JP3753592B2 - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属板ラミネート用ポリエステルフィルムに関し、特に、金属缶体のような、金属にポリエステル樹脂をラミネートして得られるラミネート金属板に加工を施し、特に、絞り成形やしごき成形等の加工に使用される材料として有用な金属板ラミネート用ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属缶の内外面の腐食防止には、熱硬化性樹脂を主成分とする溶剤型の塗料が塗布されていた。しかし、溶剤型塗料は塗膜を形成するために高温での加熱が必要であり、その時に多量の溶剤が発生するため、作業の安全性および環境の面からも問題があった。そのため、最近は溶剤を用いない腐食防止法として、熱可塑性樹脂による金属の被覆が提案され、熱可塑性樹脂の中でも特にポリエステルは加工性、耐熱性等に優れることから、ポリエステルをベースとした金属ラミネート用フィルムの開発が進められている。
【0003】
フィルムを金属板に被覆する方法としては、熱可塑性樹脂を溶融させて直接金属上に押出す方法や、熱可塑性樹脂フィルムを直接、または接着剤を介して熱圧着する方法がある。中でも、熱可塑性樹脂フィルムを用いる方法は、樹脂の取扱いが容易で作業性に優れ、かつ、樹脂膜厚の均一性にも優れるために有効な手法とされている。また、接着剤を介した方法では環境面やコストの問題があるために、フィルムを直接熱圧着する方法が注目されている。
【0004】
熱可塑性樹脂フィルムを被覆した金属缶は、鋼板、アルミ板等の金属板(メッキ等の表面処理を施したものを含む)に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートし、ラミネート金属板を成形加工して製造される。
このような用途に用いられる熱可塑性樹脂フィルムには、▲1▼金属板との熱ラミネート性がよいこと、▲2▼缶の成形性に優れていること、つまり、缶の成形時にフィルムの剥離、亀裂、ピンホール等の発生がないこと、▲3▼缶成形後の印刷、レトルト殺菌処理および長期の保存の際に脆化しないこと、▲4▼内容物の保味保香性に優れること等の数々の特性が同時に要求される。
【0005】
このような金属板ラミネート用ポリエステルフィルムとしては、熱ラミネート性を付与し、缶の成形性を向上させる目的で、他の成分を混合したり、共重合する方法が提案がされている。
例えば、(イ)PETに他の成分を共重合したものが特公平8−19245号公報、特公平8−19246号公報、特許第2528204号公報等に開示されている。また、(ロ)共重合PETにPBTもしくはその共重合体を配合したもの(特許第2851468号公報、特開平5−186612号公報、特開平5−186613号公報)、(ハ)PETもしくはその共重合体にPBTもしくはその共重合体を配合し、結晶特性を限定した缶蓋用フィルム(特開平5−331302号公報、特開平7−145252号公報)が開示されている。
【0006】
しかしながら、(イ)ではPETを共重合化し、低融点化、低結晶化することにより熱ラミネート性と成形性は改良されるものの、缶成形後の熱処理およびレトルト殺菌処理時に脆化し、耐衝撃性が低下するという問題があった。また、(ロ)ではPBT系の樹脂を配合させることにより、熱ラミネート性と上記(イ)の欠点である脆化や耐衝撃性をバランス良く改良しようとしたものであるが、金属との熱ラミネート性や接着性は十分ではなく、特に絞り成形やしごき成形等の高加工成形性が十分ではなかった。(ハ)では、結晶性を限定することによりレトルト殺菌処理等の比較的低温での熱処理後の白化や白斑は改善されるものの、絞り成形やしごき成形等の厳しい条件での成形性(高加工性)については考慮されておらず、十分な成形性は付与されていなかった。
【0007】
これに対して、本発明者らは、先にポリエチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステルと、ポリブチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステルよりなる2軸延伸フィルムを提案している(特開平9−194604号公報、特開平10−110046号公報)。このフィルムは、結晶化度が高くても、比較的低温で熱圧着でき、しかも得られたラミネート金属板は加工性に優れる。また、レトルト殺菌処理および長期の保存の際に脆化せず、耐衝撃性にも優れるが、絞り成形やしごき成形等の高加工の際には、厳しい加工部でフィルムが白化したりミクロクラックが発生する場合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、金属板との熱ラミネート性、缶の成形性、特に絞り成形やしごき成形等の高加工性に優れ、ラミネート金属缶に好適な、金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、結晶性の異なる実質的に非相溶の2種以上のポリエステル、すなわちポリブチレンテレフタレート主体のポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート主体のポリエステルを特定割合で溶融混合したフィルムからなり、このフィルムの結晶化特性を特定の性能に調整することにより、缶の成形性、特に絞り成形やしごき成形等の高加工性が改良されることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
(1)融点200〜223℃のポリブチレンテレフタレート、またはこれを主体とするポリエステル(A)40〜80質量%と、融点230〜256℃(230〜245℃を除く)のポリエチレンテレフタレート、またはこれを主体とするポリエステル(B)60〜20質量%とからなるフィルムであり、非晶状態からの昇温結晶化ピーク温度が60〜100℃の範囲に存在し、60〜100℃での比熱容量が0J/g・℃以上であることを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
(2)200〜223℃の温度範囲と、230〜256℃(230〜245℃を除く)の温度範囲にそれぞれ1つ以上の融点を有する、上記(1)記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
(3)昇温結晶化ピーク温度での破断伸度が100%以上である、上記(1)又は(2)記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート(PBT)主体のポリエステル(A)としてはPBT、およびこれに他の成分を共重合したものであるが、融点は200〜223℃であることが必要であり、融点が200℃より低いと耐熱性が低下する。
共重合割合は、融点が上記範囲内であればよく、全アルコール成分に対し、1,4−ブタンジオールは80mol%以上が好ましく、特に90モル%以上が好ましい。1,4−ブタンジオールが80モル%未満であると、結晶性、特に結晶化速度が低下し、レトルト処理後の耐衝撃性が低下する。
【0012】
共重合成分としては、特に限定されないが、酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。
また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物等を少量用いてもよい。これらの共重合成分は2種以上併用しても良い。
【0013】
本発明におけるポリエチレンテレフタレート(PET)主体のポリエステル(B)としては、PET、およびPETに他の成分を共重合したものを挙げることができ、融点は230〜256℃の範囲であることが必要である。ただし、230〜245℃の範囲を除く。融点が230℃未満であると、結晶性が低下し、レトルト処理後に白化や白斑が発生したり、レトルト処理後の耐衝撃性が劣る。
【0014】
PETに共重合することができる成分としては特に限定されず、ポリエステル(A)と同様な化合物を例示できる。
【0015】
本発明のポリエステルフィルムを製造するために用いられるポリエステルの極限粘度は、ポリエステル(A)は0.6〜1.6、ポリエステル(B)は0.5〜0.9が好ましく、溶融混合した後の極限粘度は0.6〜1.0が好ましい。極限粘度が上記範囲未満では、フィルムの実用性能が不足し、上記範囲内を超えると生産性に劣り、また、フィルムの金属板への熱ラミネート性も損なわれる。
【0016】
原料のポリエステルの重合方法は特に限定されることはなく、例えば、エステル交換法、直接重合法等で重合することができる。エステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Tiの酸化物、酢酸塩等が挙げられる。また、重縮合触媒としては、Sb、Ti、Ge酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。
重合後のポリエステルは、モノマーやオリゴマー、副生成物のアセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等を含有しているため、減圧もしくは不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合することが好ましい。
【0017】
ポリエステルの重合においては必要に応じ添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等を、熱安定剤としては、例えばリン系化合物等を、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系の化合物等を挙げることができる。
【0018】
本発明ではポリエステル(A)と(B)を特定の配合比で溶融混合するが、その配合比は(A)/(B)=40〜80/60〜20(質量%)、好ましくは(A)/(B)=50〜70/50〜30(質量%)であることが必要である。
ポリエステル(A)が80質量%を超えると、結晶性の高いポリエステル(A)の特性が顕著に発現し、成形性に劣るばかりか、耐衝撃性も悪くなる。また、ポリエステル(A)が40質量%未満の場合には、結晶化速度が低下し、レトルト処理後の物性が低下する。本発明では、特に、ポリエステル(A)の結晶化速度に関する特性が失われないようにするため、ポリエステル(A)を40質量%以上配合することが重要である。
【0019】
また、本発明のポリエステルフィルムでは、フィルムの非晶状態での特性を限定している。これは、缶の成形性が非晶状態の結晶性に大きく影響されるためである。つまり、缶の成形はポリエステルフィルムを積層した金属板を、円柱状またはその特殊型に変形または絞り、しごき加工することであるが、その際にポリエステルフィルムの金属板との接着側は非晶状態もしくはそれに近い状態となっている場合が多い。特に、接着剤を介さず熱圧着する場合には非晶状態の割合が高くなる。また、絞り、しごき加工性を向上させるためには、樹脂の一部または全部を非晶化する方法が行われている。上述したように、従来、厳しい絞り、しごき加工に耐えうる成形性と耐衝撃性や耐レトルト性等の缶の品位を両立させることは困難であったが、本発明者らはフィルムの非晶状態に着目することにより上記の品質を両立させることに成功した。
【0020】
すなわち、本発明のフィルムは、非晶状態からの昇温結晶化ピーク温度(Tc)が60〜100℃、好ましくは、60〜90℃の範囲に存在することが必要である。
Tcが100℃を超えると、レトルト殺菌処理の際に脆化するだけでなく、白斑が生じフィルムの見栄えが悪くなる場合がある。また、Tcが60℃を下回ると、成形温度が高い場合に成形性に劣る場合があり、また、内容物の保味保香性も低下する。
【0021】
また、本発明のフィルムの60〜100℃での比熱容量(Cp)が0J/g・℃以上であることが必要である。
Cpが0J/g・℃未満の場合には、結晶化開始温度付近での結晶化速度が速くなりすぎて、成形性が悪化し、絞り成形やしごき成形等の高加工性の際に白化したり、ピンホールやクラックが発生し易い。ここで、60〜100℃とは、缶の成形が通常行われている温度範囲であり、成形温度範囲でのCpが0J/g・℃以上であることが重要である。
【0022】
ポリエステル(A)と(B)の溶融混合条件は特に限定されず、ブレンドした原料チップを同一の押出機で溶融混合する方法、また、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙げられる。溶融混合条件として、高い溶融温度下もしくは高せん断下で長時間混合した場合には、エステル交換反応や分解反応が進行して、混合物の特性が大きく変化する。特に、エステル交換が進行しすぎると、融点やガラス転移温度が低下し、かつ、比熱容量も0J/g・℃以下になる。その結果、ポリエステル(A)および(B)によるフィルムの優れた特性が消失し、耐熱性や成形性が低下するため、溶融混合条件は、(B)の融点+20℃以下の温度で、滞留時間15分以下とすることが好ましい。
【0023】
また、本発明のフィルムは、200〜223℃の温度範囲と、230〜256℃(230〜245℃を除く)の温度範囲にそれぞれ1つ以上の融点を有することが好ましい。すなわち、本発明のフィルムは、ポリエステル(A)とポリエステル(B)に由来する独立した融点を有することが好ましい状態である。
特に、ポリエステル(A)に由来する融点が200℃を下回るとフィルムの耐熱性が低下し、成形性や耐衝撃性が劣る。
【0024】
また、本発明のフィルムは、昇温結晶化ピーク温度での破断伸度が100%以上であることが好ましい。伸度が100%未満の場合には缶の成形性に劣る場合がある。
【0025】
本発明のフィルムは、通常2軸延伸フィルムとして用いられる。
例えば、ドライブレンドしたポリエステル(A)と(B)をTダイを備えた押出機に供給し、250〜280℃の温度で3〜15分間溶融混合後にシート状に押し出し、この押出されたシートを室温以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて冷却し、得られた未延伸シートを必要に応じて縦方向(MD)に1〜1.2倍程度の予備延伸し、その後にテンターにより50〜150℃の温度でMD及び横方向(TD)にそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるように2軸延伸し、さらに、TDの弛緩率を数%として、80〜220℃で数秒間熱処理を施すことによって製造することができる。2軸延伸方法としては、逐次または同時2軸延伸法を用いることができる。
【0026】
延伸後の熱処理は、フィルムの寸法安定性を付与するために必要な工程であるが、その方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法を用いることができる。このうち、均一に精度良く加熱できることから熱風を吹き付ける方法が最適である。
【0027】
フィルム製造時や製缶時の工程通過性をよくするため、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機滑剤を少量添加して製膜してフィルム表面にスリップ性を付与することが望ましい。さらに、フィルム外観や印刷性を向上させるため、たとえば、フィルムにシリコーン化合物等を含有させることもできる。また、金属とのラミネート性を向上させたり、強度をさらに高めるために、フィルム製造中のインラインコーティングもしくはフィルム製造後のポストコーティングにより、接着層等の任意のコーティング層を形成させてもよい。
【0028】
本発明のポリエステルフィルムは、鋼板、アルミ等の金属板に熱ラミネートされるが、ラミネートする金属板は、クロム酸処理、リン酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理等の化成処理や、ニッケル、スズ、亜鉛、アルミ、砲金、真鍮、その他の各種メッキ処理などを施した鋼板を用いることができる。
【0029】
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。
実施例及び比較例におけるフィルムの原料、および、特性値の測定法は、次の通りである。
【0030】
(1)原料
表1において、ポリエステル(A)、(B)は、共重合成分がない場合は、それぞれPBT、PETを示し、極限粘度(IV)、および、融点(Tm)は表1に示すとおりである。
なお、共重合成分がSEA8mol%、および12mol%のPBT、および、共重合成分がIPA12mol%のPETを除いたポリエステルについては、全て固相重合を施した。
また、ポリエステル樹脂には、平均粒径1.1μmのシリカが0.1wt%充填されている。
表1において、”IPA”はイソフタル酸を表わし、”SEA”はセバシン酸を表す。
(2)測定法
A.極限粘度(IV)
フェノール/四塩化エタンの等重量混合溶媒を用いて、温度20℃で測定した溶液粘度から求めた。
B.融点(Tm)および昇温結晶化ピーク温度(Tc)
Perkin Elmer社製DSCを用い、10℃/minで昇温時の融点および結晶化ピーク温度を測定した。測定サンプルは、延伸フィルムを溶融後、100℃/min以上の速度で急冷して非晶状態としたものを用いた。
C.比熱容量(Cp)
Perkin Elmer社製DSCを用い、JISK7123−1987に準じて測定した。標準物質にはサファイアを使用した。測定サンプルは、延伸フィルムを溶融後、100℃/min以上の速度で急冷して非晶状態としたものを用いた。
D.引張伸度(%)
幅10mm、長さ10cmのフィルム試料(n=5枚)を用いて、ASTM D882に規定される測定方法に準じて、昇温結晶化ピーク温度(Tc)での引張伸度を測定した。なお、データはMDとTDの最小値で示した。
E.熱ラミネート性
加熱した金属ロールと、シリコンゴムロールとの間に、試料フィルムと厚みが0.21mmのティンフリースチール板とを重ね合わせて供給し、速度20m/min、線圧50kgf/cmで加熱接着し、2sec後に氷水中に浸漬し、冷却してラミネート金属板を得た。
得られた積層体から、幅18mmの短冊状の試験片(端部はラミネートせず、ラミネートされた部分がMDに8cm以上確保されるようにする)をTDに11枚切り出した。次に、この試験片のフィルム面に、JIS Z−1522に規定された粘着テープを貼り付け、島津製作所社製オートグラフで、10mm/minの速度で180度剥離試験を行い、その剥離強力を測定することにより、次の基準にしたがって接着性を評価した。
◎:10枚以上の試験片の剥離強力が300gf以上であるか、または300gf以上でフィルムが破断。
○:5〜9枚の試験片の剥離強力が300gf以上であるか、または300gf以上でフィルムが破断。
△:剥離強力が300gf未満の試験片が7枚以上。
F.成形性
上記Eで得られたラミネート金属板のフィルム側を缶胴内面として、350ml相当、および、500ml相当の2ピース缶の深絞り成形を行った時の状態を観察した。評価は、剥離、破断または白化が目視で認められるものを××、目視では認められないが、硫酸銅水溶液に浸して金属の腐食が認められたものを×、硫酸銅水溶液に浸しても金属の腐食が認められないものを○とした。
G.耐レトルト性
上記Eで得られたラミネート金属板を、125℃で30minレトルト処理後のフィルムの状態を観察した。評価は、明らかな白化または白斑が認められるものを×、明らかではないが目視で識別可能程度の白化が認められるものを△、目視では変化が認められないものを○とした。
H.耐衝撃性
上記Eで得られたラミネート金属板を、125℃で30minレトルト処理後、5℃において、50cmの高さから1kgの重り(先端は直径1/2inchの球面)をフィルム側から落下させたときのフィルムの状態を観察した。評価は、剥離または破断が目視で認められるものを××、目視では認められないが、硫酸銅水溶液に浸して金属の腐食が認められたものを×、硫酸銅水溶液に浸しても金属の腐食が認められないものを○とした。
【0031】
実施例1
表1に示した特性を有する、ポリエステル(A)を50質量部と、(B)を50質量部をドライブレンドし、これをTダイを備えた押出機を用いて、275℃でシート状に溶融押出し(滞留時間は8分)、表面温度18℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ240μmの未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートの端部をテンター式同時2軸延伸機のクリップに把持し、60℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度80℃でMDに3.0倍、TDに3.3倍で同時2軸延伸した。その後、TDの弛緩率を5%として、温度150℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、厚さ25μmの2軸延伸フィルムを得た。
得られたフィルムの各種の特性値を表2に示す。
【0032】
実施例2〜4、比較例1〜6
原料樹脂、配合比およびフィルムの製造条件を表1に示したように変更し、実施例1と同様にして各種フィルムを得た。
得られたフィルムの各種の特性値を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
実施例1〜4で得られたフィルムは、熱ラミネート性、成形性、耐衝撃性、耐レトルト性に優れていたが、比較例1〜6で得られたフィルムは、上記の全ての性能を満足するものは得られなかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた熱ラミネート性、成形性、特に絞り成形やしごき成形等の高加工性を有するとともに、成形後の耐衝撃性や耐レトルト性にも優れる金属缶の被覆に好適な、金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを提供することができる。
Claims (3)
- 融点200〜223℃のポリブチレンテレフタレート、またはこれを主体とするポリエステル(A)40〜80質量%と、融点230〜256℃(230〜245℃を除く)のポリエチレンテレフタレート、またはこれを主体とするポリエステル(B)60〜20質量%とからなるフィルムであり、非晶状態からの昇温結晶化ピーク温度が60〜100℃の範囲に存在し、60〜100℃での比熱容量が0J/g・℃以上であることを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
- 200〜223℃の温度範囲と、230〜256℃(230〜ら245℃を除く)の温度範囲にそれぞれ、1つ以上の融点を有する請求項1記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
- 昇温結晶化ピーク温度での破断伸度が100%以上である請求項1又は2記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
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