JP2780093B2 - N−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンおよびその塩 - Google Patents
N−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンおよびその塩Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は優れた界面活性能を有する新規なN−アシル
−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンおよ
びその塩に関する。 〔従来の技術〕 従来、N−アシルアミノ酸及びその塩としては、N−
アシルグリシン、N−アシルザルコシン、N−アシル−
β−アラニン、N−アシル−N−アルキル−β−アラニ
ン、N−アシルグリシルグリシン、N−アシルグルタミ
ン酸、N−アシル−N−(2−ヒドロキシエチル)グリ
シン及びそれらの塩等が知られている。そしてこれらの
化合物は界面活性能を有すること、皮膚、毛髪、眼等に
対する作用が温和であること、生分解性がよいこと等の
特徴を有し、洗浄剤、シヤンプー、歯みがき、乳化剤等
に低刺激性基剤として用いられている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、これらの公知N−アシルアミノ酸塩に
は、界面活性剤としての基本性能が不十分であつたり、
経済性に問題があつたり、結晶性が高く水への溶解性が
悪い等の問題があり、その用途は限られていた。 特にカルシウムイオンで代表される2価以上の金属イ
オンが存在すると、N−アシルアミノ酸金属塩を生成し
水に不溶となるためその本来の特性が失なわれるという
耐硬水性の点で問題があつた。またN−アシルアミノ酸
のナトリウム、カリウム等の1価の金属塩やアンモニウ
ム、トリエタノールアミン等の有機塩においても、アシ
ル基の炭素数が増加すると水への溶解性が低くなり、す
なわちクラフト点が高くなるため使用温度範囲に制約が
あつた。 〔問題点を解決するための手段〕 斯かる実情において本発明者らは、優れた界面活性能
を有し、低刺激性で、かつ使用にあたつて制限されない
N−アシルアミノ酸誘導体を開発すべく鋭意研究を行つ
た結果、2−ヒドロキシプロピル基を導入したβ−アラ
ニン誘導体がその目的に合致することを見い出し本発明
を完成した。 すなわち本発明は、界面活性剤として有用な次の一般
式(I) (式中、nは8〜16の整数を示す) で表わされるN−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニンおよびその塩を提供するものであ
る。 本発明化合物のうち好ましい具体例としては、一般式
(I)中、基 がラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロ
イル基である化合物が挙げられる。また、本発明化合物
の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;
アンモニウム;炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を
有するアルカノールアミン;炭素数1〜3のアルキル置
換アンモニウム;リジン、アルギニン等の塩基性アミノ
酸等の塩が挙げられる。就中、N−ラウロイル−N−
(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニン、そのナト
リウム塩又はそのトリエタノールアミン塩が特に好まし
い。 本発明化合物(I)は、例えば次の反応式に従つて製
造される。 (式中、nは前記と同じ意味を有する) すなわち、脂肪酸クロリド(II)とN−(2−ヒドロ
キシプロピル)−β−アラニンナトリウム塩(III)を
塩基の存在下に反応させることにより、本発明化合物
(I)が製造される。 反応は例えば、N−(2−ヒドロキシプロピル)−β
−アラニンナトリウム塩(III)の水溶液を水酸化ナト
リウム水溶液でpH10〜12に調整しながら、脂肪酸クロリ
ド(II)を室温で滴下することにより行なわれる。 脂肪酸クロリド(II)は、対応する脂肪酸に例えば三
塩化リンを作用させることにより得ることができる。ま
た、N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンナ
トリウム塩(III)は、例えばモノイソプロパノールア
ミン水溶液に適量のアクリロニトリルを60℃にて滴下
し、滴下後数時間撹拌し反応を完結させN−(2−ヒド
ロキシプロピル)−β−アミノプロピオニルを得た後、
これを適量の水酸化ナトリウム水溶液中に加熱還流下で
滴下し、滴下後数時間撹拌しながら加熱還流を行なつて
加水分解した後、水と未反応のモノイソプロパノールア
ミン及び副生アンモニアを減圧下で完全に留去すること
により得られる。 〔作用〕 本発明化合物(I)は界面活性能、低刺激性だけでな
く、耐硬水性においても優れているが、該耐硬水性向上
作用の機序は次のように推定される。 一般に界面活性剤が、その界面活性能を十分に発揮す
るのは界面活性剤水和固体の融点、すなわちクラフト温
度以上の温度で使用した場合であり、また陰イオン性界
面活性剤は一般にクラフト点が高いため、使用上の条件
で制限を受けることが多い。 特にカルシウムイオンで代表される2価以上の金属イ
オンが存在すると、界面活性剤の対イオン交換が起こり
クラフト点が大きく上昇するため、実際の使用温度範囲
内では、水に不溶の界面活性剤カルシウム塩等の水和固
体として水中に析出し、界面活性能は、失なわれる。従
つて耐硬水性を向上させるには界面活性剤カルシウム塩
等のクラフト点を使用温度以下にすることが必要であ
り、それによつて硬水中でも良好な界面活性能を得るこ
とが出来る。 従来のN−アシルアミノ酸塩は、分子中にペプチド結
合 を有するため、ペプチド結合の部分で分子間水素結合を
形成し、そのクラフト点は高くなる。 一方、ペプチド結合における水素原子をアルキル基で
置換することにより分子間水素結合性を失なつたN−ア
シル−N−アルキルアミノ酸塩たとえば、N−アシルザ
ルコシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩
等は、クラフト点が低下するものの、カルシウムイオン
等の2価の金属イオンが存在すると、カルシウムイオン
1モルに対し、界面活性剤2モルが会合するため、見か
け上ジアシル型となり、疎水性が強くなりすぎて、水中
にミセル状に溶解することができなくなり、互いに凝集
し水相から相分離して界面活性能は低下する。 本発明のN−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニンおよびその塩は、ペプチド結合部分
に立体障害の大きな2−ヒドロキシプロピル基を導入す
ることにより界面活性剤水和固体の結晶性を低下させ、
そのクラフト点を大幅に下げるとともに、カルシウム塩
等の2価金属塩を形成しても、ヒドロキシル基による親
水性の付与でミセル状に溶解するため、硬水中において
も界面活性能を十分に発揮するものと推定される。 〔発明の効果〕 本発明化合物(I)は、耐硬水性に優れ、低刺激性で
優れた界面活性能を有するので、乳幼児用の毛髪,皮膚
洗浄剤、手の荒れやすい主婦のための台所用洗剤、毎日
洗髪する人のためのデイリーシヤンプー等に好適に使用
される。さらに職業的にシヤンプーと長時間接触せざる
を得ない人のための低刺激性理美容用シヤンプーへの使
用も好適である。 さらに水道水のみならず、地下水、温泉、海水等の硬
度の高い水を用いた場合にもその効果は持続される。ま
た、他の界面活性剤の添加剤として使用することによ
り、硬水中での増泡効果が得られる。さらには、金属面
の洗浄剤、帯電防止剤、繊維処理剤、浸透剤、乳化重合
用乳化剤等一般の界面活性剤と同様の用途にも使用可能
である。 〔実施例〕 次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。 実施例1 (1) 1の4つ口フラスコにモノイソプロパノール
アミン300gを仕込み、60℃まで昇温後撹拌しながら滴下
ロートよりアクリロニトリル212gを1時間かけて滴下し
た。その後さらに60℃で3時間攪拌し反応を完結させ、
N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アミノプロピオ
ニトリルを得た。 (2) 水酸化ナトリウム176g及び水2600gを仕込んだ
4の4つ口フラスコに加熱還流下で、(1)で得られ
たN−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アミノプロピ
オニトリルを1時間かけて滴下し、さらに還流下5時間
撹拌を続けて加水分解を行なつた。その後、水、未反応
のモノイソプロパノールアミン及び副生アンモニアを加
熱減圧下で完全に留去し、N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニンナトリウム塩670gを得た。尚、この
生成物にはN−(2−ヒドロキシプロピル)イミノジプ
ロピオン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムも含まれて
いるが、アシル化時に問題とならないため、そのまま次
のアシル化に使用した。 (3) 2の4つ口フラスコに(2)で得られたN−
(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンナトリウム
塩170g及び水840gを仕込み25℃で撹拌しながら滴下ロー
トよりラウリン酸クロライド200gを2時間で滴下した。
尚、この間反応系内のpHが10〜11に保たれるように別の
滴下ロートより30%−NaOH水溶液を滴下してpHを調節し
た。滴下終了後さらに1時間pH10〜11で撹拌を行ない反
応を完結させた。 反応終了物は、塩酸でpHを約2にし、エーテルで反応
生成物を抽出した。エーテル層を十分食塩水で洗浄した
後無水硫酸ナトリウムで脱水し、エーテルを留去した。
残渣をn−ヘキサンで再結晶し、N−ラウロイル−N−
(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンの白色粉末
125gを得た。得られた白色粉末を少量とり水を加えて加
熱すると乳濁液状となり酸性を呈する。 m.p.:86℃ IR(KBr): 3200〜3400cm-1(νOH) 2850cm-1(νCH2) 2925cm-1(νCH2) 1720cm-1(νC=O) 1625cm-1(νC=O) 元素分析: 分析値 計算値 C 65.88% 65.65% H 10.74 10.64 O 19.24 19.45 N 4.45 4.26 計 100.31 100.00 実施例2 ラウリン酸クロライドをそれぞれミリスチン酸クロラ
イド、パルミチン酸クロライド、ステアリン酸クロライ
ドに代えて、実施例1と同様にしてN−ミリストイル−
N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニン、N−
パルミトイル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−
アラニン、N−ステアロイル−N−(2−ヒドロキシプ
ロピル)−β−アラニンを得た。 実施例3 撹拌器を備えた容量1の反応容器に実施例1で得ら
れたN−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシプロピル)
−β−アラニン20g(0.0607モル)及びエタノール20ml
を仕込み、室温にて撹拌して均一に溶解した。 次いで、水酸化ナトリウム2.428g(0.0607モル)をエ
タノール50mlに溶解した液を全量滴下し、よく撹拌し、
N−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β
−アラニンを中和した。この中和物にアセトン700mlを
加え、0℃に冷却後静置してN−ラウロイル−N−(2
−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンナトリウム塩を
析出させた。析出物をろ別し、減圧下に溶媒を留去して
N−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β
−アラニンナトリウム塩14gを得た。 IR(KBr): 3200〜3400cm-1(νOH) 2850〜2950cm-1(νCH2) 1620cm-1(νC=O) 1580cm-1(νCO2 -) 1410cm-1(νCO2 -) 実施例4 実施例3で得られたN−ラウロイル−N−(2−ヒド
ロキシプロピル)−β−アラニンナトリウム塩15gをイ
オン交換水200gに溶解した後、塩化カルシウム5gを加え
十分攪拌し、次いでエーテル抽出を行なつた。この時分
層をよくする目的でメタノールを50ml滴下した。エーテ
ル抽出物を200gのイオン交換水で3回洗浄した後、無水
硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを別し、
減圧下に溶媒留去後乾燥してN−ラウロイル−N−(2
−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンカルシウム塩5g
を得た。 実施例5 一定量の水にN−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシ
プロピル)−β−アラニンを加え、これと等モルのトリ
エタノールアミンを加えて中和し、十分撹拌することに
より、N−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニントリエタノールアミン塩水溶液を得
た。 試験例 本発明化合物および比較化合物を室温にてイオン交換
水または硬水に1重量%となるように加え、その溶解性
を検討した。その結果、表1に示す如く、本発明化合物
は硬水中においても良好な溶解性を示した。また、良好
な起泡性をも示した。 なお、溶解性の評価は次の基準で行なつた。 ○:透明に溶解 △:やや不透明または分散状態
×:不溶
−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンおよ
びその塩に関する。 〔従来の技術〕 従来、N−アシルアミノ酸及びその塩としては、N−
アシルグリシン、N−アシルザルコシン、N−アシル−
β−アラニン、N−アシル−N−アルキル−β−アラニ
ン、N−アシルグリシルグリシン、N−アシルグルタミ
ン酸、N−アシル−N−(2−ヒドロキシエチル)グリ
シン及びそれらの塩等が知られている。そしてこれらの
化合物は界面活性能を有すること、皮膚、毛髪、眼等に
対する作用が温和であること、生分解性がよいこと等の
特徴を有し、洗浄剤、シヤンプー、歯みがき、乳化剤等
に低刺激性基剤として用いられている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、これらの公知N−アシルアミノ酸塩に
は、界面活性剤としての基本性能が不十分であつたり、
経済性に問題があつたり、結晶性が高く水への溶解性が
悪い等の問題があり、その用途は限られていた。 特にカルシウムイオンで代表される2価以上の金属イ
オンが存在すると、N−アシルアミノ酸金属塩を生成し
水に不溶となるためその本来の特性が失なわれるという
耐硬水性の点で問題があつた。またN−アシルアミノ酸
のナトリウム、カリウム等の1価の金属塩やアンモニウ
ム、トリエタノールアミン等の有機塩においても、アシ
ル基の炭素数が増加すると水への溶解性が低くなり、す
なわちクラフト点が高くなるため使用温度範囲に制約が
あつた。 〔問題点を解決するための手段〕 斯かる実情において本発明者らは、優れた界面活性能
を有し、低刺激性で、かつ使用にあたつて制限されない
N−アシルアミノ酸誘導体を開発すべく鋭意研究を行つ
た結果、2−ヒドロキシプロピル基を導入したβ−アラ
ニン誘導体がその目的に合致することを見い出し本発明
を完成した。 すなわち本発明は、界面活性剤として有用な次の一般
式(I) (式中、nは8〜16の整数を示す) で表わされるN−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニンおよびその塩を提供するものであ
る。 本発明化合物のうち好ましい具体例としては、一般式
(I)中、基 がラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロ
イル基である化合物が挙げられる。また、本発明化合物
の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;
アンモニウム;炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を
有するアルカノールアミン;炭素数1〜3のアルキル置
換アンモニウム;リジン、アルギニン等の塩基性アミノ
酸等の塩が挙げられる。就中、N−ラウロイル−N−
(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニン、そのナト
リウム塩又はそのトリエタノールアミン塩が特に好まし
い。 本発明化合物(I)は、例えば次の反応式に従つて製
造される。 (式中、nは前記と同じ意味を有する) すなわち、脂肪酸クロリド(II)とN−(2−ヒドロ
キシプロピル)−β−アラニンナトリウム塩(III)を
塩基の存在下に反応させることにより、本発明化合物
(I)が製造される。 反応は例えば、N−(2−ヒドロキシプロピル)−β
−アラニンナトリウム塩(III)の水溶液を水酸化ナト
リウム水溶液でpH10〜12に調整しながら、脂肪酸クロリ
ド(II)を室温で滴下することにより行なわれる。 脂肪酸クロリド(II)は、対応する脂肪酸に例えば三
塩化リンを作用させることにより得ることができる。ま
た、N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンナ
トリウム塩(III)は、例えばモノイソプロパノールア
ミン水溶液に適量のアクリロニトリルを60℃にて滴下
し、滴下後数時間撹拌し反応を完結させN−(2−ヒド
ロキシプロピル)−β−アミノプロピオニルを得た後、
これを適量の水酸化ナトリウム水溶液中に加熱還流下で
滴下し、滴下後数時間撹拌しながら加熱還流を行なつて
加水分解した後、水と未反応のモノイソプロパノールア
ミン及び副生アンモニアを減圧下で完全に留去すること
により得られる。 〔作用〕 本発明化合物(I)は界面活性能、低刺激性だけでな
く、耐硬水性においても優れているが、該耐硬水性向上
作用の機序は次のように推定される。 一般に界面活性剤が、その界面活性能を十分に発揮す
るのは界面活性剤水和固体の融点、すなわちクラフト温
度以上の温度で使用した場合であり、また陰イオン性界
面活性剤は一般にクラフト点が高いため、使用上の条件
で制限を受けることが多い。 特にカルシウムイオンで代表される2価以上の金属イ
オンが存在すると、界面活性剤の対イオン交換が起こり
クラフト点が大きく上昇するため、実際の使用温度範囲
内では、水に不溶の界面活性剤カルシウム塩等の水和固
体として水中に析出し、界面活性能は、失なわれる。従
つて耐硬水性を向上させるには界面活性剤カルシウム塩
等のクラフト点を使用温度以下にすることが必要であ
り、それによつて硬水中でも良好な界面活性能を得るこ
とが出来る。 従来のN−アシルアミノ酸塩は、分子中にペプチド結
合 を有するため、ペプチド結合の部分で分子間水素結合を
形成し、そのクラフト点は高くなる。 一方、ペプチド結合における水素原子をアルキル基で
置換することにより分子間水素結合性を失なつたN−ア
シル−N−アルキルアミノ酸塩たとえば、N−アシルザ
ルコシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩
等は、クラフト点が低下するものの、カルシウムイオン
等の2価の金属イオンが存在すると、カルシウムイオン
1モルに対し、界面活性剤2モルが会合するため、見か
け上ジアシル型となり、疎水性が強くなりすぎて、水中
にミセル状に溶解することができなくなり、互いに凝集
し水相から相分離して界面活性能は低下する。 本発明のN−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニンおよびその塩は、ペプチド結合部分
に立体障害の大きな2−ヒドロキシプロピル基を導入す
ることにより界面活性剤水和固体の結晶性を低下させ、
そのクラフト点を大幅に下げるとともに、カルシウム塩
等の2価金属塩を形成しても、ヒドロキシル基による親
水性の付与でミセル状に溶解するため、硬水中において
も界面活性能を十分に発揮するものと推定される。 〔発明の効果〕 本発明化合物(I)は、耐硬水性に優れ、低刺激性で
優れた界面活性能を有するので、乳幼児用の毛髪,皮膚
洗浄剤、手の荒れやすい主婦のための台所用洗剤、毎日
洗髪する人のためのデイリーシヤンプー等に好適に使用
される。さらに職業的にシヤンプーと長時間接触せざる
を得ない人のための低刺激性理美容用シヤンプーへの使
用も好適である。 さらに水道水のみならず、地下水、温泉、海水等の硬
度の高い水を用いた場合にもその効果は持続される。ま
た、他の界面活性剤の添加剤として使用することによ
り、硬水中での増泡効果が得られる。さらには、金属面
の洗浄剤、帯電防止剤、繊維処理剤、浸透剤、乳化重合
用乳化剤等一般の界面活性剤と同様の用途にも使用可能
である。 〔実施例〕 次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。 実施例1 (1) 1の4つ口フラスコにモノイソプロパノール
アミン300gを仕込み、60℃まで昇温後撹拌しながら滴下
ロートよりアクリロニトリル212gを1時間かけて滴下し
た。その後さらに60℃で3時間攪拌し反応を完結させ、
N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アミノプロピオ
ニトリルを得た。 (2) 水酸化ナトリウム176g及び水2600gを仕込んだ
4の4つ口フラスコに加熱還流下で、(1)で得られ
たN−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アミノプロピ
オニトリルを1時間かけて滴下し、さらに還流下5時間
撹拌を続けて加水分解を行なつた。その後、水、未反応
のモノイソプロパノールアミン及び副生アンモニアを加
熱減圧下で完全に留去し、N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニンナトリウム塩670gを得た。尚、この
生成物にはN−(2−ヒドロキシプロピル)イミノジプ
ロピオン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムも含まれて
いるが、アシル化時に問題とならないため、そのまま次
のアシル化に使用した。 (3) 2の4つ口フラスコに(2)で得られたN−
(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンナトリウム
塩170g及び水840gを仕込み25℃で撹拌しながら滴下ロー
トよりラウリン酸クロライド200gを2時間で滴下した。
尚、この間反応系内のpHが10〜11に保たれるように別の
滴下ロートより30%−NaOH水溶液を滴下してpHを調節し
た。滴下終了後さらに1時間pH10〜11で撹拌を行ない反
応を完結させた。 反応終了物は、塩酸でpHを約2にし、エーテルで反応
生成物を抽出した。エーテル層を十分食塩水で洗浄した
後無水硫酸ナトリウムで脱水し、エーテルを留去した。
残渣をn−ヘキサンで再結晶し、N−ラウロイル−N−
(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンの白色粉末
125gを得た。得られた白色粉末を少量とり水を加えて加
熱すると乳濁液状となり酸性を呈する。 m.p.:86℃ IR(KBr): 3200〜3400cm-1(νOH) 2850cm-1(νCH2) 2925cm-1(νCH2) 1720cm-1(νC=O) 1625cm-1(νC=O) 元素分析: 分析値 計算値 C 65.88% 65.65% H 10.74 10.64 O 19.24 19.45 N 4.45 4.26 計 100.31 100.00 実施例2 ラウリン酸クロライドをそれぞれミリスチン酸クロラ
イド、パルミチン酸クロライド、ステアリン酸クロライ
ドに代えて、実施例1と同様にしてN−ミリストイル−
N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニン、N−
パルミトイル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−
アラニン、N−ステアロイル−N−(2−ヒドロキシプ
ロピル)−β−アラニンを得た。 実施例3 撹拌器を備えた容量1の反応容器に実施例1で得ら
れたN−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシプロピル)
−β−アラニン20g(0.0607モル)及びエタノール20ml
を仕込み、室温にて撹拌して均一に溶解した。 次いで、水酸化ナトリウム2.428g(0.0607モル)をエ
タノール50mlに溶解した液を全量滴下し、よく撹拌し、
N−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β
−アラニンを中和した。この中和物にアセトン700mlを
加え、0℃に冷却後静置してN−ラウロイル−N−(2
−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンナトリウム塩を
析出させた。析出物をろ別し、減圧下に溶媒を留去して
N−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β
−アラニンナトリウム塩14gを得た。 IR(KBr): 3200〜3400cm-1(νOH) 2850〜2950cm-1(νCH2) 1620cm-1(νC=O) 1580cm-1(νCO2 -) 1410cm-1(νCO2 -) 実施例4 実施例3で得られたN−ラウロイル−N−(2−ヒド
ロキシプロピル)−β−アラニンナトリウム塩15gをイ
オン交換水200gに溶解した後、塩化カルシウム5gを加え
十分攪拌し、次いでエーテル抽出を行なつた。この時分
層をよくする目的でメタノールを50ml滴下した。エーテ
ル抽出物を200gのイオン交換水で3回洗浄した後、無水
硫酸ナトリウムで脱水した。硫酸ナトリウムを別し、
減圧下に溶媒留去後乾燥してN−ラウロイル−N−(2
−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンカルシウム塩5g
を得た。 実施例5 一定量の水にN−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシ
プロピル)−β−アラニンを加え、これと等モルのトリ
エタノールアミンを加えて中和し、十分撹拌することに
より、N−ラウロイル−N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニントリエタノールアミン塩水溶液を得
た。 試験例 本発明化合物および比較化合物を室温にてイオン交換
水または硬水に1重量%となるように加え、その溶解性
を検討した。その結果、表1に示す如く、本発明化合物
は硬水中においても良好な溶解性を示した。また、良好
な起泡性をも示した。 なお、溶解性の評価は次の基準で行なつた。 ○:透明に溶解 △:やや不透明または分散状態
×:不溶
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
CA(STN)
REGISTRY(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.一般式(I) (式中、nは8〜16の整数を示す) で表わされるN−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニンおよびその塩。 2.nが8、10、12、14または16である特許請求の範囲
第1項記載のN−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)−β−アラニンおよびその塩。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24866587A JP2780093B2 (ja) | 1987-10-01 | 1987-10-01 | N−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンおよびその塩 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24866587A JP2780093B2 (ja) | 1987-10-01 | 1987-10-01 | N−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンおよびその塩 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0193566A JPH0193566A (ja) | 1989-04-12 |
JP2780093B2 true JP2780093B2 (ja) | 1998-07-23 |
Family
ID=17181518
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24866587A Expired - Lifetime JP2780093B2 (ja) | 1987-10-01 | 1987-10-01 | N−アシル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−β−アラニンおよびその塩 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2780093B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
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JP6550855B2 (ja) * | 2015-03-31 | 2019-07-31 | 日油株式会社 | 身体洗浄剤組成物 |
JP6550856B2 (ja) * | 2015-03-31 | 2019-07-31 | 日油株式会社 | 身体洗浄剤組成物 |
JP6620623B2 (ja) * | 2015-03-31 | 2019-12-18 | 日油株式会社 | 毛髪洗浄剤組成物 |
JP6550864B2 (ja) * | 2015-03-31 | 2019-07-31 | 日油株式会社 | 毛髪洗浄剤組成物 |
-
1987
- 1987-10-01 JP JP24866587A patent/JP2780093B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0193566A (ja) | 1989-04-12 |
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