JPH092753A

JPH092753A - エレベーターの制御装置

Info

Publication number: JPH092753A
Application number: JP7154345A
Authority: JP
Inventors: Kosei Hata; 孝生畑; Shunsuke Mitsune; 三根　　俊介; Toshiki Kajiyama; 俊貴梶山
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1995-06-21
Filing date: 1995-06-21
Publication date: 1997-01-07

Abstract

(57)【要約】【目的】エレベーターの停電時自動着床運転時のエネル
ギー効率の向上と、非常用電源の保護を、簡易な回路で
実現すること。常に、可能な限り高い速度で救出運転
し、速やかに乗客を脱出させること。【構成】バッテリと誘導電動機間の電力授受量を既存の
制御用指令値又は既存の制御用検出器による検出値を用
いて算出し、これを所定値以内に収めるように救出運転
時の速度を制限する。【効果】自動着床運転時に、バッテリの能力の範囲内で
回生でき、エネルギー効率の向上と非常用電源の保護
を、簡易な装置で実現する。また、常に可能な限り高い
速度で救出運転し、速やかに乗客を脱出させることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、停電時自動着床運転機
能を有するエレベーターの制御装置の改良に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来の停電時自動着床運転機能を有する
エレベーター制御装置としては、例えば、特開平2−147
581 号公報に開示されているように、非常用電源として
のバッテリの少なくとも一端をコンバータの交流側に接
続することにより、誘導電動機の回生運転によるバッテ
リへの充電を防止しているものがある。一方、例えば、
特公平5−77591号公報に開示されたように、回生電力で
バッテリを充電する回路構成とし、バッテリへの入力電
流を検出する専用の検出器を設け、充電電流が所定値以
上になると誘導電動機の回転速度を低下させるものが知
られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上気した第１の従来技
術では、誘導電動機の回生電力を全て捨ててしまってお
り、エネルギー効率が悪い。一方、第２の従来技術で
は、回生電力をバッテリに返しているためエネルギー効
率は良いが、専用の電流検出器及びその付属回路が必要
となるため回路構成が複雑になるといった問題点があ
る。

【０００４】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、停電時自動着床運転時のエネルギー効率
の向上と、非常用電源の保護を、簡易な回路で実現する
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のある一面におい
ては、商用交流電源を直流に変換するコンバータと、上
記コンバータ出力を交流に変換しエレベーター駆動用の
誘導電動機に給電するインバータと、上記インバータを
制御する制御手段と、上記商用交流電源停電時に上記イ
ンバータ及び上記制御手段へ給電し停電時自動着床運転
を行うための非常用電源とを備えたエレベーターの制御
装置において、上記誘導電動機の電流相当値を検出する
手段と、上記誘導電動機の電圧相当値を検出する手段
と、上記自動着床運転時に上記誘導電動機の電流相当値
と電圧相当値に基づいてエレベーターの運転速度を制御
する手段を備える。

【０００６】本発明の望ましい一実施態様においては、
商用交流電源を直流に変換するコンバータと、上記コン
バータ出力を交流に変換しエレベーター駆動用の誘導電
動機に給電するインバータと、上記誘導電動機の回転速
度を検出する手段と、上記誘導電動機に流れる電流を検
出する手段と、上記速度検出値及び上記電流検出値を入
力し上記インバータを制御する制御手段と、上記商用交
流電源停電時に上記インバータ及び上記制御手段へ給電
し停電時自動着床運転を行うための非常用電源とを備え
たエレベーターの制御装置において、上記自動着床運転
時に上記速度検出値及び上記電流検出値を入力する電力
演算手段と、この電力演算手段の出力が所定値以内とな
るようにエレベーターの速度指令を制限する手段を備え
ることを特徴とする。

【０００７】

【作用】このように構成することによって、自動着床運
転時に、インバータ制御用に用いられる既存の検出手段
の出力から上記誘導電動機の電流相当値と電圧相当値を
得ることができ、非常用電源と誘導電動機間の電力授受
量を所定値に保ち非常用電源を保護しつつ、速やかな自
動着床運転を、簡単な構成で実現する。

【０００８】

【実施例】図１は本発明の一実施例によるエレベーター
制御装置の回路構成を示し、図２は図１における制御回
路３０の機能構成を示す。

【０００９】図１において、商用交流電源１０が正常の
ときは接触器コイル１１が励磁され接触器接点１１ａが
オンし、商用交流電源１０の電力は、コンバータ１３に
より直流へ変換されコンデンサ１４へ充電される。エレ
ベータへ運転指令が発せられると、制御回路３０はイン
バータ１７へ制御信号（ＰＷＭパルス信号）を出力し
て、上記直流を可変電圧・可変周波数の３相交流に変換
すると共に、ブレーキ１６を釈放（釈放機能は図示省
略）し、誘導電動機１８及び巻上げ機４２を駆動させ乗
りかご４０及び釣合い錘４１を昇降駆動する。

【００１０】ここで、誘導電動機１８が回生運転になる
と、回生電力はインバータ１７により直流側へ戻されコ
ンデンサ１４へ充電される。コンデンサ１４の両端電圧
が所定値を超えると、回生電力消費回路１５内のトラン
ジスタ１５１を導通させて、回生電力を抵抗器１５２に
消費させる。このようにして、過電圧の発生を防止して
機器を保護すると共に、コンデンサ１４への過充電を防
止する。

【００１１】商用交流電源１０が停電すると、接触器コ
イル１１が消勢され接触器接点11ｂがオンし、補助イン
バータ装置２３へ駆動指令が発せられる。補助インバー
タ装置２３は、制御回路２３１と補助インバータ２３２
から成り、非常用電源例えばバッテリ２０の電力を３相
交流に変換し、一定時間経過後に接触器コイル２１を励
磁して接点２１ａ，２１ａ₁をオンさせる。したがっ
て、インバータ１７に非常用電源２０の直流電力を供給
し、制御回路３０へ３相交流電力を供給する。これによ
り、制御回路３０は平常時と同様にインバータ１７を利
用して、上記非常電源２０からの直流電力を可変電圧・
可変周波数の３相交流に変換すると共に、ブレーキ１６
を釈放し、誘導電動機１８及び巻上げ機４２を駆動させ
乗りかご４０及び釣合い錘４１を昇降駆動する。

【００１２】その運転方向は、乗りかご４０に設けられ
た秤装置３３の信号を参照し、乗りかご４０と釣合い錘
４１の重量差により発生するアンバランス・トルクの作
用方向とする。このようにして、誘導電動機１８を負坦
の小さい側へ回転させ、非常用電源２０の容量低下を図
る。

【００１３】乗りかご４０が最寄り階に近づくと、エレ
ベーターの速度指令を低下させて減速し、ブレーキ１６
をかけて停止させる。

【００１４】図２において速度指令作成部３５は、運転
制御部３９からの運転指令をもとに速度指令Ｖ* を算出
し、速度検出器３２の検出値Ｖと共に速度制御部３６へ
入力する。速度制御部３６は上記速度指令値Ｖ* と上記
速度検出値Ｖの偏差をとって積分演算を行い、電流指令
Ｉ* と周波数指令ｆ* を算出する。電流制御部３７は上
記電流指令値Ｉ* と電流検出器３１の検出値Ｉの偏差を
とって積分演算を行い、電圧指令Ｅ* を算出し、上記周
波数指令値ｆ* と共にパルス制御部３８へ入力する。パ
ルス制御部３８は上記電圧指令値Ｅ* と上記周波数指令
値ｆ* をもとにパルス信号ＰＳを出力し、インバータ１
７を駆動する。

【００１５】電力算出部３４は次の演算式により誘導電
動機１８への供給電力を演算する。誘導電動機電力Ｐ＝ｋ×（電動機電流相当値）×（電動機電圧相当値） …（１）ここで、ｋ＝変換定数である。

【００１６】上記誘導電動機の電流相当値としては、誘
導電動機１８の電流検出器３１の出力値Ｉ、インバータ
１７への電流指令値Ｉ* 、誘導電動機１８に対するトル
ク指令値、又は誘導電動機のトルク検出値などが使用で
き、通常の制御上に用いられており、新たに検出装置等
を付加する必要はない。また、誘導電動機１８の電圧相
当値としては、誘導電動機１８の電圧検出値、インバー
タ１７への出力電圧指令値Ｅ* 、誘導電動機１８の速度
検出値Ｖ、上記誘導電動機１８に対する速度指令値Ｖ*
、上記インバータ１７の周波数指令値ｆ* 、又は上記
インバータ１７の出力周波数ｆなどが使用でき、これら
も通常の制御上に用いられており、新たに検出装置等を
付加する必要はない。

【００１７】上記供給電力の算出値Ｐが力行側の所定値
を超えると、速度指令作成部３５は速度指令値Ｖ* の上
昇を抑制して、誘導電動機１８への供給電力を抑え、非
常用電源２０の放電能力を超えないようにする。

【００１８】図３は本発明の上記一実施例の動作説明図
であり、同図（ａ）はあるエレベーターにおける従来の
停電時の自動救出運転速度曲線、同図（ｂ）は本発明を
同一エレベーターに適用した場合の停電時の自動救出運
転速度曲線を示す図である。従来、エレベーター乗りか
ご４０内に満員の乗客があり、かつ上昇方向に救出運転
しなければならない最悪の状況にも、与えられたバッテ
リで救出運転を余裕をもって可能とするために、最高速
度は図３（ａ）に示すように、８ｍ／min までしか上げ
られなかったとする。

【００１９】これに対して、本願発明を適用すれば、最
高速度を、１５ｍ／min まで上げることができる。すな
わち、図３（ｂ）に示すように最高速度１５ｍ／min の
第１の速度指令Ｖ１* を用意しておき、上記誘導電動機
電力Ｐが所定値（Ｐ_max-α）に達すると、速度指令作成
部３５は速度指令Ｖ* の上昇を抑制する。したがって、
上記誘導電動機電力Ｐが所定値（Ｐ_max-α）に達しない
比較的負担の軽い状態での救出運転の場合には、実際の
速度指令も第１の速度指令Ｖ₁*通りとなって、最高速度
１５ｍ／min でもって速やかな救出を実現する。次に、
比較的負担の重い状態での救出運転の場合には、図示す
るように例えば時点ｔ₂で上記誘導電動機電力Ｐが所定
値（Ｐ_max-α）に達するのでこれ以降、速度指令作成部
３５は速度指令Ｖ* の上昇を抑制する。このため、実際
の速度指令は、同図実線Ｖ* で示すように最高速度を抑
えられる。図示の例では最高速度は１０ｍ／min であ
る。前述したように、制御回路３０は、秤装置３３の出
力を用いて、負担の軽い方向を選んで救出運転を行う。
このため、従来想定した最悪の状態での救出運転が発生
する可能性は極めて低い。このような極めて稀な状況が
発生した場合のみ、同図（ａ）に示す時点ｔ₁で電力Ｐ
が所定値（Ｐ_max-α）に達するので、この場合のみ最高
速度は８ｍ／min に抑えられる。

【００２０】さて、前述したように、負担の軽い方向を
選んで救出運転を行うため、救出運転時のインバータ１
７と誘導電動機１８は、力行と回生の機会は半々といえ
る。回生運転時にも力行運転と変わりはなく、上記供給
電力の算出値Ｐが回生側の所定値を超えると、速度指令
作成部３５は速度指令値Ｖ* を低下させて、誘導電動機
１８からの回生電力を抑え、非常用電源２０の入力電流
が過大とならないようにする。一方、上記供給電力の算
出値が所定値より低い時は、速度指令作成部３５は速度
指令値Ｖ* を予定通り増加させ誘導電動機１８への供給
（回生）電力を増やし、非常用電源２０の充放電能力を
効率良く使用できるようにする。

【００２１】この結果、救出運転時間は、従来の装置が
常に、図３（ａ）に示す０〜ｔ₅という長時間を要して
いたのに対し、この実施例によれば、図３（ｂ）の０〜
ｔ₃，０〜ｔ₄等、その時の状況に応じた再短時間で済
むことになる。

【００２２】この実施例によれば、停電時自動着床運転
時のエネルギー効率の向上と、非常用電源の保護を、簡
易な回路で実現することができる外、常に、可能な限り
高い速度で救出運転することとなり、速やかに乗客を脱
出させることができる。

【００２３】以上の実施例においては、非常用電源と誘
導電動機間で授受する電力に応じて最高速度を抑制する
ものとしたが、合わせて又は単独に加減速度を抑制する
ようにしても相当の効果が得られる。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、停電時自動着床運転時
のエネルギー効率の向上と、非常用電源の保護を、簡易
な装置で実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるエレベーター制御装置
の回路構成図である。

【図２】図１における制御回路３０の機能構成を示す。

【図３】本発明の一実施例の動作説明図であり、同図
（ａ）はあるエレベーターにおける従来の停電時の自動
救出運転速度曲線、同図（ｂ）は本発明を同一エレベー
ターに適用した場合の停電時の自動救出運転速度曲線を
示す図である。

【符号の説明】

１０…商用交流電源、１３…コンバータ、１７…インバ
ータ、１８…誘導電動機、２０…非常用電源、２３…補
助インバータ、３０…制御手段（制御回路）、３１…誘
導電動機の電流相当値検出手段（電流検出器）、３２…
誘導電動機の電圧相当値検出手段（速度検出器）、３４
…電力算出部、３５…速度指令作成部、３６…速度制御
部、４０…乗りかご、４１…釣合い錘。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】商用交流電源を直流に変換するコンバータ
と、上記コンバータ出力を交流に変換しエレベーター駆
動用の誘導電動機に給電するインバータと、上記インバ
ータを制御する制御手段と、上記商用交流電源停電時に
上記インバータ及び上記制御手段へ給電し停電時自動着
床運転を行うための非常用電源とを備えたエレベーター
の制御装置において、上記誘導電動機の電流相当値を検
出する手段と、上記誘導電動機の電圧相当値を検出する
手段と、上記自動着床運転時に上記誘導電動機の電流相
当値と電圧相当値に基づいてエレベーターの運転速度を
制御する手段を備えたことを特徴とするエレベーターの
制御装置。
【請求項２】上記運転速度を制御する手段は、上記誘導
電動機の電流相当値と電圧相当値に基づいて上記エレベ
ーターの運転速度を制限する手段である請求項１記載の
エレベーターの制御装置。
【請求項３】上記運転速度を制御する手段は、上記誘導
電動機の電流相当値と電圧相当値の積が所定値を超えな
いように上記エレベーターの運転速度を制限する手段で
ある請求項１又は２記載のエレベーターの制御装置。
【請求項４】商用交流電源を直流に変換するコンバータ
と、上記コンバータ出力を交流に変換しエレベーター駆
動用の誘導電動機に給電するインバータと、上記インバ
ータを制御する制御手段と、上記商用交流電源停電時に
上記インバータ及び上記制御手段へ給電し停電時自動着
床運転を行うための非常用電源とを備えたエレベーター
の制御装置において、上記誘導電動機の電流相当値を検
出する手段と、上記誘導電動機の電圧相当値を検出する
手段と、上記自動着床運転時に上記誘導電動機の電流相
当値と電圧相当値に基づいてエレベーターの加速度を制
御する手段を備えたことを特徴とするエレベーターの制
御装置。
【請求項５】上記加速度を制御する手段は、上記誘導電
動機の電流相当値と電圧相当値に基づいて上記エレベー
ターの加速度を制限する手段である請求項４記載のエレ
ベーターの制御装置。
【請求項６】上記加速度を制御する手段は、上記誘導電
動機の電流相当値と電圧相当値の積が所定値を超えない
ように上記エレベーターの加速度を制限する手段である
請求項４又は５記載のエレベーターの制御装置。
【請求項７】上記誘導電動機の電流相当値は、上記誘導
電動機の電流検出値、上記インバータへの電流指令値、
上記誘導電動機に対するトルク指令値、又は上記誘導電
動機のトルク検出値である請求項１〜５又は６記載のエ
レベーターの制御装置。
【請求項８】上記誘導電動機の電圧相当値は、上記誘導
電動機の電圧検出値、上記インバータへの出力電圧指令
値、上記誘導電動機の速度検出値、上記誘導電動機に対
する速度指令値、上記インバータの周波数指令値、又は
上記インバータの出力周波数検出値である請求項１〜６
又は７記載のエレベーターの制御装置。
【請求項９】商用交流電源を直流に変換するコンバータ
と、上記コンバータ出力を交流に変換しエレベーター駆
動用の誘導電動機に給電するインバータと、上記誘導電
動機の回転速度を検出する手段と、上記誘導電動機に流
れる電流を検出する手段と、上記速度検出値及び上記電
流検出値を入力し上記インバータを制御する制御手段
と、上記商用交流電源停電時に上記インバータ及び上記
制御手段へ給電し停電時自動着床運転を行うための非常
用電源とを備えたエレベーターの制御装置において、上
記自動着床運転時に上記速度検出値及び上記電流検出値
を入力する演算手段と、この演算手段の出力が所定値以
内となるようにエレベーターの速度指令を制限する手段
を備えたことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項１０】上記演算手段は、上記速度検出値及び上
記電流検出値に基づいて、上記非常用電源と誘導電動機
間で授受される電力を演算する手段を含む請求項９記載
のエレベーターの制御装置。