JP3839307B2 - ゲーム用チップ監視システム及びゲーム用遊技台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カジノでのゲーム等において使用されるチップの紛失や偽造等を防止するゲーム用チップ監視システム及びゲーム用遊技台に関する。
【0002】
【従来の技術】
カジノにおけるポーカやルーレット等のライブゲームではチップが使用される。このチップの一例を図2及び図3に示す。図示するように、チップ1は、中央部に位置するコイン部2と、このコイン部2の周囲に形成されたプラスチック部3とからなり、全体を円盤状に形成されている。このチップ1はカジノ内において貸出で供給される。チップ1には種々の金額のものがある。アメリカにおいては、5000ドルという高価なチップ1も使用されている。チップ1は、上述のように、通常丸いものが多いが、四角いものもある。金額に応じて形状が異なったり、遊行者個人個人を判別するために個々人に合わせて色分けされたりする。
【0003】
また、チップ1は、不正偽造できないように、絵柄や加工において最大限の工夫がこらされている。このチップ1は、ゲーム中において、賭ける金額分だけテーブルの上に置かれ、結果に応じて勝者側に移動される。そして、ゲームに使用されるチップ1は、カウンタやソータ等に内蔵されたセンサ(図示せず)で、数や種類の管理が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記チップ1は、比較的小さいものである上に、カジノ内に多数存在するものであるため、紛失することがある。
【0005】
また、上記チップ1は、カジノでのゲームにおいては貨幣と同様の価値を有しているが、その製造は比較的容易であるため、容易に偽造されてしまうおそれがあり、カジノ経営にとって大きな問題となっている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、チップの紛失や偽造等を防止するゲーム用チップ監視システム及びゲーム用遊技台を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るゲーム用チップ監視システムは、カード等を配布したり並べたりしてゲームを行う複数のゲーム用遊技台と、当該各ゲーム用遊技台に設けられてゲームに使用する複数のチップを重ねて置くことが可能な領域と、ゲームに用いられる上記チップに内蔵されて少なくとも当該チップ自身を識別するシリアル番号等の識別情報を記録する無線通信可能な識別情報記録手段と、少なくとも上記各ゲーム用遊技台に設けられ上記領域に重ねて置かれた複数の上記チップ内の上記識別情報記録手段に記録された識別情報を無線通信により読み取る識別情報読み取り手段と、上記複数のゲーム用遊技台等の間を移動する上記チップの動向を把握して、当該各識別情報読み取り手段でそれぞれ読み取った識別情報を、その識別情報を読み取った上記識別情報読み取り手段が設けられた上記ゲーム用遊技台等と関連付けて、監視所に設けた表示装置に表示する制御手段とを備えて構成されたことを特徴とする。
【0008】
上記構成により、チップの識別情報記録手段に適宜書き込まれた識別情報は識別情報読み取り手段により読み取られる。このとき、上記ゲーム用遊技台の上記領域に複数のチップが重ねて置かれた場合でも、上記識別情報読み取り手段は、重ねて置かれた複数の上記チップ内の識別情報を無線通信により読み取る。制御手段は、読み取った識別情報を、その識別情報を読み取った上記識別情報読み取り手段が設けられた上記ゲーム用遊技台等と関連付けて、監視所に設けた表示装置に表示する。関係者は、表示装置を見ながら、複数のゲーム用遊技台等の間を移動する上記チップの動向を把握する。これにより、遊行者の遊技上の性向を掴むことができると共に、不正に偽造等されたチップがカジノ内に持ち込まれた場合でも、確実に発見することができる。これにより、偽造チップ等によるカジノの収益悪化を防止することができる。
【0009】
第2の発明に係るゲーム用チップ監視システムは、第1の発明に係るゲーム用チップ監視システムにおいて、上記識別情報読み取り手段が、遊技場内の複数の遊技台やチップ交換機等にそれぞれ設けられて上記各チップの識別情報を読み取り、上記制御手段が、遊技場全体で上記複数のゲーム用遊技台等の間を移動する上記チップの動向を把握することを特徴とする。
【0010】
上記構成により、遊技場内の遊技台等に設けられた識別情報読み取り手段が、各チップの識別情報記録手段に書き込まれた識別情報を読み取って管理することで、どのチップがどの遊技台等にあるかが把握できる。即ち、遊技場全体で上記複数のゲーム用遊技台等の間を移動する上記チップの動向を把握することができる。
【0011】
第3の発明に係るゲーム用チップ監視システムは、第1又は2の発明に係るゲーム用チップ監視システムにおいて、上記表示手段が、上記制御手段で把握したチップの動向を表示することを特徴とする。
【0012】
上記構成により、監視者は表示手段を見るだけで、正規のチップでないものが混入していることを容易に認識することができる。
【0013】
第4の発明に係るゲーム用チップ監視システムは、第1乃至第3のいずれかの発明に係るゲーム用チップ監視システムにおいて、上記制御手段が、上記識別情報を定期的に又は不定期に、かつ適宜に選定する識別情報選定処理部を備えて、当該識別情報選定処理部で選定した識別情報を識別情報書き込み手段で上記チップの識別情報記録手段に随時書き込ませると共に、当該識別情報をそれが書き込まれたチップ自身を識別する識別情報と対応付けて自己の記録部に記録して、当該識別情報を基にその識別情報と対応付けられたチップの動向を把握することを特徴とする。
【0014】
上記構成により、識別情報を適宜に選定することで、外部から混入したチップとの識別を確実に行うことができる。例えば、制御手段が乱数表に基づいて識別情報を適宜に作成したり選定したりすることで、部外者が同じ識別情報を書き込んだチップを作成することがほとんど不可能になる。また、偶然に同じ識別情報を書き込んだチップができることもほとんどなくなる。仮に、識別情報が一致してしまったとしても、その識別情報とそれが書き込まれたチップとの整合性まで一致することは確率的に見てほとんどあり得ない。また、識別情報が識別情報選定処理部で定期的に又は不定期に選定されて識別情報記録手段に随時書き込まれることで、部外者のみならず内部の関係者でも書き込まれた識別情報を特定することが不可能になる。これにより、同じ識別情報を書き込んだチップを作成することがほとんど不可能になる。また、偶然に同じ識別情報を書き込んだチップができることもほとんどなくなる。これにより、正規のチップを確実に識別することができる。
【0015】
第5の発明に係るゲーム用チップ監視システムは、第4の発明に係るゲーム用チップ監視システムにおいて、上記制御手段が、上記識別情報選定処理部で定期的に又は不定期に選定した識別情報を上記識別情報書き込み手段で上記チップの識別情報記録手段に随時書き込ませる際に、前回の書き込み動作で上記識別情報記録手段に記録した識別情報と自己の記録部に記録した識別情報とを比較して一致するか否かを判断する比較処理部を備え、これらが一致したときのみ書き込み動作を行うことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、比較処理部での処理により、チップの識別情報記録手段に記録された識別情報と自己で記録している識別情報とを比較して一致するときのみ書き込み動作を行うので、何度書き込み動作を行っても、当初のチップと各識別情報とが確実に一致して、正規のチップを確実に識別することができる。これにより、不正なチップが混入しても確実に識別することができる。
【0017】
第6の発明に係るゲーム用チップ監視システムは、請求項4又は5に記載のゲーム用チップ監視システムにおいて、ゲームに使用されたチップを随時回収するチップ回収装置をさらに備え、当該チップ回収装置が、案内通路を流れてくる上記チップを当該チップ回収装置に設けられた上記識別情報読み取り手段により読み取り、当該識別情報読み取り手段で読み取った識別情報が、上記制御手段により記録されていないことを条件に、該チップを、ハンマー又は圧搾空気を吹き出すノズルにより上記案内通路から外にはじき出す排除手段と、当該排除手段により上記案内通路から外にはじき出されなかったチップを回収するチップ回収箱とを備えて構成され、当該チップ回収装置に、上記識別情報読み取り手段のみ又は上記識別情報読み取り手段及び上記識別情報書き込み手段を設けたことを特徴とする。
【0018】
上記構成により、ゲーム中に回収したチップはチップ回収装置に投入される。このとき、チップ回収装置に設けた識別情報読み取り手段でチップの識別情報記録手段に記録された識別情報が読み取られる。そして、読み取った識別情報を基にチップの動向や、正規のチップか否か等が把握される。このとき、読み取った識別情報が上記制御手段によって記録されたものでない場合は、上記排除手段が当該チップを、上記ハンマー又は圧搾空気を吹き出すノズルにより、上記案内通路から外にはじき出す。そして、はじき出されなかったチップはチップ回収箱に回収される。識別情報書き込み手段が設けられているときは、新たに選定された識別情報がチップに書き込まれる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るゲーム用チップ監視システム及びゲーム用遊技台について、添付図面を参照しながら詳述する。なおここでは、ゲーム用チップ監視システムをゲーム用遊技台に組み込んだ状態で説明する。
【0035】
図1はゲーム用遊技台を示す平面図、図4はゲーム用チップ監視システムを示す概略構成図、図5は識別情報記録装置を埋め込んだチップを示す平面図、図6は識別情報記録装置に記録されるメモリ内容を示す表、図7はチップ回収装置を示す斜視図、図8はチップと非接触通信部との通信例を示す模式図、図9はチップ認識部を示す概略構成図、図10は表示装置の表示例を示す模式図、図11は表示装置のカジノ台情報の表示例を示す模式図、図12は制御装置の機能を示すフローチャートである。
【0036】
ゲーム用チップ監視システム11は、チップの動向を監視してチップの紛失や偽造を防止するための装置である。ゲーム用チップ監視システム11は図4に示すように主に、識別情報記録装置12と、識別情報書き込み装置13と、識別情報読み取り装置14と、制御装置15と、チップ回収装置16(図7参照)と、表示装置17と、記録装置18とから構成されている。
【0037】
識別情報記録装置12は、ゲームに用いられるチップ21に内蔵されて、種々の情報を記録するための無線通信可能な識別情報記録手段である。この識別情報記録装置12は、図5に示すように、コイン状のチップ21内に埋め込まれた送受信アンテナ22と、ICタグ23とから構成されている。なお、ICタグ23には、ICチップ、同調用コンデンサ、整流用ダイオード、平滑用コンデンサ等が組み込まれている。送受信アンテナ22は、チップ21内で円環状に数回巻かれたアンテナコイルにより構成されている。送受信アンテナ22の両端に、ICタグ23内の各素子が接続されている。送受信アンテナ22の巻き数等は、要求される機能に合わせて適宜設定される。この送受信アンテナ22は、相互誘導による誘導電磁界を伝送媒体として、非接触で情報伝達をするようになっている。即ち、送受信アンテナ22(アンテナコイル)と同調用コンデンサとで共振回路が構成され、相互誘導による誘導電磁界を伝送媒体として電磁波による共振を利用し、非接触状態の無線通信で情報のやり取りが行われる。この無線通信により、ICチップ内に識別情報が記録されたり、ICチップ内に記録された情報が読み取られたりする。このとき、識別情報記録装置12の作動に必要な電力も相互誘導による誘導起電力によって供給される。なお、賭領域29等でチップ21が重なっている場合でも、重なったチップ21のどれかを制御情報で特定して通信する。誘導起電力はチップの移動時、もしくは識別情報書き込み装置13又は識別情報読み取り装置14による送受信時の磁束変化により発生する。
【0038】
ICチップに記録する識別情報には、自己を識別する識別情報としての連続した番号(シリアル番号)が含まれる。ゲームで使用されているチップ21をシリアル番号で管理しておくと、偽造されたチップとの識別を容易に行うことができる。具体的には後述する。識別情報の具体的な内容は、図6に示すように、シリアル番号、金額、色、登録情報、認識情報、ゲーム用遊技台情報等が含まれる。
【0039】
図4中の識別情報書き込み装置13は、識別情報記録装置12に識別情報を無線通信により適宜書き込むための識別情報書き込み手段である。識別情報読み取り装置14は、識別情報記録装置12に記録された識別情報を無線通信により読み取るための識別情報読み取り手段である。これら識別情報書き込み装置13及び識別情報読み取り装置14は、送受信装置25によって構成されている。この送受信装置25は、識別情報記録装置12の送受信アンテナ22に対応して設けられる送受信アンテナ(図示せず)と、種々の情報を送信信号に変換して送受信アンテナで上記識別情報記録装置12の送受信アンテナ22に向けて送信すると共に上記送受信アンテナ22からの受信信号を情報に変換して処理する送受信部(図示せず)とを備えて構成されている。変調方式はASK方式等の一般的な方式を使用できる。この送受信装置25は、送信装置として使用することで識別情報を識別情報記録装置12に書き込む識別情報書き込み装置13として機能し、受信装置として使用することで識別情報記録装置12内の識別情報を読み取る識別情報読み取り装置14として機能する。
【0040】
この送受信装置25は、チップ交換機(図示せず)、チップ回収装置16、ゲーム用遊技台27の賭領域29にそれぞれ設置されている。送受信装置25は、その設置場所に応じてその機能を変えてある。チップ交換機に設置する送受信装置25は、これから使用されるチップ21に識別情報を書き込む機能を持たせる必要があるため、識別情報書き込み装置13として機能する。なお、その日に使用するチップ21に、他の場所で予め識別情報を書き込んでおく場合は識別情報読み取り装置14として機能する。チップ回収装置16では、回収したチップ21が正規のチップ21であるか否かを判断する必要があるため、識別情報読み取り装置14として機能する。なお、回収したチップ21をその識別情報を書き換えて再使用する場合は、識別情報書き込み装置13及び識別情報読み取り装置14として機能する。ゲーム用遊技台27の賭領域29では、ゲームに使用されているチップ21が正規のチップ21であるか否かを判断するため識別情報読み取り装置14として機能する。また、チップ回収装置16内には排除手段(図示せず)が設けられている。この排除手段は、送受信装置25で読み取ったチップ21の識別情報が制御装置15の記録部で管理されている識別情報以外の識別情報(記録部に記録されていない識別情報)である場合にそのチップを偽造チップとみなして排除する。この排除手段は、一列に並んで案内レールを流れてくるチップのうち排除するチップ21を案内レールから脇にはじき出す排除機構によって構成されている。この排除機構としては、種々のものが考えられるが、例えばチップ21をはじき出すハンマーH(図15及び図16参照)や、圧搾空気で吹き飛ばすノズルL(図17参照)等で構成されている。ハンマーHの場合は、案内通路39の排除用切り欠き39Aの部分でチップ21を下側からたたいて落下用切り欠き39Bから落とす。ノズルLの場合は、排除用切り欠き39Aの部分でチップ21を下側から圧搾空気で吹いて落下用切り欠き39Bから落とす。
【0041】
なお、ゲーム用遊技台27においては識別情報読み取り装置14を賭領域29にのみ設けたが、ゲーム用遊技台27の全域に設けてもよい。また、上記チップ交換機は、現金とチップ21とを交換するための機器で、カジノ内の複数箇所に設けられている。チップ交換機のチップ取り出し口では、これから使用されるチップ21と個別に接することができるため、チップ取り出し口に送受信装置25を設置する。
【0042】
ゲーム用遊技台27は、図1に示すように、その平面形状を、ディーラー側で直線状に、プレーヤー側を湾曲させて形成されている。これにより、ゲーム用遊技台27のうち、湾曲したプレーヤー側に3人のプレーヤーが付き、直線状のディーラー側に1人のディーラーが付いてカードゲーム等が行われる。ゲーム用遊技台27の上面にはカード配布領域28が設けられている。このカード配布領域28はゲーム中にカード9が配布される領域である。カード配布領域28は、ディーラーの前に1カ所、プレーヤーの前に3カ所それぞれ設けられている。プレーヤーの前に3カ所のカード配布領域28の近傍には賭領域29がそれぞれ設けられている。この賭領域29は、ゲーム中に各プレーヤーが賭ける金額のチップ21を置く場所である。この3カ所の賭領域29には上記識別情報読み取り装置14がそれぞれ設けられている。各識別情報読み取り装置14は、ゲーム用遊技台27内に埋め込んで設けられ、各領域に配布されたチップ21と通信可能距離で接するようになっている。
【0043】
ゲーム用遊技台27のディーラー側にはカード配布器30が設けられている。このカード配布器30は、その内部にカードを収納して1枚ずつ取り出すための容器である。さらに、ゲーム用遊技台27のディーラー側には、ゲームに使用されたチップを随時回収するチップ回収装置16が設けられている。このチップ回収装置16は、図7〜図9に示すように、チップ認識部31と、チップ回収箱32とから構成されている。
【0044】
チップ認識部31は、筐体部34と、非接触通信部35と、制御部36とから構成されている。筐体部34は、本体38と、案内通路39と、チップ21の投入口(図示せず)とから構成されている。本体38は立方体状に形成され、その側部にチップ21の投入口が、内部に案内通路がそれぞれ設けられている。案内通路39は、投入口から投入されたチップ21を1つ1つ一列に並べて非接触通信部35近傍に無線通信のために流すための通路である。チップ21は、投入口から投入され、下部の案内通路39に通される。案内通路39は、投入されたチップ21が1つ1つ一列に並べて通過するように案内する。これにより、チップ21が1つずつ非接触通信部35に近接した状態で通過して、この非接触通信部35とチップ21の識別情報記録装置12との間で無線通信により情報のやり取りをした後、排出口(図示せず)から1つずつ下方のチップ回収箱32に投下されるようになっている。なお、チップ21をチップ認識部31に投入する手段としては、上記投入口以外にも、筐体部34の上側面にホッパを設けてもよい。このホッパでチップ21を受けて、案内通路39まで案内する。
【0045】
非接触通信部35は上記送受信装置25と同等の機能であり、識別情報書き込み装置13及び識別情報読み取り装置14として機能する。
【0046】
チップ回収箱32は回収したチップ21を収納するための箱である。このチップ回収箱32はチップ認識部31の排出口40の直下に設けられ、排出口40から排出されるチップ21を収納する。
【0047】
制御装置15は、識別情報読み取り装置14で読み取った識別情報を基にチップの動向を把握すると共に必要に応じて識別情報読み取り装置14で識別情報を書き込むための制御手段である。
【0048】
制御装置15には、図4に示すように、識別情報書き込み装置13、識別情報読み取り装置14、表示装置17、記録装置18がそれぞれ接続されている。なお、チップ回収装置16は、その内部に設けられた識別情報書き込み装置13及び識別情報読み取り装置14がそれぞれ接続されている。制御装置15は、CPU、ROM、RAM等を有して構成されている。これらにより、記録部と、処理部と、出力部とが構成されている。
【0049】
記録部は、カジノでの一日のゲームの情報が記録されると共に、上記識別情報読み取り装置14で読み取った識別情報を記録して管理する管理手段である。具体的には、チップ21の識別情報記録装置12に書き込まれた情報がそのチップ21と関係付けられて記録される。
【0050】
処理部は、記録部に記録された情報に基づいて種々の処理を行う。具体的には、図12に示すフローチャートの機能が格納されている。
【0051】
出力部は、処理部での処理の結果を、表示装置17に適宜出力する。
【0052】
表示装置17は、制御装置15で把握したチップの動向を表示する表示手段である。具体的には、図10に示すように、総チップ数、欠番情報、カジノ台1情報、カジノ台2情報、カジノ台3情報、カジノ台4情報を表示する。総チップ数はカジノ内で使用されているチップ21の総数である。カジノ内で使用されているチップ21は、現金との交換時に若い数字から連続番号が付されて供給されているため、一枚も回収されていなければ、欠番のない通し番号となっているのが正常な状態である。欠番情報は、カジノ内で使用されているチップ21の一部が回収されたり紛失したりして欠番ができている場合に表示する。カジノ台情報は、カジノ内に設置された台数分だけ表示される。個々のカジノ台情報では、図11に示すように、各シリアル番号、チップ金額別枚数及び番号、チップ色別枚数及び番号、チップ大きさ別枚数及び番号等が表示される。また、制御装置15での他の処理による結果等も適宜表示される。この表示装置17は、カジノの監視所に設けられている。また、監視所と共に各ゲーム用遊技台27のディーラー側に設けられることもある。
【0053】
記録装置18は、上記制御装置15の記録部に記録された情報を一日単位で整理して記録しておくための装置である。制御装置15の記録部ではその日一日のチップ21の動向が記録されるのに対して、記録装置18では数週間又は数ヶ月分の情報が記録される。この記録装置18はハードディスク等の記録手段で構成されている。この記録装置8に、一日毎に整理して記録されて、データベース化される。これは、数日前や数ヶ月前のゲームでのチップ21の動向を必要に応じて調べるためである。
【0054】
以上のように構成されたゲーム用チップ監視システム1は次のように動作する。図12のフローチャートを基に説明する。
【0055】
遊行者はチップ交換機で現金をチップ21に交換する。このとき、チップ交換機では、交換されるチップ21の識別情報記録装置12に識別情報書き込み装置13で識別情報が書き込まれる(ステップS1)。この識別情報書き込み装置13で書き込まれた識別情報は、それが書き込まれたチップ21と関係付けられて制御装置15の記録部に記録される。予め、チップ21に識別情報が書き込まれている場合は、その識別情報が識別情報読み取り装置14で読み取られ、制御装置15の記録部に記録される。
【0056】
遊行者はチップ交換機で交換したチップ21を用いてゲームを行う。例えばカードゲームに使用されるチップ21は、ゲーム中にディーラーに回収されてチップ回収装置16に入れられる。これにより、チップ回収装置16のチップ認識部31がチップ21を受け入れ(ステップS2)、非接触通信部35に近接して通過させる。このとき、識別情報読み取り装置14でチップ21の識別情報がそのチップ21と対応付けて読み取られて制御装置15の処理部で処理される。具体的には、読み取った識別情報が制御装置15の記録部に記録された識別情報と比較される。これにより、シリアル番号が重複するかが判断される(ステップS3)。重複する場合は、不正なチップと判断する。重複しない場合は、カジノ供給されたチップ21の連続番号の最大番号よりも大きいかが判断される(ステップS4)。大きい場合は、不正なチップと判断する。小さい場合は、金額があっているかが判断される(ステップS5)。金額があっていない場合は、不正なチップと判断する。あっている場合は、登録、識別情報、色があっているかが判断される(ステップS6)。あっていない場合は、不正なチップと判断する。あっている場合は、認証OKか否かが判断される(ステップS7)。OKでない場合は、不正なチップと判断する。OKである場合は、ステップS2に戻って上記処理を繰り返す。
【0057】
上記処理は適宜表示装置17に表示される。
【0058】
以上により、不正に偽造等されたチップがカジノ内に持ち込まれた場合でも、それを確実に発見することができる。これにより、偽造チップ等によるカジノの収益悪化を防止することができる。
【0059】
また、遊行者の遊技上の性向を掴むことができる。各識別情報読み取り装置14でゲーム用遊技台27毎にそこで使用されているチップ21を認識してその動向を把握することにより、どのゲーム用遊技台27でどのチップ21が使用されているかが分かり、遊行者の遊技上の性向を掴むことができる。また、チップ21と特定の遊行者(顧客等)とを結びつける識別情報(チップの色等)を用いた場合は、顧客等の遊技上の性向を掴むことができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。ゲーム用チップ監視システム11の全体構成は上記第1実施形態と同様であるため、ここでは同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
本実施形態では制御装置15の処理態様に特徴がある。第1実施形態では、1つのチップ21に1つの識別情報を書き込んだ後は書き換えることはなかったが、識別情報を適宜に選定して随時書き込ませるようにしてもよい。例えば、制御装置15が乱数表に基づいて、識別情報を適宜作成したり、予め作成しておいた多数の識別情報から特定の1つを選定して、チップ21の識別情報記録装置12に書き込むと共に制御装置15の記録部に記録させる。
【0062】
これにより、部外者も関係者も、乱数が分からず、同じ識別情報を書き込んだチップを作成することが不可能になる。これにより、正規のチップ21を確実に識別することができ、チップ21の偽造が不可能になる。
【0063】
また、制御装置15に、識別情報を定期的に又は不定期に選定する識別情報選定処理部を備えてもよい。この識別情報選定処理部で定期的に又は不定期に例えば乱数表に基づいて選定した識別情報を識別情報書き込み装置13でチップ21の識別情報記録装置12に随時書き込ませると共に、当該識別情報をそれが書き込まれたチップ21と対応させて制御装置15の記録部に記録させる。識別情報書き込み装置13で識別情報を書き込む態様としては、例えばチップ回収装置16で行う。チップ回収装置16に投入されるチップ21の識別情報を書き換えてチップ交換機で再使用する。
【0064】
これにより、万が一にも偽造チップの識別情報が正規のチップ21の識別情報と一致したときでも、次の書き換えの時には一致しなくなる。これにより、内部の関係者でも識別情報を一致させることは不可能になり、偽造チップの使用はほぼ完全に不可能になる。
【0065】
さらに、制御装置15の上記識別情報選定処理部で定期的に又は不定期に選定した識別情報を識別情報書き込み装置13でチップ21の識別情報記録装置12に随時書き込ませる際に、前回の書き込み動作で識別情報記録装置12に記録した識別情報と制御装置15の記録部に記録した識別情報とを比較して一致するか否かを判断する比較処理部を備えてもよい。これにより、比較処理部での処理により、チップ21の識別情報記録装置12に記録された識別情報と制御装置15の記録部で記録している識別情報とが一致するときのみ書き込み動作を行うことで、何度書き込み動作を行っても、当初のチップ21と各識別情報とが確実に一致して、正規のチップ21を確実に識別することができる。
【0066】
次に、本実施形態のゲーム用チップ監視システムの動作について図14を基に説明する。
【0067】
まず、チップ交換機でチップが購入されたか否かを判断する(ステップS11)。チップ21が購入された場合は、そのチップ21に書き込む識別情報書き込み装置13で乱数を発生させて、その乱数によるものを含む識別情報を書き込み、その旨を記録部に記録する(ステップS12)。
【0068】
次いで、いずれかの識別情報読み取り装置14でチップ21の識別情報を読み取ったか否かを判断する(ステップS13)。いずれの識別情報読み取り装置14でも読み取っていない場合は、最初の処理から繰り返す。いずれかの識別情報読み取り装置14で読み取った場合は、記録部に記録している識別情報と比較する(ステップS14)。この比較により、読み取った識別情報と、記録部に記録している識別情報とが一致するか否かを判断する(ステップS15)。識別情報が一致する場合は、記録部にその旨を記録する(ステップS16)。次いで、識別情報を読み取った位置がチップ回収装置16であるか否かを判断する(ステップS17)。チップ回収装置16である場合は、識別情報書き込み装置13で新しい識別情報に書き換えて(ステップS18)、その新しい識別情報を記録部に記録して(ステップS19)、最初の処理から繰り返す。上記ステップS17においてチップ回収装置16でないとの判断した場合は、最初の処理から繰り返す。
【0069】
上記ステップS15において識別情報が一致しない場合は、偽造チップと判断して、その旨を表示装置17に表示させる(ステップS20)。次いで、識別情報を読み取った位置がチップ回収装置16であるか否かを判断する(ステップS21)。チップ回収装置16である場合は、排除手段を作動させて偽造チップを排除し(ステップS22)、その旨を記録部に記録する(ステップS23)。上記ステップS21において、識別情報を読み取った位置がチップ回収装置16でないと判断した場合は、ステップS23に進んで、その旨を記録部に記録する。
【0070】
次いで、記録部に記録に記録したチップ21の識別情報等を表示装置17に表示させる(ステップS24)。表示装置17では、読み取られたチップ21の識別情報等が各ゲーム用遊技台27毎に表示され、関係者は表示装置17を見ながらチップの動向を把握できる。
【0071】
以上により、不正に偽造等されたチップがカジノ内に持ち込まれた場合でも、上記第1実施形態と同様に、それを確実に発見することができる。これにより、偽造チップ等によるカジノの収益悪化を防止することができる。
【0072】
また、チップの動向を把握して、上記第1実施形態と同様に、遊行者の遊技上の性向を掴むことができる。
【0073】
[変形例]
上記実施形態では、図4に示すように識別情報書き込み装置13及び識別情報読み取り装置14を種々の位置に設けたが、これらは必要な位置に設ければよい。例えば、ゲームに使用されたチップ21が必ずチップ回収装置16に投入されるシステムをとっているようなカジノでは、図13のように識別情報書き込み装置13及び識別情報読み取り装置14をチップ回収装置16のチップ認識部31にのみ設けてもよい。これにより、ゲーム用チップ監視システムは主に、管理用コンピュータ41と、各ゲーム用遊技台27にそれぞれ設けられて上記管理用コンピュータ41にそれぞれ接続されたチップ回収装置16のチップ認識部31とから構成されるので、構造が簡単で、既存のカジノ設備にも容易に組み込むことができる。
【0074】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、次のような効果を奏する。
【0075】
識別情報により正当なチップを識別するので、不正に偽造等されたチップがカジノ内に持ち込まれた場合でも、それを確実に発見することができる。これにより、偽造チップ等によるカジノの収益悪化を防止することができる。
【0076】
また、各識別情報読み取り装置でゲーム用遊技台毎にそこで使用されているチップを認識してその動向を把握することにより、遊行者の遊技上の性向を掴むことができる。また、チップと特定の遊行者(顧客等)とを結びつける識別情報(チップの色等)を用いた場合は、顧客等の遊技上の性向を掴むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゲーム用遊技台を示す平面図である。
【図2】従来のチップを示す斜視図である。
【図3】従来のチップを示す平面図である。
【図4】本発明に係るゲーム用チップ監視システムを示す概略構成図である。
【図5】本発明に係る識別情報記録装置を埋め込んだチップを示す平面図である。
【図6】本発明に係る識別情報記録装置に記録されるメモリ内容を示す表である。
【図7】本発明に係るチップ回収装置を示す斜視図である。
【図8】チップと非接触通信部との通信例を示す模式図である。
【図9】本発明に係るチップ認識部を示す概略構成図である。
【図10】本発明に係る表示装置の表示例を示す模式図である。
【図11】本発明に係る表示装置のカジノ台情報の表示例を示す模式図である。
【図12】本発明に係る制御装置の機能を示すフローチャートである。
【図13】変形例を示す概略構成図である。
【図14】第2実施形態の制御装置15での処理を示すフローチャートである。
【図15】チップ排除機構を示す斜視図である。
【図16】チップ排除機構を示す正面図である。
【図17】他のチップ排除機構を示す正面図である。
【符号の説明】
11:ゲーム用チップ監視システム、12:識別情報記録装置、13:識別情報書き込み装置、14:識別情報読み取り装置、15:制御装置、16:チップ回収装置、17:表示装置、18:記録装置、21:チップ、22:送受信アンテナ、23:ICタグ。
Claims (6)
- カード等を配布したり並べたりしてゲームを行う複数のゲーム用遊技台と、
当該各ゲーム用遊技台に設けられてゲームに使用する複数のチップを重ねて置くことが可能な領域と、
ゲームに用いられる上記チップに内蔵されて少なくとも当該チップ自身を識別するシリアル番号等の識別情報を記録する無線通信可能な識別情報記録手段と、
少なくとも上記各ゲーム用遊技台に設けられ上記領域に重ねて置かれた複数の上記チップ内の上記識別情報記録手段に記録された識別情報を無線通信により読み取る識別情報読み取り手段と、
上記複数のゲーム用遊技台等の間を移動する上記チップの動向を把握して、当該各識別情報読み取り手段でそれぞれ読み取った識別情報を、その識別情報を読み取った上記識別情報読み取り手段が設けられた上記ゲーム用遊技台等と関連付けて、監視所に設けた表示装置に表示する制御手段と
を備えて構成されたことを特徴とするゲーム用チップ監視システム。 - 請求項1に記載のゲーム用チップ監視システムにおいて、
上記識別情報読み取り手段が、遊技場内の複数の遊技台やチップ交換機等にそれぞれ設けられて上記各チップの識別情報を読み取り、上記制御手段が、遊技場全体で上記複数のゲーム用遊技台等の間を移動する上記チップの動向を把握することを特徴とするゲーム用チップ監視システム。 - 請求項1又は2に記載のゲーム用チップ監視システムにおいて、
上記表示手段が、上記制御手段で把握したチップの動向を表示することを特徴とするゲーム用チップ監視システム。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゲーム用チップ監視システムにおいて、
上記制御手段が、上記識別情報を定期的に又は不定期に、かつ適宜に選定する識別情報選定処理部を備えて、当該識別情報選定処理部で選定した識別情報を識別情報書き込み手段で上記チップの識別情報記録手段に随時書き込ませると共に、当該識別情報をそれが書き込まれたチップ自身を識別する識別情報と対応付けて自己の記録部に記録して、当該識別情報を基にその識別情報と対応付けられたチップの動向を把握することを特徴とするゲーム用チップ監視システム。 - 請求項4に記載のゲーム用チップ監視システムにおいて、
上記制御手段が、上記識別情報選定処理部で定期的に又は不定期に選定した識別情報を上記識別情報書き込み手段で上記チップの識別情報記録手段に随時書き込ませる際に、前回の書き込み動作で上記識別情報記録手段に記録した識別情報と自己の記録部に記録した識別情報とを比較して一致するか否かを判断する比較処理部を備え、これらが一致したときのみ書き込み動作を行うことを特徴とするゲーム用チップ監視システム。 - 請求項4又は5に記載のゲーム用チップ監視システムにおいて、
ゲームに使用されたチップを随時回収するチップ回収装置をさらに備え、
当該チップ回収装置が、案内通路を流れてくる上記チップを当該チップ回収装置に設けられた上記識別情報読み取り手段により読み取り、当該識別情報読み取り手段で読み取った識別情報が、上記制御手段により記録されていないことを条件に、該チップを、ハンマー又は圧搾空気を吹き出すノズルにより上記案内通路から外にはじき出す排除手段と、当該排除手段により上記案内通路から外にはじき出されなかったチップを回収するチップ回収箱とを備えて構成され、
当該チップ回収装置に、上記識別情報読み取り手段のみ又は上記識別情報読み取り手段及び上記識別情報書き込み手段を設けたことを特徴とするゲーム用チップ監視システム。
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