JP2527277Y2 - ねじ込み形バタフライ弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、粉体，液体，気体などのあらゆる流体のパ
イプラインの開閉に使用される主として小口径のバタフ
ライ弁に関する。

〔従来の技術及び考案が解決しようとする課題〕

従来からバタフライ弁の基本構造は、大別して第４図
に示す中心型弁と、第５図に示す偏心型弁とからなり、
何れも、金属又は非金属材料からなる中空筒状の本体
（弁本体）１と、該本体１内に回動自在に軸支される金
属又は非金属材料からなる円板状弁体２と、本体１の内
周面と弁体２の周縁部との間に介在する弾性材料からな
る環状の弁座３とからなり、弁の開閉は、弁体２と直径
方向外方に伸延する弁棒４により、図示しない駆動機構
を通して行われるようになつている。

上記したバタフライ弁の最大の特徴は、他の玉形弁，
仕切弁などの汎用弁と比較して軽量，小型であり、両側
にフランジを持たないフランジレスのウエハー型形状が
多く採用され、配管との接続は、管フランジの間にボル
トなどによつて挟持され接続される。このような配管フ
ランジによつて接続されるウエハー型は、弁口径が従来
より40〜50mmが最小口径とされており、これらより小口
径のものでは上記の接続方法に難点があるとされてい
る。その理由には、配管工数及び配管後の形状が大きく
なること、経済性などの点が挙げられる。他方、これら
小口径弁は、上記汎用弁でも十分その性能を発揮してい
るといわれるが、最近同一配管系において運転員の操作
性，保守，点検時の容易性などの点から、同一配管系に
は同種の弁、即ち、バタフライ弁化を希望する声が大き
い。

現在、汎用的に大量に使用されている危険性を伴わな
い流体を取扱う弁の接続には、主に次の二つの形式が採
用されている。即ち、小口径（一般に40〜50mm未満のも
の）では「ねじ込み形」が採用され、小・中口径（一般
に40〜50mm以上のもの）では「フランジ形」が採用され
る。

なお、上記以外のバルブ接続として、危険性の少ない
水，空気，粉体などに対しては、ユニオン形（給，排水
用）、ろう付け形（給湯など銅配管用）、ソケツト形，
スピゴツト形（何れも水道用）等があり、また、危険性
のある原子力，ガス，電力関係の高温高圧用として、差
込み溶接形（小口径用）と突合せ溶接用（中・大口径
用）などがある。

JISによると、フランジ形は呼び径で10mm以上を規定
しているが、実際に多用されているのは、上記同様40〜
50mm以上である。また、上記口径寸法未満のものについ
ては、管用テーパねじにより接続されている。

バタフライ弁も、近年、品質，性能，操作性，経済
性，信頼性など著しい伸びを示し、前述の配管系などか
ら、ねじ込み形バタフライ弁の小口径化を望む声が大き
い。

本考案は、小口径まで使用可能にして口径範囲を小口
径へ拡大延長できるようにしたねじ込み形バタフライ弁
を提供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、本考案は、軸方向に二
つに分割された配管ねじ込み短部と、その外側に配設さ
れる二つ割環状本体とによつて挟着された環状弾性弁座
を介して弁体を設け、該弁体の回動により流体通路を開
閉するようにした主として小口径用のバタフライ弁にお
いて、上記弁座を貫通して延び外部より駆動される弁棒
を、弁体と一体に設け、該弁棒によって貫通される上記
弁座を、外形を外方に傾斜した上下の傾斜側面を有する
断面凸形のテーパ状に形成した変形弁座によつて構成
し、該弁座の弁体の周縁部に圧接する内周面を、弁棒回
動部近傍で弁棒の回動に同調する球面座状に形成したこ
とを特徴とし、上記変形弁座を断面変形六角形状に形成
し、その外側のテーパ面に円周方向に複数条の凸状体を
設け、弁体の下方部に弁棒を省いたことを特徴としてい
る。

〔作用〕

本考案は上記のように構成されているので、当該バタ
フライ弁が組立てられた状態で左右両側から装着される
二つの配管ねじ込み短部は、外方に傾斜した上下の傾斜
側面を有する変形弁座の変形六角形状をした凸形テーパ
部に嵌合する凹部を予め形成した対向する内側端部が、
上記弁座の凸形テーパ部に嵌入するので、これら二つの
配管ねじ込み短部は水平方向の芯が容易に出て、外側に
配置された二つ割環状本体により適正に挟着され、耐圧
強度と共に一体形になる。

この状態において、上記変形弁座の内面と弁体周縁部
とは弁棒回動部近傍において球面座によつて圧接されて
いるので、圧接に無理がかからず、弁の回動が円滑であ
り、耐久，耐圧性に優れている。

閉弁時、球面状に形成された弁体周縁部に対する該変
形弁座に生じる弁の中心に向かう圧力（反力）は、弁体
と一体に形成された弁棒を介して弁体が支持されること
と相俟って、該変形弁座の外形部の傾斜側面を介して配
管ねじ込み短部の嵌合する内面によつてバツクアツプさ
れるので、弁体周縁部に対して有効に作用し、強力なシ
ール力を発揮し、弁体周縁部と変形弁座との圧接面部で
のシール効果が保持される。一方、開弁時、変形弁座の
外形は外方に傾斜した上下の傾斜側面を有する凸形のテ
ーパ状に形成され配管ねじ込み短部に嵌合されているの
で、該弁座が流体の流れによつて半径方向内方に突出
（脱出）することが防止される。

また、該変形弁座の外側のテーパ面に、円周方向に複
数条の凸状体を設けているので、該変形弁座の裏側から
の洩れが防止される。

また、弁体の下方部に弁棒を省いたものでは、開弁時
の圧力損失（抵抗）が少くなり、特に、小口径弁の場合
は顕著である。また、小口径弁弁体と一体に形成された
弁棒を介して弁体が支持されており、且つであるため、
使用圧力即ち面圧（弁体に加わる総圧力を意味する。）
の関係から弁体は片持ち構造で十分に耐えられる。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面と共に説明する。

第１図（ａ）は、本考案の一実施例を示すバタフライ
弁の閉弁状態を示す断面図、同図（ｂ）は同正面図であ
る。

図において、軸方向に二つに分割された配管ねじ込み
短部11が、その内方端面11aを当接するようにして左右
から挿入され、該内方端面11aを含んだ環状凸部11bの外
側を取り巻くようにして、該環状凸部11bに嵌合する環
状凹部12aを内面に形成した二つ割環状本体12が装着さ
れ、六角孔付ボルト13を締付けることによつて、上記環
状凸部11bと環状凹部12aの両嵌合側面に形成された傾斜
面12bを介して、二つの配管ねじ込み短部11が当接端面1
1aを密封するように連結して一体形とされるようになつ
ている。

上記両配管ねじ込み短部11の当接端面11aを挟んだ中
央部には、弁棒14と一体にされた弁体15が収容され、弁
棒14は、下方部の弁棒が省略されており、本体12の上方
に貫通する上方部の弁棒14のみで片持ち構造をなしてい
る。

また、閉弁時、弁体15の周縁部と接する配管ねじ込み
短部11の内面には、環状弾性弁座16が配設され、該弁座
16は、第３図に示すように、外方に傾斜した上下の傾斜
側面を有する断面ほぼ変形六角形をなしており、該弁座
16と弁体15の周縁部との圧接部分は、共に弁の中心Ｏに
対して同心の球面座16aをなし、また、弁体15と一体の
弁棒14が貫通する孔部16bは、円筒部中央がくびれた鼓
（つづみ）状をなし、弁棒挿入時における締付力を大き
くして該弁棒の回動による洩れを防いでいる。

また、該弁座16の外方に傾斜した上下の傾斜側面16d
と16eの外面には、円周方向の複数条の凸状体16cが形成
されており、使用時において圧力流体がラビリンス効果
（降圧効果）を発揮して該圧力流体の洩れを防ぐように
している。但し、上記の凸状体16cは、弁組立て時、配
管ねじ込み短部11との嵌合内面によつて圧縮され、第１
図（ａ）に示すように平坦になる。

また、当該バタフライ弁には、第２図に示すように、
配管ねじ込み短部11及び本体12の外面及び内面に陰影ａ
で示す防食対策が施こされている。但し、ねじ部11cに
は施こさないことはいうまでもない。なお、上記防食対
策にはナイロンコーテイング，樹脂コーテイング，ニツ
ケルメツキなどが用いられる。

また、配管ねじ込み短部11のねじ部11cの短部外形11d
は、第１図（ｂ）に示すように、８角形状をなしてお
り、耐管時（ねじ込み時）の作業に便利なようになつて
いる。

上記のように構成されているので、弁組立て時、弁座
16は、若干変形させた状態で、弁体15と一体に形成され
た弁棒14の角形先端を該弁座16の内径方向より半径方向
外方に挿入して、弁体15を該弁座16内に組付ける。この
とき、弁体15の外径寸法は、弁座16の内径寸法より若干
大であり、この寸法差により流体圧力をシールさせるよ
うになつている。従つて、組付けられた部分において弁
座16の外径寸法は心持ち僅かに外へ伸びていることにな
る。

また、弁座16の変形六角形状により、二つの配管ねじ
込み短部11の水平方向の芯が容易に出て、二つ割環状本
体12を六角孔付ボルト13により締付け、上下より挟持す
ることにより、横・縦方向の芯が一致し、組立てが完了
し、耐圧強度を保持した一体形となる。

また、両配管ねじ込み短部11の両外側端部間の長さ、
つまりバルブ面間寸法ｌ（第２図）は、両内側端面11a
が互いに当接することにより形成され、この時点で弁座
16は水平方向にやや圧縮されており、弁座裏側からのグ
ランド洩れは、円周方向の環状凸状体16cによつて防止
される。

また、弁座16の内面と弁体15の周縁部との圧接部分は
弁棒回動部近傍も含め同心の球面座16aをなしているの
で、弁体の回動は円滑で、耐久，耐圧性に優れ、圧接に
無理がかからない。

また、弁閉時、弾性弁座16の球面座16aに生じる弁体1
5の球状周縁部に対する弁の中心Ｏに向かう反力ｂは、
弁体と一体に形成された弁棒を介して弁体が支持される
ことと相俟って、六角形状をしたテーパ状弁座16の傾斜
側面16dを介して配管ねじ込み短部11の内面によつてバ
ツクアツプされているので、上記反力は弁体周縁部に対
して有効に作用し、強力なシール力を発揮して、弁閉
時、弁体周縁部からの漏洩を確実に防止することができ
る。

一方、開弁時、上記凸形テーパ部の内方側の傾斜側面
16eによつて、本体内を流れる流体による半径方向内方
への突出（脱出）が防止される。

またこの実施例では、下方の弁棒が省略されて片持ち
構造になつているが、小口径弁であるため、面圧の関係
から十分耐えられ、また開弁時の圧力抵抗が少なくて済
む利点がある。なお、上記面圧、つまり弁体が加わる総
圧力は、例えば、口径（Ｄ）が25mmの弁において使用圧
力5kg/cm²のときには、 π/4D²×５＝24.5kgとなる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、軸方向に二つ
に分割された配管ねじ込み短部と、該配管ねじ込み短部
の外側に配設される二つ割環状本体とによって挟着され
る環状弾性弁座を介して弁体を設け、該弁体の回動によ
り流体通路を開閉するようにした主として小口径用のバ
タフライ弁において、上記弁座を貫通して延び外部より
駆動される弁棒を、弁体と一体に設け、該弁棒によって
貫通される上記弁座を、外形を外方に傾斜した上下の傾
斜側面を有する断面凸形のテーパ状に形成し、且つ上記
弁座の内周面を弁棒回動部近傍で球面座状に形成したこ
とにより、次のような効果が奏される。

（ｉ）弁組立時、変形弁座の外方に傾斜した上下の傾斜
側面により双方の配管ねじ込み短部の芯が容易に出て、
二つ割環状本体の締結により横・縦方向の芯が一致し、
耐圧強度を有する一体形とすることができる。

（ii）弁の面間寸法の正確さ及び弾性弁座の圧縮強度
が、配管ねじ込み短部の内方端面同士の当接（接合）に
より保持される。

（iii）弁体と一体の弁棒により貫通される弁座の外形
を、変形六角形のように外方に傾斜した上下の傾斜側面
を有する凸形のテーパ状に形成したことにより、閉弁
時、球面状に形成された弁体周縁部に対する該変形弁座
に生じる弁の中心に向かう圧力（反力）は、弁体と一体
に形成された弁棒を介して弁体が支持されることと相俟
って、該変形弁座の外形部の傾斜側面を介して配管ねじ
込み短部の嵌合する内面によってバックアップされるの
で、弁体周縁部に対して有効に作用し、強力なシール力
を発揮し、弁体周縁部と変形弁座との圧接面部でのシー
ル効果が保持され、一方、開弁時、変形弁座の外形が外
方に傾斜した上下の傾斜側面を有する凸形のテーパ状に
形成され配管ねじ込み短部に嵌合されているので、該弁
座が流体の流れによって半径方向内方に突出（脱出）す
ることが防止される。

（iv）弁座内周面及び弁棒回動部近傍で球面座状に形成
したことにより、弁体の回動時圧接に無理がかからず、
回動が円滑であり、耐久，耐圧性に優れ、トルクが軽減
される。

（ｖ）弁座の外側テーパ面に円周方向に複数条の凸状体
を設けることにより、該弁座の裏側からの漏洩を防止す
ることができる。

（vi）弁体と一体に形成された弁棒を介して弁体を支持
しているので、弁棒の下方部を省くことが可能となり、
小口径弁として構造が簡略化され、また開弁時の圧力損
失を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）は本考案の一実施例を示すバタフライ弁の
側断面図、同図（ｂ）は正面図、第２図は防食対策を施
こした上記バタフライ弁の側断面図、第３図は要部断面
図、第４図及び第５図は従来例の異つた型式のバタフラ
イ弁の側断面図である。 11……配管ねじ込み短部、12……二つ割環状本体、13…
…六角孔付ボルト、14……弁棒、15……弁体、16……変
形弁座、16a……球面座、16b……弁棒貫通孔部、16c…
…凸状体、16d,16e……傾斜側面、Ｏ……弁の中心。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】軸方向に二つに分割された配管ねじ込み短
   部と、該配管ねじ込み短部の外側に配設される二つ割環
   状本体とによって挟着される環状弾性弁座を介して弁体
   を設け、該弁体の回動により流体通路を開閉するように
   した主として小口径用のバタフライ弁において、上記弁
   座を貫通して延び外部より駆動される弁棒を、弁体と一
   体に設け、該弁棒によって貫通される上記弁座を、外形
   を外方に傾斜した上下の傾斜側面を有する断面凸形のテ
   ーパ状に形成した変形弁座によって構成し、該弁座の弁
   体周縁部に圧接する内周面を、弁棒回動部近傍で弁棒の
   回動に同調する球面座状に形成したことを特徴とするね
   じ込み形バタフライ弁。
2. 【請求項２】環状の弾性変形弁座を断面変形六角形状に
   形成し、外方に傾斜した上下の傾斜側面に円周方向に複
   数条の凸状体を設け、弁体の下方部に弁棒を有しないこ
   とを特徴とする請求項１記載のねじ込み形バタフライ
   弁。