JP3395717B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents
連続鋳造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳片をバルジング
させた後、未凝固部を含む鋳片を圧下する鋼の連続鋳造
方法に関する。
させた後、未凝固部を含む鋳片を圧下する鋼の連続鋳造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造によって得られる鋼の鋳片の厚
み中心部には、中心偏析と呼ばれる内部欠陥が発生する
場合がある。この中心偏析は、鋳片の最終凝固部にC、
S、P、Mnなどの偏析成分が濃化して現れるものであ
る。鋳片の中心偏析は、製品である厚板の靱性の低下
や、厚板から曲げ加工後溶接して製造される大径鋼管の
水素誘起割れの原因となることが知られている。
み中心部には、中心偏析と呼ばれる内部欠陥が発生する
場合がある。この中心偏析は、鋳片の最終凝固部にC、
S、P、Mnなどの偏析成分が濃化して現れるものであ
る。鋳片の中心偏析は、製品である厚板の靱性の低下
や、厚板から曲げ加工後溶接して製造される大径鋼管の
水素誘起割れの原因となることが知られている。
【0003】鋳片の中心偏析の生成機構は、次のように
考えられている。凝固が進むにつれて、凝固組織である
デンドライト樹間に偏析成分が濃化する。この偏析成分
の濃化した溶鋼が、凝固時の鋳片の収縮またはバルジン
グと呼ばれる鋳片のふくれなどにより、デンドライト樹
間より流出する。流出した濃化溶鋼が最終凝固部の凝固
完了点に向かって流動し、そのまま厚みのある濃化帯と
して凝固する。そのために、中心偏析が発生する。
考えられている。凝固が進むにつれて、凝固組織である
デンドライト樹間に偏析成分が濃化する。この偏析成分
の濃化した溶鋼が、凝固時の鋳片の収縮またはバルジン
グと呼ばれる鋳片のふくれなどにより、デンドライト樹
間より流出する。流出した濃化溶鋼が最終凝固部の凝固
完了点に向かって流動し、そのまま厚みのある濃化帯と
して凝固する。そのために、中心偏析が発生する。
【0004】この中心偏析の防止対策として、デンドラ
イト樹間に残った濃化溶鋼の移動を防止することと、濃
化溶鋼の局所的な集積を防ぐことが効果的であり、次の
ような方法が採られている。その一つに、圧下ロール群
による軽圧下法があるが、凝固収縮量を若干上回る程度
の軽圧下では、中心偏析改善には限界がある。
イト樹間に残った濃化溶鋼の移動を防止することと、濃
化溶鋼の局所的な集積を防ぐことが効果的であり、次の
ような方法が採られている。その一つに、圧下ロール群
による軽圧下法があるが、凝固収縮量を若干上回る程度
の軽圧下では、中心偏析改善には限界がある。
【0005】効果的に中心偏析を改善するために、圧下
ロール対で大きな圧下を加える方法が採られており、た
とえば、特開平9−57410号公報では、未凝固部を
含む鋳片を20〜100mm程度バルジングさせ、凝固
完了位置の手前までに、バルジング量相当分を少なくと
も1つの圧下ロール対で圧下する方法が提案されてい
る。この方法では、中心偏析の改善の効果が期待でき、
また、完全に凝固した鋳片幅方向の両端部を圧下するこ
とがないため、過大な設備を用いなくてもよい。
ロール対で大きな圧下を加える方法が採られており、た
とえば、特開平9−57410号公報では、未凝固部を
含む鋳片を20〜100mm程度バルジングさせ、凝固
完了位置の手前までに、バルジング量相当分を少なくと
も1つの圧下ロール対で圧下する方法が提案されてい
る。この方法では、中心偏析の改善の効果が期待でき、
また、完全に凝固した鋳片幅方向の両端部を圧下するこ
とがないため、過大な設備を用いなくてもよい。
【0006】しかし、この方法では、幅が広いスラブで
圧下量が大きい場合には、圧下ロール対のロールに撓み
が発生しやすく、そのため、凝固界面に内部割れが発生
したり、また、中心偏析の改善効果が得られなかったり
する場合がある。
圧下量が大きい場合には、圧下ロール対のロールに撓み
が発生しやすく、そのため、凝固界面に内部割れが発生
したり、また、中心偏析の改善効果が得られなかったり
する場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、幅の広い鋳
片でも、内部割れを発生させることなく、中心偏析の発
生が少ない内部品質の良好な鋳片を得ることが可能な鋼
の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
片でも、内部割れを発生させることなく、中心偏析の発
生が少ない内部品質の良好な鋳片を得ることが可能な鋼
の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)および(2)に示す鋼の連続鋳造方法にある。
(1)および(2)に示す鋼の連続鋳造方法にある。
【0009】(1)バルジング開始時の鋳片厚みの5〜
25%に相当する厚みだけバルジングさせた後、凝固完
了までの間で、各ロールが少なくとも2つに分割された
圧下ロール対を用いて、圧下比αが下記(A)式を満足
するように鋳片を圧下する鋼の連続鋳造方法。
25%に相当する厚みだけバルジングさせた後、凝固完
了までの間で、各ロールが少なくとも2つに分割された
圧下ロール対を用いて、圧下比αが下記(A)式を満足
するように鋳片を圧下する鋼の連続鋳造方法。
【0010】0.5 ≦ α ≦ 1.3 ・・・(A)
ここで、α=(R−d)/L
R:鋳片の圧下量(mm)
d:分割されたロールとロールの間の軸受け部とロール
表面との段差(mm) L:圧下位置における固相率0.8以下の未凝固部分の
厚み(mm) (2)2つ以上の圧下ロール対を用いて鋳片を圧下する
際に、圧下ロール対相互の分割部の軸受け部が、鋳片の
同一面では鋳片幅方向の位置で重ならないように配置し
て圧下する上記(1)に記載の鋼の連続鋳造方法。
表面との段差(mm) L:圧下位置における固相率0.8以下の未凝固部分の
厚み(mm) (2)2つ以上の圧下ロール対を用いて鋳片を圧下する
際に、圧下ロール対相互の分割部の軸受け部が、鋳片の
同一面では鋳片幅方向の位置で重ならないように配置し
て圧下する上記(1)に記載の鋼の連続鋳造方法。
【0011】本発明の方法では、圧下開始時の鋳片の未
凝固部分の厚みL(mm)を、鋳片内部の固相率0.8
の凝固界面間の厚みとする。固相率0.8の位置を、凝
固殻と未凝固部の境界である凝固界面とする理由は、こ
の凝固界面に作用する力が、この界面より外側の凝固し
た部分に効果的に伝達されるからである。この固相率
0.8の凝固界面は、凝固伝熱解析によって算出可能で
あり、また、凝固時間の1/2乗の比例式で表される凝
固殻の厚み計算式でも求めることができる。
凝固部分の厚みL(mm)を、鋳片内部の固相率0.8
の凝固界面間の厚みとする。固相率0.8の位置を、凝
固殻と未凝固部の境界である凝固界面とする理由は、こ
の凝固界面に作用する力が、この界面より外側の凝固し
た部分に効果的に伝達されるからである。この固相率
0.8の凝固界面は、凝固伝熱解析によって算出可能で
あり、また、凝固時間の1/2乗の比例式で表される凝
固殻の厚み計算式でも求めることができる。
【0012】本発明者は、前述の本発明の課題を次のよ
うにして解決した。 (a)本発明の方法では、各ロールが少なくとも2つに
分割された圧下ロール対を用いて、未凝固部を含む鋳片
を圧下する。軸受け部で分割されたロールを用いるの
で、幅の広い鋳片を圧下する時でも、ロールの撓みを防
止することができる。圧下ロール対の各ロールが撓まな
いので、鋳片の圧下が均一に行える。なお、本発明の方
法が対象とする幅の広い鋳片とは、1800mm程度以
上の幅の鋳片を意味する。
うにして解決した。 (a)本発明の方法では、各ロールが少なくとも2つに
分割された圧下ロール対を用いて、未凝固部を含む鋳片
を圧下する。軸受け部で分割されたロールを用いるの
で、幅の広い鋳片を圧下する時でも、ロールの撓みを防
止することができる。圧下ロール対の各ロールが撓まな
いので、鋳片の圧下が均一に行える。なお、本発明の方
法が対象とする幅の広い鋳片とは、1800mm程度以
上の幅の鋳片を意味する。
【0013】(b)ロールが分割されている軸受け部の
形状は、ロールの構造上、ロール表面より凹んだ形状と
なる。このような軸受け部を有する圧下ロール対を用い
て、バルジングさせた後の未凝固部を含む鋳片を圧下す
るとき、軸受け部の位置に相当する鋳片に、内部割れを
発生させることなく、かつ、中心偏析を効果的に改善す
るためには、ロール表面より凹んだ軸受け部の形状に合
わせて、適正な圧下比で圧下を行う必要がある。
形状は、ロールの構造上、ロール表面より凹んだ形状と
なる。このような軸受け部を有する圧下ロール対を用い
て、バルジングさせた後の未凝固部を含む鋳片を圧下す
るとき、軸受け部の位置に相当する鋳片に、内部割れを
発生させることなく、かつ、中心偏析を効果的に改善す
るためには、ロール表面より凹んだ軸受け部の形状に合
わせて、適正な圧下比で圧下を行う必要がある。
【0014】(c)本発明の方法では、前述する(A)
式で示す圧下比の範囲内で圧下するので、軸受け部の位
置に相当する鋳片内部の凝固界面に働く圧下力は、凝固
界面同士を伝搬できるようになる。そのため、凝固界面
に働く力は鋳造方向に沿った引張り力とはならず、鋳片
厚み方向の圧縮力となる。したがって、圧下時に内部割
れの発生を防止できる。
式で示す圧下比の範囲内で圧下するので、軸受け部の位
置に相当する鋳片内部の凝固界面に働く圧下力は、凝固
界面同士を伝搬できるようになる。そのため、凝固界面
に働く力は鋳造方向に沿った引張り力とはならず、鋳片
厚み方向の圧縮力となる。したがって、圧下時に内部割
れの発生を防止できる。
【0015】さらに、凝固界面に作用する圧縮力および
圧下時の未凝固部の体積の減少の効果によって、最終凝
固部の濃化溶鋼は鋳造方向の上流側に排出される。その
ため、鋳片厚み中心部の中心偏析の発生を防止できる。
圧下時の未凝固部の体積の減少の効果によって、最終凝
固部の濃化溶鋼は鋳造方向の上流側に排出される。その
ため、鋳片厚み中心部の中心偏析の発生を防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の方法を実施する
ときの連続鋳造機の装置構成の例を説明するための図で
ある。浸漬ノズル7を経て鋳型1に注入された溶鋼6
は、鋳型内で凝固して凝固殻2aとなる。鋳型から引き
抜かれ、その下方のスプレーノズル群(図示していな
い)から噴射される水により冷却された凝固殻の厚み
は、次第に増していく。厚みの増した凝固殻、すなわ
ち、鋳片2は、ガイドロール3および圧下ロール対4を
経てピンチロール5により引き抜かれる。バルジングゾ
ーン内で、ガイドロールの鋳片の厚みに相当するロール
間隔を段階的に増加させることにより、鋳片にバルジン
グを起こさせる。その後、圧下ゾーン内で、圧下ロール
対により本発明で規定する(A)式を満足するような条
件で、未凝固部2bを含む鋳片を圧下する。
ときの連続鋳造機の装置構成の例を説明するための図で
ある。浸漬ノズル7を経て鋳型1に注入された溶鋼6
は、鋳型内で凝固して凝固殻2aとなる。鋳型から引き
抜かれ、その下方のスプレーノズル群(図示していな
い)から噴射される水により冷却された凝固殻の厚み
は、次第に増していく。厚みの増した凝固殻、すなわ
ち、鋳片2は、ガイドロール3および圧下ロール対4を
経てピンチロール5により引き抜かれる。バルジングゾ
ーン内で、ガイドロールの鋳片の厚みに相当するロール
間隔を段階的に増加させることにより、鋳片にバルジン
グを起こさせる。その後、圧下ゾーン内で、圧下ロール
対により本発明で規定する(A)式を満足するような条
件で、未凝固部2bを含む鋳片を圧下する。
【0017】本発明の方法では、各ロールが少なくとも
2つに分割された圧下ロール対を用いて鋳片を圧下す
る。
2つに分割された圧下ロール対を用いて鋳片を圧下す
る。
【0018】図2は、分割部が軸受けで支持された圧下
ロール対で鋳片が圧下されている状況を示す図である。
本発明に用いる圧下ロール対は、分割部でロールの回転
軸を支持する構造であり、図2は各ロールとも、各2カ
所に軸受け部を有する例を示す。図2(a)には、図面
上、上下のロールの軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重
ならないように配置した圧下ロール対の例を示す。図2
(b)には、上下のロールの軸受け部が重なるように配
置した圧下ロール対の例を示す。
ロール対で鋳片が圧下されている状況を示す図である。
本発明に用いる圧下ロール対は、分割部でロールの回転
軸を支持する構造であり、図2は各ロールとも、各2カ
所に軸受け部を有する例を示す。図2(a)には、図面
上、上下のロールの軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重
ならないように配置した圧下ロール対の例を示す。図2
(b)には、上下のロールの軸受け部が重なるように配
置した圧下ロール対の例を示す。
【0019】これら軸受け部8は、通常行われているよ
うにセグメント10に固定された構造で構わない。ま
た、これら軸受け頂部は、ロール表面9より低い位置と
する。このロール表面と軸受け頂部との段差dは、10
〜30mmが望ましい。10mm未満では、各ロールの
ロール表面を切削して再使用できる回数が少なくなり、
いわゆる寿命が短くなる。30mmを超えると、圧下後
の鋳片表面の膨らみが大きくなり、この鋳片を素材とし
て熱間圧延された製品の表面には、表面欠陥が発生しや
すくなる。
うにセグメント10に固定された構造で構わない。ま
た、これら軸受け頂部は、ロール表面9より低い位置と
する。このロール表面と軸受け頂部との段差dは、10
〜30mmが望ましい。10mm未満では、各ロールの
ロール表面を切削して再使用できる回数が少なくなり、
いわゆる寿命が短くなる。30mmを超えると、圧下後
の鋳片表面の膨らみが大きくなり、この鋳片を素材とし
て熱間圧延された製品の表面には、表面欠陥が発生しや
すくなる。
【0020】本発明の方法では、バルジング量は、バル
ジング開始時の鋳片の厚みの5〜25%とする。スラブ
やブルームなどの連続鋳造鋳片の厚みは、200〜35
0mm程度が一般的である。したがって、25%を超え
てバルジングさせた鋳片を圧下する場合は、過大な圧下
設備を必要とし、設備費が膨大となるので、上限は25
%とする。また、圧下により鋳片内部の凝固界面に圧縮
力を与えるために必要な圧下厚みを確保するためには、
5%以上バルジングさせる必要がある。5%未満では、
圧下できる厚みが小さく、凝固界面に十分な圧縮力を与
えにくい。したがって、バルジング量は、バルジング開
始時の鋳片の厚みの5〜25%とする。なお、バルジン
グ開始時の鋳片の厚みとは、鋳片が鋳型から引き抜かれ
バルジングゾーンの直前のガイドロールに達したときの
鋳片の厚みのことである。
ジング開始時の鋳片の厚みの5〜25%とする。スラブ
やブルームなどの連続鋳造鋳片の厚みは、200〜35
0mm程度が一般的である。したがって、25%を超え
てバルジングさせた鋳片を圧下する場合は、過大な圧下
設備を必要とし、設備費が膨大となるので、上限は25
%とする。また、圧下により鋳片内部の凝固界面に圧縮
力を与えるために必要な圧下厚みを確保するためには、
5%以上バルジングさせる必要がある。5%未満では、
圧下できる厚みが小さく、凝固界面に十分な圧縮力を与
えにくい。したがって、バルジング量は、バルジング開
始時の鋳片の厚みの5〜25%とする。なお、バルジン
グ開始時の鋳片の厚みとは、鋳片が鋳型から引き抜かれ
バルジングゾーンの直前のガイドロールに達したときの
鋳片の厚みのことである。
【0021】本発明の方法では、前述する(A)式に示
すように、圧下比αは0.5〜1.3とする。その理由
を以下に説明する。
すように、圧下比αは0.5〜1.3とする。その理由
を以下に説明する。
【0022】前述するように、鋳片を圧下するときに、
鋳片内部の凝固界面に働く圧下力が対面する凝固界面間
を伝搬できるようになれば、凝固界面に働く力は鋳造方
向に沿った引張り力とはならないために、鋳片の内部割
れの発生を防止できる。また、圧下時に未凝固部の体積
が減少する効果も加わって、最終凝固部の濃化溶鋼は鋳
造方向の上流側に排出されるので、鋳片の中心偏析の発
生を防止できる。
鋳片内部の凝固界面に働く圧下力が対面する凝固界面間
を伝搬できるようになれば、凝固界面に働く力は鋳造方
向に沿った引張り力とはならないために、鋳片の内部割
れの発生を防止できる。また、圧下時に未凝固部の体積
が減少する効果も加わって、最終凝固部の濃化溶鋼は鋳
造方向の上流側に排出されるので、鋳片の中心偏析の発
生を防止できる。
【0023】上述するような状態で鋳片を圧下するに
は、軸受けで支持された分割部を有しない圧下ロール対
を用いた場合、下記(B)式を満足するように圧下する
必要がある。
は、軸受けで支持された分割部を有しない圧下ロール対
を用いた場合、下記(B)式を満足するように圧下する
必要がある。
【0024】0.5 ≦ α ≦ 1.55 ・・・(B)
ここで、α=R/L
R:鋳片の圧下量(mm)
L:圧下位置における固相率0.8以下の未凝固部分の
厚み(mm) 圧下量Rと固相率0.8の凝固界面間の厚みであるLの
比R/Lは、圧下による鋳片厚み方向の両側の凝固界面
の接近度合いを表す指標である。この比R/Lが0.5
〜1.55では、圧下により、上述するような鋳片の状
態、すなわち、凝固界面に働く圧下力が凝固界面同士を
伝搬できるようになり、また、未凝固部の体積が減少す
ることになる。
厚み(mm) 圧下量Rと固相率0.8の凝固界面間の厚みであるLの
比R/Lは、圧下による鋳片厚み方向の両側の凝固界面
の接近度合いを表す指標である。この比R/Lが0.5
〜1.55では、圧下により、上述するような鋳片の状
態、すなわち、凝固界面に働く圧下力が凝固界面同士を
伝搬できるようになり、また、未凝固部の体積が減少す
ることになる。
【0025】軸受けで支持された分割部を有する圧下ロ
ール対を用いる場合には、圧下ロール対の各ロール表面
と各軸受け部との段差をdとすると、軸受け部の位置に
相当する鋳片の圧下量は、(R−d)となるので、軸受
け部の位置に相当する鋳片の両側の凝固界面の接近度合
いを示す指標は、比(R−d)/Lとなる。したがっ
て、前述する(B)式から、前述する(A)式を満足す
るように圧下すれば、軸受け部の位置に相当する鋳片に
内部割れを発生させず、中心偏析の発生を防止できる。
ール対を用いる場合には、圧下ロール対の各ロール表面
と各軸受け部との段差をdとすると、軸受け部の位置に
相当する鋳片の圧下量は、(R−d)となるので、軸受
け部の位置に相当する鋳片の両側の凝固界面の接近度合
いを示す指標は、比(R−d)/Lとなる。したがっ
て、前述する(B)式から、前述する(A)式を満足す
るように圧下すれば、軸受け部の位置に相当する鋳片に
内部割れを発生させず、中心偏析の発生を防止できる。
【0026】ここで、比(R−d)/Lの上限を1.3
とするのは、1.3を超えて圧下する場合には、鋳片が
軸受け部を過度に圧下するため、軸受け部に過度の応力
が働き、軸受け部が損傷しやすくなるためである。
とするのは、1.3を超えて圧下する場合には、鋳片が
軸受け部を過度に圧下するため、軸受け部に過度の応力
が働き、軸受け部が損傷しやすくなるためである。
【0027】以下に、圧下比α=(R−d)/Lを0.
5〜1.3とする具体的な理由を説明する。図3は、C
含有率0.20重量%の鋼を、厚み200mm、幅20
00mmのスラブに連続鋳造し、後述する方法で調査し
た圧下時の鋳片の内部割れの最大長さと圧下比αとの関
係を示す図である。前述する(A)式で規定する圧下比
αが0.5以上になると、圧下に際して内部割れが発生
しなくなるのが分かる。圧下により凝固界面に働く圧下
力が、対面する凝固界面間を伝搬するようになり、その
ため、凝固界面に働く力が圧縮力となるからである。
5〜1.3とする具体的な理由を説明する。図3は、C
含有率0.20重量%の鋼を、厚み200mm、幅20
00mmのスラブに連続鋳造し、後述する方法で調査し
た圧下時の鋳片の内部割れの最大長さと圧下比αとの関
係を示す図である。前述する(A)式で規定する圧下比
αが0.5以上になると、圧下に際して内部割れが発生
しなくなるのが分かる。圧下により凝固界面に働く圧下
力が、対面する凝固界面間を伝搬するようになり、その
ため、凝固界面に働く力が圧縮力となるからである。
【0028】図4は、図3で説明したのと同じ鋼を同じ
断面形状のスラブに連続鋳造し、後述する方法で調査し
た鋳片の厚み中心部のCの中心偏析度C/C0 と圧下比
αとの関係を示す図である。圧下比αが0.5を超える
と、中心偏析が著しく改善されているのが分かる。凝固
界面に作用する圧縮力および圧下時の未凝固部の体積の
収縮の効果によって、最終凝固部の濃化溶鋼が鋳造方向
の上流側に排出され、鋳片の中心偏析の発生が防止でき
たためである。上述のことから、鋳片の内部割れおよび
中心偏析の発生を防止するために、圧下比αは0.5以
上とする。
断面形状のスラブに連続鋳造し、後述する方法で調査し
た鋳片の厚み中心部のCの中心偏析度C/C0 と圧下比
αとの関係を示す図である。圧下比αが0.5を超える
と、中心偏析が著しく改善されているのが分かる。凝固
界面に作用する圧縮力および圧下時の未凝固部の体積の
収縮の効果によって、最終凝固部の濃化溶鋼が鋳造方向
の上流側に排出され、鋳片の中心偏析の発生が防止でき
たためである。上述のことから、鋳片の内部割れおよび
中心偏析の発生を防止するために、圧下比αは0.5以
上とする。
【0029】圧下比α=(R−d)/Lの上限を1.3
とするのは、前述するとおりであり、軸受け部に過度の
応力が働くのを防止するためである。上述のことから、
圧下比α=(R−d)/Lは0.5〜1.3とする。な
お、後述するように2つ以上の圧下ロール対で鋳片を圧
下する場合には、それぞれの圧下ロール対が、この圧下
比の範囲内となるように圧下するものとする。
とするのは、前述するとおりであり、軸受け部に過度の
応力が働くのを防止するためである。上述のことから、
圧下比α=(R−d)/Lは0.5〜1.3とする。な
お、後述するように2つ以上の圧下ロール対で鋳片を圧
下する場合には、それぞれの圧下ロール対が、この圧下
比の範囲内となるように圧下するものとする。
【0030】本発明の方法では、2つ以上の圧下ロール
対を用いて鋳片を圧下する際に、圧下ロール対相互の分
割部の軸受け部が、鋳片の同一面では鋳片幅方向の位置
で重ならないように配置して圧下するのが望ましい。こ
こでいう軸受け部が重ならないというのは、軸受け部を
挟んだ両側のロールの間の間隔が重ならないことを意味
する。圧下するときに、軸受け部の位置に相当する鋳片
の表面には、軸受け部の形状に対応した段差ができる。
したがって、各圧下ロール対の軸受け部が鋳片幅方向の
位置で重なる場合には、これらの圧下後の鋳片の段差が
大きくなり、これらの鋳片を素材として熱間圧延された
製品の表面には、表面欠陥が発生しやすくなるためであ
る。
対を用いて鋳片を圧下する際に、圧下ロール対相互の分
割部の軸受け部が、鋳片の同一面では鋳片幅方向の位置
で重ならないように配置して圧下するのが望ましい。こ
こでいう軸受け部が重ならないというのは、軸受け部を
挟んだ両側のロールの間の間隔が重ならないことを意味
する。圧下するときに、軸受け部の位置に相当する鋳片
の表面には、軸受け部の形状に対応した段差ができる。
したがって、各圧下ロール対の軸受け部が鋳片幅方向の
位置で重なる場合には、これらの圧下後の鋳片の段差が
大きくなり、これらの鋳片を素材として熱間圧延された
製品の表面には、表面欠陥が発生しやすくなるためであ
る。
【0031】さらに、1つの圧下ロール対で圧下する場
合に、各ロールの各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重
ならないように配置した圧下ロール対を用いるのが望ま
しい。ここでいう軸受け部が重ならないというのは、軸
受け部を挟んだ両側のロールの間の間隔が重ならないこ
とを意味する。圧下するときに、軸受け部の位置に相当
する鋳片の表面には、軸受け部各ロールの各軸受け部が
重なる場合には、ロールがやや撓みやすくなって、中心
偏析の改善効果がやや少なくなる。さらに、圧下後の鋳
片表面の段差の位置が鋳片の上下面で重なり、この鋳片
を素材として熱間圧延された製品の表面には、表面欠陥
がやや発生しやすくなる。
合に、各ロールの各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重
ならないように配置した圧下ロール対を用いるのが望ま
しい。ここでいう軸受け部が重ならないというのは、軸
受け部を挟んだ両側のロールの間の間隔が重ならないこ
とを意味する。圧下するときに、軸受け部の位置に相当
する鋳片の表面には、軸受け部各ロールの各軸受け部が
重なる場合には、ロールがやや撓みやすくなって、中心
偏析の改善効果がやや少なくなる。さらに、圧下後の鋳
片表面の段差の位置が鋳片の上下面で重なり、この鋳片
を素材として熱間圧延された製品の表面には、表面欠陥
がやや発生しやすくなる。
【0032】本発明の方法では、凝固完了点よりも鋳造
方向の上流側において、未凝固部を電磁攪拌することが
望ましい。凝固完了点よりも鋳造方向の上流側とは、鋳
型内の溶鋼を電磁攪拌してもよいし、鋳片の二次冷却領
域で、鋳片内部の未凝固部を電磁攪拌してもよいことを
意味する。いずれの場合にも、鋳片の厚み中心部の凝固
組織を等軸晶組織とするためである。このような等軸晶
ができると、圧下比αが1より小さい値でも、等軸晶同
士がお互いに接点となり、圧下力をより効果的に伝達で
きるからである。そのため、圧下比αが1より小さい値
でも、凝固界面に働く力は圧縮力となり、圧下時に内部
割れが発生しにくく、また、鋳片の中心偏析の発生が防
止できる。電磁力の強度は、とくに限定しない。攪拌の
位置や鋳片の厚みなどにより決めればよいが、鋳型内の
溶鋼を電磁攪拌する場合には、鋳型の厚み中心部で30
0〜500ガウス程度がよい。
方向の上流側において、未凝固部を電磁攪拌することが
望ましい。凝固完了点よりも鋳造方向の上流側とは、鋳
型内の溶鋼を電磁攪拌してもよいし、鋳片の二次冷却領
域で、鋳片内部の未凝固部を電磁攪拌してもよいことを
意味する。いずれの場合にも、鋳片の厚み中心部の凝固
組織を等軸晶組織とするためである。このような等軸晶
ができると、圧下比αが1より小さい値でも、等軸晶同
士がお互いに接点となり、圧下力をより効果的に伝達で
きるからである。そのため、圧下比αが1より小さい値
でも、凝固界面に働く力は圧縮力となり、圧下時に内部
割れが発生しにくく、また、鋳片の中心偏析の発生が防
止できる。電磁力の強度は、とくに限定しない。攪拌の
位置や鋳片の厚みなどにより決めればよいが、鋳型内の
溶鋼を電磁攪拌する場合には、鋳型の厚み中心部で30
0〜500ガウス程度がよい。
【0033】本発明の方法の具体的な実施方法は、たと
えば、次のとおりに行う。圧下ロール対の設置位置は、
一般的には、一定の位置とする。また、各ロール表面と
各軸受け部との段差dも、配置する圧下ロール対により
決まった値となる。圧下位置における固相率0.8以下
の未凝固部分の厚みLは、鋼と鋳片の二次冷却条件を適
宜選択すれば、鋳造速度に依存して変化する。したがっ
て、バルジング後の鋳片の厚み、鋳片の二次冷却条件を
一定にすれば、圧下量Rまたは鋳造速度のいずれか、ま
たはその両方を変化させることにより、圧下比α=(R
−d)/Lを任意の値に調整できる。
えば、次のとおりに行う。圧下ロール対の設置位置は、
一般的には、一定の位置とする。また、各ロール表面と
各軸受け部との段差dも、配置する圧下ロール対により
決まった値となる。圧下位置における固相率0.8以下
の未凝固部分の厚みLは、鋼と鋳片の二次冷却条件を適
宜選択すれば、鋳造速度に依存して変化する。したがっ
て、バルジング後の鋳片の厚み、鋳片の二次冷却条件を
一定にすれば、圧下量Rまたは鋳造速度のいずれか、ま
たはその両方を変化させることにより、圧下比α=(R
−d)/Lを任意の値に調整できる。
【0034】なお、図1では垂直型連続鋳造機を示して
いるが、湾曲型連続鋳造機などにも本発明方法を適用で
きる。
いるが、湾曲型連続鋳造機などにも本発明方法を適用で
きる。
【0035】
【実施例】図1に示す装置構成のスラブ連続鋳造機に、
さらに、鋳型内の電磁攪拌装置を加えた連続鋳造機を用
いて鋳造試験を行った。鋳片の幅は2000mmで一定
とし、厚みは200、300mmの2種類とした。C含
有率が0.15〜0.20重量%の厚板用鋼を鋳造し
た。鋳造速度は0.5〜1.1m/分、鋳片の二次冷却
比水量は1〜2リットル/kg−鋼とした。
さらに、鋳型内の電磁攪拌装置を加えた連続鋳造機を用
いて鋳造試験を行った。鋳片の幅は2000mmで一定
とし、厚みは200、300mmの2種類とした。C含
有率が0.15〜0.20重量%の厚板用鋼を鋳造し
た。鋳造速度は0.5〜1.1m/分、鋳片の二次冷却
比水量は1〜2リットル/kg−鋼とした。
【0036】試験では、1つの圧下ロール対を用いて圧
下する試験と2つの圧下ロール対を用いて圧下する試験
を行った。1つの圧下ロール対を用いる場合に、図2
(a)に示すような各軸受け部が各ロールで鋳片幅方向
の位置で重ならない圧下ロール対、または、図2(b)
に示すような各軸受け部が各ロールで重なる圧下ロール
対を用いた。
下する試験と2つの圧下ロール対を用いて圧下する試験
を行った。1つの圧下ロール対を用いる場合に、図2
(a)に示すような各軸受け部が各ロールで鋳片幅方向
の位置で重ならない圧下ロール対、または、図2(b)
に示すような各軸受け部が各ロールで重なる圧下ロール
対を用いた。
【0037】2つの圧下ロール対を用いる場合には、各
圧下ロール対の軸受け部が鋳片幅方向の位置で重ならな
いように配置した試験および軸受け部が鋳片幅方向の位
置で重なるように配置した試験を行った。
圧下ロール対の軸受け部が鋳片幅方向の位置で重ならな
いように配置した試験および軸受け部が鋳片幅方向の位
置で重なるように配置した試験を行った。
【0038】ロール本体部の直径は480mmで、ロー
ル表面と軸受け部との段差は10mmとした。さらに、
一部の試験では、軸受け部のない直径が480mmのフ
ラットロール形状の1つの圧下ロール対を用いた。
ル表面と軸受け部との段差は10mmとした。さらに、
一部の試験では、軸受け部のない直径が480mmのフ
ラットロール形状の1つの圧下ロール対を用いた。
【0039】鋳型内に電磁攪拌装置を配置し、電磁力
は、鋳型の厚み中心部で300ガウスとし、一部の試験
以外では全て用いた。
は、鋳型の厚み中心部で300ガウスとし、一部の試験
以外では全て用いた。
【0040】定常状態の鋳片から、鋳片の幅中央部およ
びロールの軸受け部の位置に相当する部分で、鋳造方向
に4mの長さの縦断面サンプルを採取した。縦断面サン
プルの断面をサルファプリントし、内部割れ発生の有無
を調査した。内部割れがある場合は、発生している割れ
の最大長さを求めた。次に、縦断面サンプルの鋳片の厚
み中心部から直径2mmのドリル刃により、鋳造方向の
4m長さにわたり、500mmピッチで切り削を採取
し、Cを化学分析し、その平均値を鋳片の厚み中心部の
C含有量Cとした。この平均値Cをレードル分析値C0
で除した値C/C0 をCの中心偏析度とした。表1に試
験条件および表2に試験結果を示す。なお、未凝固部分
の厚みは、凝固伝熱解析により計算で求めた。
びロールの軸受け部の位置に相当する部分で、鋳造方向
に4mの長さの縦断面サンプルを採取した。縦断面サン
プルの断面をサルファプリントし、内部割れ発生の有無
を調査した。内部割れがある場合は、発生している割れ
の最大長さを求めた。次に、縦断面サンプルの鋳片の厚
み中心部から直径2mmのドリル刃により、鋳造方向の
4m長さにわたり、500mmピッチで切り削を採取
し、Cを化学分析し、その平均値を鋳片の厚み中心部の
C含有量Cとした。この平均値Cをレードル分析値C0
で除した値C/C0 をCの中心偏析度とした。表1に試
験条件および表2に試験結果を示す。なお、未凝固部分
の厚みは、凝固伝熱解析により計算で求めた。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】本発明例の試験No.1〜No.6では、
各ロールとも2つの軸受け部を有する1つの圧下ロール
対で圧下し、その内、試験No.1〜No.5では、各
ロールの各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重ならない
ように配置した圧下ロール対、試験No.6では、各ロ
ールの各軸受け部が重なる圧下ロール対を用いて試験し
た。バルジング開始時の鋳片の厚みを、No.1〜N
o.4では200mm、試験No.5および試験No.
6では300mmとした。いずれも、本発明の方法で規
定する圧下比αの範囲内の0.5〜1.2で試験した。
各ロールとも2つの軸受け部を有する1つの圧下ロール
対で圧下し、その内、試験No.1〜No.5では、各
ロールの各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重ならない
ように配置した圧下ロール対、試験No.6では、各ロ
ールの各軸受け部が重なる圧下ロール対を用いて試験し
た。バルジング開始時の鋳片の厚みを、No.1〜N
o.4では200mm、試験No.5および試験No.
6では300mmとした。いずれも、本発明の方法で規
定する圧下比αの範囲内の0.5〜1.2で試験した。
【0044】鋳型内の電磁攪拌装置を作動させなかった
試験No.3では、内部割れの発生はなかったが、鋳片
の幅中央部と圧下ロール対の軸受け部の位置に相当する
鋳片ともに、Cの中心偏析度C/C0 が1.01〜1.
02程度の極わずかの中心偏析の発生が認められた。各
ロールの各軸受け部が重なる圧下ロール対で試験した試
験No.6では、内部割れの発生はなかったが、軸受け
部の位置に相当する鋳片に、Cの中心偏析度C/C0 が
1.05程度の極くわずかの中心偏析が発生した。圧下
ロール対が少し撓んだためである。また、鋳片表面に軽
度の段差が発生した。その他のNo.1、No.2、N
o.4およびNo.5の試験では、内部割れの発生はな
く、また、Cの中心偏析度C/C0 は、軸受け部の位置
に相当する鋳片で、0.97〜1.00であり、中心偏
析の発生もなく、良好な内部品質の鋳片が得られた。
試験No.3では、内部割れの発生はなかったが、鋳片
の幅中央部と圧下ロール対の軸受け部の位置に相当する
鋳片ともに、Cの中心偏析度C/C0 が1.01〜1.
02程度の極わずかの中心偏析の発生が認められた。各
ロールの各軸受け部が重なる圧下ロール対で試験した試
験No.6では、内部割れの発生はなかったが、軸受け
部の位置に相当する鋳片に、Cの中心偏析度C/C0 が
1.05程度の極くわずかの中心偏析が発生した。圧下
ロール対が少し撓んだためである。また、鋳片表面に軽
度の段差が発生した。その他のNo.1、No.2、N
o.4およびNo.5の試験では、内部割れの発生はな
く、また、Cの中心偏析度C/C0 は、軸受け部の位置
に相当する鋳片で、0.97〜1.00であり、中心偏
析の発生もなく、良好な内部品質の鋳片が得られた。
【0045】本発明例の試験No.7およびNo.8で
は、各ロールとも1つの軸受け部を有する2つの圧下ロ
ール対で圧下し、その内、試験No.7では、各圧下ロ
ール対の各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重ならない
ように配置した圧下ロール対、試験No.8では、各圧
下ロール対の各軸受け部が重なる圧下ロール対を用いて
試験した。バルジング開始時の鋳片の厚み、バルジング
量を、それぞれ300mm、50mmとし、圧下量は2
つの圧下ロール対で、均等に25mmづつとした。
は、各ロールとも1つの軸受け部を有する2つの圧下ロ
ール対で圧下し、その内、試験No.7では、各圧下ロ
ール対の各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重ならない
ように配置した圧下ロール対、試験No.8では、各圧
下ロール対の各軸受け部が重なる圧下ロール対を用いて
試験した。バルジング開始時の鋳片の厚み、バルジング
量を、それぞれ300mm、50mmとし、圧下量は2
つの圧下ロール対で、均等に25mmづつとした。
【0046】試験No.7では、内部割れの発生はな
く、また、Cの中心偏析度C/C0 は、軸受け部の位置
に相当する鋳片で1.01であり、中心偏析の発生もな
く、良好な内部品質の鋳片が得られた。試験No.8で
は、鋳片表面に軽微な段差が発生したが、それ以外は良
好な品質の鋳片が得られた。
く、また、Cの中心偏析度C/C0 は、軸受け部の位置
に相当する鋳片で1.01であり、中心偏析の発生もな
く、良好な内部品質の鋳片が得られた。試験No.8で
は、鋳片表面に軽微な段差が発生したが、それ以外は良
好な品質の鋳片が得られた。
【0047】比較例の試験No.9およびNo.10で
は、各ロールの各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重な
らないように配置した圧下ロール対を用い、鋳型内の電
磁攪拌装置を作動させて試験した。圧下比αは、0.2
5または0.40とし、本発明の方法で規定する下限外
の値で試験した。
は、各ロールの各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重な
らないように配置した圧下ロール対を用い、鋳型内の電
磁攪拌装置を作動させて試験した。圧下比αは、0.2
5または0.40とし、本発明の方法で規定する下限外
の値で試験した。
【0048】試験No.9およびNo.10では、各ロ
ールの各軸受け部の位置に相当する鋳片に、長さが15
〜17mm程度の内部割れが発生するとともに、その位
置の鋳片のCの中心偏析度C/C0 が1.19〜1.4
4となり、顕著な中心偏析が発生した。圧下比が小さい
ために、とくに各ロールの各軸受け部の位置に相当する
鋳片の圧下効果が得られなかった。
ールの各軸受け部の位置に相当する鋳片に、長さが15
〜17mm程度の内部割れが発生するとともに、その位
置の鋳片のCの中心偏析度C/C0 が1.19〜1.4
4となり、顕著な中心偏析が発生した。圧下比が小さい
ために、とくに各ロールの各軸受け部の位置に相当する
鋳片の圧下効果が得られなかった。
【0049】比較例の試験No.11では、各ロールの
各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重ならないように配
置した圧下ロール対を用い、鋳型内の電磁攪拌装置を作
動させ、圧下比αを4.00として、本発明の方法で規
定する上限外の大きな値で試験した。鋳片の圧下が困難
となり、鋳造を中止した。
各軸受け部が、鋳片幅方向の位置で重ならないように配
置した圧下ロール対を用い、鋳型内の電磁攪拌装置を作
動させ、圧下比αを4.00として、本発明の方法で規
定する上限外の大きな値で試験した。鋳片の圧下が困難
となり、鋳造を中止した。
【0050】比較例の試験No.12では、軸受け部を
有しないロール表面がフラットな1本ロールを用いて、
圧下比αが本発明の方法で規定する圧下比の範囲内の
1.00で、鋳型内の電磁攪拌装置を作動させて試験し
た。試験No.12では、鋳片の幅中央近傍に、長さが
5mm程度の軽度の内部割れが発生するとともに、幅中
央部にCの中心偏析度C/C0 が1.22程度の中心偏
析が発生した。圧下するときに、ロールが撓み、とくに
鋳片の幅中央部近傍では、十分な圧下の効果が得られな
かったためである。
有しないロール表面がフラットな1本ロールを用いて、
圧下比αが本発明の方法で規定する圧下比の範囲内の
1.00で、鋳型内の電磁攪拌装置を作動させて試験し
た。試験No.12では、鋳片の幅中央近傍に、長さが
5mm程度の軽度の内部割れが発生するとともに、幅中
央部にCの中心偏析度C/C0 が1.22程度の中心偏
析が発生した。圧下するときに、ロールが撓み、とくに
鋳片の幅中央部近傍では、十分な圧下の効果が得られな
かったためである。
【0051】
【発明の効果】本発明の方法の適用により、幅の広い鋳
片でも、鋳片に内部割れを発生させることなく、中心偏
析の少ない健全な鋳片を得ることができる。
片でも、鋳片に内部割れを発生させることなく、中心偏
析の少ない健全な鋳片を得ることができる。
【図1】本発明の方法を実施するときの連続鋳造機の装
置構成の例を説明するための図である。
置構成の例を説明するための図である。
【図2】分割されたロールを有する圧下ロール対で鋳片
が圧下されている状況を示す図である。
が圧下されている状況を示す図である。
【図3】鋳片の内部割れ最大長さと圧下比との関係を示
す図である。
す図である。
【図4】Cの中心偏析度C/C0 と圧下比との関係を示
す図である。
す図である。
1:鋳型 2:鋳片
2a:凝固殻 2b:未凝固部
3:ガイドロール 4:圧下ロール対 5:ピンチ
ロール 6:溶鋼 7:浸漬ノズル 8:軸受け
部 9:ロール表面 10:セグメント d:ロール表面と軸受け部との段差
ロール 6:溶鋼 7:浸漬ノズル 8:軸受け
部 9:ロール表面 10:セグメント d:ロール表面と軸受け部との段差
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平9−99348(JP,A)
特開 平5−50200(JP,A)
特開 平5−8006(JP,A)
特開 平8−257714(JP,A)
特開 平6−297125(JP,A)
特開 平9−206903(JP,A)
特開 平11−123513(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B22D 11/128 350
B22D 11/128 340
B22D 11/16
B22D 11/20
Claims (2)
- 【請求項1】バルジング開始時の鋳片厚みの5〜25%
に相当する厚みだけバルジングさせた後、凝固完了まで
の間で、各ロールが少なくとも2つに分割された圧下ロ
ール対を用いて、圧下比αが下記(A)式を満足するよ
うに鋳片を圧下することを特徴とする鋼の連続鋳造方
法。 0.5 ≦ α ≦ 1.3 ・・・(A) ここで、α=(R−d)/L R:鋳片の圧下量(mm) d:分割されたロールとロールの間の軸受け部とロール
表面との段差(mm) L:圧下位置における固相率0.8以下の未凝固部分の
厚み(mm) - 【請求項2】2つ以上の圧下ロール対を用いて鋳片を圧
下する際に、圧下ロール対相互の分割部の軸受け部が、
鋳片の同一面では鋳片幅方向の位置で重ならないように
配置して圧下することを特徴とする請求項1に記載の鋼
の連続鋳造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19098499A JP3395717B2 (ja) | 1999-07-05 | 1999-07-05 | 連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19098499A JP3395717B2 (ja) | 1999-07-05 | 1999-07-05 | 連続鋳造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001018041A JP2001018041A (ja) | 2001-01-23 |
JP3395717B2 true JP3395717B2 (ja) | 2003-04-14 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Families Citing this family (1)
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JP4218383B2 (ja) * | 2002-04-08 | 2009-02-04 | 住友金属工業株式会社 | 連続鋳造方法、連続鋳造装置および連続鋳造鋳片 |
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1999
- 1999-07-05 JP JP19098499A patent/JP3395717B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
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