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JP3618595B2 - 防音材の製造方法 - Google Patents

防音材の製造方法 Download PDF

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哲靖 秋田
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Landscapes

  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防音材の製造方法に関し、更に詳しくは、主として軽量材質のチップ状固形物からなる原材料と熱可塑性の繊維状バインダとを混合し、混合された処理材を加熱プレスして、繊維状バインダの熱溶融によりチップ状固形物を互いに結着させると共に防音材を成形する方式の、防音材の製造方法に関する。
【0002】
本発明は、原材料の面からは、例えば車両の廃材よりなる非金属性シュレッダーダストを原材料としてリサイクルする防音材、又、用途の面からは、例えばダッシュサイレンサーやフロアサイレンサー等の車両用途に用いる防音材、等に特に好ましく適用される。
【0003】
【従来の技術】
嵩密度が低く、防音,防振性能の優れた自動車用ダッシュサイレンサー,フロアサイレンサー等の防音材を製造するための有力な技術の一つとして、軽量材質のチップ状固形物からなる原材料と熱可塑性の繊維状バインダとを混合して加熱プレスする方法がある。
【0004】
特に、上記軽量材質のチップ状固形物として、例えば車両の廃材より抽出された非金属性シュレッダーダストを有効に利用する場合には、経済的であると共に材料リサイクルの観点からも有意義である。
【0005】
特開平8−112584号公報に係る「粒状複合材料とその製造方法」においては、シュレッダーダストに由来するウレタン,プラスチック,ゴム等の軽量材質のチップ状固形物を、繋ぎ材としての繊維状熱可塑性樹脂と混合し、この混合物を加熱、固化して所定形状の固形体とする複合材料二次加工体の製造方法が開示されている。
【0006】
更に、未だ出願公開されていないが、本件出願人の出願に係る特願平10−589号の願書に添付した明細書では、チップ状固形物と熱可塑性の繊維状バインダとの集合体を圧縮状態に拘束して、これを少量ずつ掻取る解繊混合処理により両者を良好に混合させ、繊維状バインダの熱溶融によりチップ状固形物を互いに結着させる防音材の製造方法を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、チップ状固形物からなる原材料を熱可塑性の繊維状バインダで良好に結着させ、しかも防音材の各部分において均一な材質を維持するためには、チップ状固形物と繊維状バインダとが互いに細かくかつ均一に分散して混合されている事が要求される。
【0008】
前記特開平8−112584号公報に開示された技術は、発明の主眼が「各種チップ状固形物のサイズや嵩密度を管理して、シュレッダーダストに処理上の一様性を与える」と言う点にあり、「チップ状固形物と繊維状バインダとを互いに細かく均一に分散して混合する」と言う要求に関しては、特段に注目すべき技術を開示していない。
【0009】
一方、前記特願平10−589号の願書に添付した明細書に記載された防音材の製造方法は、繊維状バインダの細かい解繊と、そのチップ状固形物との混合が、同時にしかも少量ずつ行われるために、両者を互いに細かくかつ均一に分散して混合させる点で、優れた効果が得られる。
【0010】
しかしながら、上記特願平10−589号の出願後、本願発明者が更に研究を進めた結果、繊維状バインダがチップ状固形物に比較して著しく比重が小さい点から、圧縮状態に拘束して掻取り処理に供されるチップ状固形物と繊維状バインダとの集合体の供給形態に、更に工夫の余地があることを見出した。
【0011】
そこで本発明は、チップ状固形物を熱可塑性の繊維状バインダを介して互いに結着させる方式の防音材の製造方法において、チップ状固形物と繊維状バインダとを一層理想的に細かく均一に分散・混合させ得る技術を提供することを、その解決すべき課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の構成は、主として軽量材質のチップ状固形物からなる原材料と熱可塑性の繊維状バインダとを混合して処理材とする混合工程と、処理材を加熱プレスして繊維状バインダの熱溶融によりチップ状固形物を互いに結着させると共に防音材のプレス成形を行う成形工程とを含む防音材の製造方法において、前記混合工程は、チップ状固形物を上下層とし繊維状バインダを中間層とする積層体を圧縮状態に拘束しつつ、掻取り用突起部材により少量ずつ掻取る解繊混合処理を含む、防音材の製造方法である。
【0013】
【発明の作用・効果】
混合工程中の解繊混合処理において、圧縮状態に拘束されたチップ状固形物と繊維状バインダとの積層体を準備し、掻取り用突起部材を用いて積層体を少量ずつ掻取ると、その掻取りの度に、少量の繊維状バインダが強制的に千切られて細かく解繊された状態で掻取られ、これと同時に少量のチップ状固形物も掻取られるために、個々のチップ状固形物に対して解繊された繊維状バインダがまとわり着く状態となる。
【0014】
従って、掻取られたものの集積体(以下、これを「解繊混合処理材」と言う)においては、個々のチップ状固形物に解繊された繊維状バインダがまとわり着いた状態で、両者が細かくかつ均一に分散して混合している。
【0015】
しかも掻取られるチップ状固形物と繊維状バインダとは、著しく比重の小さい繊維状バインダを中間層とし、その上下層をチップ状固形物とした積層体として供給されるので、掻取られたチップ状固形物と繊維状バインダとが、比重差による分布密度の勾配を生ずることなく、極めて均一に分散して混合される。
【0016】
図1にこの作用のイメージを表す。図1(a)は解繊混合処理前のチップ状固形物1と繊維状バインダ2との積層体を示し、繊維状バインダ2は解繊されていてシート状の中間層2aを構成し、その上下両側にはチップ状固形物1からなる上下層1aが構成されている。これらの中間層2a及び上下層1aは、実際には密に圧縮された状態に拘束されて掻取られる。
【0017】
図1(b)は解繊混合処理材の状態を示し、掻取り処理により中間層2aの繊維状バインダ2が強制的に細かく解繊されると共に、これが上下層1aを構成していたチップ状固形物1に個々にまとわり着き、両者が極めて細かくかつ均一に分散混合している。
【0018】
上記のような解繊混合処理材を結着工程に供することにより、設計通りの防音性能、強度、保形性等を備え、かつ部分毎に設計外の品質のバラツキを伴わない防音材を製造することができる。
【0019】
なお、仮に、掻取り処理に供されるチップ状固形物と繊維状バインダとが、繊維状バインダの未解繊シートの上にチップ状固形物が散布された2層構造の集合物であったとした場合でも、チップ状固形物と繊維状バインダの両者は細かく均一に分散混合されるが、この場合には繊維状バインダの上側層を構成するチップ状固形物が存在しないために、その均一な分散混合の程度は図1(a)に示す積層体の場合には及ばない。
【0020】
【発明の実施の形態】
(原材料)
原材料は、主として軽量材質のチップ状固形物からなる。その代表的な実施形態の一つが、車両の廃材よりなるシュレッダーダストから金属,ガラス片,ワイヤハーネス等を除外した非金属性シュレッダーダストである。特に好ましい原材料として、車両廃材から抽出したウレタン,繊維を主とする良質のシュレッダーダストを挙げることができる。
【0021】
この場合、軽量材質のチップ状固形物としては、ウレタンフォーム等のプラスチックフォームの断片が過半量を占め、その他繊維とで主体をなす。この繊維とは、車両のシート表皮等を構成していた織物の断片や繊維屑等が混入したものである。原材料中には、防音材の製造工程及び防音材製品の品質を阻害しない限度において、金属,ガラス等の微小な断片が若干混入することも許される。
【0022】
更に、後述するように本発明に係る防音材のトリム端材や不良品を解繊・粉砕して原材料として再使用することもできるし、車両廃材に由来する非金属性シュレッダーダスト以外の、他の産業分野に由来する廃材を本発明の原材料としてリサイクルしても良く、場合によってはプラスチック,ゴム,木材等の新材を用いてチップ状固形物を調製し、これを原材料としても良い。
【0023】
チップ状固形物の形状やサイズは限定されない。但し、処理効率の向上及び好ましい防音材の形成のためには、極端にアスペクト比の大きな形状(膜状,繊維状等)でないこと、チップの平均粒子径が20mm程度以下であること等が、より好ましい。
【0024】
(熱可塑性の繊維状バインダ)
熱可塑性の繊維状バインダとしては、通常は、繊維状の熱可塑性樹脂が用いられる。樹脂以外の熱可塑性材料、例えば熱可塑性ゴム等からなる繊維状バインダも用いることができる。又、防音材の加熱成形時に溶融する低融点の鞘部と、防音材の加熱成形時に溶融しない高融点の芯部とからなる芯鞘構造の繊維状バインダは、特に好ましく利用できる。
【0025】
繊維状バインダにおける繊維の形態及び繊維長は限定されない。繊維の代表的な形態の例として、比較的長い繊維が交絡して毛玉状になった綿毛状繊維や、比較的短い繊維が束になった集束状繊維などがある。なお、繊維状バインダが結着すべきチップ状固形物のサイズとの関係においては、混合性の向上及びそれに伴う防音特性の均一性と言う理由から、繊維長とチップの平均粒子径が同程度の寸法であることが、より好ましい。
【0026】
通常の従来技術において、例えば自動車用ダッシュサイレンサを製造する場合、チップ状固形物からなる原材料Xに対する繊維状バインダYの使用量は、重量比でX:Y=8:2程度、もしくはYの使用量を更に多くする必要があると考えられるが、本発明においては繊維状バインダが良好に解繊されてチップ状固形物と極めて細かく分散混合されるため、繊維状バインダYの使用量が、重量比でX:Y=9:1程度で足りる。但し、繊維状バインダの使用量は限定されない。
【0027】
(混合工程)
混合工程は、主として軽量材質のチップ状固形物からなる原材料と、熱可塑性の繊維状バインダとを混合する工程である。この工程には少なくとも、チップ状固形物を上下層とし前記繊維状バインダを中間層とする積層体を準備する工程と、後述する解繊混合処理とが含まれる。
【0028】
積層体としては、中間層である繊維状バインダに対してチップ状固形物からなる上下層が構成されていれば良く、例えば前記図1(a)に示すような3層のサンドイッチ構造であっても良いし、同様な構成の5層又はそれ以上の奇数層のサンドイッチ構造であっても良い。必要な混合量、原材料の種類によって、これらの積層構成を変化させることができる。
【0029】
そして積層体を準備するための前処理として、シュレッダーダストのかたまりとして供給されたチップ状固形物を、周面に針状突起を有する回転シリンダ等により予め分散させておいたり、繊維状バインダを解繊機で予め解繊しておくことも好ましいが、かかる前処理は不可欠ではない。
【0030】
積層体の形成方法は限定されないが、例えば、積層体を解繊混合処理工程へ送り込むためのベルトコンベア等の搬送手段を作動させつつ、その最上流側の搬送面上に位置するホッパ等からまずチップ状固形物を供給して堆積させることにより下層を構成し、次いでその下流側の搬送面上に位置するホッパ等から繊維状バインダを供給して堆積させることにより中間層を構成し、更にその下流側の搬送面上に位置するホッパ等からチップ状固形物を供給して堆積させることにより上層を構成する、と言う方法等により、簡易に形成することができる。
【0031】
(解繊混合処理)
解繊混合処理は、圧縮状態に拘束されたチップ状固形物と繊維状バインダとの上記積層体を、掻取り用突起部材により少量ずつ掻取る処理である。
【0032】
積層体を圧縮状態に拘束するための実施形態は、その目的を達する限りにおいて限定されない。その代表的な例が、適宜な搬送手段により搬送される積層体を対の回転ローラ間に送り込んで、圧縮しつつ押し出すことである。この実施形態においては、回転ローラ間より押し出される積層体を順次掻取って行けばよいから、解繊混合処理を連続して効率的に行うことができる。
【0033】
その他の実施形態として、例えば、往復動式の対の押圧体に横送り機構を備えさせ、積層体をその一部がはみ出す状態で押圧体間に圧縮状態に拘束してはみ出した部分を掻取る操作と、積層体の拘束を解除して横送りすることにより再度積層体の一部をはみ出させる操作とを繰り返すような間欠方式等も可能である。
【0034】
掻取り用突起部材による掻取りの実施形態も、その目的を達する限りにおいて限定されない。その代表的な例が、周面に針状突起を有する回転シリンダに向けて圧縮状態に拘束された積層体を送り、針状突起によって少量ずつ掻取る方式である。この方式を前記の回転ローラ送り方式と組み合わせると、非常に優れた解繊混合処理を行うことができる。
【0035】
その他の実施形態として、例えば、櫛状に突起を備えた往復動する(いわゆるレシプロ方式の)掻取り用突起部材により、圧縮状態に拘束されて送られる積層体を順次少量ずつ掻取る方式等も可能である。
【0036】
解繊混合処理を終えた解繊混合処理材においては、チップ状固形物と強制的に細かく解繊された繊維状バインダとが極めて細かくかつ均一に分散して混合した状態となっているので、これをそのまま一時ストックに供しても良く、直ちに防音材製造のための次工程に供しても良い。
【0037】
(その他の工程)
本発明においては、例えば以下(1)〜(3)のような必要又は有益な任意の工程を含むことができる。
【0038】
(1)上記解繊混合処理の後に、解繊混合処理材をシート状として成形型へ搬送し、あるいは成形型へ吹き込み充填する搬送/充填工程。
【0039】
搬送/充填工程の実施形態は限定されないが、例えば、前者としては解繊混合処理材をシート状に堆積して加熱プレス式成形型の上型と下型との間に搬送する方法、後者としては解繊混合処理材を圧送気体に乗せて加熱プレス式成形型へ吹き込む方法が好適である。
【0040】
後者の方法においては、充填の進行に伴って吹き込み抵抗が漸次増大し、結果的に成形型への充填密度の均一性を確保できない恐れもあることから、吹き込み抵抗の増大に対応して吹き込み風量を低減させることも好ましい。
【0041】
成形型への吹き込み充填法を採用した場合、気体による圧送プロセスによって、チップ状固形物と繊維状バインダとが更に細かく均一な混合分散状態になると考えられる。
【0042】
(2)解繊混合処理材を成形型により加熱プレスして、熱溶融した繊維状バインダによりチップ状固形物を互いに結着させると共に、所定形状の防音材を成形する成形工程。
【0043】
この成形工程を吹き込み充填方式で行う場合において、弱く加熱するプリフォーム体の成形工程と、強く加熱する本成形工程とに分割し、前者においてはキャビティの複雑形状を避けて本成形より簡素な形状を持つ板状(例えば、平坦な板状)のプリフォーム体を形成することにより成形型への充填密度の均一性を確保し、後者においてプリフォーム体に対して目的とする防音材の複雑形状を与える、と言う方法も好ましい。
【0044】
成形サイクルにおける上記プリフォーム成形型や本成形型の加熱と冷却の繰り返しを効率化するため、上下の成形型には成形面に開口した多数の通気孔を設けると共にこれらの通気孔を上下の各成形型に付設した加熱冷却箱に連通させ、型加熱時には一方の加熱冷却箱Aから型通気孔を経由して他方の加熱冷却箱Bへ熱気を送り、型冷却時には逆に加熱冷却箱Bから型通気孔を経由して加熱冷却箱Aへ冷気を送る、と言う方法も好ましい。
【0045】
(3)上記成形後のトリム工程で生ずる端材(あるいは、成形不良品)をチップ状固形物の原材料として再使用する工程。この再使用工程においては、上記端材をまず解繊し、ついでシュレッダー処理することにより、本発明におけるチップ状固形物の原材料として、良好に再生することができる。
【0046】
【実施例】
以下において、工程のフローの一例を概念化して示す図2に基づいて、本発明の一実施例を説明する。
【0047】
図2に示す3基の原料供給サイト3,4,5は、積層体を構成して搬送するためのベルトコンベア6の搬送面上に、その搬送方向の上流側から下流側に向かって順次位置しており、搬送ベルト3a,4a,5aと、針状突起を有する対の回転シリンダ3b,4b,5bと、ホッパ3c,4c,5cとを備えている。
【0048】
そして上流側の原料供給サイト3と下流側の原料供給サイト5には、平均粒径が5mm程度の非金属性シュレッダーダスト(プラスチックフォーム材、非フォームプラスチック材、ゴム材の断片等からなる)の集合体7が供給され、中間の原料供給サイト4には、平均繊維長10mmの芯鞘構造のポリエステル短繊維からなる未解繊状態の繊維状バインダの集合体8が供給される。
【0049】
本実施例において、非金属性シュレッダーダストの集合体7(X)の合計供給量と、繊維状バインダの集合体8(Y)の供給量との比率は、重量比でX:Y=9:1程度としている。
【0050】
これらの集合体7,8は、それぞれ前記搬送ベルト3a,4a,5aによって回転シリンダ3b,4b,5bに送られる。そしてシュレッダーダストの集合体7はほぐされ(個別のチップ状固形物に分散され)、又、未解繊状態の集合体8は解繊されて、それぞれ前記ホッパ3c,4c,5cに供給され、ベルトコンベア6の搬送面上に順次下層9a,中間層9b,上層9cとして堆積され、3層の積層体9を構成する。
【0051】
次に、積層体9は、ベルトコンベア6により同期回転(いわゆる連れ回り)する対の回転ローラ10,10間に送られる。対の回転ローラ10,10間のクリアランスは、ベルトコンベア6上の積層体9の堆積厚さよりかなり小さく設定されているため、回転ローラ10,10間を通過する際の積層体9は回転ローラ10,10によって圧縮状態で拘束されている。
【0052】
そして回転ローラ10,10による送り出し方向のすぐ先には、ほとんど隙間なく隣接する状態で、周面に多数の針状突起を有する回転シリンダ11が設置されて、図の矢印方向へ回転している。
【0053】
このため、圧縮状態で拘束された積層体9は、回転ローラ10,10間を通過した直後、未だその拘束を解除されていない状態において、回転シリンダ11の針状突起により順次少量ずつ掻取られて行く。
【0054】
そしてこの際、中間層9bの繊維状バインダが少量ずつ強制的に千切られて細かく解繊された状態で掻取られ、これと同時にその上下層9a,9cのチップ状固形物も少量ずつ掻取られるために、個々のチップ状固形物に対して解繊された繊維状バインダがまとわり着く。従って、掻取られて下方に集積される解繊混合処理材12においては、前記図1(b)のように、チップ状固形物1と解繊された繊維状バインダ2が極めて細かくかつ均一に分散して混合している。
【0055】
以上の工程において、ベルトコンベア6上の積層体9の堆積厚さ、ベルトコンベア6の送り速度、回転ローラ10,10の回転速度あるいは回転シリンダ11の回転速度を調節することにより、解繊混合処理材12におけるチップ状固形物1と繊維状バインダ2との「極めて細かくかつ均一に分散した混合状態」を任意にかつ種々に微調整することができる。
【0056】
解繊混合処理材12は、集積槽13に仮集積され、次いで、例えば集積槽13に設けた適宜な供給量制御手段(図示省略)等によりコントロールされて、必要量ずつが成形装置へ送られ、搬送/充填工程及び成形工程に供される。
【0057】
成形装置は、前記集積槽13に接続されたブロア14、これに続くメインダクト15、メインダクト15から切替弁16を介して分岐した2本の分岐ダクト17,18、分岐ダクト17,18の各末端に設けた2基の成形サイト19,20(成形サイト20は成形サイト19と同一の構成であるため、図示及び詳しい説明を省略する)、及び前記切替弁16に対してダクトを以て接続された冷熱風送出機21からなる。
【0058】
成形サイト19において、詳細な図示は省略するが、本成形より簡素な成形面を備えたプリフォーム成形型22と、実際の防音材の形状に対応した成形面を備えた本成形型23とが、ライン方向に沿って順次設けられている。
【0059】
これらのプリフォーム成形型22と本成形型23はそれぞれ、型開き可能な上型と下型からなり、上下型のいずれもが、型に付設された加熱冷却箱と成形面と自由に通気させ得る多数の通気孔を備えている。更に上型と下型の側面周囲は型開きスペースを覆う金属メッシュ板で取り囲まれて、解繊混合処理材12を型内に止めると共にエアを逃がすようになっている。上下型の成形面をメッシュ板で構成しても良い。
【0060】
一般に、複雑な凹凸を伴う形状の防音材を吹き込み成形しようとする時、そのキャビティも複雑に屈折した空間となるため、キャビティ内に多数のエアだまりを生じて、幅方向,厚み方向共に解繊混合処理材を均一な密度で充填させることが困難である。
【0061】
しかし、プリフォーム成形型22によって比較的低度の加熱圧縮のもとに本成形より簡素な板形状のプリフォーム成形体24を一旦形成し、これを本成形型23に持ち込んで必要な加熱圧縮のもとに本成形体を成形することで、かかる問題を解消することができる。
【0062】
更に、上記プリフォーム成形型22への解繊混合処理材の吹き込み充填の際、充填の進行に伴って吹き込み抵抗が漸次増大するのに対応して吹き込み風量を漸次低減させ、結果的に吹き込み抵抗を一定のレベルに保つことで、プリフォーム成形型22への解繊混合処理材の充填密度の均一性を一層良好に確保して、より高品質の防音材を製造することができる。
【0063】
なお、解繊混合処理材はブロア14の作用により気体圧送されて、切替弁16を介して2基の成形サイト19,20のいずれかへ吹き込まれる。従って、例えば成形サイト19においてプリフォーム成形及び本成形が行われている時に、他方の成形サイト20においてプリフォーム成形型22への解繊混合処理材の吹き込みを行うことが可能になる。
【0064】
こうして切替弁16を有効に利用しつつ、複数の成形型においてプロセスのフェーズが異なる同時進行状態で搬送/充填工程及び成形工程を繰り返すことにより、成形型の遊び時間を低減させ、成形サイクルを向上させることができる。
【0065】
プリフォーム成形体24は、本成形型23において必要な加熱圧縮のもとに実際の防音材の形状に対応した成形・固化を受け、本成形体25として図示省略のトリム型にてトリミングされ、防音材26とトリム端材27とに分かれる。なお、本成形型23における加熱プレス成形の際に同時にトリミングを行うことも可能であり、これにより製造効率が一層向上する。
【0066】
上記トリム端材27は、再生サイト28に投入して、針状突起を有する対の回転シリンダ29によりチップ状固形物を結着している繊維状バインダを解繊し、次いで簡略図示するシュレッダー30に投入して、例えば5mm程度の平均粒径のチップ状固形物に復元することにより、良好なチップ状固形物原材料として再使用できる。但し、トリム端材27を再生サイト28で解繊処理せずにシュレッダーに投入しても、良好なチップ状固形物原材料とはならない。
【0067】
又、上記製造工程で生じえる防音材の不良品も、トリム端材27と同様の上記の処理により、良好なチップ状固形物原材料として再使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】解繊混合処理の前と後との集合物の状態を示す図である。
【図2】実施例の工程のフローを示す図である。
【符号の説明】
1 チップ状固形物
2 繊維状バインダ
3,4,5 原料供給サイト
6 ベルトコンベア
7,8 集合体
9 積層体
10 回転ローラ
11 回転シリンダ
12 解繊混合処理材
19,20 成形サイト
22 プリフォーム成形型
23 本成形型
24 プリフォーム成形体
25 本成形体
27 トリム端材
28 再生サイト

Claims (1)

  1. 主として軽量材質のチップ状固形物からなる原材料と熱可塑性の繊維状バインダとを混合して処理材とする混合工程と、前記処理材を加熱プレスして前記繊維状バインダの熱溶融により前記チップ状固形物を互いに結着させると共に防音材のプレス成形を行う成形工程とを含む防音材の製造方法において、
    前記混合工程は、前記チップ状固形物を上下層とし前記繊維状バインダを中間層とする積層体を圧縮状に拘束しつつ、前記積層体の送り出し方向に設置した掻取り用突起部材により少量ずつ掻取る解繊混合処理を含むことを特徴とする防音材の製造方法。
JP23628099A 1999-08-24 1999-08-24 防音材の製造方法 Expired - Lifetime JP3618595B2 (ja)

Priority Applications (4)

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