JP2016069561A - 熱可塑性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂の製造方法は、1つ以上の単量体を単独重合又は共重合して熱可塑性樹脂を製造する方法であって、少なくとも一部の単量体と重合溶媒とを反応釜に仕込み、反応釜の周囲に設けた温度調整用のジャケットの温度Toutを(重合溶媒の沸点bp+30)℃以下の範囲に維持しつつ、反応釜の内温Tinを(重合溶媒の沸点bp−10)℃に到達するまで昇温し、次いで任意のジャケット温度Toutで反応釜の内温Tinをさらに上昇させて、重合開始剤の存在下で、全ての単量体を重合反応させる。
【選択図】なし
Description
しかし、この方法では、濾過に用いるフィルタユニットが経時的に徐々に目詰まりするため、熱可塑性樹脂を工業的に連続生産する場合には、一定時間ごとにフィルタを交換しなければならず、生産効率を低下させる原因となっていた。
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法は、1つ以上の単量体を単独重合又は共重合して熱可塑性樹脂を製造する方法であり、この単独重合又は共重合(以下、単独重合および共重合を纏めて「重合」と称する)の際に、初期に反応釜に仕込んだ単量体および重合溶媒の加熱の仕方を所定の範囲に制御する。具体的には、反応釜の周囲に設けた温度調整用のジャケットの温度Toutを(重合溶媒の沸点bp+30)℃以下の範囲に維持しつつ、反応釜の内温Tinを(重合溶媒の沸点bp−10)℃に到達するまで昇温する。ジャケットの温度をこのように緩やかに昇温するよう制御すると、重合時のゲル化物の生成が抑えられ、その結果、後述するフィルタ濾過の際の連続濾過時間をより長く延ばすことができ、異物数の少ない熱可塑性樹脂を良好な生産性で工業的に連続生産することが可能になる。
1.1.1.加熱制御
本発明の製造方法では、反応釜の周囲に設けた温度調整用のジャケットの温度Toutを(重合溶媒の沸点bp+30)℃以下の範囲に維持しつつ、反応釜の内温Tinを(重合溶媒の沸点bp−10)℃に到達するまで昇温する。ジャケットの温度Toutは、好ましくは(重合溶媒の沸点bp+25)℃以下の範囲、より好ましくは(重合溶媒の沸点bp+20)℃以下の範囲に維持するのがよい。一方、ジャケットの温度Toutがあまりに低すぎると、反応釜の内温Tinが(重合溶媒の沸点bp−10)℃に到達するまでに要する時間が長くなり、重合工程の生産性が低くなり過ぎるので、ジャケットの温度Toutの下限は、(重合溶媒の沸点bp−25)℃とするのが好ましく、より好ましくは(重合溶媒の沸点bp−20)℃である。
本発明における熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系樹脂;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂などのハロゲン含有樹脂;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド類;セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステル系樹脂;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;マレイミド系樹脂;等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、マレイミド系樹脂などのビニルカルボン酸誘導体の重合体が、透明性に優れ光学材料として適している点、そしてそれ故ゲル化物を生産効率よく除去する必要性が高い点で、本発明に適している。以下、(メタ)アクリル系樹脂、マレイミド系樹脂を構成する単量体について詳述する。
さらに詳しくは、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報、特開2007−63541号公報に記載の方法により製造できる。
本発明において、上述したような熱可塑性樹脂を構成する単量体は、i)全部を初期(すなわち、前記加熱制御の下、反応釜の内温を昇温する前)に反応釜に仕込んでもよいし、ii)一部を初期に反応釜に仕込み、残部は前記加熱制御の下、反応釜の内温を昇温し始めた後で添加してもよい。ii)の場合、残部の単量体は、反応釜の内温Tinが(重合溶媒の沸点bp−10)℃に到達する前後、いずれで添加してもよいが、反応釜の内温Tinが(重合溶媒の沸点bp−10)℃に到達した後に添加することが好ましく、重合溶媒がリフラックスした後に添加することがより好ましい。さらにii)の場合、残部の単量体は、重合開始剤の添加と同時か、あるいは重合開始剤の添加よりも前に添加しておくことが望ましい。なお、ここで言う「一部(の単量体)」とは、種類が異なる単量体を複数用いる中での一部の種類を意味する場合と、種類にかかわらず全使用量のうちの一部を意味する場合の両方を包含する。
本発明の製造方法で用いることのできる重合溶媒は、単量体の重合反応に影響しない非重合性の溶媒であればよく、例えば、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、イソブチルアセテート、アミルアセテートなどのエステル系溶媒; ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、トルエン、メチルイソブチルケトン、イソブチルアルコール、メチルエチルケトンからなる群れより選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの重合溶媒は、重合反応に適しているとともに、重合反応により得られた熱可塑性樹脂溶液から脱揮させ易いという利点がある。重合溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
重合反応は、重合開始剤の存在下で行われる。重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の種類や量、反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
重合工程における重合温度、重合時間は、使用する単量体および重合溶媒の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が70〜140℃の範囲内、重合時間が0.5〜20時間の範囲内であり、より好ましくは、重合温度が80〜135℃の範囲内、重合時間が1〜10時間の範囲内である。重合は、重合溶媒がリフラックスした状態で行うのが好ましい。
熱可塑性樹脂として主鎖にラクトン環を有する(メタ)アクリル系樹脂を得る場合、上記重合反応に引き続き、環化縮合反応を行うことができる。重合体へラクトン環構造を導入するための環化縮合反応は、加熱により、重合体の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基またはカルボキシル基とが環化縮合してラクトン環構造を生じる反応であり、その環化縮合によってアルコールが副生する。
重合工程においては、必要に応じて、公知の各種添加剤を用いることができる。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;等が挙げられる。これら添加剤は1種のみを用いてよいし2種以上であってもよい。
なお、前記添加剤は、重合工程の後の任意の工程で添加してもよい。
重合反応(環化縮合反応を含む)において使用する原料(単量体、重合溶媒、重合開始剤、触媒、その他添加物など)は、可能な限り使用前に濾過処理を施しておくことが、異物を低減する上で好ましい。勿論、このような原料由来の異物は、重合後のフィルタ濾過によっても除去できるが、重合反応に供する前の低粘度の段階で行う濾過処理の方が容易であり、また重合反応前に可能な限り異物数を減らしておくことにより、重合後のフィルタ濾過の負荷を低減し、連続濾過時間を延ばすことができる。
本発明の製造方法においては、重合後に得られた樹脂溶液をフィルタ濾過することが好ましい。本発明の製造方法によれば、重合後に得られた樹脂溶液中のゲル化物の生成量が少なく抑えられているので、かかるフィルタ濾過では、長時間の連続濾過が可能であり、高い生産性で異物量の少ない熱可塑性樹脂が得られる。フィルタ濾過工程は、重合工程(環化縮合反応を含む)に引き続いて連続的に実施することができる。なお本発明においては、樹脂溶液の濾過を「フィルタ濾過」、後述する溶融樹脂の濾過を「ポリマーフィルタ濾過」と称する。
本発明の製造方法においては、目的とする熱可塑性樹脂を、溶液として(すなわち樹脂溶液として)得ることもできるが、必要に応じて、溶媒を除去する脱揮工程を行い、所定の形状に成形された固体(例えばペレット、フィルムなど)として得ることもできる。
脱揮の際の減圧度は、除去しようとする溶媒量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、好ましくは5hPa〜1000hPa、より好ましくは10hPa〜800hPa、さらに好ましくは13hPa〜500hPaである。
脱揮の際の加熱温度は、熱可塑性樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、好ましくは50〜400℃、より好ましくは100〜300℃である。
ポリマーフィルタ濾過の際の圧力損失は、1〜15MPaの範囲内であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、110℃以上であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂は、耐熱性が高く、光学材料等として好適に用いることができる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは115〜160℃、より好ましくは120〜150℃である。ガラス転移温度は、例えば、熱可塑性樹脂を構成する単量体の種類や量によって調整することができる。なお熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、例えば実施例で後述する方法で測定することができる。
本発明の製造方法で得られた熱可塑性樹脂は、光学的欠点となりうる異物数が少ないので、得られた熱可塑性樹脂は光学材料(光学用熱可塑性樹脂組成物)として好適なものとなる。
以下の実施例では、特に断りのない限り「質量部」を単に「部」と、「質量%」を単に「%」と記す。
実施例、比較例で得られた熱可塑性樹脂は下記の方法で分析、評価した。
樹脂溶液の粘度は、B型粘度計(東機産業社製)、ローターNo.6を用いて、ローターを樹脂溶液中に浸し、10rpmの回転数で測定した。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、JIS−K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク社製「DSC−8230」)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、得られたDSC曲線から、始点法により求めた。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
各サンプルの異物数は、得られたサンプル10gを100mLのクロロホルムに溶解させた後、パーティクルカウンタ(パマス社製、型式:SVSS−C、センサー仕様:HCB−LD−50/50)を用いて、長径が2μm以上5μm未満のものを異物として、その数を測定した。なお、異物数は、樹脂1g当りの数に換算した値で示した。
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管とともに、その周囲に温度調整用のジャケット(加熱媒体:蒸気)を備えた反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)40部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)10部、および重合溶媒としてトルエン(bp:110℃)50部を仕込んだ。次に、反応釜に窒素ガスを導入しながら、ジャケット温度Toutを90℃以上、108℃以下の温度域に140分以上維持しつつ反応釜の内温Tinを100℃まで昇温させ、100℃に到達後は、ジャケット温度Toutを任意の温度に上昇させて、反応釜の内温Tinを105℃まで昇温させた。この際、反応釜の内温が100℃に到達するまでに要した時間は150分であった。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製「ルペロックス(登録商標)570」)0.03部を添加した。これと同時に、上記ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.06部を2時間かけて滴下しながら約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させた。滴下終了後、反応釜を4時間加温し続けて、熟成を行った。次いで、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒としてリン酸ステアリル(堺化学工業社製「Phoslex A−18」)0.05部を添加し、約90℃〜110℃の還流下で2時間、ラクトン環構造を形成する環化縮合反応を進行させて、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂の溶液(樹脂溶液A−1)を得た。この環化縮合反応で得られた樹脂溶液A−1は、反応釜からバッファータンクへ移動させ、バッファータンク内で、続くフィルタ濾過の温度である85℃に保持した。
樹脂溶液A−1の粘度は、85℃において25Pa・秒であり、フィルタ濾過の開始から中止までの時間(連続濾過時間)は653時間であった。また連続濾過時間が480時間となった時点でのフィルタ濾過後の樹脂溶液の異物量は1715個/gであった。
実施例1と同様にして単量体および重合溶媒を仕込んだ後、ジャケット温度Toutを100℃以上、120℃以下の温度域に95分以上維持しつつ反応釜の内温Tinを100℃まで昇温させたこと(この際、反応釜の内温が100℃に到達するまでに要した時間は約110分であった)以外は、実施例1と同様にして、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂の溶液(樹脂溶液A−2)を得、これを実施例1と同様にしてフィルタ濾過した。
樹脂溶液A−2の粘度は、85℃において25Pa・秒であり、フィルタ濾過の開始から中止までの時間(連続濾過時間)は607時間であった。また連続濾過時間が480時間となった時点でのフィルタ濾過後の樹脂溶液の異物量は3180個/gであった。
またフィルタ濾過後の樹脂溶液A−1に代えて、フィルタ濾過後の樹脂溶液A−2を用いたこと以外、実施例1と同様にして、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物(B−2)を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物のTgは125.1℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管とともに、その周囲に温度調整用のジャケット(加熱媒体:蒸気)を備えた反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)230部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)33部、重合溶媒としてトルエン(bp:110℃)250部、酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブ(登録商標)2112」)0.15部、およびn−ドデシルメルカプタン0.2部を仕込んだ。次に、反応釜に窒素ガスを導入しながら、ジャケット温度Toutを100℃以上、135℃以下の温度域に50分以上維持しつつ反応釜の内温Tinを100℃まで昇温させ、100℃に到達後は、ジャケット温度Toutを任意の温度に上昇させて、反応釜の内温Tinを105℃まで昇温させた。この際、反応釜の内温が100℃に到達するまでに要した時間は約80分であった。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製「ルペロックス(登録商標)570」)0.28部を添加した。これと同時に、上記ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.56部とスチレン12部をそれぞれ2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させた。滴下終了後、反応釜を4時間加温し続けて、熟成を行った。次いで、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒としてリン酸ステアリル(堺化学工業社製「Phoslex A−18」)0.2部を添加し、約90〜110℃の還流下で2時間、ラクトン環構造を形成する環化縮合反応を進行させて、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂の溶液(樹脂溶液A−3)を得た。この環化縮合反応で得られた樹脂溶液A−3は、反応釜からバッファータンクへ移動させ、バッファータンク内で、続くフィルタ濾過の温度である95℃に保持した。
樹脂溶液A−3の粘度は、95℃において28Pa・秒(85℃においては49Pa・秒)であり、フィルタ濾過の開始から中止までの時間(連続濾過時間)は614時間以上であった。また連続濾過時間が480時間となった時点でのフィルタ濾過後の樹脂溶液の異物量は3870個/gであった。
またフィルタ濾過後の樹脂溶液A−1に代えて、フィルタ濾過後の樹脂溶液A−3を用い、脱揮の際の処理速度を20.17部/時(樹脂量換算)としたこと以外、実施例1と同様にして、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物(B−3)を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物のTgは121.5℃であった。
実施例1と同様にして単量体および重合溶媒を仕込んだ後、ジャケット温度Toutを100℃以上、150℃以下の温度域に25分以上維持しつつ反応釜の内温Tinを100℃まで昇温させたこと(この際、反応釜の内温が100℃に到達するまでに要した時間は約40分であった)以外は、実施例1と同様にして、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂の溶液(樹脂溶液A−4)を得、これを実施例1と同様にしてフィルタ濾過した。
樹脂溶液A−4の粘度は、85℃において25Pa・秒であり、フィルタ濾過の開始から中止までの時間(連続濾過時間)は528時間であった。また連続濾過時間が480時間となった時点でのフィルタ濾過後の樹脂溶液の異物量は8749個/gであった。
またフィルタ濾過後の樹脂溶液A−1に代えて、フィルタ濾過後の樹脂溶液A−4を用いたこと以外、実施例1と同様にして、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物(B−4)を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物のTgは125.1℃であった。
Claims (9)
- 1つ以上の単量体を単独重合又は共重合して熱可塑性樹脂を製造する方法であって、
少なくとも一部の単量体と重合溶媒とを反応釜に仕込み、
反応釜の周囲に設けた温度調整用のジャケットの温度Toutを(重合溶媒の沸点bp+30)℃以下の範囲に維持しつつ、反応釜の内温Tinを(重合溶媒の沸点bp−10)℃に到達するまで昇温し、
次いで任意のジャケット温度Toutで反応釜の内温Tinをさらに上昇させて、重合開始剤の存在下で、全ての単量体を重合反応させる熱可塑性樹脂の製造方法。 - 反応釜の内温が重合溶媒の沸点bp−10℃以上に到達した後に重合開始剤を反応釜に添加して重合する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
- 重合溶媒と共に反応釜に仕込まれる前記少なくとも一部の単量体が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、イミド基、エポキシ基、アミド基からなる群より選ばれる1種以上の極性官能基を有する単量体である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂が、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
- 前記主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が、主鎖にラクトン環構造を有する樹脂である、請求項4に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
- 反応釜の内温Tinが(重合溶媒の沸点bp−10)℃に到達するまでのジャケットの温度Toutが、140℃以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
- 前記重合溶媒が、トルエン、メチルイソブチルケトン、イソブチルアルコール、メチルエチルケトンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
- 熱可塑性樹脂のガラス転移温度が110℃以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
- 重合後に得られた樹脂溶液をフィルタ濾過する、請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
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