により検出された前記モータの回転数とに応じて決定し、
前記遅角量と、前記dq電流指令決定手段により決定されたiq電流指令とに応じて、前記dq電流指令決定手段により決定されたid電流指令とiq電流指令とを変更し、変更したid電流指令とiq電流指令とを前記電機子電流指令算出手段に与えることで、前記電機子電流算出手段で算出される電機子電流指令の位相を遅らせて、遅角電流指令を生成することを特徴とする請求項1記載の回生制動装置。
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