JP3365338B2 - 連続鋳造鋳片および連続鋳造法 - Google Patents
連続鋳造鋳片および連続鋳造法Info
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Description
び連続鋳造法に関する。より具体的には、本発明は、例
えば厚鋼板等の最終製品での割れの発生を防止すること
ができる連続鋳造鋳片および連続鋳造法に関する。
鋳片を製造すると、製造された連続鋳造鋳片には中心偏
析と呼ばれる内部欠陥がしばしば発生する。図9は、中
心偏析2が発生した連続鋳造鋳片1を模式的に示す説明
図である。同図に示すように、この中心偏析2は、連続
鋳造鋳片1の厚さ方向 (図9における両矢印方向) の中
心部である最終凝固部に、溶鋼中のC、Mn、Sさらには
P等といった成分元素が濃化して高濃度に正偏析するこ
とにより、発生する。連続鋳造鋳片1の中心偏析2は、
最終製品が特に厚鋼板である場合には、成分元素の高濃
度偏析部に靱性低下や水素誘起割れ等を引き起こすた
め、従来よりその解決が望まれてきた重要な課題であ
る。
期における樹枝状晶 (デンドライト) 間に成分元素が濃
化した溶鋼が残り、鋳片厚さ方向の中心部においてその
まま凝固すること、および凝固時の収縮またはバルジ
ングと呼ばれる鋳片の膨れによる溶鋼の流動によって最
終凝固部の凝固完了点に向かって溶鋼がマクロ的に移動
することを原因として、発生する。このため、中心偏析
の発生を防止するには、凝固末期の樹枝状晶の間におけ
る濃化した溶鋼の移動を妨げること、および濃化した溶
鋼の局部的な集積を妨げることが、ともに重要となる。
止するために、いわゆる「バルジングおよび大圧下を用
いた連続鋳造法」を利用した連続鋳造法が、これまでに
も多数提案されている。
用いた連続鋳造法」を模式的に示す説明図である。同図
に示すように、連続鋳造鋳型3の下方には、液相線温度
を基準とした凝固完了点(液相線クレータエンド)5aに
相当する位置から、固相線温度を基準とした凝固完了点
(固相線クレータエンド)5bに相当する位置までに、ロ
ール間隔を段階的に広げられた複数組(図示例では10
組)のガイドロール対4からなるバルジングゾーン5が
設けられる。バルジングゾーン5の下方には、複数組
(図示例では3組)の圧下ロール対6からなる圧下ゾー
ン7が設けられる。さらに、圧下ゾーン7の下方には、
複数組(図示例では2組)のピンチロール対11が設けら
れる。
された溶鋼9は、連続鋳造鋳型3とその下方に設けられ
たノズル群(図示しない)から噴射されるスプレー水と
により冷却され、外面に凝固シェル10a を形成されて鋳
片10とされる。この段階で、鋳片10の内部には未凝固部
10b が存在する。鋳片10は、バルジングゾーン5におい
て、10組のガイドロール対4と溶鋼静圧とによって長手
方向の中央部が短辺方向に段階的に広げられて、バルジ
ングを発生する。バルジングを発生した鋳片10は、圧下
ゾーン7において、3組の圧下ロール対6によって段階
的に圧下される。これにより、鋳片10の凝固界面が圧着
されて、固相線クレータエンド5bにおいて完全に凝固す
る。鋳片10はこのバルジングゾーン5および圧下ゾーン
7を経て、複数組のピンチロール対11により白抜き矢印
方向へ連続的に引き抜かれて、連続鋳造鋳片12とされ
る。
のバルジングおよび大圧下を用いた連続鋳造法におい
て、鋳片10の最大厚さが、連続鋳造鋳型3から引き抜か
れた直後の鋳片10の厚さ、すなわち連続鋳造鋳型3の長
辺間の距離よりも20〜100 mm厚くなるようにバルジング
ゾーン5でバルジングさせ、1組の圧下ロール対6当た
り20mm以上の圧下量でバルジング量相当分を圧下する発
明が提案されている。
10の最大厚さが連続鋳造鋳型3の長辺間の距離よりも10
〜50%程度厚くなるようにバルジングゾーン5でバルジ
ングさせ、圧下ゾーン7で鋳片長さ当たり80mm/m以上の
圧下勾配で圧下する発明が提案されている。
の方法として、例えば特開昭63−252655号公報には、鋳
片10の表面に噴射する冷却水の噴射量を増加させること
により、鋳片10の最終凝固部の表面温度を700 〜800 ℃
に制御して凝固シェル10a の厚さを厚くすることによ
り、複数組のガイドロール対4の間で発生するバルジン
グ量を抑制し、さらに、軽圧下ロール群を用いて毎分0.
2 〜0.4 %の歪み速度の圧下力を鋳片10に加えることに
より、濃化した溶鋼の流動を阻止して中心偏析の発生を
防止する発明が提案されている。
410 号公報または同9−206903号公報により提案された
発明では、鋳片10のバルジング量が20mm以上と大きいた
め、この鋳片10を圧下するには大きな圧下力が必要にな
り、各圧下ロール対6を必然的に大径化せざるを得ない
が、これらの提案では、圧下ロール対6のロール径や圧
下位置におけるロールピッチ等について全く言及してい
ない。しかし、本発明者らの検討結果によれば、液相線
クレータエンド5aに相当する位置から固相線クレータエ
ンド5bに相当する位置までの間に、このような大径の圧
下ロール対6を所望の数だけ配置することは物理的に不
可能であり、これらの提案にかかる方法を実際に実施す
ることは難しい。
された方法における圧下ロール群による軽圧下では、鋳
片10の長手方向に対して点状にしか圧下を行うことがで
きない。このため、凝固収縮やバルジングを十分に防止
することができない。また、バルジング量が大きい鋳片
10にこの軽圧下を行おうとすると、各圧下が鋳片10に対
して集中荷重として局部的に作用してしまう。したがっ
て、バルジング量が大きい鋳片10の場合には、凝固界面
に内部割れを発生し易くなり、充分な圧下量を確保する
ことができない。
バルジング量相当分を圧下する大圧下を行う連続鋳造
法」は、過大な圧下力を必要とするために、凝固界面に
内部割れを発生して製品の強度を著しく低下させてしま
う。このため、連続鋳造鋳片の中心偏析の発生を防止す
ることは実際には困難であった。
る内部割れに起因した製品の強度低下を生じることがな
い連続鋳造鋳片と、この連続鋳造鋳片を得ることができ
る連続鋳造法とを提供することである。
厚さ方向の中心部を含む内部に高濃度偏析部を有し、こ
の高濃度偏析部が、濃度ピーク値を含むとともにその濃
度ピーク値の1/3 以上で略一定の濃度の領域である偏析
帯を有し、かつ鋳片厚さ方向について鋳片厚さの1.5 %
以上25%以下の長さにわたって形成されることを特徴と
する連続鋳造鋳片である。
は、中心偏析が発生していない定常部の偏析度よりも、
偏析度が高い部分を意味する。
を意味し、具体的には、圧下時の中心偏析発生部におけ
る鋳片厚さを意味する。この鋳片厚さは、バルジングに
引き続いて行われる圧下時の連続鋳造鋳片の厚み測定に
より求められる値である。
凝固部を有する鋳片に、この鋳片の液相線クレータエン
ドに相当する位置から固相線クレータエンドに相当する
位置までの所定位置に鋳片厚さ方向の間隔が徐々に拡大
されて配設された複数組のガイドロール対を用い、合計
で5mm以上20mm以下のバルジングを発生させ、次いで、
このバルジングを発生した鋳片に、中心部固相率が0.1
以上0.8 以下までの間に少なくとも1組の圧下ロール対
を用い、下記(1) 式により規定される未凝固部圧下率を
0.2 以上0.5 以下とすることで未凝固部を残存させて、
バルジングの量の0.5 倍以上1.0 倍未満の圧下量の圧下
を行うことを特徴とする連続鋳造法である。
率を示し、符号D1は未凝固部圧下量 (mm) を示し、さ
らに、符号D2は圧下開始時の固相率0.8 以下の未凝固
部の厚み(mm)を示す。
片および連続鋳造法の実施の形態を、添付図面を参照し
ながら詳細に説明する。初めに、本発明にかかる連続鋳
造法を説明する。
ジングおよび大圧下を用いた連続鋳造法と同様に、バル
ジング工程および大圧下工程を有する。そこで、これら
の工程について、前述した図10を参照しながら順次説明
する。
ゾーン5、圧下ゾーン7およびピンチロール対11等の構
成については既に説明したので、説明を省略する。
連続鋳造鋳型3に注入された溶鋼9は、水冷式の連続鋳
造鋳型3とその下方に設けられたノズル群 (図示しな
い。)から噴射されるスプレー水とにより冷却される。
これにより、溶鋼9には、凝固シェル10a が形成されて
鋳片10となる。この時点では、鋳片10の内部には、未凝
固部10b が存在する。
いて鋳片10をバルジングさせる。このバルジングゾーン
5は、複数組(本実施形態では10組)のガイドロール対
4により構成される。10組のガイドロール対4は、鋳片
10の液相線クレータエンド5aに相当する位置から固相線
クレータエンド5bに相当する位置までの間の所定位置
に、それぞれ配設される。10組のガイドロール対4は、
鋳片10の引抜き方向に向けて、鋳片厚さ方向のロール間
隔が徐々に拡大されて、配設される。これにより、内部
に未凝固部2bが存在する鋳片10は、その溶鋼静圧の作用
により、徐々にバルジングされる。
10の厚さ方向(図10の左右方向)について、合計で5mm
以上20mm以下である。バルジング量が5mm未満である
と、後述する大圧下工程での圧下量が不足し、中心偏析
を改善するための濃化溶鋼の絞り出しが不充分となる。
一方、バルジング量が20mmを超えると後述する大圧下工
程での圧下量が過大となり、圧下装置に要する設備費が
嵩んでしまう。そこで、本実施形態では、バルジングゾ
ーン5における鋳片10のバルジング量は、鋳片10の厚さ
方向について、合計で5mm以上20mm以下と限定する。
は、バルジングゾーン5により5mm以上20mm以下のバル
ジング量のバルジングを発生される。
ルジングゾーン5によりバルジングされた後に、圧下ゾ
ーン7によって、バルジングされた部分が大圧下され
る。圧下ゾーン7は、本実施形態では3組の圧下ロール
対6によって構成される。
心部固相率、すなわち流動に必要な固相率が0.1 以上0.
8 以下までの間に行われる。鋳片10の中心部固相率が0.
1 未満であることは、凝固シェル10a が成長するために
あり得ず、一方、鋳片10の中心部固相率:0.8 は、凝固
学的に流動限界である。そこで、本実施形態では、鋳片
10の中心部固相率が0.1 以上0.8 以下までの間に、3組
の圧下ロール対6による大圧下が行われる。
ゾーン5におけるバルジング量の0.5 倍以上1.0 倍未満
である。圧下量がバルジング量の0.5 倍未満であると、
中心偏析を改善することができず、逆に正偏析が残存す
る比率が大きくなる。一方、圧下量がバルジング量の1.
0 倍以上であると、大圧下終了時に、内部に未凝固部が
存在しなくなり、鋳片厚さ方向の中心部を含む内部に高
濃度偏析部が急峻な分布で形成されてしまうとともに、
過圧下となって設備的に大きな圧下力を発生する必要が
生じてしまう。そこで、本発明では、大圧下の圧下量
は、バルジングゾーン5におけるバルジング量の0.5 倍
以上1.0 倍未満と限定する。
を拡大して示す説明図である。なお、図1は、説明の便
宜上、引抜き方向を水平にして示すとともに、各圧下ロ
ール対6のうちの一方の圧下ロールが、鋳片10の厚さ方
向に移動して圧下を行うように示してある。しかし、図
10に示すように各圧下ロール対6のうちの両方の圧下ロ
ールが移動して鋳片10の圧下を行うように構成してもよ
い。
る圧下後にも内部に未凝固部が残存するようにして、各
圧下ロール対6による大圧下を行う。この大圧下によ
り、凝固末期の未凝固部10a は排出速度Vで上流側に排
出される。この排出速度Vは、バルジング量が一定であ
る場合には、圧下量が増大するに伴って増加する。ここ
で、凝固末期の未凝固部10a の溶質は濃化しているた
め、圧下ロール対6による大圧下により、溶質が濃化し
た未凝固部10a が排出速度Vで上流側に排出される。こ
のため、圧下ロール対6による圧下位置よりも上流側の
未凝固部10a には、溶質濃度の勾配が発生する。
りも上流側の未凝固部10a に発生した溶質濃度の分布の
一例を示すグラフである。図2にグラフで示すように、
圧下位置Pr の直ぐ上流部で溶質濃度は急激に上昇し、
圧下位置Pr から上流側に向かうにつれて、溶質濃度は
徐々に低下する。したがって、圧下位置Pr より上流側
の凝固した部分には溶質濃度が高い高濃度偏析部が発生
する。このため、鋳片10には、鋳片10の引抜き方向だけ
でなく厚さ方向についても、溶質濃度の偏析が発生す
る。
析度の分布の一例を示すグラフである。なお、図3のグ
ラフにおいて、濃度C0 は、中心偏析が発生していない
定常部d4 、d5 の偏析度、すなわちバルク濃度を示
す。
圧下を行わずに鋳片10を凝固させると、図3のグラフ中
に細い実線で示すように、鋳片10の厚さ方向の狭い範囲
(領域d1 )において、偏析度がC0 から濃度ピーク値
Cmax までの範囲で急激に変動する高濃度偏析部が局所
的かつ急峻に発生してしまう。このため、この連続鋳造
鋳片を素材として例えば厚鋼板を製造すると、高濃度偏
析部d1 に応力が集中し、最終製品である厚鋼板の中央
部に割れが発生してしまう。
グ工程において5mm以上20mm以下の量をバルジングを発
生させ、さらに、中心部固相率が0.1 〜0.8 までの間に
少なくとも1組の圧下ロール対を用い、バルジング量の
0.5 倍以上1.0 倍未満の圧下量で大圧下を行うと、図3
のグラフ中に太い実線で示すように、鋳片10の厚さ方向
の中心部の偏析が未凝固状態で残され、高濃度偏析部は
領域d1 から領域d3へと大幅に拡大される。
は、その濃度ピーク値Cmax の1/3 の濃度C1 以上の濃
度の領域d2 (偏析帯)が形成される。また、この高濃
度偏析部は、鋳片厚さ方向について鋳片10の厚さの1.5
%以上25%以下の長さにわたって、形成される。なお、
後述するように、鋳片10の厚さは、バルジングに引き続
いて行われる圧下時の値である。
高濃度偏析部に、バルク濃度C0 よりも偏析度が高いと
ともに領域d2 を有する偏析部が広範囲に存在する。こ
のため、領域d3 の高濃度偏析部の中央部に偏析度のピ
ークが存在しても、この中央部と中央部以外の部分との
間における強度差が、従来よりも(C1 −C0 )だけ抑
制される。
板の製造時に、領域d3 の高濃度偏析部への応力集中が
緩和される。このため、本実施形態により、割れ限界歪
みに耐えられなくなった場合に発生する割れの発生が抑
制される。このようにして、領域d3 の高濃度偏析部に
おける割れの発生が抑制される。
mm未満であるか、または大圧下工程における圧下量がバ
ルジング量の0.5 倍未満であると、図3のグラフ中に細
い実線で示すように、鋳片10の厚さ方向の狭い範囲(領
域d1 )において偏析が局所的かつ急峻に発生してしま
う。一方、バルジング工程におけるバルジング量が20mm
超であるか、または大圧下工程における圧下量がバルジ
ング量の1.0 倍超であると、厚み方向の中央部に負偏析
を生じるためにやはり偏析による強度差を生じてしま
う。このように、バルジング量:5〜20mm、および圧下
量:バルジング量の0.5 倍以上1.0 倍未満をともに満足
しないと、鋳片10の厚さ方向の狭い範囲(領域d1 )
に、偏析が局所的かつ急峻に発生してしまう。
において5mm以上20mm以下の量のバルジングを発生さ
せ、さらに、中心部固相率が0.1 〜0.8 までの間に少な
くとも1組の圧下ロール対を用い、このバルジング量の
0.5 倍以上1.0 倍未満の圧下量で大圧下を行う。これに
より、鋳片10の厚さ方向の中央部において、その濃度ピ
ーク値Cmax の1/3 以上の濃度C 1 の領域d2 (偏析
帯)を有する高濃度偏析部(領域d 3 )が、鋳片厚さ方向
について厚さの1.5 %以上25%以下の長さにわたる広い
範囲にわたって、形成される。
未凝固部圧下率Lfは、圧下量/圧下時未凝固厚を意味
し、未凝固部圧下量 (mm) を符合D1とし、圧下開始時
の固相率0.8 以下の未凝固部の厚み(mm)をD2とする
と、D1/D2により算出される。この未凝固部圧下率
Lfが0.2 未満の場合には圧下不足となり、正偏析が残
存してしまう。また、未凝固部圧下率Lfが0.5 を超え
ると、完全な負偏析を得るためには1.0 以上の未凝固部
圧下率Lfである必要があり、負偏析と正偏析とが混在
する可能性が大きくなる。そこで、本実施形態では、鋳
片10に、未凝固部圧下率Lfを0.2 〜0.5 とすることで
未凝固部を残存させて、大圧下を行う。
は、複数組ピンチロール対11により引き抜かれ、連続鋳
造鋳片12とされる。
グラフ中に太い実線で示すように、鋳片厚さ方向の中心
部を含む内部に、領域d3 を有する高濃度偏析部が存在
する。この高濃度偏析部は、中心偏析が発生していない
定常部の偏析度よりも、偏析度が高い部分である。高濃
度偏析部は、鋳片厚さ方向について連続鋳造鋳片12の厚
さの1.5 %以上25%以下の長さにわたり、形成される。
その濃度ピーク値Cmax の1/3 の濃度C1 以上の濃度を
有する領域d2 (偏析帯)が、形成される。
ングに引き続いて行われる圧下時の連続鋳造鋳片の厚み
測定により求められる値を用いる。
造鋳片12の厚さ方向の中央部に、濃度ピーク値Cmax の
1/3 の濃度C1 以上の濃度を有する領域d2 を広範囲に
有する。このため、領域d3 を有する高濃度偏析部の中
央部に偏析度のピーク値Cmax が存在しても、高濃度偏
析部の中央部とこの中央部以外の部分との間の強度差
が、(C1 −C0 )だけ小さくなる。このため、連続鋳
造鋳片12の幅方向および長手方向について、偏析度のピ
ーク値Cmax の急峻度が低減された中心偏析を得ること
ができる。このため、この連続鋳造鋳片12を素材とした
製品において、高濃度偏析部における割れの発生が抑制
される。
ングにより現出させた圧下すべき未凝固部10a を、非圧
下部の偏析悪化を伴わずに、中心偏析の防止の観点から
効果的に圧下することができる。
り具体的に説明する。図10に示す連続鋳造装置を用い
て、厚板用の溶鋼(C:0.16〜0.18重量%、Si:0.30〜
0.40重量%、Mn:1.30〜1.45重量%、P:0.020 %以
下、S:0.005 重量%以下のSi−Alキルド鋼)の鋳造試
験を行った。なお、得られた連続鋳造鋳片12の寸法は、
いずれも、厚さ:235 mm、幅:2300mmであった。
いて長さ1mの鋳片横断面試料を採取し、この鋳片横断
面試料のマクロ組織を調査することにより、高濃度偏析
部の炭素濃度を分析した。炭素濃度の分析は、得られた
連続鋳造鋳片12の厚さ方向の中心部から直径3mmのドリ
ル刃により切り屑を採取することにより行い、中心偏析
は、切り屑の炭素濃度をレードル値のC0 で除した比C
/C0 を用いて、評価した。
結果とをまとめて示す。また、表1の結果のうちの試料
No.1〜試料No.8の本発明例の試験結果を図4にグラフで
示し、試料No.9〜試料No.16 の比較例の試験結果を図5
にグラフで示す。なお、表1における中央部偏析度、
偏析帯偏析度、偏析帯幅(%)は、それぞれ、図6
における偏析度Cmax 、C1 、(d3 /鋳片厚さ)×10
0 を示す。
料No.1〜試料No.8の連続鋳造鋳片では、本発明で規定す
る条件を満足する「バルジング−大圧下」を行っている
ため、いずれも、鋳片10の厚さの1.8 〜12.0%に相当す
る広い範囲において、高濃度偏析部を発生した。
すように、試料No.9および試料No.10 は、ともに、バル
ジング量が本発明の範囲の下限を下回っているため、高
濃度偏析部の鋳片厚さ方向の長さを拡大することができ
なかった。
凝固部圧下率が本発明の範囲の上限を上回っているた
め、厚み方向の中央部に負偏析を生じ、高濃度偏析部の
鋳片厚さ方向の長さを拡大することができず、厚さ方向
の中央部の狭い範囲(領域d1)において偏析が局所的
かつ急峻に発生した。
ともに、バルジング量が本発明の範囲の上限を上回って
いるため、厚み方向の中央部に負偏析を生じ、高濃度偏
析部の鋳片厚さ方向の長さを拡大することができず、厚
さ方向の中央部の狭い範囲(領域d1 )において偏析が
局所的かつ急峻に発生した。さらに、これらの連続鋳造
鋳片12を圧延して、厚み30mmの厚板20を製造した。
る。この厚板20の中心部21およびエッジ部22から、JIS
Z2241 に規定される引張試験片およびJIS Z2248 に規定
される曲げ試験片をそれぞれ切り出し、Z方向引張強度
試験およびZ方向側曲げ試験を行った。
明図である。同図に示すように、Z方向側曲げ試験は、
曲げ試験片の両端24、25を試験片中心部を中心にして曲
げ、割れが発生した時の曲げ試験片24の半径 (曲げ半
径) を測定する試験である。
と、Z方向側曲げ試験における曲げ半径(mmt) とを、表
1にあわせて示す。
の厚板20は、比較例の連続鋳造鋳片から得られた厚板よ
りも、絞りRA(%) および曲げ半径(mm)が、ともに、良
好な値を示した。
例は、いずれも、絞りが最高でも60.6%しか得られず、
また曲げ半径も最小で1.5 mmしか得られなかった。
り、連続鋳造鋳片の中心偏析の発生を軽減して、凝固界
面における内部割れに起因した製品の強度低下を生じる
ことがない連続鋳造鋳片と、この連続鋳造鋳片を得るこ
とができる連続鋳造法とを提供することができた。かか
る効果を有する本発明の意義は、極めて著しい。
おける圧下ゾーンの近傍を拡大して示す説明図である。
凝固部に発生した溶質濃度の分布の一例を示すグラフで
ある。
例を示すグラフである。
ラフである。
フである。
である。
す説明図である。
を模式的に示す説明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 鋳片厚さ方向の中心部を含む内部に高濃
度偏析部を有し、該高濃度偏析部は、濃度ピーク値を含
むとともにその濃度ピーク値の1/3 以上で略一定の濃度
の領域である偏析帯を有し、かつ前記鋳片厚さ方向につ
いて鋳片厚さの1.5 〜25%の長さにわたって形成される
ことを特徴とする連続鋳造鋳片。 - 【請求項2】 内部に未凝固部を有する鋳片に、該鋳片
の液相線クレータエンドに相当する位置から固相線クレ
ータエンドに相当する位置までの所定位置に鋳片厚さ方
向の間隔が徐々に拡大されて配設された複数組のガイド
ロール対を用い、合計で5〜20mmのバルジングを発生さ
せ、次いで、該バルジングの発生した前記鋳片に、中心
部固相率が0.1 〜0.8 までの間に少なくとも1組の圧下
ロール対を用い、下記(1) 式により規定される未凝固部
圧下率を0.2 〜0.5 とすることで未凝固部を残存させ
て、前記バルジングの量の0.5 倍以上1.0 倍未満の圧下
量の圧下を行うことを特徴とする連続鋳造法。 【数1】 Lf =D1/D2 ・・・・・・・(1) ただし、Lf :未凝固部圧下率 D1:未凝固部圧下量 (mm) D2:圧下開始時の固相率0.8 以下の未凝固部の厚み(m
m)
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