JP3114671B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
鋼の連続鋳造方法Info
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Description
の中心部に発生する偏析を軽減するとともに、鋳片の内
部割れを防止する方法に関する。
析と呼ばれる内部欠陥が発生し問題となる。この中心偏
析は、鋳片の最終凝固部である厚さ方向中心部にC、
S、PおよびMnなどの溶鋼成分が濃化し、正偏析する
現象であり、鋼材の靱性の低下や水素誘起割れの原因と
なるため、特に、厚板製品で深刻な問題となることがあ
る。
えられている。 (1) 鋳片の凝固末期において、凝固組織の一つである樹
枝状晶間にC、S、PおよびMnなどの溶鋼成分が濃化
した残溶鋼が、凝固収縮およびバルジング、等の原因に
より、最終凝固部の凝固完了点に向かってマクロ的に移
動すること。 (2) 鋳片の厚さ方向中心部に溶鋼成分が濃化し、そのま
ま凝固すること。
間に残った溶鋼の移動を防止することと、濃化溶鋼の局
所的な集積を防ぐことが有効であると考えられ、防止方
法として次のような技術が開示されている。
には、二次冷却水量を増量させて、最終凝固部近傍の鋳
片表面温度を700〜800℃の範囲まで強冷却して、
凝固シェル厚さを厚くすることでロール間で発生するバ
ルジングを抑制し、さらに鋳片を軽圧下ロールで毎分
0.2〜0.4%の歪み速度で圧下を加えて、濃化溶鋼
の流動を阻止する方法が開示されている。
量を若干上回る程度の軽圧下では、鋳片の長手方向に対
して点状にしか圧下できないので、凝固収縮やバルジン
グを充分に防止することができない。また、各圧下が集
中荷重として働くので凝固界面に内部割れが発生し易
く、圧下量を大きくとれないという欠点がある。
状の金型で連続的に鍛圧加工する方法が提案されている
が、この方法では加工設備が大型化し設備コストが高く
なるという欠点がある。
−42460号公報には、鋳片の凝固完了点近傍の上流
側に設置した電磁攪拌装置あるいは超音波印加装置によ
る溶鋼流動で樹枝状晶を切断し、凝固完了点近傍に等軸
晶域を形成させた上で、鋳片の凝固完了点直前に配置し
た圧下ロールにより凝固収縮量より大きい3mm以上の
大圧下を与えて、未凝固溶鋼を上部の溶融部に排出して
強制的に凝固を促進させ凝固完了点を形成し、内部割れ
を発生させることなく、中心偏析を解消する方法が開示
されている。
鋳片両端部の凝固部を圧下し塑性変形させるため、変形
抵抗の大きな鋼種や、鋳片両端部が低温になり変形抵抗
が大きくなった場合等には、圧下ロールの曲がりおよび
フレームの撓み等により、充分な圧下効果が得られない
という問題がある。
247号公報では、鋳片の幅方向中央の未凝固部を、キ
ャメル・クラウン・ロールと呼ばれる、大径ロールの中
央部に突出部を設けた段付きロールで局部的に圧下する
方法が開示されている。しかし、この方法では、段付き
ロールで局部的に圧下するため鋳片表面に凹部が形成さ
れ、その後の圧延工程で寸法不良、平坦度不良の原因と
なる。
次冷却のバラつきにより、鋳片の凝固完了点の手前近傍
で未凝固部は必ずしも幅方向の中央部にはなく、未凝固
部の位置とキャメルロール突出部の位置とが一致しない
ため、圧下位置を適正に保てないという欠点がある。
−57410号公報で、未凝固部を含む鋳片を一旦バル
ジングさせ、凝固完了点直前にて前記バルジング量相当
分を圧下する方法を提案している。
9−57410号公報に記載の方法でも、鋳片の冷却が
不充分で表面温度が高い鋳片を圧下すると、凝固界面に
内部割れが発生したり、中心偏析の改善が得られない、
等の問題があることが判った。本発明は、特開平9−5
7410号公報に記載の方法をさらに改良したものであ
る。
旦バルジングさせ、凝固完了点直前にて前記バルジング
量相当分を圧下する場合に生じていた従来の問題を解消
し、健全な鋳片を製造するのに有利な連続鋳造方法を提
供することにある。
題を解決するための研究を重ね、以下の知見を得た。
直前にてバルジング相当分を圧下する方法において、鋳
片表面温度が特定温度未満で圧下をおこなうと、内部割
れが発生せず、中心偏析が改善する。 (b) 上記の方法は、圧下後の未凝固厚さが特定厚さ以下
になる引き抜き方向の位置で圧下をおこなうことが必要
である。
御して上記の方法をおこなうことにより、鋳造速度の適
正化が可能である。 (d) 未凝固部が等軸晶組織の鋳片を上記の方法で圧下す
ると、中心偏析の改善がより効果的になる。
の要旨は、以下の(1) から(3) のとおりである。
させ、バルジング形成後、前記バルジング相当分を圧下
するにあたり、圧下後の未凝固厚さが鋳型短辺長さの1
0.0%以下となる鋳片引き抜き方向の位置で、圧下前
の鋳片表面温度を1000℃未満に制御して圧下するこ
とを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
二次冷却の比水量を、1.0l/kg・鋼以上3.0l
/kg・鋼以下に制御することを特徴とする上記(1) 項
に記載の鋼の連続鋳造方法。
に、鋳片未凝固部に等軸晶を発生させる処理をおこなう
ことを特徴とする上記(1) および(2) 項に記載の鋼の連
続鋳造方法。
めの連続鋳造機の装置構成の例を示す縦断面の模式図で
ある。
鋳型1に注入された溶鋼8は、鋳型1およびその下方の
ノズル(図示していない)から噴射されるスプレー水に
より冷却されて、凝固シェル2aが形成されて鋳片2と
なり、さらに、鋳片2は、内部に未凝固部2bを保持し
たまま、ガイドロール3および圧下ロール5を経てピン
チロール7により引き抜かれる。図1には、垂直型連続
鋳造機の例を示したが、湾曲型連続鋳造機にも本発明は
適用できる。電磁攪拌装置4は、後述するように未凝固
部2bに攪拌を与えて、未凝固部組織を等軸晶化させる
ための装置である。
連続鋳造機において、図1に示すバルジングゾーンに設
けたガイドロール3は、その鋳片厚さ方向の間隔が引き
抜き方向に段階的に増加するように配置されており、バ
ルジングゾーン末端で鋳片2は、20mm〜100mm
程度バルジングし、その後、圧下ゾーンの圧下ロール5
により前記バルジング量相当分だけ圧下される。なお、
以下、本明細の説明にさいし、鋳片短辺のみを考える。
後、前記バルジング相当量を圧下するにあたり、圧下後
の未凝固厚さが鋳型短辺長さの10.0%以下となる引
き抜き方向の位置で、圧下前の鋳片の表面温度を100
0℃未満に制御して圧下する。
℃未満とした理由を説明する。
に示す圧下ゾーンの断面拡大図で、同図(a)は鋳片の
表面温度が1000℃未満の場合、同図(b)は100
0℃以上の場合である。なお、同図において、便宜上水
平方向に連続鋳造する態様を例にとって説明するが、圧
下後の未凝固厚さをαで、圧下による未凝固部の溶鋼流
動(以下、単に「溶鋼流動」という)をVで表してい
る。
鋳片を圧下すると、長辺の凝固シェル2aの凝固界面側
に引張り応力が作用し、固液界面近傍の樹枝状晶が破断
して樹枝状晶間に周囲の濃化溶鋼が吸引される。
の場合には、鋳片厚さ方向の温度勾配が大きくなるの
で、圧下が鋳片厚さ方向の中心部まで浸透し、溶鋼流動
Vが促進される。したがって、図2(a)に示すよう
に、一旦、樹枝状晶間に吸引された濃化溶鋼が凝固前面
に排出され内部割れにはならない。
以上の場合には、圧下が鋳片厚さ方向の中心部まで浸透
し難い。したがって、溶鋼流動Vが少なく、図2(b)
に示すように、濃化溶鋼が排出されないまま凝固し、濃
化溶鋼残存部が内部割れとなる。
00℃である。これより表面温度が低いと、圧下力が著
しく増大し、鋳片の引き抜きが不可となったり、圧下ロ
ールが折損するなどのトラブルを招きやすい。
の10.0%以下となる鋳片引き抜き方向の位置で圧下
するとした理由を説明する。前述のような表面温度で圧
下を与える場合でも、圧下後の未凝固部厚さαにより中
心偏析の改善効果に差がでることが、実験により判明し
た。
辺長さの10.0%より大きくなる位置で圧下すると、
圧下による濃化溶鋼の排出が不充分となり、圧下後に凝
固する部分で従来と同様に中心偏析が生じ、圧下の効果
を充分に享受できない。ここで、圧下後の未凝固厚さα
は、固相率fs=0.8の固液界面の厚さであり、鋳片
厚さ方向の一次元非定常伝熱解析により計算される鋳片
厚さ方向の温度(T)の分布より求めることができる。
るが、凝固完了点を強制的に形成させるような圧下をお
こなうと、大きな圧下力を必要とする。特にサイズの大
きな鋳片においては、そのための圧下装置も工業的に実
用化不可能なほど大きなものが必要となる。したがっ
て、圧下ロールの小径化や圧下装置の小型化を目的とし
て、むしろ凝固完了点を強制的に形成させない程度に圧
下するのが望ましい。好ましくは、圧下後の未凝固厚さ
は、鋳型短辺長さの2.0%以上、10.0%以下であ
る。
下するには、未凝固厚さと鋳片温度のコントロールが重
要である。この両者のコントロールは、圧下直前の凝固
シェル厚さおよび鋳片表面温度を測定あるいは算出し、
鋳造速度や二次冷却水量を調整することによりおこなわ
れる。
から圧下直前までの鋳片二次冷却の比水量を、1.0l
/kg・鋼以上3.0l/kg・鋼以下に制御するとし
た理由を説明する。ここで、比水量は鋳片1kgあたり
の冷却水量で定義される。
度のコントロールは、鋳造速度や二次冷却水量を調整す
ることによりおこなわれる。鋳片二次冷却の比水量が
1.0l/kg・鋼未満では、適正な未凝固厚さおよび
鋳片表面温度を確保するために鋳造速度の大幅な低下が
必要となり生産性が著しく低下する。また、上記の比水
量が3.0l/kg・鋼より大になると鋳造速度が過大
になりブレークアウトが発生しやすい。
鋳片未凝固部に等軸晶を発生させる処理をおこなうとし
た理由を説明する。鋳片中心部の凝固組織は通常、柱状
晶組織となるが、柱状晶組織の場合、鋳片の幅方向にブ
リッジングが生じ、偏析の改善効果が小さくなり易い。
これに対し、等軸晶組織の場合では、圧下により溶鋼流
動が起こりやすく局所的な濃化溶鋼の集積が防止される
ため偏析の改善効果が大きい。
ンより上流に設けた電磁攪拌装置4により、未凝固部2
bに攪拌を与えて、バルジングゾーン内の鋳片中心部の
未凝固部2bに等軸晶を発生させ、その後、上記の圧下
をおこなう。
0Hz で、印加電流が600〜900A程度のものを用
い、圧下ゾーンと重ならないように、バルジングゾーン
に設置するのが望ましい。
必ずしも電磁攪拌によらなくてもよい。例えば、ガイド
ロール3または圧下ロール5を介して鋳片2に超音波を
印加する方式でもよい。そのほか、操業面からの簡便性
や効果を配慮した低温鋳造や鋳型内への鋼線添加なども
等軸晶を生成させる方法として採用できる。
用いて、表1に示すA、B、C、D、EおよびFの6種
類の鋳造条件で厚板用40キロ級の鋼を製造した。圧下
前のバルジング量は20mmで、直径350mmの圧下
ロール1段でバルジング相当分の圧下をおこなった。本
発明例A、B、CおよびDは、比水量を1.0〜2.1
l/kg・鋼の範囲で設定し、圧下後の未凝固厚さおよ
び鋳片表面温度を適正値に制御した。比較例EおよびF
は、前記の未凝固厚さおよび鋳片表面温度の制御をおこ
なわなかった。電磁攪拌装置はバルジングゾーン内に設
置し、これを稼働させることにより鋳片厚さ方向の中心
部に等軸晶を形成させた。
発生状況を調査した。中心偏析は、〔P〕の最大偏析度
およびセミマクロの偏析粒数で評価した。
込方向に直角な断面で切断し、厚さ方向中心部から試験
片を採取し、このサンプルの表面を200μmの間隔で
メッシュに分け、おのおののメッシュの中での〔P〕の
平均濃度を調査し、この〔P〕と母溶鋼のP濃度〔P0
〕との比P/P0 で表した。
中心部から試験片を採取し、50mm×1000mmの
範囲の粒状偏析の個数を50倍で顕鏡し、P/P0 が3
以上のものについて調査した。さらに、鋳片横断面のサ
ルファプリントをおこない、内部割れの発生状況を調査
した。表2に、〔P〕の最大偏析度と内部割れ発生の有
無を示す。
は、比較例に比べ、最大偏析度が減少し、内部割れの発
生もなかった。図3は、偏析粒数とセミマクロ偏析粒径
との関係を示すグラフである。
減少しており、セミマクロ偏析も大幅に改善することが
判った。また、表1、表2および図3に示すように、電
磁攪拌を併用することにより、中心偏析改善の相乗効果
があることが判った。
せることなく、セミマクロ偏析をも含め中心偏析を改善
させることができる。
構成例を示す縦断面の模式図である。
ーンの断面拡大図で、同図(a)は鋳片の表面温度が1
000℃未満の場合、同図(b)は1000℃以上の場
合である。
グラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 未凝固部を含む鋳片を一旦バルジングさ
せ、バルジング形成後、前記バルジング相当分を圧下す
るにあたり、圧下後の未凝固厚さが鋳型短辺長さの1
0.0%以下となる鋳片引き抜き方向の位置で、圧下前
の鋳片表面温度を1000℃未満に制御して圧下するこ
とを特徴とする鋼の連続鋳造方法。 - 【請求項2】 鋳型直下から前記圧下直前までの鋳片二
次冷却の比水量を、1.0l/kg・鋼以上3.0l/
kg・鋼以下に制御することを特徴とする請求項1に記
載の鋼の連続鋳造方法。 - 【請求項3】 バルジング相当分の圧下をおこなう前
に、鋳片未凝固部に等軸晶を発生させる処理をおこなう
ことを特徴とする請求項1または2に記載の鋼の連続鋳
造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP09288642A JP3114671B2 (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 鋼の連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09288642A JP3114671B2 (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 鋼の連続鋳造方法 |
Publications (2)
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JPH11123513A JPH11123513A (ja) | 1999-05-11 |
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Family
ID=17732815
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---|---|---|---|
JP09288642A Expired - Lifetime JP3114671B2 (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 鋼の連続鋳造方法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3114671B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7032091B2 (ja) | 2017-09-29 | 2022-03-08 | 株式会社Ihiプラント | 溶接装置 |
Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP3019859B1 (ja) * | 1999-06-11 | 2000-03-13 | 住友金属工業株式会社 | 連続鋳造方法 |
JP4998734B2 (ja) * | 2007-11-13 | 2012-08-15 | Jfeスチール株式会社 | 連続鋳造鋳片の製造方法 |
-
1997
- 1997-10-21 JP JP09288642A patent/JP3114671B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH11123513A (ja) | 1999-05-11 |
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