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JP3681562B2 - 乗客コンベア群の制御装置 - Google Patents

乗客コンベア群の制御装置 Download PDF

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  • Escalators And Moving Walkways (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗客コンベア群の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の乗客コンベアの制御装置は、周波数を可変して速度制御ができるインバータ装置等を乗客コンベア毎にそれぞれ設けて構成していた。この乗客コンベアは上昇方向運転だけでなく下降方向運転も行ない、この下降方向運転時には乗客の荷重によって電動機が発電機動作となるため、発電したエネルギを電源へ回生するための回生コンバータを備えたり、あるいはこのエネルギを抵抗で消費するための回路を備えていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の乗客コンベアの制御装置では、乗客コンベアの下降方向運転時に発電したエネルギを電源へ回生する回生コンバータを備えた場合、制御装置が大きくなり狭い機械室への設置が困難になるだけでなく高価なものになってしまうし、また、発電したエネルギを消費する抵抗回路を備えた場合、消費電力が多くなると共に、折角のエネルギを有効に活用することができなかった。
【0004】
本発明の目的は、小型で安価に構成することができるようにした乗客コンベア群の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の目的を達成するために、駆動装置により無端状に連結した複数のステップを駆動する乗客コンベアを複数台備え、上記駆動装置は電動機に電力を供給する電力変換器を備えて構成した乗客コンベア群の制御装置において、
上記電力変換器は、交流電力を直流電力に変換する一台のコンバータと、直流電力を交流電力に変換する一台のインバータを有して構成するとともに、上記電力変換器で上昇方向運転乗客コンべアと下降方向運転乗客コンべアとを含む少なくとも2台以上の乗客コンべアを速度制御して運転するように構成し、一方、上記各乗客コンベアは、上記電力変換器と上記電動機間に主接触子と、安全装置と、運転を停止させる制動機とをそれぞれ設け、上記各安全装置が動作した乗客コンベアの主接触子を開路するとともに上記制動装置を制動動作させて制御するように構成したことを特徴とする。
【0006】
本発明による乗客コンベア群の制御装置は、上述したように少なくとも二台以上の上記乗客コンべアを一台のコンバータを有する上記電力変換器で運転するように構成したため、制御装置を小型で安価にすることができ、特に、少なくとも二台以上の乗客コンべアとして上昇方向運転乗客コンベアと下降方向運転乗客コンベアを含むようにすると、上昇方向運転乗客コンベアがエネルギ消費しても、下降方向運転乗客コンベアが電力変換器にエネルギを回生するように作用するため、エネルギの流れを有効に活用することができるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による乗客コンベア群の制御装置を示す概略構成図である。
電源Eに接続された電力変換器2は、一台のコンバータ2Aで交流電力を直流電力に変換し、フィルタコンデンサ2Bで平滑して乗客コンベア毎に設けた直流部接触子2F,2Gを介してそれぞれインバータ2C,2Dに与えている。このインバータ2C,2Dの半導体素子Tup〜Twnは、図示しないPWMパルスゲート回路からPWMパルスが与えられて可変電圧可変周波数の交流電力に変換している。変換した交流電力は、上昇方向運転乗客コンベアU1および下降方向運転乗客コンベアD1のそれぞれの電動機1U1,1D1に供給している。両電動機1Ul,1D1は、動力を歯車3Ul,3D1と、歯車のスプロケット4Ul,4D1と、スプロケット5Ul,5D1およびチェーン6Ul,6D1を介して、ステップ7U1,7D1およびハンドレール9Ul,9D1を駆動し、乗客コンベアUl,D1を図2に示すようにそれぞれ速度曲線Vul,Vd1で上昇方向および下降方向にそれぞれ運転している。
【0008】
このように上昇方向運転乗客コンベアU1および下降方向運転乗客コンベアD1を含む複数台の乗客コンベアを一台のコンバータ2Aで運転するようにしているため、上昇方向運転乗客コンベアU1はインバータ2Cから矢印方向のエネルギPUを受けてエネルギ消費するが、下降方向運転乗客コンベアD1はインバータ2Dに矢印方向のエネルギPDを回生するように作用する。従って、下降方向運転乗客コンベアD1のエネルギPD、つまりエネルギP1はコンバータ2Aから得るエネルギP2を補うように作用するため、エネルギの流れを有効に活用することができる。
【0009】
図3は、図1に示した乗客コンベア群の乗客率と消費エネルギ率の関係を示す特性図である。上昇方向運転乗客コンベアU1で消費するエネルギPU1を、下降方向運転乗客コンベアD1で回生するエネルギPD1で補うため、上昇方向運転乗客コンベアU1と下降方向運転乗客コンベアD1の乗客率が同じであれば、乗客を運ぶエネルギは殆どゼロであり、消費エネルギ率(PU1−PDl)は変わらない。このように一台のコンバータ2Aで上昇方向運転乗客コンベアU1と下降方向運転乗客コンべアD1を運転するようにすると、制御装置の設置スペースの縮小化と共に安価に構成でき、しかも、図3に示したように上昇方向運転乗客コンベアU1で消費するエネルギPU1を下降方向運転乗客コンベアD1で回生するエネルギPD1で補うため、消費エネルギの少ない制御装置とすることができる。
【0010】
図1に示したようにコンバータ2Aは、トランジスタ等の複数の自己消弧素子と複数の整流器で構成しており、この場合、下降方向運転乗客コンベアD1で生じるエネルギPD1が上昇方向運転乗客コンベアU1で消費するエネルギPU1より大きくなり直流電圧が高くなると、フィルタコンデンサ2Bと並列に設けた直流電圧測定回路2Eの出力により回生動作判定回路19が出力を発し、PWMパルスゲート回路18を動作させPWMパルスUp,Un,Vn,Wp,Wnを発生してリターンエネルギ(PDl−PU1)を電源Eに回生し、消費電力をさらに低減することができる。一方、乗客数が定常的に少なく、下降方向乗客コンベアD1で生じるエネルギPD1が上昇方向運転乗客コンベアU1で消費するエネルギPU1より大きくなることがない状況では、図1に示したコンバータ2Aを整流器に置き換え、直流電圧測定回路2D、回生動作判定回路19、PWMパルスゲート回路18を省略できるため、より小型で安価に電力変換器を構成することができる。
【0011】
また、図1に示した電力変換器2のインバータ2Cは、時計17が設定した時刻によって速度指令回路10が作動し、速度制御回路11は速度指令に沿ってPWMパルスゲート回路12を動作させ、PWMパルスUp,Un,Vn,Wp,Wnを発生してインバータ2Cの電圧および周波数を変化させて速度制御できるように構成している。この時計17は、例えば、図4に示すように時刻10時から17時までの時間帯では速度指令S2が速度指令S1へと小さくなるようにし、それに従って乗客コンベア群の速度が図5に示すように低速度になるように制御している。
【0012】
一般に、流通顧客における乗客コンベア群の乗客率は、図6に示した乗客率F1のように分布しており、開店の10時から17時位までは少なく、17時以降から急激に多くなる。一方、乗客のうち高齢者は、同図の乗客率F2に示したように開店の10時から17時位までの時間帯で活動していると考えられる。
【0013】
そこで時計17は、図4に示すように設定した10時から17時の時間帯で、速度指令回路10が作動して速度指令を通常の速度指令S2から、高齢者に適した速度指令S1に小さくする。この速度指令S1を受けた速度制御回路11は、PWMパルスゲート回路12を介してインバータ2Cにより速度制御し、図5に示すように乗客コンベアU1,D1の速度を低下して高齢者に優しい運転を行なう。一方、設定した10時から17時の時間帯以外では、乗客コンベアU1,D1が起動している場合、通常の速度指令S2であり、図5に示すように速度指令S1よりも早い効率の良い運転を行なうことができる。この図5に示した速度曲線Vulは上昇方向運転乗客コンベアU1に対応し、速度曲線Vdlは下降方向運転乗客コンベアD1に対応している。このときも乗客コンベアU1,D1は、インバータ2Cで速度制御しているため始動停止が緩やかな速度曲線にすることができる。
【0014】
このようにして流通顧客の状況に合わせて時計17を設定することにより、時間帯で乗客コンベアU1,D1を速度制御し、高齢者が利用しやすい、高齢者に優しい乗客コンベア群とすることができる。
【0015】
また、乗客コンベア群のエネルギ損失は、図7に示すように低速度になる程少なくなる。従って、上述したように設定した時間帯に低速度で運転すると、乗客コンベアのエネルギ損失は少なくなる。しかも、二台以上の上昇方向運転乗客コンベアU1および下降方向運転乗客コンベアD1を一台の電力変換器2で制御するように構成すると、図7に示したように上昇方向運転乗客コンベアU1で消費するエネルギPU1を、下降方向運転乗客コンベアD1で回生するエネルギPD1で補うため、消費エネルギ率(PUl−PDl)を図8に示すように非常に少なくすることができる。
【0016】
図9は、本発明の他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置を示す概略構成図である。
先の図1に示した実施の形態との同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略し、新たに図示した安全装置系についてのみ説明する。各乗客コンベアU1,D1には、それぞれ種々の安全装置8U1,8D1が付設され、これら安全装置8U1,8D1からの信号線20U1,20D1は安全装置動作信号処理部8に接続されている。入力信号に基づく安全装置動作信号処理部8での処理結果は、各号機の主回路制動機回路等の信号処理部16へ送られ、故障原因に基づいてふさわしい処置がとられる。
【0017】
例えば、図10に示した時刻T1で上昇方向運転乗客コンベアU1が故障したとすると、安全装置8U1が動作し、信号線20U1を介して安全装置動作信号処理部8に検出信号が入力される。安全装置動作信号処理部8では信号処理を行ない故障信号13を出力すると、この故障信号13を受信した信号処理部16は上昇方向運転乗客コンベアU1の直流部接触子2Fを開路すると同時に、制動機15U1の図示しない回路を開路して制動動作させ、故障した上昇方向運転乗客コンベアU1を安全に停止させる。その後、図10の時刻T2で故障が復旧し、上昇方向運転乗客コンベアU1の直流部接触子2Fおよび制動機15U1の回路を速やかに閉路したとすると、上昇方向運転乗客コンベアU1は復旧する。
【0018】
このように複数の乗客コンベアU1,D1を一台のコンバータ2Aを有する電力変換器2で制御するように構成しても、構成安全装置動作信号処理部8と信号処理部16で安全装置8U1,8D1の信号を号機毎に処理することにより、全乗客コンベア群を停止させることなく有効に乗客コンベアを運転することができる。
【0019】
図11は、本発明の他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置を示す概略構成図である。
電源Eに接続された電力変換器2はコンバータ2Aで交流電力を直流電力に変換し、フィルタコンデンサ2Bで平滑してインバータ2Cに与え、このインバータ2Cの半導体素子Tup〜Twnは図示しないPWMパルスゲート回路からPWMパルスが与えられて、可変電圧可変周波数の交流電力に変換される。変換した交流電力は、各乗客コンベアの主接触子14U1〜14Unを経て、少なくとも二台以上の乗客コンベア群の電動機1U1〜1Unに供給されるように接続されている。各電動機1Ul〜1Unは、動力を歯車3Ul〜3Un、歯車のスプロケット4Ul〜4Un、スプロケット5Ul〜5Unおよびチェーン6Ul〜6Unを介して、ステップ7U1〜7Unおよびハンドレール9Ul〜9Unを駆動し、乗客コンベア群Ul〜Unを図12に示すようにそれぞれ速度曲線Vul〜Vunで運転する。
【0020】
このように複数台の乗客コンベアUl〜Unを一台の電力変換器2で運転するようにしているため、制御装置を小型にすることができる。例えば、図13に示すように1階から6階までに各乗客コンベアUl〜U6を構成した場合、制御装置CBを中間部に位置する一つの機械室Mにだけ設置すれば良いので、乗客コンベア周辺のスペースを有効に活用できると共に、安価に製作することができる。また、各乗客コンベアUl〜Unは、インバータ2Cによって始動停止が緩やかな速度曲線となるように制御することができるので、監視員の操作を一ケ所で行なうことができるようになる。
【0021】
図14は、本発明の他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置を示す概略構成図である。
電源Eに接続された電力変換器2はコンバータ2Aで交流電力を直流電力に変換し、フィルタコンデンサ2Bで平滑した後にインバータ2Cの半導体素子Tup〜Twnで図示しないPWMパルスゲート回路からPWMパルスを受けて、可変電圧可変周波数の交流電力に変換される。変換した交流電力は、複数の上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unおよび下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnの各主接触子14U1〜14Un,14D1〜14Dnを経て、各電動機1U1〜1Un,1D1〜1Dnに供給されるように接続されている。各主接触子14U1〜14Unは電力変換器2の出力U,V,Wと各電動磯1U1〜1Unの端子U,V,Wを接続して上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unを運転するようにしており、各主接触子14D1〜14Dnは電力変換器2の出力U,V,Wと各電動機1D1〜1Dnの端子W,V,Uを接続して下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnを運転するようにしている。
【0022】
各電動機1Ul〜1Un,1D1〜1Dnは、動力を歯車3Ul〜3Un,3D1〜3Dnと、歯車のスプロケット4Ul〜4Un,4D1〜4Dnと、スプロケット5Ul〜5Un,5D1〜5Dnと、チェーン6Ul〜6Un,6D1〜6Dnを介して、ステップ7U1〜7Un,7D1〜7Unと、ハンドレール9Ul〜9Un,9D1〜9Dnをそれぞれ駆動し、上昇方向運転乗客コンベアUl〜Unおよび下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnを図15に示すようにそれぞれ速度曲線Vul〜Vun,Vd1〜Vdnで運転する。図15に示した速度曲線Vul〜Vunは各上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unに対応し、速度曲線Vdl〜Vdnは各下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnに対応している。このときも各乗客コンベアU1〜Un,D1〜Dnは、インバータ2Cで速度制御しているため始動停止が緩やかな速度曲線にすることができる。
【0023】
このように複数の乗客コンベア群として、一台の電力変換器2で運転する上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unと下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnを含んで構成すると、図14に示すように上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unは電力変換器2から矢印方向にエネルギPU1〜PUnを受けてエネルギ消費するが、下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnは電力変換器2に矢印方向にエネルギPDl〜PDnを回生するように作用する。従って、下降方向運転乗客コンベアDl〜DnのエネルギPD1〜PDnは、エネルギP3として合算され、上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unで消費するエネルギP2を補うように作用するため、全体としてエネルギの流れを有効に活用することができる。
【0024】
図16は、図14に示した乗客コンベア群の乗客率と消費エネルギ率を示す特性図である。上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unで消費するエネルギPU1〜PUnを、下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnで回生するエネルギPD1〜PDnで補うため、上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unと下降方向逆転乗客コンベアD1〜Dnの乗客率が同じであれば、乗客を運ぶエネルギは殆どゼロであり、消費エネルギ率{(PU1〜PUn)−(PDl〜PDn)}は変わらない。このように一台の電力変換器2で上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unと下降方向運転乗客コンべアD1〜Dnを運転するようにすると、制御装置の設置スペースの縮小化と共に安価に構成でき、しかも、図16に示したように上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unで消費するエネルギPU1〜PUnを下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnで回生するエネルギPD1〜PDnで補うため、消費エネルギーの少ない制御装置とすることができる。
【0025】
図17は、本発明の他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置を示す概略構成図である。
電源Eに接続された電力変換器2はコンバータ2Aで交流電力を直流電力に変換し、フィルタコンデンサ2Bで平滑した後にインバータ2Cの半導体素子Tup〜Twnで図示しないPWMパルスゲート回路からPWMパルスを受けて、可変電圧可変周波数の交流電力に変換される。変換した交流電力は、複数の上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unおよび下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnの主接触子14U1〜14Un,14D1〜14Dnを経て、各電動機1U1〜1Un,1D1〜1Dnに供給されるように接続されている。各主接触子14U1〜14Unは電力変換器2の出力U,V,Wと各電動磯1U1〜1Unの端子U,V,Wを接続して上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unを運転するようにしており、各主接触子14D1〜14Dnは電力変換器2の出力U,V,Wと各電動機1D1〜1Dnの端子W,V,Uを接続して下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnを運転するようにしている。各電動機1Ul〜1Un,1D1〜1Dnは、動力を歯車3Ul〜3Un,3D1〜3Dnと、歯車のスプロケット4Ul〜4Un,4D1〜4Dnと、スプロケット5Ul〜5Un,5D1〜5Dnと、チェーン6Ul〜6Un,6D1〜6Dnを介して、ステップ7U1〜7Un,7D1〜7Unと、ハンドレール9Ul〜9Un,9D1〜9Dnをそれぞれ駆動し、上昇方向運転乗客コンベアUl〜Unおよび下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnをそれぞれ速度曲線Vul〜Vun,Vd1〜Vdnで運転するように構成している。
【0026】
ここで、電力変換器2のインバータ2Cは、時計17で設定した時刻に達したとき速度指令回路10が作動して速度指令を速度制御回路11に与え、速度指令に沿って速度制御回路11によりPWMパルスゲート回路12を動作させ、このPWMパルスゲート回路12からPWMパルスUp、Un、Vp、Vn、Wp、Wnを受けることにより、インバータ2Cの電圧および周波数を変化させて速度制御できるように構成されている。
【0027】
流通顧客における乗客コンベア群の乗客率は、図6に示した乗客率F1のように分布しており、開店の10時から17時位までは少なく、17時以降から急激に多くなっている。一方、乗客のうち高齢者は、同図の乗客率F2に示したように開店の10時から17時位までの時間帯で活動していると考えられる。
【0028】
そこで時計17は、図4に示すように設定した10時から17時の時間帯で、速度指令回路10が作動して通常の速度指令S2から高齢者に適した速度指令S1に小さくする。この速度指令S1を受けた速度制御回路11は、PWMパルスゲート回路12を介してインバータ2Cにより速度制御し、図18に示すように上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unおよび下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnの速度を低下して高齢者に優しい運転を行なう。一方、設定した10時から17時の時間帯以外で乗客コンベアが起動している場合、速度は図4に示した通常の速度指令S2に対応しており、図18に示すように速度指令S1よりも早い効率の良い運転を行なうことができる。この図18に示した速度曲線Vul〜Vunは上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unに対応し、速度曲線Vdl〜Vdnは下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnに対応している。このときも各乗客コンベアU1〜Un,D1〜Dnは、インバータ2Cで速度制御しているため始動停止が緩やかな速度曲線にすることができる。このようにして流通顧客の状況に合わせて時計17を設定することにより、時間帯で各乗客コンベアU1〜Un,D1〜Dnを速度制御し、高齢者が利用しやすい、高齢者に優しい乗客コンベア群とすることができる。
【0029】
また、乗客コンベア群のエネルギー損失は、図7に示すように低速度になる程少なくなる。従って、上述したように設定した時間帯に低速度で運転すると、乗客コンベアのエネルギー損失は少なくなる。しかも、二台以上の各乗客コンベアU1〜Un,D1〜Dnを上昇方向運転と下降方向運転するように分けて、一台の電力変換器2で制御するように構成すると、図19に示したように上昇方向運転乗客コンベアU1〜Unで消費するエネルギPU1〜PUnを、下降方向運転乗客コンベアD1〜Dnで回生するエネルギPD1〜PDnで補うため、消費エネルギ率{(PUl〜PUn)−(PDl〜PDn)}を図19に示すように非常に少なくできる。
【0030】
図20は、本発明のさらに異なる他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置を示す概略構成図である。
図17に示した実施の形態との同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略し、新たに図示した安全装置系についてのみ説明する。各乗客コンベアU1〜Un,D1〜Dnには、それぞれ種々の安全装置8U1〜8Un,8D1〜8Dnが付設され、これら安全装置8U1〜8Un,8D1〜8Dnからの信号線20U1〜20Un,20D1〜20Dnは安全装置動作信号処理部8に接続されている。入力信号に基づく安全装置動作信号処理部8での処理結果は、各号機の主回路制動機回路等の信号処理部16へ送られ、故障原因に基づいてふさわしい処置がとられる。
【0031】
例えば、図21に示した時刻T1で上昇方向運転乗客コンベアU1が故障したとすると、安全装置8U1が動作し、信号線20U1を介して安全装置動作信号処理部8に検出信号が入力される。安全装置動作信号処理部8では信号処理を行ない故障信号13を出力すると、この故障信号13を受けた信号処理部16は上昇方向運転乗客コンベアU1の主接触子14U1を開路すると同時に、制動機15U1の図示しない回路を開路して制動動作させ、故障した上昇方向運転乗客コンベアU1を安全に停止させる。その後、時刻T2で故障が復旧し、上昇方向運転乗客コンベアU1の主接触子14U1および制動機15U1の回路を速やかに閉路したとすると、上昇方向運転乗客コンベアU1は復旧する。
【0032】
このように複数の各乗客コンベアU1〜Un,D1〜Dnを一台の電力変換器2で制御するように構成しても、構成安全装置動作信号処理部8と信号処理部16で安全装置8U1〜8Un,8D1〜8Dnの信号を号機毎に処理することにより、全乗客コンベア群を停止させることなく有効に乗客コンベアを利用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による乗客コンベア群の制御装置は、複数台の乗客コンベアを一台のコンバータを有する電力変換器で運転するように構成したため、制御装置を安価に構成すると共に、機械室の設置スペースを有効に活用して小型にすることができる。また、一台のコンバータを有する電力変換器で運転する乗客コンベアとして上昇方向運転乗客コンべアと下降方向運転乗客コンベアを含むようにすると、上昇方向運転乗客コンべアで消費するエネルギを下降方向運転乗客コンべアで回生するエネルギで補うため消費エネルギを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による乗客コンベア群の制御装置の概略構成図である。
【図2】図1に示した乗客コンベア群の制御装置の速度曲線図である。
【図3】図1に示した乗客コンベア群の制御装置の乗客率と消費エネルギー率の関係を示す特性図である。
【図4】図1に示した乗客コンベア群の制御装置の速度指令図である。
【図5】図1に示した乗客コンベア群の制御装置の速度曲線図である。
【図6】図1に示した乗客コンベア群の制御装置の乗客率の分布図である。
【図7】図1に示した乗客コンベア群の制御装置の速度とエネルギー損失の関係を示す特性図である。
【図8】図1に示した乗客コンベア群の制御装置の乗客率と消費エネルギー率の関係を示す特性図である。
【図9】本発明の他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置の概略構成図である。
【図10】図9に示した乗客コンベア群の制御装置の速度曲線図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置の概略構成図である。
【図12】図11に示した乗客コンベア群の制御装置の速度曲線図である。
【図13】図11に示した乗客コンベア群の制御装置の配置を示す側面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置の概略構成図である。
【図15】図14に示した乗客コンベア群の制御装置の速度曲線図である。
【図16】図14に示した乗客コンベア群の制御装置の乗客率と消費エネルギー率の関係を示す特性図である。
【図17】本発明のさらに他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置の概略構成図である。
【図18】図17に示した乗客コンベア群の制御装置の速度曲線図である。
【図19】図17に示した乗客コンベア群の制御装置の乗客率と消費エネルギー率の関係を示す特性図である。
【図20】本発明のさらに他の実施の形態による乗客コンベア群の制御装置の概略構成図である。
【図21】図20に示した乗客コンベア群の制御装置の速度曲線図である。
【符号の説明】
1U1〜1Un 電動機
2 電力変換器
2A コンバータ
2C,2D インバータ
8 安全装置動作信号処理部
8U1〜8Dn 安全装置
10 速度指令回路
11 制御回路
12,18 PWMパルスゲート回路
14U1〜14Un 主接触子
17 時計
19 回生動作判定回路
D1〜Dn 下降方向運転乗客コンベア
F1 乗客率
F2 高齢者の乗客率
P1〜P4,PU1,PD1 エネルギーの流れ
S1,S2 速度指令
U1〜Un 上昇方向運転乗客コンベア

Claims (2)

  1. 駆動装置により無端状に連結した複数のステップを駆動する乗客コンベアを複数台備え、上記駆動装置は電動機に電力を供給する電力変換器を備えて構成した乗客コンベア群の制御装置において、
    上記電力変換器は、交流電力を直流電力に変換する一台のコンバータと、直流電力を交流電力に変換する一台のインバータを有して構成するとともに、上記電力変換器で上昇方向運転乗客コンべアと下降方向運転乗客コンべアとを含む少なくとも2台以上の乗客コンべアを速度制御して運転するように構成し、一方、上記各乗客コンベアは、上記電力変換器と上記電動機間に主接触子と、安全装置と、運転を停止させる制動機とをそれぞれ設け、上記各安全装置が動作した乗客コンベアの主接触子を開路するとともに上記制動装置を制動動作させて制御するように構成したことを特徴とする乗客コンべア群の制御装置。
  2. 駆動装置により無端状に連結した複数のステップを駆動する乗客コンベアを複数台備え、上記駆動装置は電動機に電力を供給する電力変換器を備えて構成した乗客コンベア群の制御装置において、
    上記電力変換器は、交流電力を直流電力に変換する一台のコンバータと、直流電力を交流電力に変換する複数台のインバータを有して構成するとともに、上記電力変換器で上昇方向運転乗客コンべアと下降方向運転乗客コンべアとを含む少なくとも2台以上の乗客コンべアをそれぞれの複数台のインバータで速度制御し運転するように構成し、一方、上記各乗客コンベアは、上記コンバータとインバータ間に直流部接触子と、安全装置と、運転を停止させる制動機とをそれぞれ設け、上記各安全装置が動作した乗客コンベアの直流部接触子を開路するとともに上記制動装置を制動動作させて制御するように構成したことを特徴とする乗客コンベア群の制御装置。
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