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JP2016191274A - 木製部材の接合構造 - Google Patents

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JP2016191274A
JP2016191274A JP2015072744A JP2015072744A JP2016191274A JP 2016191274 A JP2016191274 A JP 2016191274A JP 2015072744 A JP2015072744 A JP 2015072744A JP 2015072744 A JP2015072744 A JP 2015072744A JP 2016191274 A JP2016191274 A JP 2016191274A
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英一郎 佐伯
Eiichiro Saeki
英一郎 佐伯
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Abstract

【課題】本願は、接合金物を使った木製部材の接合部分の破壊を抑制することにより、接合部分の強度を向上可能な木製部材の接合構造を提供することを課題とする。
【解決手段】建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分に用いられる接合構造であって、棒状または板状の木製部材の端部から木製部材の長手方向に向って掘られた孔または溝に挿入された棒状の接合金物と、木製部材の端面が相手材に突き合わされた状態において、木製部材の端面の中心部に形成された孔に一端が嵌り、相手材の孔に他端が嵌るシアキーと、接合金物が挿入されている孔または溝に充填された接着剤と、を備えており、棒状部は、木製部材の端部に位置する箇所に、周囲より細いくびれ部を有しており、接合金物は、シアキーを中心に対称な位置関係で接合部分に複数備わっており、木製部材と相手材とを隙間を空けた状態で接合する。
【選択図】図2

Description

本発明は、木製部材の接合構造に関する。
従来、木造構造物の接合部には、木組みによる接合工法や、プレートとドリフトピン等の複数の接合金物を組み合わせて用いた接合工法が用いられてきた。また、近年では、多数の接合金物部品が必要となる煩雑な従来の接合工法に代えて、木製部材に溝を形成し、異形棒鋼などの棒状部材を埋設して接着剤を充填固化する接合工法が提案されている(例えば、特許文献1−3を参照)。木製部材に異形棒鋼などの棒状部材を埋設すると、接合強度が上がり、また、金物が露出しないため、金属の腐食を回避することができ、さらに金物がヒートブリッジとなって結露を生じる可能性を抑制することもできる。
特許第3370937号公報 特開2004−360458号公報 特開2003−193570号公報
異形棒鋼等の接合金物を木製部材に埋設して木製部材の接合に用いる場合、一般に接合金物の強度が木製部材の強度に勝るため、建築物が地震等で揺れると、木製部材が接合部分で破壊を起こす可能性があった。
そこで、本願は、接合金物を使った木製部材の接合部分の破壊を抑制することにより、接合部分の強度を向上させる木製部材の接合構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では、木製部材の端面の中心部にシアキーを設けるとともに、木製部材の端部に位置する箇所に周囲より細いくびれ部を有した接合金物を、シアキーを中心に対称な位置関係で接合部分に複数設け、更に、木製部材と相手材との間に隙間を空けた状態で木製部材を接合することにした。
詳細には、本発明は、建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分に用いられる接合構造であって、前記構造材同士または構造材と非構造材のうち少なくとも何れかの構造材または非構造材として用いられる棒状または板状の木製部材の端部から前記木製部材の長手方向に向って掘られた孔または溝に挿入された棒状の接合金物と、前記木製部材の端面が相手材に突き合わされた状態において、前記木製部材の端面の中心部に形成された孔に一端が嵌り、前記相手材の孔に他端が嵌るシアキーと、前記接合金物が挿入されている前記孔または溝に充填された接着剤と、を備えており、前記接合金物は、前記木製部材の端部に位置する箇所に、周囲より細いくびれ部を有しており、前記接合金物は、前記シアキーを中心に対称な位置関係で前記接合部分に複数備わっており、前記木製部材と前記相手材とを隙間を空けた状態で接合する、木製部材の接合構造である。
ここで、対称な位置関係とは、建築物が揺れた場合に、シアキーを挟んで配置される各接合金物のくびれ部が交互に伸縮することにより、シアキーを中心とした動きが発生する程度の接合金物の位置関係であればよく、幾何学的に厳密な対称の位置関係であることを
要しない。このような接合構造であれば、シアキーを間に挟んで対称に配置される各接合金物のくびれ部が協働して、各接合金物と木製部材との接着部分に加わる最大荷重を低減し、接合部分全体の破壊を抑制することができる。
なお、前記接合金物には、少なくとも前記孔または溝からの引抜方向へ向かう面が前記接合金物の長手方向に対し垂直に形成された突起または溝を有する粗面部が、前記接合金物の棒状部の外周面に形成されていてもよい。上記の接合構造にこのような接合金物を用いれば、接合金物に軸方向の荷重が作用しても、接着剤に対する接合金物の動きが立設面によって阻まれ、接着剤に対する接合金物の相対的な僅かな動きも抑制される。この結果、接合金物と接着剤の界面における破壊がほとんど生じない。このため、接合金物と接着剤の界面の破壊が抑制され、木製部材の接合部分の強度が向上する。
また、前記粗面部は、前記棒状部の周りに環状に形成された突起または溝を有するものであってもよい。粗面部の突起または溝が棒状部の周りに環状に形成されていれば、接合金物の長手方向に対し垂直に形成される立設面が棒状部の周りに環状に形成されることになるので、接合金物に軸方向の荷重が作用しても、接着剤に対する接合金物の動きを立設面で十分に抑制することができる。
また、前記建築物は、木造の建築構造物であり、前記接合金物は、前記接合部分において突き合わされる木製の柱と梁に各々形成される孔または溝に挿入されていてもよい。互いに突き合わされる木製の柱と梁を上記の接合金物で接合した接合構造であれば、木製の柱と梁が従来よりも強固に接合される。
また、前記建築物は、木造の建築構造物であり、前記接合金物は、前記接合部分において柱を挟んで突き合わされる木製の各梁に各々形成される孔または溝に挿入されていてもよい。柱を挟んで突き合わされる木製の各梁を上記の接合金物で接合した接合構造であれば、木製の梁同士が従来よりも強固に接合される。
上記木製部材の接合構造であれば、接合金物を使った木製部材の接合部分の破壊を抑制することにより、接合部分の強度が向上させることができる。
図1Aは、実施形態に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物の一例を示した斜視図である。 図1Bは、実施形態に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物の正面図である。 図2は、実施形態に係る接合構造の一例である。 図3は、接合構造の分解図である。 図4は、水平力が作用して柱が斜めになった状態における接合構造を示した図である。 図5は、変形例に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物の一例を示した図である。 図6は、変形例に係る接合構造を示した図である。
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
<実施形態>
図1Aは、実施形態に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物の一例を示した斜視図である。また、図1Bは、実施形態に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物の正面図である。実施形態に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物1は、木造構造物の接合部において木材同士の接合に用いることが可能な金物であり、細長い真っ直ぐな円柱状の棒状部2を備えている。また、棒状部2には、棒状部2の長手方向に対して垂直な立設面3aを有する突起または溝を有する粗面部3が、棒状部2の中央部を除く外周面に形成されている。粗面部3が棒状部2の中央部を除く外周面に形成されているため、接合金物1には、外周面に突起および溝の無い平坦な平滑部4が接合金物1の中央部付近に形成されている。また、接合金物1には、木製部材の端部に位置する箇所(図1A,1Bに示す接合金物1の中心部)に、周囲より細いくびれ部6が備わっている。くびれ部6は、図1A,1Bに示すように側面視矩形状の溝が平滑部4の外周面を周回するように形成されていてもよいし、或いは、側面視円弧状の溝が平滑部4の外周面を周回するように形成されていてもよい。接合金物1は、鋳造により製作してもよいし、鉄製の丸棒を切削加工して製作してもよいし、異形棒鋼の節を切削加工することにより製作してもよい。
図2は、実施形態に係る接合構造の一例である。接合構造10は、くびれ部6を設けた接合金物1で建築物の構造材同士を接合する構造であり、木造の建築物の構造材である木製の梁11と柱12とを接合する。接合構造10は、梁11の端面が柱12の側面に突き合わされた状態において、梁11の端面の中心部に形成された孔11pに一端が嵌り、柱12の孔12pに他端が嵌る金属製のシアキー8を備えている。そして、接合構造10に適用される接合金物1は、シアキー8を中心に上下対称な位置関係で梁11と柱12との接合部分に複数備わっており、梁11と柱12とを隙間を空けた状態で接合する。シアキー8は、接合構造10が接合する梁11と柱12との相対的な位置関係を規定するための部品であり、梁11と柱12との接合部分におけるせん断方向の荷重を支える役割を主に担う部品である。よって、シアキー8は、せん断方向の荷重に耐える強度を有していることが好ましく、例えば、円柱状の金属製部材等が好適である。
図3は、接合構造10の分解図である。接合構造10は、梁11の端面に形成された孔11aと柱12の孔12aとに接合金物1が差し込まれ、梁11の端面に形成された孔11pと柱12の孔12pとにシアキー8が差し込まれるようにしながら、梁11の端面を柱12の側面に隙間を空けて突き合わせる。そして、接合金物1が挿入されている孔11aと孔12aに、粗面部3の突起または溝を埋めるように接着剤5を充填する。接着剤5としては、例えば、充填後に収縮せずに固化するエポキシ系樹脂あるいはモルタル樹脂といった建築土木用の接着剤が好適である。接着剤5は、孔11aや孔12aへ通ずる図示しない適宜の孔を通って孔11aや孔12aの中へ充填される。
図4は、水平力が作用して柱12が斜めになった状態における接合構造10を示した図である。建築物が地震で揺れると柱と梁との接合部分に多大な力が加わり、例えば、図4に示すように、柱12が梁11に対して斜めになる場合がある。ここで、仮に、梁11の端面が柱12の側面に密着した状態で接合金物1に接合されている場合、建築物が揺れると、上下の2ヵ所に配された上側の接合金物1と下側の接合金物1に多大な引抜荷重が交互に加わることになる。しかし、接合構造10は、シアキー8を中心に対称な位置関係で梁11と柱12との接合部分に複数備わっており、梁11と柱12とを隙間を空けた状態で接合しているため、図4(A)及び図4(B)に示すような柱12の傾きが地震で生じても、接合部分ではシアキー8を中心とした変形が生じることになる。このため、シアキー8を中心にして上下対称に接合金物1を配した接合構造10は、建築物が揺れると、上側または下側の接合金物1のくびれ部6が圧縮されると、シアキー8を挟んで反対側にある接合金物1のくびれ部6が引っ張られるという挙動を交互に繰り返すことになる。この結果、シアキー8の上側の接合金物1のくびれ部6と、シアキー8の下側の接合金物1のくびれ部6とが協働して、各接合金物1と木製部材(梁11および柱12)との接着部分
に加わる最大荷重を低減し、接合部分全体の破壊を抑制する。
<変形例>
図5は、変形例に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物の一例を示した図である。変形例に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物1’は、実施形態の接合金物1と同様の棒状部2、立設面3aを有する突起または溝を有する粗面部3、平滑部4、くびれ部6が備わっているが、それらの位置関係が実施形態の接合金物1と相違している。すなわち、本変形例に係る接合構造に用いる木製部材の接合金物1’は、棒状部2の両端および中心の3ヵ所に粗面部3を備え、3つの粗面部3のそれぞれの間に平滑部4およびくびれ部6を備えている。
図6は、変形例に係る接合構造を示した図である。本変形例の接合構造20は、例えば、図6に示すように、木製の梁21同士を、柱22を間に挟んだ状態で接合する。本変形例の接合構造20は、各梁21の端面に形成された孔21aと柱22の孔22aとに接合金物1’が差し込まれ、各梁21の端面に形成された孔21pと柱22の孔22pとにシアキー8が差し込まれるようにしながら、梁21の端面を柱22の側面に隙間を空けて突き合わせる。そして、接合金物1’が挿入されている孔21aと孔22aに、粗面部3の突起または溝を埋めるように接着剤5を充填する。
本変形例に係る接合構造20も上記実施形態の接合構造10と同様、シアキー8を中心にして上下対称に配された複数の接合金物1’のうち、上側または下側の接合金物1’のくびれ部6が圧縮されると、シアキー8を挟んで反対側にある接合金物1’のくびれ部6が引っ張られるという挙動を生じる。そして、シアキー8の上側の接合金物1’のくびれ部6と、シアキー8の下側の接合金物1’のくびれ部6とが協働して、各接合金物1’と木製部材(梁11および柱12)との接着部分に加わる最大荷重を低減し、接合部分全体の破壊を抑制する。
なお、上記実施形態や変形例の接合構造10,20においては、長手方向に対して垂直な立設面3aを有する粗面部3を備えた接合金物1,1’を用いていたが、上記実施形態や変形例の接合構造10,20は、このような接合金物を用いたものに限定されるものではない。上記実施形態や変形例の接合構造10,20に用いる接合金物は、上述のくびれ部6に相当するものが設けられていればよく、粗面部3が垂直な立設面を有しないものであってもよい。
なお、想定している接着剤5の引張強度は10N/mm程度であり、このような強度を有するものとしては、例えば、土木建築用の補強材であるアイカ工業株式会社製のジョリシールJB−3(「ジョリシール」は登録商標)を挙げることができる。
10,20・・接合構造
11,21・・梁
11a,12a,21a,22a・・孔
12,22・・柱
1,1’・・接合金物
2・・棒状部
3・・粗面部
3a・・立設面
3b・・傾斜面
4・・平滑部
5・・接着剤
6・・くびれ部
8・・シアキー
ここで、対称な位置関係とは、建築物が揺れた場合に、シアキーを挟んで配置される各接合金物のくびれ部が交互に伸縮することにより、シアキーを中心とした動きが発生する程度の接合金物の位置関係であればよく、幾何学的に厳密な対称の位置関係であることを要しない。このような接合構造であれば、シアキーを間に挟んで対称に配置される各接合金物のくびれ部が塑性化することにより、各接合金物と木製部材との接着部分に加わる最大荷重を低減し、接合部分全体の破壊を抑制することができる。
なお、前記接合金物には、少なくとも前記孔または溝からの引抜方向へ向かう面が前記接合金物の長手方向に対し垂直に形成された突起または溝を有する粗面部が、前記接合金物の棒状部の外周面に形成されていてもよい。上記の接合構造にこのような接合金物を用いれば、接合金物に軸方向の荷重が作用しても、接着剤に対する接合金物の動きが立設面によって阻まれ、接着剤に対する接合金物の相対的な僅かな動きも抑制される。この結果、接合金物と接着剤の界面における破壊がほとんど生じない。このため、接合金物と接着剤の界面の破壊が抑制され、木製部材の接合部分の変形性能が向上する。
上記木製部材の接合構造であれば、接合金物を使った木製部材の接合部分の破壊を抑制することにより、接合部分の変形性能を向上させることができる。

Claims (5)

  1. 建築物の構造材同士または構造材と非構造材の接合部分に用いられる接合構造であって、
    前記構造材同士または構造材と非構造材のうち少なくとも何れかの構造材または非構造材として用いられる棒状または板状の木製部材の端部から前記木製部材の長手方向に向って掘られた孔または溝に挿入された棒状の接合金物と、
    前記木製部材の端面が相手材に突き合わされた状態において、前記木製部材の端面の中心部に形成された孔に一端が嵌り、前記相手材の孔に他端が嵌るシアキーと、
    前記接合金物が挿入されている前記孔または溝に充填された接着剤と、を備えており、
    前記接合金物は、前記木製部材の端部に位置する箇所に、周囲より細いくびれ部を有しており、
    前記接合金物は、前記シアキーを中心に対称な位置関係で前記接合部分に複数備わっており、前記木製部材と前記相手材とを隙間を空けた状態で接合したことを特徴とする、
    木製部材の接合構造。
  2. 前記接合金物には、少なくとも前記孔または溝からの引抜方向へ向かう面が前記接合金物の長手方向に対し垂直に形成された突起または溝を有する粗面部が、前記接合金物の棒状部の外周面に形成されている、
    請求項1に記載の木製部材の接合構造。
  3. 前記粗面部は、前記棒状部の周りに環状に形成された突起または溝を有する、
    請求項2に記載の木製部材の接合構造。
  4. 前記建築物は、木造の建築構造物であり、
    前記接合金物は、前記接合部分において突き合わされる木製の柱と梁に各々形成される孔または溝に挿入されている、
    請求項1から3の何れか一項に記載の木製部材の接合構造。
  5. 前記建築物は、木造の建築構造物であり、
    前記接合金物は、前記接合部分において柱を挟んで突き合わされる木製の各梁に各々形成される孔または溝に挿入されている、
    請求項1から3の何れか一項に記載の木製部材の接合構造。
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