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JP2013071525A - 自動二輪車 - Google Patents

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JP2013071525A JP2011210807A JP2011210807A JP2013071525A JP 2013071525 A JP2013071525 A JP 2013071525A JP 2011210807 A JP2011210807 A JP 2011210807A JP 2011210807 A JP2011210807 A JP 2011210807A JP 2013071525 A JP2013071525 A JP 2013071525A
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Abstract

【課題】車幅を短くした静止用機械式キャリパを備えた自動二輪車を提供する。
【解決手段】
車体フレーム2と、車体フレーム2に対して揺動する後輪9と、車体フレーム2の側方に取り付けられた排気消音器39と、排気消音器39側の後輪9に取り付けられたブレーキディスク52と、ブレーキディスク52に配置されるサービスキャリパ53と、サービスキャリパ53と別にブレーキディスク52に配置される静止用機械式キャリパ54とを備え、後輪9が揺動する全領域において、側方視で、静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53が、排気消音器39の軸線方向の異なる位置における各横断面内で後輪9に最も近い部位の各横断面に渡る軌跡より下方に位置する自動二輪車1。
【選択図】図6

Description

本発明は、自動二輪車に関し、特にブレーキ装置に関する。
従来、無段階変速機構を有する自動二輪車には、停止時にブレーキレバーから手を離しても、後輪が回転して自動二輪車が旋回するのを防止するブレーキ装置が備えられているものがある。このブレーキ装置は、走行中に使用する通常のブレーキ装置とは別系統のブレーキ装置である。静止用機械式ブレーキ装置は、ハンドル付近に配置されたレバーを引くことで、ワイヤを介して静止用機械式キャリパが後輪のブレーキディスクを締め付けてブレーキディスクの回転を防止する。特許文献1には、スイングアームに固定された静止用機械式キャリパとサービスキャリパとを備える自動二輪車が記載されている。
(1)特許文献1の技術
特許文献1に記載の自動二輪車は、スイングアームに固定された静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパがブレーキディスクに制動をかけることが記載されている。
特許第3848525号
特許文献1に記載の自動二輪車では、後輪周りに、ブレーキディスクに一体的に配置されるサービスキャリパまたは静止用機械式キャリパと、排気消音器とが配置され、自動二輪車の車幅が幅広になり、バンク角度を制限している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、静止用機械式キャリパを備えていても車幅を低減する自動二輪車を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る自動二輪車は、車体フレームと、前記車体フレームに対して揺動する後輪と、前記車体フレームの側方に配置された排気消音器と、前記排気消音器側の前記後輪に取り付けられたブレーキディスクと、前記ブレーキディスクに配置され、走行中における制動力を発生させるためのサービスキャリパと、前記サービスキャリパと別に前記ブレーキディスクに配置される静止用機械式キャリパとを備え、前記後輪が揺動する全領域において、側方視で、前記静止用機械式キャリパおよび前記サービスキャリパが、前記排気消音器の軸線方向の異なる位置における各横断面内で前記後輪に最も近い部位の前記各横断面に渡る軌跡より下方に位置する自動二輪車である。
本発明によれば、車体フレームの側方に排気消音器が取り付けられ、これと同じ側にブレーキディスク、サービスキャリパおよび静止用機械式キャリパが取り付けられる。サービスキャリパおよび静止用機械式キャリパを別体としてブレーキディスクに取り付けることで、それぞれの構造が簡易化され、メンテナンスおよび部品交換が容易になる。また、静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパが、後輪が揺動する全領域において、側方視で、排気消音器の軸線方向の異なる位置における各横断面内で後輪に最も近い部位の各横断面に渡る軌跡より下方に位置するので、車幅方向において各キャリパと排気消音器の各横断面における最も後輪側に近い部分とが重なることがない。これより、排気消音器を後輪よりに配置することができ、自動二輪車の幅方向寸法を小さくすることができる。
また、前記後輪を回転可能に軸支する後輪車軸を備え、前記静止用機械式キャリパおよび前記サービスキャリパの一方が前記後輪車軸より前側下方に配置され、他方が前記後輪車軸より後側上方に配置されてもよい。
この構成によれば、静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパの一方が後輪車軸より前側下方に配置され、他方が後輪車軸より後側上方に配置されることで、静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパが後輪車軸を挟んで対向して配置される。これより、静止用機械式キャリパとサービスキャリパが間隔を置いて配置されるので、後輪車軸より後側下方にブレーキディスクの露出面が形成され、ブレーキディスクを効率良く冷却することができる。
また、前記車体フレームに対して揺動可能に支持されるスイングアームを備え、前記後輪は前記スイングアームを介して支持されてもよい。車体フレームに対して揺動可能に支持されるスイングアームを介して後輪が支持されるので、後輪は静止用機械式キャリパ、サービスキャリパおよびスイングアームと共に揺動する。
また、前記スイングアームに接続され、前記後輪を回転可能に軸支する後輪車軸を備え、前記静止用機械式キャリパおよび前記サービスキャリパの一方が前記後輪車軸より前側で前記スイングアームより下方に配置され、他方が後輪車軸より後側でスイングアームより上方に配置されてもよい。
この構成によれば、静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパの一方が後輪車軸より前側でスイングアームより下方に配置され、他方が後輪車軸より後側でスイングアームより上方に配置されることで、静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパが後輪車軸を挟んで対向して配置される。これより、静止用機械式キャリパとサービスキャリパが間隔を置いて配置されるので、後輪車軸より後ろ側下方にブレーキディスクの露出面が形成され、ブレーキディスクを効率良く冷却することができる。また、静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパがスイングアームよりも上方または下方に配置されるので、車両側面視で静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパとスイングアームとが重ならないので、自動二輪車の幅方向寸法を小さくすることができる。
また、上下方向で、前記サービスキャリパが前記静止用機械式キャリパより下側に配置されてもよい。静止用機械式キャリパより重いサービスキャリパを静止用機械式キャリパより前側下方に配置することで、低重心化を図ることができる。また、制動熱により加熱されるサービスキャリパが、走行時に風の流れが強いスイングアーム下方に配置されることで、冷却性も向上する。また、メンテナンス頻度の高い静止用機械式キャリパをサービスキャリパより後側上方に配置することで、視認性が良くなりメンテナンス性の向上につながる。
また、前記排気消音器は後ろ上がりに車体フレームに取り付けられていてもよい。排気消音器が後ろ上がりに車体フレームに取り付けられていることで、排気消音器とブレーキディスクとが車両側面視で重なる領域を低減することができ、静止用機械式キャリパとサービスキャリパの露出度を増すことができる。また、排気消音器と静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパと間隔を空けて配置することができるので、排気消音器から受ける輻射熱を低減し、各キャリパの冷却効果を向上することができる。
また、前記静止用機械式キャリパおよび前記サービスキャリパの反対側に前記後輪の駆動機構を備えてもよい。後輪の駆動機構を静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパの反対側に配置される。すなわち、後輪の片側に駆動機構が配置され、もう片側に排気消音器、ブレーキディスク、静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパが配置される。これより、後輪周辺部における左右の車幅の偏りを低減し、重量の左右バランスの差を低減することができる。
また、後輪の揺動を吸収する後輪懸架装置を備え、前記後輪懸架装置の最圧縮状態において、前記静止用機械式キャリパまたは前記サービスキャリパの少なくとも一方が車両側方視において前記排気消音器と重なってもよい。
この構成によれば、後輪懸架装置の最圧縮状態において、静止用機械式キャリパまたはサービスキャリパの少なくとも一方が車両側方視において前記排気消音器と重なるものの、各キャリパと排気消音器の最も幅広な部分とが重なることがないので、自動二輪車の幅方向寸法を小さくすることができる。また、後輪懸架装置の最圧縮状態において、静止用機械式キャリパまたはサービスキャリパの少なくとも一方が車両側方視において排気消音器と重なるのであるから、後輪懸架装置が最圧縮状態から圧縮が弱まるにつれて、静止用機械式キャリパまたはサービスキャリパの少なくとも一方と排気消音器との重なり領域が低減するので、静止用機械式キャリパ、サービスキャリパおよびブレーキディスクを露出させることができ適切に冷却することができる。
また、前記後輪前方に1個の前記後輪懸架装置を備えてもよい。1個の後輪懸架装置を後輪前方に備えるので、車両側面視で後輪懸架装置と静止用機械式キャリパまたはサービスキャリパとが重ならないので、自動二輪車の幅方向寸法をより小さくすることができる。また、前記サービスキャリパおよび前記静止用機械式キャリパを支持するキャリパブラケットを備え、前記キャリパブラケットは、前記サービスキャリパを支持する2本のアームと、前記2本のアームのいずれか一方と対向して延在し、前記静止用機械式キャリパを支持する1本のアームとを有してもよい。サービスキャリパを2本のアームで支持しているので、回転するブレーキディスクを制動する際、サービスキャリパの振動を低減することができる。また、静止用機械式キャリパは、静止しているブレーキディスクを挟持するので、静止用機械式キャリパが振動することが少なく、1本のアームで静止用機械式キャリパを支持することができる。また、サービスキャリパを支持する2本のアームのいずれか一方と静止用機械式キャリパを支持するアームとが対向して延在することで、サービスキャリパおよび静止用機械式キャリパを対向して配置することができ、ブレーキディスクの露出領域を確保することができる。
静止用機械式キャリパおよびサービスキャリパが、後輪が揺動する全領域において、側方視で、排気消音器の軸線方向の異なる位置における各横断面内で後輪に最も近い部位の各横断面に渡る軌跡より下方に位置するので、車幅方向において各キャリパと排気消音器の各横断面における最も後輪側に近い部分とが重なることがない。これより、排気消音器を後輪よりに配置することができ、自動二輪車の幅方向寸法を小さくすることができる。
実施例に係る自動二輪車の概略構成を示す左側面図である。 実施例に係る自動二輪車の概略構成を示す右側面図である。 実施例に係る後輪ブレーキ装置の概略図である。 実施例に係る後輪ブレーキ装置の縦断面図である。 実施例に係るスイングアームおよびキャリパブラケットの内側平面図である。 実施例に係る自動二輪車の後輪周辺の拡大図である。 実施例に係る自動二輪車の後輪周辺の拡大図である。 図7における線VIIIからみた図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
なお、以下の説明で、前後および左右とは自動二輪車に乗車した運転者から見た場合を基準としている。
1.自動二輪車の概略構成
図1および図2を参照する。図1は、実施例に係る自動二輪車1の概略構成を示す左側面図であり、図2は実施例に係る自動二輪車の車体カバー内の概略構成を示す右側面図である。自動二輪車1はスクータ型車両であり、前端部から下方に円弧状の形状を有するダイヤモンドフレーム型の車体フレーム2を備える。車体フレーム2は、これに限らず、アンダーボーン型でもよい。車体フレーム2の前端上部にはヘッドパイプ3が設けられている。ヘッドパイプ3にはフロントフォーク4が回転可能に支持されている。フロントフォーク4の上端部にはハンドル5が連結されており、ハンドル5の操作によってフロントフォーク4が回転する。フロントフォーク4の下端部には前輪6が回転可能に取り付けられている。
車体フレーム2にはブラケット2aを介してエンジンユニット7が取り付けられている。車体フレーム2にエンジンユニット7を固定することで、エンジンユニット7がフレームの一部として機能する。これより、フレームパイプを削減することができるので車体の小型化を図ることができると共に、軽量化を図ることができる。また、エンジンユニット7および後輪9の上方には車体フレーム2の一部としてシートフレーム2bが後方へ延在している。
エンジンユニット7の後部にはスイングアーム8が上下揺動可能に接続されている。スイングアーム8はエンジンユニット7に連結されているが、車体フレーム2に直接連結されていない。すなわち、スイングアーム8はエンジンユニット7を介して車体フレーム2に連結されている。スイングアーム8の後部には後輪9が回転可能に軸支されている。車体フレーム2の後部と後輪9との間には、スイングアーム8の揺動を吸収するリヤサスペンション10が設けられている。リヤサスペンション10は、符号11でスイングアーム8と連結されており、スイングアーム8の揺動を吸収する。リヤサスペンション10は、本願発明における後輪懸架装置に相当する。
エンジンユニット7の後部の下部にブラケット13を介してメインスタンド14が回動可能に接続されている。エンジンユニット7の上方には燃料タンク16が設けられている。燃料タンク16の上方にはライダーが着座するシート17が設けられている。ハンドル5とシート17との間に、ライダーの足を載せる低床な足載せ台18が設けられている。足載せ台18はシート17の側方から前方に左右それぞれに延びている。また、車体フレーム2は各部に分割された車体カバー20により覆われている。特に、左右の足載せ台18の間でシート17の前方に足載せ台18から上方に突出したカバー20aが配置されている。カバー20aの下方には、エンジンユニット7のエンジン31が配置され、特にエンジン31のシリンダブロック37が配置されている。シリンダブロック37はクランクケース36の前方に位置する。
エンジンユニット7および足載せ台18の下方には、排気管38が配置され、排気管38の後端には排気消音器39が後ろ上がりにシートフレーム2bにボルト40を用いて取り付けられている。排気消音器39は円筒形の形状を有する。
ハンドル5の左端の左グリップ41の前方にリヤブレーキレバー42が備えられている。ハンドル5の右端の右グリップ43の前方にフロントブレーキレバー44が備えられている。リヤブレーキレバー42を握ることで、後輪9に制動をかけることができ、フロントブレーキレバー44を握ることで、前輪6に制動をかけることができる。
2.後輪ブレーキ装置の構成
図3および図4を参照して自動二輪車1に備えられた後輪ブレーキ装置の構成を説明する。図3は、後輪ブレーキ装置の概略図であり、図4は後輪ブレーキ装置の縦断面図である。
後輪ブレーキ装置51は、後輪9に固定されたブレーキディスク52にパッドを押し付けるサービスキャリパ53と静止用機械式キャリパ54とを備える。リヤブレーキレバー42を運転者が握ると、マスタシリンダ50によりパイプ49内のブレーキフルードに対して油圧が発生する。サービスキャリパ53に備えられたパッド47が、この油圧によりブレーキディスク52に押しつけられて制動力が発生する。
静止用機械式キャリパ54は、レバー55を後方に(運転者から見て手前に)引くことで、ワイヤ56が引っ張られ、静止用機械式キャリパ54に備えられたパッド48がブレーキディスクに押しつけられて制動力が発生する。ワイヤ56はレバー55から車体カバー20内を通り、スイングアーム8の上縁に沿って配置され、静止用機械式キャリパ54に連結されている。ワイヤ56は金属線で作られており、直線的な形状を有するスイングアーム8の上縁に沿わすことが好ましい。
キャリパブラケット59はサービスキャリパ53および静止用機械式キャリパ54を支持する。サービスキャリパ53および静止用機械式キャリパ54は、キャリパブラケット59によりブレーキディスク52に固定される。キャリパブラケット59はy型の形状を有するプレートであり、サービスキャリパ53を支持する2本のアーム67、68と、これら2本のアームの一方のアーム67と対向して延在し、静止用機械式キャリパ54を支持する1本のアーム69とを有する。また、キャリパブラケット59は、対向して延びるアーム67とアーム69との間に後輪車軸57が貫通する孔66を有する。キャリパブラケット59は、サービスキャリパ53を2本のアーム67、68で支持しているので、回転するブレーキディスク52を制動する際、サービスキャリパ53の振動を低減することができる。また、静止用機械式キャリパ54は、静止しているブレーキディスク52を挟持するので、静止用機械式キャリパ54が振動することが少なく、1本のアーム69で静止用機械式キャリパ54を支持することができる。また、サービスキャリパ53を支持する2本のアームの一方のアーム67と静止用機械式キャリパ54を支持するアーム69とが対向して延在することで、サービスキャリパ53および静止用機械式キャリパを54対向して配置することができ、ブレーキディスク52の露出領域を確保することができる。
サービスキャリパ53は、そのパッドがブレーキディスク52を挟んだ状態で、キャリパブラケット59のアーム67とアーム68との間にボルト60、61を用いて固定される。固定されたサービスキャリパ53と対向して、静止用機械式キャリパ54は、そのパッドがブレーキディスク52を挟んだ状態でキャリパブラケット59のアーム69にボルト62、63を用いて固定される。静止用機械式キャリパ54は、さらに、キャリパブラケット59のアーム69に連結されるサポート部材60にもボルト64、65を用いて固定される。
次に図5を参照して、静止用機械式キャリパとスイングアームとの接続構造を説明する。
後輪車軸57が貫通するスイングアーム8に設けられた孔70はスイングアーム8の長手方向に楕円形状または長方形である。このように、後輪車軸57とスイングアームとの結合位置をスイングアームの長手方向に移動可能な構造にすることで、駆動機構のチェーンまたはベルトが伸びた場合でも、結合位置をスイングアーム後方へ移動することができる。また、キャリパブラケット59は、孔66に後輪車軸が通されて、長方形の孔71にスイングアーム8の凸部72が挿入されることで固定される。このキャリパブラケット59に形成された孔71もスイングアーム8の長手方向に長方形または楕円形状していることで、駆動機構のチェーンまたはベルトが伸びた場合でも、挿入位置をスイングアーム8の後方へ移動することができる。
次に図6を参照して、後輪に備えられたキャリパの構成を説明する。図6は自動二輪車の後輪周辺の拡大図である。
後輪9は後輪車軸57に回転可能に軸支されている。後輪車軸57はその両端がスイングアーム8に固定されている。後輪9のホイール58の右側には、ブレーキディスク52が固定されている。サービスキャリパ53および静止用機械式キャリパ54は、スイングアーム8にキャリパブラケット59を介して取り付けられる。
サービスキャリパ53は、後輪車軸57の前方かつ下方に、言い換えると、後輪車軸57の前方かつスイングアーム8の下方に配置されている。静止用機械式キャリパ54は、後輪車軸57の後方かつ上方に、言い換えると、後輪車軸57の後方かつスイングアーム8の上方に配置されている。このように、サービスキャリパ53および静止用機械式キャリパ54は後輪車軸57およびスイングアーム8の上下にそれぞれ対向して配置され、サービスキャリパ53と静止用機械式キャリパ54とは間隔をおいて配置されている。これにより、ブレーキディスク52の露出面が確保され、ブレーキディスク52の制動時に、サービスキャリパ53のパッド47との摩擦により加熱したブレーキディスク52を効率良く冷却することができる。
また、サービスキャリパ53を走行時に風の流れが強いスイングアーム8の下方に配置することで、制動時にサービスキャリパ53に発生する熱を効率良く除去することができる。また、静止用機械式キャリパ54をスイングアームの上方に配置することで、ワイヤ56をスイングアーム8の上縁に沿って配置することができる。ワイヤ56は金属線で作られており小さい曲率で曲げることが困難であるので、直線的な形状を有するスイングアーム8の上縁に沿わすことで、ワイヤ56を容易に配設することができる。
図6に示されている自動二輪車の後輪周辺の拡大図は、リヤサスペンション10が伸長または収縮していない状態での図である。リヤサスペンション10が伸長していない状態では、排気消音管39はブレーキディスク52に側面視で重なることがなく、ブレーキディスク52から斜め上方に位置する。また、後輪9の前方に1個のリヤサスペンション10が配置されているので、車両側面視でリヤサスペンション10と静止用機械式キャリパ54またはサービスキャリパ53とが重なることがなく、自動二輪車1の幅方向寸法をより小さくすることができる。
図7には、リヤサスペンション10に最も圧力が負荷される最圧時の後輪周辺の概略図が示されている。たとえば、路面の凹凸状態により、後輪9が上方に揺動した場合、サービスキャリパ53および静止用機械式キャリパ54も共に上方に揺動する。この場合、リヤサスペンション10は伸長する圧力が負荷され、後輪9の揺動を吸収する。リヤサスペンション10に最も圧力が負荷された状態が、後輪9が最も揺動している状態である。
この最圧状態において、静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53が、排気消音器39の外表面上において後輪9に最も近い直線と後輪に最も遠い直線とを通る平面より下方に位置する。言い換えると、静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53は、排気消音器39の軸線方向の異なる位置における各横断面内で後輪9に最も近い部位の各横断面に渡る軌跡よりも下方に位置する。このことを図8も参照して更に説明する。図8は、図7における矢視VIIIの方向から後輪9を見た図である。
排気消音器39の外表面上において後輪9に距離Dnが最も近い直線MC、および後輪9に距離Dxが最も遠い直線Mfとを通る平面Pが紙面垂直方向に有る。この直線MCは、排気消音器39の軸線C方向の異なる位置における各横断面内で後輪9に最も近い部位の各横断面に渡る軌跡である。本実施例では、排気消音器39が円筒形であるので、排気消音器39の軸線Cが平面P内に含まれる。静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53が、後輪9が揺動する全領域において、排気消音器39の外表面上において後輪9に最も近い直線MCと後輪9に最も遠い直線Mfとを通る平面Pより下方に位置するので、車幅方向において各キャリパと排気消音器39の最も幅広な部分とが重なることがない。言い換えると、後輪9が揺動する全領域において、側方視で、静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53は、排気消音器39の軸線方向の異なる位置における各横断面内で後輪9に最も近い部位の各横断面に渡る軌跡よりも下方に位置するので、車幅方向において各キャリパと排気消音器の各横断面における最も後輪側に近い部分とが重なることがない。これより、排気消音器39を後輪9よりに配置することができ、自動二輪車1の幅方向寸法を小さくすることができる。
また、リヤサスペンション10の最圧状態において、静止用機械式キャリパ54が車両側方視において排気消音器39と重なるものの、静止用機械式キャリパ54と排気消音器39の最も幅広な部分とが重なることがないので、自動二輪車1の幅方向寸法を小さくすることができる。また、リヤサスペンション10の最圧状態において、静止用機械式キャリパ54が車両側方視において排気消音器39と重なるのであるから、リヤサスペンション10の最圧状態から圧力が弱まるにつれて、静止用機械式キャリパ54と排気消音器39との重なり領域が低減するので、静止用機械式キャリパ54、サービスキャリパ53およびブレーキディスク52を露出させることができ適切に冷却することができる。なお、サービスキャリパ53と静止用機械式キャリパ54との配置が逆の場合でも同様である。また、静止用機械式キャリパ54の両方が車両側方視において排気消音器39と重なる場合であっても、サービスキャリパ53および静止用機械式キャリパ54と排気消音器39の最も幅広な部分とが重なることがない。
また、駆動機構81は、エンジンユニット7の出力軸の左方に固定された第1プーリ82と、後輪9のホイール58の左方に固定された第2プーリ83とを備え、第1プーリ82と第2プーリ83との間に歯付ベルトが掛け回される。すなわち、後輪9の片側に駆動機構が配置され、もう片側に排気消音器39、ブレーキディスク52、静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53が配置される。これより、後輪9の周辺部における左右の車幅の偏りを低減し、重量の左右バランスの差を低減することができ、後輪9の左右の重量バランスを好適に保つことができる。
本実施例の自動二輪車1によれば、車体フレーム2の側方に排気消音器39が取り付けられ、これと同じ側にブレーキディスク52、サービスキャリパ53および静止用機械式キャリパ54が取り付けられる。サービスキャリパ53および静止用機械式キャリパ54を別体としてブレーキディスク52に取り付けることで、それぞれの構造が簡易化され、メンテナンスおよび部品交換が容易になる。
また、サービスキャリパ53が後輪車軸57より前側下方に配置され、静止用機械式キャリパ54が後輪車軸57より後側上方に配置されることで、静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53が後輪車軸57を挟んで対向して配置される。なお、静止用機械式キャリパ54とサービスキャリパ53とが逆の配置でもよい。これより、静止用機械式キャリパ54とサービスキャリパ53が間隔を置いて配置されるので、後輪車軸57より後側下方にブレーキディスク52の露出面が形成され、ブレーキディスク52を効率良く冷却することができる。
また、サービスキャリパ53が後輪車軸57より前側でスイングアーム8より下方に配置され、静止用機械式キャリパ54が後輪車軸57より後側でスイングアーム8より上方に配置されることで、静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53が後輪車軸57を挟んで対向して配置される。なお、静止用機械式キャリパ54とサービスキャリパ53とが逆の配置でもよい。これより、静止用機械式キャリパ54とサービスキャリパ53が間隔を置いて配置されるので、後輪車軸57より後ろ側下方にブレーキディスク52の露出面が形成され、ブレーキディスク52を効率良く冷却することができる。また、静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53がスイングアーム8よりも上方または下方に配置されるので、車両側面視で静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53とスイングアーム8とが重ならないので、自動二輪車1の幅方向寸法を小さくすることができる。
また、静止用機械式キャリパ54より重いサービスキャリパ53を静止用機械式キャリパ54より前側下方に配置することで、低重心化を図ることができる。また、メンテナンス頻度の高い静止用機械式キャリパ54をサービスキャリパ53より後側上方に配置することでメンテナンス性の向上につながる。
また、排気消音器39が後ろ上がりに車体フレーム2に取り付けられていることで、排気消音器39とブレーキディスク52とが車両側面視で重なる領域を低減することができ、静止用機械式キャリパ54とサービスキャリパ53の露出度を増すことができる。また、排気消音器39と静止用機械式キャリパ54およびサービスキャリパ53と間隔を空けて配置することができるので、排気消音器39の熱伝導を低減し、各キャリパの冷却効果を向上することができる。
本発明は、上記実施例のものに限らず、次のように変形実施することができる。
(1)上記実施例では、排気消音器39は円筒形の形状を有していたが、これに限らず、三角柱または楕円筒形であってもよい。
(2)上記実施例では、自動二輪車1はスクータ型自動二輪車であるが、スーパースポーツ型、クルーザー型、ネイキッド型、ツアラー型またはオフロード型自動二輪車でもよい。
1 … 自動二輪車
2 … 車体フレーム
8 … スイングアーム
9 … 後輪
10 … リヤサスペンション
39 … 排気消音器
52 … ブレーキディスク
53 … サービスキャリパ
54 … 静止用機械式キャリパ
57 … 後輪車軸
59 … キャリパブラケット
67、68、69 … アーム
81 … 駆動機構

Claims (10)

  1. 車体フレームと、
    前記車体フレームに対して揺動する後輪と、
    前記車体フレームの側方に配置された排気消音器と、
    前記排気消音器側の前記後輪に取り付けられたブレーキディスクと、
    前記ブレーキディスクに配置され、走行中における制動力を発生させるためのサービスキャリパと、
    前記サービスキャリパと別に前記ブレーキディスクに配置される静止用機械式キャリパとを備え、
    前記後輪が揺動する全領域において、側方視で、前記静止用機械式キャリパおよび前記サービスキャリパが、前記排気消音器の軸線方向の異なる位置における各横断面内で前記後輪に最も近い部位の前記各横断面に渡る軌跡より下方に位置する
    自動二輪車。
  2. 請求項1に記載の自動二輪車において、
    前記後輪を回転可能に軸支する後輪車軸を備え、
    前記静止用機械式キャリパおよび前記サービスキャリパの一方が前記後輪車軸より前側下方に配置され、
    他方が前記後輪車軸より後側上方に配置される
    自動二輪車。
  3. 請求項1に記載の自動二輪車において、
    前記車体フレームに対して揺動可能に支持されるスイングアームを備え、
    前記後輪は前記スイングアームを介して支持される
    自動二輪車。
  4. 請求項3に記載の自動二輪車において、
    前記スイングアームに接続され、前記後輪を回転可能に軸支する後輪車軸を備え、
    前記静止用機械式キャリパおよび前記サービスキャリパの一方が前記後輪車軸より前側で前記スイングアームより下方に配置され、
    他方が後輪車軸より後側でスイングアームより上方に配置される
    自動二輪車。
  5. 請求項2または4に記載の自動二輪車において、
    上下方向で、前記サービスキャリパが前記静止用機械式キャリパより下側に配置される
    自動二輪車。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の自動二輪車において、
    前記排気消音器は後ろ上がりに車体フレームに取り付けられている
    自動二輪車。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の自動二輪車において、
    前記静止用機械式キャリパおよび前記サービスキャリパの反対側に前記後輪の駆動機構を備える自動二輪車。
  8. 請求項1から7いずれか1つに記載の自動二輪車において、
    後輪の揺動を吸収する後輪懸架装置を備え、
    前記後輪懸架装置の最圧縮状態において、前記静止用機械式キャリパまたは前記サービスキャリパの少なくとも一方が車両側方視において前記排気消音器と重なる
    自動二輪車。
  9. 請求項8に記載の自動二輪車において、
    前記後輪前方に1個の前記後輪懸架装置を備える
    自動二輪車。
  10. 請求項1から9のいずれか1つに記載の自動二輪車において、
    前記サービスキャリパおよび前記静止用機械式キャリパを支持するキャリパブラケットを備え、
    前記キャリパブラケットは、前記サービスキャリパを支持する2本のアームと、前記2本のアームのいずれか一方と対向して延在し、前記静止用機械式キャリパを支持する1本のアームとを有する
    自動二輪車。
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