JP3463736B2 - 半導体発光素子、およびその発光強度の調整方法 - Google Patents
半導体発光素子、およびその発光強度の調整方法Info
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Description
し、特にIII−V族化合物のGaN、InGaN、G
aAlN、InGaAlN等を用いた半導体発光素子、
およびその発光強度の調整方法に関する。
発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)
等の半導体発光素子の材料としては、一般式InxGay
AlzN(但し、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y
≦1、0≦z≦1)で表されるIII−V族化合物半導
体が知られている。この化合物半導体は、直接遷移系で
あることから発光効率が高く、またIn濃度によって発
光波長を制御できることから、発光素子用材料として注
目を集めている。
aNと略す)はそのバルク結晶を形成することが極めて
困難であるため、その結晶膜の作製にあたっては異種材
料からなる基板上にGaNの結晶膜を成長させる、いわ
ゆるヘテロエピタキシャル成長法が用いられている。
用いる下地基板としては、従来よりC面サファイア基板
が支配的に用いられている。この場合、まずC面サファ
イア基板上に低温成長GaN層やAlN層をバッファ層
として形成し、これらのバッファ層の上にGaNの結晶
膜を成長させることにより、結晶性の良好なGaN層の
形成を行っている。
た場合であっても、形成されるGaN層中にはC面サフ
ァイア基板とGaNとの格子定数差(具体的には両者の
格子定数差は約16.1%である)に起因する結晶欠陥
が多数存在するため、必ずしも満足のゆく結晶性を有す
る結晶膜が得られていない。このため、さらに結晶性の
良好なGaN層の形成が求められている。また、下地基
板として用いられているC面サファイア基板は非常に高
価であるため、より安価な下地基板を用いてのGaN層
の形成方法が求められている。
ために、GaN層を形成するためのバッファ層として多
結晶で形成されるZnO膜を用いる技術が、近年提案さ
れている。c軸配向した多結晶で形成されるZnO膜は
GaNとの格子定数が比較的近く(具体的には両者の格
子定数差は約2%である)、格子定数差に起因する結晶
欠陥を少なく抑えることが可能になる。また多結晶で形
成されるZnO膜は、R面サファイア等の一部の基板を
除いて、ほとんどの基板上に比較的容易にc軸配向膜を
形成することが可能である。従って、多結晶で形成され
るZnO膜をバッファ層として用いることにより、格子
定数差に起因するGaNの結晶欠陥を抑制できるととも
に、GaN層を形成する下地基板の選択の幅を広げるこ
とができる。すなわち、高価なC面サファイアを用いる
ことなく例えば比較的安価なシリコン基板、ガラス基板
等を下地基板に用いてGaN層を形成することが可能と
なる。
されるZnO膜をバッファ層として用いる方法は未だ実
用化されていない。これは、c軸配向した多結晶で形成
されるZnO膜をバッファ層として用いた場合、十分に
満足のゆく発光強度を有するGaN層が得られていなか
ったからである。
晶で形成されるZnO膜をバッファ層として用いたGa
N系半導体発光素子において、十分な発光強度を有する
半導体発光素子を提供することにある。
来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、多結晶
で形成されるZnOバッファ層を構成しているZnOの
グレイン(結晶粒)の平均結晶粒径の値を適切に調整す
ることにより、満足のゆく発光強度を有するGaN層を
形成しうるとの知見を得た。すなわち、Si基板上にZ
nOバッファ層を、スパッタ装置を用いて多結晶で形成
し、ZnOバッファ層のZnOグレインの平均結晶粒径
を0.45μm以上、または0.12μm以下に形成す
ることにより、十分な発光強度を有するGaN層を形成
することができることを見出した。
されるZnOバッファ層は、例えばテレビチューナ用S
AWフィルタ等、他の一般的な用途に用いられている多
結晶で形成されるZnO膜とほぼ同一の成膜条件に基づ
いて成膜を行っていた。より具体的には、下記の表1に
示すような成膜条件に基づいていた。この従来の成膜条
件に従った場合、成膜されるZnO膜のZnOグレイン
の平均結晶粒径はほぼ0.25μm前後(±0.05μ
m程度)となることが、分析の結果明らかとなった。
に基づいて、ZnO膜のZnOグレインの平均結晶粒径
を0.45μm以上または0.12μm以下に形成する
ことにより、ZnOバッファ層上に形成されるGaN層
の発光強度を、従来のものと比べて飛躍的に向上させる
ことができる。このZnO膜のZnOグレインの平均結
晶粒径の大きさと、GaN層の発光強度との因果関係に
ついては必ずしも明らかにされていないが、おそらく以
下の作用によるものではないかと考えられる。すなわ
ち、ZnOグレインを0.45μm以上と大きく形成す
ることにより、ZnOグレイン上に成長するGaNもよ
り大きな結晶粒径となり、GaNの結晶粒径が大型化す
ることによりGaNの発光強度が向上するものと考えら
れる。一方、ZnOグレインを0.12μm以下と小さ
く形成することにより、個々のGaNの結晶粒径自体は
小さくなるものの、それぞれの結晶粒が空隙なく非常に
緻密に存在し、結晶粒間の非結晶化領域が非常に少なく
なり、その結果GaNの発光強度が向上するものと考え
られる。
粒径とは、c軸配向している個々の結晶粒をc軸方向か
ら見たときの結晶粒の直径のことを意味する。また、結
晶粒径の平均値は、種々の平均値算定の手法を用いれば
良いが、本発明者らは形成したZnOバッファ層の任意
の数ヶ所の地点を選択した上で、当該選択地点に含まれ
るZnOグレインの粒径を計測し、それらの平均値を計
算した。
て図面を参照して詳細に説明する。
図1に示す。図1において、1は下地基板となるシリコ
ン基板、2はGaN層形成のためのZnOバッファ層、
3は半導体発光層にあたるGaN層をそれぞれ示してい
る。なお、図示していないが、ZnOバッファ層2を構
成しているZnOのグレイン(結晶粒)は、その平均結
晶粒径が0.45μm以上あるいは0.12μm以下と
なるように形成されている。このZnOのグレインの平
均結晶粒径は、成膜装置、基板温度、ガス厚、投入パワ
ー等の成膜条件を変えることにより、適宜変化させるこ
とができる。この半導体発光素子4は、素子外部からレ
ーザ光等の励起エネルギが加えられると、バンド端付近
(365nm)での発光スペクトルを示す発光素子であ
る。
について説明する。
として厚さ0.38mm、直径3インチのシリコン基板
1を用意する。このシリコン基板1上に、以下の表2に
まとめた各成膜条件に従って、A〜Gまでの各種のZn
Oバッファ層2を形成する。このように成膜条件を調整
することにより、様々なグレインの平均結晶粒径を有す
るA〜GのZnOバッファ層2を形成することができ
る。
A〜GのそれぞれのZnOバッファ層上に、発光層とな
るGaN層をECR−MBE装置を用いて形成し、図1
に示した膜構造を有する半導体発光素子4を得る。な
お、このECR−MBE装置を用いてのGaN層の成膜
方法の詳細については、既に本出願人が出願済みである
特願平9−331884に開示された手法等を用いれば
よい。
A〜GのZnOバッファ層を有する各発光素子の光学的
特性について検討する。光学的特性の評価法として、H
e−Cdレーザを励起光源とするフォトルミネッセンス
スペクトルの測定を室温環境下で行う。測定結果を図2
に示す。図2において横軸は発光波長λを、縦軸は発光
強度(単位a.u.)を示している。なお、図を見やす
くするために、図2(a)、(b)の2枚に分けてい
る。
されるZnOバッファ層のZnOグレインの平均結晶粒
径が0.12μm以下に形成された素子A、B、および
0.45μm以上に形成された素子F、Gの発光強度
が、素子C、D、Eと比べて飛躍的に強い発光強度を有
することがわかる。
端付近(365nm)における発光強度を抽出して作成
したグラフを図3に示す。本グラフからも明らかなよう
に、多結晶で形成されるZnOグレインの平均結晶粒径
が0.45μm以上および0.12μm以下に調整して
形成することによって、従来よりも強い発光強度を有す
る半導体発光素子を得られる。また、用途に応じて発光
素子の発光強度の調整を行いたい場合は、図3に示した
グラフに従ってZnOグレインの平均結晶粒径を適当に
選択すればよい。
れることなく、その他種々の変更を施すことが可能であ
る。
してシリコン基板を使用したが、必ずしもシリコン基板
に限定する必要はない。これは、従来技術の欄でも説明
したように、バッファ層として多結晶で形成されるZn
O膜を使用することにより、ほとんどの基板上に容易に
c軸配向膜を形成することができるからであり、シリコ
ン基板以外の基板を使用しても、同様にc軸配向した多
結晶で形成されるZnOバッファ層を形成することがで
きるからである。
CR−MBE装置を用いて形成したが、必ずしもこの手
法による必要はない。例えば、RF−MBE装置でも良
いし、より一般的に行われているようにMOCVD装置
を用いてGaN層を形成してもかまわない。
板上にはZnOバッファ層、GaN層の2層のみが形成
されているが、必ずしもこの積層構造に限定されない。
例えば、シリコン基板とZnOバッファ層との間に別途
SiO2膜を介在させて形成してもよいし、GaN層の
構造をヘテロ構造とすることも可能である。
nOバッファ層のZnOグレインの平均結晶粒径を調整
することによってGaN層の発光強度を調整すること、
さらに具体的に言えば、多結晶で形成されるZnOグレ
インの平均結晶粒径を0.45μm以上あるいは0.1
2μm以下に調整して形成することにより、従来よりも
飛躍的に発光強度の強い半導体発光素子を作製したこと
が特徴であり、下地基板の種類やGaN層の成膜方法等
は本質的な特徴ではない。
の半導体発光素子によれば、多結晶で形成されるZnO
バッファ層を構成しているZnOのグレイン(結晶粒)
の平均結晶粒径の値を適切に調整することにより、従来
に比べて飛躍的に強い発光強度を有するGaN層を形成
しうる。より具体的には、多結晶で形成されるZnOバ
ッファ層のZnOグレインの平均結晶粒径を0.45μ
m以上、または0.12μm以下に形成することによ
り、十分な発光強度を有するGaN層を形成することが
できる。
る。
ネッセンススペクトルの測定結果を示すグラフである。
m)における発光強度を抽出して作成したグラフであ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】Si基板と、前記Si基板上に多結晶で形
成されるZnOバッファ層と、ZnOバッファ層上に形
成されるGaN系発光層とを有してなる半導体発光素子
であって、 前記ZnOバッファ層は、ZnOグレインの平均結晶粒
径が0.45μm以上、または0.12μm以下である
ことを特徴とする半導体発光素子。 - 【請求項2】Si基板と、前記Si基板上に多結晶で形
成されるZnOバッファ層と、ZnOバッファ層上に形
成されるGaN系発光層とを有してなる半導体発光素子
の発光強度の調整方法であって、前記ZnOバッファ層を、スパッタ装置を用いて多結晶
で形成し、 前記ZnOバッファ層の平均結晶粒径を0.45μm以
上、または0.12μm以下に変えることによって、Z
nOバッファ層上に形成されるGaN系発光層の発光強
度を調整することを特徴とする半導体発光素子の発光強
度の調整方法。
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