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JP3785259B2 - プーリユニット - Google Patents

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JP3785259B2 JP25968497A JP25968497A JP3785259B2 JP 3785259 B2 JP3785259 B2 JP 3785259B2 JP 25968497 A JP25968497 A JP 25968497A JP 25968497 A JP25968497 A JP 25968497A JP 3785259 B2 JP3785259 B2 JP 3785259B2
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Pulleys (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方向クラッチを備えるプーリユニットに関する。このプーリユニットは、例えば自動車などのエンジンのクランクシャフトからベルトを介して駆動される補機に装備することができる。補機としては、例えば自動車のオルターネータ、エアコンディショナ用コンプレッサ、ウォーターポンプ、冷却ファンなどが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンに装着される各種の補機は、エンジンのクランクシャフトによりベルトを介して駆動されるようになっている。ここで、補機のうち、例えばオルタネータの場合、エンジンのクランクシャフトと同期回転するように連結していると、クランクシャフトの回転数が低下するとき、オルタネータの発電能力が低下する。
【0003】
そこで、本願出願人は、オルタネータに一方向クラッチを内蔵し、クランクシャフトの回転数が低下するときに、オルタネータのロータの回転をその慣性力により継続させるようにして、発電効率を高めることを考えている。すなわち、オルタネータのプーリとロータとの間に一方向クラッチを介装し、プーリとロータとの回転差に応じて、一方向クラッチをロック状態(動力伝達状態)とフリー状態(動力伝達遮断状態)とに切り替え、プーリとロータとの間で動力伝達させたり遮断させたりする。そして、一方向クラッチの両側には、プーリとロータとの相対回転を円滑にさせるとともに、荷重を負担させるために、転がり軸受を配設させるようにしている。なお、プーリと一方向クラッチならびに転がり軸受との嵌合しめしろは、ほぼ同じに設定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来例では、プーリがその外周に巻き掛けられるベルトによって回転駆動される場合、ベルトからのラジアル荷重が、プーリから一方向クラッチおよびその両側の転がり軸受に対して作用することになる。このような使用状況では、前述したベルトからのラジアル荷重によりプーリと一方クラッチの外輪との嵌合しめしろが大きくなり、ひいては一方向クラッチの外輪が径方向内向きに歪みやすくなる。これにより、一方向クラッチの円周数カ所に設けられるくさび状空間の径方向寸法が小さくなるため、ころがフリー側へ変位させられることになり、結果的にくさび状空間のくさび角度が小さくなりやすい。仮に、くさび角度が規定の下限値よりも小さくなってしまうと、一方向クラッチのころがロックしたままでフリーにならなくなるなど、一方向クラッチが正常に機能しなくなる。
【0005】
通常、プーリに対するベルトの巻き掛け形態は、プーリの円周上の所要角度範囲に部分的に巻き掛けられるため、前述した外輪の歪みが全周に均等に発生するのではなく、部分的に起こることになり、そのために、一方向クラッチに備える複数のころのうちの一部のころが前述したような不具合を引き起こすようになると考えられる。
【0006】
また、従来は、振動によってプーリから一方向クラッチや両側の転がり軸受が軸方向に抜けてしまわないように、プーリと一方向クラッチ、転がり軸受との間の嵌合しめしろを大きく設定する必要があるが、このしめしろが大きいとくさび状空間の径方向寸法が小さくなり、くさび角度が小さくなってしまい、一方向クラッチが正常に機能しなくなる。このため、プーリと一方向クラッチとのしめしろを十分にとって抜けを確実に防止することが困難であった。
【0007】
したがって、本発明は、一方向クラッチを備えるプーリユニットにおいて、一方向クラッチや転がり軸受の長期的な動作安定化を図ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のプーリユニットは、同心状に配設されるプーリと軸体との間の環状空間における軸方向中間に一方向クラッチが介装され、かつ前記一方向クラッチの軸方向両側にそれぞれ転がり軸受が介装され、前記一方向クラッチの外輪の軸方向両側に、それぞれ前記転がり軸受の軸方向の外側端面に達する張出部が形成されており、前記両張出部が、前記転がり軸受の圧入嵌合により径方向外向きに膨出させられることにより、前記一方向クラッチの外輪において、前記一方向クラッチのクラッチ機能部に対応する領域と前記プーリとの嵌合しめしろが、前記両張出部と前記プーリとの嵌合しめしろに比べて小さく設定されている。
【0013】
上記本発明のプーリユニットでは、一方向クラッチとプーリとの嵌合しめしろを、プーリ支持用の転がり軸受とプーリとの嵌合しめしろよりも小さく設定しているから、プーリがその外周に巻き掛けられるベルトにより回転駆動される場合、ベルトからのラジアル荷重が、一方向クラッチに対してではなく、その軸方向両側の転がり軸受に対して主として作用することになる。このため、一方向クラッチの外輪においてクラッチ機能部に対応する領域が歪むことがなくなり、一方向クラッチのくさび状空間のくさび角度が不変に保たれるようになる。
【0014】
また、プーリと一方向クラッチならびに転がり軸受との嵌合しめしろについて、転がり軸受の圧入嵌合時のしめしろを調整することにより設定でき、余分な部品や加工を用いる必要がなくなる点で有利である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図1ないし図8に示す実施形態に基づいて説明する。
【0017】
図1ないし図6は本発明の一実施形態にかかり、図1は、プーリユニットの縦断面図、図2は、図1の(2)−(2)線断面の矢視図、図3は、図1の(3)−(3)線断面の矢視図、図4は、一方向クラッチの一部を示す平面展開図、図5は、一方向クラッチの外輪と転がり軸受との嵌合状況を示す説明図、図6は、一方向クラッチの好ましくない現象を示す説明図である。
【0018】
図例のプーリユニットAは、同心状に配設されるプーリ1および軸体2と、プーリ1と軸体2との間の環状空間に介装される一方向クラッチ3と、前記環状空間において一方向クラッチ3の軸方向両側に配設される2つの転がり軸受4,4とを備えている。
【0019】
プーリ1の外周には、波状のベルト巻き掛け用の溝が形成されており、このプーリ1は、例えば自動車エンジンのクランクシャフトによりベルトBを介して回転駆動されるようになっている。軸体2は、スリーブ状の部材からなり、図示しないが自動車の補機の入力軸(例えばオルタネータのロータ)に固定される。
【0020】
一方向クラッチ3は、外周面の円周数箇所に平坦なキー状のカム面10aが設けられた内輪10と、軸方向両端に転がり軸受4,4の装着用の張出部11a,11aが形成された外輪11と、カム面10aに対応して径方向内外に貫通形成されるポケット12aを有する保持器12と、保持器12の各ポケット12aに1つずつ収納される複数のころ13と、保持器12の各ポケット12aに1つずつ収納されかつころ13をカム面10aと外輪11内周面との間のくさび状空間の狭い側(ロック側)へ押圧する断面ほぼ長方形のコイルバネ14とを備えている。なお、保持器12のポケット12aの内壁面には、根元がくびれた形状の突起12bが一体形成されており、この突起12bの根元のくびれ部分にコイルバネ14の軸方向一端が係止嵌合され、突起12bの外周でコイルバネ14の内周を受けることにより、コイルバネ14の圧縮時のゆがみなどを防止するようになっている。また、一方向クラッチ3の内輪10の軸方向一端面には、軸端へ向けて開放するとともに径方向内外に開放するスリット状の凹部10bが、また、保持器12の軸方向一端内周側には、凹部10bに軸方向から圧入嵌合される凸部12cが、それぞれ設けられており、これら凹部10bと凸部12cとの圧入嵌合により保持器12の周方向への動きを封じている。また、凸部12cは、凹部10bの奥壁面と、凹部10bの開口側に配設される片方の転がり軸受4の内輪16の端面とで軸方向から挟まれており、これにより保持器12の軸方向への動きを封じている。
【0021】
2つの転がり軸受4,4は、いずれも、内輪16、外輪17、複数の玉18、保持器19を有する一般的な深溝型玉軸受からなり、内・外輪16,17間の軸方向外端側にのみシール部材20が装着されている。この2つのシール部材20により、一方向クラッチ3と転がり軸受4,4が配設される環状空間が閉塞されるようになっている。
【0022】
そして、この実施形態では、一方向クラッチ3の外輪11においてクラッチ機能部に対応する領域つまり両端の張出部11a,11aを除く中間領域とプーリ1との嵌合しめしろが、両張出部11a,11aとプーリ1との嵌合しめしろに比べて小さく設定されている。この関係を成立させるために、具体的には、図5に示すように、外輪11の両張出部11a,11aの内径寸法R1,R1を、転がり軸受4,4の外径寸法R2,R2に対して所要量小さく設定し、両張出部11a,11aに対して転がり軸受4,4を圧入するようにしている。これにより、両張出部11a,11aが径方向外向きに膨出することになり、図1に示すように、プーリ1と外輪11における軸方向中間領域との間に所要の隙間が形成されることになる。なお、図1では、隙間を誇張して記載している。
【0023】
次に、プーリユニットAの動作を説明する。要するに、プーリ1の回転速度が軸体2よりも相対的に速くなると、一方向クラッチ3のころ13がくさび状空間の狭い側へ転動させられてロック状態となるので、プーリ1と軸体2とが一体化して同期回転する。しかし、プーリ1の回転速度が軸体2よりも相対的に遅くなると、一方向クラッチ3のころ13がくさび状空間の広い側へ転動させられてフリー状態となるので、プーリ1から軸体2へ回転動力の伝達が遮断されることになって軸体2が回転慣性力のみで回転を継続するようになる。
【0024】
このようなプーリユニットAを仮にオルタネータに利用する場合だと、ベルトBの駆動源となるエンジンのクランクシャフトの回転変動に関係なく、オルタネータのロータの回転を高域に維持して、発電効率を高めるようにすることができる。つまり、クランクシャフトの回転数が上昇するとき、一方向クラッチ3がロック状態となって軸体2をプーリ1と同期回転させるようにし、一方、クランクシャフトの回転数が低下するとき、一方向クラッチ3がフリー状態となって軸体2をプーリ1の減速と無関係に自身の回転慣性力により回転継続させるようにすればよい。
【0025】
このような利用形態では、プーリユニットAに対してベルトBの張力が常時かかり、プーリ1に対してラジアル荷重が常時作用することになるが、上述しているように、プーリ1と一方向クラッチ3との嵌合しめしろを、プーリ1と転がり軸受4,4との嵌合しめしろよりも小さく設定しているから、ベルトBからのラジアル荷重が、一方向クラッチ3に対してではなく、その軸方向両側の転がり軸受4,4に対して主として作用することになる。これにより、一方向クラッチ3の外輪11においてクラッチ機能部に対応する領域が径方向内向きに歪むことがなくなり、一方向クラッチ3のくさび状空間のくさび角度が不変に保たれるようになる。したがって、一方向クラッチ3のころ13のロック、フリー動作時の挙動を安定に保つことができるようになるなど、一方向クラッチ3の機能安定化を保証できるようになる。ちなみに、プーリ1と一方向クラッチ3ならびに転がり軸受4,4との嵌合しめしろを同じに設定している場合には、図6の破線で示すように、ベルトbからのラジアル荷重によって、一方向クラッチ3の外輪11の軸方向中間領域が径方向内向きに歪むことになり、これによりころ13がフリー側へ変位させられて、くさび状空間のくさび角度がθ1からθ2にと小さくなり、従来例で説明したような不具合が発生しやすくなる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0027】
(1) 図7および図8は本発明の他の実施形態である。図7の実施形態では、一方向クラッチ3の外輪11の外周面において、一方向クラッチ3のクラッチ機能部に対応する領域つまり両端の張出部11a,11aを除く中間領域に、プーリ1に対して所要隙間を形成する周溝11bが設けられている。一方、図8の実施形態では、プーリ1の内周面において、一方向クラッチ3のクラッチ機能部に対応する領域つまり両端の張出部11a,11aを除く中間領域に、一方向クラッチ3の外輪11に対して所要隙間を形成する周溝1aが設けられている。これらの実施形態でも、上記実施形態と同様に、プーリ1にかかるラジアル荷重を、一方向クラッチ3に対して負担させずに、一方向クラッチ3の両側の転がり軸受4,4に対して負担させるようにできるので、一方向クラッチ3の機能安定化を保証できる。また、これらの実施形態では、どの部分に対しても無理な応力が働かずに済む。
【0028】
(2) 上記各実施形態では、一方向クラッチ3の弾性部材としてコイルバネ14を例に挙げているが、それについても種々な板ばねや弾性片などで代用することができる。
【0029】
(3) 上記各実施形態では、一方向クラッチ3のカム面10aを内輪側に形成した例を挙げているが、外輪側に設けたものにも本発明を適用できる。但し、上記実施形態の場合では、高速回転域でも遠心力によってころがロック位置から不必要に外れるのを防止できるなど、高速回転での使用に適している。
【0030】
(4) 上記各実施形態では、一方向クラッチ3の外輪11について軸方向両側に張出部11a,11aを設け、この張出部11a,11aに転がり軸受4,4を嵌合する形態としているが、外輪11に張出部11a,11aを設けずに、転がり軸受4,4をプーリ1に対して直接嵌合するようにしたものにも本発明を適用できる。この形態では、圧入嵌合された転がり軸受4,4でもって一方向クラッチ3を左右から挟み込むことにより、一方向クラッチ3の軸方向への抜けを防止することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明では、プーリに対して過大なラジアル荷重が作用するような状況において、該ラジアル荷重を、一方向クラッチに対してではなく、その軸方向両側の転がり軸受に対して主として作用させるようにしている。これにより、一方向クラッチの外輪においてクラッチ機能部に対応する領域が歪むことを回避できるようになるので、一方向クラッチのくさび状空間のくさび角度を不変に保つことができて、一方向クラッチを正常に機能させることができる。したがって、プーリユニットの信頼性向上に大きく貢献できるようになる。
【0032】
また、転がり軸受の嵌合しめしろを調整することによりプーリと一方向クラッチならびに転がり軸受との嵌合しめしろを設定しているから、余分な部品や加工が不要になり、コスト抑制に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のプーリユニットの縦断面図
【図2】図1の(2)−(2)線断面の矢視図
【図3】図1の(3)−(3)線断面の矢視図
【図4】一方向クラッチの一部を示す平面展開図
【図5】一方向クラッチの外輪と転がり軸受との嵌合状況を示す説明図
【図6】一方向クラッチの好ましくない現象を示す説明図
【図7】本発明の他の実施形態のプーリユニットの縦断面図
【図8】本発明の他の実施形態のプーリユニットの縦断面図
【符号の説明】
A プーリユニット
B ベルト
1 プーリ
2 軸体
3 一方向クラッチ
4 転がり軸受
11 一方向クラッチの外輪
13 一方向クラッチのころ

Claims (1)

  1. 同心状に配設されるプーリと軸体との間の環状空間における軸方向中間に一方向クラッチが介装され、かつ前記一方向クラッチの軸方向両側にそれぞれ転がり軸受が介装され、前記一方向クラッチの外輪の軸方向両側に、それぞれ前記転がり軸受の軸方向の外側端面に達する張出部が形成されているプーリユニットであって、
    前記両張出部が、前記転がり軸受の圧入嵌合により径方向外向きに膨出させられることにより、前記一方向クラッチの外輪において、前記一方向クラッチのクラッチ機能部に対応する領域と前記プーリとの嵌合しめしろが、前記両張出部と前記プーリとの嵌合しめしろに比べて小さく設定されている、ことを特徴とするプーリユニット。
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