JP3208181B2 - 窒化ケイ素系焼結体 - Google Patents
窒化ケイ素系焼結体Info
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Description
化ケイ素系焼結体に関する。
従来から、主として窒化ケイ素系焼結体、炭化ケイ素系
焼結体、 Si-Al-O-Nを主構成元素とするサイアロン系焼
結体等が使用されてきた。中でも、窒化ケイ素系焼結体
は、炭化ケイ素系焼結体やサイアロン系焼結体に比べて
高強度を有し、さらに破壊靭性値に優れる等の特徴を有
しており、自動車部品用部材、ガスタ―ビン翼等を始め
として、各種の高強度耐熱構造用材料として応用が試み
られている。
て悪いため、従来より各種の焼結方法が試みられてお
り、現状では主として添加物による緻密化焼結が用いら
れている。この添加物(焼結助剤)による緻密化焼結
は、窒化ケイ素より低融点の金属化合物を添加すること
によって粒界に液相を形成し、この液相により窒化ケイ
素粒子の再配列および相転移を容易にして緻密質な窒化
ケイ素焼結体を得る方法である。
化合物としては、希土類元素の酸化物、酸化アルミニウ
ム、窒化アルミニウム等や、ハフニウム、タンタル、ニ
オブの酸化物、炭化物、ケイ化物等が挙げられ、単独ま
たはこれらの組合せにより使用されている。このような
焼結助剤の組み合わせとしては、例えば酸化イットリウ
ム―酸化アルミニウム−窒化アルミニウム−Hf、Ta、Nb
等の酸化物系(特公平1-16791号公報参照)、希土類酸
化物―Hf、Ta、Nb等の酸化物系または希土類酸化物―H
f、Ta、Nb等の酸化物−窒化アルミニウム系(特開昭 60
-290718号公報参照)等が知られている。
結助剤を用いた窒化ケイ素系焼結体は、焼成時に一旦液
相を形成し、この液相により粒子の再配列および相転移
を容易にすることにより、緻密質な焼結体として得てい
るため、液相形成成分が焼結後に粒界に残存し、主に上
記粒界構成相に起因して、耐酸化性に劣るという問題を
有していた。すなわち焼結助剤としては、酸化イットリ
ウムが主として使用されているが、酸化イットリウムを
使用した窒化ケイ素焼結体は、イットリウムを含む粒界
相に起因して、特に高温で酸化されやすく、高温大気雰
囲気中での強度劣化が大きいという問題を有していた。
して使用される酸化イットリウムは、緻密質で機械的強
度に優れた窒化ケイ素系焼結体を得ることを可能にする
半面、焼結後に粒界に残存するイットリウムを含む化合
物に起因して、耐酸化性を劣化させてしまうという問題
を有していた。このようなことから、焼結体密度、機械
的強度等をあまり低下させることなく、耐酸化特性に優
れた窒化ケイ素系焼結体を得ることが強く望まれてい
る。
になされたもので、耐酸化特性に優れた窒化ケイ素系焼
結体を提供することを目的としている。
素系焼結体は、焼結助剤として酸化イットリウムを使用
せず、酸化イッテルビウムを1〜10重量%、酸化ハフニ
ウムを0.2〜10重量%および窒化アルミニウムを1〜10重
量%含み、残部が実質的に窒化ケイ素からなる混合物を
成形、焼成してなることを特徴としている。本発明の窒
化ケイ素系焼結体は、さらに上記した混合物を成形、焼
成してなる窒化ケイ素系焼結体において、前記焼結体の
母相はβ-Si3N4、あるいはβ-Si3N4およびα′-Si3N4か
らなり、かつ前記焼結体母相の結晶粒界にYbおよびHfを
含む結晶性複合酸化物が少なくとも存在することを特徴
としている。
る窒化ケイ素としては、平均粒径が1μm 以下で、その
構成相の80%以上がα相であるものが好ましい。このよ
うな窒化ケイ素原料による焼結体母体は、その主構成相
がβ- Si3 N 4 相からなり、例えば 20%以下程度の比率
で、α′- Si3 N 4 相を含むものとなる。
化イッテルビウムは、窒化ケイ素の焼結促進剤として機
能し、また焼結後には粒界に高融点の結晶性化合物とし
て残存する。ここで、粒界に残存するYbを含む結晶性化
合物は、主として焼結助剤として併用する酸化ハフニウ
ムと共に形成されるものであり、YbおよびHfを含む結晶
性複合酸化物、例えばYb6 Hf O11である。
気に晒された際においても安定で、原子の移動が少な
く、窒化ケイ素系焼結体の耐酸化特性を向上させること
が可能となる。例えば、酸化イットリウムを焼結助剤と
して用いた窒化ケイ素系焼結体では、粒界成分中のYが
表面方向に容易に移動し、焼結体の耐酸化特性を劣化さ
せている。本発明の焼結助剤として酸化イットリウムを
使用していない窒化ケイ素系焼結体においては、上記し
たような粒界成分の移動に伴う酸化が防止されるため、
良好な耐酸化特性が高温雰囲気中においても維持され
る。
は、全組成物中の 1〜10重量%とし、特に好ましくは 2
〜 7重量%の範囲である。酸化イッテルビウムの添加量
が 1重量%未満では、焼結促進機能が十分に得られず、
また10重量%を超えると、相対的に母相の比率が低下す
ることから、焼結体本来の特性が得難くなるためであ
る。なお、酸化イッテルビウムの原料としては、加熱に
より酸化物となるケイ化物、炭化物、ホウ化物等の化合
物を使用することも可能である。
結促進剤として機能し、かつ上述したようにYbと共に複
合酸化物を形成し、窒化ケイ素系焼結体の耐酸化特性の
劣化を防止するものである。また、各焼結助剤の添加量
によっては、酸化ハフニウムの一部はそれ単独で粒界に
存在するが、酸化ハフニウム自体も高温強度等に優れる
ことから、耐酸化特性や高温強度を低下させることはな
い。このような酸化ハフニウムの添加量は、全組成物中
の 0.2〜10重量%とし、特に好ましくは 0.3〜3重量%
の範囲である。酸化ハフニウムの添加量が 0.2重量% %
未満では、焼結促進機能が十分に得られず、また10重量
%を超えると相対的に母相の比率が低下することから、
焼結体本来の特性が得難くなる。なお、酸化ハフニウム
の原料としては、加熱により酸化物となるケイ化物、炭
化物、ホウ化物等の化合物を使用することも可能であ
る。
化アルミニウムは、酸化イッテルビウムおよび酸化ハフ
ニウムによる焼結促進効果を補助し、窒化ケイ素の液相
焼結を促進すると共に、形成された液相の再結晶化に寄
与するものである。ただし、添加量が多いと粒界に残存
する量が増すため、その添加量は10重量%以下とする。
また、あまり少なくとも十分に液相を形成することが困
難となるため、 1重量%以上添加するものとする。窒化
アルミニウムのより好ましい添加量は、 2〜 7重量%の
範囲である。
その合計量を全組成物中の 4〜20重量%の範囲とするこ
とが好ましい。この添加合計量が 4重量%未満では、液
相焼結促進の効果が十分に得られず、また20重量%を超
えると窒化ケイ素本来の特性を損ねる可能性が大きいた
めである。
各組成分を所定範囲内の比率で含む混合物をまず所要の
形状に成形し、不活性雰囲気中、1600℃〜1900℃程度の
温度で焼成することによって得られる。なお、この焼結
はいわゆる常圧焼結法によっても緻密質で耐酸化特性に
優れた窒化ケイ素系焼結体が得られるが、その他の焼結
法、例えば雰囲気加圧焼結法、ホットプレス法、熱間静
水圧焼結法(HIP)等、またはこれらの組合せによっ
ても同様の性能を備えた焼結体が得られる。
均粒径 1.0μm のYb2O3 粉末 5重量%、平均粒径 1.1μ
m の HfO2 粉末 2重量%、および平均粒径1.0μm の Al
N粉末 4重量%を配合し、ボ―ルミルにて約24時間混合
を行って原料粉末を調整した。次いで、この原料粉末 1
00重量部に対してバインダを 5重量部添加配合し、さら
に十分に混合した後、プレス成形によって長さ50mm×幅
50mm×厚さ 7mmの棒状成形体を作製した。
て脱脂処理を施した後、窒素ガス雰囲気中において1770
℃× 2時間の条件で常圧焼結を行い、窒化ケイ素を主成
分とする焼結体を得た。
構成相をX線回折装置により分析したところ、母相の88
%がβ- Si3 N 4 相であり、残りの12%はα′- Si3 N
4 相であった。また、粒界相の主な結晶相はYb6 Hf O11
であった。
使用したSi3 N 4 (α相95%)粉末に、 Y2 O 3 粉末(平
均粒径 0.9μm )を 5重量%、 HfO2 粉末を 2重量%、
AlN粉末を 4重量%で添加した原料粉末を用いて、実施
例1と同一条件で焼結体を作製した。
素系焼結体の常温および1250℃における 3点曲げ強度を
測定した。また、これら焼結体に大気中にて1400℃× 1
00時間の熱処理を施し、この処理後の試料単位面積当り
の酸化増量(増加重量)を求めた。さらに、この熱処理
後の試験片について、室温での 3点曲げ強度を測定し
た。これらの結果を表1に示す。
る窒化ケイ素系焼結体は、 Y2 O 3 を焼結助剤として使
用した比較例の焼結体に比べ、強度の値自体は若干劣る
ものの、耐酸化性に優れ、熱処理後における強度は比較
例の焼結体より大幅に上回るものであった。
lN粉末をそれぞれ表2に示す組成比でSi3 N 4 粉末に混
合し、これら原料粉末を用いて実施例1と同一条件で焼
結を行い、それぞれ窒化ケイ素焼結体を作製した。
特性を実施例1と同様にして測定した。その結果も併せ
て表2に示す。
素系焼結体は、窒化ケイ素が本来有する強度特性を維持
した上で、優れた耐酸化特性が得られる。よって、各種
高温雰囲気下で使用される構造用材料に好適なセラミッ
クス系材料を提供することが可能となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 焼結助剤として酸化イットリウムを使用
せず、酸化イッテルビウムを1〜10重量%、酸化ハフニ
ウムを0.2〜10重量%および窒化アルミニウムを1〜10重
量%含み、残部が実質的に窒化ケイ素からなる混合物を
成形、焼成してなることを特徴とする窒化ケイ素系焼結
体。 - 【請求項2】 請求項1記載の窒化ケイ素系焼結体にお
いて、 前記 焼結体の母相はβ-Si3N4、あるいはβ-Si3N4および
α′-Si3N4からなり、かつ前記焼結体母相の結晶粒界に
YbおよびHfを含む結晶性複合酸化物が少なくとも存在す
ることを特徴とする窒化ケイ素系焼結体。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の窒化ケイ
素系焼結体において、 3点曲げ強度(常温)が870MPa以下であることを特徴と
する窒化ケイ素系焼結体。 - 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
記載の窒化ケイ素系焼結体において、 1400℃で100時間の熱処理を施した後の3点曲げ強度(常
温)が690MPa以上であることを特徴とする窒化ケイ素系
焼結体。
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1992
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