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JP2008075257A - プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法及び接合構造 - Google Patents

プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法及び接合構造 Download PDF

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JP2008075257A JP2006252391A JP2006252391A JP2008075257A JP 2008075257 A JP2008075257 A JP 2008075257A JP 2006252391 A JP2006252391 A JP 2006252391A JP 2006252391 A JP2006252391 A JP 2006252391A JP 2008075257 A JP2008075257 A JP 2008075257A
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Abstract

【課題】PCa梁部材同士を接合するにあたり、PCa梁部材を水平方向に移動させることなく大掛かりな後工事を飛躍的に簡略化させることができ、工期の短縮を実現し、施工性、経済性に優れた、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法及び接合構造を提供することにある。
【解決手段】梁部材1、1の接合端部にそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の空洞部2を設けておき、前記梁部材1、1同士をほぼ当接状態に近づけて対向配置に位置決めし、一致したスリット状の空洞部2内へ、X字形状を形成する鉄筋3a等から成る連結部材3を挿入し、双方の梁部材1、1間にほぼ均等に跨るように位置決めし、しかる後、前記スリット状の空洞部2内に硬化材4を充填してプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士を一体的に接合する。
【選択図】図3

Description

この発明は、プレキャスト鉄筋コンクリート(以下適宜、PCaという。)梁部材同士の接合方法及び接合構造の技術分野に属する。
従来、PCa梁部材同士の接合方法及び接合構造は、図8A、Bに例示したように、対向するPCa梁部材a、aから突出した鉄筋b、b同士を接合してその接合部に後打ちコンクリート打設工事等の後工事(図示略)を行うことが一般的に行われる。ちなみに鉄筋b、b同士の接合(継手)方法には、圧接継手方法、溶接継手方法、機械式継手方法等が用いられ、前記鉄筋b、b同士を接合する作業を確実に行うべく、作業上の観点から、PCa梁部材a、a同士の間隔Lを150cm程度確保して行うのが一般的である(例えば、特許文献1の第1図、特許文献2の図4、及び特許文献3の図3参照)。ちなみに、図8A、Bは、PCa柱部材eの上方に複数の柱主筋cを突き出した構造形式(所謂串刺し工法等)で構築する実施例を示している。図中の符号dは、支保工を示している。
しかしながら、前記従来のPCa梁部材a、a同士の接合方法は、作業上の観点から、PCa梁部材a、a同士の間隔を150cm程度確保する必要があるので、前記鉄筋b、b同士の継手作業終了後は、梁部材a、a同士の間の隙間を埋めるべく、対向するPCa梁部材a、a同士の接合部近傍にコンクリート打設用の型枠を設置しコンクリートを打設して前記鉄筋b、b同士の継手部分とPCa梁部材a、a同士とを一体化させる大掛かりな後工事を行う必要があった。よって、工期が長期化し、不経済に過ぎるという問題があった。
ところで、図9は、PCa梁部材a、a同士の異なる接合方法を示している。この技術は、一方(図示例では左側)のPCa梁部材aに水平方向にスリーブ継手fを埋設し、他方(図示例では右側)のPCa梁部材aに水平方向に鉄筋bを突設させておき、当該他方のPCa梁部材aを水平方向(図示例では左方向)に移動させて当該鉄筋bを前記スリーブ継手fの内部へ挿入して納め、当該接合部分にグラウトを充填してPCa梁部材a、a同士の接合作業を行っている(例えば、特許文献4の図3参照)。
この図9に係る技術によると、PCa梁部材a、a同士の間隔を殆ど空けることなく当該接合部分(隙間)にグラウトを充填する程度の作業でPCa梁部材a、a同士を接合できる。よって、対向するPCa梁部材a、a同士の接合部近傍にコンクリート打設用の型枠を設置しコンクリートを打設する等の大掛かりな後工事は不要となり、大幅に簡略化することができるので、図8A、Bに係る技術と比して、後工事を簡略化させて工期の短縮を図ることができ、経済性に優れているように見える。
特開平3−212537号公報 特開平5−340003号公報 特開平5−86643号公報 特開2004−346587号公報
図9(例えば、特許文献4)に係る技術は、図8A、Bと比して、後工事を簡略化させて工期の短縮を図ることができるとは云うものの、それは、PCa梁部材aの水平方向の動きを許容する、PCa柱部材eの下方に複数の柱主筋cを突き出した構造形式(所謂逆串刺し工法、逆挿し柱等)で実施する故にほかならない。
即ち、図8A、Bに示したように、PCa柱部材eの上方に複数の柱主筋cを突き出した構造形式については、PCa梁部材aの水平方向の動きが拘束されるので、図9に係る技術、すなわちPCa梁部材を水平方向に移動させる技術は一切適用できず、依然として大掛かりな後工事を行う必要があり、工期が長期化し、不経済に過ぎるという問題は解消することができない。また、図9に係る技術は、図中の左側のPCa梁部材aをまず位置決めした後に、右側のPCa梁部材aを位置決めする等、いずれか一方のPCa梁部材aを位置決めしなければ他方のPCa梁部材aを位置決めすることはできず、施工手順に大きな制約を受けるので、工期の長期化の一因ともなっている。
本発明の目的は、PCa柱部材eの下方に複数の柱主筋cを突き出した構造形式(図9参照)は勿論のこと、PCa柱部材eの上方に複数の柱主筋cを突き出した構造形式(図8A、B参照)に特に好適に実施することができ、PCa梁部材a、a同士を接合するにあたり、PCa梁部材aを水平方向に移動させることなく大掛かりな後工事を飛躍的に簡略化させることができ、工期の短縮を実現し、施工性、経済性に優れた、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法及び接合構造を提供することにある。
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法は、前記梁部材の接合端部にそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の空洞部を設けておき、前記梁部材同士をほぼ当接状態に近づけて対向配置に位置決めすること、
一致したスリット状の空洞部内へ、X字形状を形成する鉄筋等から成る連結部材を挿入し、双方の梁部材間にほぼ均等に跨るように位置決めし、しかる後、前記スリット状の空洞部内に硬化材を充填してプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士を一体的に接合することを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造は、前記梁部材の接合端部にはそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の空洞部が設けられていること、
前記梁部材同士がほぼ当接状態に近づけて対向配置に設けられ、一致したスリット状の空洞部内に、X字形状を形成する鉄筋等から成る連結部材が挿入され、双方の梁部材間にほぼ均等に跨るように位置決めされていること、
前記スリット状の空洞部内に硬化材が充填されてプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士が一体的に接合されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造において、前記梁部材の接合端部に設けられるスリット状の空洞部は、鉛直方向に細長い形状で、梁部材の上面を開口して設けられていること、或いは水平方向に細長い形状で、少なくとも梁部材の一側面を開口して設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項2又は3に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造において、前記梁部材の接合端部に設けられるスリット状の空洞部は、所要の間隔でほぼ平行に複数設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項2〜4のいずれか一に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造において、前記梁部材の接合端部には、スリット状の空洞部を直交する方向に貫通孔が設けられ、同貫通孔には棒状部材が挿入されていることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項2〜5のいずれか一に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造において、前記連結部材は、X字形状を形成する鉄筋と棒状鉄筋とから成ること、若しくはX字形状を形成する鉄筋と当該鉄筋を取り囲む形状の矩形状鉄筋とから成ることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項2〜6のいずれか一に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造において、前記硬化材は、グラウト、モルタル、或いはコンクリートであることを特徴とする。
請求項1〜請求項7に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法及び接合構造によれば、PCa柱部材の下方に複数の柱主筋を突き出した構造形式(所謂逆串刺し工法、逆挿し柱、図9参照)は勿論のこと、PCa柱部材の上方に複数の柱主筋を突き出した構造形式(所謂串刺し工法、図8A、B参照)に特に好適に実施することができ、PCa梁部材1、1同士を接合するにあたり、PCa梁部材1を水平方向に移動させることなく、鋼板等の簡易な型枠材の使用、及び少量のグラウト等の硬化材5の充填により、PCa梁部材1、1同士を確実に一体的に接合することができる。よって、大掛かりな後工事を飛躍的に簡略化させることができ、工期の大幅な短縮を実現することができるので、施工性、及び経済性に非常に優れている。
本発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート(PCa)梁部材同士の接合方法及び接合構造は、上述した発明の効果を奏するべく、以下のように実施される。
図1〜図3は、請求項2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁(PCa梁)部材同士の接合構造を示している。このプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士の接合構造は、前記梁部材1の接合端部にはそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の空洞部2が設けられている。また、前記梁部材1、1同士がほぼ当接状態に近づけて対向配置に設けられ、一致したスリット状の空洞部2、2内に、X字形状を形成する鉄筋3a等から成る連結部材3が挿入され、双方の梁部材1、1間にほぼ均等に跨るように位置決めされている。さらに、前記スリット状の空洞部2、2内に硬化材4が充填されてプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士が一体的に接合されている(請求項2記載の発明)。
図1〜図3に係るPCa梁部材1は、所謂逆梁工法に使用される幅寸が小さい梁部材同士1、1の接合構造を示しているがこれに限定されず、一般の柱梁架構に適用する幅寸が大きい(例えば、断面がほぼ正方形状の)PCa梁部材同士の接合構造にも勿論適用可能である。ちなみに、図示例に係る梁部材1の幅寸は180mm程度、梁せいは750mm程度、スリット状の空洞部2の幅寸は60mm程度、奥行きは695mm程度、深さは700mm程度で実施している。また、図中の符号10は、梁筋、符号11は、あばら筋を示している。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
前記梁部材1の接合端部に同端部の当接面を開口して設けられるスリット状の空洞部2は、図2に示したように、鉛直方向に細長い形状で、前記連結部材3を外部から挿入可能とするべく、梁部材1の上面を開口して実施されている(請求項2記載の発明)。
前記硬化材4は、グラウト4で実施しているが、充填部位の形状、大きさ、或いは要求される設計強度に応じてモルタル、樹脂モルタル、エポキシ樹脂、若しくはコンクリート、又はこれらの組み合わせでも実施することができる(請求項7記載の発明)。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
前記連結部材3は、本実施例では、X字形状を形成する鉄筋3aと棒状鉄筋3bとから成る(請求項6記載の発明)。前記鉄筋3aは、ほぼS字形状の横向き配置とし、これを組み合わせることによりX字形状のクロス鉄筋を形成している。ちなみに、本実施例では、計4本の鉄筋3aを2本ずつに分けて、平面方向に見ると(図1A参照)、隣接する配置で組み合わせて、正面方向に見ると(図1B参照)、左右対称な所謂ダブルクロス状に形成して実施している。前記棒状鉄筋3bは、前記鉄筋3aから成るX字形状のクロス鉄筋を上下から挟むような形態で、上下に2本ずつ隣接して設けられている。
なお、前記連結部材3を構成する鉄筋3a、或いは棒状鉄筋3bは、丸鋼鉄筋のほか、たて節鉄筋やねじ節鉄筋等の異形鉄筋を適宜選択して適用している。また、前記鉄筋3a、棒状鉄筋3bの使用本数はともに4本に限定されるものでなく、前記梁部材1やスリット状の空洞部2の大きさ(特に幅寸)、及び要求される設計強度に応じて適宜増減可能である。本実施例に係る前記鉄筋3aと棒状鉄筋3bとを組み合わせた連結部材3の高さは600mm程度で実施されているが、前記スリット状の空洞部2内に十分に収まり、且つ必要な被り厚さを確保可能な高さであれば、特に限定されない。更に、前記連結部材3を構成する鉄筋3a及び棒状鉄筋3bは、外部からスリット状の空洞部2内へ、その形態を確保して挿入し易くするべく、予め適切な部位で結束線(図示省略)により結束(拘束)しておくことが作業上好ましい。
かくして、対向配置に位置決めされた梁部材1、1同士の一致したスリット状の空洞部2内へ外部から連結部材3が挿入され、同連結部材3を構成する下側の棒状鉄筋3bが、前記空洞部2の底面上に設置することにより当該連結部材3が位置決めされた状態で、前記空洞部2内に前記硬化材4が隙間なく充填(充満)されることにより、前記プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士が一体的に接合され、最終的には、梁部材1、1の上面が面一に仕上げ処理されたプレキャスト鉄筋コンクリート梁構造が構築されるのである。
以上説明したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造は、下記する方法により施工される。即ち、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士の接合方法は、PCa梁部材1の接合端部にそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の前記空洞部2を設けておき、前記梁部材1、1同士をほぼ当接状態に近づけて対向配置に位置決めする。
ちなみに、このPCa梁部材1、1の位置決め方法は、PCa柱部材の上方に複数の柱主筋を突き出した構造形式(所謂串刺し工法、図8A、B参照)に適用する場合には、水平方向に移動させて位置決めすることはできないので、双方のPCa梁部材1、1を吊り込むことにより対向配置に位置決めする。双方のPCa梁部材1、1同士の間の隙間はほとんど隙間を空けないで実施できないことはないが、構造設計上、及び吊り込み作業上の観点から2cm程度の隙間を空けて実施することが好ましい。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
次に、一致したスリット状の空洞部2内へ、X字形状に形成した鉄筋3aと棒状鉄筋3bとから成る連結部材3を、上方から、前記空洞部2の両内側面に沿って下向きに挿入し、双方の梁部材1、1間にほぼ均等に跨るように位置決めする(図3参照)。
前記連結部材3を前記空洞部2内へ位置決めする手法として、前記棒状鉄筋3bを前記空洞部2の底面上に載置し、以下順に、鉄筋3a、棒状鉄筋3bを空洞部内へ挿入して位置決めする方法もあるが、上記したように、鉄筋3a及び棒状鉄筋3bを結束線等の拘束部材で予め形態を整えてから一度に挿入して位置決めする方法が作業上好ましい。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
しかる後、前記スリット状の空洞部2内にグラウト等の硬化材4を充填してプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士を一体的に接合するのである(請求項1記載の発明)。
したがって、このプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法、及び同方法により構築した接合構造によれば、PCa柱部材の下方に複数の柱主筋を突き出した構造形式(所謂逆串刺し工法、逆挿し柱、図9参照)は勿論のこと、PCa柱部材の上方に複数の柱主筋を突き出した構造形式(所謂串刺し工法、図8A、B参照)に特に好適に実施することができ、PCa梁部材1、1同士を接合するにあたり、PCa梁部材1を水平方向に移動させることなく、鋼板等の簡易な型枠材の使用、及び少量のグラウト等の硬化材5の充填により、PCa梁部材1、1同士を確実に一体的に接合することができる。よって、大掛かりな後工事を飛躍的に簡略化させることができ、工期の大幅な短縮を実現することができるので、施工性、及び経済性に非常に優れている。
図4と図5は、請求項2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁(PCa梁)部材同士の接合構造の異なる実施例を示している。この実施例2に係る接合構造は、上記実施例1と比して、前記連結部材3を構成する部材、及び梁部材1にほぼ水平な貫通孔が設けられていることが主に相違する。
すなわち、この実施例2に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士の接合構造は、前記梁部材1の接合端部にはそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の空洞部2が設けられている。また、前記梁部材1の接合端部には、スリット状の空洞部2を直交する方向に貫通孔5が設けられている。
前記梁部材1、1同士がほぼ当接状態に近づけて対向配置に設けられ、一致したスリット状の空洞部2、2内に、X字形状を形成する鉄筋3aと当該鉄筋3a…を取り囲む形状の矩形状鉄筋3cから成る連結部材3’が挿入され(請求項6記載の発明)、双方の梁部材1、1間にほぼ均等に跨るように位置決めされている。また、前記貫通孔5内には棒状鉄筋、或いはボルト・ナット等の棒状部材6が挿入されている(請求項5記載の発明)。
前記棒状部材6が挿入された後の貫通孔5内にグラウト等の硬化材4が充填され、前記スリット状の空洞部2、2内にグラウト等の硬化材4が充填されて、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士が一体的に接合されている(以上、請求項2記載の発明)。
前記梁部材1の接合端部に同端部の当接面を開口して設けられるスリット状の空洞部2は、図4に示したように、上記実施例1と同様に、鉛直方向に細長い形状で、前記連結部材3を外部から挿入可能とするべく、梁部材1の上面を開口して実施されている(請求項2記載の発明)。
前記梁部材1の接合端部に設けられる貫通孔5は、同貫通孔5に挿入する棒状部材6が、前記連結部材3を位置決めする(拘束する)のに好適な部位に設けられる。本実施例では、前記空洞部2内に位置決めする連結部材3の直上位置及び直下位置に所要の間隔を開けて平行に複数本挿入して実施している。ちなみに、図示例では、各梁部材1の接合端部の上端部に4本、下端部に4本設けて実施しているが、前記梁部材1やスリット状の空洞部2の大きさ等に応じて適宜増減可能である。
前記連結部材3’を構成するX字形状を形成する鉄筋3aは、上記実施例1と同様に、ほぼS字形状の横向き配置とし、これを組み合わせることによりX字形状の左右対称なクロス鉄筋を形成している。前記矩形状鉄筋3cは、前記クロス鉄筋を取り囲むような形態で、2本を重ね合わせるような形態で実施している。
なお、前記連結部材3を構成する鉄筋3a、或いは矩形状鉄筋3cは、丸鋼鉄筋のほか、たて節鉄筋やねじ節鉄筋等の異形鉄筋を適宜選択して適用している。また、前記鉄筋3a、矩形状鉄筋3cの使用本数はともに2本に限定されるものでなく、前記梁部材1やスリット状の空洞部2の大きさ(特に幅寸)、及び要求される設計強度に応じて適宜増減可能である。本実施例に係る前記鉄筋3aと矩形状鉄筋3cとを組み合わせた連結部材3’の高さは600mm程度で実施されているが、前記スリット状の空洞部2内に十分に収まり、且つ必要な被り厚さを確保可能な高さであれば、特に限定されないことは上記実施例1で説明した通りである。更に、前記連結部材3’を構成する鉄筋3a及び矩形状鉄筋3cは、外部からスリット状の空洞部2内へ、その形態を確保して挿入し易くするべく、予め適切な部位で結束線(図示省略)により結束(拘束)しておくことが作業上好ましいことも上記実施例1と同様である。
かくして、対向配置に位置決めされた梁部材1、1同士について、外部から、前記貫通孔5を利用して棒状部材6が挿入される共に、一致したスリット状の空洞部2内へ連結部材3’が挿入されて位置決めされた状態で、前記空洞部2内、及び前記棒状部材6が挿入された後の貫通孔5内に前記硬化材4が隙間なく充填(充満)されることにより、前記プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士が一体的に接合され、最終的には、梁部材1、1の上面が面一に仕上げ処理されたプレキャスト鉄筋コンクリート梁構造が構築されるのである。
以上説明したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造は、下記する方法により施工される。即ち、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士の接合方法は、PCa梁部材1の接合端部にそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の前記空洞部2を設けておき、前記梁部材1、1同士をほぼ当接状態に近づけて対向配置に位置決めする。一致したスリット状の空洞部2内へ、前記梁部材1に設けた下側の貫通孔5を利用して棒状部材6を直交方向に水平に挿入する。次に、X字形状を形成する鉄筋3aと矩形状鉄筋3cから成る連結部材3’を、上方から、前記空洞部2の両内側面に沿って下向きに挿入して前記棒状部材6、6、…上に載置し、双方の梁部材1、1間にほぼ均等に跨るように位置決めする。つづいて、前記梁部材1に設けた上側の貫通孔5を利用して棒状部材6を直交方向に水平に挿入して、前記連結部材3の上下方向の動きを拘束する。しかる後、前記スリット状の空洞部2、及び前記貫通孔5内にグラウト等の硬化材4を充填してプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士を一体的に接合するのである(請求項1記載の発明)。
したがって、このプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法、及び同方法により構築した接合構造によれば、上記実施例1と同様の作用効果を奏することに加えて、前記連結部材3’を強固に拘束できるので、硬化材4の充填作業を速やかに行い得る利点がある。
図6と図7は、請求項2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁(PCa梁)部材同士の接合構造の異なる実施例を示している。この実施例3に係る接合構造は、上記実施例2と比して、前記梁部材1の形状(梁の幅寸が、800mm程度、梁せいが、400mm程度の扁平梁)、及びスリット状の空洞部2と貫通孔5を設ける部位(方向)が主に相違する。
すなわち、この実施例3に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士の接合構造は、前記梁部材1の接合端部にはそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の空洞部2’が水平方向に細長い形状で、(少なくとも)梁部材1の一側面を開口して設けられている(請求項3記載の発明)。また、前記梁部材1の接合端部には、スリット状の空洞部2’を直交する方向(鉛直方向)に貫通孔5’が設けられている。
前記梁部材1、1同士がほぼ当接状態に近づけて対向配置に設けられ、一致したスリット状の空洞部2’、2’内に、X字形状を形成する鉄筋3aと当該鉄筋3a…を取り囲む形状の矩形状鉄筋3cから成る連結部材3’が挿入され(請求項6記載の発明)、双方の梁部材1、1間にほぼ均等に跨るように位置決めされている。また、前記貫通孔5内には棒状部材6が挿入されている(請求項5記載の発明)。なお、本実施例では、前記棒状部材6を2本使用しているが、勿論1本でも実施可能である。
前記棒状部材6が挿入された後の貫通孔5内にグラウト等の硬化材4が充填され、前記スリット状の空洞部2’、2’内にグラウト等の硬化材4が充填されて、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士が一体的に接合されている(以上、請求項2記載の発明)。
また、この実施例3に係るスリット状の空洞部2’は、各梁部材1に鉛直方向に所要の間隔でほぼ平行に2箇所設けて実施されているが、当該空洞部2’を設ける数は、梁せいに応じて適宜増減可能である。また、前記スリット状の空洞部2’は、図示例のように、梁部材1の一側面を開口して実施する場合に限らず、梁部材1の側面を水平方向に貫通してその両側面を開口する形態で実施してもよい。
前記梁部材1の接合端部に設けられる貫通孔5を設ける部位、及び個数、前記連結部材3’の構成部材に関する説明は、上記実施例2と同様であるので割愛する。
かくして、対向配置に位置決めされた梁部材1、1同士について、外部から、前記貫通孔5を利用して棒状部材6が挿入される共に、一致したスリット状の空洞部2’内へ連結部材3’が挿入されて位置決めされた状態で、前記空洞部2’内、及び前記棒状部材6が挿入された後の貫通孔5内に前記硬化材4が隙間なく充填(充満)されることにより、前記プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、1同士が一体的に接合され、最終的には、梁部材1、1の上面が面一に仕上げ処理されたプレキャスト鉄筋コンクリート梁構造が構築されるのである。
したがって、このプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法、及び同方法により構築した接合構造によれば、上記実施例2と同様の作用効果を奏するのである。ちなみに、この実施例3に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の接合方法は、上記実施例2をほぼ同様であるので、その説明を割愛する。
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、本実施例では、前記連結部材3、3’の構成については、図示例に限定されず、様々なバリエーションで実施できる。特に、X字形状を形成する鉄筋3aは、図示例のように、ほぼS字形状の横向き配置を組み合わせた構成に限定されず、X字形状の交差する部位に鋼板を配置し、この鋼板に複数本(例えば、2本又は4本)の鉄筋を溶接してX字形状に形成して実施する等、様々なバリエーション実施可能である。その他、本実施例のように、各梁部材1に設けるスリット状の空洞部2の寸法はともに一致させること、前記連結部材3、3’は、正面方向、及び平面方向から見て、ほぼ左右対称配置になるように実施することが良好な構造設計を実現する上で好ましい。
Aは、実施例1に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した平面図であり、Bは、同正面図であり、Cは、同側断面図である。 実施例1に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した分解斜視図である。 実施例1に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した斜視図である。 実施例2に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した分解斜視図である。 実施例2に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した斜視図である。 実施例3に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した分解斜視図である。 実施例3に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した斜視図である。 A、Bは、従来技術に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した正面図である。 従来技術に係るプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造の枢要部を示した正面図である。
符号の説明
1 梁部材
2、2’ スリット状の開口部
3、3’ 連結部材
3a 鉄筋
3b 棒状鉄筋
3c 矩形状鉄筋
4 硬化材
5 貫通孔
6 棒状部材

Claims (7)

  1. プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法において、
    前記梁部材の接合端部にそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の空洞部を設けておき、前記梁部材同士をほぼ当接状態に近づけて対向配置に位置決めすること、
    一致したスリット状の空洞部内へ、X字形状を形成する鉄筋等から成る連結部材を挿入し、双方の梁部材間にほぼ均等に跨るように位置決めし、しかる後、前記スリット状の空洞部内に硬化材を充填してプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士を一体的に接合することを特徴とする、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合方法。
  2. プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造において、
    前記梁部材の接合端部にはそれぞれ、ほぼ当接状態に近づけると一致するスリット状の空洞部が設けられていること、
    前記梁部材同士がほぼ当接状態に近づけて対向配置に設けられ、一致したスリット状の空洞部内に、X字形状を形成する鉄筋等から成る連結部材が挿入され、双方の梁部材間にほぼ均等に跨るように位置決めされていること、
    前記スリット状の空洞部内に硬化材が充填されてプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士が一体的に接合されていることを特徴とする、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造。
  3. 前記梁部材の接合端部に設けられるスリット状の空洞部は、鉛直方向に細長い形状で、梁部材の上面を開口して設けられていること、或いは水平方向に細長い形状で、少なくとも梁部材の一側面を開口して設けられていることを特徴とする、請求項2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造。
  4. 前記梁部材の接合端部に設けられるスリット状の空洞部は、所要の間隔でほぼ平行に複数設けられていることを特徴とする、請求項2又は3に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造。
  5. 前記梁部材の接合端部には、スリット状の空洞部を直交する方向に貫通孔が設けられ、同貫通孔には棒状部材が挿入されていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造。
  6. 前記連結部材は、X字形状を形成する鉄筋と棒状鉄筋とから成ること、若しくはX字形状を形成する鉄筋と当該鉄筋を取り囲む形状の矩形状鉄筋とから成ることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造。
  7. 前記硬化材は、グラウト、モルタル、樹脂モルタル、エポキシ樹脂、若しくはコンクリート、或いはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材同士の接合構造。
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