JP2024011541A - 繊維含有ボード部材および繊維含有ボード部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃材としての繊維含有樹脂部材をリサイクル利用して、軽量化を実現しながら、強度が高い繊維含有ボード部材を提供する。【解決手段】不織布からなる板状の基材13と、一方向に配向された複数の繊維が樹脂により結着された複数の繊維束22とを含み、前記繊維束22中の前記繊維が前記基材13の板面に沿う方向に配向された状態で、前記複数の繊維束22が前記基材13に分散されるとともに前記基材13と一体とされている繊維含有ボード部材10。【選択図】図1
Description
本明細書に開示される技術は、繊維含有ボード部材および繊維含有ボード部材の製造方法に関する。
従来、例えば車両においてトリムボードとして使用された繊維含有樹脂部材をリサイクルする技術が知られている。例えば、廃材となった繊維含有樹脂部材を粉砕し、住宅建材等にリサイクルする技術が知られている。また、廃材となった繊維含有樹脂部材を繊維方向に細長い破砕片に破砕してその表面に結合剤を付着し、金型内で積層するとともに加熱して、結合剤を硬化させる技術が提案されている(下記特許文献1)。
上述したように、廃材となった繊維含有樹脂部材を粉砕する方法では、粉砕により樹脂部材中の繊維が短繊維化し、リサイクル製品の強度および剛性が低下してしまうという問題がある。また、繊維方向に細長い破砕片に破砕して得られた繊維含有樹脂に結合剤を付与し、積層して加熱したり、熱可塑性樹脂とともに押出成形する方法では、リサイクル製品の密度が高くなって軽量性が得られない問題がある。
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、廃材としての繊維含有樹脂部材をリサイクル利用して、軽量化を実現しながら、強度が高い繊維含有ボード部材を提供することを目的とする。
本明細書に開示される技術は、不織布からなる板状の基材と、一方向に配向された複数の繊維が樹脂により結着された複数の繊維束とを含み、前記繊維束中の前記繊維が前記基材の板面に沿う方向に配向された状態で、前記複数の繊維束が前記基材に分散されるとともに前記基材と一体とされている繊維含有ボード部材である。
上記構成によれば、基材を不織布により構成して軽量化を実現しながら、基材に一体に設けられた複数の繊維束により、強度が高い繊維含有ボード部材を得ることができる。また繊維束は、一方向に配向された複数の繊維を含有する廃材としての樹脂部材をリサイクル利用することができる。つまり、廃材としての繊維含有樹脂部材を繊維の配向方向に沿って細断して複数の繊維含有樹脂片を切り出し、切り出した繊維含有樹脂片を基材に分散させ、加熱プレスすることで基材と一体化することができるから、廃材としての繊維含有樹脂部材をリサイクル利用することが可能となる。
前記複数の繊維束は、前記基材に対して、前記繊維束中の前記繊維が隣り合って配される前記繊維束中の前記繊維と同じ向きに配向されるように分散されていてもよい。
上記構成によれば、複数の繊維束中の繊維を同じ向きに配向させることにより、繊維含有ボード部材において繊維を配向させた方向の強度を高めることができる。
前記基材は、その不織布中に、当該基材の板面に沿う一方向に配向された基材側繊維を含み、前記繊維束中の前記繊維と前記基材側繊維とは、交差する方向に配向されていてもよい。
上記構成によれば、基材において比較的に強度が弱い方向(基材側繊維が配向された方向と交差する方向)に対する強度を繊維束によって高めることができる。つまり、繊維含有ボード部材全体の強度を高めることができる。
前記複数の繊維束は前記基材により覆われていてもよい。
当該繊維含有ボード部材は平坦な平坦部と、前記平坦部から立ち上がる立壁部とを有し、前記複数の繊維束は前記平坦部と前記立壁部との境界部分に設けられていてもよい。上記構成によれば、境界部分の強度を繊維束により高めることができる。
また、本明細書に開示される技術は、一方向に配向された複数の繊維を含有する樹脂部材を前記繊維の配向方向に沿って細断して複数の繊維含有樹脂片を切り出す細断工程と、複数の樹脂繊維をマット状に積層して不織布マットを形成する不織布マット形成工程と、前記細断工程により切り出された前記複数の繊維含有樹脂片を前記不織布マット上に分散させる分散工程と、前記複数の繊維含有樹脂片が分散された前記不織布マットを加熱プレスして前記複数の繊維含有樹脂片と前記不織布マットとが一体とされたプレボードを形成するプレボード形成工程と、前記プレボードを成形型によりプレス成形するプレス成形工程と、を実行する繊維含有ボード部材の製造方法である。
上記製造方法によれば、樹脂部材を細かく粉砕する従来の方法と比較して、繊維含有樹脂片に含まれる繊維の長さを長く保つことができるから、繊維含有ボード部材の強度や剛性を、樹脂部材を細かく粉砕する場合よりも向上させることができる。
前記分散工程において、前記複数の繊維含有樹脂片中の前記繊維が同じ向きに配向されるように前記複数の繊維含有樹脂片を分散させてもよい。
また、前記不織布マットは当該不織布マットの板面に沿う一方向に配向された不織布マット側繊維を含み、前記分散工程において、前記複数の繊維含有樹脂片中の前記繊維が前記不織布マット側繊維と交差する方向に配向されるように前記複数の繊維含有樹脂片を分散させてもよい。
本明細書に開示される技術によれば、廃材としての繊維含有樹脂部材をリサイクル利用して、軽量化を実現しながら、強度が高い繊維含有ボード部材を得ることができる。
<実施形態1>
実施形態1を図1から図9によって説明する。本実施形態では、繊維含有ボード部材としてのトリムボード10について、その構成と製造方法について例示する。
実施形態1を図1から図9によって説明する。本実施形態では、繊維含有ボード部材としてのトリムボード10について、その構成と製造方法について例示する。
まず、トリムボード10について説明する。このトリムボード10は、自動車等の車両用ドアの内側に配置されるドアトリムの一部を構成するものであって、図1に示すように、略平坦な板状の平坦部11と、平坦部11の端縁部から立ち上がる立壁部12とを備えて構成されている。
トリムボード10は、繊維及び熱可塑性樹脂を含む不織布からなる基材13を主体としており、この基材13のうち平坦部11と立壁部12との境界部分およびその周辺領域に複数の繊維束22が分散され、基材13と一体とされた構成とされている。
一の繊維束22は、一方向に配向する複数の繊維が熱可塑性樹脂により部分的に結着され、一塊とされた状態のものである。なお、各繊維の配向方向は、その一部が上記一方向に配向していない場合も概ね一方向に配向しているとみなすこととする。本実施形態において複数の繊維束22は、平坦部11と立壁部12との境界部分およびその周辺領域において、各繊維束22中の繊維が基材13の板面に沿う方向に配向され、かつ、隣り合う繊維束22中の繊維とは配向方向が一致しないランダムな向きで分散されている。
以下、基材13に含まれる繊維及び熱可塑性樹脂を基材側繊維14および基材側熱可塑性樹脂とし、繊維束22に含まれる繊維及び熱可塑性樹脂を繊維束側繊維(図示せず)および繊維束側熱可塑性樹脂とし、区別しない場合を繊維及び熱可塑性樹脂として説明する。
トリムボード10を構成する繊維としては、木材等を解織して得た木質繊維、ケナフ等の靭皮植物繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、合成樹脂繊維等から選ばれる繊維を採用することができる。これらの中でもケナフ等の靭皮植物繊維は、繊維自体が空隙を有しているため、軽量化の点で好ましい。
また熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等の熱可塑性樹脂を採用することができる。基材側繊維と繊維束側繊維とは、同種の繊維であってもよく、異種の繊維であってもよい。また、基材側熱可塑性樹脂と繊維束側熱可塑性樹脂とは、同種の熱可塑性樹脂であってもよく、異種の熱可塑性樹脂であってもよい。
本実施形態では、基材側繊維14および繊維束側繊維はともにケナフ繊維とされ、基材側熱可塑性樹脂および繊維束側熱可塑性樹脂はともにポリプロピレンとされている。
次にトリムボード10の製造方法について説明する。本実施形態のトリムボード10は、リサイクル材としての廃棄ドアトリム20を一部に使用して形成される。
<細断工程>
まず、リサイクル材として、一方向(図2の左右方向)に配向された複数のケナフ繊維を含有する熱可塑性樹脂からなる廃棄ドアトリム(樹脂部材の一例)20を、ケナフ繊維の配向方向に沿ってマッチ棒状に細断する(図2参照)。図2において、廃棄ドアトリム20の縁部の内側に描かれている直線は、切断線の一例を示している。これにより、一方向に配向された複数のケナフ繊維を含有する複数の繊維含有樹脂片21が切り出される。
まず、リサイクル材として、一方向(図2の左右方向)に配向された複数のケナフ繊維を含有する熱可塑性樹脂からなる廃棄ドアトリム(樹脂部材の一例)20を、ケナフ繊維の配向方向に沿ってマッチ棒状に細断する(図2参照)。図2において、廃棄ドアトリム20の縁部の内側に描かれている直線は、切断線の一例を示している。これにより、一方向に配向された複数のケナフ繊維を含有する複数の繊維含有樹脂片21が切り出される。
<不織布マット形成工程>
次に、基材13を構成するための熱可塑性樹脂繊維(ポリプロピレンの繊維)および植物繊維(ケナフ繊維)をマット状に積層して、トリムボード10の基材13の基となる不織布マット13Mを形成する。不織布マット13Mは、不織布マット製造装置30を用いて製造される。
次に、基材13を構成するための熱可塑性樹脂繊維(ポリプロピレンの繊維)および植物繊維(ケナフ繊維)をマット状に積層して、トリムボード10の基材13の基となる不織布マット13Mを形成する。不織布マット13Mは、不織布マット製造装置30を用いて製造される。
不織布マット製造装置30は、図3に示すように、繊維供給部31と、フィードコンベア32と、開繊シリンダ33と、コンベア34と、吸引装置35と、交絡装置36と、カッター37と、を備えて構成されている。
繊維供給部31に投入され、混合状態とされた熱可塑性樹脂繊維(プリプロピレン繊維)および植物繊維(ケナフ繊維)の混合繊維15は、フィードコンベア32によって開繊シリンダ33に供給される。開繊シリンダ33は、円筒状をなすシリンダ本体33Aの表面(外周面)に複数の突起部33Bを備えてなり、中心軸L1を中心として、図3中時計回りに回転する。回転する開繊シリンダ33は、フィードコンベア32から送られた混合繊維15を、突起部33Bで引っ掻くようにして開繊することが可能となっている。また、開繊シリンダ33が回転することで、混合繊維15は、開繊シリンダ33の表面(突起部33B)に引っ掛けられることで上方に搬送され、その後、開繊シリンダ33の回転による遠心力によって、空中に放出される。なお、図3において開繊シリンダ33の回転方向を矢線A1で示す。
開繊シリンダ33の外周には、ストリッパーローラ38及びウォーカローラ39が設けられており、それらの各表面にも複数の突起部が形成されている。ウォーカローラ39は、開繊シリンダ33との間に混合繊維15を通過させることで、その混合繊維15に対して開繊処理を施す機能を有しており、ストリッパーローラ38は、ウォーカローラ39の表面に付着した混合繊維15を剥離する機能を有している。
コンベア34は網目状をなすメッシュコンベアとされ、その上面34Aに混合繊維15を堆積させることが可能である。コンベア34の下方には吸引装置35が配されており、空気を吸引することで、混合繊維15をコンベア34の上面34Aに吸引可能とされている。コンベア34は、上面34Aに混合繊維15を堆積させつつ混合繊維15の層を図3の右側に搬送することで、繊維ウェブ13Wを形成する。なお、コンベア34による混合繊維15の搬送方向を矢線A2で示す。
この時、繊維ウェブ13Wにおける各繊維(混合繊維15)の配向方向は、概ね所定の方向に揃えられる。具体的には、繊維ウェブ13Wにおける混合繊維15の配向方向は、不織布マット製造装置30における繊維ウェブ13Wの搬送方向(図3の左右方向)に沿うものとされる。
交絡装置36は、例えば、ニードルパンチ装置とされ、繊維ウェブ13Wに含まれる繊維同士を交絡させることで、繊維ウェブ13Wを不織布マット13Mとすることが可能な構成とされている。交絡された繊維ウェブ13W(不織布マット13M)は、カッター37により所定の大きさに裁断される。
図4は不織布マット13Mの一部を模式的に表した平面図であって、図中左右方に延びる多数の線は、不織布マット13M中のケナフ繊維(基材側繊維14)を表している。なお、各ケナフ繊維は、その一部が不織布マット13Mの厚み方向に交絡しているが、概ね一方向(図4の左右方向)に配向しているとみなすこととする。
<分散工程>
不織布マット形成工程において所定の大きさに細断された不織布マット13Mは、分散装置40に搬送される(図3参照)。分散装置40は、上述した繊維含有樹脂片21を不織布マット13M上に分散させるものである。分散装置40は、不織布マット13Mに対し、複数の繊維含有樹脂片21をランダムに分散させることもでき、繊維含有樹脂片21に方向性を付与しつつ分散させることもできる。また、分散装置40は、繊維含有樹脂片21を不織布マット13M全体に分散させることもでき、不織布マット13Mの所定の領域に分散させることもできる。
不織布マット形成工程において所定の大きさに細断された不織布マット13Mは、分散装置40に搬送される(図3参照)。分散装置40は、上述した繊維含有樹脂片21を不織布マット13M上に分散させるものである。分散装置40は、不織布マット13Mに対し、複数の繊維含有樹脂片21をランダムに分散させることもでき、繊維含有樹脂片21に方向性を付与しつつ分散させることもできる。また、分散装置40は、繊維含有樹脂片21を不織布マット13M全体に分散させることもでき、不織布マット13Mの所定の領域に分散させることもできる。
本実施形態において繊維含有樹脂片21は、不織布マット13Mの後述する特定の領域にランダムに(方向性を持たずに)分散されるものとする。図5は繊維含有樹脂片21が分散された不織布マット13Mの一部を模式的に表した平面図であって、図中ランダムな向きで散在する多数の片は、分散された繊維含有樹脂片21を表している。
分散装置40により繊維含有樹脂片21が分散された不織布マット13Mは、加熱加圧装置45に搬送される。
<プレボード形成工程>
加熱加圧装置45は例えば熱板プレス装置や熱ベルトプレス装置等からなり、通電によって発熱するヒータなどの発熱手段を備えている。繊維含有樹脂片21が分散された不織布マット13Mは、加熱されつつ、又は、加熱の後に加圧される(図6および図7参照)。この時の加熱温度は、不織布マット13Mに含まれる熱可塑性樹脂繊維(基材側熱可塑性樹脂)および繊維含有樹脂片21に含まれる熱可塑性樹脂(繊維束側熱可塑性樹脂)が溶融する温度以上とされる。これにより、不織布マット13Mに含まれる熱可塑性樹脂繊維および繊維含有樹脂片21に含まれる熱可塑性樹脂が溶融し、基材側繊維14同士、および基材側繊維14と繊維束22とを互いに結着するバインダーとして機能することになる。つまり、基材側繊維14および繊維束側繊維が熱可塑性樹脂により結着された平板状のプレボード10Pが形成される。プレボード10Pは、車両用内装材の製品形状(トリムボード10)に成形される前の状態である。
加熱加圧装置45は例えば熱板プレス装置や熱ベルトプレス装置等からなり、通電によって発熱するヒータなどの発熱手段を備えている。繊維含有樹脂片21が分散された不織布マット13Mは、加熱されつつ、又は、加熱の後に加圧される(図6および図7参照)。この時の加熱温度は、不織布マット13Mに含まれる熱可塑性樹脂繊維(基材側熱可塑性樹脂)および繊維含有樹脂片21に含まれる熱可塑性樹脂(繊維束側熱可塑性樹脂)が溶融する温度以上とされる。これにより、不織布マット13Mに含まれる熱可塑性樹脂繊維および繊維含有樹脂片21に含まれる熱可塑性樹脂が溶融し、基材側繊維14同士、および基材側繊維14と繊維束22とを互いに結着するバインダーとして機能することになる。つまり、基材側繊維14および繊維束側繊維が熱可塑性樹脂により結着された平板状のプレボード10Pが形成される。プレボード10Pは、車両用内装材の製品形状(トリムボード10)に成形される前の状態である。
<プレス成形工程>
次に、プレボード10Pをプレス成形する。プレス成形工程では、まず、プレボード形成工程により作製されたプレボード10Pを、成形型50の開状態にある上型51と下型52との間にセットし(図8参照)、上型51及び下型52を型閉じする(図9参照)。
次に、プレボード10Pをプレス成形する。プレス成形工程では、まず、プレボード形成工程により作製されたプレボード10Pを、成形型50の開状態にある上型51と下型52との間にセットし(図8参照)、上型51及び下型52を型閉じする(図9参照)。
上型51は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダなど)によって、下型52(固定型)に対して移動が可能な可動型とされる。上型51を下型52に対して接近離間させることで上型51及び下型52の型閉じ及び型開きが可能な構成となっている。
下型52は、上型51との対向面である成形面52Aが上型51に向かって突き出す形状をなしている。また、上型51は、下型52との対向面である成形面51Aが、下型52の形状に対応して凹む形状をなしている。
上型51は、図9に示すように、上型51及び下型52が型閉じされた閉状態では、下型52に対して、トリムボード10の板厚に等しい距離だけ離間して対向配置される。つまり、閉状態では上型51と下型52との間にはトリムボード10を成形するための基材成形空間S1が形成される。これにより、上型51及び下型52でプレボード10Pをプレスすると、プレボード10Pが基材成形空間S1の形状に対応する形に圧縮され、トリムボード10が成形される構成となっている。なお、トリムボード10の板厚、すなわち、閉状態における上型51および下型52の離間距離は、プレボード10Pの板厚よりも小さいものとされる。
なお、上述した分散装置40は、不織布マット13Mのうち、トリムボード10の平坦部11と立壁部12との境界部を含む周辺領域となる領域に繊維含有樹脂片21を分散させるように、制御されている。
この後、上型51及び下型52を開き、トリムボード10を脱型する。これにより、トリムボード10の製造が完了する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態のトリムボード10は、不織布からなる板状の基材13と、一方向に配向された複数の繊維が樹脂により結着された複数の繊維束22とを含み、繊維束22中の繊維が基材13の板面に沿う方向に配向された状態で、複数の繊維束22が基材13に分散されるとともに基材13と一体とされている。
上記構成によれば、基材13を不織布により構成して軽量化を実現しながら、基材13に一体に設けられた複数の繊維束22により、強度が高いトリムボード10を得ることができる。また繊維束22は、一方向に配向された複数の繊維を含有する廃材としての廃棄ドアトリム20をリサイクル利用することができる。つまり、廃材としての廃棄ドアトリム20を繊維の配向方向に沿って細断して複数の繊維含有樹脂片21を切り出し、切り出した繊維含有樹脂片21を基材13(不織布マット13M)に分散させ、加熱プレスすることで基材13と一体化することができるから、廃棄ドアトリム20をリサイクル利用することが可能となる。
また、トリムボード10は平坦な平坦部11と、平坦部11から立ち上がる立壁部12とを有し、複数の繊維束22は平坦部11と立壁部12との境界部分およびその周辺領域に設けられている。上記構成によれば、境界部分およびその周辺領域の強度を繊維束22により部分的に高めることができる。
また、本実施形態のトリムボード10の製造方法は、一方向に配向された複数の繊維を含有する廃棄ドアトリム20を繊維の配向方向に沿って細断して複数の繊維含有樹脂片21を切り出す細断工程と、複数の混合繊維15をマット状に積層して不織布マット13Mを形成する不織布マット形成工程と、細断工程により切り出された複数の繊維含有樹脂片21を不織布マット13M上に分散させる分散工程と、複数の繊維含有樹脂片21が分散された不織布マット13Mを加熱プレスして複数の繊維含有樹脂片21と不織布マット13Mとが一体とされたプレボード10Pを形成するプレボード形成工程と、プレボード10Pを成形型50によりプレス成形するプレス成形工程と、を実行する。
このような製造方法によれば、廃棄ドアトリム20を細かく粉砕する従来の方法と比較して、繊維含有樹脂片21に含まれる繊維の長さを長く保つことができるから、トリムボード10の強度や剛性を向上させることができる。
このように、本実施形態によれば、廃棄ドアトリム20をリサイクル利用可能となり、軽量化を実現しながら、強度が高いトリムボード10を得ることができる。
<実施形態2>
上記実施形態1では、基材13の境界部およびその周辺領域に繊維束22をランダムな向きで分散させた形態を示したが、本実施形態は、図10に示すように、繊維束122が、トリムボード110の基材113に対して、配向方向を揃えて分散された構成とされている。なお、繊維束122の配向方向は、基材側繊維114の配向方向と垂直に交差する方向とされている(図11参照)。
上記実施形態1では、基材13の境界部およびその周辺領域に繊維束22をランダムな向きで分散させた形態を示したが、本実施形態は、図10に示すように、繊維束122が、トリムボード110の基材113に対して、配向方向を揃えて分散された構成とされている。なお、繊維束122の配向方向は、基材側繊維114の配向方向と垂直に交差する方向とされている(図11参照)。
つまり、本実施形態のトリムボード110は、複数の繊維束122が、基材113に対して、繊維束122中の繊維束側繊維が隣り合って配される繊維束122中の繊維束側繊維と同じ向きに配向されるように分散されている。
このような構成によれば、複数の繊維束122中の繊維を同じ向きに配向させることにより、トリムボード110において繊維束122中の繊維を配向させた方向(図11における上下方向)の強度を高めることができる。
また、基材113は、その不織布中に、当該基材113の板面に沿う一方向に配向された基材側繊維114を含み、繊維束122中の繊維と基材側繊維114とは、垂直方向に交差する方向に配向されている。
上記構成によれば、基材113において比較的に強度が弱い方向(基材側繊維114が配向された方向と交差する方向)に対する強度を繊維束122によって高めることができる。つまり、トリムボード110全体の強度を高めることができる。
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、基材13、113の境界部およびその周辺領域に繊維束22、122を分散させる形態を示したが、基材全体に繊維束を分散させる構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、基材13、113が基材側繊維14、114を含む形態を示したが、基材が基材側繊維を含まない場合も本明細書に記載の技術を適用することができる。
(3)上記実施形態では、基材13、113の表面に繊維束22、122を一体に設ける構成を示したが、例えば、図12に示すように、基材213の内側に繊維束222を設ける、所謂サンドイッチ構造とすることもできる。
(4)上記実施形態では、繊維束22、122が、複数の繊維が熱可塑性樹脂により結着されたものである形態を示したが、繊維束は、複数の繊維が熱硬化性樹脂により結着されたものであってもよい。
(5)本明細書に開示される技術は、車両用ドアトリムのトリムボード10、110に限らず、種々の繊維含有ボード部材に適用可能である。また、繊維含有樹脂片21の基となる廃棄ドアトリム20(リサイクル材)も、廃棄ドアトリム20に限らず、ドアトリムの規格部外品やプレス成形後の端材、他の繊維含有樹脂部材であってもよく、いずれも廃棄物の低減につなげることができる。
10、110:トリムボード、10P:プレボード、11:平坦部、12:立壁部、13、113、213:基材、13M:不織布マット、14、114:基材側繊維(不織布マット側繊維)、20:廃棄ドアトリム(樹脂部材)、21:繊維含有樹脂片、22、122、222:繊維束、30:不織布マット製造装置、40:分散装置、45:加熱加圧装置、50:成形装置
Claims (8)
- 不織布からなる板状の基材と、一方向に配向された複数の繊維が樹脂により結着された複数の繊維束とを含み、
前記繊維束中の前記繊維が前記基材の板面に沿う方向に配向された状態で、前記複数の繊維束が前記基材に分散されるとともに前記基材と一体とされている繊維含有ボード部材。 - 前記複数の繊維束は、前記基材に対して、前記繊維束中の前記繊維が隣り合って配される前記繊維束中の前記繊維と同じ向きに配向されるように分散されている請求項1に記載の繊維含有ボード部材。
- 前記基材は、その不織布中に、当該基材の板面に沿う一方向に配向された基材側繊維を含み、
前記繊維束中の前記繊維と前記基材側繊維とは、交差する方向に配向されている請求項2に記載の繊維含有ボード部材。 - 前記複数の繊維束は前記基材により覆われている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の繊維含有ボード部材。
- 当該繊維含有ボード部材は平坦な平坦部と、前記平坦部から立ち上がる立壁部とを有し、
前記複数の繊維束は前記平坦部と前記立壁部との境界部分に設けられている請求項1または請求項2に記載の繊維含有ボード部材。 - 一方向に配向された複数の繊維を含有する樹脂部材を前記繊維の配向方向に沿って細断して複数の繊維含有樹脂片を切り出す細断工程と、
複数の樹脂繊維をマット状に積層して不織布マットを形成する不織布マット形成工程と、
前記細断工程により切り出された前記複数の繊維含有樹脂片を前記不織布マット上に分散させる分散工程と、
前記複数の繊維含有樹脂片が分散された前記不織布マットを加熱プレスして前記複数の繊維含有樹脂片と前記不織布マットとが一体とされたプレボードを形成するプレボード形成工程と、
前記プレボードを成形型によりプレス成形するプレス成形工程と、を実行する繊維含有ボード部材の製造方法。 - 前記分散工程において、前記複数の繊維含有樹脂片中の前記繊維が同じ向きに配向されるように前記複数の繊維含有樹脂片を分散させる請求項6に記載の繊維含有ボード部材の製造方法。
- 前記不織布マットは当該不織布マットの板面に沿う一方向に配向された不織布マット側繊維を含み、
前記分散工程において、前記複数の繊維含有樹脂片中の前記繊維が前記不織布マット側繊維と交差する方向に配向されるように前記複数の繊維含有樹脂片を分散させる請求項7に記載の繊維含有ボード部材の製造方法。
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JP2022113608A JP2024011541A (ja) | 2022-07-15 | 2022-07-15 | 繊維含有ボード部材および繊維含有ボード部材の製造方法 |
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