JP3606291B2 - スルホニウム塩 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、微細加工技術に適した化学増幅ポジ型レジスト材料の成分として好適な新規なスルホニウム塩に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。遠紫外線リソグラフィーは、0.3〜0.4μmの加工も可能であり、光吸収の低いレジスト材料を用いた場合、基板に対して垂直に近い側壁を有したパターン形成が可能となる。また、近年、遠紫外線の光源として高輝度なKrFエキシマレーザーを利用する技術が注目されており、これが量産技術として用いられるためには、光吸収が低く、高感度なレジスト材料が要望されている。
【0003】
このような観点から、近年開発された酸を触媒とした化学増幅ポジ型レジスト材料(特公平2−27660号、特開昭63−27829号公報等)は、感度、解像度、ドライエッチング耐性が高く、優れた特徴を有するもので、遠紫外線リソグラフィーに特に有望なレジスト材料である。
【0004】
この場合、化学増幅ポジ型レジスト材料においては、配合する酸発生剤が化学増幅ポジ型レジスト材料としての機能に特に大きな影響を及ぼすことが知られている。このような酸発生剤の代表的なものとしては、下記に示すオニウム塩が挙げられる。
【0005】
【化2】
【0006】
上記オニウム塩は、それ自体が油溶性の化合物であるので、レジスト成分として配合するとレジスト材料のアルカリ水溶液に対する溶解度を低下させると共に、現像時の膜減りを抑える効果を有する。
【0007】
しかしながら、ポジ型レジスト材料の場合、酸発生剤が高エネルギー線を吸収することにより生成する分解生成物もやはり油溶性であることから、この分解生成物が露光部のアルカリ水溶液に対する溶解速度を低下させ、露光部と未露光部のアルカリ溶解速度比(溶解コントラストという)を大きくすることができない。このため、上記オニウム塩を用いた化学増幅ポジ型レジスト材料は、アルカリ現像に際して解像性が低く、露光部の抜け性が悪いため、パターン形状が矩形にはならず、台形状の順テーパーとなるという欠点があった。
【0008】
そこで、この問題を解決するため、酸不安定基であるtert−ブトキシ基をトリフェニルスルホニウム塩のp位に導入し、高エネルギー線照射により分解、生成する酸の作用でアルカリ溶解性を持つフェノール誘導体を生成させ、溶解コントラストを大きくすることが行われている(特願平6−317626号参照)。しかし、このようなフェノール誘導体を生じるスルホニウム塩を用いても反射率の低い基板上で露光を行った場合には解像度の点で満足するものを得ることは困難であった。
【0009】
これは、上記スルホニウム塩の250nm付近の透過率が低く、レジスト膜としての透過性を低下させるため、反射率の低い基板を用いて露光を行った場合にレジスト膜上部、下部での光強度が異なり、酸の発生量に差が現れ、解像性を低下させるためと考えられる。
【0010】
また、従来の化学増幅ポジ型レジスト材料は、遠紫外線、電子線、X線リソグラフィーを行った際、露光からPEB(Post Exposure Bake)までの放置時間が長くなると、パターン形成した際にラインパターンがT−トップ形状になる、即ちパターン上部が太くなるという問題〔PED(Post Exposure Deley)と呼ぶ〕があり、これはレジスト膜表面の溶解性が低下するためと考えられ、実用に供する場合の大きな欠点となっている。この欠点のため、従来の化学増幅ポジ型レジスト材料は、リソグラフィー工程での寸法制御を難しくし、ドライエッチングを用いた基板加工に際しても寸法制御を損ねるという問題がある〔参考:W.Hinsberg,et.al.,J.Photopolym.Sci.Technol.,6(4),535−546(1993).,T.Kumada,et.al.,J.Photopolym.Sci.Technol.,6(4),571−574(1993).〕。この問題を解決し、満足できる化学増幅ポジ型レジスト材料は未だない。
【0011】
化学増幅ポジ型レジスト材料において、PEDの問題の原因は、空気中の塩基性化合物が大きく関与していると考えられている。露光により発生したレジスト膜表面の酸は空気中の塩基性化合物と反応、失活し、PEDまでの放置時間が長くなればそれだけ失活する酸の量が増加するため、酸不安定基の分解が起こり難くなる。そのため、表面に難溶化層が形成され、パターンがT−トップ形状となるのである。
【0012】
なお、この場合は塩基性化合物を添加することにより、空気中の塩基性化合物の影響を抑えることができるため、PEDにも効果があることが知られている(特開平5−232706号、同5−249683号公報等)が、本発明者の検討によると、ここで用いられる塩基性化合物は、揮発によりレジスト膜中に取り込まれなかったり、レジスト材料の各成分との相溶性が悪く、レジスト膜中での分散が不均一であるために効果の再現性に問題があり、しかも解像性を落としてしまうことがわかった。
【0013】
従って、上記問題のない高性能の化学増幅ポジ型レジスト材料を与える新規な成分の開発が望まれる。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、微細加工技術に適した高解像性を有する化学増幅ポジ型レジスト材料の成分として好適な新規なスルホニウム塩を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記反応式のように下記一般式(2)で示されるジアリールスルホキシドと下記一般式(3)で示されるトリアルキルシリルスルホネートとを反応させ、更に3−tert−ブトキシフェニルクロリドと金属マグネシウムとの反応で調製し得る下記一般式(4)で示されるグリニヤ試薬を反応させることにより、下記一般式(1a)で示されるフェニル基の3位にtert−ブトキシ基を有する新規なスルホニウム塩が得られることを見い出した。更に、この下記一般式(1a)で示されるスルホニウム塩のtert−ブトキシ基を酸により脱保護し、常法によりtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、トリアルキルシリル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシメチル基等からなる酸不安定基をフェニル基の3位に置換させることにより、フェニル基の3位に少なくとも1つの酸不安定基を持つ下記式(1)の新規なスルホニウム塩が得られ、かかる上記式(1)のスルホニウム塩が微細加工技術に適した高解像性を有する化学増幅ポジ型レジスト材料の成分として好適で、特に遠紫外線リソグラフィーにおいて大いに威力を発揮し得ることを見い出した。
【0016】
【化3】
(但し、式中R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はジアルキルアミノ基、OR2はtert−ブトキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基から選ばれる酸不安定基であり、R3はメチル基又はtert−ブチル基である。Yはトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、p−トルエンスルホネートから選択される置換のアルキルスルホネート又はアリールスルホネートである。nは0〜2の整数、mは1〜3の整数で、かつnとmの和は3である。)
【0017】
即ち、本発明の上記式(1)のスルホニウム塩は、化合物自体のアルカリ溶解性は低いものの、高エネルギー線照射による分解によって生成する酸、レジスト材料中の水分及びPEB(Post Exposure Bake)の作用で、効率良く酸不安定基が分解し、アルカリ溶解性の高いフェノール部位又はtert−ブトキシカルボニルメチルオキシ基のような三級カルボン酸エステル基を有する場合はカルボン酸部位が生成するため、より大きな溶解コントラストを得ることができる。
【0018】
従って、上記式(1)のスルホニウム塩は、化学増幅ポジ型レジスト材料の酸発生剤として優れた性能を発揮することができ、上記式(1)のスルホニウム塩を含有するレジスト材料は、上記式(1)のスルホニウム塩の酸不安定基の効果により、大きな溶解コントラストを有し、特に250nm付近の光源を用いた場合には、酸素原子が硫黄原子と共鳴構造を取り得ない3位に置換されていることにより250nm付近の透過率を無置換のものと同等以上に高めることが可能で、それ故、高解像度、広範囲の焦点深度を有するレジスト像を得ることができるものである。
【0019】
即ち、本発明は、
(A)下記一般式(1)で示され、分子中のフェニル基の3位に少なくとも1つの酸不安定基を有することを特徴とするスルホニウム塩を提供する。
【0020】
【化4】
(但し、式中R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はジアルキルアミノ基であり、OR2はtert−ブトキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基から選ばれる酸不安定基であり、Yはトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、p−トルエンスルホネートから選択される置換のアルキルスルホネート又はアリールスルホネートである。nは0〜2の整数、mは1〜3の整数で、かつnとmの和は3である。)
【0021】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の新規なスルホニウム塩は、下記一般式(1)で示され、分子中のフェニル基の3位に少なくとも1つの酸不安定基を有するものである。
【0022】
【化5】
(但し、式中R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はジアルキルアミノ基であり、OR2はtert−ブトキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基から選ばれる酸不安定基であり、Yはトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、p−トルエンスルホネートから選択される置換のアルキルスルホネート又はアリールスルホネートである。nは0〜2の整数、mは1〜3の整数で、かつnとmの和は3である。)
【0023】
上記式(1)において、R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はジアルキルアミノ基であり、具体的にアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜8のものが好適であり、中でもメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基がより好ましく用いられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基等の炭素数1〜8のものが好適であり、中でもメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく用いられる。ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等の炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基が用いられるが、中でもジメチルアミノ基が望ましい。
【0024】
OR2は酸不安定基である。ここで、酸不安定基としては、tert−ブトキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基が挙げられる。
【0025】
また、Yは置換又は非置換のアルキルスルホネート又はアリールスルホネートであり、例えばトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、p−トルエンスルホネートが好適である。nは0〜2の整数、mは1〜3の整数で、かつnとmの和は3である。
【0026】
なお、本発明では、特にカウンターアニオン(Y−)にp−トルエンスルホン酸アニオン(p−トルエンスルホネート)を持つスルホニウム塩をレジスト材料の成分として用いると、そのp−トルエンスルホン酸アニオンの効果、即ちレジスト膜表面での空気中の塩基性化合物による酸の失活の影響を非常に小さいものとすることができるため、表面難溶層の形成を抑えることができ、PED安定性が良好で、T−トップ形状の原因である表面難溶層の問題、即ちPEDの問題を充分に解決し得、より良好な感度を得ることができる。
【0027】
このような上記式(1)のスルホニウム塩としては、具体的に下記のものが例示される。即ち、酸不安定基としてtert−ブトキシ基を有するスルホニウム塩としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウムなどが挙げられる。
【0028】
酸不安定基としてtert−ブトキシカルボニルオキシ基を持つスルホニウム塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウムなどが挙げられる。
【0029】
酸不安定基としてtert−ブトキシカルボニルメチルオキシ基を持つスルホニウム塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(3−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウムなどが挙げられる。
【0030】
酸不安定基としてアセタール又はケタール基を持つスルホニウム塩としては、テトラヒドロピラニル基を持つものとして、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−(2−テトラヒドロピラニル)−オキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−(2−テトラヒドロピラニル)−オキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリス(3−(2−テトラヒドロピラニル)−オキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(3−(2−テトラヒドロピラニル)−オキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−(2−テトラヒドロピラニル)−オキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウムなどが挙げられ、メトキシメチル基を持つものとして、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−メトキシメチルオキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−メトキシメチルオキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリス(3−メトキシメチルオキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(3−メトキシメチルオキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−メトキシメチルオキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウムなどが挙げられる。
【0031】
酸不安定基としてトリアルキルシリルオキシ基を持つスルホニウム塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−トリメチルシリルオキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−トリエチルシリルオキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−トリメチルシリルオキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリス(3−トリメチルシリルオキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(3−トリエチルシリルオキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(3−トリメチルシリルオキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウムなどが挙げられる。
【0032】
本発明の上記式(1)のスルホニウム塩は、以下のような経路により合成することができる。即ち、例えばまず下記一般式(5)で示される3−ハロゲン化フェノールと下記一般式(6)で示されるイソブテンとを酸により縮合させて得られる下記一般式(7)で示される3−ハロゲン化−tert−ブトキシベンゼンを常法によりTHF中金属マグネシウムと反応させ、下記一般式(4)で示される3−tert−ブトキシフェニルグリニヤ(グリニヤ試薬)とする。次に、有機溶媒中で下記一般式(2)で示されるスルホキシドに下記一般式(3)で示されるトリアルキルシリルスルホネートを反応させ、更に下記式(4)のグリニヤ試薬を反応させることにより、下記一般式(1a)で示される酸不安定基として3−tert−ブトキシフェニル基を持つスルホニウム塩を合成することができる。
【0033】
【化6】
(但し、式中R1、R2、R3、Y、m、nはそれぞれ上記と同様であり、Xは臭素原子又は塩素原子である。)
【0034】
上記反応において、上記式(5)の3−ハロゲン化フェノールと上記式(6)のイソブテンの反応は、「実験化学講座第四版、有機合成2、p200、日本化学会編、丸善」や「J.Holcombe and T.Livinghouse J.Org.Chem.,111〜115.51.(1986)」に準じて行うことができる。この場合、上記式(5)の3−ハロゲン化フェノールと上記式(6)のイソブテンとを反応させる際、式(6)のイソブテンを式(5)の3−ハロゲン化フェノールに対して1〜10モル、特に3〜5モルの割合で加え、トリフルオロメタンスルホン酸等の強酸を触媒として式(5)の3−ハロゲン化フェノールに対して0.01〜0.1モル、特に0.01〜0.05モルの割合で添加するこのが好ましい。また、反応は塩化メチレン等の有機溶媒中で−40〜−70℃の温度範囲で0.5〜4時間行うことが望ましい。
【0035】
また、上記式(2)のスルホキシドとしては、ジフェニルスルホキシド、下記式(2a)で示されるビス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド、下記式(2b)で示されるビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド、下記式(2c)で示されるビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホキシド、上記式(4)のグリニヤ試薬と塩化チオニルの縮合生成物である下記式(2d)で示されるビス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド等を用いることが望ましい。
【0036】
【化7】
【0037】
なお、これらスルホキシド化合物の合成は特願平6−26171号記載の方法に準じて行うことができる。
【0038】
例えば上記式(2b)の化合物を得る場合は、下記式(A)で示されるp−tert−ブトキシフェニルグリニヤに塩化チオニルを反応させるといった方法によって行うことができる。
【0039】
【化8】
(Xは塩素又は臭素原子を示す。)
【0040】
この場合、反応は塩化メチレン、THFの有機溶剤中で行うことが好ましい。また、グリニヤ試薬に塩化チオニルを反応させる際にはグリニヤ試薬に対して塩化チオニルを1/6〜1/2モル、好ましくは1/3〜1/2モルの割合で滴下し、反応条件は−78℃〜70℃、好ましくは−60℃〜10℃であり、滴下時間は10〜120分、好ましくは45〜90分である。反応終了後は溶媒層を水洗、乾燥、濃縮後、再結晶あるいはカラムクロマトグラフィーにより目的化合物を得ることができる。
【0041】
本発明では、上記式(2a)、(2b)、(2c)、あるいはジフェニルスルホキシド等のスルホキシドを原料にすることで3−tert−ブトキシフェニル基を1個持つ新規なスルホニウム塩を合成することができる。また、上記式(2d)のスルホキシドを原料に用いることにより、3−tert−ブトキシフェニル基を3個持つ新規なスルホニウム塩を合成することができる。
【0042】
また、3−tert−ブトキシフェニル基を2個持つ新規なスルホニウム塩は、上記式(2d)のビス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホキシドと、下記式(8)で示されるアリールグリニヤ試薬、例えばフェニルグリニヤ、4−tert−ブトキシフェニルグリニヤ、4−ジメチルアミノフェニルグリニヤ等とを反応させることにより合成することができる。
【0043】
【化9】
(上記式中R1、R3、Y、X、m、nはそれぞれ上記と同様である。)
【0044】
なお、上記式(2)のスルホキシドとしてビス(2,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)スルホキシドのような2位及び2’位にtert−ブトキシ基を有するものを用いた場合は、立体傷害のため目的化合物を得ることができない。テトラヒドロピラニルオキシ基を2位及び2’位に持つものを用いた場合も同様である。
【0045】
また、従来技術であるフェノール又はアニソールと塩化チオニルの反応によるスルホニウム塩又はスルホキシド化合物の合成法では、フェノールの活性部位がオルト位、パラ位と二つあるため用いる試薬によりオルト置換体、パラ置換体と異なる可能性があり、特にメタ置換体は得ることができない。更に、この反応では、反応系中に塩化水素ガスが発生するため、tert−ブトキシベンゼンのような酸不安定基を持つ化合物を原料に合成を行うことは困難である。これに対して本発明の方法では、グリニヤ試薬を用いているため定量的にメタ置換体のみが得られ、塩化水素ガスの代わりに塩化マグネシウム等の無機塩が生成するだけであるので、酸不安定基の分解は進行しない。
【0046】
なお、上記合成法においては3−tert−ブトキシフェニルグリニヤ試薬をスルホキシド及びスルホニウム塩の原料に用いたが、グリニヤ試薬に対して不活性かつ酸により脱離可能な保護基、例えばテトラヒドロピラニル基で3−ハロゲン化フェノールの水酸基を保護し、金属マグネシウムと反応させて調製したグリニヤ試薬を用いても上記式(1)のスルホニウム塩を合成することができる。
【0047】
上記反応においては、上記式(2)のスルホキシドに対して上記式(3)のトリアルキルシリルスルホネートを1〜5モル、特に2〜3モルの割合で混合することが好適であり、また、上記式(2)のスルホキシドに対して上記式(4)又は上記式(8)のグリニヤ試薬を1〜5モル、特に2〜3モルの割合で加えることが好ましい。更に、これらの反応は、上記式(3)のトリアルキルシリルスルホネート中に存在する微量の酸性不純物によるtert−ブトキシ基の脱離を防ぐため、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基の存在下、THF、塩化メチレン等の有機溶媒中で行うことが望ましい。なお、これら反応の反応条件は特に制限されないが、0〜10℃の反応温度とすることが好ましい。
【0048】
更に本発明では、上記式(1a)のスルホニウム塩のtert−ブトキシ基を酸により脱保護し、フェノール性水酸基の水素原子を常法によりtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、トリアルキルシリル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシメチル基等の酸不安定基で置換することにより、目的とする酸不安定基をフェニル基の3位に持つ下記一般式(1)で示される新規なスルホニウム塩を得ることができる。
【0049】
【化10】
(但し、上記式中R1、R2、Y、n、mはそれぞれ上記と同様である。)
【0050】
このようにして得られる本発明の上記式(1)の新規なスルホニウム塩は、化学増幅ポジ型レジスト材料の酸発生剤として好適に使用されるもので、この式(1)のスルホニウム塩を酸発生剤として配合し、二成分系(有機溶媒、アルカリ可溶性樹脂、酸発生剤)もしくは三成分系(有機溶剤、アルカリ可溶性樹脂、酸発生剤、溶解阻止剤)の化学増幅ポジ型レジスト材料として調製することができるが、特に三成分系の化学増幅ポジ型レジスト材料として調製することが好適である。
【0051】
この場合、酸発生剤としての上記式(1)のスルホニウム塩の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し0.5〜15部(重量部、以下同様)、特に2〜8部とすることが好ましく、0.5部に満たないと露光時の酸発生量が少なく感度及び解像力が劣る場合があり、15部を越えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。
【0052】
なお、上記式(1)のスルホニウム塩が配合されたレジスト材料の使用方法、光使用方法などは公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができるが、特に上記レジスト材料は254〜193nmの遠紫外光及び電子線による微細パターニングに最適である。
【0053】
【発明の効果】
本発明の上記式(1)の新規なスルホニウム塩は、酸発生剤であるスルホニウム塩のフェニル基の3位に酸不安定基を導入したことにより、露光部と未露光部の溶解コントラストを大きくすることができ、更に3位に酸素原子を導入し、硫黄原子の共鳴構造をとれないようにしたことにより、無置換のトリフェニルホスホニウム塩と同等以上に250nm付近の透過率を高めることができ、その結果レジスト材料としての透過率を高めることができるため、微細加工技術に適した高解像性を有する化学増幅ポジ型レジスト材料の成分として有効である。
【0054】
【実施例】
以下、実施例及び比較例、配合例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。
【0055】
〔実施例1〕
トリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムの合成
ビス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド17.8g(0.052mol)をTHF52gに溶解させ、氷水浴にて冷却した。これにトリエチルアミン5.3g(0.052mol)を加え、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート28.6g(0.13mol)を10℃を越えないようにコントロールしながら滴下し、反応温度を0〜10℃として30分間反応の熟成を行った。この溶液に3−tert−ブトキシクロロベンゼン24.0g(0.13mol)と金属マグネシウム3.2g(0.13mol)、THF40gを用いて常法にて調製したグリニヤ試薬を10℃を越えないようにコントロールしながら滴下した。更に、反応温度を0〜10℃として反応の熟成を30分間行った。反応液に20%塩化アンモニウム水溶液300gを加えて反応の停止と分液を行った後、有機層にクロロホルム300gを加えた。有機層を水200gを用いて2回水洗した後、溶媒を減圧留去して油状物を得た。この油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:抽出液、クロロホルム−メタノール)にかけたところ、収量10.5g(収率29%)、純度99%のトリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムが単離された。
【0056】
得られたトリフルオロメタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムの核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外スペクトル(IR)、元素分析値及び紫外吸収スペクトル(UV)の結果を下記に示す。なお、比較例としてトリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムの紫外吸収スペクトルの値も示す。
【0057】
【化11】
【0058】
【表1】
【0059】
〔実施例2〕
実施例1の3−tert−ブトキシフェニルグリニヤの代わりにフェニルグリニヤを用いる以外は実施例1と同様にして反応を行ったところ、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウムが純度98%、収率35%で得られた。
【0060】
〔実施例3〕
実施例1のスルホキシドの代わりにジフェニルスルホキシドを用いる以外は実施例1と同様にして反応を行ったところ、トリフルオロメタンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムが純度98%、収率27%で得られた。
【0061】
〔実施例4〕
実施例1のスルホキシドの代わりにビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホキシドを用いる以外は実施例1と同様にして反応を行ったところ、トリフルオロメタンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウムが純度98%、収率27%で得られた。
【0062】
〔実施例5〕
実施例1のグリニヤ試薬の代わりに4−ジメチルアミノフェニルグリニヤを用いる以外は実施例1と同様にして反応を行ったところ、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウムが純度98%、収率33%で得られた。
【0063】
〔実施例6〜10〕
実施例1〜5で用いたトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの代わりにp−トルエンスルホン酸とトリメチルシリルクロリドとを常法により反応させることで得られるトリメチルシリル−p−トルエンスルホネート(沸点113〜117℃/0.5〜0.6mmHg)を用いる以外は実施例1〜5と同様に反応させたことろ、それぞれ下記のようなカウンターアニオンにp−トルエンスルホン酸を持つスルホニウム塩が得られた。
実施例6:
p−トルエンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム 純度99% 収率35%
実施例7:
p−トルエンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム 純度99% 収率28%
実施例8:
p−トルエンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム 純度99% 収率25%
実施例9:
p−トルエンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム 純度97% 収率31%
実施例10:
p−トルエンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム 純度98% 収率32%
【0064】
〔実施例11〜15〕
実施例1〜5で用いたトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの代わりにノナフルオロブタンスルホン酸とトリメチルシリルクロリドとを常法により反応させることで得られるトリメチルシリルノナフルオロブタンスルホネートを用いる以外は実施例1〜5と同様に反応させたことろ、それぞれ下記のようなカウンターアニオンにノナフルオロブタンスルホン酸を持つスルホニウム塩が得られた。
実施例11:
ノナフルオロブタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム 純度99% 収率31%
実施例12:
ノナフルオロブタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム 純度99% 収率28%
実施例13:
ノナフルオロブタンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム 純度99% 収率18%
実施例14:
ノナフルオロブタンスルホン酸(3−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム 純度98% 収率27%
実施例15:
ノナフルオロブタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム 純度97% 収率25%
【0065】
〔実施例16〜19〕
実施例1〜15で得たterrt−ブトキシ基を3位に持つ新規なスルホニウム塩をカウンターアニオン(例えばトリフルオロメタンスルホネートやp−トルエンスルホネート)と同じスルホン酸を用いてメタノール又はエタノール中で脱保護し、対応する3−ヒドロキシフェニルスルホニウム塩をほぼ定量的に得た後、常法によりジ−tert−ブチル−ジカルボネート、あるいはクロロ酢酸−tert−ブチル、ジヒドロピランを用いることで下記に示すような酸不安定基をフェニル基の3位に持つスルホニウム塩を合成した。
実施例16:
ノナリフルオロブタンスルホン酸ビス(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)フェニルスルホニウム 純度98%、収率23%
実施例17:
トリフルオロメタンスルホン酸(3−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム 純度98%、収率25%
実施例18:
p−トルエンスルホン酸(3−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム 純度98%、収率19%
実施例19:
ノナフルオロブタンスルホン酸トリス(3−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム 純度98%、収率18%
【0066】
上記の実施例1〜10の新規なスルホニウム塩の3位置換体(3−tert−ブトキシフェニルスルホニウム塩)及び比較例として4位置換体(4−tert−ブトキシフェニルスルホニウム塩)の248nmにおける紫外吸収スペクトルのモル吸光係数を表2に示す。
【0067】
表2の結果から明らかなように、本発明のスルホニウム塩は、tert−ブトキシ基を4位ではなく3位に持つことにより248nmの光吸収を少なくすることができ、その効果はtert−ブトキシフェニル基の多いトリス(tert−ブトキシフェニル)スルホニウム塩において最も大きく現れることがわかった。
【0068】
【表2】
【0069】
〔配合例1〜14、比較配合例1〜5〕
表3,4に示すように下記式(Polym.1)で示される部分的に水酸基の水素原子をtert−ブトシキカルボニル基で保護したポリヒドロキシスチレン、下記式(Polym.2)で示される部分的に水酸基の水素原子をtert−ブチル基で保護したポリヒドロキシスチレン又は下記式(Polym.3)で示される部分的に水酸基の水素原子をテトラヒドロピラニル基で保護したポリヒドロキシスチレンと、下記式(PAG.1)から(PAG.5)で示されるオニウム塩から選ばれる酸発生剤と、下記式(DRI.1)で示される2,2’−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパンの溶解阻止剤を1−エトキシ−2−プロパノールに溶解し、表3に示す各種組成のレジスト組成物を調製した。
【0070】
得られたレジスト組成物を0.2μmのテフロン製フィルターで濾過することによりレジスト液を調製した後、このレジスト液をシリコーンウェハー上へスピンコーティングし、0.8μmに塗布した。
【0071】
次いで、このシリコーンウェハーを100℃のホットプレートで120秒間ベークした。更に、エキシマレーザーステッパー(ニコン社、NSR2005EXNA=0.5)を用いて露光し、90℃で60秒間ベークを施し、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。
【0072】
得られたレジストパターンを次のように評価した。結果を表3,4に示す。
レジストパターン評価方法:
まず、感度(Eth)を求めた。次に、0.35μmのラインアンドスペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。また、解像したレジストパターンの形状は、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
【0073】
【化12】
【0074】
【化13】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
〔配合例15〜28、比較配合例5〜8〕
表5,6に示すように酸発生剤として下記(PAG.6〜8)又は上述した(PAG4,5)を用いる以外は上記配合例1と同様にしてポジ型パターンを得た。なお、配合例28にはPED安定性のための窒素含有化合物を添加剤として加えた。
【0078】
得られたレジストパターンを上記と同様に評価した。更に、レジストのPED安定性は、最適露光量で露光後、放置時間を変えてPEBを行い、レジストパターン形状の変化が観察された時間、例えばラインパターンがT−トップとなったり、解像できなくなった時間で評価した。この時間が長いほどPED安定性に富む。以上の結果を表5,6に示す。
【0079】
【化14】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
Claims (1)
- 下記一般式(1)で示され、分子中のフェニル基の3位に少なくとも1つの酸不安定基を有することを特徴とするスルホニウム塩。
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