JP3290685B2 - 窒化ケイ素系焼結体 - Google Patents
窒化ケイ素系焼結体Info
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Description
化ケイ素系焼結体に関する。
従来から、主として窒化ケイ素系焼結体、炭化ケイ素系
焼結体、 Si-Al-O-Nを主構成元素とするサイアロン系焼
結体等が使用されてきた。中でも、窒化ケイ素系焼結体
は、炭化ケイ素系焼結体やサイアロン系焼結体に比べて
高強度を有し、さらに破壊靭性値に優れる等の特徴を有
しており、自動車部品用部材、ガスタ―ビン翼等を始め
として、各種の高強度耐熱構造用材料に応用が試みられ
ている。
て悪いため、従来より各種の焼結方法が試みられてお
り、現状では主として添加物による液相焼結が用いられ
ている。上記した窒化ケイ素の焼結助剤として働く添加
物としては、希土類元素の酸化物、酸化マグネシウム、
酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等や、ハフニウ
ム、タンタル、ニオブ等の酸化物、炭化物、ケイ化物等
が挙げられ、単独またはこれらの組合せにより使用され
ている。このような焼結助剤の組み合わせとしては、例
えば酸化イットリウム―酸化アルミニウム−窒化アルミ
ニウム−Hf、Ta、Nb等の酸化物系(特公平 1-16791号公
報参照)、希土類酸化物―Hf、Ta、Nb等の酸化物系また
は希土類酸化物―Hf、Ta、Nb等の酸化物−窒化アルミニ
ウム系(特開昭 60-290718号公報参照)等が知られてい
る。
たような焼結助剤を用いた窒化ケイ素系焼結体は、焼成
時に一旦液相を形成し、この液相を利用して緻密質な焼
結体として得ているため、液相形成成分が焼結後に粒界
に残存し、この粒界構成相に起因して、耐酸化性に劣る
という問題を有していた。すなわち焼結助剤としては、
酸化イットリウムが主として使用されているが、酸化イ
ットリウムを使用した窒化ケイ素焼結体は、イットリウ
ムを含む粒界相に起因して、特に高温で酸化されやすい
ために、高温雰囲気中での強度劣化が大きいという問題
を有していた。
して使用される酸化イットリウムは、緻密質で機械的強
度に優れた窒化ケイ素系焼結体を得ることを可能にする
半面、焼結後に粒界に残存するイットリウムを含む化合
物に起因して、耐酸化性を劣化させてしまうという問題
を有していた。このようなことから、焼結体密度、機械
的強度等をあまり低下させることなく、耐酸化特性に優
れた窒化ケイ素系焼結体を得ることが強く望まれてい
る。
になされたもので、焼結体密度や機械的強度に優れると
共に、耐酸化特性に優れた窒化ケイ素系焼結体を提供す
ることを目的としている。
素系焼結体は、焼結助剤として、酸化イットリウムを含
まず、少なくとも酸化イッテルビウムを1重量%〜10
重量%および窒化アルミニウムを1重量%〜10重量%
含み、残部が実質的に窒化ケイ素からなる混合物を成
形、常圧焼結法により焼成してなる窒化ケイ素系焼結体
であって、その焼結体母相がβ−Si3N4およびα’
−Si3N4からなり、前記焼結体母相の結晶粒界にY
bを含む結晶性化合物が少なくとも存在し、かつ3点曲
げ強度(室温)が600MPa以上であることを特徴と
している。
る窒化ケイ素としては、平均粒径が1μm 以下で、その
構成相の80%以上がα相であるものが好ましい。平均粒
径は微細なものほど焼結性が高くなるため好ましい。こ
のような窒化ケイ素原料による焼結体母体は、その主構
成相がβ- Si3 N 4 相からなり、例えば 10%以下程度の
比率でα′- Si3 N 4 相を含むものとなる。
化イッテルビウムは、窒化ケイ素の焼結促進剤として機
能し、また焼結後には粒界に高融点の結晶性化合物とし
て残存する。ここで、粒界に残存するYbを含む結晶性化
合物は、 AlN以外と共に主として形成されるものであ
る。
囲気に晒された際においても、原子の移動が少ないた
め、窒化ケイ素系焼結体の耐酸化特性の劣化が少ない。
例えば、酸化イットリウムを焼結助剤として用いた窒化
ケイ素系焼結体は、粒界にY-Si-Al-O-N 系の化合物が存
在し、この Y-Si-Al-O-N系化合物は高温雰囲気中では Y
が表面方向に移動することから、焼結体の耐酸化特性を
劣化させているものと考えられる。つまり、本発明によ
る窒化ケイ素系焼結体においては、上記したような粒界
成分の移動に伴う酸化が抑制されるため、良好な耐酸化
特性が高温雰囲気中においても維持される。
は、全組成物中の 1〜10重量%とし、特に好ましくは 3
〜10重量%の範囲である。酸化イッテルビウムの添加量
が 1重量%満では、焼結促進機能が十分に得られず、ま
た10重量%を超えると、相対的に母相の比率が低下する
ことから、焼結体本来の特性が得難くなるためである。
なお、酸化イッテルビウムの原料としては、加熱により
酸化物となるケイ化物、炭化物、ホウ化物等の化合物を
使用することも可能である。
ビウムによる焼結促進効果を補助し、窒化ケイ素の液相
焼結を促進すると共に、形成された液相の再結晶化に寄
与するものである。ただし、多すぎると焼結を阻害する
方向に働くため、その添加量は10重量%以下とする。ま
た、あまり少なくとも十分に液相を形成することが困難
となるため、 1重量%以上添加するものとする。窒化ア
ルミニウムのより好ましい添加量は、 3〜 6重量%の範
囲である。
その合計量を全組成物中の 4重量%〜20重量%の範囲と
することが好ましい。この添加合計量が 4重量%未満で
は、液相焼結促進の効果が十分に得られず、また20重量
%を超えると窒化ケイ素本来の特性を損ねる可能性が大
きいためである。
各組成分を所定範囲内の比率で含む混合物をまず所要の
形状に成形し、不活性雰囲気中、1600℃〜1900℃程度の
温度で焼成することによって得られる。なお、この焼結
はいわゆる常圧焼結法によっても緻密質で耐酸化特性に
優れた窒化ケイ素系焼結体が得られるが、その他の焼結
法、例えば雰囲気加圧焼結法、ホットプレス法、熱間静
水圧焼結法(HIP)等、またはこれらの組合せによっ
ても同様の性能を備えた焼結体が得られる。
均粒径 1.2μm のYb2O3 粉末 5重量%および平均粒径
1.0μm の AlN粉末 2重量%を配合し、ボ―ルミルにて
約24時間混合を行って原料粉末を調整した。次いで、こ
の原料粉末 100重量部に対してバインダを 5重量部添加
配合し、さらに十分に混合した後、プレス成形によって
長さ50mm×幅50mm×厚さ 7mmの板状成形体を作製した。
て脱脂処理を施した後、窒素ガス雰囲気中において1750
℃× 4時間の条件で常圧焼結を行い、窒化ケイ素を主成
分とする焼結体を得た。
構成相をX線回折により分析したところ、母相の 86%が
β- Si3 N 4 相であり、残りの 14%はα′- Si3 N 4 相
であった。また、これらSi3 N 4 結晶粒の粒界には、Yb
を含む結晶性化合物が存在していた。
1で使用したSi3 N 4 (α相95%)粉末に、 Y2 O3 粉末
(平均粒径 1.0μm )を 5重量%、 AlN粉末を 4重量%
で添加した原料粉末を用いて、実施例1と同一条件で焼
結体を作製した。
素系焼結体の常温および1250℃における 3点曲げ強度を
測定した。また、これら焼結体に大気中にて1400℃× 1
00時間の熱処理を施し、この処理後の試料単位面積当り
の酸化増量(増加重量)を求めた。さらに、この熱処理
後の 3点曲げ強度を測定した。これらの結果を表1に示
す。
る窒化ケイ素系焼結体は、 Y2 O3 を焼結助剤として使
用した比較例の焼結体に比べ、強度の値自体は若干劣る
ものの、耐酸化性に優れ、熱処理後における強度は比較
例の焼結体より大幅に上回るものであった。
ぞれ表2に示す組成比でSi3 N 4 粉末に混合し、これら
原料粉末を用いて実施例1と同一条件で焼結を行い、そ
れぞれ窒化ケイ素焼結体を作製した。
特性を実施例1と同様にして測定した。その結果も併せ
て表2に示す。
素系焼結体によれば、窒化ケイ素が本来有する強度特性
を維持した上で、優れた耐酸化特性が得られる。よっ
て、各種高温雰囲気下で使用される構造用材料に好適な
セラミックス系材料を提供することが可能となる。
Claims (3)
- 【請求項1】 焼結助剤として、酸化イットリウムを含
まず、少なくとも酸化イッテルビウムを1重量%〜10
重量%および窒化アルミニウムを1重量%〜10重量%
含み、残部が実質的に窒化ケイ素からなる混合物を成
形、常圧焼結法により焼成してなる窒化ケイ素系焼結体
であって、その焼結体母相がβ−Si3N4およびα’
−Si3N4からなり、前記焼結体母相の結晶粒界にY
bを含む結晶性化合物が少なくとも存在し、かつ3点曲
げ強度(室温)が600MPa以上であることを特徴と
する窒化ケイ素系焼結体。 - 【請求項2】 窒化アルミニウムの添加量が3〜6重量
%であることを特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素系
焼結体。 - 【請求項3】 前記結晶粒界にY−Si−Al−O−N
系化合物が実質的に存在しないことを特徴とする請求項
1または2記載の窒化ケイ素系焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01498892A JP3290685B2 (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | 窒化ケイ素系焼結体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01498892A JP3290685B2 (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | 窒化ケイ素系焼結体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05208870A JPH05208870A (ja) | 1993-08-20 |
JP3290685B2 true JP3290685B2 (ja) | 2002-06-10 |
Family
ID=11876333
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01498892A Expired - Lifetime JP3290685B2 (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | 窒化ケイ素系焼結体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3290685B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7094717B2 (en) | 2000-11-28 | 2006-08-22 | Kennametal Inc. | SiAlON containing ytterbium and method of making |
US7049256B2 (en) | 2000-11-28 | 2006-05-23 | Kennametal Inc. | SiAlON containing ytterbium and method of making |
US6693054B1 (en) | 2000-11-28 | 2004-02-17 | Kennametal Inc. | Method of making SiAlON containing ytterbium |
JP4531404B2 (ja) | 2004-01-13 | 2010-08-25 | 財団法人電力中央研究所 | 耐環境性皮膜構造体及びセラミック構造物 |
-
1992
- 1992-01-30 JP JP01498892A patent/JP3290685B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05208870A (ja) | 1993-08-20 |
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