JP3517041B2 - 金属用接着性組成物 - Google Patents
金属用接着性組成物Info
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Description
よび貴金属合金に対し優れた接着性を有する金属用接着
性組成物に関する。本明細書において「金属用接着性組
成物」と表記されている語は、金属材料を他の材料(金
属性材料を含む)に接着するばあいに用いられる接着
剤、および接着を行う前に接着性の増強を目的として金
属材料に塗布するプライマーの両者を包含する。
において、欠損した歯牙を修復する材料として、従来よ
り、貴金属合金をはじめとする金属製の鋳造体が主とし
て利用されている。このような金属製の鋳造体を歯牙に
固定する場合に用いられる接着剤として、特開昭58−
21607号公報には、リン酸エステルモノマーを配合
した歯科用接着剤が開示されている。該接着剤は、鉄、
ニッケル、クロム、コバルト、スズ、アルミニウム、
銅、チタン等の卑金属合金に対して極めて優れた接着強
さを示し、特に接着界面の周縁部が常時水と接する環境
下におかれるばあいにも接着強さが低下しない(以下、
接着界面が常時水と接する環境下における接着強さを
「接着強さの耐水性」という)ので、歯科用接着剤とし
て実用化されている。しかしながら、該接着剤は、たと
えば、インレー、クラウン、ブリッジなどの素材として
多用されている貴金属合金(金、白金、パラジウム、銀
を主成分とする合金)に対する接着強さの耐水性が、卑
金属合金に対する耐水性と比較して劣っている。貴金属
合金に対する接着強さの耐水性を確保するためには、特
開昭60−69010号公報が教示するように、貴金属
合金の表面に卑金属をメッキする必要があり、接着作業
が極めて煩雑であった。
たとえば歯科材料・器械 第6巻、特別号9には、6−
(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオン(以下、「VB
ATDT」と称す)と揮発性有機溶剤とを含む組成物
を、接着を行う前に、接着しようとする金属表面に塗布
する方法が提案され、有機材料と、貴金属あるいは貴金
属合金との接着性を向上させるのに有望であった。
着性組成物は、貴金属及び貴金属合金に対する有機材料
の接着性を向上させるに有望な技術ではあるが、それで
もまだ接着強さの耐水性が不充分であったり、接着の対
象となる金属の種類、金属に対して接着を行う有機材料
の種類に制約があるなど、解決すべき問題点も残ってい
る。即ち、本発明の目的は、かかる問題点を解決した金
属用接着性組成物を提供することである。
環(ただし、2位、および4位のイオウ原子を含む置換
基を有する。以下含イオウトリアジン環と称す)を有す
る化合物に、リン酸基またはカルボン酸基を有する化合
物を組み合わせたばあい、貴金属、貴金属合金に対する
接着強さの耐水性が充分ではなかった有機材料に対して
も、接着強さの耐水性が向上し、さらに貴金属のみなら
ず、卑金属に対しても優れた接着性を獲得しえることを
見いだし、本発明を完成するに到った。
物に関する。 1.(a)一般式(I):
し、R2 は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R3
は−H、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を
示し、Xは−COO−、−OOC−、−CONH−、−
COS−、−SOC−、−S−、−O−または
を示し、kは0または1、mは0または1、nは、Yが
−O−または−S−のときは0、Yが−N<のときは1
であり、R4 およびR5 は同一または異なってもよく、
それぞれ−H、金属イオンまたはアンモニウムイオンを
示し、R4 およびR5 が同時に−Hのときは、その互変
異性体も含む)で表される化合物、および(b)リン酸
基を有する化合物とを含有することを特徴とする金属用
接着性組成物。
し、R2 は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R3
は−H、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を
示し、Xは−COO−、−OOC−、−CONH−、−
COS−、−SOC−、−S−、−O−または
を示し、kは0または1、mは0または1、nは、Yが
−O−または−S−のときは0、Yが−N<のときは1
であり、R6 およびR7 は同一または異なってもよく、
それぞれ−H、金属イオンまたはアンモニウムイオンを
示す。ただしR6 およびR7 が同時に−Hにはならな
い)で表される化合物、および(b’)カルボン酸基を
有する化合物とを含有することを特徴とする金属用接着
性組成物。
一般式(I)の化合物とリン酸化合物(b)とを、ある
いは一般式(II)の化合物とカルボン酸化合物
(b’)とを組み合わせることにある。一般式(I)お
よび(II)で表される化合物は、
R6 およびR7 はそれぞれ水素、金属イオン、アンモニ
ウムイオンを示し、R4 とR5 、およびR6 とR7 は、
同一または異なっていてもよいが、R6 とR7 が同時に
水素とはならない。
トリアジンジチオール(下記ii)において、互変異性
体としてチオン型(下記i)が存在することが知られて
いる〔J. Polym. Sci. Polym. Lett Ed, 20, 321-327頁
(1982)〕。
R5 が同時に水素のばあいは、チオール型およびジチオ
ン型の両方を包含する。なお本明細書では、R4 、R5
が同時に水素のばあいはチオール型をもって表記してい
る。
化合物が金属に対する接着性をもつことは、特開昭62
−292774号公報で知られている。しかるに本発明
者らは、該化合物に酸性化合物を共存させた系は、金
属、特に貴金属、およびその合金に対し、より強い接着
性を示すことを知見した。これは、含イオウトリアジン
環を含有する化合物に酸性化合物を共存させることによ
り、酸性化合物が含イオウトリアジン環のイオウ原子の
貴金属、貴金属合金への化学結合反応を活性化している
ものと考えられる。
が、金属イオンまたはアンモニウムイオンである化合物
(I)あるいは(II)を使用するばあいは、それらの
溶剤を使用して溶液とする必要がある。該溶剤として
は、水、あるいは水と有機溶剤の混合物のような水性溶
剤が使用可能である。
a+ 、K+ などのアルカリ金属イオン、Mg2+、C
a2+、Sr2+などのアルカリ土類金属イオンが挙げられ
る。また、アンモニウムイオンとして、NH4 + のほ
か、NH3 R4 + 、NH2 R4 R5+、NHR4 R5 R
6 + 、NR4 R5 R6 R7 + (式中、R4 、R5 、R6
およびR7 は、それぞれ炭素数が1から20の1価の有
機基、特に脂肪族基および芳香族基が好ましい)で表さ
れる第1級、第2級、第3級および第4級アンモニウム
イオンが挙げられる。
記する。尚、下記化合物1)〜16)が有する1,3,
5−トリアジン−2,4−ジチオン基〔前述のi)〕は
前述の互変異性を有するため、1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール基〔前述のii)〕であってもよ
い。
ものが挙げられる。
酸基、ハロゲンまたは
窒素およびイオウから選ばれる元素を連結元素として含
む炭化水素基が挙げられる。また、Qが複数存在するば
あいは同一あるいは異なっていてもよい。) 該化合物(b)の具体例として、以下のものが挙げられ
る。
して、下記のものが挙げられる。
る。
(b)あるいは(b’)との好ましい組み合わせとし
て、化合物(1)、化合物(10)、化合物(11)、
化合物(13)、化合物(17)および化合物(20)
のいずれかと、化合物(23)、化合物(24)および
化合物(25)のいずれかとの組み合わせ、および化合
物(17)と化合物(20)のいずれかと、化合物(4
8)、化合物(50)、化合物(54)および化合物
(56)のいずれかとの組み合わせが挙げられる。
てその用途によって以下(1)および(2)のように構
成される。
よび化合物(b)あるいは(b’)、およびこれらと反
応しない溶剤よりなる金属用接着性組成物 溶剤は、化合物(I)あるいは(II)、ならびに化合
物(b)あるいは(b’)を溶解できるものである必要
がある。溶剤として、例えば、常圧での沸点が250℃
以下の揮発性有機溶剤、水、これらの混合物が挙げられ
る。上記揮発性有機溶剤としては、メタノール、エタノ
ール、2−エチルブタノールなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタ
ノン、3−ペンタノンなどのケトン類、およびジエチル
エーテル、n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、
テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチル、ト
ルエン、キシレン、p−シメン、ヘキサン、オクタン、
塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,
2−テトラクロロエタンなどが挙げられる。
マーとして使用される。その使用方法の具体例として
は、次の態様が例示される。すなわち、該接着性組成物
(プライマー)を金属性物体などに塗布し、その塗布さ
れた金属製物体などの表面に、必要に応じて空気を吹き
付けて揮発性溶剤を揮発させたり、あるいは、余剰なプ
ライマー成分をプライマー成分可溶の溶剤で洗浄した
り、布、脱脂綿などで拭くことにより、金属表面に重合
性単量体の薄層を形成させる。その後、公知の重合硬化
型の接着剤、特に好ましくはアクリル系モノマーを含有
する接着剤がさらに塗布され、接着が行われる。
よび化合物(b)あるいは(b’)、およびこれらと共
重合性を有する単量体よりなる金属用接着性組成物 該接着性組成物は、接着剤としてもプライマーとしても
使用できる。ここに、該単量体は、溶剤として機能する
ものであることが好ましい。また、該接着性組成物に
は、上記した溶剤が希釈剤として加えられてもよい。該
共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸
エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸エステ
ル、フマル酸エステル、酢酸ビニルなどのビニルエステ
ル類、スチレンとその誘導体、アクリロニトリル、アク
ロレインなどのビニル化合物が挙げられる。なかでも、
(メタ)アクリル酸エステルが特に好ましい。(メタ)
アクリル酸エステルの具体例として、たとえば、メチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、2,
2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒド
ロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GM
Aと称する)、トリメチロールエタントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリ
レート、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレー
トなどが挙げられる。
たばあいは、接着剤として通常の方法で用いられる。す
なわち、金属製物体表面に該接着性組成物を塗布し、そ
の上に他の物体表面を圧接する。該接着性組成物が重合
硬化することで、両物体が接着される。また、別の接着
剤で金属性物体を接着するに先だって、金属表面に塗布
するプライマーとしても使用できる。すなわち、該接着
性組成物を金属表面に塗布し、必要に応じて空気を吹き
つけ、揮発成分を蒸散させ、その上に一般に用いられる
接着剤またはコンポジットレジンを塗布し、しかる後に
他の物体を接着する。
(2)のどちらの構成であっても添加することができ
る。重合開始剤として、たとえば、ベンゾイルパーオキ
サイド−芳香族第3級アミン系重合開始剤、クメンハイ
ドロパーオキサイドなどの過酸化物、トリブチルボラ
ン、芳香族スルフィン酸(またはその塩)−芳香族第2
級または第3級アミン−アシルパーオキサイド系重合開
始剤などが挙げられる。さらに、カンファーキノン、カ
ンファーキノン−第3級アミン系重合開始剤、カンファ
ーキノン−アルデヒド系重合開始剤、カンファーキノン
−メルカプタン系重合開始剤などの光重合開始剤を挙げ
ることができる。なお、本発明の金属用接着性組成物を
プライマーとして使用し、その上に別の接着剤が塗布さ
れる場合には、本発明の金属用接着性組成物に重合開始
剤が含まれていなくても、他の接着剤中の重合開始剤が
移行してきて、重合硬化が行われる。かかるばあいに
は、本発明の金属用接着性組成物中に重合開始剤の配合
は必要でない。
を加えてもよい。フィラーとして、石英、ガラス、ヒド
ロキシアパタイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸
化チタン、酸化ジルコニウム、セラミックス類、珪藻
土、カオリン、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、活性
白土、合成ゼオライト、マイカ、フッ化カルシウム、リ
ン酸カルシウム、フルオロアルミノシリケート、超微粒
子シリカ、超微粒子アルミナなどの無機フィラー、ポリ
メチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合
体、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、クロロプレン、ニトリルゴム、スチレン−ブ
タジエンゴムなどの有機フィラー、上記した無機フィラ
ーを上記した有機フィラーでコートしたもの、上記有機
フィラー中に上記無機フィラーを分散させたものなどの
無機/有機複合フィラーなどが挙げられる。これらは、
必要に応じて、シランカップリング剤で表面処理して用
いてもよい。これらは、単独または混合物として用いら
れる。
抗菌性重合性単量体を加えてもよい。該抗菌性重合性単
量体として以下の化合物が好適に用いられる。
は、揮発性溶剤を使用するばあい、該溶剤およびその他
の添加剤も含む組成物の全重量に対して、好ましくは
0.0001〜20重量%、さらに好ましくは、0.0
01〜10重量%であり、化合物(b)あるいは
(b’)の配合量は、0.0001〜50重量%、さら
に好ましくは、0.001〜30重量%である。
は、化合物(I)あるいは(II)の配合量は、上記組
成物全重量に対して、好ましくは0.001〜40重量
%、さらに好ましくは、0.01〜20重量%であり、
化合物(b)あるいは(b’)の配合量は、好ましくは
0.001〜60重量%、さらに好ましくは、0.01
〜40重量%である。
組成物全重量に対して1〜90重量%が好ましい。特に
目的とする部位にだけ塗布することができるように、接
着性組成物の増粘を図るばあいは、5〜50重量%が好
ましく、接着性組成物の硬化物の強度を高めることを目
的とし、該フィラーを補強材として配合するばあいは、
10〜85重量%が好ましい。
限定されないが、好ましくは、組成物全重量に対して
0.01〜25重量%、さらに好ましくは0.1〜20
重量%である。
属、たとえば、金、白金、パラジウム、銀、ルテニウ
ム、ロジウム、オスミウム、イリジウムなどの貴金属、
およびこれらの貴金属を50重量%以上含有する貴金属
合金、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、錫、アルミ
ニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジル
コニウム、モリブデン、インジウム、アンチモン等の広
凡な卑金属、及びこれらの貴金属、卑金属を含む合金に
対して優れた接着強さを示す。
く説明するが、本発明は下記実施例に限定されるもので
はない。
用いて金合金(Casting Gold M.C.Type IV :GC製)、
パラジウム合金(Castwell M.C.:GC製)および銀合金
(Sunsilver C.B. :三金工業製)に対する接着効果を調
べた。被着体金属表面を、研磨シート#4000で研磨
した後、それに各々の組成物を小筆を用いて塗布し、乾
燥させた。次いで表面処理を施した同種の被着体金属の
片方に、接着面積を規制するための5mmφの穴を開け
たテープを貼りつけ、クラパールDC(クラレ製)を挟
んで同じ処理を施した同種の金属を接着させた。1時間
後に全試験片16個を37℃水中に浸漬した。そのうち
8個の試験片については、37℃水中24時間浸漬後に
接着強度を測定した。また、残りの8個の試験片に対し
ては4℃の冷水中と60℃の温水中に各々1分間ずつ浸
漬する熱サイクル試験を2000回負荷した後に接着強
度を測定した。接着強度の測定には、万能試験機(イン
ストロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2mm/
分の条件で引張接着強度を測定した。各々の測定値を平
均し、表3に測定結果を示す。
れらを用いて金合金(Casting Gold M.C.Type IV :GC
製)、パラジウム合金(Castwell M.C.:GC製)および
銀合金(Sunsilver C.B. :三金工業製)に対する接着強
度を、実施例1と同様に測定した。熱サイクル試験20
00回負荷後の接着強度を表11、12に示す。
て金合金(Casting Gold M.C.Type IV :GC製)、パラ
ジウム合金(Castwell M.C.:GC製)に対する接着効果
を調べた。すなわち、被着体金属表面を研磨シート#4
000で研磨した後、組成物27と組成物28を等量混
和し、これを金属表面に小筆を用いて塗布して、次いで
空気を吹きつけてエタノールを蒸散させた。続いて実施
例1の要領で接着した後、各々8個の試験片の熱サイク
ル試験2000回負荷後の接着強度を測定した。その結
果は、金合金に対して23.5MPa、パラジウム合金
に対して25.3MPaであった。(実施例22)
オンモノマーを除いた組成物29を調製し、これと組成
物28とを等量づつ取り、これらを混和した。得られた
混合物を用いて実施例22と同様の試験を行なったとこ
ろ、金合金に対する接着強度は2.0MPa、パラジウ
ム合金に対する接着強度は3.2MPaであった。(比
較例7)
除いた組成物30を調製し、これと組成物28とを等量
づつ取り、これらを混和した。得られた混合物を用い
て、実施例22と同様の試験を行なったところ、金合金
に対する接着強度は7.6MPa、パラジウム合金に対
する接着強度は6.2MPaであった。(比較例8)
て金合金(Casting Gold M.C.Type IV :GC製)、パラ
ジウム合金(Castwell M.C.:GC製)に対する接着効果
を調べた。すなわち、被着体金属表面を研磨シート#4
000で研磨した後、同種の被着体金属の片方に、接着
面積を規制するための5mmφの穴を開けたテープを貼
りつけた。それに、組成物31と組成物32とを等量混
和したペーストを塗布し、同種の金属を接着させた。実
施例1と同様に、各々8個の試験片の熱サイクル試験2
000回負荷後の接着強度を測定したところ、金合金に
対する接着強度は27.5MPa、パラジウム合金に対
する接着強度は23.8MPaであった。(実施例2
3)
オンモノマーを除いた組成物33を調製し、これと組成
物31とを等量づつ取り、これらを混和した。得られた
混合物を用いて、実施例23と同様の試験を行なったと
ころ、金合金に対する接着強度は4.2MPa、パラジ
ウム合金に対する接着強度は1.7MPaであった。
(比較例9)
除いた組成物34を調製し、これと組成物31とを等量
づつ取り、これらを混和した。得られた混合物を用い
て、実施例23と同様の試験を行なったところ、金合金
に対する接着強度は10.4MPa、パラジウム合金に
対する接着強度は7.2MPaであった。(比較例1
0)
属、就中貴金属および貴金属合金に対して優れた接着強
さの耐水性を示すことから、歯科分野において好適に用
いられる。たとえば、本発明の金属用接着性組成物を使
用して、歯牙にインレー、クラウン、ブリッジなどの貴
金属鋳造体を接着して、固定する場合、金属製の歯科補
綴物を作製する場合、(たとえば、コンポジットレジン
前装冠の作製のようにメタルフレーム上に歯科用コンポ
ジットレジンを接着する場合、義歯床用レジンと、金属
フレームあるいはクラスプとを接着する場合)などにお
いて、従来の技術では得られなかった性能、特に水が存
在する環境下におけて高い接着強さが長時間持続する。
さらに、接着作業性の向上も達成できる。もちろん、本
発明の金属用接着性組成物は歯科用のみならず、特に金
属と有機材料との接着が必要とされるあらゆる産業分野
において、好適に用いられる。
Claims (5)
- 【請求項1】 (a)一般式(I): 【化1】 (式中、R1は−Hまたは−CH3を示し、R2は炭素数
1〜20のアルキレン基を示し、R3は−H、炭素数1
〜8のアルキル基またはアリール基を示し、Xは−CO
O−、−OOC−、−CONH−、−COS−、−SO
C−、−S−、−O−または 【化2】 を示し、Yは−S−または−N<を示し、kは0または
1、mは0または1、nは、Yが−S−のときは0、Y
が−N<のときは1であり、R4およびR5は同一または
異なってもよく、それぞれ−H、金属イオンまたはアン
モニウムイオンを示し、R4およびR5が同時に−Hのと
きは、その互変異性体も含む)で表される化合物、およ
び (b)リン酸基を有する化合物とを含有することを特徴
とする金属用接着性組成物。 - 【請求項2】 (a’)一般式(II): 【化3】 (式中、R1は−Hまたは−CH3を示し、R2は炭素数
1〜20のアルキレン基を示し、R3は−H、炭素数1
〜8のアルキル基またはアリール基を示し、Xは−CO
O−、−OOC−、−CONH−、−COS−、−SO
C−、−S−、−O−または 【化4】 を示し、Yは−S−または−N<を示し、kは0または
1、mは0または1、nは、Yが−S−のときは0、Y
が−N<のときは1であり、R6およびR7は同一または
異なってもよく、それぞれ−H、金属イオンまたはアン
モニウムイオンを示す。ただしR6およびR7が同時に−
Hにはならない)で表される化合物、および (b’)カルボン酸基を有する化合物とを含有すること
を特徴とする金属用接着性組成物。 - 【請求項3】 さらに、少なくとも化合物(I)または
(II)に対する溶剤を含有する請求項1または2記載
の金属用接着性組成物。 - 【請求項4】 さらに重合開始剤を含有する請求項1〜
3のいずれかに記載の金属用接着性組成物。 - 【請求項5】 さらに、フィラーを1〜90重量%含有
する請求項1〜4のいずれかに記載の金属用接着性組成
物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP22689895A JP3517041B2 (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | 金属用接着性組成物 |
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JP22689895A JP3517041B2 (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | 金属用接着性組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0967546A JPH0967546A (ja) | 1997-03-11 |
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ID=16852325
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-
1995
- 1995-09-04 JP JP22689895A patent/JP3517041B2/ja not_active Expired - Lifetime
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小島克則ら共著,歯科材料・器械,Vol.6,No.5(1987),702−707 |
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