[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP3617887B2 - 撮像装置 - Google Patents

撮像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3617887B2
JP3617887B2 JP27116996A JP27116996A JP3617887B2 JP 3617887 B2 JP3617887 B2 JP 3617887B2 JP 27116996 A JP27116996 A JP 27116996A JP 27116996 A JP27116996 A JP 27116996A JP 3617887 B2 JP3617887 B2 JP 3617887B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
image
imaging
color
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27116996A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10126797A (ja
Inventor
栄二 山田
利明 原田
哲男 岩木
徹 奥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP27116996A priority Critical patent/JP3617887B2/ja
Priority to US08/950,361 priority patent/US6577341B1/en
Priority to EP97117746A priority patent/EP0836330A3/en
Publication of JPH10126797A publication Critical patent/JPH10126797A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3617887B2 publication Critical patent/JP3617887B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N23/00Cameras or camera modules comprising electronic image sensors; Control thereof
    • H04N23/60Control of cameras or camera modules
    • H04N23/665Control of cameras or camera modules involving internal camera communication with the image sensor, e.g. synchronising or multiplexing SSIS control signals
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N23/00Cameras or camera modules comprising electronic image sensors; Control thereof
    • H04N23/80Camera processing pipelines; Components thereof
    • H04N23/84Camera processing pipelines; Components thereof for processing colour signals
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N25/00Circuitry of solid-state image sensors [SSIS]; Control thereof
    • H04N25/10Circuitry of solid-state image sensors [SSIS]; Control thereof for transforming different wavelengths into image signals
    • H04N25/11Arrangement of colour filter arrays [CFA]; Filter mosaics
    • H04N25/13Arrangement of colour filter arrays [CFA]; Filter mosaics characterised by the spectral characteristics of the filter elements
    • H04N25/135Arrangement of colour filter arrays [CFA]; Filter mosaics characterised by the spectral characteristics of the filter elements based on four or more different wavelength filter elements
    • H04N25/136Arrangement of colour filter arrays [CFA]; Filter mosaics characterised by the spectral characteristics of the filter elements based on four or more different wavelength filter elements using complementary colours
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N25/00Circuitry of solid-state image sensors [SSIS]; Control thereof
    • H04N25/48Increasing resolution by shifting the sensor relative to the scene
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N2209/00Details of colour television systems
    • H04N2209/04Picture signal generators
    • H04N2209/041Picture signal generators using solid-state devices
    • H04N2209/042Picture signal generators using solid-state devices having a single pick-up sensor
    • H04N2209/045Picture signal generators using solid-state devices having a single pick-up sensor using mosaic colour filter
    • H04N2209/046Colour interpolation to calculate the missing colour values

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Color Television Image Signal Generators (AREA)
  • Transforming Light Signals Into Electric Signals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単一の撮像素子を用いて、カラー画像を得ることができる撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、単一の撮像素子を用いてカラー画像を撮像する単板式の撮像装置が、動画像および静止画像の撮像に用いられる。この撮像装置では、撮像素子の受光領域の数と等しい画素数の画像を撮像することができるが、撮像素子の受光領域の数が少ないと、画像の解像度が低下する。画像の解像度を向上させるための撮像装置に関する第1および第2の従来技術を以下に示す。
【0003】
第1の従来技術の撮像装置は、特開平7−99664号公開公報に開示される。この撮像装置では、撮像素子の受光領域の光入射側に、予め定める3色の色彩光だけを通過させる色フィルタを設置する。この色フィルタでは、3色のうちのいずれか1つの色彩光を通過させる透光領域だけが市松状に配列される。
【0004】
この撮像装置で出力画像を得るとき、撮像装置は、まず撮像素子の空間サンプリング位置を、4フィールドで元の位置に戻るように、画素のピッチの半分の長さだけ水平および垂直方向H,Vに順次的に変位させる。撮像素子は、空間サンプリング位置が移動される度に画像光を撮像する。次いでこれらの4回分の撮像で得られた画像を合成して、撮像素子の受光領域の数よりも多い画素から成る出力画像を生成する。
【0005】
また、第2の従来技術の電子スチルカメラは、特開平6−225317号公開公報に開示される。図68は、上述の電子スチルカメラ1の電気的構成を示すブロック図である。電子スチルカメラ1は高画質画像を撮像するための高精細モードを有する。高精細モードでは、4つの原画像信号から単一の出力画像信号を生成して、撮像素子4の受光領域の数よりも多い画素から成る出力画像を得る。
【0006】
高精細モード切換え時には、被写体からの画像光は、光学系3で所望の状態に集光された後、後述する色フィルタを通過して、撮像素子4の結像面に結像される。結像面は二次元平面であり、複数の受光領域が行列状に配列される。色フィルタは、この結像面の光入射側に設置され、予め定める4色の色彩光だけを通過させる。結像面における画像光の結像位置は、いわゆるイメージシフト動作によって、異なる第1〜第4結像位置に順次的に移動される。
【0007】
図69は、撮像素子4の色フィルタ16の透光領域17の配列を示す図である。色フィルタは、撮像素子4の受光領域と同数の透光領域17を有する。透光領域17の配列は受光領域の配列と等価であり、水平および垂直方向H,Vに沿って、それぞれ周期PH,PVで、行列状に配列される。
【0008】
各透光領域17は4種類に区分され、黄色、シアン、マゼンタ、緑の各色彩光のうちのいずれか1つだけを通過させる。図69において、実線で囲まれた矩形領域が各透光領域17を示す。また矩形領域内に描かれる記号「Ye」,「Cy」,「Mg」,「G」は、その透光領域17を通過可能な色彩光の色が、黄、シアン、マゼンタ、および緑であることをそれぞれ示す。各色彩光の透光領域17の色配列は、2点鎖線21で囲む4行2列の8つの透光領域17の配列を基本配列パターンとする周期的な配列である。
【0009】
図70は、上述の第1〜第4結像位置Qa〜Qdの位置関係を示す図である。第1位置Qaを基準とすると、第2位置Qbは第1位置Qaから水平方向Hにシフト長さPHだけ移動した位置である。第3および第4位置Qc,Qdは、第1位置Qaから垂直方向Vの同じ向きに、シフト長さPV/2だけ、かつ水平方向Hで相反する向きにそれぞれシフト長さPH/2だけ移動した位置である。
【0010】
再び図68を参照する。撮像素子4は、画像光の結像位置が上述した4つの移動位置にそれぞれ移動される度に、予め定める露光時間だけ、結像された画像光を各受光領域で受光して画像光を撮像し、4つの原画像信号を前処理回路5に出力する。この原画像信号は、各受光領域において受光された光の受光量に対応する受光データから成る。前処理回路5では、撮像素子4から与えられた原画像信号を増幅し、かつ所望の信号処理を施す。処理が施された信号は、アナログ/デジタル変換回路(図面では「A/D変換回路」と略称する)6においてデジタル信号に変換された後、画像メモリ7にストアされる。
【0011】
信号処理回路8は、まず得られた原画像信号が表す原画像を、図70に示す各結像位置Qa〜Qdのシフト方向とは逆向きに、同じシフト長さだけずらして重ね合わせて、合成する。次いで、この合成画像の受光データに基づいて、単一の出力画像の輝度信号および色差信号を生成する。生成された輝度信号および色差信号は、記録媒体9に記録される。
【0012】
図71は、上述の合成画像のうち、各原画像の前述した基本配列パターンに対応する部分から成る部分の画素配列を示す図である。この図において、実線の矩形領域は、出力画像の輝度信号および色差信号の画素単位の成分が直接得られる実画素を示す。破線の矩形領域は、実画素の輝度信号および色差信号から輝度信号および色差信号を補間して得る仮想画素を示す。また、記号「Fa」が記された実画素は、黄色およびシアンの透光領域17を通過した光を受光する受光領域からの受光データだけが直接該当する。記号「Fb」が記された実画素は、緑およびマゼンタの透光領域を通過した光を受光する受光領域からの受光データだけが直接該当する。
【0013】
この合成画像では、黄色およびシアンの受光データが該当する実画素と、緑およびマゼンタの受光データが該当する実画素とが、2行おきに交互に配列される。実画素と仮想画素とは水平および垂直方向H,Vに隣接し、各画素がそれぞれ市松状に配列される。出力画像の画素配列は、合成画像と等しく、水平および垂直方向H,Vの画素の配列数がそれぞれ2倍に増加し、かつ画素の配列周期が半分になる。
【0014】
また、図72は、高解像度モードにおける第1〜第4結像位置Qa〜Qdの位置関係の別の例を示す図である。図70と図72とを比較すると、第1位置Qaと第2位置Qbとの位置関係は等しい。第3および第4位置Qc,Qdは、第1位置Qaから垂直方向Vの同じ向きにシフト長さPVだけ、かつ水平方向Hの相反する向きにシフト長さPH/2だけずれる。
【0015】
図73は、図72の移動位置で撮像された4つの原画像信号から生成される高高解像度モードの合成画像の画素配列を示す図である。図面の各記号の意味は、図71と等しい。この合成画像では、黄色およびシアンの受光データが該当する実画素と、緑およびマゼンタの受光データが該当する実画素とが、水平および垂直方向H,Vに沿って交互に配列される。また、実画素だけで構成される行と、仮想画素だけで構成される行とが、交互に配列される。この合成画像から得られる出力画像の画素の数は、水平方向Hに関して通常モードの出力画像の画素の数の2倍となり、画素1つ当たりの面積が半分となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述した2種類の従来技術の撮像装置および電子スチルカメラでは、画素配列が2次元であって、色フィルタの透光領域を通過可能な色彩光が3種類以上であることから、結像位置の異なる4つの原画像信号に基づいて単一の出力画像信号を生成する。これは、上述したように原画像信号を合成すると、出力画像の各画素ごとに、4種類の透光領域を通過した色彩光を受光する受光領域からの出力が対応するので、各画素ごとに輝度信号および色差信号を個別に生成することができるようにするためである。
【0017】
このような条件を満たす4種類の原画像信号を得るとき、イメージシフト動作は異なる2方向への移動を含むので、結像位置の移動機構が複雑になる。複雑な移動機構を有する装置は、部品点数が多いので製造コストが増大する。さらに、1枚の出力画像のために4枚分の原画像信号が必要なので、通常モードでの撮像だけを行う装置と比較すると、4倍の容量のメモリを必要とし、製造コストをさらに増大させる。
【0018】
また、これらの装置の高解像度モードの画像光の撮像は、4枚の原画像信号を得る間に、被写体が静止し、かつ被写体と撮像装置との位置関係が移動しないことを前提条件としている。この前提条件が満たされるときは、原画像内の被写体の像に対して、4枚の原画像のイメージシフト動作に基づくずれを相殺することによって、各原画像の該像を一致させて重ね合わせて該被写体の像に対する画素数を増加させる。このとき、単一の出力画像を得るための等価撮像時間は、4回分の画像光の露光時間と、結像位置の移動のための3回分の遷移時間との和の時間である。この等価撮像時間は、銀塩フィルムのスチルカメラのいわゆるシャッタ速度と同じ意味を持つ。
【0019】
この等価撮像時間内に被写体が動くまたは該位置関係がずれると、4枚の原画像間で、被写体の像がイメージシフト動作のシフトずれ量以上にずれる。このとき、上述した合成処理だけでは被写体の像のずれを相殺することができない。この結果、合成画像内の被写体の像にぶれが生じて、合成画像の画質が劣化する。特に、上述した2種類の撮像装置の高解像度モードでは、その等価撮像時間が露光時間の4倍以上の極めて長い時間となる。したがって手ぶれおよび被写体の動きの影響を受け易くなり、出力画像の画質が劣化しやすい。
【0020】
上述した撮像装置でこの前提条件を満たす撮像状態は、たとえば被写体を静物とし、撮像装置を三脚に固定して使用する状態である。したがって、銀塩フィルムのスチルカメラと比較して、使用条件が極めて限定されてしまい、実際の撮像時に高解像度モードを使用することが困難となっていた。
【0021】
本発明の目的は、単板式の撮像装置において、被写体の動きおよび手ぶれなどに影響されることなく、高解像度の出力画像を得ることができる撮像装置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の色彩光にそれぞれ対応し、入射される被写体からの画像光のうちの対応する色彩光だけを個別的に通過させる複数の透光領域を有し、該透光領域が2次元平面上に予め定める配列で配列される色分離フィルタと、
画像光を撮像して画像信号を出力する撮像素子であって、
色分離フィルタの透光領域に個別的に対応した受光領域が、透光領域の予め定める配列と同等の配列で2次元平面上に配列され、
各受光領域では対応した透光領域を通過した色彩光だけを受光し、
各受光領域の受光量を示す画素データから構成される画像信号を出力する撮像素子と、
撮像素子に入射される画像光の結像位置を、予め定める第1および第2移動位置に相対的に移動させる移動手段と、
移動手段における結像位置の移動が行われるたびに、予め定める露光時間だけ撮像素子における画像光の受光を許容する露光許容手段と、
撮像素子の出力に応答し、出力された2つの画像信号を撮像時の結像位置の離反量だけ位置の移動方向とは逆方向にずらして重ね合わせて、合成画像信号を生成する画像生成手段と、
画像光の撮像が開始されると、移動手段によって画像光の結像位置を第1および第2移動位置のいずれか一方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与え、次いで移動手段によって結像位置をいずれか他方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与える制御手段とを含む撮像装置を前提としている。
【0023】
本発明の前提となる撮像装置は、単一の撮像素子でカラー画像を撮像する単板式の撮像装置である。
この撮像装置に入射された被写体からの画像光は、上述の色分離フィルタ手段を通過した後に、撮像手段に入射される。この色分離フィルタ手段を通過することによって、画像光は複数の色彩光に色分離される。
各色彩光のスペクトルは、予め定める周波数帯域内に存在し、予め定める1または複数の周波数を中心とした山形の波形を示す。色分離フィルタ手段が分離する複数の色彩光の組合わせは、たとえば、全ての色彩光を混合すると白色光となるように選ばれる。このような色彩光の組合わせは、たとえば原色系の赤、青および緑、または補色系の緑、黄、シアンおよびマゼンタである。
この色分離フィルタ手段を通過した画像光は、撮像素子の結像面に結像される。上述した画像光は、透光領域の配列方向である一方および他方方向に平行な空間軸上で連続的に輝度変化する。撮像素子は、空間軸に平行に配列される複数の受光領域でこの画像光の各色彩光成分を受光する。ゆえに、原画像は、連続的な画像光を受光領域単位で平滑化した画像となる。これは、輝度が連続して変化する画像光を受光領域単位でサンプリングしたことと等価である。前述の色分離フィルタ手段と撮像素子とは、一体的に形成されることが好ましい。
撮像素子に関連して、露光許容手段が備えられる。露光許容手段は、単一回の画像光の撮像動作中に、予め定める露光時間だけ、撮像素子の各受光領域に画像光を受光させる。上述の原画像信号の画素データは、露光時間に各受光素子が受光した色彩光の受光量を表す。撮像素子は、露光時間経過後に、各受光領域からこの画素データを或る手法で出力させる。これによって、画像光が撮像される。原画像は、原画像信号を仮想的に目視表示した画像である。
移動手段は、たとえば撮像素子の結像面の光入射側に設けられる。上述したように、入射された画像光の結像面での受光位置を予め定める2カ所の移動位置に移動させる動作を、2ポジションイメージシフト動作と称する。撮像素子は、移動手段によって結像位置が移動される度に、上述した手順で画像光を撮像して原画像信号を出力する。これによって、撮像素子は、結像位置の異なる2つの原画像信号を出力する。
画像生成手段は、これら2つの原画像信号から、上述の手法で合成画像を表す合成画像信号を生成する。さらに画像生成手段は、合成画像の各画素に対して、画素データから輝度信号および2種類の色差信号を生成して、これら信号から成る出力画像信号を生成する。さらにまた、この合成画像に基づいて、出力画像信号の補間処理を行うこともある。
【0024】
上述したように、本発明の撮像装置は、2ポジションイメージシフト動作を行って得た2つの原画像信号から、単一の合成画像信号を生成する。このイメージシフト動作を行う撮像装置の撮像動作時において、手ぶれおよび被写体移動が合成画像の画質に与える影響の度合の目安として、等価撮像時間が考えられる。等価撮像時間は、単一の出力画像信号を得るための画像光の撮像動作の動作時間であり、銀塩フィルムのスチルカメラのいわゆるシャッタ速度と同じ意味を持つ。この等価撮像時間が大きくなるほど、合成画像およびそれに基づく出力画像は、撮像動作時の手ぶれおよび被写体移動の影響を受け易くなる。したがって、たとえば等価撮像時間の増加にほぼ比例して、手ぶれおよび被写体移動に起因する画像のぶれが大きくなる。
本発明の撮像装置の等価撮像時間は、2回分の露光時間と1回分の結像位置の遷移時間との和の時間である。前述したように、従来技術の撮像装置の等価撮像時間は、4回分の露光時間と3回分の遷移時間との和の時間である。露光時間および遷移時間が従来技術と本発明とで等しいとき、本発明の撮像装置の等価撮像時間は、従来技術の撮像装置の等価撮像時間と比較して、2回分の露光時間および遷移時間だけ短い。一般的に、遷移時間は露光時間より長いので、本発明の等価撮像時間は従来技術の等価撮像時間の半分以下になる。したがって、従来技術の撮像装置と比較して、本発明の撮像装置は、手ぶれおよび被写体移動の影響を受けにくく、合成画像の画質劣化が小さい。
また、従来技術の4ポジションイメージ動作では、基準の移動位置から各移動位置への移動方向が2方向以上あったので、結像位置の移動手段は、結像位置の変位軸を2本以上有する構造を有していた。一般的に、移動手段の構造は、変位軸が増加するほど複雑になる。本発明の撮像装置は2ポジションイメージシフト動作を行うので、結像位置は、第1移動位置から第2移動位置への1方向だけ、もしくはその逆の1方向へだけ移動する。これによって、移動手段は単一本の変位軸だけを備えれば良いので、移動手段の構造が簡略化される。これによって、移動手段の制御が簡略化され、また移動手段の製造コストが低減する。
さらに、イメージシフト手段を用いる撮像装置は、撮像素子を時分割で使用して、複数の原画像信号を得る。撮像素子自体は、複数の原画像信号をストアする構成を持たないことが多いので、画像合成手段は、初回の画像光撮像時から最終回の撮像時までの間、撮像素子がストアできない分の原画像信号をストアするためのメモリを有する。従来技術の4ポジションイメージシフト動作の撮像装置では、このメモリは、最低でも、最終回の撮像時にその前の3つ原画像信号をストアしなければならない。本件の撮像装置は2ポジションイメージシフト動作を行うので、最終回の撮像時には、単一の原画像信号だけをストアすればよい。したがって、備えるべきメモリの容量が減少される。これによって、メモリに関する製造コストが低減する。
【0030】
また本発明は、前記色分離フィルタの透光領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3透光領域に区分され、
該透光領域の予め定める配列は、
相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列であって、
第1透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿って第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、さらに他方方向に沿って両側に第1透光領域が隣接し、
第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第3透光領域が隣接し、他方方向に沿って両側に第2透光領域が隣接し、
第3透光領域には、他方方向に沿って両側に第3透光領域が隣接しており、前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを、他方方向に沿って隣接する2つの各受光領域毎に混合して、一括して出力し、
前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の周期の長さの2分の3倍の長さだけ、かつ他方方向に第2の周期の長さの半分の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする。
本発明に従えば、たとえば原色系の3種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手段を有し、いわゆる2画素混合読出し型の撮像装置を用いる撮像装置では、上述した位置関係の第1および第2移動位置への斜め2ポジションイメージシフト動作を行って、合成画像信号を得ることが好ましい。
この合成画像信号は、原画像信号と比較して、一方および他方方向の空間周波数軸上の基底帯域の幅が2倍に拡大される。また、一方方向に関して色差信号対応の画素配列の配列周期が2倍となるので、原画像信号で一方方向の空間周波数軸上に表れるモアレの原点からの距離が2倍になる。これによって、光学的ローパスフィルタ挿入後の合成画像信号の基底帯域の実質の幅は、原画像信号の実質の幅と比較して、一方および他方方向の両方に関して2倍に拡大される。
この一方方向を上述した表示手段の主走査方向とすれば、モアレ除去後も解像度が2倍に向上して、合成画像の画質が向上する。これによって、2ポジションイメージシフト動作によって手ぶれおよび被写体移動に起因する画質劣化を防止するだけでなく、モアレに起因する解像度の低下を解消して、さらに画質を向上させることができる。
【0031】
また本発明は、前記色分離フィルタの透光領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3透光領域に区分され、
該透光領域の予め定める配列は、
相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列であって、
第1透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿って第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、さらに他方方向に沿って両側に第1透光領域が隣接し、
第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第3透光領域が隣接し、他方方向に沿って両側に第2透光領域が隣接し、
第3透光領域には、他方方向に沿って両側に第3透光領域が隣接しており、前記画像信号は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出力し、
前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の周期長さの2分の3倍の長さだけ、かつ他方方向に第2周期の長さの半分の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする。
本発明に従えば、たとえば原色系の3種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手段を有し、いわゆる全画素読出し型の撮像素子を用いる撮像装置では、上述した位置関係の第1および第2移動位置への斜め2ポジションイメージシフト動作を行って、合成画像信号を得ることが好ましい。
この合成画像信号は、原画像信号と比較して、一方および他方方向の空間周波数軸上の基底帯域の幅が2倍に拡大される。また、一方方向に関して色差信号対応の画素配列の配列周期が2倍となるので、原画像信号で一方方向の空間周波数軸上に表れるモアレの位置が原点から2倍に遠ざかる。これによって、光学的ローパスフィルタ挿入後の合成画像信号の実質的な基底帯域の幅は、原画像信号の実質的な幅と比較して、一方および他方方向の両方に関して2倍に拡大される。さらに、全画素読出し型の撮像素子を用いているので、2画素混合読出し型の撮像素子を用いたときに生じる第2周期の長さの半分の長さの逆数の空間周波数の空間周波数成分の減衰が生じない。
したがって、一方および他方方向のいずれか一方向を上述した表示手段の主走査方向とすれば、モアレ除去後も解像度が2倍に向上して、合成画像の画質が向上する。これによって、2ポジションイメージシフト動作によって手ぶれおよび被写体移動に起因する画質劣化を防止するだけでなく、モアレに起因する解像度の低下を解消して、さらに画質を向上させることができる。
【0032】
また本発明は、前記色分離フィルタの複数の透光領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3透光領域に区分され、
該透光領域の前記予め定める配列は、
予め定める一方方向に平行に第1周期で直線状に配列された群が、一方方向と直交する他方方向に沿って第2周期で配列され、かつ他方方向に隣接する2つの群の各透光領域が一方方向に第1周期の半分の長さだけずれる配列であって、第1透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿って第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、
第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第3透光領域が隣接し、さらに一方方向に第1周期の半分だけかつ他方方向に第2周期の長さだけずれた第3の向き側に、第1透光領域が隣接しており、
前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出力し、
前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
前記第2移動位置は第1移動位置から他方方向に第2の周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする。
本発明に従えば、たとえば原色系の3種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手段を有し、いわゆる全画素読出し型の撮像素子を用いる撮像装置では、一方方向に垂直な垂直2ポジションイメージシフト動作を行って、合成画像信号を得ることが好ましい。
この合成画像信号は、原画像信号と比較して、斜め方向の空間周波数軸上の基底帯域の幅が2倍に拡大される。この斜め方向は、空間周波数軸の原点から、一方方向に平行で第1周期の長さだけ、かつ他方方向に平行で第2周期の半分の長さだけずれた点に至るベクトルで定義される。これによって、光学的ローパスフィルタ挿入後の合成画像信号の基底帯域の実質の幅が斜め方向に関して拡大される。
したがって、一方および他方方向のいずれか一方向を上述した表示手段の主走査方向とすれば、モアレ除去後も解像度が向上して、合成画像の画質が向上する。これによって、2ポジションイメージシフト動作によって手ぶれおよび被写体移動に起因する画質劣化を防止するだけでなく、モアレに起因する解像度の低下を解消して、さらに画質を向上させることができる。
【0033】
また本発明は、前記色分離フィルタの複数の透光領域は、第1〜第3色彩光にそれぞれ対応する第1〜第3透光領域に区分され、
該透光領域の予め定める配列は
相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列であって、
第1および第2透光領域が一方方向に沿って交互に配列される直線状の第1群と、第1および第3透光領域が一方方向に沿って交互に配列される直線状の第2群とが、他方方向に沿って交互に隣接し、
かつ第1群の第1透光領域には、第3透光領域が他方方向の両側に隣接しており、
前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出力し、
前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする。
本発明に従えば、たとえば原色系の3種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手段を有し、いわゆる全画素読出し型の撮像装置を用いる撮像装置では、一方方向に平行な2ポジションイメージシフト動作を行って、合成画像信号を得ることが好ましい。
この合成画像信号は、原画像信号と比較して、基底帯域の形状は変化しないが、上述した色彩光対応の画素配列の一方方向の配列周期が半分になる。これによって、原画像信号で一方方向に対応する空間周波数軸上に表れるモアレが、合成画像信号ではすべて消滅する。したがって、光学的ローパスフィルタで画像光の周波数成分を制限する必要がなく、基底帯域の実質の幅が拡大する。
さらに、この合成画像信号は、他方方向の空間周波数軸と基底帯域の境界との交点にだけ、モアレの原因となる色差信号の折返し成分の折返し周波数が残る。このモアレを除去するように基底帯域の幅を制限したとき、制限前の幅と制限後の幅とはほとんど変わらないので、他方方向に関するモアレの影響が小さいとみなせる。
この一方および他方方向のいずれか一方を上述した表示手段の主走査方向とすれば、表示手段に表示される合成画像のモアレが減少して、画質が向上する。これによって、2ポジションイメージシフト動作によって手ぶれおよび被写体移動に起因する画質劣化を防止するだけでなく、モアレに起因する解像度の低下を解消して、さらに画質を向上させることができる。
【0034】
また本発明は、前記色分離フィルタの複数の透光領域は、第1〜第3色彩光にそれぞれ対応する第1〜第3透光領域に区分され、
該透光領域の予め定める配列は、
第1および第2透光領域が予め定める一方方向に沿って予め定める第1周期で直線状に配列された第1群と、第1および第3透光領域が一方方向に沿って第1周期で直線状に配列された第2群とが、一方方向と直交する他方方向に沿って予め定める第2周期で交互に配列され、
かつ第1群の第1透光領域には、一方方向に第1周期の長さの半分の長さだけかつ他方方向に第2周期の長さだけずれた向き側に、第3透光領域が隣接する配列であって、
前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出力し、
前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする。
本発明に従えば、たとえば原色系の3種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手段を有し、いわゆる全画素読出し型の撮像装置を用いる撮像装置では、一方方向に平行な平行2ポジションイメージシフト動作を行って、合成画像信号を得ることが好ましい。
この合成画像信号は、原画像信号と比較して、基底帯域の形状は変化しないが、上述した色彩光対応の画素配列の一方方向の配列周期が半分になる。これによって、原画像信号で一方方向に対応する空間周波数軸上に表れるモアレの位置の原点からの距離が2倍に拡大され、モアレの位置が基底帯域の境界と該空間周波数軸との交点上に移動する。したがって、光学的ローパスフィルタ挿入後の基底帯域の実質の幅が拡大する。
さらに、この合成画像信号は、他方方向の空間周波数軸と基底帯域の境界との交点にだけ、モアレの原因となる色差信号の折返し成分の折返し周波数が残る。このモアレを除去するように基底帯域の幅を制限したとき、制限前の幅と制限後の幅とはほとんど変わらないので、他方方向に関するモアレの影響が小さいとみなせる。
この一方および他方方向のいずれか一方を上述した表示手段の主走査方向とすれば、表示手段に表示される合成画像のモアレが減少して、画質が向上する。これによって、2ポジションイメージシフト動作によって手ぶれおよび被写体移動に起因する画質劣化を防止するだけでなく、モアレに起因する解像度の低下を解消して、さらに画質を向上させることができる。
【0035】
また本発明は、前記合成画像信号は、複数の画素データから構成され、
合成画像信号が表す合成画像を目視表示する目視表示領域を有する表示手段であって、
目視表示領域は、合成画像信号の各画素データを目視表示する複数の表示画素が、2次元平面上に、相互に直交する予め定める主走査方向および副走査方向にそれぞれ平行に、行列状に配列されて形成され、
主走査方向に沿う表示画素の配列数が、副走査方向に沿う表示画素の配列数よりも多くなる表示手段をさらに有し、
前記第1および第2移動位置は、合成画像の主走査方向の空間周波数のモアレを消すことができる方向に離反していることを特徴とする。
本発明に従えば、撮像装置は上述の表示手段を備える。この表示手段は、たとえば陰極線管で実現される。たとえばNTSC方式のテレビジョンの映像信号を目視表示させる陰極線管は、蛍光面をアナログ信号の電子線で主走査および副走査方向に沿って点順次走査する。この陰極線管では、主走査方向の画素数はほぼ無限大である。また、副走査方向の画素数は、いわゆる走査線の本数と等価であるので有限であり、NTSC方式であれば512個である。
上述の撮像装置で合成画像の解像度を向上させたいとき、合成画像を構成する画素数を増加させる。このとき、合成画像信号を目視表示させる表示手段が、増加した画素を個別的に表示できる構造でなければ、信号段階で解像度を向上させてもそれを表示することができない。一般的な撮像素子は、主走査および副走査方向にそれぞれ平行に有限個の受光領域が配列されるが、副走査方向の画素数は、既に表示手段の該方向の走査線数と一致していることが多い。したがって、この撮像素子を用いた撮像装置で、2ポジションイメージシフト動作を行い画像の解像度を向上させるとき、少なくとも表示手段の目視表示領域において、表示画素が増加可能な主走査方向の解像度を向上させることが好ましい。
主走査方向の画像の解像度を向上させる手法としては、たとえば、画像信号の空間周波数平面上の信号の基底帯域内に現れるモアレのうち、主走査方向に平行な空間軸と対応した空間周波数軸上のモアレを消滅させる手法が上げられる。この手法で解像度が向上する理由を以下に示す。
ある空間軸に平行な方向の画像の解像度は、その空間軸と対応した空間周波数軸上の画像信号の基底帯域の幅と比例して向上する。この画像信号に色モアレが生じるとき、その色モアレを除去するために、たとえば撮像装置の光学系に光学的ローパスフィルタを挿入して、画像光から色モアレの原因となる空間周波数成分を減衰させる。この処理を行うと、画像から色モアレ縞は除去されるが、基底帯域の幅が色モアレが発生した空間周波数未満に制限される。この結果、画像信号の実質の基底帯域の幅が狭くなり、画像の解像度が減少する。
主走査方向の空間周波数軸上のモアレを消滅させると、そのモアレのために画像信号の基底帯域の幅を制限する必要がなくなるので、元々の基底帯域の幅を保つことができる。したがって、基底帯域の幅を広げたことと同様の効果を得ることができ、画像の解像度を向上させることができる。前述した第1および第2移動位置は、合成画像信号生成時に上述したようなモアレの消滅効果を得られるような位置関係を有するように選ばれる。
主走査方向の空間周波数軸上の色モアレは、画像上では副走査方向に平行な縞模様に対する色モアレ縞として現れる。この色モアレは、該空間周波数軸上で、その画像信号の輝度信号と色差信号とのサンプリング周波数に差異があるために、輝度信号の所望信号成分と色差信号の折返し成分とが干渉して生じる。輝度信号のサンプリング周波数は、その画像信号が表す画像を構成する全画素の配列周期に対応する。また色差信号のサンプリング周波数は、該画像の全画素のうち、或る単一の色彩光を受光する受光領域に対応する画素だけからなる配列の配列周期に対応する。これら2つのサンプリング周波数が一致するようにすると、色モアレは消滅する。
単板方式の撮像装置で得られる原画像信号において、色差信号対応の配列は、色分離フィルタ手段における或る色彩光対応の透光領域だけの配列と等価である。また、該装置の合成画像信号では、色差信号対応の配列は、仮想色分離フィルタ手段における或る色彩光対応の透光領域だけの配列と等価である。この仮想色分離フィルタは、第1および第2移動位置の離反方向および離反量だけずらして、撮像装置の色分離フィルタを2つ重ね合わせたフィルタとして仮想される。したがって、この仮想色分離フィルタ手段における該配列が、仮想色分離フィルタ手段の全透光領域の配列に近くなるほど、輝度信号と色差信号のサンプリング周波数が類似して、色モアレが生じにくくなる。したがって、第1および第2移動位置は、合成画像撮像時にこのような仮想色分離フィルタ手段を仮想することができるように設定されることが好ましい。
また本発明は、前記露光許容手段は、
前記撮像素子の受光領域における電荷の蓄積を許容または禁止する第1許容手段と、
撮像素子に入射する画像光を通過または遮断する第2許容手段とを含み、
前記制御手段は、
前記第1および第2移動位置の前記いずれか一方位置における画像光の撮像時には、第2許容手段によって画像光を通過させ、かつ前記露光時間の間だけ第1許容手段によって電荷の蓄積を許容させ、
前記いずれか他方位置における撮像時には、第1許容手段によって受光領域に電荷の蓄積を許容し、かつ露光時間の間だけ第2許容手段によって画像光を通過させることを特徴とする。
本発明に従えば、前述した撮像素子は、いわゆる2次元CCDイメージセンサで実現される。このセンサでは、予め素子に設定された光電変換時間内に色彩光が受光領域に入射すると、その色彩光を光電変換し、得られた電荷を蓄積する。光電変換時間内に蓄積された電荷は、該時間経過後に、画素データとして転送用電荷結合素子(CCD)を介して素子外部に出力される。光電変換時間終了時から、全ての受光領域からの画素データが外部に出力されるまでの時間を転送時間と称する。この転送時間は、一般的に、前述した露光時間と遷移時間との和の時間よりも長い。
このような撮像素子には、露光制御手段の第1許容手段として、オーバフロードレインを利用した電子シャッタが含まれる。この電子シャッタは、オーバフロードレインを開放して受光素子の電荷保持を禁止させることによって成立する。このような第1許容手段を前記いずれか一方位置での1回目の画像光の撮像時に用いると、1回目の撮像時の露光時間を、撮像素子本来の光電変換時間よりも短縮させることができる。
この電子シャッタは、転送用電荷結合素子に他の画素データの電荷が含まれるときには使用できない。ゆえに、電子シャッタだけで露光時間を制御させるとき、1回目の露光終了時から2回目の露光開始までの時間は、転送時間に律速する。したがって、このとき、等価撮像時間は2回分の露光時間と転送時間の和となる。
撮像装置は、撮像素子の光入射側に、露光制御手段の第2許容手段として、たとえば機械的なシャッタ手段を有する。前記いずれか他方位置での2回目の画像光の撮像時には、電子シャッタの代わりにこの第2許容手段で撮像素子に入射する画像光自体を直接通過または遮断し、露光時間を制御する。このように露光時間を制御させると、転送用電荷結合素子が1回目の原画像信号を転送している間でも、並行して受光領域で2回目の露光を行わせることができる。このときの等価撮像時間は、2回分の露光時間と遷移時間の和の時間となるので、電子シャッタだけで露光時間を制御させるときよりも、等価撮像時間を短縮することができる。したがって、手ぶれおよび被写体移動に起因する合成画像の画質劣化をさらに防止することができる。
【0036】
また本発明は、前記画像光を集光して、撮像素子の各受光領域上に結像させる光学系をさらに含み、
前記移動手段は、
透光性を有する平板状の屈折板と、
屈折板の両側方に、その表面が屈折板の表面にほぼ平行になるように配設される一対のバイモルフ型圧電素子であって、該素子の長手方向の一方の自由端が屈折板の一端に接合され、屈折板の他端が該素子の他方の固定端に向かって延びるように屈折板を支持し、屈折板内を通る仮想回転中心を中心として該屈折板を傾斜させる1対のバイモルフ型圧電素子と、
光学系の光軸線と屈折板の法線との成す傾斜角度を検出する検出手段と、
検出手段の出力と予め定める目標値とを比較し、その誤差量を出力する比較手段と、
比較手段の出力に応答し、屈折板の傾斜角度が予め定める目標値となるように、一対のバイモルフ型圧電素子を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする。
本発明に従えば、前記移動手段は、上述した構造を有する。この移動手段は、構成要素が少なく、さらに傾斜板を含む各構成部材の小型化が容易である。したがって、移動手段全体の構造を簡略化しかつ小型化することができる。また、この移動手段は、いわゆるフィードバック制御手法によって制御されるので、光軸を所望量だけ平行移動させて、確実に結像位置を変位させることができる。
【0037】
また本発明は、前記画像光を集光して、撮像素子の各受光領域上に結像させる光学系をさらに含み、
前記移動手段は、
透光性を有し、相互に直交する仮想回転中心を有する平板状の1対の透明平板と、
各仮想回転中心を中心として、該透明平板を傾斜させる傾斜手段と、
透明平板間に介在され、変形可能であって空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する屈折物質層と、
光学系の光軸線と各透明平板の法線との成す傾斜角度をそれぞれ検出する検出手段と、
検出手段の出力と予め定める目標角度とを比較し、その誤差量を出力する比較手段と、
比較手段の出力に応答し、傾斜角度が予め定める目標角度となるように、一傾斜手段を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする。
本発明に従えば、前記移動手段は、いわゆる可変頂角プリズムで実現される。この可変頂角度プリズムは、ビデオカメラの光学式手ぶれ補正装置に用いられるので、イメージシフトの移動手段と該装置のプリズムとを兼用させることができる。したがって、手ぶれ補正装置をこの撮像装置に組込むとき、装置の部品点数を減少させることができる。
【0038】
また本発明は、移動手段における結像位置の移動を許容または禁止する移動判定手段と、
撮像素子に入射される画像光の空間周波数成分を減衰させる可変空間フィルタであって、結像位置の移動が禁止されるときには空間周波数成分を第1の減衰量だけ減衰させ、許容されるときには第2の減衰量だけ減衰させる可変空間フィルタとをさらに含むことを特徴とする。
本発明に従えば、撮像装置は、2つのモードを有し、2種類の解像度の画像信号を出力する。一方のモードでは原画像信号をそのまま出力し、他方のモードでは原画像信号から合成画像信号を生成して出力する。この2つの画像信号は、上述したように、モアレの数および位置が異なる。したがって、光学系に介在される光学的ローパスフィルタの減衰量を原画像信号に合わせると、解像度を向上させた筈の合成画像信号の基底帯域が過剰に制限されて、制限後の合成画像の解像度は制限前の合成画像の解像度よりも劣化する。逆に、減衰量を合成画像信号に合わせると、原画像信号の基底帯域の制限が不十分となって、原画像にモアレが表れる。
この撮像装置において、上述したように、結像位置の移動を許容または禁止して2つのモードを切換えると共に、光学的ローパスフィルタである空間フィルタの減衰量を変化させると、原画像および合成画像の両方の画質を充分に保つことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態である撮像装置31の構成を示すブロック図である。この撮像装置31は、いわゆる単板式のカラー撮像装置である。
【0040】
撮像装置31は、通常モードと高解像度モードとの2つの撮像モードを有する。通常モードでは、後述する撮像素子34の受光領域PDの数と同数の画素Dから成る第1出力画像を得る。高解像度モードでは、いわゆるイメージシフト動作を行い、撮像素子34の受光領域PDの数以上の数の画素Dから成る第2出力画像を得る。第2出力画像を表す第2出力画像信号は、撮像素子34で撮像される2つの原画像信号を合成して得られる。
【0041】
被写体からの画像光は、光学系33の集光レンズで集光された後、後述する色フィルタを通過して、撮像素子34の結像面上に結像される。撮像素子34の結像面には、複数の受光領域PDが後述する予め定める配列で並べられる。
【0042】
光学系33には、画像光を集光する集光レンズの他に、イメージシフト機構、および可変空間フィルタが含まれる。イメージシフト機構は、高解像度モード選択時に、予め定める時間毎に、結像面上の画像光の結像位置を第1および第2結像位置にそれぞれシフト移動させる。この動作をイメージシフト動作と称する。可変空間フィルタはいわゆる光学的ローパスフィルタであり、各モードに応じた減衰量で、画像光の空間周波数成分を制限する。イメージシフト機構および可変空間フィルタの詳細な説明は後述する。
【0043】
色フィルタは、各受光領域PDに個別的に対応して予め定める色彩光だけを通過させる透光領域Lを、受光領域PDと同数だけ有する。この透光領域Lは、受光領域PDの配列と等しい配列で、2次元平面上に並べられる。色フィルタは、撮像素子34の光入射側に設置され、各受光領域PDに入射するべき画像光のうち、予め定める色彩光だけを通過させる。予め定める色彩光は単一の色フィルタで複数準備され、各透光領域Lはそれぞれ異なる色彩光に対応する。各透光領域Lは、個別的に画像光を色分解して、その透光領域Lに対応した色彩光だけを通過させる。各透光領域Lを通過した各色彩光は、各透光領域Lと対応する受光領域PDにそれぞれ受光される。この色フィルタは、たとえば撮像素子34と一体的に形成される。
【0044】
撮像素子34は、予め定める露光時間だけ、各受光領域PDに画像光の色彩光を受光させることによって、画像光を撮像する。露光時間が経過すると、撮像素子34は、予め定める時間毎に、各受光領域PDからの受光データを第1または第2原画像信号として、前処理回路35に導出する。第1および第2原画像信号は、それぞれ画像光が第1および第2結像位置に結像されたときに、画像光を撮像して得られる画像信号である。各原画像信号は、各受光領域PDでの色彩光の受光量に対応する受光データからそれぞれ構成される。素子34から出力された段階では、各受光データは受光量に対応するレベルのアナログ電気信号である。
【0045】
前処理回路35では、撮像素子34から出力された各原画像信号を増幅した後、該信号に予め定める処理を施す。予め定める処理は、たとえばホワイトバランス補正およびγ補正である。陰極線管(ブラウン管)の電気−光変換特性は、非直線性を持っている。このため、撮像装置の受光量と陰極線管の発光強度とが比例するように、受光量に対応する受光データを補正する。この補正をγ補正と称する。前処理回路35において処理された原画像信号は、アナログ/デジタル変換回路(以後、図面では「A/D変換回路」と略称する)36でデジタル信号に変換された後、画像メモリ37にストアされる。
【0046】
前述した通常モードおよび高解像度モードは、たとえば撮像装置31に備えられる操作ボタンを撮像装置31の使用者が操作することによって、選択される。モード切換え回路39は、使用者の選択に応じて、選択されたモードに対応する出力を、同期信号発生回路40に与える。
【0047】
同期信号発生回路40は、通常モードが選択されるとき、単一の原画像信号の撮像動作に対応する同期信号を発生させる。発生された同期信号は、駆動回路41およびメモリ制御回路42に与えられる。駆動回路41は、まず、光学系33のイメージシフト機構を予め定める第1状態に固定することによって、画像光の結像位置を予め定める第1結像位置に固定する。次いで、同期信号に応答し、予め定める時間毎に、撮像素子34の各受光領域PDから受光データを前処理回路35に出力させる。同時に、メモリ制御回路42は、同期信号に応答し、与えられる受光データを単一の原画像信号毎に関連させて、画像メモリ37にストアさせる。
【0048】
また、高解像度モードが選択されるとき、同期信号発生回路40は、2つの原画像信号の撮像動作に対応する同期信号を発生させ、駆動回路41およびメモリ制御回路42に与える。駆動回路41は、光学系33内のイメージシフト機構を用いて、後述するイメージシフト動作を行う。これによって、素子34では、各受光領域PDが受光する色彩光が、被写体の像の中で移動前の色彩光とずれる。メモリ制御回路72は、受光データを結像位置の異なる2つの原画像信号ごとに関連させて、画像メモリ37にストアさせる。
【0049】
画像メモリ37にストアされた原画像信号は、該原画像信号の画像光の撮像時のモードに応じて、信号処理回路44に与えられる。信号処理回路44は、撮像時に選択されたモードに基づいて、単一または2つの原画像信号から出力画像信号の輝度信号および色差信号を演算し、さらに補間する。演算および補間された輝度信号および色差信号は、出力画像の出力画像信号として記録媒体45にストアされる。
【0050】
図2は、撮像素子34の結像面の具体的な構成を示す平面図である。撮像素子34は、いわゆる2画素混合読出し型の撮像素子である。撮像素子34の結像面には、N×M個の受光領域PDが、水平および垂直方向H,Vに沿って、配列周期PH,PVで行列状に配列される。水平および垂直方向H,Vは、相互に直交する。
【0051】
この撮像素子34において、画像光に対する水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数fH,fVは、水平および垂直方向H,Vの配列周期の逆数であり、以下の式で示される。
【0052】
fH = 1/PH …(1)
fV = 1/PV …(2)
また、この結像面上に斜め方向Ux,Uyを考える。斜め方向Ux,Uyは、水平および垂直方向H,Vにそれぞれ平行で、大きさがそれぞれ配列周期PH,PVである2つの基本ベクトルで規定される空間軸である。
【0053】
斜め方向Ux,Uyの配列周期PUx,PUyは、以下の式で示される。
【0054】
PUx = PUy = √(PH +PV )/2 …(3)
斜め方向Ux,Uyの画像光のサンプリング周波数fux,fuyは、それぞれ上式の配列周期PUx,PUyの逆数である。
【0055】
fux = fuy = 2/{√(PH +PV )} …(4)
以後、斜め方向Ux,Uy、その配列周期PUx,PUyおよびそのサンプリング周波数をfux,fuyを、それぞれ「斜め方向U」、「配列周期PU」および「周波数fu」と総称する。
【0056】
さらに、以後、水平方向Hに沿って直線状に並べられる1群の構成要素を「行」と称する。同様に垂直方向Vに沿って直線状に並べられた1群の構成要素を「列」と称する。行列状に配列された1群の構成要素において、紙面上側から下側に向かって、各行を第1行,第2行,…,第N行とする。また紙面左側から右側に向かって各列を第1列,第2列,…,第M列とする。これら構成要素のうち、第n行第m列に属する単一の構成要素を表すとき、その構成要素を総称して示す参照符号と共に、さらに符号(n,m)を付して示す。n,mは1以上N,M以下の任意の整数である。
【0057】
また、配列周期PH,PV,PUの1周期分の長さを基準として、そのn倍およびn分の1の長さを単位とする要素には、各配列周期の符号の前後に、さらに符号「n」,「/n」を付して示す。また、後述するサンプリング周波数fH,fV、fUを基準として、そのn倍およびn分の1の空間周波数にも、同様に、各空間周波数の符号の前後に、符号「n」,「/n」を付して示す。
【0058】
図2では、受光領域PDの配列パターンを8行4列の32個の受光領域PD(1,1)〜PD(8,4)で代表させて表す。実際の撮像素子34の結像面では、図2に示す構造が、水平および垂直方向H,Vに周期的に繰返される。
【0059】
各受光領域PDは、予め定める露光時間内に色彩光を受光すると、その色彩光を光電変換して電荷を得て、その電荷を蓄積する。露光時間経過後に、その蓄積された電荷を受光データとして、前処理回路35に出力する。このとき撮像素子34は2画素混合読出し型の撮像素子であるので、垂直方向Vに隣接する2つの受光領域PDからの受光データを混合して混合データを作成し、その混合データを出力する。
【0060】
受光領域PDの各列の間に、垂直転送CCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)群51a〜51dが介在される。垂直転送CCD群51a〜51dは、受光領域PDの第1列〜第4列にそれぞれ隣接して配列され、隣接する列の受光領域PDの数の半分の数の電荷結合素子Ca〜Cdを含む。たとえば垂直転送CCD群51aには、電荷結像素子Ca(1)〜Ca(4)が含まれる。これら電荷結像素子Ca〜Cdは、垂直方向Vに直線状に配列され、各群51a〜51d毎に、順次的に電気的に接続される。実際の撮像素子では、この垂直転送CCD群51は、受光領域PDの列の数と等しい数だけ存在する。
【0061】
受光領域PDの各列の一方端部側には、水平転送CCD群52が設けられる。水平転送CCD群52は、受光領域PDの列の数と等しい数の電荷結合素子Ce(1)〜Ce(4)と、出力部53とを含んで構成される。これら電荷結像素子Ce(1)〜Ce(4)は、水平方向Hに直線状に配列され、かつ順次的に電気的に接続される。各電荷結像素子Ce(1)〜Ce(4)は、各垂直転送CCD群51a〜51dの一方端部の電荷結合素子Ca(1),Cb(1),Cc(1),Cd(1)とそれぞれ電気的に接続される。出力部53は、水平方向Hに平行な他方向きHb側の端部の素子Ce(1)と電気的に接続される。これら水平および垂直CCD群51a〜51d,52は、各受光領域PDからの受光データを撮像素子34外部に転送するために用いられる。
【0062】
撮像素子34は2画素混合読出し型の素子であるので、単一回の画像光の撮像において、各受光領域PDの画像光の露光動作を2回行い、各受光動作終了後に、各受光領域PDから受光データを隣接する電荷結合素子Ca〜Cdに転送させるための走査動作をそれぞれ行う。この撮像時の原画像信号は、2回の走査結果を合わせて生成される。以後、単一回の画像光の撮像時の1回目ならびに2回目の撮像動作を、それぞれ奇数および偶数フィールドの撮像動作と称する。
【0063】
各フィールドの撮像動作を以下に説明する。
【0064】
各フィールドの撮像動作では、撮像素子34は、まず予め定める露光時間だけ、各受光領域PDに光電変換で得られる電荷の蓄積を許容する。この電荷蓄積の許容および禁止は、オーバフロードレインの閉鎖および開放によって切換えられる。撮像素子34は、このオーバフロードレインを用いたいわゆる電子シャッタによって、露光時間だけ、各受光領域PDに画像光の露光動作を行わせる。
【0065】
前述した撮像素子34の受光領域PDは、たとえばシリコン基板上に形成されるフォトダイオードで実現される。オーバフロードレインは、この受光領域PDとシリコン基板の間に設けられる。オーバフロードレインが開放されるとき、受光領域PDの電荷は全てシリコン基板に掃捨てられる。これによって、受光領域PDの電荷蓄積が禁止される。これは、受光領域PDへの色彩光を遮断したことと等価であり、このとき電子シャッタは閉鎖されたと見なされる。オーバフロードレインが閉鎖されるとき、受光領域PDの電荷がシリコン基板に掃き捨てられなくなるので、光電変換の電荷が受光領域PDに蓄積される。これは、受光領域PDへ色彩光が入射することと等価であり、このとき電子シャッタは開放されたとみなされる。
【0066】
露光時間が経過すると、素子34は電子シャッタを閉鎖して、光電変換を停止させる。各受光領域PDは、次の露光動作が終了するまでに、この露光時間内に蓄積された電荷を、該露光時間内の受光量を表す受光データとして、電荷結合素子Ca〜Ceを介して撮像素子34外部に転送する。受光データを各受光領域PDから撮像素子34外部に転送するための転送時間は、垂直帰線期間と水平帰線期間とに分けられる。
【0067】
垂直帰線期間には、各受光領域PDは、受光データを隣接する垂直転送CCD群51a〜51dの各電荷結合素子Ca〜Cdのいずれか1つに転送する。撮像素子34の受光領域PDは、たとえばラスタ順で走査される。ラスタ順とは、たとえば垂直方向Vを主走査方向とし、水平方向Hを副走査方向として、受光領域PDをひとつずつ順次的に点走査する順である。たとえば撮像素子34で各受光領域PDをラスタ順に走査するとき、まず第1行の受光領域PD(1,1)〜PD(1,4)が水平方向Hの一方向きHaに沿って順次的に走査された後、第2行の各受光領域PDが一方向きHaに沿って走査される。このように、ラスタ順の走査では、まず行単位で各受光領域PDを走査し、行単位の走査を垂直方向Vの一方向きVaに沿って移動させる。
【0068】
このとき、各CCD群51a〜51dの電荷結合素子Ca〜Cdの数は、隣接する列の受光領域PDの数の半分であるので、単一の各電荷結合素子Ca〜Cdには、隣接する2つの受光領域PDからの受光データがそれぞれ与えられる。この受光データは、垂直帰線期間中に各電荷結合素子Ca〜Cdで混合されて、2つの受光データを表す電荷量の和である混合データとなる。2画素混合読出し型の撮像素子34では、各受光データから混合データを生成し、この混合データを出力する。
【0069】
水平帰線期間には、各電荷結合素子Ca〜Cdは、この混合データを、垂直方向Vに平行な他方向きVbに向かって、同一群で隣接する別の電荷結合素子Ca〜Cdに転送する。一方端部の電荷結合素子Ca(1),Cb(1),Cc(1),Cd(1)は、該素子に転送された混合データを、さらに該素子と接続された水平転送CCD群の各電荷結合素子Ceに転送する。
【0070】
水平帰線期間と垂直帰線期間とを除いた水平走査期間中には、水平転送CCD群52は、水平方向Hに平行な他方向きHbに向かって、各電荷結像素子Ce(4)〜Ce(1)に転送された混合データを順次的に転送する。素子Ce(1)に転送された混合データは、出力部53から撮像素子34の外部の前処理回路35に出力される。他方向きHb,Vbは、水平および垂直方向H,Vにそれぞれ平行で、かつ一方向きHa,Vaと相反する向きである。
【0071】
奇数および偶数フィールドでは、上述した各動作は等しいが、同一の電荷結合素子Ca〜Cdへ受光データを与える受光領域PDの組合わせだけが異なる。或る受光領域PDからの受光データは、奇数および偶数フィールドでは、垂直方向Vの一方および他方向きVa,Vbに隣接する別の受光領域PDからの受光データと混合される。
【0072】
たとえば奇数フィールドでは、受光領域PD(8,1),PD(7,1)からの受光データが垂直転送CCD群51aの電荷結像素子Ca(4)に転送され、混合データが生成される。同様に各電荷結合素子Ca(3)〜Ca(1)において、受光領域PD(5,1),PD(6,1);PD(3,1),PD(4,1);PD(1,1),PD(2,1)からの各受光データが、それぞれ垂直転送CCD群51aの電荷結合素子Ca(3),Ca(2),Ca(1)に転送されて混合される。また、偶数フィールドでは、受光領域PD(6,1),PD(7,1)からの受光データが、電荷結合素子Ca(4)に転送されて、混合データが生成される。同様に、受光領域PD(4,1),PD(5,1);PD(2,1),PD(3,1)からの受光データがそれぞれ垂直転送CCD群51のCa(3),Ca(2)に転送されて混合される。
【0073】
このような撮像素子34で単一回のフィールドの撮像に必要な等価撮像時間は、1回の露光時間に等しい。また単一回のフレームの撮像に必要な等価撮像時間は、奇数フィールドの露光時間、奇数フィールドの転送時間、偶数フィールドの露光時間の和、つまり2回の露光時間と1回の転送時間の和となる。
【0074】
色フィルタについて、以下に説明する。
【0075】
色フィルタを通過可能な複数の色彩光の組合せは、全色彩光を混合すると白色光となるように選ばれる。本実施形態の色フィルタでは、これら色彩光は、補色系の黄、マゼンタ、シアン、緑である。以後、黄、マゼンタ、シアンおよび緑の各色彩光に個別的に対応し、各色彩光だけを通過させる透光領域Lを、それぞれ黄、マゼンタ、シアン、緑の透光領域Lと称する。これら各色彩光の透光領域Lは、予め定める周期的な色彩光の色配列に沿うように配列され、かつ全ての透光領域Lの配列が撮像素子34の受光領域PDの配列と等価となるように配列される。
【0076】
図3は、上述した各色彩光の色配列の基本配列パターン56を示す図である。基本配列パターン56は、透光領域Lを水平方向Hに2つ垂直方向Vに4つ並べた4行2列の配列であって、各色彩光の透光領域Lを2つずつ含む。色フィルタの各色彩光の色配列は、この基本配列パターン56が垂直方向Vおよび水平方向Hに周期的に繰返されて形成される。
【0077】
以後、透光領域Lの色配列の基本配列パターンを示す図では、実線の矩形領域で透光領域Lの配列位置を示し、その領域内に付す符号で該透光領域Lに対応して通過可能な色彩光を示す。黄、マゼンタ、緑、シアンの各色彩光は、それぞれ「Ye」,「Mg」,「G」,「Cy」で表される。
【0078】
基本配列パターン56では、透光領域L(1,1),L(3,1)は、黄の透光領域である。透光領域L(2,1),L(4,2)は、マゼンタの透光領域である。透光領域L(4,1),L(2,2)は、緑の透光領域である。透光領域L(1,2),L(3,2)は、シアンの透光領域である。
【0079】
上述の色フィルタを有する撮像素子34で得られる原画像信号について、以下に説明する。
【0080】
撮像装置31では、上述した色フィルタを撮像素子34の結像面の光入射側に設置して、画像光を撮像する。撮像素子34は、2画素混合読出し型の撮像素子であるので、原画像信号は、奇数および偶数フィールドの走査結果に基づき、以下に示す原画像が得られるように、2つの走査結果の各混合データを予め定める配列に沿って並換えて合成される。この原画像信号の混合データの並換えは、たとえば画像メモリ37に各混合データをストアするときに、そのアドレスを以下の配列に合わせることで行われる。
【0081】
上述した基本配列パターン56からなる色フィルタでは、垂直方向Vに隣接する2つの透光領域Lには、異なる色彩光が対応する。各混合データは、これらの透光領域Lを通過した色彩光を受光する受光領域PDからの受光データを混合して得られるので、2種類の色彩光の受光量の和となる。以後、或る色彩光αの透光領域Lを通過した色彩光を受光領域PDで受光して得られる受光データを、「αの受光データ」と称する。また、2種類の色彩光α,βの受光データを混合した混合データを「αおよびβの混合データ」と称する。
【0082】
図4は、原画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン57を示す図である。原画像は、原画像信号を仮想的に目視表示した画像である。原画像の画素Dの配列は、撮像素子34の受光領域PDの配列と相似であり、その配列周期は受光領域PDの配列周期の予め定める定数倍である。以後、本明細書では、説明を簡便にするために、原画像の画素Dの配列周期と撮像素子34の受光領域PDの配列周期が一致していると仮定する。
【0083】
本実施形態の撮像装置31では、原画像の画素Dは、水平、垂直および斜め方向H,V,Uにそれぞれ配列周期PH,PV,PUで周期的に配列される。原画像の画素Dの基本配列パターン57は、透光領域Lの色配列の基本配列パターンと同様に、4行2列の8つの画素Dから構成される。またこの原画像の各画素Dに関して、受光領域PDの配列および透光領域Lの色配列に応じて、1種類の混合データが得られる。
【0084】
基本配列パターン57では、画素D(1,1),D(2,1)には、黄およびマゼンタの混合データが対応する。画素D(3,1),D(4,1)には、黄および緑の混合データが対応する。画素D(1,2),D(2,2)には、シアンおよび緑の混合データが対応する。画素D(3,2),D(4,2)には、シアンおよびマゼンタの混合データが対応する。この4行2列の画素Dのうち、第1行および第3行の画素Dの混合データは、奇数フィールドでの撮像動作で得られる。第2行および第4行の画素Dの混合データは、偶数フィールドでの撮像動作で得られる。
【0085】
以後、画素Dに関して、受光領域PDからの混合データが直接得られる画素Dを、「対応画素」と称する。また、画素Dの基本配列パターンを示す図面では、実線の矩形領域で、対応画素の配列位置を表す。さらに、矩形領域内の符号で、その画素Dに対応する受光データまたは混合データを示す。「Ye」,「Mg」,「G」,「Cy」は、それぞれ黄、マゼンタ、緑、シアンの受光データを示す。「α+β」はαおよびβの混合データを示し、α,βには「Ye」,「Mg」,「G」,「Cy」とのいずれかが対応する。
【0086】
光学系33について、以下に詳細に説明する。
【0087】
図5は、集光レンズ61、イメージシフト機構62の屈折板71、および撮像素子34の結像面の位置関係を示す図である。
【0088】
集光レンズ61は、光学系33を通過して撮像素子34に入射される画像光が、その結像面において結像するように、画像光を集光する。イメージシフト機構62は屈折板71を有し、この屈折板71は、集光レンズ61と撮像素子34との間に介在される。集光レンズ61通過後の画像光の光軸64は、屈折板71を通り、色フィルタを通過して、撮像素子34の結像面に至る。この画像光の光軸64と平行な方向を、光軸方向Zと称する。可変空間フィルタ90は、これらのの構成要素61,62の前後の任意の位置に設置される。
【0089】
図6は、イメージシフト機構62の具体的構成を示す斜視図である。
【0090】
屈折板71は、透光性を有する矩形の板状部材であり、たとえば透光性を有するガラス素材で形成される。屈折板71は、イナーシャを小さくするために、できるだけ軽量とすることが望ましい。
【0091】
屈折板71の水平方向Hの両側方には、一対の圧電素子73,74が配設される。これら圧電素子73,74は、いわゆるバイモルフ型の圧電素子であり、短冊状の3枚の電極の間に圧電セラミックが介在される構造を有する。この圧電素子73,74の長手方向は、イメージシフト動作のシフト方向と平行な水平方向Hに平行である。各圧電素子73,74は片持梁構造であり、長手方向の両端部のうち、図面を記す紙面で手前側の一方端を固定端、奥側の他方端を自由端とする。圧電素子73,74の各電極からは、圧電素子73,74の固定端側から、導線80,81がそれぞれ引出される。この導線80,81は、駆動回路41に接続される。
【0092】
圧電素子73,74の自由端側の部分は、上保持板76および下保持板77に挟持される。上保持板76および下保持板77は、たとえば合成樹脂である軽量な材料によって形成される。上および下保持板76,77は、概略的に短冊状の部材であって、長手方向の両端に肉厚部分が形成され、水平方向Hから見て概略的に「コ」の字状の形状を有する。
【0093】
上および下保持板76,77は、その長手方向が垂直方向Vと平行となるように設置され、かつその肉厚部同士を対向させて一対の圧電素子73,74を挟持し、同時にその中間部で屈折板71を挟持して、サンドイッチ接合構造を形成する。各構成要素間の接合には、エポキシ系樹脂のフィルム状接着剤などが用いられる。これによって、屈折板71は、圧電素子73,74の自由端側の部分に、上および下保持板76,77を介して固定される。屈折板71、圧電素子73,74および上および下保持板76,77は、屈折板71の中心を含む仮想的なHV平面を対象面とする上下対称の構造を有する。圧電素子73,74が片持梁として動作するとき、その自由端側部分は、他の構成部材に動きを拘束されることなく自由に変位することができる。
【0094】
また、各圧電素子73,74の固定端側の部分は、ステージ78に接合されて固定される。ステージ78は、図示しない撮像装置の筺体の所定位置に固定される。この筺体内部には、被写体からの画像光の全光束が屈折板71を通過するように、前述の光学系33が配設される。さらにこの筺体内部には、圧電素子73,74の光軸方向の位置を検出するための位置センサ83,84が配設される。この圧電素子73,74の固定手法は、これに限らず、たとえば固定端側の部分をステージ78およびステージ78とほぼ同形状の別部材によって挟持し、これら部材をビスで固定することで固定してもよい。
【0095】
位置センサ83,84は、たとえば反射型のフォトインタラプタで実現される。位置センサ83,84は、鏡面加工が施された下保持板77からの反射光を受光して下保持板の変位を検出し、その変位量から圧電素子73,74の変位を推測する。位置センサ83,84の検出結果は、駆動回路41に与えられる。
【0096】
このような構造を有するイメージシフト機構62は、屈折板71の中心を通り、垂直方向Vに平行に伸びる仮想基準軸線を備える構造の機構と同等に動く。このイメージシフト機構62は、従来のイメージシフト機構と比較して、装置全体の大きさが小さい。
【0097】
このイメージシフト機構62でイメージシフト動作を行うとき、該機構62は、画像光を結像させるべき結像位置に応じて仮想基準軸線を中心として屈折板71を角変位させることによって、屈折板71と光入射側の画像光の光軸64aとの成す角度を変化させる。第1および第2結像位置を画像光を結像させるときのイメージシフト機構62が取るべき状態を、それぞれ第1および第2状態とする。第1および第2状態は、駆動回路41からの信号の有無によって切換られる。
【0098】
第1状態では、駆動回路41は、圧電素子73,74に信号を与えない。このとき圧電素子73,74はHV平面に対して水平な状態を保つので、屈折板71の入射面と光入射側の光軸64aとが直交する。第1結像位置は、この状態の屈折板71を通過した後の画像光の光軸64bと、撮像素子34の結像面との交点である。
【0099】
第2状態では、駆動回路41は、導線80,81を介して、圧電素子73,74の圧電セラミックを挟持する各電極に、予め定める信号を与える。これによって、2対の電極間に予め定める電圧が印加されるので、固定端の部分を支点として、支点から自由端までが連続的に歪み、自由端の端部を光軸方向Zに変位させる。屈折板71は、この自由端の変位に応じて、仮想基準軸線を回転中心として角変位する。これによって、屈折板71の入射面は、光入射側の光軸64aに対して予め定める傾斜角度だけ傾く。
【0100】
このとき、位置センサ83,84は下保持板の変位から圧電素子73,74の変位を推測検出して、駆動回路41に与える。駆動回路41は、位置センサ83,84の検出結果と予め定める目標値とを比較して、その誤差量を検出する。駆動回路41は、この誤差量が0となるように、圧電素子73,74の電極に与える信号の電圧を徴調整して、屈折板71の傾斜角度を徴調整する。
【0101】
屈折板71通過後の画像光の光軸は、光入射側の光軸64aの延長線から、屈折板71の傾斜角度に対応したシフト長さだけ、仮想基準軸線にと直交する方向に平行移動する。これによって、イメージシフト機構62が第2状態にあるとき、屈折板71通過後の画像光の光軸は、水平方向Hに沿って予め定めるシフト長さだけ平行移動する。第2結像位置は、この平行移動後の光軸と撮像素子34の結像面の交点である。したがって、第2結像位置は、第1結像位置からみて、光軸のシフト方向と同じ方向に同じシフト長さだけずれる。このような動作によって、画像光の結像位置がシフト移動する。
【0102】
可変空間フィルタについて、図7〜図11を用いて、以下に説明する。該フィルタ90は、撮像装置31の通常および高解像度モードに応じて、第1および第2状態に切換えられ、各モードに応じた減衰量で、画像光の空間周波数成分の振幅を減衰させる。
【0103】
図7は、可変空間フィルタ90の具体的構成を示す斜視図である。フィルタ90は、3枚の複屈折板91〜93が、画像光の光軸64上に、光入射側からこの順で配列されて形成される。複屈折板91〜93は、光入射側の画像光の光軸64と直交する入射面および射出面をそれぞれ有する。また、屈折板93は、光軸64と一致した仮想回転中心軸線を中心として回転可能であり、第1および第2状態が切換えられると同時に90度だけ角変位するように回転駆動される。
【0104】
以後、水平、垂直、および光軸方向H,V,Zの各単位ベクトルを、ベクトルi,j,kと表す。また、ベクトルi,jに平行でかつベクトルkと直交する仮想平面を、HV平面とする。このHV平面は、各複屈折板91〜93の入射および射出面と平行である。
【0105】
複屈折板91〜93は、たとえば水晶板で実現される。図8(a)〜図8(c)は、フィルタ90が第1状態にあるときの各複屈折板91〜93の分離ベクトルB1〜B3をHV平面に投影した状態を示す図である。この分離ベクトルB1〜B3の向きは、各複屈折板91〜93の射出面の外方で、複屈折板91〜93の光入射側の画像光の光軸の延長線から、各複屈折板91〜93から射出した画像光の光軸に向かう向きを表す。すなわち、複屈折板によって光軸が移動される向きを表す。また各複屈折板91〜93の分離ベクトルの大きさ、すなわち分離長さは、各複屈折板91〜93の光軸方向Zの厚さに比例して定められる。ゆえに、各複屈折板91〜92の厚さは、それぞれ後述する分離長さが生じるように設定される。この分離ベクトルは、前述した単位ベクトルi,j,kによって、以下の式で規定される。
【0106】
【数1】
Figure 0003617887
【0107】
上式から、複屈折板91〜93の分離ベクトルB1〜B3の向きは、それぞれ、反時計まわりに見て、水平方向Hと90度,45度,135度を成す向きであることが分かる。また、複屈折板91〜93の分離長さは以下のとおりである。
【0108】
【数2】
Figure 0003617887
【0109】
このような複屈折板91〜93に対して、分離ベクトルB1〜B3と交差する方向に偏光する画像光が入射すると、画像光は常光と異常光とに分離される。常光は、複屈折板91〜93内を、入射側の光軸の延長線と平行に進行して、そのまま射出する。このとき、常光の射出側の光軸は、入射側の光軸の延長線と一致する。異常光は、複屈折板91〜93内で常光から分離された後に射出される。この異常光の射出側の光軸は、入射側の光軸の延長線から、HV平面上で予め定める分離ベクトルB1〜B3と同じ向きに同じ長さだけ平行移動される。
【0110】
上述した可変空間フィルタ90が第1状態にあるとき、複屈折板93は、分離ベクトルが図8(c)に示す状態に保たれる。このとき、フィルタ90を通過する画像光の挙動を、図9を用いて、以下に説明する。
【0111】
図9(a)〜図9(c)は、第1状態の可変空間フィルタ90において、画像光の常光および異常光が複屈折板91〜93を通過した位置をそれぞれ示す仮想結像面を示す図である。これら仮想結像面は、HV平面と平行であり、その各仮想結像面上に描かれる格子の空間位置は、全て一致する。この格子の軸線は、水平および垂直方向H,Vに、それぞれ間隔PH/2,PV/2で配列される。この格子の交点の座標を、欄外に振られた水平および垂直方向H,Vの各軸線の番号α、βを用いて、「座標(α,β)」と表す。以後、この座標は、常光および異常光の光軸と、その仮想結像面との交点を表すために用いる。
【0112】
第1状態の可変空間フィルタ90において、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交点を座標(4,3)とする。この画像光は、複屈折板91に入射して、複屈折板91に対する常光と異常光とに分離される。該常光の射出側の光軸と仮想結像面との交点は、座標(4,3)である。また、異常光の射出側の光軸は、入射側の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB1と同じ向きに同じ長さだけ光軸が移動しており、その光軸の交点は座標(2,3)である。
【0113】
この1対の常光および異常光は、それぞれ座標(4,3),(2,3)から複屈折板92に入射し、それぞれ該複屈折板92に対する常光および異常光に分離される。複屈折板91の常光のうちの複屈折板92に対する常光は、そのまま複屈折板91を通過するので、その光軸の交点は座標(4,3)である。同様に、複屈折板91の異常光のうち、複屈折板92に対する常光の光軸の交点は、座標(2,3)である。また、複屈折板91の常光および異常光の複屈折板92に対する異常光の光軸は、それぞれ座標(4,3),(2,3)の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB2と同じ向きに同じ長さだけ移動される。このとき、座標(4,3)の光軸は、格子の軸線と45度の角度を成す向きに移動されるので、射出側の光軸と仮想結像面との交点の位置は垂直方向Vについて格子の交点からずれる。このずれの大きさは、長さPH/PVであり、図9では長さPH/2と等しい。またずれの向きは、座標(4,4)から座標(3,4)に向かう方向である。このような交点を(4−PH/PV,4)と表す。以後、格子の交点からずれた座標は、近接の格子の交点からのずれの大きさと、ずれの向きとを付加して表す。「−」は、光軸の交点が図9上で軸線の番号が若くなる方向に向かってずれていることを表す。座標(4,3)の射出側の光軸と同様に、座標(2,3)の射出側の光軸と仮想結像面との交点も格子の交点からずれる。その交点は、前述の手法で求められ、座標(2−PH/PV,2)と表す。
【0114】
この2対の常光および異常光は、同一の座標から複屈折板93に入射する。複屈折板92,93の分離ベクトルB2,B3は相互に直交するので、複屈折板92の常光および異常光は、それぞれ複屈折板93に対する異常光および常光になる。したがって、座標(4,3),(2,3)の複屈折板92の常光は、複屈折板93の異常光となる。これによって、該複屈折板93の異常光の光軸は、座標(4,3),(2,3)から、分離ベクトルB3と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その該交点はそれぞれ座標(4−PH/PV,2),(2−PH/PV,2)である。また同様に、座標(4−PH/PV,4),(2−PH/PV,4)の複屈折板92の異常光は、複屈折板93の常光となるので、そのまま複屈折板93を通過する。ゆえに、これら複屈折板93の常光の光軸はの交点はそれぞれ座標(4−PH/PV,4),(2−PH/PV,4)である。
【0115】
このように、複屈折板91〜93を順次的に通過した画像光は、2対の常光および異常光に分離される。これら常光および異常光の光軸と仮想結像面との交点は、水平および垂直方向H,Vにそれぞれ平行に、間隔PH,PVずつ離れる。このように分離された画像光について、第1減衰量を表す伝達関数を求めると、画像光の空間周波数成分のうち、空間周波数±fH/2,±fV/2の成分のレスポンスがなくなるように、該空間周波数の成分の振幅が減衰されることがわかる。任意の空間周波数fにおけるレスポンスは、その空間周波数fでのコントラストと基準の空間周波数0でのコントラストとの比で定義される。
【0116】
また、上述した可変空間フィルタ90が第2状態にあるとき、複屈折板93は、第1状態から90度角変位され、分離ベクトルBa3が図10に示す状態に保たれる。この分離ベクトルB3aは、前述した単位ベクトルi,jを用いて、以下のように表される。
【0117】
【数3】
Figure 0003617887
【0118】
分離ベクトルB3aの向きは、反時計まわりに水平方向Hと−135度を成す向きであり、第1状態での分離ベクトルB3と直交する。
【0119】
このとき、フィルタ90を通過する画像光の挙動を、図9(a),(b)および図11の仮想結像面を用いて、以下に説明する。図11の仮想結像面の各要素は、図9の仮想結像面と同様の趣旨である。
【0120】
第2状態の可変空間フィルタ90において、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交点を座標(4,3)とする。この画像光が、複屈折板91,92を通過するときの挙動は、第1状態のときと等しいので、説明は省略する。
【0121】
複屈折板93には、複屈折板92に対する座標(4,3),(2,3)の常光、および座標(4−PH/PV,4),(2−PH/PV,4)の異常光が、この同一の座標から入射する。複屈折板92,93の分離ベクトルB2,B3は相互に平行であり、分離ベクトルの向きだけが相反する。したがって、複屈折板92の常光および異常光は、そのまま複屈折板93に対する常光および異常光になる。したがって、座標(4,3),(2,3)の複屈折板92の常光は、複屈折板93の常光となるので、そのまま複屈折板93を通過する。ゆえに、これら複屈折板の常光の光軸の交点は、座標(4,3),(2,3)である。また、座標(4−PH/PV,4),(2−PH/PV,4)の複屈折板92の異常光は、複屈折板93の異常光となる。これによって、該複屈折板93の異常光の光軸は、座標(4−PH/PV,4),(2−PH/PV,4)の光軸の延長線からみて、光学ベクトルB3aと同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その交点はそれぞれ座標(4,3),(2,3)である。
【0122】
このように、複屈折板92,93の分離ベクトルB2,B3aが平行で向きが相反するとき、複屈折板92に対する常光および異常光の光軸の交点が、複屈折板93通過後に一致する。これによって、複屈折板92,93での光の分離効果が打消される。したがって、複屈折板93通過後の画像光の分離状態は、複屈折板91通過直後の状態に戻る。
【0123】
このように複屈折板91〜93を順次的に通過した画像光は、1対の常光および異常光に分離される。この常光および異常光の光軸と仮想結像面との交点は、垂直方向Vに平行に、間隔PVだけ離れる。このように分離された画像光に関して、第2減衰量を表す伝達関数を求めると、画像光の空間周波数成分のうち、空間周波数±fV/2の成分のレスポンスだけがなくなるように、該空間周波数成分の振幅が減衰されることが分かる。この第2減衰量と通常モードの第1減衰量とを比較すると、水平方向Hに関する空間周波数成分の減衰量が0になり、垂直方向Vに関する減衰量が変わらないことが分かる。
【0124】
上述の撮像装置31の通常モードの画像光の撮像動作について、以下に詳細に説明する。
【0125】
通常モードでは、イメージシフト機構62は第1状態に固定され、画像光は撮像素子34の結像面の第1結像位置に結像する。また、可変空間フィルタ90は第1状態に切換えられ、画像光の水平および垂直方向H,Vの空間周波数成分をそれぞれ空間周波数±fH/2,±fV/2未満に制限する。撮像素子34は、この状態で入射される画像光を撮像して、第1原画像信号を出力する。このときの結像位置は、第2結像位置でもよい。
【0126】
信号処理回路44は、上述の第1原画像信号だけに基づいて、単一の第1出力画像信号の輝度信号Yおよび2種類の色差信号(B−Y),(R−Y)を生成する。
【0127】
これら3種類の信号は、各画素D単位で求められる複数の要素からなるデジタル信号である。輝度信号および色差信号の各画素D単位の要素を輝度データおよび色差データと称する。各画素Dの輝度データは、該画素Dで受光されるべき全ての色彩光の受光データの和である。また2種類の色差データは、該全ての色彩光の受光データの差である。したがって、各画素Dの輝度データおよび色差データを得るには、各画素D毎に、全ての色彩光の受光データを必要とする。
【0128】
上述の原画像では、各画素Dには、2種類の受光データを混合した混合データが1種類だけ対応する。各画素Dの輝度データは、欠けている受光データを隣接する他の画素Dの混合データで補間して求められる。たとえば6行2列に属する画素D(6,2)の輝度データY(6,2)は、以下の式に基づいて求められる。
【0129】
Y(6,2) =(Cy+G)(6,2)+(Ye+Mg)(6,3) …(9)
「(α+β)(n,m)」,は、第n行第m列の画素Dに対応するαおよびβの混合データを示す。αおよびβは、緑、黄、シアン、マゼンタのいずれか1つであり、「G」,「Ye」,「Cy」,「Mg」と表される。
【0130】
色差データもまた、輝度データと同様に、欠けている受光データを隣接する他の画素Dの混合データで補間して求められる。このとき、原画像では、同一種類の混合データが対応する対応画素が垂直方向Vに2画素連続して配列されるので、各画素Dに対応する色差データは、画素Dの混合データに応じたいずれか一種類だけを直接求めることができる。たとえば画素D(6,2)の色差データ(R−Y)(6,2)は、以下の式に基づいて求められる。
【0131】
【数4】
Figure 0003617887
【0132】
また、画素Dの混合データから直接得られない他方の色差データ(B−Y)(6,2)は、その画素D(6,2)の周囲の他の画素Dで直接求められる同種の色差データ(B−Y)を用い、以下の式に基づいて補間する。
【0133】
【数5】
Figure 0003617887
【0134】
以後、出力画像において、受光データから輝度データおよび色差データの少なくとも1つが直接求められる画素Dを、そのデータの「実画素」と称する。また、補間処理によって輝度データおよび色差データが求められる画素Dをそのデータの「仮想画素」と称する。
【0135】
この輝度信号および色差信号のサンプリング周波数は、第1出力画像信号の算出の基礎となる原画像信号の各色彩光の対応画素の配列周期から簡易的に求められる。或る空間軸方向の任意の色彩光の対応画素の配列周期の1周期分の長さは、原画像上に該空間軸に直交するように仮想され、相互に平行な2本の仮想直線であって、その色彩光の受光データまたは混合データの対応する2つ以上の対応画素の中心をそれぞれ通って隣接する仮想直線の間隔と等しい。
【0136】
輝度信号のサンプリング周波数は、全ての色彩光の混合データの対応画素の配列周期から求められる。この配列周期は、図4から、水平、垂直および斜め方向H,V,Uにそれぞれ配列周期PH,PV,PUであると分かるので、サンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH,fV,fuである。また、色差信号のサンプリング周波数は、同一種類の混合データの対応画素だけの配列周期から求められる。この配列周期は、図4から、少なくとも水平および垂直方向H,Vにそれぞれ配列周期2PH,4PVであると分かるので、サンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH/2,fV/4である。
【0137】
出力画像信号が表す出力画像の解像度の評価手法として、空間周波数平面図を用いる。空間周波数平面図は、輝度の基底帯域および色差信号のモアレのキャリア周波数を示し、いわゆるCZP(Circular Zone Plate)チャートに対応する。CZPチャート上に現れるモアレは、空間周波数平面に示すモアレのキャリア周波数を中心周波数とする折返し成分によって現れるモアレと同一位置に生じる。CZPチャートに関しては、「電子情報通信学会 技術研究報告 IE80−96「固体撮像装置の画像とモアレ」」に開示される。
【0138】
本明細書において、輝度の基底帯域の各空間周波数軸上の範囲は、簡略化手法で求めた。以下に、上述した第1出力画像信号の輝度の基底帯域を例として、簡略化手法を以下に説明する。
【0139】
図12は、空間周波数平面図の第1象限に関し、水平方向Hの空間周波数軸に対する輝度信号および色差信号のスペクトルを示すグラフである。前述したように、輝度信号の水平方向のサンプリング周波数は空間周波数fHである。
【0140】
第1出力画像信号を目視表示するとき必要な輝度信号の所望信号成分のスペクトルは、空間周波数0を中心とした山形の波形101を示す。また、輝度信号は、前述したようにデジタル信号であるので、折返し成分が存在する。この折返し成分のスペクトルは、サンプリング周波数fHの0以外の整数倍の空間周波数を中心とした山形の波形102を示す。サンプリング周波数の0以外の整数倍の空間周波数を、キャリア周波数と称する。
【0141】
水平方向の空間周波数軸上における輝度の基底帯域の該空間周波数軸上の範囲は、空間周波数0を中心として、その幅が輝度信号のサンプリング周波数fHの半分となる範囲W1であると規定される。輝度信号の所望信号成分のスペクトルは、この基底帯域内に含まれる。この輝度の基底帯域は、水平、垂直および斜め方向H,V,Uの空間周波数軸を含む空間周波数平面の第1〜第4象限内で、2次元的に求められる。この空間周波数平面は、図12のグラフでは、横軸を含み紙面と直交する仮想平面である。
【0142】
色差信号の所望信号成分のスペクトルは、空間周波数0を中心として山形の波形を示す。また、色差信号もデジタルデータであるので、折返し成分が存在し、その折返し成分のスペクトルは、色差信号のサンプリング周波数fH/2の0以外の整数倍のキャリア周波数を中心とした山形の波形103を示す。
【0143】
この色差信号のサンプリング周波数は、出力画像の各色差データの実画素の配列によって定められるが、前述したように、色フィルタの色配列によっては、輝度データが全ての画素Dで求められても、色差データが全ての画素Dで求められないことがある。このとき、輝度信号と色差信号とのサンプリング周波数が異なる。この輝度信号のサンプリング周波数よりも色差信号のサンプリング周波数が小さいと、輝度の基底帯域内に色差信号のキャリア周波数が存在する。このキャリア周波数を中心とする折返し成分は、輝度信号の所望信号成分と重なり合い、干渉する。この干渉が生じると、輝度信号の所望信号成分の波形に歪みが生じ、色モアレが発生する。このように、輝度信号の所望信号成分の波形と重なり、色モアレの原因となる色差信号の折返し成分のキャリア周波数を、以後「モアレのキャリア周波数」と称する。
【0144】
色モアレの生じた画像は画質が劣化するので、撮像装置31では、画質劣化を防止するために、光学系33の可変空間フィルタ90で、色モアレのキャリア周波数近傍の画像光の空間周波数成分を除去する。挿入される可変空間フィルタ90の濾波帯域を、2点鎖線104で示す。このようなフィルタが挿入されると、色差信号の折返し成分103のスペクトルは破線105で示すレベルまで減衰される。このとき、同時に輝度信号の所望信号成分101のスペクトルも同じ減衰量だけ減衰されて、波形が歪む。
【0145】
これによって、輝度信号の所望信号成分は、色モアレのキャリア周波数未満の範囲に制限されるので、輝度の基底帯域が縮小される。或る方向の空間周波数軸上の輝度の基底帯域の幅は、その方向の空間軸上の画像の解像度に対応し、幅が広いほど解像度が大きい。したがって、出力画像の画質を向上させるには、輝度の基底帯域内に含まれるモアレの数を減少させる必要がある。
【0146】
また、これらキャリア周波数が輝度信号の所望信号成分の中心周波数から離れていれば、輝度信号の所望信号成分と色差信号の折返し成分との波形の重なりが小さく、さらに重なり合う位置での信号強度が小さくなる。これによって、フィルタを挿入したとき輝度信号の所望信号成分の波形の歪みが小さくなる。したがって、モアレのキャリア周波数が除去できずに残るとき、そのキャリア周波数は輝度の基底帯域の周辺部分にあることが好ましい。
【0147】
空間周波数平面図に現れる空間周波数成分のうち、任意の空間周波数(fh,fv)と空間周波数(−fh,−fv)との成分は、共役関係にある。
【0148】
F(fh,fv)= F(−fh,−fv)* …(12)
上式で、「F(fh,fv)」は、空間周波数(fh,fv)の空間周波数成分を表す。また、「F()*」は、該空間周波数成分の共役を示す。
【0149】
このことから、第3象限および第4象限に現れる輝度の基底帯域の図形およびモアレのキャリア周波数の位置は、該平面図の空間周波数軸の原点に対して、第1および第2象限の該図形および位置と点対称となる図形および位置であることがわかる。本明細書では、空間周波数平面図は、垂直方向Vの空間周波数fvが0以上となる範囲を現す第1および第2象限だけを示す。
【0150】
図13は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。上述したサンプリング周波数に基づいて決定される輝度の基底帯域111を、図13では斜線を付して示す。水平、垂直および斜め方向H,V,Uの空間周波数軸における輝度の基底帯域111の範囲は、以下の式で表される。
【0151】
(−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14)
(−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域111は、以下の4点を頂点とする矩形領域である。
【0152】
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
(−fH/2,fV/2)
( fH/2,fV/2)
上述の基底帯域111内において、モアレのキャリア周波数の存在する位置は以下の8箇所である。図13では、これら位置を白丸で表す。
【0153】
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
(−fH/2,fV/4)
( fH/2,fV/4)
(−fH/2,fV/2)
( 0,fV/2)
( fH/2,fV/2)
( 0,fV/4)
上述した第1状態の可変空間フィルタ90の第1減衰量は、基底帯域111の境界線近傍の空間周波数成分を減衰させるように定められる。上述の8箇所のモアレのキャリア周波数のうち、先の7箇所は基底帯域111の周辺部に位置するので、このフィルタ90の空間周波数制限効果で除去される。これと同時に、基底帯域111の境界線近傍の輝度信号の所望信号成分もフィルタ90によって減衰されるので、第1出力画像信号の基底帯域111の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸上の範囲は、空間周波数±fH/2,±fV/2未満の範囲と見なされる。これによって、基底帯域111の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸上の実質の幅が縮小されるので、第1出力画像の実質の解像度は、その分だけ基底帯域111から推測される理想の解像度よりも低下する。
【0154】
上述の撮像装置31の高解像度モードの画像光の撮像動作について、以下に詳細に説明する。
【0155】
このとき、高解像度モードでは、可変空間フィルタ90は第2状態に切換えられ、画像光の垂直方向Vの空間周波数成分だけを空間周波数±fV/2未満に制限する。イメージシフト機構62は、同期信号発生回路40からの同期信号に基づいて、予め定める撮像タイミング毎に第1および第2状態に順次的に切換えられる。
【0156】
図14は、画像光の第1および第2結像位置の位置関係を示す図である。第1および第2結像位置Qa1,Qb1は、前述したように、第1および第2状態のイメージシフト機構62の屈折板71通過後の画像光の光軸と、撮像素子34の結像面との交点を示す。第1結像位置Qa1を基準とすると、第2結像位置Qb1は、第1結像位置Qa1から、受光領域PDの水平方向Hの配列周期PHの1周期分の長さPHだけ、水平方向Hに移動した位置である。前述のイメージシフト機構62の屈折板71の仮想基準軸線の設置状態、および第2状態の屈折板71と光入射前の画像光の光軸64aとのなす傾斜角度は、第1および第2結像位置が上述の位置関係となるように、定められる。
【0157】
撮像素子34は、この第1および第2結像位置Qa1,Qb1に画像光が結像されたときに、該画像光を撮像して、第1および第2原画像信号を得る。信号処理回路44は、第1および第2原画像信号から、第2出力画像信号を生成する。
【0158】
第2出力画像信号の生成手法を以下に説明する。回路44は、まず第1および第2原画像信号を、空間的な撮像位置が一致するように重合わせて、合成画像信号を生成する。この合成画像信号を仮想的に目視表示した合成画像は、たとえば2枚の原画像を、その画像の基準の点を結像位置のシフト方向とは逆向きに同じシフト長さだけずらして重ね合わせた画像として仮想される。このとき、第1および第2原画像内で各結像位置Qa1,Qb1に対応する点は、合成画像では一致する。
【0159】
本実施形態では、合成画像は、第1および第2原画像を水平方向Hに長さPHだけずらして重ね合わせた画像として仮想される。この合成画像全体の画素配列は原画像の画素配列と等しく、N×M個の画素が、水平および垂直方向H,Vにそれぞれ配列周期PH,PVで行列状に配列される。
【0160】
図15は、合成画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン113を示す図である。合成画像では、水平および垂直方向H,Vにこの基本配列パターン113が周期的に繰返される。この合成画像の基本配列パターン113は、4行2列の8つの画素Dから構成され、各画素Dに2種類の混合データが対応する。
【0161】
この基本配列パターン113において、画素D(1,1),D(1,2),D(2,1),D(2,2)には、黄およびマゼンタの混合データ、ならびにシアンおよび緑の混合データが対応する。画素D(3,1),D(3,2),D(4,1),D(4,2)には、黄および緑の混合データ、ならびにシアンおよびマゼンタの混合データが対応する。この画素Dの基本配列パターン113の色配列は、この合成画像を直接1回の画像光の撮像で得るときに、撮像素子の結像面の光入射側に設置されるべき仮想的な色フィルタの色配列と等価である。
【0162】
次いで、回路44は、この合成画像の各画素Dに対応する混合データから、第2出力画像信号の輝度信号および色差信号の各データを算出する。さらに、所望とする出力画像の画素配列と合成画像の画素配列とを比較し、輝度データおよび色差データが生成されない仮想画素に、実画素の輝度データおよび色差データに基づいて、各信号を補間する。
【0163】
合成画像では、各画素Dには2種類の受光データを混合した混合データが2種類ずつ対応する。このような各画素Dに関して、輝度データは、各画素毎に、これら混合データから直接得られる。たとえば、たとえば6行2列に属する画素D(6,2)の輝度データY(6,2)は、以下の式に基づいて求められる。
【0164】
Y(6,2) =(Cy+G)(6,2) +(Ye+Mg)(6,2) …(16)
また、合成画像では、同一種類の混合データが対応する対応画素だけから構成される行が、垂直方向Vに2行連続して配列される。この合成画像では、各画素Dに関して、画素Dの混合データの組合わせに応じて、2種類の色差データのうちの1種類だけが、画素Dの混合データから直接得られる。したがって、垂直方向Vに連続した2行の画素Dでは、同一種類の色差データだけが直接得られる。たとえば画素D(6,2)の色差データ(R−Y)(6,2)は、以下の式に基づいて求められる。
【0165】
Figure 0003617887
上述した画素D(6,2)に関して、2種類の色差データのうち、画素Dの混合データから直接得られない1種類の色差データ(B−Y)(6,2)は、画素D(6,2)の周囲の他の画素Dで得られる同種の色差データ(B−Y)を用い、以下の式に基づいて補間される。
【0166】
【数6】
Figure 0003617887
【0167】
第2出力画像信号の輝度信号および色差信号のサンプリング周波数は、該信号の算出の基礎となる合成画像の各色彩光の対応画素の配列周期から簡易的に求められる。この配列周期の算出手法は、第1出力画像信号の該配列周期の算出手法と類似であり、該手法で原画像信号を合成画像信号に置換えた点だけが異なる。
【0168】
全ての色彩光の対応画素の配列について、原画像と合成画像とを比較すると、両者の該配列が等しいことがわかる。したがって、合成画像の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uの配列周期は、それぞれ原画像の配列周期と等しく、それぞれ周期PH,PV,PUと見なされる。したがって、第2出力画像信号の輝度信号のサンプリング周波数は、水平、垂直および斜め方向H,V,Uにそれぞれ空間周波数fH,fV,fuである。
【0169】
また、同一種類の混合データの対応画素だけの配列について、原画像と合成画像とを比較すると、水平方向Hに関し、原画像では1列おきに配列されていた該対応画素が合成画像では全列に配列されるので、水平方向Hの対応画素が増加していることがわかる。このことから、合成画像の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,4PVとみなされる。したがって、第2出力画像信号の色差信号のサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH,fV/4である。
【0170】
図16は、上述した第2出力画像信号の輝度の基底帯域115、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。第2出力画像信号の輝度の基底帯域115を、図16では斜線を付して示す。
【0171】
水平、垂直および斜め方向H,V,Uの空間周波数軸における輝度の基底帯域115の範囲は第1出力画像信号の範囲と等しく、以下の式で表される。
【0172】
(−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14)
(−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域115は、以下の4点を頂点とする矩形領域である。
【0173】
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
(−fH/2,fV/2)
( fH/2,fV/2)
この輝度の基底帯域115内で、モアレの原因となる色差信号のキャリア周波数の存在する位置は以下の2箇所である。
【0174】
( 0,fV/4)
( 0,fV/2)
上述の光学系33の可変空間フィルタ90の第2減衰量は、これらキャリア周波数を中心とする色差信号の折返し成分を減衰させることができるように定められる。
【0175】
図13および図16の第1および第2出力画像信号の輝度の基底帯域111,115を比較すると、その大きさおよび形状は変化していないが、基底帯域111に現れる水平方向Hの空間周波数軸上のモアレのキャリア周波数が、基底帯域115では全て消滅している。したがって、可変空間フィルタ90で、水平方向Hの空間周波数成分を制限する必要がなくなる。これによって、フィルタ制限後の基底帯域115の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅は、周波数±fH/2以下の基底帯域111の範囲全域まで拡大される。
【0176】
したがって、第2出力画像信号の制限後の基底帯域は、第1出力画像信号の制限後の基底帯域と比較して、水平方向Hの空間周波数軸に沿って拡大する。これによって、第2出力画像の水平解像度は、第1出力画像の水平解像度よりも向上する。
【0177】
第1および第2出力画像信号は、たとえば陰極線管で実現される表示装置に目視表示される。このような表示装置では、偏平な蛍光面に、水平方向Hに伸びるいわゆる走査線が複数本垂直方向Vに並べられて、目視表示領域が形成される。表示装置は、この目視表示領域の該走査線上の蛍光塗料をアナログ信号で連続的に変化する電子線で発光させることによって、画像の各画素Dを表示する。このような構造の目視表示領域を有する表示装置では、画像の垂直方向Vの画素Dの数は、走査線の数で規定されるが、水平方向Hは連続輝度変化が可能なので、画素Dの数が無限大と見なされる。
【0178】
画像の解像度を向上させるとき、画像信号の段階で基底帯域の幅を拡大しても、その信号の空間周波数成分を表示することができる表示装置がないと、向上させた解像度の画像を表示することができない。或る空間周波数の信号成分を表示するには、その空間周波数の逆数の半分の配列周期で配列される画素Dが必要であるので、基底帯域の幅を拡大して解像度を向上させるほど、配列周期が小さい画素配列が必要になる。上述した表示装置では、垂直方向Vの画素Dの数は有限であるが水平方向Hは無限であるとみなされるので、水平方向Hには、画素Dの配列周期を短縮させやすいと考えらえる。したがって、この表示装置に表示する画像に関して解像度を向上させるとき、水平方向Hの解像度を向上させた方が好ましい。
【0179】
本発明の第2実施形態である撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系、色フィルタ、および撮像素子以外の構成要素は第1実施形態の撮像装置31の構成要素と等しく、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の撮像装置では、2画素混合読出し型の撮像素子34の代わりに、撮像素子131が用いられる。この撮像装置は、通常モードと高解像度モードとを有し、解像度の異なる第1および第2出力画像信号を得る。
【0180】
図17は、撮像素子131の結像面の具体的な構成を示す平面図である。この撮像素子131は、いわゆる全画素読出し型の撮像素子である。撮像素子131は撮像素子34と類似の構造を有し、同一の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0181】
撮像素子131の結像面には、撮像素子34と同様に、N×M個の受光領域PDが水平および垂直方向H,Vにそれぞれ平行に行列状に配列される。図17では、受光領域PDの配列を8行4列の32個の受光領域PD(1,1)〜PD(4,8)で代表させて表す。
【0182】
撮像素子131の結像面の光入射側には、後述する色フィルタが設置される。この色フィルタのN×M個の透光領域Lの配列は、受光領域PDの配列と等しい。色フィルタの色配列は後述する。各受光領域PDは、予め定める露光時間の間に、対応する透光領域Lを通過した色彩光を受光して、その受光量に対応する受光データを生成する。
【0183】
受光領域PDの各列に隣接して、垂直転送CCD群138a〜138d(総称するときは「138」とする)が配列される。各垂直転送CCD群138には、隣接する受光領域PDの列の受光領域PDの数と同数の電荷結像素子Cがそれぞれ含まれる。各群138の各電荷結像素子Cは、垂直方向Vに直線状に配列され、相互に電気的に接続される。この垂直転送CCD群138は、受光領域PDの列の数と同数だけ存在する。各列の受光領域PDの数と各群138の電荷結合素子Cの数が等しいので、各受光領域PDと垂直転送CCD群138の電荷結像素子Cとは、1対1で対応する。
【0184】
結像面の受光領域PDの列の一方端部側には、各垂直転送CCD群138の一方端部の電荷結合素子Ca(1),Cb(1),Cc(1),Cd(1)と電気的に接続された水平転送CCD群52が設けられる。水平転送CCD群52の一方端部には、出力部53が取付けられる。
【0185】
各受光領域PDの受光データは、垂直帰線期間中に、該受光領域PDに隣接して個別的に対応する垂直転送CCD群138の電荷結像素子Cに転送される。該電荷結合素子Cに転送された受光データは、他の受光データと混合されることなく、水平帰線期間内に、垂直転送CCD群138の各電荷結像素子Cを、垂直方向Vの他方向きVbに向かって順次的に転送される。受光データが該群138a〜138dの一方端部の電荷結合素子Ca(1)〜Cd(1)に転送されると、次いで、受光データはその電荷結合素子Ca(1)〜Cd(1)に接続された水平転送CCD群52の電荷結合素子Ce(1)〜Ce(4)に転送される。水平転送CCD群52は、水平帰線期間と垂直帰線期間を除いた水平走査期間中に、受光データを水平方向Hの他方向きHbに向かって順次的に転送し、出力部53から前処理回路35に出力する。
【0186】
このような動作によって、撮像素子131からは、受光データが個別的に導出される。単一回の撮像において出力される原画像信号は、N×M個の受光データから構成される。
【0187】
撮像素子131の受光領域PDおよび各CCD群138,52は、たとえばシリコン基板上に一体的に形成される。この受光領域PDとシリコン基板との間には、オーバフロードレインが設けられる。撮像素子131は、オーバフロードレインを用いた電子シャッタによって露光時間の制御を行うことができる。
【0188】
本実施形態の撮像装置では、画像光の撮像時の露光時間を、撮像素子131の電子シャッタと、機械的なシャッタ機構141とを併用して制御する。
【0189】
撮像装置の光学系33aには、集光レンズ61,イメージシフト機構62、および可変空間フィルタ90の他に、さらにシャッタ機構141が備えられる。シャッタ機構141は、上述の構成要素61,62,90および撮像素子131のうちの、間隔をあけて隣接するいずれか2つの構成要素の間に介在される。シャッタ機構141は、いわゆるレンズシャッタであり、画像光の遮断および通過の切換えと、光学系33aの絞りとを単一の機構で兼用する。
【0190】
図18(a)は、シャッタ機構141の機械的構成を示す斜視図である。図18(b)は、シャッタ機構141のシャッタ板143を光軸方向Zから見た図である。2つの図を併せて説明する。
【0191】
円板状のシャッタ板143は、画像光の光軸64上に、その中心軸線が光軸64と一致するように垂直に介在される。シャッタ板143の中央部には、画像光を通過させる円形の開口部145が設けられる。シャッタ板143は、複数のシャッタ羽根144、駆動ピン146、検出板154を含む。
【0192】
シャッタ羽根144は、シャッタ板143の開口部145の内径を変化させて、シャッタ機構141の開口量を調整するために設けられる。シャッタ機構141の開口量は、シャッタ板143のうちシャッタ羽根144で塞がれていない開口部145の面積に対応する。シャッタ羽根144は、駆動ピン146の変位に応じて、開口部145の内径を縮小する。
【0193】
シャッタ機構141では、このシャッタ羽根144を駆動して、開口部145を完全に塞ぐことによって、シャッタを閉塞し、画像光を遮断する。また、シャッタ羽根144を閉塞時とは逆向きに駆動し、開口部145の内径が予め定める長さとなったところで停止させることによって、予め定める絞り量でシャッタ機構141を開放する。また、この閉塞および開放動作を微少量ずつ行うことで、シャッタ機構141の開放時の絞り量を調整する。
【0194】
駆動ピン146には、シャッタ機構141の閉塞動作の動力源となるバネ149の一方端が接続される。このバネ146の他方端は、撮像装置のいずれかの固定部材に固定される。また、駆動ピン146には、光軸方向Zに貫通する溝150が設けられる。この溝150には、後述する駆動装置の動力源151によって駆動される駆動軸152が挿通される。動力源147は、たとえばモータで実現され、シャッタ羽根144の開閉動作の速度制御に用いられる。
【0195】
シャッタ羽根144は、駆動ピン146が矢符147が示すシャッタ板143の円周方向に沿って変位すると、開口部分145の面積を縮小または拡大するように変位する。バネ149は、駆動ピン146に対し、シャッタ羽根144が開口部145を塞ぎ、シャッタ機構141が閉塞される向きに、常にバネ力を及ぼす。シャッタ機構141の開放および閉塞は、動力源151の駆動軸152の変位によって行われる。開放動作時には、駆動軸152を駆動ピン146にバネ力が及ぼされる向きと逆向きに駆動させることによって、バネ力に逆らってシャッタ羽根144を開放する。閉塞動作時には、バネ力が及ぼされる向きと同じ向きに駆動軸152を駆動させることによって、動力源151からの力とバネ力との合力によってシャッタ羽根144を閉塞させる。この開放および閉塞動作は、後述する駆動装置によって制御される。
【0196】
検出板154は、シャッタ機構141の開口量を検出する為に用いられる。検出板154は、長手方向が円弧状に弯曲した細長い板状部材であり、その一方端部がシャッタ羽根144の駆動ピン146に連結され、シャッタ羽根144が変位駆動される時に連動して動く。検出板154には、その長手方向に沿って形成され、光軸方向Zに貫通し、かつ一方端部から反対側の他方端部に至るほど幅が狭くなる溝155が形成される。
【0197】
この検出板154の溝155を挟んで、光源157と受光センサ158とが、互いに対向して設置される。光源157は常に予め定める光量の光を出力する。受光センサ158は、光源157からの光を、検出板154の溝155を介して受光し、その受光量に応じてレベル変化する出力を導出する。受光センサ158が受光する光の光量は、光源157と受光センサ158とを結ぶ仮想線上の溝155の幅に比例して減少する。検出板154は、駆動ピン146に連動して変位するので、その変位量はシャッタ機構141の開口量の変化に対応する。シャッタ羽根144が絞られ開口量が減少するほど、仮想線上の溝155の幅が狭まり、光源157からの光が検出板154に遮られるので、受光センサ158に入射する光の光量が減少する。
【0198】
このシャッタ機構141は、通常モードでは常に開放状態を保つ。このとき画像光の露光時間は、電子シャッタの開放および閉塞動作だけで制御される。
【0199】
高解像度モードでは、1回目の画像光の撮像時の露光時間は電子シャッタによって規定される。2回目の画像光の撮像時の露光時間は、シャッタ機構141によって規定される。この高解像度モードでは、1回目の画像光の撮像時には、画像光は第1結像位置に結像され、2回目の画像光の撮像時には、画像光は第2結像位置に結像されるものとする。
【0200】
図19は、高解像度モードの撮像装置において、画像光の撮像時の撮像装置の各構成要素の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図19(a)は、シャッタ機構141の開口量を示し、開口量が最大レベルmaxであるときシャッタ機構141は開放され、最小レベルminであるとき閉塞されることを表す。図19(b)は、オーバフロードレインの開放および閉塞状態の切換えタイミングを示し、ハイレベルであるとき該ドレインが閉塞され、ローレベルであるとき開放されることを表す。オーバフロードレインの開放および閉塞は、電子シャッタの閉塞および開放に対応する。図19(c)は、電荷読出しパルスの印加タイミングを示す。図19(d)は、撮像素子131の露光動作の動作タイミングを示し、ハイレベルである時だけ、画像光の露光が行われる。図19(e)は、イメージシフト機構62の切換えタイミングを示し、ローレベルのとき該機構62が第1状態を保ち、ハイレベルのとき第2状態を保つことを表す。図19(f)は、撮像素子131の各CCD群の転送タイミングを示す。このタイミングチャートを用いて、本実施形態の高解像度モードの撮像装置における画像光の撮像動作を以下に説明する。
【0201】
画像光の撮像が行われていないとき、シャッタ機構141は開放され、画像光が撮像素子131に入射している。同時に、オーバフロードレインが開放されて、電子シャッタが閉塞される。これによって、撮像素子の受光領域PDでの電荷の蓄積が禁止される。
【0202】
時刻taから、1回目の画像光の撮像動作が開始される。まず、シャッタ機構141が開放されたまま、時刻taからオーバフロードレインが閉塞される。これによって、各受光領域PDで電荷の蓄積が許容され、1回目の露光動作が開始される。
【0203】
時刻taから、1回目の露光動作の露光時間WT1が経過すると、時刻tbで撮像素子の各受光領域PDに対して、電荷読出しパルスが印加される。該パルスが印加されると、受光領域PDに蓄積された電荷が、受光データとして、個別対応する垂直転送CCD群138の電荷結合素子Cに転送される。この第1の転送動作に要する時間はナノ秒(ns)のオーダである。該パルス印加の直径に、オーバフロードレインが開放されて電子シャッタが閉塞される。これによって1回目の露光動作が終了する。以後、画像光は結像面に入射するが、受光領域PDの電荷の蓄積が禁止される。
【0204】
また、時刻tbから、イメージシフト機構62のイメージシフト動作が開始される。時刻tbから遷移時間WT2が経過すると、画像光の結像位置が第2結像位置に移動する。この遷移時間WT2はミリ秒のオーダであり、前述した第1の転送動作の時間と比較して、極めて長い。遷移時間WT2が経過すると、時刻tcから2回目の画像光の撮像動作が開始される。
【0205】
さらに、時刻tbでの受光データの転送が終了すると、各CCD群138,52は、受光データを外部の回路35に出力するための第2の転送動作を開始する。この第2の転送動作のための転送時間WT3は遷移時間WT2よりも長いので、第2の転送動作は、2回目の画像光の撮像動作と並行して実施される。
【0206】
2回目の撮像動作が開始されると、まず時刻tcでオーバフロードレインが閉塞される。これによって、各受光領域PDで電荷の蓄積が許容され、2回目の露光動作が開始される。ドレイン閉塞の後に、シャッタ機構141の閉塞動作が開始される。2回目の撮像動作時の露光時間WT4は、第1および第2撮像動作時に同一光量の画像光が撮像装置に入射されると仮定したとき、露光時間WT4の全露光量が、1回目の撮像動作時の露光時間WT1の全露光量と同量になるように設定される。このシャッタ機構141の詳細な閉塞動作は後述する。
【0207】
シャッタ機構141は、時刻tcから露光時間WT4が経過した時刻tdで完全に閉塞され、結像面に入射すべき画像光を遮断する。これによって、2回目の露光動作が終了する。このときオーバフロードレインが閉塞されているので、露光時間内に蓄積した電荷は、そのまま受光領域PD内に保持される。この終了時刻tdには、まだ1回目の画像光撮像時の第2の転送動作が終了していないので、各CCD群138,52は、そのまま1回目の第2の転送動作を続ける。
【0208】
1回目の第2の転送動作が終了すると、次いで、2回目の画像光の撮像動作での受光データを、外部の前処理回路35に導出する。具体的には、時刻teで1回目の第2の転送動作が終了すると、まず各受光領域PDに対して電荷読出しパルスが印加されて2回目の第1の転送動作が行われ、続いて2回目の第2の転送動作が行われる。第1の転送動作終了後であれば、任意の時点でシャッタ機構141を開放することができる。2回目の第2の転送動作でも、転送時間WT3内に全ての受光データが外部に出力されるので、時刻teから転送時間WT3経過後の時刻tfで、画像光の撮像動作を終了する。
【0209】
上述したシャッタ機構141の閉塞動作を以下に詳細に説明する。
【0210】
図20は、シャッタ機構141の駆動装置の電気的構成を示すブロック図である。シャッタ機構141の駆動装置は、前述した動力源151,受光センサ158の他に、目標値設定回路171、比較回路172、増幅回路173を含んで構成される。
【0211】
シャッタ機構141の閉塞動作での開口量の経時変化は、前述した1回目および2回目の撮像動作での露光時間内の露光量が等しくなるように予め設定される。目標値設定回路171は、この開口量の経時変化に対応してシャッタ羽根141を動作させるための基本駆動パターン信号を生成して、比較回路172に与える。比較回路172には、さらに前述した受光センサ158からの出力信号が与えられる。比較回路172は、基本駆動パターン信号と受光センサ158の出力信号との差分を演算して、増幅回路173に与える。増幅回路173は、該差分を表す比較回路172の出力信号を、予め定める増幅率で増幅して、動力源151の駆動信号を生成する。動力源151は、この駆動信号に応答して動作し、シャッタ機構141のシャッタ羽根144を駆動する。このような手法によって、シャッタ機構141は画像光を通過または遮断する。
【0212】
上述の撮像装置の高解像度モードの撮像動作の等価撮像時間について、以下に説明する。
【0213】
第1実施形態で説明したように、等価撮像時間は、単一の出力画像信号生成のための画像光の撮像動作のうち、最初の画像光の撮像動作の露光開始から、最後の画像光の撮像動作の露光終了までの時間である。この時間が長いほど、出力画像の画質が被写体の動きおよび装置の手ぶれの影響を受けやすくなり、画質が劣化する。
【0214】
図21は、従来技術の4ポジションイメージシフトを行う画像撮像装置における高解像度モードの等価撮像時間を説明するためのタイミングチャートである。この撮像装置は、図17に示す全画素読出し型の撮像素子131を有し、電子シャッタによって露光時間を制御するものとする。この撮像装置の高解像度モードでは、4つの原画像信号から、単一の出力画像信号を生成するので、4回露光動作を行う。各露光動作が終了すると、受光データの転送動作が行われる。2回目以後の露光動作は、その終了タイミングが前回の撮像動作の第2の転送動作の終了タイミング以後になるように行われる。これは、以下の理由からである。
【0215】
電子シャッタの閉塞動作は、具体的には受光素子PDから電荷結合素子Cへの電荷を転送し、その直径にオーバフロードレインを閉塞する動作で実現される。ゆえに、2回目以後の撮像動作で電子シャッタを閉塞するとき、その前の撮像動作時の受光データと新たな受光データとが混合されないように、撮像素子131の各CCD群138は、受光データの第2の転送動作を終了して各電荷結合素子Cが新たな受光データを受けることができる状態にしておく。したがって、露光動作の終了タイミングを、第2の転送動作の終了タイミング以後に設定する。
【0216】
このようなことから、従来技術の撮像装置の等価撮像時間Tes0は、1回目の露光時間Tsと1〜3回目の転送時間Ttとの和である。
【0217】
Tes0 = Ts+3・Tt …(19)
図22は、本実施形態の撮像装置において、電子シャッタだけの露光制御を行うときの、高解像度モードの等価撮像時間を示すタイミングチャートである。1回目および2回目の露光動作の終了タイミングを、電子シャッタだけで制御するとき、上述の従来技術の撮像装置と同様の理由から、2回目の露光動作の終了タイミングを、1回目の第2の転送動作終了後に設定する。したがって、このときの等価撮像時間Tes1は、1回目の露光時間Tsと1回目の転送時間Ttとの和である。
【0218】
Tes1 = Ts+Tt …(20)
図23は、本実施形態の撮像装置において、電子シャッタとシャッタ機構141とを併用して露光制御を行うときの、高解像度モードの等価撮像時間を示すタイミングチャートである。シャッタ機構141は撮像素子131の第2の転送動作とは無関係に画像光を遮断するので、このときには、上述の例と異なり、2回目の露光動作の動作タイミングと1回目の第2の転送動作の動作タイミングとが無関係になる。ゆえに、2回目の露光動作は、イメージシフト機構62の遷移動作終了後であればいつでも実施できる。したがって、このときの等価撮像時間Tes2は、1回目および2回目の露光時間が等しいと仮定すると、1回目および2回目の露光時間Tsと遷移時間Tdとの和である。
【0219】
Tes2 = 2・Ts+Td …(21)
表1は、転送時間Ttが(1/30)秒、露光時間Tsが(1/240)秒、および遷移時間Tdが(1/240)秒または(1/480)秒であるときの、高解像度モードの等価露光時間Tes0,Tes1,Tes2を示す。
【0220】
【表1】
Figure 0003617887
【0221】
上述の表から、遷移時間Tdが(1/240)秒のとき、本実施形態の撮像装置の電子シャッタだけの等価撮像時間Tes1は、従来技術の等価撮像時間Tes0の約1/3に短縮される。またシャッタ併用の等価撮像時間Tes2は、等価撮像時間Tes0の約1/8に短縮される。さらに遷移時間Tdが(1/480)秒に短縮されると、シャッタ併用の等価撮像時間Tes2はさらに短縮されて、等価撮像時間Tes0の約1/12になる。これによって、本実施形態の撮像装置でシャッタを併用するとき、従来技術の撮像装置と比較して、高解像度モードの等価撮像時間が大きく短縮されることがわかる。したがって、本実施形態の撮像装置を用いると、被写体の移動および手ぶれの影響が少ない第2出力画像を得ることができる。
【0222】
また、上述の第1実施形態の撮像装置31の高解像度モードの等価撮像時間Tes3は、図24から、1回目の第1フィールドの露光時間Tsと1回目の第2フィールドならびに2回目の第1および第2フィールドの転送時間Tt*との和であることがわかる。
【0223】
Tes3 = Ts+3・Tt* …(22)
この撮像装置31にシャッタ機構141をさらに備えさせ、電子シャッタと併用させたとき、その高解像度モードの等価撮像時間Tes4は、図25から、1回目の第1フィールドおよび2回目の第2フィールドの露光時間Tsと、1回目の第1フィールドおよび1回目の第2フィールドの転送時間Tt*と、2回目の遷移時間Tdとの和である。この等価撮像時間Tes4は、第1実施形態の等価撮像時間Tes3よりも短縮されていることがわかる。
【0224】
Tes4 = 2・Ts+2・Tt*+Td …(23)
なお、フィールドの転送時間Tt*は、上述のフレームの転送時間Ttの半分である。
【0225】
色フィルタは、前述の撮像素子131の光入射側に取付けられる。該色フィルタは、撮像素子131の受光領域PDと同数の透光領域Lを有し、該透光領域Lを2次元平面上に受光領域PDと等価な配列で並べて形成される。ゆえに、透光領域Lの数はM×N個であってM行N列の行列状に配列され、透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PVである。各透光領域Lは、それぞれ画像光を色分解して、予め定める第1〜第4色彩光のいずれか1つだけを通過させる。第1〜第4色彩光は、補色系の黄、マゼンタ、緑、シアンの4色である。
【0226】
図26は、上述の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン181を示す図である。この基本配列パターン181は、4行2列に配列される8つの透光領域Lからなり、同種の透光領域Lを2つずつ含む。この基本配列パターン181において、透光領域L(1,1),L(3,2)は、黄の色彩光を通過させる黄の透光領域Lである。透光領域L(2,1),L(4,2)は、マゼンタの透光領域Lである。透光領域L(3,1),L(1,2)は、シアンの透光領域Lである。透光領域L(4,1),L(2,2)は、緑の透光領域Lである。
【0227】
上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮像動作を以下に説明する。このときの撮像装置の各構成要素の挙動は、第1実施形態の撮像装置31の通常モードでの挙動と類似し、同一の動作に関する詳細な説明は省略する。
【0228】
通常モードで画像光を撮像するとき、光学系33aのイメージシフト機構62および可変空間フィルタ90は、予め定める第1状態に固定される。また、シャッタ機構141は開放される。画像光は、この光学系33aを介して入射され、第1結像位置に結像される。撮像素子131は、画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号は、前処理回路35で処理された後にデジタル信号に変換されて、画像メモリ37に個別的にストアされる。
【0229】
この原画像信号の画素Dの配列および各画素Dと受光データとの対応関係は、色フィルタの透光領域Lの画素配列および色配列と等価である。すなわち、原画像の画素Dの基本配列パターンは、図26の透光領域Lの色配列の基本配列パターン181と等しく、4行2列に配列された8個の画素Dから成り、各画素Dはパターン181内で対応する透光領域Lを通過する色彩光の受光データだけを有する。
【0230】
信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第6行第2列の画素D(6,2)の輝度データY(6,2)、色差データ(R−Y)(6,2),(B−Y)(6,2)は、以下の式で示される。画素D(6,2)は、緑の受光データだけの対応画素である。
【0231】
【数7】
Figure 0003617887
【0232】
これら各信号のデータY、(R−Y),(B−Y)は、各画素D毎に個別的に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素は、全て輝度データおよび2種類の色差データの実画素となるので、第1出力画像の実画素の数および配列は、原画像の対応画素の数および配列と等しい。
【0233】
原画像の全ての対応画素の配列は、透光領域Lの配列と等価であるので、該配列の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uの配列周期は、図26からそれぞれ周期PH,PV,PUとわかる。このことから、この第1出力画像信号の輝度信号の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH,fV,fuとみなされる。また、同一種類の対応画素だけの配列は、透光領域Lの色配列と等価であるので、該配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図26から、それぞれ周期PH,2PVとわかる。このことから、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH,fV/2とみなされる。
【0234】
図27は、上述した第1出力画像信号の輝度の基底帯域182、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域182の水平、垂直および斜め方向H,V,Uの空間周波数軸上の範囲は、第1実施形態の撮像装置31の第1出力画像信号の輝度の基底帯域111の各範囲と等しい。
【0235】
(−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14)
(−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域182は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0236】
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
(−fH/2,fV/2)
( fH/2,fV/2)
この基底帯域182内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の3箇所に存在する。
【0237】
(−fH/2,fV/4)
( 0,fV/2)
( fH/2,fV/4)
この3箇所のキャリア周波数は、全て黄、シアン、マゼンタおよび緑の受光データの対応画素の配列周期から得られる。
【0238】
全画素読出し型の撮像素子131を用いる本実施形態の撮像装置の第1出力画像信号と、2画素混合読出し型の撮像素子34を用いる第1実施形態の撮像装置31の第1出力画像信号とを、この空間周波数平面図を用いて比較する。本実施形態の第1出力画像信号は、第1実施形態の該信号と比較して、基底帯域182の大きさおよび形状は等しいが、水平方向Hの空間周波数軸上にモアレのキャリア周波数が存在しない。したがって、水平方向Hの空間周波数成分を減衰させることなく、空間周波数±fH/2まで保つことができるので、第1実施形態の第1出力画像と比較して水平方向Hの解像度を向上させることができる。
【0239】
また、第1実施形態の第1出力画像信号に現れるモアレのキャリア周波数のうち、(0,fV/4),(fH/2,0),(−fH/2,0),(fH/2,fV/2),(−fH/2,fV/2)が消えているので、これらを中心周波数とする折返し成分に起因する色モアレが消滅する。したがって、色モアレが少なくなり、画像の画質が向上する。
【0240】
上述の撮像装置の高解像度モードの画像光の撮像動作を以下に説明する。このときの撮像装置の各構成要素の挙動は、第1実施形態の撮像装置61の高解像度モードでの挙動と類似し、同一の動作に関する詳細な説明は省略する。
【0241】
画像光を撮像するとき、可変空間フィルタ90は、予め定める第2状態に固定される。イメージシフト機構62は、画像光の結像位置を、水平方向に長さPHだけ離れた前述の第1および第2結像位置Qa1,Qb1に移動させる。撮像素子131は、この光学系33aを介して入射した画像光を、図19に示す手順で撮像して、第1および第2原画像信号を出力する。各原画像信号は、前処理回路35で処理された後にデジタル信号に変換されて、画像メモリ37に関連してストアされる。
【0242】
信号処理回路44は、まず第1および第2原画像信号を撮像時の結像位置の移動方向とは逆向きに同じシフト長さだけずらして重ね合わせて、合成画像信号を生成する。この合成手法は第1実施形態と等しい。この合成画像の各対応画素には、2種類の色彩光の受光データが対応する。合成画像の対応画素数および配列は、原画像の対応画素数および配列と等しく、その水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PVである。
【0243】
図28は、上述した合成画像の等価的な画素Dの配列基本配列パターン183を示す図である。この基本配列パターン183は、8行2列に配列される8個の画素Dからなる。画素D(1,1),D(1,2),D(3,1),D(3,2)には黄およびシアンの受光データがそれぞれ対応する。画素D(2,1),D(2,2),D(4,1),D(4,2)には、緑およびマゼンタの受光データがそれぞれ対応する。
【0244】
次いで、信号処理回路44は、この基本配列パターン183の合成画像信号から、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第6行第2列の画素D(6,2)の輝度データY(6,2)、色差データ(R−Y)(6,2),(B−Y)(6,2)は、以下の式で示される。画素D(6,2)は、緑およびマゼンタの受光データの対応画素である。
【0245】
【数8】
Figure 0003617887
【0246】
これら各信号のデータY、(R−Y),(B−Y)は、各画素D毎に個別的に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるので、第2出力画像の輝度データの実画素の数および配列は、原画像の対応画素の数および配列と等しい。
【0247】
図29は、上述した第2出力画像信号の輝度の基底帯域184、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域184の水平、垂直および斜め方向H,V,Uの空間周波数軸上の範囲は、上述した第1出力画像信号の輝度の基底帯域182の各範囲と等しい。
【0248】
(−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14)
(−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域184は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0249】
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
(−fH/2,fV/2)
( fH/2,fV/2)
この基底帯域184内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の1箇所だけに存在する。
【0250】
( 0,fV/2)
図27および図29の第1および第2出力画像信号の輝度の基底帯域182,184を比較すると、その大きさおよび形状は変化していないが、基底帯域184では垂直方向Vの空間周波数軸上の(0,fV/2)以外のモアレのキャリア周波数が全て消滅している。これによって、フィルタ制限後の基底帯域184の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅は、空間周波数±fH/2以下の基底帯域184の範囲全域まで拡大される。また、垂直方向Vの実質の幅が、空間周波数±fV/2近傍まで拡大される。これによって、第1出力画像と比較して、第2出力画像の水平および垂直解像度が向上する。
【0251】
本発明の第3実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系および色フィルタ以外の構成要素は、第2実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の撮像装置は、全画素読出し型の撮像素子131を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像し、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0252】
撮像装置の光学系のうち、イメージシフト機構62および可変空間フィルタ90の内部構造は等しいが、その設置状態が異なる。機構62については後述する。フィルタ90は、複屈折板91の分離ベクトルB1が、水平方向Hと平行になるように設置される。これによって、第2状態のフィルタ90は、水平方向Hの空間周波数成分のうち、空間周波数±fH/2の成分の振幅を減衰させる。
【0253】
色フィルタは、その設置場所、通過可能な色彩光の組合せ、ならびに透光領域Lの数および配列が第2実施形態の色フィルタと等しく、色配列だけが異なる。ゆえに、第1〜第4色彩光は、補色系の黄、マゼンタ、緑、シアンの4色である。透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PVである。
【0254】
図30は、上述の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン186を示す図である。この基本配列パターン186は、2行4列に配列される8つの透光領域Lからなり、同種の透光領域Lを2つずつ含む。この基本配列パターン186において、透光領域L(1,1),L(2,3)は、黄の色彩光を通過させる黄の透光領域Lである。透光領域L(1,2),L(2,4)は、マゼンタの透光領域Lである。透光領域L(1,3),L(2,1)は、シアンの透光領域Lである。透光領域L(1,4),L(2,2)は、緑の透光領域Lである。この基本配列パターン186は、水平および垂直方向H,Vの配列周期を保ったまま、第2実施形態の撮像装置の色フィルタの基本配列パターン181の透光領域Lの色配列だけを水平および垂直方向H,Vに対して入換えた配列である。
【0255】
撮像素子131は、この色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号の画素の配列および各画素と受光データとの対応関係は、この色フィルタの透光領域Lの配列および色配列と等価であり、各対応画素は単一の色彩光の受光データだけを有する。
【0256】
通常モードの画像光の撮像動作は、第2実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子34、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このときの算出式は、上述の式(24)〜式(26)と類似であり、各受光データの属する画素の行列番号を行および列に関して入換えた点だけが異なる。
【0257】
このようにして得られた第1出力画像信号の輝度の基底帯域は、図27の基底帯域182を第1斜め方向Uxの空間周波数軸を基準軸とする線対称な図形である。この基底帯域内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数もまた、第1斜め方向Uxの空間周波数軸を基準軸として、図27のモアレのキャリア周波数の位置と線対称の位置に現れる。したがって、これら基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、図27の空間周波数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数だけを入換えた図と等しい。この理由を以下に説明する。
【0258】
前述したように、空間周波数平面図に現される空間周波数成分のうち、任意の空間周波数(fh,fv)と空間周波数(−fh,−fv)との成分は、共役関係にある。
【0259】
F(fh,fv)=F(−fh,−fv)* …(12)
上式に基づいて、空間周波数fvの範囲が0以上である第1およ第2象限に関して、空間周波数fh,fvを入換えた場合を考えると、入換え後の空間周波数成分Fa(fh,fv)には、以下の関係がある。
【0260】
Figure 0003617887
この関係から、該実施形態の空間周波数平面図は、図27の空間周波数軸を入れ換えた図と等しくなる。
【0261】
この図から、水平方向Hの空間周波数軸上の基底帯域の境界線上に、モアレのキャリア周波数があることがわかる。したがって、第1出力画像信号の水平方向Hの空間周波数成分は、空間周波数±fH/2未満に制限される。また、垂直方向Vの空間周波数軸上の基底帯域の内部(±fH/4,fV/2)にモアレのキャリア周波数があり、これを中心周波数とする色モアレ縞が現れる。
【0262】
高解像度モードの画像光の撮像動作は、第2実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子34、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。このとき、第1および第2結像位置は、垂直方向Vに沿って、受光領域PDの配列周期の長さPVだけ離れる位置関係を保つ。イメージシフト機構62の屈折板71の仮想基準軸線、および第2状態の屈折板71の傾斜角度は、この位置関係に応じて画像光の光軸を平行移動させることができるように、第2実施形態の設置状態と比較して、各部材の水平および垂直方向H,Vを入換えて設置される。信号処理回路44は、2つの原画像信号から、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このとき、合成画像の生成手法は第2実施形態の手法と等しい。また、算出式は、上述の式(27)〜式(29)と類似であり、各受光データの属する画素Dの行列番号を行および列に関して入換えた点だけが異なる。
【0263】
この第2出力画像信号の輝度の基底帯域は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図29の基底帯域184の線対称の図形である。この基底帯域内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数もまた、該空間周波数軸に対して、図29のモアレのキャリア周波数の位置と線対称の位置に現れる。したがって、これら基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、図29の空間周波数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だけを入換えた図と等しい。
【0264】
この図から、第1および第2出力画像信号の輝度の基底帯域は等しいことが分かる。また、垂直方向Vの空間周波数軸上の色差信号のモアレのキャリア周波数が消えるので、これを中心周波数とする色モアレが消滅する。これによって、第2出力画像信号は、第1出力画像信号よりも垂直方向Vの解像度が向上し、また画像の画質が向上する。
【0265】
本発明の第4実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系および色フィルタ以外の構成要素は、第1実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の撮像装置は、2画素混合読出し型の撮像素子34を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像して、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0266】
光学系は、第1実施形態の光学系33と類似の構成を有し、以下の点だけが異なる。まず、イメージシフト機構62の設置状態は、後述する第1および第2結像位置に合わせて変更される。また、可変空間フィルタ90に代わって、後述する可変空間フィルタ201が設置される。該フィルタ201の詳細は後述する。
【0267】
色フィルタは、設置場所、透光領域Lの数および配列が、第1実施形態の色フィルタと等しく、色彩光の組合せおよび色配列が異なる。この色フィルタは、各透光領域L毎に、通過可能な第1〜第3色彩光のいずれか1つを通過させる。第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青、および緑の3色である。透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PVである。
【0268】
図31は、上述した色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン191を示す図である。この基本配列パターン191は、2行3列に配列される6つの透光領域Lからなり、同種の透光領域Lを2つずつ含む。この基本配列パターン186において、透光領域L(1,1),L(2,1)は、赤の色彩光を通過させる赤の透光領域Lである。透光領域L(1,2),L(2,2)は、緑の透光領域Lである。透光領域L(1,3),L(2,3)は、青の透光領域Lである。この色フィルタは、同種の色彩光の透光領域Lが垂直方向Vに沿って並ぶので、各列の透光領域Lは、同種の色彩光だけを通過させる。
【0269】
撮像素子34は、この色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号の画素の配列は、この色フィルタの透光領域Lの配列と等価である。また、前述した色フィルタの色配列から、各列を構成する受光領域PDが同種類の色彩光を受光することが分かる。このことから、垂直転送CCD群51の各電荷結合素子Cでは、同種の色彩光の受光データが2つ混合されて、混合データが生成される。したがって、この混合データは単一の色彩光の受光量を表す。これらのことから、原画像信号の画素と混合データとの対応関係は、図31の色フィルタの色配列と等価であることがわかる。
【0270】
可変空間フィルタ200について、以下に説明する。可変空間フィルタ200は、光学系内の任意の位置に設置される。該フィルタ200は、本実施形態の撮像装置の通常および高解像度モードに応じて、第1および第2状態に切換えられ、各モードに応じた減衰量で、画像光の空間周波数成分の振幅を減衰させる。可変空間フィルタ200は、第1実施形態の可変空間フィルタ90と類似の構造を有する。
【0271】
図32は、可変空間フィルタ200の具体的な構成を示す斜視図である。該フィルタ200は、3枚の複屈折板201〜203が、画像光の光軸64上に、光入射側からこの順で配列されて形成される。複屈折板201〜203はたとえば水晶板で実現され、光入射側の画像光の光軸64とそれぞれ直交する入射面および射出面を有する。また、屈折板203は、光軸64と一致した仮想回転中心軸線を中心として回転可能であり、第1および第2状態が切換えられると同時に90度だけ角変位するように回転駆動される。
【0272】
図33は、フィルタ200が第1状態にあるときの各複屈折板201〜203の分離ベクトルB4〜B6を示す図である。この分離ベクトルB4〜B6は、前述した単位ベクトルi,j,kによって、以下の式で規定される。
【0273】
【数9】
Figure 0003617887
【0274】
上式から、複屈折板201〜203の分離ベクトルB4〜B6の向きは、それぞれ、反時計まわりに水平方向Hと0度,−45度,−135度を成す向きであることが分かる。また、これら複屈折板201〜203の異常光の分離長さは、それぞれ以下のとおりである。
【0275】
【数10】
Figure 0003617887
【0276】
この複屈折板201〜203内の常光および異常光の挙動は、分離ベクトルの向きおよび異常光の分離長さを除いて可変空間フィルタ90の複屈折板91〜93での挙動と等しい。
【0277】
上述した可変空間フィルタ200が第1状態にあるとき、複屈折板203は、分離ベクトルが図33(c)に示す状態に保たれる。このとき、フィルタ200を通過する画像光の挙動を、図34を用いて、以下に説明する。
【0278】
図34(a)〜図34(c)は、第1状態の可変空間フィルタ200において、画像光の常光および異常光が複屈折板201〜203を通過した位置をそれぞれ示す仮想結像面を示す図である。この仮想結像面の設定は格子の軸線の間隔を除いて図9の仮想結像面と等しく、これと同等に取扱う。また、各仮想結像面上に描かれる格子の軸線は、水平および垂直方向H,Vに、それぞれ間隔3PH/4、3PH/4で配列される。
【0279】
第1状態の可変空間フィルタ200において、フィルタ入射前の画像光と仮想結像面との光軸の交点を座標(3,2)とする。この画像光は、複屈折板201に入射して、複屈折板201に対する常光と異常光とに分離される。該常光の射出側の光軸の交点は、座標(3,2)である。また、異常光の射出側の光軸は、入射側の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB4と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その光軸の交点は座標(3,3)である。
【0280】
この1対の常光および異常光は、それぞれ同一の座標から複屈折板202に入射し、それぞれ該複屈折板202に対する常光および異常光に分離される。複屈折板201の常光および異常光のうち、複屈折板202に対する常光は、そのまま複屈折板201を通過するので、その光軸の交点は座標(3,2),(3,3)である。また、複屈折板201の常光および異常光の複屈折板202に対する異常光の光軸は、それぞれ座標(3,2),(3,3)の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB5と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その光軸の交点は、それぞれ座標(4,3),(4,4)である。
【0281】
この2対の常光および異常光は、同一の座標から複屈折板203に入射する。複屈折板202,203の分離ベクトルB5,B6は相互に直交するので、複屈折板202の常光および異常光は、それぞれ複屈折板203に対する異常光および常光になる。したがって、座標(3,2),(3,3)の複屈折板202の常光は、複屈折板203の異常光となる。これによって、該複屈折板203の異常光の光軸は、座標(3,2),(3,3)の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB6と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その交点はそれぞれ座標(4,1),(4,2)である。また同様に、座標(4,3),(4,4)の複屈折板202の異常光は、複屈折板203の常光となるので、そのまま複屈折板203を通過する。ゆえに、これら複屈折板203の常光の光軸の交点はそれぞれ座標(4,3),(4,4)である。
【0282】
このように、複屈折板201〜203を順次的に通過した画像光は2対の常光および異常光に分離される。これら常光および異常光の各対の光軸と仮想結像面との交点、すなわち、白丸と黒丸との記号で表される対、および白四角と黒四角との記号で表される対の交点は、水平方向Hに平行に、間隔3PH/2だけそれぞれ離れる。また、白丸と白四角との記号で表される常光の交点の対、および黒丸と黒四角との記号で表される異常光の交点の対は、水平方向Hに平行に、間隔3PH/4だけそれぞれ離れる。このように分離された画像光について、第1減衰量を表す伝達関数を求めると、画像光の空間周波数成分のうち、水平方向Hに関して、空間周波数±fH/3,±2fH/3の成分のレスポンスがなくなるように、該空間周波数の成分の振幅が減衰されることがわかる。
【0283】
また、上述した可変空間フィルタ200が第2状態にあるとき、複屈折板203は、第1状態から90度角変位され、分離ベクトルB6aが図35に示す状態に保たれる。この分離ベクトルB6aは、前述した単位ベクトルi,jを用いて、以下のように表される。
【0284】
【数11】
Figure 0003617887
【0285】
分離ベクトルB6aの向きは、水平方向Hと反時計まわりで135度を成す向きである。
【0286】
このとき、フィルタ200を通過する画像光の挙動を、図34(a),(b)および図36の仮想結像面を用いて、以下に説明する。図36の仮想結像面は、画像光の光軸の交点の位置を除いて、図34(c)の仮想結像面と等しく、同様に取扱う。
【0287】
第2状態の可変空間フィルタ200において、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交点を座標(3,2)とする。この画像光が、複屈折板201,202を通過するときの挙動は、第1状態のときと等しいので、説明は省略する。
【0288】
複屈折板203には、複屈折板202に対する座標(3,2),(3,3)の常光、および座標(4,3),(4,4)の異常光が、この同一の座標から入射する。
【0289】
複屈折板202,203の分離ベクトルB5,B6aは相互に平行であり、向きだけが相反する。したがって、複屈折板202の常光および異常光は、そのまま複屈折板203に対する常光および異常光になる。したがって、座標(3,2),(3,3)の複屈折板202の常光は、複屈折板203の常光となるので、そのまま複屈折板203を通過する。ゆえに、これら複屈折板の常光の光軸の交点は、座標(3,2),(3,3)である。また、座標(4,3),(4,4)の複屈折板202の異常光は、複屈折板203の異常光となる。これによって、該複屈折板203の異常光の光軸は、座標(4,3),(4,4)の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB6aと同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その交点はそれぞれ座標(3,2),(3,3)である。
【0290】
このように、複屈折板202,203の分離ベクトルB5,B6aが平行で向きが相反するとき、複屈折板202に対する常光および異常光の光軸の交点が、複屈折板203通過後に一致する。これによって、複屈折板202,203での光の分離効果が打消される。したがって、複屈折板203通過後の画像光の分離状態は、複屈折板201通過直後の状態に戻る。
【0291】
このように複屈折板201〜203を順次的に通過した画像光は、1対の常光および異常光に分離される。この常光および異常光の光軸と仮想結像面との交点は、水平方向Hに平行に、間隔3PH/4だけ離れる。このように分離された画像光に関して、第2減衰量を表す伝達関数を求めると、画像光の空間周波数成分のうち、空間周波数±2fH/3の成分のレスポンスだけがなくなるように、該空間周波数成分の振幅が減衰されることが分かる。この第2減衰量と通常モードの第1減衰量とを比較すると、水平方向Hに関する空間周波数成分のレスポンスがなくなる空間周波数軸上の位置と軸の原点との距離が2倍になることが分かる。
【0292】
このような構造の撮像装置の通常モードおよび高解像度モードの撮像動作を以下に説明する。
【0293】
通常モードの画像光の撮像動作は、第1実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子34、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第1実施形態と等しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第1行第5列の画素D(1,5)の輝度データY(1,5)、色差データ(R−Y)(1,5),(B−Y)(1,5)は、以下の式で示される。画素D(1,5)は、緑の混合データだけの対応画素である。
【0294】
【数12】
Figure 0003617887
【0295】
これの輝度データYは、各画素D毎に個別的に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配列は、原画像の対応画素の数および配列と等しい。
【0296】
原画像の全ての対応画素の配列の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uの配列周期は、図31からそれぞれ周期PH,PV,PUとわかる。このことから、この第1出力画像信号の輝度信号の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH,fV,fuとみなされる。また、同一種類の対応画素だけの配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図31から、それぞれ周期3PH,PVとわかる。このことから、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH/3,fVとみなされる。
【0297】
図37は、上述した第1出力画像信号の輝度の基底帯域192、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域192の水平、垂直および斜め方向H,V,Uの空間周波数軸上の範囲は、第1実施形態の撮像装置31の第1出力画像信号の輝度の基底帯域111の各範囲と等しい。
【0298】
(−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14)
(−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域192は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0299】
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
(−fH/2,fV/2)
( fH/2,fV/2)
この基底帯域192内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0300】
(−fH/3,0)
( fH/3,0)
上述した第1状態の可変空間フィルタ200の第1減衰量は、基底帯域192のうち、空間周波数±fH/3近傍の空間周波数成分を減衰させるように定められる。これによって、基底帯域192の水平方向Hの所望信号成分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±fH/3の部分で0になるように制限される。このため、基底帯域192の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅が空間周波数±fH/3未満に縮小されるので、第1出力画像の水平方向Hの実質の解像度は、その分だけ基底帯域192から推測される理想の解像度よりも低下する。
【0301】
高解像度モードの画像光の撮像動作は、第1実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子34、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第1実施形態と等しい。このとき、イメージシフト機構62は、画像光の結像位置を、以下の2箇所に移動させる。
【0302】
図38は、上述した高解像度モードの画像光の撮像動作における第1および第2結像位置の位置関係を示す図である。第1結像位置Qa4を基準とすると、第2結像位置Qb4は、水平方向Hに受光領域PDの配列周期の長さ3PH/2だけ、かつ垂直方向Vに該配列周期の長さPV/2だけ離れる。イメージシフト機構62の仮想基準軸線の設置状態、および第2状態の屈折板71の傾斜角度は、これら結像位置がこの位置関係をなすように定められる。
【0303】
信号合成回路44は、まず、第1実施形態と同じ手法で第1および第2原画像信号から合成画像信号を生成する。この合成画像は、2M行2N列に配列される2M×2N個の画素Dからなり、これら画素Dのうち、半数の画素が対応画素であり、残余の画素が混合データが対応しない仮想画素である。合成画像の水平および垂直方向H,Vの画素の配列周期は、それぞれ周期PH/2,PV/2である。
【0304】
図39は、上述の合成画像信号が表す合成画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン193を示す図である。以後、画素の基本配列パターンを表す図では、仮想画素を破線の矩形領域で表す。この基本配列パターン193は、2行6列に配列される12個の画素からなる。画素D(1,1),D(2,4)は、赤の混合データの対応画素である。画素D(1,3),D(2,6)は、緑の混合データの対応画素である。画素D(1,5),D(2,2)は、青の混合データの対応画素である。上述以外の残余の画素Dは、全て仮想画素である。このことから、合成画像では、実画素が市松状に配列されることがわかる。
【0305】
信号処理回路44は、この合成画像信号から、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第2行第6列の画素D(2,6)の輝度データY(2,6)、色差データ(R−Y)(2,6),(B−Y)(2,6)は、以下の式で示される。画素D(2,6)は、緑の混合データだけの対応画素である。
【0306】
【数13】
Figure 0003617887
【0307】
これの輝度データYは、合成画像の各対応画素だけ個別的に直接求めることができる。仮想画素の輝度データは、周囲の対応画素の算出結果から補間する。ゆえに、合成画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画像の輝度信号の実画素の数および配列は、合成画像の対応画素の数および配列と等しく市松状に配列される。
【0308】
合成画像の全ての対応画素の配列の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uの配列周期は、図39からそれぞれ周期PH/2,PV/2,PUとわかる。このことから、この第2出力画像信号の輝度信号の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,2fV,fuとみなされる。また、同一種類の対応画素だけの配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図39から、それぞれ周期3PH/2,PV/2とわかる。このことから、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH/3,2fVとみなされる。
【0309】
図40は、上述の第2出力画像信号の輝度の基底帯域194、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域194の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸上の範囲は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域192の各範囲の2倍に拡大される。また斜め方向Uの空間周波数軸上の範囲は、第1出力画像信号の範囲と等しい。これら基底帯域194の各範囲は、以下の式で表される。
【0310】
−fH≦f≦fH …(41)
−fV≦f≦fV …(42)
(−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域194は、以下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0311】
(−fH, 0)
( fH, 0)
( 0,fV)
この基底帯域194内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0312】
(−2fH/3,0)
( 2fH/3,0)
さらに、基底帯域194近傍の以下の2箇所にも、色差信号のモアレのキャリア周波数がある。
【0313】
(−fH/3,fV)
( fH/3,fV)
前述の光学系は、上述の構造の撮像装置に併せて各構成要素を設計すると、空間周波数±fH、±fV付近では画像光の空間周波数成分が減衰しているような空間周波数特性(MTF;Modulation Transfer Function)を有する。したがって、基底帯域194近傍の上述のキャリア周波数を中心周波数とする色差信号の折返し成分は、光学系の空間周波数特性、および撮像素子34のアパーチャ効果によって、充分に減衰されるので、第2出力画像信号の輝度信号の所望信号成分にはほとんど影響を与えない。
【0314】
上述した第1状態の可変空間フィルタ200の第2減衰量は、基底帯域194のうち、空間周波数±2fH/3近傍の空間周波数成分を減衰させるように定められる。これによって、基底帯域194内の所望信号成分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±2fH/3の部分で0になるように制限される。これによって、基底帯域194の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅が空間周波数±2fH/3未満に縮小されるが、制限後の実質の幅は、第1出力画像信号の実質の幅の約2倍に拡大される。
【0315】
また、2画素混合読出し型の撮像素子34では、出力される原画像信号のうち、垂直方向Vの空間周波数成分に関し、空間周波数±fV/2近傍の成分の振幅が減衰される。これによって、図40の基底帯域194内の破線で表す空間周波数±fV/2近傍の部分では、輝度信号および色差信号の信号振幅が減衰されるフィルタ効果が生じる。このフィルタ効果は、2画素混合読出し型の撮像素子34に特有の現象である。このフィルタ効果によって、基底帯域194の垂直方向Vの実質の幅が、空間周波数±fV/2未満に制限される。これによって、第2出力画像の制限後の垂直方向Vの実質の幅は、基底帯域194から推測される理想の幅の半分に縮小されるが、理想の幅が予め拡大されているので、第1出力画像と比較して、実質の幅が変化しない。
【0316】
これらのことから、第2出力画像の水平方向Hの解像度は、第1出力画像の2倍に向上する。また、斜め方向Uの解像度は変化しないが、視覚の空間周波数特性の空間異方特性から、該解像度の変化は視覚的に気にならない。
【0317】
空間異方性特性について、以下に説明する。人が画像を認識するときの視覚特性を表す指標として、前述の空間周波数特性(MTF;Modulation Transfer
Function)が挙げられる。この空間周波数特性は、二次元平面の画面上において一方方向にだけ濃淡が変化する正弦波パターンを表示した場合であって、視者に明暗の差が感じられなくなるとき、その画面に表示されるパターンの画像とその空間周波数との関係を示す。
【0318】
この正弦波パターンの一方方向を、たとえば水平方向Hを基準として、水平方向Hと予め定める角度を持つように傾けて表示する。この条件において、パターンの一方方向と水平方向Hとが±45度をなすとき、空間周波数の高周波成分の人の目に対する感度は最も低下する。このように、視覚の空間周波数特性が画像変化の空間的な方向によって変わることを、視覚の空間異方特性と称する。このことから、斜め方向Uの空間周波数成分は、水平および垂直方向H,Vの周波数成分と比較して人の目に感じられにくいことが、一般に知られている。この空間異方性特性から、画像上の斜め方向Uの高周波成分を除去しても、画像の視覚的な劣化が少ないことが分かる。したがって、水平および垂直方向H,Vの解像度の変化があるときに斜め方向Uの解像度が変化していなくても、視覚的に気にならない。
【0319】
本発明の第5実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の撮像素子以外の構成要素の構造は第4実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明は省略する。また、該撮像装置は、2画素混合読出し型の撮像素子34に代わって、全画素読出し型の撮像素子131を用いる。この撮像素子131の光入射側には、図31の基本配列パターン191の色フィルタが設置される。可変空間フィルタ200は、第4実施形態と同じ第1および第2減衰量で画像光の空間周波数成分を制限する。本実施形態の撮像装置は、全画素読出し型の撮像素子131を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像し、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0320】
撮像素子131は、上述の色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。撮像素子131および画像メモリ37の単一回の画像光の詳細な撮像動作は、第2実施形態の単一回の撮像動作と等しい。原画像信号の画素Dの配列および各画素と受光データとの対応関係は、この色フィルタの透光領域Lの配列および色配列と等価であり、各対応画素は単一の色彩光の受光データだけを有する。この原画像信号と第4実施形態の原画像信号とを比較すると、各色彩光の対応画素の配列は等しく、第4実施形態では混合データに対応していた各対応画素が、本実施例では同一種類の色彩光の受光データに対応していることがわかる。したがって、第4および第5実施形態の原画像信号の信号構成は、等価であると見なすことができる。
【0321】
上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮像動作は、画像光の撮像動作を除いて、第4実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と等しい。信号処理回路44で原画像信号から輝度データおよび色差データを算出するときの算出式は、上述の式(35)〜式(37)と類似であり、各混合データに代わって、同一対応画素の受光データを代入する点だけが異なる。したがって、第1出力画像信号の輝度信号および色差信号のサンプリング周波数は、第4実施形態の該信号のサンプリング周波数と等しい。このようにして得られた第1出力画像信号の輝度の基底帯域および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を表す空間周波数平面図は、図37と等しい。したがって、通常モードの第1出力画像信号の基底帯域の実質の幅、および第1出力画像の解像度もまた、第4実施形態と等しいことがわかる。
【0322】
上述の撮像装置の高解像度モードの画像光の撮像動作は、画像光の撮像動作を除いて、第4実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と等しい。このときの第1および第2結像位置Qa4,Qb4の位置関係は、図38と等しい。信号処理回路44で合成される合成画像信号の合成手法は第4実施形態と等しく、その等価的な画素配列の基本配列パターンは、図39の基本配列パターン193と等しい。また、該回路44で合成画像信号から輝度データおよび色差データを算出するときの算出式は、上述の式(38)〜式(40)と類似であり、各混合データに代わって、同一対応画素の受光データを代入する点だけが異なる。したがって、第2出力画像信号の輝度信号および色差信号のサンプリング周波数は、第4実施形態の該信号のサンプリング周波数と等しい。
【0323】
図41は、上述の第2出力画像信号の輝度の基底帯域196、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域196は、図40の輝度の基底帯域194と等しく、水平、垂直、および斜め方向H,V,Uの各範囲は、以下の式で表される。
【0324】
−fH≦f≦fH …(41)
−fV≦f≦fV …(42)
(−fu/2)≦f≦(fu/2) …(14)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域196は、以下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0325】
(−fH, 0)
( fH, 0)
( 0,fV)
この基底帯域196内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0326】
(−2fH/3,0)
( 2fH/3,0)
さらに、基底帯域196近傍の以下の2箇所にも、色差信号のモアレのキャリア周波数がある。
【0327】
(−fH/3,fV)
( fH/3,fV)
これら基底帯域196近傍の上述のキャリア周波数を中心周波数とする色差信号の折返し成分は、光学系の空間周波数特性(MTF)、および撮像素子131のアパーチャ効果によって、充分に減衰されるので、第2出力画像信号の輝度信号の所望信号成分にはほとんど影響を与えない。
【0328】
本実施形態の撮像装置では、第4実施形態の撮像装置と同様に、高解像度モードで撮像される画像光の空間周波数成分は、第2状態の可変空間フィルタ200によって、所望信号成分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±2fH/3の部分で0になるように制限される。これによって、基底帯域196の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅が空間周波数±2fH/3未満に縮小されるが、制限後の実質の幅は、第1出力画像信号の実質の幅の約2倍に拡大される。
【0329】
また本実施形態の撮像装置では、第4実施形態の撮像装置と異なり、2画素混合読出し型の撮像素子特有のフィルタ効果が生じないので、基底帯域196の垂直方向Vの空間周波数軸上の実質の幅が、基底帯域196の垂直方向Vの範囲全域まで拡大される。したがって、垂直方向Vの空間周波数軸の制限後の実質の幅が、第1出力画像信号の実質の幅の2倍に拡大される。
【0330】
これらのことから、第2出力画像の水平および垂直方向H,Vの解像度は、第1出力画像の2倍にそれぞれ向上する。また、斜め方向Uの解像度は変化しないが、これは視覚の空間周波数特性の空間異方特性によって、視覚的に気にならない。したがって、本実施形態の撮像装置の第2出力画像の解像度は、第4実施形態の第2出力画像と比較して、垂直方向Vに関して2倍に向上される。
【0331】
本発明の第6実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系および色フィルタ以外の構成要素の構造は、第5実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の撮像装置は、全画素読出し型の撮像素子131を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像し、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0332】
光学系のうち、イメージシフト機構62および可変空間フィルタ200の内部構造は等しいが、その設置状態が異なる。機構62については後述する。フィルタ200は、複屈折板201の分離ベクトルB4が、垂直方向Vと平行になるように設置される。これによって、第1および第2状態のフィルタ200は、垂直方向Vの空間周波数成分のうち、空間周波数±fV/3、±2fV/3の成分の振幅をそれぞれ減衰させる。
【0333】
色フィルタは、その設置場所、通過可能な色彩光の組合せ、ならびに透光領域Lの数および配列が、第5実施形態の色フィルタと等しく、色配列だけが異なる。ゆえに、第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青および緑の3色である。透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PVである。
【0334】
図42は、上述の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン198を示す図である。この基本配列パターン186は、3行2列に配列される6つの透光領域Lからなり、同種の透光領域を2つずつ含む。この基本配列パターン198において、透光領域L(1,1),L(1,2)は、赤の色彩光を通過させる赤の透光領域である。透光領域L(2,1),L(2,2)は、緑の透光領域である。透光領域L(3,1),L(3,2)は、青の透光領域である。この基本配列パターン198は、水平および垂直方向H,Vの配列周期を保ったまま、第4および第5実施形態の撮像装置の色フィルタの基本配列パターンの透光領域Lの色配列だけを水平および垂直方向H,Vに対して入換えた配列である。この色フィルタは、同種の色彩光の透光領域が水平方向Hに沿って並ぶので、各行の透光領域Lは、同種の色彩光だけを通過させる。
【0335】
撮像素子131は、この色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号の画素の配列および各画素と受光データとの対応関係は、この色フィルタの画素配列および色配列と等価であり、各対応画素は単一の色彩光の受光データだけを有する。
【0336】
上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮像動作は、第5実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子131、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第5実施形態と等しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このときの算出式は、上述の式(35)〜式(37)と類似であり、各対応画素の行列番号を行および列に関して入換え、かつ各混合データに代わって、同一対応画素の受光データを代入する点が異なる。このようにして得られた第1出力画像信号の輝度の基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図37と線対称な図面となる。すなわち、図37の空間周波数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だけを入換えた図と等しい。
【0337】
この図から、水平方向Hの空間周波数軸上には、モアレのキャリア周波数が存在しないことがわかる。したがって、水平方向Hの基底帯域の実質の幅は、基底帯域の水平方向Hの範囲と等価な理想の幅と等しく、空間周波数±fH/2まで拡大される。また、垂直方向Vの空間周波数軸上の空間周波数±fV/3に、モアレのキャリア周波数があることがわかる。したがって、第1出力画像信号の垂直方向Vの基底帯域の実質の幅は、空間周波数±fV/3未満に制限される。したがって、本実施形態の通常モードの第1出力画像は、第5実施形態の第1出力画像と比較して、水平方向Hの解像度が向上する。
【0338】
上述の撮像装置の高解像度モードの画像光の撮像動作は、第5実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子131、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第5実施形態と等しい。このとき、イメージシフト機構62は、画像光の結像位置を以下の2箇所に移動する。
【0339】
図43は、上述した第1および第2結像位置Qa6,Qb6の相対的な位置関係を示す図である。第1結像位置Qa6を基準とすると、第2結像位置Qb6は、第1結像位置Qa6から水平方向Hに長さPH/2だけ、かつ垂直方向Vに長さ3PV/2だけずれた位置である。これら第1および第2結像位置Qa6、Qb6の位置関係は、図38に表す第1および第2結像位置Qa4,Qb4の位置関係と、第1斜め方向Uxに対して線対称となる位置関係である。イメージシフト機構62の屈折板71の仮想基準軸線、および第2状態の屈折板71の傾斜角度は、この位置関係に応じて画像光の光軸を平行移動させることができるように、第4、第5実施形態の設置状態と比較して、各部材の水平および垂直方向H,Vを入換えて設置される
信号処理回路44で生成される合成画像信号の等価的な画素Dの配列の基本配列パターンは、図39の基本配列パターン193と類似であり、対応画素および仮想画素の画素配列および全画素の配列周期が等しく、その対応画素の色配列の水平および垂直方向H,Vを入換えた点だけが異なる。該回路44は、この合成画像信号から、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このときの算出式は、上述の式(38)〜式(40)と類似であり、各対応画素の行列番号を行および列に関して入換え、かつ混合データに代わって該対応画素の受光データを代入する点が異なる。この第2出力画像信号の輝度の基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図41と線対称な図面となる。すなわち、図41の空間周波数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だけを入換えた図と等しい。
【0340】
この図から、第2出力画像信号の輝度の基底帯域は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域と比較して、水平および垂直方向H,Vに2倍に拡大され、斜め方向Uに関して変化しないことがわかる。また、垂直方向Vの空間周波数軸上のモアレのキャリア周波数は、空間周波数±2fV/3に現れるので、画像光の空間周波数成分制限後の基底帯域の垂直方向Vの実質の幅が空間周波数±2fV/3未満に縮小されるが、制限後の実質の幅は第1出力画像信号の実質の幅の約2倍に拡大されている。
【0341】
これらのことから、第2出力画像の水平および垂直方向H,Vの解像度は、第1出力画像の2倍にそれぞれ向上する。また、斜め方向Uの解像度は変化しないが、これは視覚の空間周波数特性の空間異方特性によって、視覚的に気にならない。したがって、本実施形態の撮像装置の第2出力画像の解像度は、第5実施形態の第2出力画像と比較して、水平方向Hに関して向上される。
【0342】
本発明の第7実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系、色フィルタ、および撮像素子以外の構成要素の構造は、第2実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。本実施形態の撮像装置は、全画素読出し型の撮像素子を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像して、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0343】
光学系のうち、イメージシフト機構62は、その内部構造は等しいが、その設置状態が後述するように異なる。また、光学系内の任意の位置には、可変空間フィルタ90に代わって、後述する可変空間フィルタ220が設置される。該フィルタ220は、本実施形態の撮像装置の通常および高解像度モードに応じて、第1および第2状態に切換えられ、各モードに応じた減衰量で、画像光の空間周波数の振幅を成分を減衰させる。
【0344】
撮像素子は、M×N個の受光領域PDを有する全画素読出し型の撮像素子である。この受光領域PDは、結像面上に、周期PHで並べられるM個の受光領域からなる行が、垂直方向Vに沿って配列周期PVでN本並べられるように配列される。かつ、隣接する2本の行は、その各受光領域PDの中心が水平方向Hに長さPH/2だけ相互にずれるように配列される。この受光領域PDの配列は、M行2N列の仮想配列に対し、各受光領域PDが、水平および垂直方向H,Vに対してそれぞれ仮想の受光領域を1つずつ介在して並べられた配列と等価であり、結像面全体としては、受光領域PDが市松状に配列される。この受光領域PDの配列周期は、水平および垂直方向H,Vにそれぞれ周期PH/2,PVである。
【0345】
この撮像素子の垂直転送CCD群は、たとえば2列の受光領域PDに対して1つずつ準備され、2列分の実在の受光領域PDの数と同数の電荷結像素子Cを有する。該CCD群の電荷結像素子Cは、該2列分の実在の各受光領域PDと隣接するように折線状に配列される。したがって、垂直転送CCD群は、水平方向HにM列並べられており、各々の垂直転送CCDは、垂直方向Vに折線状に並んだN個の電荷結合素子Cから構成される。各受光領域PDは、その隣接する電荷結像素子Cに受光データをそれぞれ転送する。データ転送後の垂直転送CCD群の挙動は、図17に示す撮像素子131の垂直転送CCD群138の挙動と等しい。すなわち、本実施形態の撮像素子の垂直転送CCD群は、2行分の実在の受光領域PDを撮像素子131の1行分の受光領域PDと等価に扱い、各受光領域PDの受光データを個別的に転送する。
【0346】
この撮像素子の結像面の光入射側には、透光領域Lの数および配列が実在の受光領域PDと等しく、以下に示す基本配列パターンの色配列をなす色フィルタが取付けられる。この色フィルタは、各透光領域L毎に、第1〜第3色彩光のいずれか1つを通過させる。第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青、および緑の3色である。また、透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH/2,PVである。
【0347】
図44は、上述した色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン211を示す図である。この基本配列パターン211は、6つの透光領域Lから成り、同種の透光領域を2つずつ含む。これら透光領域は、2行6列の仮想配列に市松状に並べられた配列と等しく、各行の透光領域Lの間には、図示しない仮想の透光領域があると見なすことができる。この基本配列パターン211において、透光領域L(1,1),L(2,4)は、赤の色彩光を通過させる赤の透光領域である。透光領域L(1,3),L(2,6)は、緑の透光領域である。透光領域L(1,5),L(2,2)は、青の透光領域である。この基本配列パターン211から成る色配列の色フィルタは、実在の透光領域Lが少なくとも1つの実在の受光領域PDの光入射側に配列されるように設置される。
【0348】
上述の撮像素子は、この色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号の画素Dの配列、および該画素Dと受光データとの対応関係は、図44の色フィルタの透光領域Lの配列および色配列と等価であり、各対応画素は、単一の色彩光の受光データを有する。
【0349】
可変空間フィルタ220を、図45〜図50を用いて以下に説明する。
【0350】
図45は、可変空間フィルタ220の詳細な構造を示す斜視図である。可変空間フィルタ220は、5枚の複屈折板221〜225、および旋光板226を含んで構成される。複屈折板221〜225は、光入射側の画像光の光軸64上に、光入射側からこの順で配列される。旋光板226は、複屈折板223,224の間に介在される。複屈折板221〜225は、たとえば水晶板で実現される。複屈折板221〜225および旋光板226の各入射面および射出面は、光入射側の画像光の光軸64と直交する。また、屈折板223,225は、光軸64と一致した仮想回転中心軸線を中心として回転可能であり、第1および第2状態が切換えられると同時に180度だけ角変位するように回転駆動される。
【0351】
図46(a)〜(e)は、フィルタ220が第1状態にあるときの各複屈折板221〜225の分離ベクトルB11〜B15を示す図である。このうち、分離ベクトルB11〜B13は、前述した単位ベクトルi,j,kによって、以下の式で規定される。
【0352】
【数14】
Figure 0003617887
【0353】
上式から、複屈折板221の分離ベクトルB11は水平方向Hと平行であり、複屈折板222,223の分離ベクトルB12,B13は、垂直方向Vと平行であることが分かる。
【0354】
また、複屈折板224,225の分離ベクトルB14,B15を図47を用いて説明する。図47は、図46(d),(e)と同じHV平面を表す。基準軸線L1は、複屈折板211の分離ベクトルB11の延長線であり、水平方向Hと平行である。分離ベクトルB14,B15の延長線L2と基準軸線L1との成す角度θ1は、以下の式で表される。
【0355】
【数15】
Figure 0003617887
【0356】
角度θ1は、撮像素子が正方格子型であって、受光領域PDの配列周期PH,PVの値が等しいとき、33.7度になる。このような配列周期の撮像素子は、たとえば640行480列の受光領域PDの配列を有し、NTSC方式に対応した撮像素子である。
【0357】
さらに、これらの複屈折板221〜225の分離長さは、それぞれ3PH/4,PV/4,PV/4,√{(3PH/8)+(PV/4)},√{(3PH/8)+(PV/4)}である。これら複屈折板221〜225内の常光および異常光の挙動は、分離ベクトルの向きおよび分離長さを除いて、可変空間フィルタ90の複屈折板91〜93での挙動と等しい。
【0358】
また、旋光板226は、入射した光の偏光方向を表す偏波面を、図47の矢符228で示す方向に、角度θ2だけ回転変位させる。角度θ2は、以下の式で表される。
【0359】
θ2=45度−θ1 …(46)
この角度θ2は、基準軸線L1と45度の角度を成して交わる基準軸線L3と、前述の分離ベクトルB14,B15の延長線L2との成す角度である。
【0360】
上述した可変空間フィルタ220が第1状態にあるとき、複屈折板223,225は、分離ベクトルが図46(c),(e)に示す状態に保たれる。このとき、フィルタ220を通過する画像光の挙動を、図48を用いて、以下に説明する。
【0361】
図48(a)〜図48(e)は、第1状態の可変空間フィルタ220において、画像光の常光および異常光が複屈折板221〜225を通過した位置をそれぞれ示す仮想結像面を示す図である。この仮想結像面の設定は格子の軸線の間隔を除いて図9の仮想結像面と等しく、これと同等に取扱う。各仮想結像面上に描かれる格子の軸線は、水平および垂直方向H,Vに、それぞれ間隔3PH/8、PV/4で配列される。
【0362】
第1状態の可変空間フィルタ220において、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交点を座標(3,3)とする。この画像光は、複屈折板221に入射して、複屈折板221に対する常光と異常光とに分離される。該常光の射出側の光軸の交点は、座標(3,3)である。また、異常光の射出側の光軸は、入射側の光軸の延長線からみて、水平方向Hの分離ベクトルB11と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その光軸の交点は座標(3,5)である。
【0363】
この1対の常光および異常光は、それぞれ同一の座標から複屈折板222に入射する。複屈折板221,222の分離ベクトルB11,B12は相互に直交するので、複屈折板221の常光および異常光は、それぞれ複屈折板222に対する異常光および常光になる。したがって、座標(3,3)の複屈折板221の常光は、複屈折板222の異常光となり、その光軸は、座標(3,3)の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB12と同じ向きに同じ長さだけ移動される。ゆえに、複屈折板222の常光の光軸の交点は座標(4,3)である。また同様に、座標(3,5)の複屈折板221の異常光は、複屈折板222の常光となるので、そのまま複屈折板222を通過する。ゆえに、複屈折板222の常光の光軸の交点は座標(3,5)である。
【0364】
この1対の常光および異常光は、それぞれ同一の座標から複屈折板223に入射する。複屈折板222,223の分離ベクトルB12,B13は平行なので、複屈折板222の常光および異常光は、そのまま複屈折板223に対する常光および異常光になる。ゆえに、座標(3,5)の複屈折板222の常光は、複屈折板222の常光となるので、そのまま複屈折板223を通過する。ゆえに、複屈折板223の常光の光軸の交点は座標(3,5)である。また、座標(4,3)の複屈折板222の異常光は、複屈折板223の異常光となり、その光軸は、座標(4,3)の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB13と同じ向きに同じ長さだけ移動される。ゆえに、複屈折板223の異常光の光軸の交点は座標(5,3)である。
【0365】
この1対の常光および異常光は、それぞれ同一の座標から施光板226に入射する。施光板226は、上述の常光および異常光の偏波面を、それぞれ角度θ2だけ、元の偏波面から回転変位させて射出させる。このとき常光および異常光の光軸の平行移動はないので、それぞれの光軸の交点は施光板226への入射前の位置を保つ。
【0366】
この1対の常光および異常光は、それぞれ座標(3,5),(5,3)から複屈折板224に入射する。施光板226で偏波面が回転変位されたことによって、上述の常光および異常光の各偏波面と、複屈折板224の分離ベクトルB14の延長線L3との成す角度は、それぞれ45度となる。これによって、上述の常光および異常光は、それぞれ同じ強度で、該複屈折板224に対する常光および異常光に分離される。
【0367】
複屈折板223の常光および異常光のうち、複屈折板224に対する常光は、そのまま複屈折板224を通過するので、その光軸の交点は座標(3,5),(5,3)である。また、複屈折板223の常光および異常光の複屈折板224に対する異常光の光軸は、それぞれ座標(3,5),(5,3)の光軸の延長線からみて、水平方向Hに長さ3PH/8でかつ垂直方向Vに長さPV/4の分離長さだけ、つまり分離ベクトルB14と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その光軸の交点は、それぞれ座標(2,4),(4,2)である。
【0368】
この2対の常光および異常光は、上述の座標から複屈折板225に入射する。複屈折板224,225の分離ベクトルB14,B15は等しいので、複屈折板224の常光および異常光は、そのまま複屈折板225に対する常光および異常光になる。ゆえに、座標(3,5),(5,3)の複屈折板224の常光は、複屈折板225の常光となるので、そのまま複屈折板225を通過する。ゆえに、複屈折板225の常光の光軸の交点は座標(3,5),(5,3)である。また、座標(2,4),(4,2)の複屈折板224の異常光は、複屈折板225の異常光となり、その光軸は、入射前の光軸の延長線からみて、水平方向Hに長さ3PH/8でかつ垂直方向Vに長さPV/4の分離長さだけ、つまり分離ベクトルB15と同じ向きに同じ長さだけ移動される。ゆえに、複屈折板225の異常光の光軸の交点は座標(3,1),(1,3)である。
【0369】
このように、複屈折板221〜225を順次的に通過した画像光は、2対の常光および異常光に分離される。これら常光および異常光の光軸と仮想結像面との交点は、白丸と黒丸との記号で表される対、および白四角と黒四角との記号で表される対毎に水平方向Hに間隔3PH/4だけ、かつ垂直方向Vに間隔PV/2だけそれぞれ離れる。このように分離される画像光について、第1減衰量を表す空間周波数(fh,fv)の伝達関数H1(fh,fv)は、以下の式で表される。
【0370】
【数16】
Figure 0003617887
【0371】
上式で、「h」は水平方向Hの空間座標、「v」は、垂直方向の空間座標、「δ(h,v)」は、空間座標(h,v)の2次元のデルタ関数、「F」はフーリエ変換をそれぞれ表す。この式から、第1状態の可変空間フィルタ220は、画像光の空間周波数(fh,fv)の成分のうち、以下の式を満たす成分のレスポンスがなくなるように、該空間周波数成分の振幅を減衰することがわかる。
【0372】
【数17】
Figure 0003617887
【0373】
上式の第1項と第3項の符号は、記載順と関係なく組合わされ、組合わせ数は4通りである。
【0374】
特に、空間周波数軸上を考えれば、水平方向の空間周波数軸上の空間周波数±2fH/3の成分のレスポンスがなくなり、かつ垂直方向の空間周波数軸上の空間周波数±fVの成分のレスポンスがなくなっている。また、空間周波数平面の第1および第2象限内で、(±2fH/3,0)と(0,±fV)とを結ぶ仮想線上に該当する成分のレスポンスがなくなる。
【0375】
また、上述した可変空間フィルタ220が第2状態にあるとき、複屈折板223,225は、第1状態から180度角変位され、分離ベクトルB13a,B15aが図49(a),(b)に示す状態に保たれる。これら分離ベクトルB13a,B15aは、HV平面上で、第1状態での分離ベクトルB13,B15と平行でかつ逆向きである。
【0376】
このとき、フィルタ220を通過する画像光の挙動を、図48(a),(b)および図50(a),(b),(c)の仮想結像面を用いて、以下に説明する。図50の仮想結像面は、画像光の光軸の交点の位置を除いて、図48(c)〜図48(e)の各仮想結像面と等しく、同様に取扱う。
【0377】
第2状態の可変空間フィルタ220において、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交点を座標(3,3)とする。この画像光が、複屈折板221,222を通過するときの挙動は、第1状態のときと等しいので、説明は省略する。
【0378】
複屈折板223には、複屈折板222に対する座標(3,5)の常光、および座標(4,3)の異常光が、この同一の座標から入射する。複屈折板222,223の分離ベクトルB12,B13aは相互に平行であり、向きだけが相反する。したがって、複屈折板222の常光および異常光は、そのまま複屈折板223に対する常光および異常光になる。
【0379】
したがって、座標(3,5)の複屈折板222の常光は、複屈折板223の常光となって射出し、その光軸の交点は、座標(3,5)である。また、座標(4,3)の複屈折板222の異常光は、複屈折板223の異常光となり、その光軸は、座標(4,3)の光軸の延長線からみて、分離長さPV/4だけ、垂直方向Vに沿った分離ベクトルB13aの向きに移動される。この異常光の光軸の交点は座標(3,3)である。これら常光および異常光は、施光板226でその偏波面が角度θ2だけ回転変位された後、光軸の交点の位置を保ったまま、複屈折板224に入射する。
【0380】
この1対の常光および異常光は、第1状態と同様に、それぞれ同じ強度で、該複屈折板224に対する常光および異常光に分離されて射出する。複屈折板223の常光および異常光の、複屈折板224に対する常光の射出後の光軸の交点は座標(3,5),(3,3)である。また、複屈折板223の常光および異常光の複屈折板224に対する異常光の光軸は、それぞれ座標(3,5),(3,3)の光軸の延長線からみて、上述の分離長さだけ、分離ベクトルB14の向きに移動しており、その光軸の交点は、それぞれ座標(2,4),(2,2)である。
【0381】
この2対の常光および異常光は、上述の座標から複屈折板225に入射する。複屈折板224,225の分離ベクトルB14,B15aは相互に平行であって長さが等しく、向きだけが相反する。したがって、複屈折板224の常光および異常光は、そのまま複屈折板225に対する常光および異常光になる。
【0382】
したがって、座標(3,5),(3,3)の複屈折板224の常光は、複屈折板225の常光となって射出し、その光軸の交点は、座標(3,5),(3,3)である。また、座標(2,4),(2,2)の複屈折板224の異常光は、複屈折板225の異常光となり、その光軸は、入射前の光軸の延長線からみて、前述の分離長さだけ、分離ベクトルB15aの向きに移動される。この異常光の光軸の交点は座標(3,5),(3,3)である。
【0383】
このように、複屈折板222,223の分離ベクトルB12,B13a、および複屈折板224,225の分離ベクトルB14,B15aが、それぞれ平行で大きさが等しく、かつ向きが相反するとき、複屈折板222,224に対する常光および異常光の光軸の交点が、複屈折板223,225通過後に一致する。これによって、複屈折板222,223;224,225での光の分離効果が打消される。したがって、複屈折板225通過後の画像光の分離状態は、複屈折板221通過直後の状態に戻る。
【0384】
このように複屈折板221〜225を順次的に通過した画像光は、1対の常光および異常光に分離される。この常光および異常光の光軸と仮想結像面との交点は、水平方向Hに平行に、間隔3PH/4だけ離れる。このように分離された画像光に関して、第2減衰量を表す空間周波数(fh,fv)の伝達関数H2(fh,fv)は、以下の式で表される。
【0385】
【数18】
Figure 0003617887
【0386】
この結果から、画像光の空間周波数成分のうち、空間周波数±2fH/3の成分のレスポンスだけがなくなるように、該空間周波数成分の振幅が減衰されることが分かる。
【0387】
このような構造の撮像装置の通常モードおよび高解像度モードの撮像動作を以下に説明する。
【0388】
通常モードの画像光の撮像動作は、第1実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。上述の撮像素子の挙動は、図17の撮像素子131とほぼ等しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば、図44中の透光領域L(2,4)に対応する第2行第4列の画素D(2,4)の輝度データY(2,4)、色差データ(R−Y)(2,4),(B−Y)(2,4)は、以下の式で示される。画素D(2,4)は、赤の受光データだけの対応画素である。
【0389】
【数19】
Figure 0003617887
【0390】
この輝度データYは、各画素D毎に個別的に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配列は、原画像の対応画素の数および配列と等しい。
【0391】
原画像の全ての対応画素の配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図44からそれぞれ周期PH/2,PVとわかる。このことから、この第1出力画像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,fVとみなされる。また、同一種類の対応画素だけの配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図44から、それぞれ周期3PH/2,PVとわかる。このことから、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH/3,fVとみなされる。さらに、各色彩光の対応画素は、水平方向Hに長さ3PH/2でかつ垂直方向Vに長さPV/2だけ離れて、周期的に配列される。この配列による斜め方向のサンプリング周波数のうちで、最も低周波数のものは、空間周波数fH,fVを用いて、(±fH/3,±fV/2)と表される。またこのサンプリング周波数に関する空間軸に平行な方向を第2斜め方向Uαとする。
【0392】
図51は、上述した第1出力画像信号の輝度の基底帯域212、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域212の水平および垂直方向Hの空間周波数軸上の範囲は、以下の式で表される。
【0393】
−fH≦f≦fH …(53)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(54)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域212は、以下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0394】
(−fH,0)
( fH,0)
( 0,fV/2)
この基底帯域212内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0395】
(−2fH/3,0)
( 2fH/3,0)
さらに、基底帯域214近傍の以下の2箇所にも、上述の斜め方向Uαのサンプリング周波数(fH/3,fV/2)によって現れる色差信号のモアレのキャリア周波数がある。
【0396】
(−fH/3,fV/2)
( fH/3,fV/2)
上述した第1状態の可変空間フィルタ220の第1減衰量は、基底帯域212のうち、空間周波数(±2fH/3,0),(±fH/3,±fV/2),(0,±fV)近傍の空間周波数成分を減衰させるように定められる。これによって、基底帯域212の水平方向Hの所望信号成分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±fH/3の部分で0になるように制限される。このため、基底帯域212の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅が空間周波数±fH/3未満に縮小される。また、基底帯域212の垂直方向Vの実質の幅も、空間周波数±fV/2未満に縮小される。これによって、第1出力画像の水平および垂直方向H,Vの実質の解像度は、その分だけ基底帯域212から推測される理想の解像度よりも低下する。
【0397】
高解像度モードの画像光の撮像動作は、第1実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。上述の撮像素子の挙動は、撮像素子131とほぼ等しい。このとき、イメージシフト機構62は、画像光の結像位置を、以下の2箇所に移動させる。
【0398】
図52は、上述した高解像度モードの画像光の撮像動作における第1および第2結像位置の位置関係を示す図である。第1結像位置Qa7を基準とすると、第2結像位置Qb7は、垂直方向Vに受光領域PDの配列周期の長さPVだけ離れる。イメージシフト機構62の仮想基準軸線の設置状態、および第2状態の屈折板71の傾斜角度は、これら結像位置がこの位置関係をなすように定められる。
【0399】
信号合成回路44は、まず、第2実施形態と同じ手法で第1および第2原画像信号から合成画像信号を生成する。この合成画像は、M行2N列に配列されるM×2N個の対応画素からなる。合成画像の水平および垂直方向H,Vの画素の配列周期は、それぞれ周期PH/2,PVである。
【0400】
図53は、上述の合成画像信号が表す合成画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン213を示す図である。この基本配列パターン213は、2行6列に配列される12個の画素からなる。画素D(1,1),D(1,4),D(2,1),D(2,4)は、赤の受光データの対応画素である。画素D(1,3),D(1,6),D(2,3),D(2,6)は、緑の受光データの対応画素である。画素D(1,2),D(1,5),D(2,2),D(2,5)は、青の受光データの対応画素である。このことから、合成画像は、画素配列が原画像の基本の画素配列と等しく、原画像で仮想画素だった画素が全て対応画素になっていることがわかる。
【0401】
次いで、信号処理回路44は、この合成画像信号から、第2出力画像の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第2行第4列の画素D(2,4)の輝度データY(2,4)、色差データ(R−Y)(2,4),(B−Y)(2,4)は、以下の式で示される。画素D(2,4)は、赤の受光データだけの対応画素である。
【0402】
【数20】
Figure 0003617887
【0403】
これの輝度データYは、合成画像の各画素Dごとに個別的に直接求めることができる。ゆえに、合成画像の画素Dは、全て輝度データの実画素となるので、第2出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配列は、合成画像の画素Dの数および配列と等しい。
【0404】
合成画像の全ての対応画素の配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図53からそれぞれ周期PH/2,PVとわかる。このことから、この第2出力画像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,fVとみなされる。また、同一種類の対応画素だけの配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図53から、それぞれ周期3PH/2,PVとわかる。このことから、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH/3,fVとみなされる。さらに、図53から、前述の第2斜め方向Uαに関する配列周期が半分となったことがわかる。
【0405】
図54は、上述の第2出力画像信号の輝度の基底帯域214、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域214の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸上の範囲は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域211の各範囲と等しく、以下の式で表される。
【0406】
−fH≦f≦fH …(53)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(54)
また、第3の斜め方向Wx,Wyを考える。斜め方向Wx,Wyは、水平方向および垂直方向H,Vにそれぞれ平行で大きさがそれぞれ配列周期PH、配列周期PVの半分である2つの基本ベクトルの合成で規定される方向である。斜め方向Wx,Wyの配列周期PWx,PWyは、以下の式で表される。
【0407】
【数21】
Figure 0003617887
【0408】
斜め方向Wx,Wyの画像光のサンプリング周波数fwx,fwyは、それぞれ上式の配列周期PWx,PWyの逆数である。
【0409】
【数22】
Figure 0003617887
【0410】
高解像度モードでは、この第3斜め方向Wx,Wyに関して、その方向の空間周波数軸上の範囲が2倍に拡大される。したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域214は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0411】
(−fH, 0)
( fH, 0)
(−fH,fV/2)
( fH,fV/2)
この基底帯域214内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0412】
(−2fH/3,0)
( 2fH/3,0)
上述した第1状態の可変空間フィルタ220の第2減衰量は、基底帯域214のうち、空間周波数±2fH/3近傍の空間周波数成分を減衰させるように定められる。これによって、基底帯域214の水平方向Hの所望信号成分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±2fH/3の部分で0になるように制限される。これによって、基底帯域214の水平方向Hの空間周波数軸上の実質的な幅が±2fH/3未満に縮小される。
【0413】
この第2出力画像信号では、(±fH/3,fV/2)に現れるモアレのキャリア周波数が消えているので、このキャリア周波数を中心周波数とするモアレが消滅する。これによって、垂直方向Vの空間周波数成分を制限する必要がなくなるので、基底帯域214の実質の幅が基底帯域の範囲全域まで拡大される。このことから、第2出力画像の垂直方向Vの解像度は、第1出力画像よりも向上する。
【0414】
本発明の第8実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系および色フィルタ以外の構成要素の構造は、第7実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。本実施形態の撮像装置は、全画素読出し型の撮像素子を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像し、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0415】
光学系のうち、イメージシフト機構62および可変空間フィルタ220の内部構造は等しいが、その設置状態が異なる。機構62については後述する。フィルタ220は、複屈折板221の分離ベクトルB11が、垂直方向Vと平行になるように設置される。これによって、第1状態のフィルタ220は、画像光の空間周波数(fh,fv)の成分のうち、以下の式を満たす成分のレスポンスがなくなるように、該空間周波数成分の振幅を減衰することがわかる。
【0416】
【数23】
Figure 0003617887
【0417】
上式の第1項と第3項の符号は、記載順と関係なく組合わされ、組合わせ数は4通りである。
【0418】
特に、空間周波数軸上を考えれば、水平方向の空間周波数軸上の空間周波数±fHの成分のレスポンスがなくなり、かつ垂直方向の空間周波数軸上の空間周波数±2fV/3の成分のレスポンスがなくなっている。また、第2状態のフィルタ220は、垂直方向Vの空間周波数成分のうち、空間周波数±2fV/3の成分のレスポンスをなくならせる。
【0419】
色フィルタは、その設置場所、通過可能な色彩光の組合せ、ならびに透光領域Lの数が、第7実施形態の色フィルタと等しく、透光領域Lの配列および色配列だけが異なる。ゆえに第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青および緑の3色である。また、透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PV/2である。
【0420】
図55は、上述の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン216を示す図である。この基本配列パターン216は、6つの透光領域Lからなり、同種の透光領域を2つずつ含む。これら透光領域Lは、隣接する2つの列の各透光領域Lが、長さPV/2だけ相互にずれて配列され、6行2列の基本の配列に市松状に並べられた配列と等価である。
【0421】
この基本配列パターン216において、透光領域L(1,1),L(4,2)は、赤の色彩光を通過させる赤の透光領域である。透光領域L(3,1),L(6,2)は、緑の透光領域である。透光領域L(5,1),L(2,2)は、青の透光領域である。この基本配列パターン216は、水平および垂直方向H,Vの配列周期を保ったまま、第7実施形態の撮像装置の色フィルタの基本配列パターン211の透光領域Lの行と列の配列関係および色配列だけを水平および垂直方向H,Vに対して入換えた配列である。
【0422】
また、本実施形態の撮像素子の受光領域PDは、この色フィルタの実在の透光領域Lの配列と等価な配列で、結像面上に配列される。これは、水平および垂直方向H,Vの配列周期を保ったまま、第7実施形態の撮像素子の受光領域PDの配列の行と列の配列関係だけを、水平および垂直方向H,Vに対して入換えた配列である。
【0423】
上述の撮像素子は、この色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号の画素の配列および各画素と受光データとの対応関係は、この色フィルタの透光領域Lの配列および色配列と等価であり、各対応画素は単一の色彩光の受光データだけを有する。
【0424】
上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮像動作は、第7実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第7実施形態と等しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このときの算出式は、上述の式(50)〜式(52)と類似であり、各対応画素の行列番号を行および列に関して入換えた点だけが異なる。このようにして得られた第1出力画像信号の輝度の基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して図51と線対称な図面である。すなわち、図51の空間周波数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だけを入換えた図と等しい。
【0425】
この図から、水平方向Hの空間周波数軸上には、モアレのキャリア周波数が存在しないが、その近傍の空間周波数(±fH/2,fV/3)にモアレのキャリア周波数があることが分かる。したがって、水平方向Hの基底帯域の実質の幅は、基底帯域の水平方向Hの範囲の空間周波数±fH/2未満に縮小される。また、垂直方向Vの空間周波数軸上の空間周波数±2fV/3に、モアレのキャリア周波数があることがわかる。したがって、第1出力画像信号の垂直方向Vの基底帯域の実質の幅は、空間周波数±2fV/3未満に制限される。したがって、本実施形態の通常モードの第1出力画像は、第7実施形態の第1出力画像と比較して、垂直方向Vの解像度が向上する。
【0426】
上述の撮像装置の高解像度モードの画像光の撮像動作は、第7実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第7実施形態と等しい。このとき、画像光の第1および第2結像位置は、水平方向Hに長さPHだけ相互に離れる位置関係を保つ。イメージシフト機構62の屈折板71の仮想基準軸線、および第2状態の屈折板71の傾斜角度は、この位置関係に応じて画像光の光軸を平行移動させることができるように、第7実施形態の設置状態と比較して、各部材の水平および垂直方向H,Vを入換えて設置される。
【0427】
信号処理回路44で生成される合成画像信号の等価的な画素の基本配列パターンは、図53の基本配列パターン213と類似であり、その対応画素の水平および垂直方向の配列周期を保ったまま、行と列の配列関係ならびに色配列の水平および垂直方向H,Vを入換えた点が異なる。該回路44は、この合成画像信号から、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このときの算出式は、上述の式(55)〜式(57)と類似であり、各対応画素の行列番号を行および列に関して入換えた点だけが異なる。この第2出力画像信号の輝度の基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図54と線対称な図面である。すなわち、図54の空間周波数平面図の水平および垂直方向の周波数だけを入換えた図と等しい。
【0428】
この図から、第2出力画像信号の輝度の基底帯域は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域と比較して、水平および垂直方向H,Vが等しく、原点から空間周波数(fH/2,±fV)に向かう方向の範囲が2倍に拡大されることがわかる。また、第1出力画像信号で水平方向Hの空間周波数軸近傍に現れていたモアレのキャリア周波数が消えるので、空間周波数±fH/2近傍の空間周波数成分を制限する必要がなくなる。したがって、画像光の空間周波数成分制限後の基底帯域の水平方向Hの実質の幅が、基底帯域の範囲全域まで拡大される。これらのことから、第2出力画像の水平方向Hの解像度は、第1出力画像よりも向上する。
【0429】
以上の結果から、本実施形態の撮像装置の第1および第2出力画像は、第7実施形態の第1および第2出力画像と比較して、垂直方向Vの解像度が向上される。
【0430】
本発明の第9実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の色フィルタ以外の構成要素の構造は、第2実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。本撮像装置は全画素読出し型の撮像素子131を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像して、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0431】
色フィルタは、第2実施形態の色フィルタと、設置場所ならびに透光領域Lの数および配列が等しく、通過可能な色彩光の組合わせおよび色配列が異なる。ゆえに、透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PVである。また、通過可能な第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青および緑の3色である。
【0432】
さらに該色フィルタでは、緑の透光領域Lが、赤および青の透光領域Lの数の2倍の数だけ準備される。緑の色彩光は、人の視覚において感度が高く、輝度信号に対して赤および青の色彩光よりも寄与が大きいことが知られている。また、人の視覚に感じられる空間周波数帯域は、色度よりも輝度のほうが広い。したがって、緑の透光領域Lを増加させて緑の色彩光を受光する受光領域PDの数を増やすことによって、輝度の空間周波数帯域を拡大させることができる。
【0433】
図56は、上述した色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン231を示す図である。この基本配列パターン231は、2行2列に配列される4つの透光領域Lから成る。このパターン231は、緑の透光領域Lだけを2つ含み、赤および青の透光領域を1つずつ含む。この基本配列パターン231において、透光領域L(1,1),L(2,2)は、緑の透光領域Lである。透光領域L(1,2)は、赤の透光領域Lである。透光領域L(2,1)は、青の透光領域Lである。
【0434】
撮像素子131は、この色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号の画素Dの配列、および該画素Dと受光データとの対応関係は、図56の色フィルタの透光領域Lの配列および色配列と等価であり、各対応画素は、単一の色彩光の受光データを有する。
【0435】
上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮像動作は、第2実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子131、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば図56の透光領域L(2,2)に対応する第2行第2列の画素D(2,2)の輝度データY(2,2)、色差データ(R−Y)(2,2),(B−Y)(2,2)は、以下の式で示される。画素D(2,2)は、緑の受光データだけの対応画素である。
【0436】
【数24】
Figure 0003617887
【0437】
この輝度データYは、各画素D毎に個別的に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配列は、原画像の対応画素の数および配列と等しい。
【0438】
原画像の全ての対応画素の配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図56からそれぞれ周期PH,PVとわかる。このことから、この第1出力画像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH,fVとみなされる。また、同一種類の対応画素だけの配列のうち、緑の色彩光の対応画素だけの配列の水平,垂直および斜め方向H,V,Uの配列周期は、図56から、それぞれ周期PH,PV,2PUとわかる。また、赤および青の色彩光の対応画素だけの各配列の水平、垂直および斜め方向H,V,Uの配列周期は、図56から、それぞれ周期2PH,2PV,2PUとわかる。このことから、色差信号の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、緑に関して空間周波数fH,fV,fU/2、赤および青に関して空間周波数fH/2,fV/2,fU/2とみなされる。
【0439】
図57は、上述した第1出力画像信号の輝度の基底帯域232、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域232の水平および垂直方向Hの空間周波数軸上の範囲は、第1実施形態の基底帯域111と等しく、以下の式で表される。
【0440】
(−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14)
(−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15)
したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域232は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0441】
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
(−fH/2,fV/2)
( fH/2,fV/2)
この基底帯域232内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の5箇所に存在する。
【0442】
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
(−fH/2,fV/2)
( fH/2,fV/2)
( 0,fV/2)
前述した第1状態の可変空間フィルタ90の第1減衰量は、基底帯域232のうち、空間周波数±fH/2,±fV/2近傍の空間周波数成分を減衰させるように定められる。これによって、基底帯域232の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域232の各範囲全域よりも縮小される。これによって、第1出力画像の水平および垂直方向H,Vの実質の解像度は、その分だけ基底帯域232から推測される理想の解像度よりも低下する。
【0443】
上述の撮像装置の高解像度モードの画像光の撮像動作は、第2実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子131、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。このとき、イメージシフト機構62は、画像光の結像位置を、図14に表すように、水平方向Hに間隔PHだけ離れた第1および第2結像位置Qa1,Qb1に移動させる。信号処理回路44は、まず、第2実施形態と同じ手法で第1および第2原画像信号から合成画像信号を生成する。この合成画像は、M行N列に配列されるM×N個の対応画素からなる。合成画像の水平および垂直方向H,Vの画素の配列周期は、それぞれ周期PH,PVである。各対応画素は、それぞれ異なる2種類の色彩光の受光データを有する。
【0444】
図58は、上述の合成画像信号が表す合成画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン233を示す図である。この基本配列パターン233は、2行2列に配列される4つの画素からなる。画素D(1,1),D(1,2)は、緑と赤との対応画素である。画素D(2,1),D(2,2)は、緑と青の対応画素である。図58では、緑と赤との対応画素には符号「Fa」を記し、緑と青との対応画素には、符号「Fb」を記す。このことから、合成画像では、画素配列が原画像の画素配列と等しく、また全画素が緑の対応画素であることが分かる。
【0445】
信号処理回路44は、この合成画像信号から、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第2行第2列の画素D(2,2)の輝度データY(2,2)、色差データ(R−Y)(2,2),(B−Y)(2,2)は、以下の式で示される。画素D(2,2)は、緑と青との受光データだけの対応画素である。
【0446】
【数25】
Figure 0003617887
【0447】
この輝度データYは、合成画像の各対応画素毎に個別的に直接求めることができる。ゆえに、合成画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるので、第2出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配列は、合成画像の対応画素の数および配列と等しい。
【0448】
合成画像の全ての対応画素の水平、垂直斜め方向H,V,Uの配列周期、および緑の対応画素だけの該方向H,V,Uの配列周期は、図58からそれぞれ周期PH,PV,PUとわかる。このことから、この第2出力画像信号の輝度信号の水平、垂直斜め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH,fV,fuとみなされる。また、赤および青の色彩光の対応画素だけの各配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図58から、それぞれ周期PH,2PVとわかる。このことから、色差信号の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、緑に関して空間周波数fH,fV,fU、赤および青に関して空間周波数fH,fV/2,とみなされる。
【0449】
このような第2出力画像信号の輝度の基底帯域、および色差信号のモアレのキャリア周波数は、図29に示す第2実施形態の撮像装置の第2出力画像信号の輝度の基底帯域184、およびモアレのキャリア周波数と等しい。すなわち、基底帯域が第1出力画像信号の基底帯域232と等しく、モアレのキャリア周波数が(0,fV/2)の位置だけに現れる。ゆえに、第2出力画像は、第1出力画像と比較して、水平方向Hの解像度を向上させることができる。
【0450】
本発明の第10実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の色フィルタおよび撮像素子以外の構成要素の構造は、第2実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。該撮像装置は、全画素読出し型の撮像素子131に代わって、第7実施形態の撮像装置の撮像素子を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像して、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0451】
色フィルタは、第7実施形態の色フィルタと設置場所、通過可能な色彩光の組合わせ、ならびに透光領域Lの数および配列が等しく、色配列だけが異なる。ゆえに、第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青、および緑の3色である。また、透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、受光領域PDの配列と等しく、それぞれ周期PH/2,PVである。さらに、この色フィルタは、第9実施形態の色フィルタと同じ理由から、緑の透光領域が赤および青の透光領域の数の2倍の数だけ準備される。
【0452】
図59は、上述した色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン241を示す図である。この基本配列パターン241は、4つの透光領域Lから成る。この透光領域Lのうち、緑の透光領域Lだけが2つあり、赤および青の透光領域Lは1つずつある。これら透光領域Lは、2行4列の仮想配列に市松状に並べられた配列と等しく、各行の透光領域Lの間には、図示しない仮想の透光領域Lがあると見なすことができる。
【0453】
この基本配列パターン241において、透光領域L(1,1),L(2,4)は、緑の透光領域である。透光領域L(1,3)は赤の透光領域である。透光領域L(2,2)は、青の透光領域である。この基本配列パターン241から成る色配列の色フィルタは、実在の透光領域Lが少なくとも1つの実在の受光領域PDの光入射側に配列されるように設置される。
【0454】
上述の撮像素子は、この色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号の画素の配列、および該画素と受光データとの対応関係は、図59の色フィルタの配列および色配列と等価であり、各対応画素は、単一の色彩光の受光データを有する。
【0455】
上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮像動作は、第7実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。上述の撮像素子の挙動は、図17の撮像素子131とほぼ等しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第2行第4列の画素D(2,4)の輝度データY(2,4)、色差データ(R−Y)(2,4),(B−Y)(2,4)は、以下の式で示される。画素D(2,4)は、緑の受光データだけの対応画素である。
【0456】
【数26】
Figure 0003617887
【0457】
この輝度データYは、各画素D毎に個別的に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配列は、原画像の対応画素の数および配列と等しい。
【0458】
原画像の全ての対応画素の配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図59からそれぞれ周期PH/2,PVとわかる。このことから、この第1出力画像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,fVとみなされる。また、赤および青の色彩光の対応画素だけの各配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図59から、周期2PH,2PVとわかる。このことから、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、空間周波数fH/2,fV/2とみなされる。
【0459】
図60は、上述した第1出力画像信号の輝度の基底帯域242、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域242の水平および垂直方向Hの空間周波数軸上の範囲は、以下の式で表される。
【0460】
−fH≦f≦fH …(53)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(54)
さらに基底帯域242の第3斜め方向Wx,Wyの空間周波数軸上の範囲は、上述のサンプリング周波数fwx,fwyの半分となる。したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域242は、以下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0461】
(−fH,0)
( fH,0)
( 0,fV/2)
この基底帯域242内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の5箇所に存在する。
【0462】
(−fH ,0)
( fH ,0)
(−fH/2,0)
( fH/2,0)
( 0,fV/2)
さらに、基底帯域242近傍の以下の2箇所にも、色差信号のモアレのキャリア周波数がある。
【0463】
(−fH/2,fV/2)
( fH/2,fV/2)
前述した第1状態の可変空間フィルタ90の第1減衰量は、基底帯域242のうち、空間周波数±fH/2上の成分および空間周波数±fV/2上の成分を減衰させるように定められる。これによって、基底帯域242の垂直方向Vの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域242の各範囲全域よりも縮小される。また、水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域242の範囲の半分に縮小される。これによって、第1出力画像の水平および垂直方向H,Vの実質の解像度は、その分だけ基底帯域232から推測される理想の解像度よりも低下する。
【0464】
上述の撮像装置の高解像度モードの画像光の撮像動作は、第7実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。撮像素子の挙動は、撮像素子131とほぼ等しい。このとき、イメージシフト機構62は、画像光の結像位置を、図14の第1および第2結像位置Qa1,Qb1に移動させる。
【0465】
信号合成回路44は、まず、第2実施形態と同じ手法で第1および第2原画像信号から合成画像信号を生成する。この合成画像は、M×N個の対応画素および同数の仮想画素がM行2N列に配列されてなる。各対応画素は、2種類の受光データを有する。合成画像の水平および垂直方向H,Vの画素の配列周期は、それぞれ周期PH/2,PVである。
【0466】
図61は、上述の合成画像信号が表す合成画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン243を示す図である。この基本配列パターン243は、2行4列に配列される8個の画素からなる。画素D(1,1),D(1,3)は、緑と赤との対応画素である。D(2,2),D(2,4)は、緑と青との対応画素である。残余の画素は、全て仮想画素である。このことから、合成画像の対応画素の配列は原画像の対応画素の配列と等しく市松状であることがわかる。
【0467】
次いで信号処理回路44は、この合成画像信号から、第2出力画像の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第2行第2列の画素D(2,2)の輝度データY(2,2)、色差データ(R−Y)(2,2),(B−Y)(2,2)は、以下の式で示される。画素D(2,2)は、緑および青の受光データの対応画素である。
【0468】
【数27】
Figure 0003617887
【0469】
この輝度データYは、合成画像の各対応画素だけ個別的に直接求めることができる。仮想画素の輝度データは、周囲の対応画素の算出結果から補間する。ゆえに、合成画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるので、第2出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配列は、合成画像の対応画素の数および配列と等しく市松状である。
【0470】
合成画像の全ての対応画素の水平および垂直方向H,Vの配列周期、および緑の対応画素だけの該方向H,Vの配列周期は、図61からそれぞれ周期PH/2,PVとわかる。このことから、この第2出力画像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,fVとみなされる。また、赤および青の色彩光の対応画素だけの各配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図61から、それぞれ周期PH,2PVとわかる。このことから、色差信号の水平、および垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、緑に関して空間周波数2fH,fV、赤および青に関して空間周波数fH,fV/2,とみなされる。さらに、図61から、前述の第2斜め方向Uαの配列周期が2倍となったことがわかる。
【0471】
図62は、上述した第2出力画像信号の輝度の基底帯域244、および色差信号のモアレのキャリア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基底帯域244は、第1出力画像信号の基底帯域242と等しく、その水平および垂直方向Hの空間周波数軸上の範囲は、以下の式で表される。
【0472】
−fH≦f≦fH …(53)
(−fV/2)≦f≦(fV/2) …(54)
この第1および第2象限の輝度の基底帯域244は、以下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0473】
(−fH,0)
( fH,0)
( 0,fV/2)
この基底帯域244内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数は、以下の3箇所に存在する。
【0474】
(−fH ,0)
( fH ,0)
( 0,fV/2)
前述した第2状態の可変空間フィルタ90は画像光の空間周波数成分のうち、空間周波数±fV/2の空間周波数成分を減衰させる。これによって、基底帯域244の垂直方向Vの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域244の垂直方向Vの範囲全域よりも縮小される。また、第2状態のフィルタ90は、水平方向Hの空間周波数成分を減衰させないが、光学系のMTFおよび撮像素子のアパーチャ効果によって、水平方向Hの空間周波数±fH近傍の成分が減衰される。これによって、基底帯域244の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域242の範囲未満に縮小されるが、第1出力画像信号の実質の幅よりも拡大する。これによって、第2出力画像の水平方向Hの実質の解像度が、第1出力画像の水平方向Hの実質の解像度よりも向上される。
【0475】
本発明の第11実施形態の撮像装置を以下に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系、色フィルタおよび撮像素子以外の構成要素の構造は、第10実施形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。本実施形態の撮像装置は、第8実施形態に示す全画素読出し型の撮像素子を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像し、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0476】
光学系のうち、イメージシフト機構62および可変空間フィルタ90の内部構造は等しいが、その設置状態が異なる。機構62については後述する。フィルタ90は、複屈折板91の分離ベクトルB1が、水平方向Hと平行になるように設置される。これによって、第1状態のフィルタ90は、水平および垂直方向H,Vの空間周波数成分のうち、空間周波数±fH/2の成分を減衰させ、また空間周波数±fV/2の成分の振幅を減衰させる。また、第2状態のフィルタ90は、水平方向Hの空間周波数成分のうち、空間周波数±fH/2の成分の振幅を減衰させる。
【0477】
色フィルタは、その設置場所、通過可能な色彩光の組合わせ、ならびに透光領域の数が第10実施形態の色フィルタと等しく、色配列だけが異なる。ゆえに、第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青および緑の3色である。透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PV/2であり、第8実施形態の色フィルタと等しい。また、該色フィルタは、第9実施形態の色フィルタと同じ理由で、緑の透光領域が赤および青の各透光領域の数の2倍の数だけ準備される。
【0478】
図63は、上述の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン246を示す図である。この基本配列パターン246は、4つの透光領域Lからなり、第1〜第3色彩光を通過させる。これら透光領域Lは、隣接する2つの列の各透光領域Lが、長さPV/2だけ相互にずれて配列され、4行2列の基本の配列に市松状に並べられた配列と等価である。
【0479】
この基本配列パターン246において、透光領域L(1,1),L(4,2)は、緑の透光領域である。透光領域L(3,1)は、赤の透光領域である。透光領域L(2,2)は、青の透光領域である。この基本配列パターン246は、第10実施形態の撮像装置の色フィルタの基本配列パターンの透光領域Lの行と列との配列関係および色配列を水平および垂直方向H,Vに対して入換えた配列である。
【0480】
撮像素子は、この色フィルタを介して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画像信号の画素の配列および各画素と受光データとの対応関係は、この色フィルタの画素配列および色配列と等価であり、各対応画素は単一の色彩光の受光データだけを有する。
【0481】
上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮像動作は、第10実施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第10実施形態と等しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画像の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このときの算出式は、上述の式(67)〜式(69)と類似であり、各基底帯域244の対応画素の行列番号を行および列に関して入換えた点だけが異なる。
【0482】
このようにして得られた第1出力画像信号の基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図60と線対称な図形である。すなわち、図60の空間周波数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だけを入換えた図と等しい。
【0483】
この図から、水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸上の空間周波数±fH/2,±fV/2に、それぞれモアレのキャリア周波数があることがわかる。したがって、第1出力画像信号の輝度の基底帯域の水平および垂直方向H,Vの実質の幅は、空間周波数±fH/2,±fV/2未満にそれぞれ制限される。したがって、本実施形態の通常モードの第1出力画像の解像度は、第10実施形態の第1出力画像信号とほぼ等しい。
【0484】
上述の撮像装置の高解像度モードの画像光の撮像動作は、第10実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、第10実施形態と等しい。このとき、画像光の第1および第2結像位置の位置関係は、垂直方向Vに長さPVだけ相互に離れるように定められる。イメージシフト機構62の仮想基準軸線の設置状態および第2状態の屈折板71の傾斜角度は、画像光の光軸を上述の第1および第2結像位置に平行移動させられるように、第10実施形態と比較して、各部材の設置状態の水平および垂直方向H,Vを入換えるように定められる。
【0485】
信号処理回路44で生成される合成画像信号の等価的な画素の基本配列パターンは、図61の基本配列パターン243と類似であり、その配列周期が等しく、その対応画素の色配列の水平および垂直方向H,Vだけを入換えた配列である。該回路44は、この合成画像信号から、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このときの算出式は、上述の式(70)〜式(72)と類似であり、各対応画素の行列番号を行および列に関して入換えた点だけが異なる。
【0486】
この第2出力画像信号の輝度の基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図62と線対称の図形である。すなわち、図62の空間周波数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だけを入換えた図と等しい。
【0487】
この図から、第2出力画像信号の輝度の基底帯域は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域と等しいことがわかる。また、第1出力画像信号で垂直方向Hの空間周波数±fV/2に現れるモアレのキャリア周波数が消える。これによって、該基底帯域の垂直方向Vの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域の範囲未満に縮小されるが、第1出力画像信号の実質の幅よりも拡大する。これによって、第2出力画像信号の垂直方向Vの実質の解像度が、第1出力画像信号の実質の解像度よりも向上される。以上の結果から、本実施形態の撮像装置の第2出力画像の解像度は、第10実施形態の第2出力画像と比較して、垂直方向Vに関して向上される。
【0488】
上述の第1〜第11実施形態の撮像装置では、イメージシフト機構62に代わって、以下に説明する可変頂角プリズム251を用いても良い。
【0489】
可変頂角プリズム251を、図64〜図67を用いて以下に詳細に説明する。この可変頂角プリズムは、たとえば「ITEJ Technical Report Vol.17,No.5,pp.15〜20,CE’93−3(Jan,1993)」に開示されている。
【0490】
図64は、可変頂角プリズム251の具体的な構成を説明するための斜視図である。図65は、可変頂角プリズム251のA−A断面図である。図64と図65とを併せて説明する。
【0491】
可変頂角プリズム251は、透明円板253,254、蛇腹部材255、および液体層256を含んで構成される。蛇腹部材255は略円筒状のフィルム部材によって形成され、その中心軸線に沿って中空部分が形成される。透明円板253,254はたとえばガラス板で実現され、蛇腹部材255の中空部分の開口部をふさぐように設置される。液体層256は、透明円板253,254で蛇腹部材255の内部の中空部分を密閉する前に、その中空部分に、屈折率が1以上の高屈折率の液体を充填して形成される。蛇腹部分255の中心軸線と画像光の光軸方向Zとは平行であり、画像光の光軸64は、透明円板253、液体層256および透明円板254をこの順で通過する。
【0492】
また、透明円板253,254には、相互に直交する方向に回転軸258,259が設置される。これによって、たとえば各透明円板253,254は、矢符260,261に示す相互に直交する2方向に角変位する。この2本の回転軸の258,259のうち、一方の回転軸258は、前述したイメージシフト機構62の仮想基準軸線と同じ方向に平行となるように設置される。また、他方の回転軸259が機構62の仮想基準軸線と同じ方向に平行となるように設置されても良い。
【0493】
これら回転軸258,259には、駆動手段として、図示しない駆動用コイル、制動用コイルおよび回転角検出センサが取付けられる。駆動用コイルおよび制動用コイルが透明円板253を角変位させるとき、回転角検出センサは、その角変位量を常に検出する。該コイルは、この検出結果に基づいて、透明円板253の光軸64に対する傾斜角度を徴調整する。たとえば、センサの検出結果と予め定める目標値とを比較してその誤差量を求め、該誤差量が0となるように、透明円板253の角変位量を決定して、各コイルを駆動する。この制御手法は、いわゆるフィードバック制御である。
【0494】
可変頂角プリズム251は、透明円板253,254のなす角度に応じて、第1および第2状態を取る。プリズム251が第1および第2状態を保持するとき、画像光の結像位置は、第1および第2結像位置にそれぞれ保持される。可変頂角プリズムの251の作動原理について、以下に説明する。
【0495】
図66は、第1状態の可変頂角プリズム251を示す断面図である。第1状態では、透明円板253,254は相互に平行に設置され、かつ各透明円板253,254が、入射前の画像光の光軸64aと直交する。このとき、プリズム251に入射した光線は、液晶層256内を直進する。ゆえに、プリズム251射出後の画像光の光軸64bは、入射前の光軸64aの延長線と一致する。
【0496】
図67は、第2状態の可変頂角プリズム251を示す断面図である。第2状態では、透明円板253の入射面の法線と入射前の画像光の光軸64aとのなす角度が角度θ11となるように、透明円板253が傾斜される。また、透明円板254は、光軸64aと直交する。
【0497】
このとき、透明円板253を通過して、液体層256に入射した画像光の光軸265は、透明平板253の法線264と、角度θ12をなして交差する。この角度θ12と角度θ11との間には、以下の関係が成立つ。
【0498】
sin(θ11)= n・ sin(θ12) …(73)
上式で、「n」は、液体層256の充填液体の屈折率を表す。
【0499】
この画像光は、液体層256内を直進し、透明円板254を通過して、プリズム251から射出する。このとき、この画像光の透明円板254への入射角は、角度θ11と角度θ12との差分である角度θ11−θ12である。また、プリズム251射出後の光軸64bと、透明平板254の入射面の法線266とのなす角度は、角度θ13である。これら角度θ11−θ12,θ13の間には、以下の関係が成立つ。
【0500】
n・ sin(θ11−θ12)= sin(θ13) …(74)
ここで角度θ11,θ12,θ13をそれぞれ微少角度δθ11,δθ12,δθ13とすると、次の近似式が成立つ。
【0501】
δθ11=n・δθ12 …(75)
n・δ(θ11−θ12)=δθ13 …(76)
上式から、微小角δθ11,δθ13の間に以下の関係が成立つ。
【0502】
δθ13/δθ11 = n−1 …(77)
上式から、たとえば屈折率nの値が1.5程度の液体で液体層256を形成すると、透明円板253の傾斜角度の約半分の角度で、射出後の画像光の光軸を傾斜させることができる。
【0503】
以上のような動作に基づいて、画像光の光軸を移動させることができる。この可変頂角プリズム251の状態を第1および第2結像位置のそれぞれ切換えることによって、上述のイメージシフト動作を行うことが可能になる。
【0504】
さらにまた、上述の第1〜第11実施形態の撮像装置は、イメージシフト機構62に代わって、光学系内のいずれか1つまたは複数のレンズを、移動量を検出しながら圧電素子などの構成部材を用いて変位させる構成を有し、レンズの移動によって、イメージシフト動作を行ってよい。また、イメージシフト機構62に代わって、撮像素子または撮像素子と光学系とを含むブロックを、移動量を検出しながら圧電素子などの構成部材を用いて変位させる構成を有し、画像光の光軸を固定した状態での撮像素子の移動によって、イメージシフト動作を行ってよい。このようにイメージシフト動作のための機構は、上述の第1および第2結像位置に結像位置を移動できるものであれば、上述の機構に限らずどのような構造の機構を用いても良い。
【0505】
さらに、上述のイメージシフト機構62の屈折板71は、無色透明のガラス板に代わって、赤外線除去用に着色された有色透明平板で実現されてもよい。このとき、撮像装置の光学系には、必ず赤外線除外用の透明平板を挿入する必要があるので、屈折板71とこの透明平板とを併用させることによって、撮像装置の部品点数を減少させることができる。
【0506】
また、可変空間フィルタは、上述の第1および第2減衰量で画像光の空間周波数成分を減衰させることができるものがあれば、上述の機構に限らずどのような構造の装置を用いても良い。
【0507】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、本発明の撮像装置は、2ポジションイメージシフト動作を行って得た2つの原画像信号から、単一の合成画像信号を生成する。これによって、本発明の撮像装置の等価撮像時間が、従来技術の撮像装置の等価撮像時間の半分以下になるので、手ぶれおよび被写体移動に起因する画質劣化が生じにくい。したがって、イメージシフトの画像合成処理によって解像度を向上させることができる撮像条件が緩和される。
【0508】
また、2ポジションイメージシフト動作は、結像位置の移動方向が1方向だけなので、結像位置の移動手段の構造が従来の装置よりも簡略化される。さらに、該シフト動作では、合成処理前に原画像信号をストアするためのメモリの容量がを従来の装置よりも減少する。これによって、移動手段およびメモリに関する製造コストを低減させることができる。
【0509】
また本発明によれば、撮像装置は、表示手段の主走査方向の空間周波数軸に関し、原画像信号に生じたモアレを合成処理で除去することができるように、イメージシフト動作を行う。さらにまた本発明によれば、イメージシフト動作の第1および第2結像位置は、上述したようにモアレの除去効果が生じ、同時に基底帯域が水平方向に拡大されるように、色分離フィルタ手段の各透光領域の色配列、撮像素子の種類を加味して決定される。これによって、少なくとも水平方向の空間周波数軸に関して、本来の合成画像信号の空間周波数平面上の基底帯域の幅を制限する必要がなくなる。したがって、基底帯域の幅を広げたことと同様の効果を得ることができ、画像の解像度を向上させることができる。
【0510】
また本発明によれば、撮像装置では、2次元CCDイメージセンサの電子シャッタと、機械的なシャッタ手段とを併用して、画像光撮像時の露光時間を制御する。これによって、イメージセンサの転送用電荷結像素子の動作状態に拘わらず、2回目の画像光の撮像を行うことができるので、等価撮像時間をさらに短縮することができる。したがって、合成画像に画質に対する手ぶれおよび被写体移動の影響をさらに軽減することができる。
【0511】
さらにまた本発明によれば、前記移動手段は、屈折板を圧電素子で駆動する構成を有する。この移動手段は、構成要素が少なく、さらに傾斜板を含む各構成部材の小型化が容易であるので、携帯用の撮像装置にも適用することができる。
【0512】
また本発明によれば、前記移動手段は、光学的手ぶれ補正装置にも用いられる可変頂角プリズムである。これによって、光学的手ぶれ補正装置をこの撮像装置に組み込むとき、装置の部品点数を減少させることができる。
【0513】
また本発明によれば、撮像装置は、原画像信号と合成画像信号とをそれぞれ出力する2つのモードを有し、各モードごとに可変空間フィルタにおける空間周波数成分の減衰量を変更する。これによって、原画像および合成画像の両方の画質を充分に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である撮像装置31の構成を示すブロック図である。
【図2】撮像素子34の結像面の具体的な構成を示す平面図である。
【図3】色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン56を示す図である。
【図4】原画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン57を示す図である。
【図5】光学系33の集光レンズ61,およびイメージシフト機構62の屈折板71、ならびに撮像素子64の位置関係を示す図である。
【図6】イメージシフト機構62の具体的な構成を示す斜視図である。
【図7】可変空間フィルタ90の具体的な構成を示す斜視図である。
【図8】第1状態の可変空間フィルタ90の複屈折板91〜93の分離ベクトルB1〜B3を示す図である。
【図9】第1状態の可変空間フィルタ90の複屈折板91〜93を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面を示す図である。
【図10】第2状態の可変空間フィルタ90の複屈折板93の分離ベクトルB3aを示す図である。
【図11】第2状態の可変空間フィルタ90の複屈折板93を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面を示す図である。
【図12】水平方向Hの空間周波数軸に対する輝度信号および色差信号のスペクトルを示すグラフである。
【図13】第1出力画像信号の輝度の基底帯域111および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図14】高解像度モードでの撮像素子34の結像面における画像光の第1および第2結像位置Qa1,Qb1の位置関係を示す図である。
【図15】合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン113を示す図である。
【図16】第2出力画像信号の輝度の基底帯域115および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図17】本発明の第2実施形態である撮像装置の撮像素子131の結像面の具体的な構成を示す平面図である。
【図18】第2実施形態の撮像装置に備えられるシャッタ機構141の具体的な構成を示す斜視図、およびシャッタ板143の正面図である。
【図19】第2実施形態の撮像装置の高解像度モードにおいて、シャッタの開閉動作、オーバフロードレインの開閉動作、電荷読出し動作、露光動作、光軸の変位動作、およびデータ転送動作の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図20】第2実施形態のシャッタ機構141の電気的構成を示すブロック図である。
【図21】従来技術の撮像装置における高解像度モードの等価撮像時間Tes0を説明するためのタイミングチャートである。
【図22】電子シャッタだけを用いた2ポジションイメージシフトの全画素読出し型撮像装置における等価撮像時間Tes1を説明するためのタイミングチャートである。
【図23】第2実施形態の撮像装置の高解像度モードにおける等価撮像時間Tes2を説明するためのタイミングチャートである。
【図24】第1実施形態の撮像装置31の高解像度モードにおける等価撮像時間Tes3を説明するためのタイミングチャートである。
【図25】電子シャッタおよびシャッタ機構を併用した2ポジションイメージシフトの2画素混合読出し型撮像装置における等価撮像時間Tes4を説明するためのタイミングチャートである。
【図26】第2実施形態の撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン181を示す図である。
【図27】第2実施形態の撮像装置の第1出力画像信号の輝度の基底帯域182、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図28】第2実施形態の撮像装置の高解像度モードの合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン183を示す図である。
【図29】第2実施形態の撮像装置の第2出力画像信号の輝度の基底帯域184、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図30】本発明の第3実施形態である撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン186を示す図である。
【図31】本発明の第4実施形態である撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン191を示す図である。
【図32】第4実施形態の撮像装置に備えられる可変空間フィルタ200の具体的な構成を示す斜視図である。
【図33】第1状態の可変空間フィルタ200の複屈折板201〜203の分離ベクトルB4〜B6を示す図である。
【図34】第1状態の可変空間フィルタ200の複屈折板201〜203を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面を示す図である。
【図35】第2状態の可変空間フィルタ200の複屈折板203の分離ベクトルB6aを示す図である。
【図36】第2状態の可変空間フィルタ200の複屈折板203を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面を示す図である。
【図37】第4実施形態の撮像装置の第1出力画像信号の輝度の基底帯域192、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図38】第4実施形態の撮像装置の高解像度モードでの撮像素子の結像面における画像光の第1および第2結像位置Qa4,Qb4の位置関係を示す図である。
【図39】第4実施形態の撮像装置の高解像度モードの合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン193を示す図である。
【図40】第4実施形態の撮像装置の第2出力画像信号の輝度の基底帯域194、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図41】本発明の第5実施形態である撮像装置の第2出力画像信号の輝度の基底帯域196、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図42】本発明の第6実施形態である撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン198を示す図である。
【図43】第6実施形態の撮像装置の高解像度モードでの固体撮像素子の結像面における画像光の第1および第2結像位置Qa6,Qb6の位置関係を示す図である。
【図44】本発明の第7実施形態である撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン211を示す図である。
【図45】第7実施形態の撮像装置に備えられる可変空間フィルタ220の具体的構造を示す斜視図である。
【図46】第1状態の可変空間フィルタ220の複屈折板221〜225の分離ベクトルB11〜B15を示す図である。
【図47】複屈折板221,224,225の分離ベクトルB11,B14,B15の関係を示す図である。
【図48】第1状態の可変空間フィルタ200の複屈折板221〜225を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面を示す図である。
【図49】第2状態の可変空間フィルタ200の複屈折板223,225の分離ベクトルB13a,B15aを示す図である。
【図50】第2状態の可変空間フィルタ200の複屈折板223〜225を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面を示す図である。
【図51】第7実施形態の撮像装置の第1出力画像信号の輝度の基底帯域212、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図52】第7実施形態の撮像装置の高解像度モードでの撮像素子の結像面における画像光の第1および第2結像位置Qa7,Qb7の位置関係を示す図である。
【図53】第7実施形態の撮像装置の高解像度モードの合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン213を示す図である。
【図54】第7実施形態の撮像装置の第2出力画像信号の輝度の基底帯域214、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図55】本発明の第8実施形態である撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン216を示す図である。
【図56】本発明の第9実施形態である撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン231を示す図である。
【図57】第9実施形態の撮像装置の第1出力画像信号の輝度の基底帯域232、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図58】第9実施形態の撮像装置の高解像度モードの合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン233を示す図である。
【図59】本発明の第10実施形態である撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン241を示す図である。
【図60】第10実施形態の撮像装置の第1出力画像信号の輝度の基底帯域242、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図61】第10実施形態の撮像装置の高解像度モードの合成画像の画素の等価的な配列の基本配列パターン243を示す図である。
【図62】第10実施形態の撮像装置の第2出力画像信号の輝度の基底帯域244、および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図63】本発明の第11実施形態である撮像装置の色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン246を示す図である。
【図64】本発明の第1〜第11実施形態の撮像装置のイメージシフト機構の別の例である可変頂角プリズム251を示す斜視図である。
【図65】図63の可変頂角プリズム251のA−A断面図である。
【図66】第1状態の図63の可変頂角プリズム251のA−A断面図である。
【図67】第2状態の図63の可変頂角プリズム251のA−A断面図である。
【図68】第2の従来技術である電子スチルカメラ1の構成を示すブロック図である。
【図69】電子スチルカメラ1の撮像素子4の光入射側に備えられる色フィルタ16の透光領域17の配列状態を示す図である。
【図70】電子スチルカメラ1の高解像度モードの第1の例において、撮像素子の結像面における画像光の結像位置の移動位置の位置関係を示す図である。
【図71】電子スチルカメラ1の高解像度モードの第1の例において生成される出力画像のうち、基本配列パターン21に対応する部分の出力画像の画素配列を示す図である。
【図72】電子スチルカメラ1の高解像度モードの第2の例において、固体撮像素子の結像面における画像光の結像位置の移動位置の位置関係を示す図である。
【図73】電子スチルカメラ1の高解像度モードの第2の例において生成される出力画像のうち、基本配列パターン21に対応する部分の出力画像の画素配列を示す図である。
【符号の説明】
31 撮像装置
33 光学系
34,131 撮像素子
37 画像メモリ
44 信号処理回路
45 記録媒体
62 イメージシフト機構
71 屈折板
251 可変頂角プリズム

Claims (10)

  1. 複数の色彩光にそれぞれ対応し、入射される被写体からの画像光のうちの対応する色彩光だけを個別的に通過させる複数の透光領域を有し、該透光領域が2次元平面上に予め定める配列で配列される色分離フィルタと、
    画像光を撮像して画像信号を出力する撮像素子であって、
    色分離フィルタの透光領域に個別的に対応した受光領域が、透光領域の予め定める配列と同等の配列で2次元平面上に配列され、
    各受光領域では対応した透光領域を通過した色彩光だけを受光し、
    各受光領域の受光量を示す画素データから構成される画像信号を出力する撮像素子と、
    撮像素子に入射される画像光の結像位置を、予め定める第1および第2移動位置に相対的に移動させる移動手段と、
    移動手段における結像位置の移動が行われるたびに、予め定める露光時間だけ撮像素子における画像光の受光を許容する露光許容手段と、
    撮像素子の出力に応答し、出力された2つの画像信号を撮像時の結像位置の離反量だけ位置の移動方向とは逆方向にずらして重ね合わせて、合成画像信号を生成する画像生成手段と、
    画像光の撮像が開始されると、移動手段によって画像光の結像位置を第1および第2移動位置のいずれか一方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与え、次いで移動手段によって結像位置をいずれか他方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与える制御手段とを含み、
    前記色分離フィルタの透光領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3透光領域に区分され、
    該透光領域の予め定める配列は、
    相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列であって、
    第1透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿って第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、さらに他方方向に沿って両側に第1透光領域が隣接し、
    第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第3透光領域が隣接し、他方方向に沿って両側に第2透光領域が隣接し、
    第3透光領域には、他方方向に沿って両側に第3透光領域が隣接しており、
    前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを、他方方向に沿って隣接する2つの各受光領域毎に混合して、一括して出力し、
    前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
    前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の周期の長さの2分の3倍の長さだけ、かつ他方方向に第2の周期の長さの半分の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする撮像装置。
  2. 複数の色彩光にそれぞれ対応し、入射される被写体からの画像光のうちの対応する色彩光だけを個別的に通過させる複数の透光領域を有し、該透光領域が2次元平面上に予め定める配列で配列される色分離フィルタと、
    画像光を撮像して画像信号を出力する撮像素子であって、
    色分離フィルタの透光領域に個別的に対応した受光領域が、透光領域の予め定める配列と同等の配列で2次元平面上に配列され、
    各受光領域では対応した透光領域を通過した色彩光だけを受光し、
    各受光領域の受光量を示す画素データから構成される画像信号を出力する撮像素子と、
    撮像素子に入射される画像光の結像位置を、予め定める第1および第2移動位置に相対的に移動させる移動手段と、
    移動手段における結像位置の移動が行われるたびに、予め定める露光時間だけ撮像素子における画像光の受光を許容する露光許容手段と、
    撮像素子の出力に応答し、出力された2つの画像信号を撮像時の結像位置の離反量だけ位置の移動方向とは逆方向にずらして重ね合わせて、合成画像信号を生成する画像生成手段と、
    画像光の撮像が開始されると、移動手段によって画像光の結像位置を第1および第2移動位置のいずれか一方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与え、次いで移動手段によって結像位置をいずれか他方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与える制御手段とを含み、
    前記色分離フィルタの透光領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3透光領域に区分され、
    該透光領域の予め定める配列は、
    相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列であって、
    第1透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿って第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、さらに他方方向に沿って両側に第1透光領域が隣接し、
    第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第3透光領域が隣接し、他方方向に沿って両側に第2透光領域が隣接し、
    第3透光領域には、他方方向に沿って両側に第3透光領域が隣接しており、
    前記画像信号は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出力し、
    前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
    前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の周期長さの2分の3倍の長さだけ、かつ他方方向に第2周期の長さの半分の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする撮像装置。
  3. 複数の色彩光にそれぞれ対応し、入射される被写体からの画像光のうちの対応する色彩光だけを個別的に通過させる複数の透光領域を有し、該透光領域が2次元平面上に予め定める配列で配列される色分離フィルタと、
    画像光を撮像して画像信号を出力する撮像素子であって、
    色分離フィルタの透光領域に個別的に対応した受光領域が、透光領域の予め定める配列と同等の配列で2次元平面上に配列され、
    各受光領域では対応した透光領域を通過した色彩光だけを受光し、
    各受光領域の受光量を示す画素データから構成される画像信号を出力する撮像素子と、
    撮像素子に入射される画像光の結像位置を、予め定める第1および第2移動位置に相対的に移動させる移動手段と、
    移動手段における結像位置の移動が行われるたびに、予め定める露光時間だけ撮像素子における画像光の受光を許容する露光許容手段と、
    撮像素子の出力に応答し、出力された2つの画像信号を撮像時の結像位置の離反量だけ位置の移動方向とは逆方向にずらして重ね合わせて、合成画像信号を生成する画像生成手段と、
    画像光の撮像が開始されると、移動手段によって画像光の結像位置を第1および第2移動位置のいずれか一方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与え、次いで移動手段によって結像位置をいずれか他方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与える制御手段とを含み、
    前記色分離フィルタの複数の透光領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3透光領域に区分され、
    該透光領域の前記予め定める配列は、
    予め定める一方方向に平行に第1周期で直線状に配列された群が、一方方向と直交する他方方向に沿って第2周期で配列され、かつ他方方向に隣接する2つの群の各透光領域が一方方向に第1周期の半分の長さだけずれる配列であって、
    第1透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿って第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、
    第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第3透光領域が隣接し、さらに一方方向に第1周期の半分だけかつ他方方向に第2周期の長さだけずれた第3の向き側に、第1透光領域が隣接しており、
    前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出力し、
    前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
    前記第2移動位置は第1移動位置から他方方向に第2の周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする撮像装置。
  4. 複数の色彩光にそれぞれ対応し、入射される被写体からの画像光のうちの対応する色彩光だけを個別的に通過させる複数の透光領域を有し、該透光領域が2次元平面上に予め定める配列で配列される色分離フィルタと、
    画像光を撮像して画像信号を出力する撮像素子であって、
    色分離フィルタの透光領域に個別的に対応した受光領域が、透光領域の予め定める配列と同等の配列で2次元平面上に配列され、
    各受光領域では対応した透光領域を通過した色彩光だけを受光し、
    各受光領域の受光量を示す画素データから構成される画像信号を出力する撮像素子と、
    撮像素子に入射される画像光の結像位置を、予め定める第1および第2移動位置に相対的に移動させる移動手段と、
    移動手段における結像位置の移動が行われるたびに、予め定める露光時間だけ撮像素子における画像光の受光を許容する露光許容手段と、
    撮像素子の出力に応答し、出力された2つの画像信号を撮像時の結像位置の離反量だけ位置の移動方向とは逆方向にずらして重ね合わせて、合成画像信号を生成する画像生成手段と、
    画像光の撮像が開始されると、移動手段によって画像光の結像位置を第1および第2移動位置のいずれか一方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与え、次いで移動手段によって結像位置をいずれか他方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与える制御手段とを含み、
    前記色分離フィルタの複数の透光領域は、第1〜第3色彩光にそれぞれ対応する第1〜第3透光領域に区分され、
    該透光領域の予め定める配列は、
    相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列であって、
    第1および第2透光領域が一方方向に沿って交互に配列される直線状の第1群と、第1および第3透光領域が一方方向に沿って交互に配列される直線状の第2群とが、他方方向に沿って交互に隣接し、
    かつ第1群の第1透光領域には、第3透光領域が他方方向の両側に隣接しており、
    前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出力し、
    前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
    前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする撮像装置。
  5. 複数の色彩光にそれぞれ対応し、入射される被写体からの画像光のうちの対応する色彩光だけを個別的に通過させる複数の透光領域を有し、該透光領域が2次元平面上に予め定める配列で配列される色分離フィルタと、
    画像光を撮像して画像信号を出力する撮像素子であって、
    色分離フィルタの透光領域に個別的に対応した受光領域が、透光領域の予め定める配列と同等の配列で2次元平面上に配列され、
    各受光領域では対応した透光領域を通過した色彩光だけを受光し、
    各受光領域の受光量を示す画素データから構成される画像信号を出力する撮像素子と、
    撮像素子に入射される画像光の結像位置を、予め定める第1および第2移動位置に相対的に移動させる移動手段と、
    移動手段における結像位置の移動が行われるたびに、予め定める露光時間だけ撮像素子における画像光の受光を許容する露光許容手段と、
    撮像素子の出力に応答し、出力された2つの画像信号を撮像時の結像位置の離反量だけ位置の移動方向とは逆方向にずらして重ね合わせて、合成画像信号を生成する画像生成手段と、
    画像光の撮像が開始されると、移動手段によって画像光の結像位置を第1および第2移動位置のいずれか一方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与え、次いで移動手段によって結像位置をいずれか他方位置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与える制御手段とを含み、
    前記色分離フィルタの複数の透光領域は、第1〜第3色彩光にそれぞれ対応する第1〜第3透光領域に区分され、
    該透光領域の予め定める配列は、
    第1および第2透光領域が予め定める一方方向に沿って予め定める第1周期で直線状に配列された第1群と、第1および第3透光領域が一方方向に沿って第1周期で直線状に配列された第2群とが、一方方向と直交する他方方向に沿って予め定める第2周期で交互に配列され、
    かつ第1群の第1透光領域には、一方方向に第1周期の長さの半分の長さだけかつ他方方向に第2周期の長さだけずれた向き側に、第3透光領域が隣接する配列であって、
    前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出力し、
    前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
    前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とする撮像装置。
  6. 前記合成画像信号は、複数の画素データから構成され、
    合成画像信号が表す合成画像を目視表示する目視表示領域を有する表示手段であって、
    目視表示領域は、合成画像信号の各画素データを目視表示する複数の表示画素が、2次元平面上に、相互に直交する予め定める主走査方向および副走査方向にそれぞれ平行に、行列状に配列されて形成され、
    主走査方向に沿う表示画素の配列数が、副走査方向に沿う表示画素の配列数よりも多くなる表示手段をさらに有し、
    前記第1および第2移動位置は、合成画像の主走査方向の空間周波数のモアレを消すことができる方向に離反していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の撮像装置。
  7. 前記露光許容手段は、
    前記撮像素子の受光領域における電荷の蓄積を許容または禁止する第1許容手段と、
    撮像素子に入射する画像光を通過または遮断する第2許容手段とを含み、
    前記制御手段は、
    前記第1および第2移動位置の前記いずれか一方位置における画像光の撮像時には、第2許容手段によって画像光を通過させ、かつ前記露光時間の間だけ第1許容手段によって電荷の蓄積を許容させ、
    前記いずれか他方位置における撮像時には、第1許容手段によって受光領域に電荷の蓄積を許容し、かつ露光時間の間だけ第2許容手段によって画像光を通過させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の撮像装置。
  8. 前記画像光を集光して、撮像素子の各受光領域上に結像させる光学系をさらに含み、
    前記移動手段は、
    透光性を有する平板状の屈折板と、
    屈折板の両側方に、その表面が屈折板の表面にほぼ平行になるように配設される一対のバイモルフ型圧電素子であって、該素子の長手方向の一方の自由端が屈折板の一端に接合され、屈折板の他端が該素子の他方の固定端に向かって延びるように屈折板を支持し、屈折板内を通る仮想回転中心を中心として該屈折板を傾斜させる1対のバイモルフ型圧電素子と、
    光学系の光軸線と屈折板の法線との成す傾斜角度を検出する検出手段と、
    検出手段の出力と予め定める目標値とを比較し、その誤差量を出力する比較手段と、
    比較手段の出力に応答し、屈折板の傾斜角度が予め定める目標値となるように、一対のバイモルフ型圧電素子を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の撮像装置。
  9. 前記画像光を集光して、撮像素子の各受光領域上に結像させる光学系をさらに含み、
    前記移動手段は、
    透光性を有し、相互に直交する仮想回転中心を有する平板状の1対の透明平板と、
    各仮想回転中心を中心として、該透明平板を傾斜させる傾斜手段と、
    透明平板間に介在され、変形可能であって空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する屈折物質層と、
    光学系の光軸線と各透明平板の法線との成す傾斜角度をそれぞれ検出する検出手段と、
    検出手段の出力と予め定める目標角度とを比較し、その誤差量を出力する比較手段と、
    比較手段の出力に応答し、傾斜角度が予め定める目標角度となるように、一傾斜手段を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の撮像装置。
  10. 移動手段における結像位置の移動を許容または禁止する移動判定手段と、
    撮像素子に入射される画像光の空間周波数成分を減衰させる可変空間フィルタであって、結像位置の移動が禁止されるときには空間周波数成分を第1の減衰量だけ減衰させ、許容されるときには第2の減衰量だけ減衰させる可変空間フィルタとをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の撮像装置。
JP27116996A 1996-10-14 1996-10-14 撮像装置 Expired - Fee Related JP3617887B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27116996A JP3617887B2 (ja) 1996-10-14 1996-10-14 撮像装置
US08/950,361 US6577341B1 (en) 1996-10-14 1997-10-14 Imaging apparatus
EP97117746A EP0836330A3 (en) 1996-10-14 1997-10-14 Colour imaging apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27116996A JP3617887B2 (ja) 1996-10-14 1996-10-14 撮像装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10126797A JPH10126797A (ja) 1998-05-15
JP3617887B2 true JP3617887B2 (ja) 2005-02-09

Family

ID=17496309

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27116996A Expired - Fee Related JP3617887B2 (ja) 1996-10-14 1996-10-14 撮像装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US6577341B1 (ja)
EP (1) EP0836330A3 (ja)
JP (1) JP3617887B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11282177B2 (en) * 2019-11-27 2022-03-22 Boe Technology Group Co., Ltd. Moire quantitative evaluation method and device, electronic device, storage medium

Families Citing this family (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7123299B1 (en) * 1999-04-15 2006-10-17 Olympus Optical Co., Ltd. Color image pickup device and color image pickup apparatus including a randomized color coding array
US7088391B2 (en) * 1999-09-01 2006-08-08 Florida Atlantic University Color video camera for film origination with color sensor and luminance sensor
JP2001094883A (ja) * 1999-09-17 2001-04-06 Victor Co Of Japan Ltd 固体撮像装置
US7230646B2 (en) * 1999-12-22 2007-06-12 Florida Atlantic University Single sensor electronic video camera technique with diagonally coupled pixels
JP2001188202A (ja) * 1999-12-28 2001-07-10 Victor Co Of Japan Ltd 撮像装置
US6967677B1 (en) * 2000-09-15 2005-11-22 Sinar Ag Microscan guidance
JP2002176588A (ja) * 2000-12-06 2002-06-21 Canon Inc 撮像方法及び撮像装置並びに記憶媒体
US7408584B2 (en) 2001-08-22 2008-08-05 Florida Atlantic University Producing video signals using sensor and lenticular lens pattern
US7834927B2 (en) 2001-08-22 2010-11-16 Florida Atlantic University Apparatus and method for producing video signals
US20030063185A1 (en) * 2001-09-28 2003-04-03 Bell Cynthia S. Three-dimensional imaging with complementary color filter arrays
KR100485059B1 (ko) * 2001-10-19 2005-04-22 후지쓰 텐 가부시키가이샤 화상표시장치
JP4097966B2 (ja) * 2002-03-22 2008-06-11 オリンパス株式会社 画像取得装置
JP4426946B2 (ja) * 2004-10-27 2010-03-03 オリンパス株式会社 デジタルカメラシステム
KR101075047B1 (ko) * 2005-06-03 2011-10-19 미디어팟 엘엘씨 다차원 이미징 시스템 및 방법
US8305398B2 (en) * 2005-07-01 2012-11-06 Microsoft Corporation Rendering and compositing multiple applications in an interactive media environment
US7941522B2 (en) * 2005-07-01 2011-05-10 Microsoft Corporation Application security in an interactive media environment
US8656268B2 (en) 2005-07-01 2014-02-18 Microsoft Corporation Queueing events in an interactive media environment
US8108787B2 (en) * 2005-07-01 2012-01-31 Microsoft Corporation Distributing input events to multiple applications in an interactive media environment
US8020084B2 (en) 2005-07-01 2011-09-13 Microsoft Corporation Synchronization aspects of interactive multimedia presentation management
US8799757B2 (en) * 2005-07-01 2014-08-05 Microsoft Corporation Synchronization aspects of interactive multimedia presentation management
US20070006065A1 (en) * 2005-07-01 2007-01-04 Microsoft Corporation Conditional event timing for interactive multimedia presentations
US20070006062A1 (en) * 2005-07-01 2007-01-04 Microsoft Corporation Synchronization aspects of interactive multimedia presentation management
US7721308B2 (en) 2005-07-01 2010-05-18 Microsoft Corproation Synchronization aspects of interactive multimedia presentation management
US8072502B2 (en) * 2005-12-12 2011-12-06 Sony Ericsson Mobile Communications Ab Multi-mega pixel resolution with small sensor
ATE467147T1 (de) * 2006-05-24 2010-05-15 Stueckler Gerd Verfahren zur raumfilterung und bildaufnahmegerät
WO2008067472A2 (en) * 2006-11-29 2008-06-05 President And Fellows Of Harvard College A new spatio-spectral sampling paradigm for imaging and a novel color filter array design
JP2010010958A (ja) * 2008-06-25 2010-01-14 Olympus Corp マルチバンド画像撮像方法および装置
JP5569084B2 (ja) * 2010-03-25 2014-08-13 セイコーエプソン株式会社 画像表示装置および画像表示方法
JP6222935B2 (ja) * 2013-02-14 2017-11-01 キヤノン株式会社 画像形成装置
US8917327B1 (en) * 2013-10-04 2014-12-23 icClarity, Inc. Method to use array sensors to measure multiple types of data at full resolution of the sensor

Family Cites Families (39)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58169966A (ja) * 1982-03-31 1983-10-06 Toshiba Corp 固体撮像装置の駆動方式
JPS59174085A (ja) * 1983-03-23 1984-10-02 Toshiba Corp カラ−固体撮像装置
JPS6077733A (ja) 1983-10-03 1985-05-02 オリンパス光学工業株式会社 撮像用自動調光装置
JPS62115985A (ja) 1985-11-14 1987-05-27 Toshiba Corp 固体カラ−撮像装置
JPS62226789A (ja) 1986-03-27 1987-10-05 Toshiba Corp 固体カラ−撮像装置
US4827348A (en) 1988-05-02 1989-05-02 Polaroid Corporation Exposure control system for dual mode electronic imaging camera
JPH02137590A (ja) * 1988-11-18 1990-05-25 Brother Ind Ltd 画像入力装置
JPH03226078A (ja) * 1990-01-30 1991-10-07 Minolta Camera Co Ltd ビデオカメラ
JP2722753B2 (ja) 1990-02-27 1998-03-09 富士写真フイルム株式会社 光学フィルタ
JP3109084B2 (ja) 1990-07-11 2000-11-13 ミノルタ株式会社 ディジタルスチルカメラ
JP2840401B2 (ja) 1990-07-17 1998-12-24 キヤノン株式会社 ビデオカメラ装置
JP2845604B2 (ja) 1990-10-17 1999-01-13 アイワ株式会社 カラー固体撮像装置
JP3018101B2 (ja) 1990-11-06 2000-03-13 キヤノン株式会社 カラー撮像装置
JPH05347766A (ja) 1991-03-29 1993-12-27 Toshiba Corp 画像入力装置
JP3248695B2 (ja) 1991-08-31 2002-01-21 マツダ株式会社 ワークの加工方法及び加工装置
JPH05344432A (ja) 1992-06-09 1993-12-24 Sony Corp 固体撮像装置
JP3380913B2 (ja) * 1992-06-11 2003-02-24 ソニー株式会社 固体撮像装置
JP2635917B2 (ja) 1992-09-11 1997-07-30 株式会社東芝 電子スチルカメラ
US5402171A (en) * 1992-09-11 1995-03-28 Kabushiki Kaisha Toshiba Electronic still camera with improved picture resolution by image shifting in a parallelogram arrangement
JPH0715732A (ja) 1993-06-23 1995-01-17 Sony Corp カラー撮像装置
JPH0799664A (ja) 1993-09-28 1995-04-11 Sanyo Electric Co Ltd 高精細撮像装置
JPH07123421A (ja) 1993-10-27 1995-05-12 Canon Inc 撮像装置
US5889553A (en) * 1993-11-17 1999-03-30 Canon Kabushiki Kaisha Image pickup apparatus capable of high resolution imaging
JPH07240932A (ja) 1994-02-28 1995-09-12 Canon Inc 撮像装置
JPH07322152A (ja) 1994-05-20 1995-12-08 Canon Inc 撮像方法及び撮像装置
JPH07322121A (ja) * 1994-05-20 1995-12-08 Canon Inc 高画質画像入力装置
JP3038134B2 (ja) 1994-06-20 2000-05-08 シャープ株式会社 撮像装置
JP3382359B2 (ja) 1994-07-22 2003-03-04 キヤノン株式会社 撮像装置
JP3190220B2 (ja) * 1994-12-20 2001-07-23 シャープ株式会社 撮像装置
JPH08250692A (ja) * 1995-03-10 1996-09-27 Sharp Corp 光学装置
JPH08275184A (ja) 1995-03-30 1996-10-18 Sony Corp 撮像装置
JP3471156B2 (ja) * 1995-05-30 2003-11-25 シャープ株式会社 イメージシフト機構および撮像装置
JPH0974524A (ja) * 1995-07-05 1997-03-18 Sharp Corp 画像入力装置
JP3432051B2 (ja) * 1995-08-02 2003-07-28 キヤノン株式会社 光電変換装置
US5834761A (en) * 1996-03-22 1998-11-10 Sharp Kabushiki Kaisah Image input apparatus having a spatial filter controller
JP3229195B2 (ja) * 1996-03-22 2001-11-12 シャープ株式会社 画像入力装置
JP3223103B2 (ja) 1996-03-25 2001-10-29 シャープ株式会社 撮像装置
JP3495842B2 (ja) 1996-03-25 2004-02-09 シャープ株式会社 撮像装置
US5805217A (en) * 1996-06-14 1998-09-08 Iterated Systems, Inc. Method and system for interpolating missing picture elements in a single color component array obtained from a single color sensor

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11282177B2 (en) * 2019-11-27 2022-03-22 Boe Technology Group Co., Ltd. Moire quantitative evaluation method and device, electronic device, storage medium

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10126797A (ja) 1998-05-15
EP0836330A3 (en) 1999-12-01
EP0836330A2 (en) 1998-04-15
US6577341B1 (en) 2003-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3617887B2 (ja) 撮像装置
US8120690B2 (en) Imaging device
JP3704238B2 (ja) 撮像装置
WO1997017811A1 (fr) Procede et dispositif pour la prise de vue d'image fixe en couleur
US9100558B2 (en) Color imaging element and imaging apparatus
US20090096915A1 (en) Anti-aliasing spatial filter system
KR100841895B1 (ko) 이미지 센서 및 컬러 카메라
US20070206104A1 (en) Imaging apparatus
US20140307135A1 (en) Color imaging element
JP2009005390A (ja) 固体撮像装置
US8711257B2 (en) Color imaging device
JPH0718985B2 (ja) 固体撮像装置
JP3223103B2 (ja) 撮像装置
JP3497363B2 (ja) 画像合成処理方法、画像合成処理回路、及びカラー撮像装置
KR20220018023A (ko) 컬러 필터 어레이 장치
JP3597692B2 (ja) 撮像装置
JP2892177B2 (ja) カラー固体撮像装置
JP4356311B2 (ja) 固体撮像装置
JP4078093B2 (ja) 撮像装置
JPS6362492A (ja) カラ−画像用固体撮像素子
JPS60263592A (ja) 固体撮像装置
JP2003179940A (ja) 撮像装置及びこれを用いた表示システム
JP2012042857A (ja) 撮像装置
JPH0488780A (ja) カラー撮像素子
JPH04144381A (ja) 固体撮像装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081119

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091119

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091119

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101119

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111119

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees