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JP2019163632A - 角形鋼管柱とh形鋼梁の接合構造 - Google Patents

角形鋼管柱とh形鋼梁の接合構造 Download PDF

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JP2019163632A JP2018051947A JP2018051947A JP2019163632A JP 2019163632 A JP2019163632 A JP 2019163632A JP 2018051947 A JP2018051947 A JP 2018051947A JP 2018051947 A JP2018051947 A JP 2018051947A JP 2019163632 A JP2019163632 A JP 2019163632A
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Abstract

【課題】鋼管柱面外方向の引張力に対する外ダイアフラムの耐力が低減することなく、また梁フランジ−外ダイアフラム溶接の健全性検証を超音波探傷検査で行うことに支障が生ずることのない角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造を提供する。【解決手段】本発明に係る角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造1は、角形鋼管柱3とH形鋼梁7とを外ダイアフラム9を介して接合するものであって、外ダイアフラム9は、同一形状の2枚のL字形鋼片11の端部を突き合わせて矩形リング状にして、該矩形リングの内周面が角形鋼管柱3のスキンプレート5に溶接接合されてなり、L字形鋼片11同士の2か所の接合面13が角形鋼管柱3の角部に位置し、角形鋼管柱3の直交する各スキンプレート5a、b、c、dの延長面と接合面13とが成す角度がいずれも25度以上65度以下となるように設定され、かつ接合面13が隅肉溶接によって接合されて、その溶接部の長さが外ダイアフラム9の出寸法の10%増し以上となっていることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、建築構造における柱と梁の接合構造に関し、特に角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造に関する。
建築鋼構造の柱梁接合部においては、その接合部耐力を補完するためにダイアフラムと称する接合要素が用いられるのが一般的であり、その形式は図13に示すように、角形鋼管柱41とH形鋼梁43とを内ダイアフラム45を用いて接合する内ダイアフラム形式、図14に示すように、通しダイアフラム47を用いて接合する通しダイアフラム形式、図15に示すように外ダイアフラム49を用いて接合する外ダイアフラム形式に大別される。
内ダイアフラム形式は一般的にはエレクトロスラグ溶接により接合され、溶接部では数十万〜数百万J/cm程度の非常に大きな入熱が作用するため、一般の建築構造用鋼材では溶接部での靭性が非常に小さくなり、溶接部での脆性破断が生じ易い。この傾向は特に高強度鋼材で顕著である。さらに、冷間ロール成形角形鋼管や円形鋼管など、直角を為す角がない断面では、その形状によりエレクトロスラグ溶接が適用できないため、そもそも内ダイアフラム形式の適用が困難である。
通しダイアフラム形式は、角形鋼管柱を通しダイアフラム配置位置で一旦切断し、通しダイアフラム溶接後に分割された角形鋼管柱を再び組み立てるので溶接量が多く、また仕口のずれなど精度確保に難点がある。
また、通しダイアフラムは柱の一部として構造設計されるため、通しダイアフラムおよび通しダイアフラムと角形鋼管柱との溶接材料は、角形鋼管柱に用いた鋼材以上の強度クラスの材料を用いる必要があり、例えば柱に780N/mm2級鋼材などの高強度鋼材を用いた場合には、施工負荷および材料費が高くなる。
これらに対して、本発明で対象とする外ダイアフラム形式では、角形鋼管柱との溶接材料は梁側の強度にあわせればよく、大入熱による溶接部の靭性劣化の心配は不要であり、柱に高強度鋼材が用いられている場合でも適用し易い。
また、外ダイアフラム形式は通しダイアフラム形式にくらべて溶接量・加工量が少ないこと、角形鋼管柱にコンクリートを充填する際の施工性に優れること等の利点がある。
一方、外ダイアフラムを建設現場にて角形鋼管柱に溶接接合する場合、外ダイアフラムと角形鋼管柱との溶接接合に加えて、外ダイアフラムと梁フランジとの溶接接合、もしくは高力ボルト接合もあり、建設現場での作業工程が多くなる。
また、現状の外ダイアフラムは柱面からの突出幅が大きいので、工場で外ダイアフラムを取り付けて工事現場へ運搬する場合、突出幅の大きい外ダイアフラムによりトラックに積み込む柱本数が制限されてしまい効率が悪いという問題がある。
この観点から、特許文献1および特許文献2では突出幅の小さい外ダイアフラムが提案されている。
特許文献1には、ある一定の幅を持ったバンド状の鋼板を用いた外ダイアフラムが提案され、突出幅を小さくすると共に同一の鋼管柱にせいの異なる梁がとりつく場合にもそのまま適用可能なように工夫されている。
また、特許文献2では、L字形の4枚の鋼片により外ダイアフラムを形成し、そのL字形鋼片に厚肉材を用いることで外ダイアフラムの出寸法を小さく抑えている。そして、L字形鋼片同士の接合は、表裏面での隅肉溶接や、部分溶け込み溶接などによって行われるが、その接合面は、とりつく梁フランジ内に限定されている。
特開2006-002351号公報 特開2016-108868号公報
しかし、特許文献1の場合、バンド幅(外ダイアフラムの高さ)が大きくなると、面外方向(梁材軸方向)の外ダイアフラムの曲げ剛性が小さくなり、局所歪も増大して降伏耐力も低下しやすいため、梁フランジから外ダイアフラムに伝達される鋼管柱面外方向の引張力に対する外ダイアフラムの耐力が低減されるという欠点がある。
また、特許文献2の場合、構造上重要部位である梁フランジ−外ダイアフラム溶接の健全性検証を超音波探傷検査で行うことが難しいという問題がある。
すなわち、特許文献2では、L字形鋼片同士の接合面が 梁フランジ内にあるため、梁端溶接部での超音波探傷検査を実施する際、L字形鋼片同士の接合面に未溶着部を有する場合には、この未溶着部を欠陥として検出してしまうため、梁フランジ−外ダイアフラム溶接の健全性検証を超音波探傷検査で行うのが難しいのである。
また、L字形鋼片同士が完全溶け込み溶接によって接合されている場合を考えると、梁フランジ溶接前にこの接合面の超音波探傷検査を予め実施し、無欠陥であることを確認しておかなければ、超音波探傷検査によって梁フランジ−外ダイアフラム溶接部の欠陥の有無および位置の特定が困難となる。この場合、超音波探傷検査工程が増えることとなり、施工工数が大きくなってしまうという問題がある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、角形鋼管柱面外方向の引張力に対する外ダイアフラムの耐力が低減することなく、また梁フランジ−外ダイアフラム溶接の健全性検証を超音波探傷検査で行うことに支障が生ずることのない角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造は、角形鋼管柱とH形鋼梁とを外ダイアフラムを介して接合するものであって、
前記外ダイアフラムは、同一形状の2枚のL字形鋼片の端部を突き合わせて矩形リング状にして、該矩形リングの内周面が前記角形鋼管柱のスキンプレートに溶接接合されてなり、
前記L字形鋼片同士の2か所の接合面が前記角形鋼管柱の角部に位置し、前記角形鋼管柱の直交する各スキンプレートの延長面と前記接合面とが成す角度がいずれも25度以上65度以下となるように設定され、かつ前記接合面が隅肉溶接によって接合されて、その溶接部の長さが前記外ダイアフラムの出寸法の10%増し以上となっていることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記角形鋼管柱のスキンプレートと前記外ダイアフラムが部分溶け込み溶接によって溶接接合されており、かつ前記L字形鋼片同士はその表裏面において開先深さが8mm未満の部分溶け込み溶接によって溶接接合されていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、外ダイアフラムの出寸法をld,外ダイアフラムが取付く柱の幅をDcとし、ld≦Dc/2の関係を満たすことを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、外ダイアフラムの出寸法をld、板厚をtd、降伏強度をσd、外ダイアフラムが取付く梁フランジの幅をBf、板厚をtf、降伏強度をσf、水平ハンチによる拡幅幅をBs、外ダイアフラムが取付く柱の幅をDc、板厚をtc、としたときに下式の関係を満たすことを特徴とするものである。
本発明の角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造においては、外ダイアフラムは、同一形状の2枚のL字形鋼片の端部を突き合わせて矩形リング状にして、該矩形リングの内周面が前記角形鋼管柱のスキンプレートに溶接接合されてなり、前記L字形鋼片同士の2か所の接合面が前記角形鋼管柱の角部に位置し、前記角形鋼管柱の直交する各スキンプレートの延長面と前記接合面とが成す角度がいずれも25度以上65度以下となるように設定され、かつ前記接合面が隅肉溶接によって接合されて、その溶接部の長さが前記外ダイアフラムの出寸法の10%増し以上となっていることにより、鋼管柱面外方向の引張力に対する外ダイアフラムの耐力が低減することなく、また梁フランジ−外ダイアフラム溶接の健全性検証を超音波探傷検査で行うことに支障が生ずることもない。
本実施の形態に係る角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造の説明図である。 図1に示した角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造の外ダイアフラムを構成するL字形鋼片の説明図である。 本実施の形態に係る角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造におけるL字形鋼片の接合部の説明図である。 本実施の形態に係る角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造におけるL字形鋼片の形状を決定する過程での解析モデルの説明図である(その1)。 本実施の形態に係る角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造におけるL字形鋼片の形状を決定する過程での解析モデルの説明図である(その2)。 本実施の形態に係る角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造におけるL字形鋼片の形状を決定する過程での外ダイアフラム接合部耐力の決定方法の説明図である。 回帰式耐力がFEM耐力と相関が得られていることを説明するグラフである。 実施例における発明例の解析モデルの説明図である(その1)。 実施例における発明例の解析モデルの説明図である(その2)。 実施例における比較例の解析モデルの説明図である(その1)。 実施例における比較例の解析モデルの説明図である(その2)。 実施例における効果を説明するグラフである。 角形鋼管柱とH形鋼梁とをダイアフラムで接合する場合の態様の説明図である(その1)。 角形鋼管柱とH形鋼梁とをダイアフラムで接合する場合の態様の説明図である(その2)。 角形鋼管柱とH形鋼梁とをダイアフラムで接合する場合の態様の説明図である(その3)。
本実施の形態に係る角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造1は、図1に示すように、角形鋼管柱3とH形鋼梁7とを外ダイアフラム9を介して接合するものであって、外ダイアフラム9は、同一形状の2枚のL字形鋼片11の端部を突き合わせて矩形リング状にして、矩形リングの内周面が角形鋼管柱3の外周面に溶接接合されてなるものである。
以下、外ダイアフラム9の詳細を説明する。
外ダイアフラム9を構成する2枚のL字形鋼片11は、同一形状である。L字形鋼片11を同一形状とすることで、部品の取り間違いがなくなり、製作時の管理が容易になる。
L字形鋼片11同士の2か所の接合面13は、角形鋼管柱3の角部に対称に位置している。そして、接合面13が角形鋼管柱3の隣合う各スキンプレート5a、b、c、dの延長面と成す角度は、いずれも25度以上65度以下になっている。この点を、図1に示す2つの接合面13のうちの一つについて具体的に説明すると、接合面13が一つのスキンプレート5aの延長面Aと成す角度をθ、接合面13が隣接する他のスキンプレート5bの延長面Bと成す角度をθとすれば、θ及びθがいずれも25度以上65度以下になっているということである。換言すれば、接合面13が上記の角度になるように、各L字形鋼片11の端面15(図2参照)の形状が設定されている。なお、L字形鋼片11を厚鋼板から切り出す場合には、切り出し時において端面15が上記の角度になるように切り出せばよい。
接合面13を角形鋼管柱3の角部に位置させたのは、H形鋼梁7の梁フランジと外ダイアフラム9との溶接部と接合面13の溶接部が重ならないようにして、構造上重要部位である梁フランジ−外ダイアフラム溶接の健全性検証を超音波探傷検査で行うことができるようにしたものである。
また、接合面13を角部に位置させることで、当該部位の応力負担が少ないことにも起因している。この点は、接合面13の溶接仕様とも関連するので後述する。
また、接合面13が各スキンプレート5a、b、c、dの延長面と成す角度を上記のように設定した理由は以下の通りである。
まず、接合面13の角度規定をしているのは、接合面13における溶接長を長く確保して、ショートビードとなることによる極端な硬化などの溶接部の品質悪化を防止するためである。
そして、接合面13の各スキンプレート5a、b、c、dの延長面と成す角度を25度以上65度以下としたのは、接合面13を一方のスキンプレート5に対して直交する向きに設けた場合(この場合、接合面13は他方のスキンプレート5と成す角度が0度となる)と比較して10%以上長くなるようにするためである。例えば、接合面13の一方のスキンプレート5と成す角度を25度にした場合(この場合、接合面13は他方のスキンプレート5と成す角度が65度となる)、上述した直交の場合に比べて溶接長は約1.1倍になる。
接合面13の角度規定をすることで、外ダイアフラム9の出寸法が周方向で一定であれば、接合面13の溶接長を外ダイアフラム9の出寸法の10%以上にすることができ、外ダイアフラム9の出寸法が小さい場合にも、隅肉溶接を健全に施工することができる。
なお、外ダイアフラム9の形状が角部で出寸法が短くなるような形状の場合、上記の角度設定だけでは溶接長を十分確保できないので、本発明では、このような場合を想定して外ダイアフラム9の出寸法の10%増し以上の溶接長を確保するようにしている。
通常、寸法精度の観点から、L字形鋼片11同士は予め接合せずに、各L字形鋼片11をひとつずつスキンプレート5に溶接接合したうえで、L字形鋼片11同士を接合面13において溶接接合することとなる。このとき、L字形鋼片11の内面側はスキンプレート5と溶接接合され、当然ながらその接合面13には溶接余盛が存在する。そのため、接合面13をみれば、予めスキンプレート側端部では一定長さ溶接接合されていることになり、接合面13同士を接合する隅肉溶接の溶接長はその分短くなる。このような施工上の観点からしても、接合面13の溶接長を長く確保できるような形状にすることは重要であり、特に、出寸法の小さい外ダイアフラム9を実現するためにはより重要な観点となる。
本実施の形態では、角形鋼管柱3のスキンプレート5と外ダイアフラム9が部分溶け込み溶接によって溶接接合されており、かつ外ダイアフラム9同士の接合面13は、図3に示すように、その表裏面において開先深さが8mm以下の部分溶け込み溶接によって溶接接合されている。なお、図3では接合面13が各スキンプレート5a、b、c、dの延長面と成す角度が45度の場合を示している。
このような溶接仕様とした理由は以下の通りである。
地震時に梁フランジから仕口(柱梁接合部)に伝達される水平力は、一般論としてその水平力の作用方向に対する剛性が大きい方に流れやすい。この理論に従えば、本発明の構造においては、スキンプレート5近傍にほとんどの力が流れ、L字形鋼片11同士の接合面13の外端角部付近ではほとんど水平力を負担しない。
また、外ダイアフラム9とスキンプレート5とは部分溶け込み溶接によって溶接接合されているから、少なくとも柱表面において外ダイアフラム9は溶接接合されているものとみなせる。
以上のことからL字形鋼片11同士の溶接接合は、完全溶け込み溶接に依らなくともよいといえる。
一方で、外ダイアフラム9同士がまったく接合されない場合には、梁フランジ−外ダイアフラム溶接などの周囲での溶接施工にともなう熱変形や、昼夜間での温度変化に伴う鋼材の膨張・収縮、風荷重などの微振動に対して外ダイアフラム9の変形が大きくなり、外観が損なわれるほか、塗装や表装材の剥落、局所的な応力集中による微細なき裂発生につながることが考えられる。
そこで、本発明では、L字形鋼片11同士の接合部において、表裏面に深さ8mm以下の開先による部分溶け込み溶接によって溶接接合することとしている。
この溶接接合部は、前述したように地震時の大きな水平力の負担・伝達を期待するものでなく、形状保持を目的としていることから、施工効率を勘案し、多層多パスでない1パスでの施工で賄えるように開先深さを8mm以下としている。
<外ダイアフラムの出寸法>
前述したように、外ダイアフラム9の出寸法が大きいと、工場で外ダイアフラム9を取り付けて工事現場へ運搬する場合等に運搬や取り扱いの効率が悪いという問題があり、本実施の形態では、外ダイアフラム9の出寸法をld,外ダイアフラム9が取付く柱の幅をDcとして、ld≦Dc/2の関係を満たすようにしている。
このように設定したのは運搬効率や工事現場での取り回しを考慮したことが主な理由であるが、ld>Dc/2となるような場合には、外ダイアフラム9の面外方向(柱材軸方向)の局所変形も大きくなることから、耐力などの構造性能の維持や、外ダイアフラム9とスキンプレート5柱などの溶接施工時の熱変形を押さえて施工時の寸法精度を確保すること等も考慮したものである。
<外ダイアフラムの板厚の設定>
出寸法を短くすると地震時に外ダイアフラム9が梁から水平力を受けた際に降伏しやすくなるため、出寸法を決定する際には、外ダイアフラム9の板厚を厚くする必要がある。
そこで、本実施の形態では、地震時に梁が接合部より先に降伏し、建物が十分なエネルギーを吸収できるように、外ダイアフラム接合部の耐力Pd≧梁フランジの耐力Pfとなるよう外ダイアフラム9の板厚と出寸法の関係を決めている。
具体的には、外ダイアフラム9の出寸法をld、板厚をtd、降伏強度をσd、外ダイアフラム9が取付く梁フランジの幅をBf、板厚をtf、降伏強度をσf、水平ハンチによる拡幅幅をBs、外ダイアフラム9が取付く柱の幅をDc、板厚をtc、としたときに下式の関係を満たす。
なお、水平ハンチによる拡幅幅とは、外ダイアフラムと梁フランジとの境界における梁フランジ幅(ハンチ先端の幅)である。なお、ハンチがない場合には、Bs=Bfとなる。
ここで、外ダイアフラム接合部の耐力式P回帰は、FEM解析を実施し、解析結果を最小二乗法で回帰することで求めている。
以下、FEM解析と回帰式の求め方を具体的に説明する。
・FEM解析の説明
外ダイアフラム接合部耐力を求めるために、下記の表1に示す柱・梁・外ダイアフラムの各形状に対してFEM解析を実施した。
解析モデル17は図4、図5に示す柱梁接合部の柱19、外ダイアフラム21および梁フランジ23で構成される。外ダイアフラム接合部付近の梁ウェブは、応力伝達におよぼす影響が小さいため本モデルでは省略している。
境界条件は梁フランジ中心面をz方向、柱上下端をx方向に拘束し、梁フランジ端部にx方向の荷重Pfを加えることで、地震時の応力状態を再現している。鋼材のヤング率は205,000N/mm2とした。
ここで、図5に示す柱19の内面の2点P、Qのx方向変位の差δPQを接合部の変形量と定義し、梁フランジ荷重Pf(kN)と接合部変形δPQ(mm)関係のグラフを描くと図6となる。図6において、縦軸が梁フランジ荷重Pf(kN)で横軸が接合部変形δPQ(mm)である。
本例においては、外ダイアフラム21が降伏して、グラフの接線剛性が初期剛性の1/3まで低下した時点(グラフ中の★印)を接合部の耐力としている。
次に、回帰式の定め方を説明する。
外ダイアフラム接合部の耐力の回帰式P回帰を未知数α、β、γ、δ、ε、ζを用いて下式のように置く。
両辺に自然対数logをとると、以下のようになる。
表1記載のNo.iの試験体の耐力をPiとすると、下式で示されるP回帰とlogPiの二乗和が最小になるとき、
未知数α、β、γ、δ、ε、ζについて、以下の6つの式が成り立つ。
上記の式を連立させて解くことで、未知数α、β、γ、δ、ε、ζ以下のように定めることができる。
α=4.72、β=-0.24、γ=1.22、δ=-1.21、ε=0.74、ζ=0.24
すなわち,外ダイアフラム接合部の耐力式P回帰は以下の式となる。
設計では上式で表わされる外ダイアフラム接合部の耐力を梁フランジ耐力Bftfσf以上にするため、下式の関係となる。
これを展開して、外ダイアフラムの板厚tdについて整理すると下式となる。
回帰式耐力とFEMで求めた耐力(以下、FEM耐力という)との関係を図7に示す。図7は縦軸が回帰式耐力であり、横軸がFEM解析耐力を示しており、表1に示したそれぞれの形状について、回帰式耐力とFEM解析耐力(表1の最右列参照)をプロットしたものである。
図7に示されるように、回帰式の決定係数Rは0.97であり、回帰式耐力とFEM耐力との相関が得られている。
本発明に関わる柱梁接合部構造の効果を実証するためにFEM解析を実施したので、以下これについて説明する。
発明例の解析モデル25は、平面図である図8、斜視図である図9に示すように、角形鋼管柱27に外ダイアフラム29を介してH形鋼梁31が接合する立体骨組モデルである。ここで、各部材の寸法は実際の建物を想定して、柱:□−1500×50(780N/mm2級鋼)、梁:H−1200×400×19×28(550N/mm2級鋼)、外ダイアフラム:出寸法330、板厚60(550N/mm2級鋼)とし、柱はコンクリート充填とした。解析では、図9に示すように、柱柱頭に荷重を与えることで地震時水平力を模擬した。
外ダイアフラム29は、角部で45度方向溶接を模擬した接合形式とした。溶接深さは6mmであり、溶接部以外は摩擦係数0のメタルタッチとした。
これに対する比較例の解析モデル33は、平面図である図10、斜視図である図11に示すように、内ダイアフラム35が内蔵された角形鋼管柱37にH形鋼梁39が接合する立体骨組モデルとして解析を実施した。表2に解析ケース一覧を示す。
図12は、発明例と比較例の両者における荷重−変形角関係を比較して示したグラフであり、縦軸が荷重(kN)、横軸が変形角(rad)を示している。
図12より、発明例の骨組剛性と耐力はそれぞれ比較例を上回っており、本発明が有効であることが実証された。
1 角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造
3 角形鋼管柱
5 スキンプレート
5a、b、c、d 各スキンプレート
7 H形鋼梁
9 外ダイアフラム
11 L字形鋼片
13 接合面
15 端面
17 解析モデル
19 柱
21 外ダイアフラム
23 梁フランジ
A、B 延長面
<実施例>
25 解析モデル(発明例)
27 角形鋼管柱
29 外ダイアフラム
31 H形鋼梁
33 解析モデル(比較例)
35 内ダイアフラム
37 角形鋼管柱
39 H形鋼梁
<従来例>
41 角形鋼管柱
43 H形鋼梁
45 内ダイアフラム
47 通しダイアフラム
49 外ダイアフラム

Claims (4)

  1. 角形鋼管柱とH形鋼梁とを外ダイアフラムを介して接合する角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造であって、
    前記外ダイアフラムは、同一形状の2枚のL字形鋼片の端部を突き合わせて矩形リング状にして、該矩形リングの内周面が前記角形鋼管柱のスキンプレートに溶接接合されてなり、
    前記L字形鋼片同士の2か所の接合面が前記角形鋼管柱の角部に位置し、前記角形鋼管柱の直交する各スキンプレートの延長面と前記接合面とが成す角度がいずれも25度以上65度以下となるように設定され、かつ前記接合面が隅肉溶接によって接合されて、その溶接部の長さが前記外ダイアフラムの出寸法の10%増し以上となっていることを特徴とする角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造。
  2. 前記角形鋼管柱のスキンプレートと前記外ダイアフラムが部分溶け込み溶接によって溶接接合されており、かつ前記L字形鋼片同士はその表裏面において開先深さが8mm以下の部分溶け込み溶接によって溶接接合されていることを特徴とする請求項1記載の角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造。
  3. 外ダイアフラムの出寸法をld,外ダイアフラムが取付く柱の幅をDcとし、ld≦Dc/2の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造。
  4. 外ダイアフラムの出寸法をld、板厚をtd、降伏強度をσd、外ダイアフラムが取付く梁フランジの幅をBf、板厚をtf、降伏強度をσf、水平ハンチによる拡幅幅をBs、外ダイアフラムが取付く柱の幅をDc、板厚をtc、としたときに下式の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の角形鋼管柱とH形鋼梁の接合構造。
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