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JP2007292049A - 鞍乗型車両用排気装置および鞍乗型車両 - Google Patents

鞍乗型車両用排気装置および鞍乗型車両 Download PDF

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JP2007292049A
JP2007292049A JP2007031100A JP2007031100A JP2007292049A JP 2007292049 A JP2007292049 A JP 2007292049A JP 2007031100 A JP2007031100 A JP 2007031100A JP 2007031100 A JP2007031100 A JP 2007031100A JP 2007292049 A JP2007292049 A JP 2007292049A
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太輔 櫻井
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Abstract

【課題】消音特性の要求を満たしつつ小型化を図った鞍乗型車両用の排気装置を提供する。
【解決手段】エンジン50と、エンジン50に接続されるエキゾーストパイプ20とサイレンサー10とを有する排気部100とを備え、排気部100は、サイレンサー10内に挿入されるテールパイプ30を含み、サイレンサー10は、外筒10aと、外筒10aに収容された内筒10bとを備え、テールパイプ30と内筒10bとの間には空気層17が設けられている、鞍乗型車両用の排気装置である。
【選択図】図3

Description

本発明は、鞍乗型車両用排気装置および鞍乗型車両に関する。
鞍乗型車両(例えば、自動二輪車)で使用されるマフラー(排気装置)は、エンジンから排出される排気ガスを効率良く放出する排気効率と、高圧および高温化された排気ガスの排出に伴う排気音の減音または消音という2つの要求を満たすことが求められている。
騒音規制が強化されている昨今では、特に減音または消音に対する要求が高まっている。したがって、排気効率を維持しつつ減音または消音を達成することが望まれている。自動二輪車用のマフラーは、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されている。
特開平8−312324号公報 特開2003−184541号公報
マフラーの設計を排気効率だけから考えると、マフラー(排気系)は、真っ直ぐ伸ばすのが一番好ましい。しかしながら、これでは、自動二輪車の車体に収まらない。したがって、排気抵抗を少なくするためにマフラーをなるべく急激に曲げないように車体後方に持っていくのであるが、実際には、前輪やバンク角と絡んでそれも難しいことが多い。通常、エンジン性能的に理想的な長さのマフラーがそのまま自動二輪車の形状に収まることは少なく、なるべくスムーズな形状を維持しつつ、性能上ベストに近い長さのマフラーを自動二輪車の形状に収めるように設計することは、乗用四輪車のマフラー設計と比較すると、非常に苦労を伴う。
また、排気効率だけでなく、自動二輪車においては、マフラーの重量が操縦性に与える影響もとても大きい。つまり、自動二輪車は車体が軽いため、たとえ1kg程度の重量であっても自動二輪車に与える影響は大きく、そして、マフラーの重量に加えてマフラーの重心が遠くにあることも自動二輪車の操縦性に悪影響を与える。
一方で、どんなに構造を工夫しても消音効果を高める上では、ある程度のマフラー容積が必要になる。厳しさを増す騒音規制に適合させるために、マフラーを大きくせざるを得ない場合が多い。加えて、マフラーを構成する金属板が薄いとそれが振動して騒音が大きくなるため、どうしてもマフラー重量は重くなりがちである。そして、マフラー重量の増加は、自動二輪車の操縦性を悪くしてしまう。
このように、自動二輪車のマフラーの構造は、種々の相反する要因から決定されるため、排気効率および消音特性を満たしつつ、小型化を図ったマフラーを実現化することは極めて困難であった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、消音特性の要求を満たしつつ、小型化を図った鞍乗型車両用マフラーを提供することにある。
本発明の排気装置は、エンジンと、前記エンジンに接続されるエキゾーストパイプと、前記エキゾーストパイプに接続されるサイレンサーとを有する排気部とを備え、前記排気部は、前記サイレンサー内に挿入されるテールパイプを含み、前記サイレンサーは、外筒と、前記外筒に収容された内筒とを備えており、前記テールパイプと前記内筒との間には空気層が設けられていることを特徴とする。
ある好適な実施形態では、前記サイレンサーにおける前記外筒の内壁と前記内筒の外壁との間には、吸音材が充填されている。
ある好適な実施形態において、前記内筒の少なくとも一部の内径は、前記テールパイプの上流端の位置に向かって徐々に拡大していることを特徴とする。
ある好適な実施形態では、前記内筒の少なくとも一部の内径は、前記テールパイプの上流端の位置に向かって徐々に縮小していることを特徴とする。
本発明の鞍乗型車両は、上記排気装置を備えた鞍乗型車両である。
ある好適な実施形態では、前記サイレンサーの内筒の下流端は、前記鞍乗型車両が備える後輪の車軸よりも前方に設けられている。
ある好適な実施形態において、前記鞍乗型車両は、4サイクルエンジンを備えている。
ある好適な実施形態において、前記鞍乗型車両は、オフロード型の自動二輪車である。
本発明の排気装置によれば、排気部はサイレンサー内に挿入されるテールパイプを含み、サイレンサーは、外筒と、前記外筒に収容された内筒とを備えている。そして、テールパイプと内筒との間には、空気層が設けられている。また、サイレンサーにおける外筒の内壁と内筒の外壁との間には、吸音材が充填されている。
上記構成では、空気層を設けることによって吸音材の充填量を適度に減らしつつ、外筒有効断面積(ひいては拡張比)を適度に調整し得、その組合せ(バランス)によって管膨張による減音と、吸音材による減音との両方の効果を得ることができる。従って、排気音を小さくする効果(減音効果)を効果的に得ることができ、マフラーの減衰特性を向上させることができる。
自動二輪車の排気装置の設計(マフラー設計)は、種々の制約の下で行われており、実際のところ、マフラーの容積を大きくしなければ消音効果を上げることができず、その一方で、マフラーの容積の増大が自動二輪車の操縦性の低下をもたらす現象を回避することができなかった。例えば、現状の4サイクルのモトクロス自動二輪車(特に、競技用車)のマフラーにおいては、サイレンサーの容積を大きくし、それによって騒音低減と走行性能とを満足させているため、マフラーは大きく、重いのが実情である。騒音に関しては、レギュレーションがあるため、騒音の要因を無視して、マフラーを小さく軽くすることができない。
このような状況の中、本願発明者は、走行性能(排気特性)と騒音特性を満足させながら、小型で軽量のサイレンサーを持った排気装置(マフラー)を実現することを試み、鋭意検討した結果、本発明に至った。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図1は、本発明の実施形態に係る排気装置が搭載された自動二輪車1000を示している。本実施形態の排気装置は、エンジン50と、エンジン50に接続された排気部100とから構成されている。排気部100は、エキゾーストパイプ20とサイレンサー10とを有している。なお、本明細書では、便宜上、サイレンサー10を含む排気部100を、「マフラー」と称する場合がある。
本実施形態のマフラー100は、自動二輪車1000のエンジン50に接続されるエキゾーストパイプ20と、エキゾーストパイプ20に接続されたサイレンサー10とから構成されている。図1に示した構成では、サイレンサー10にテールパイプ30が接続されている。
本実施形態のマフラー100を自動二輪車1000から取り外すと、図2(a)に示す通りである。図2(a)に示したマフラー100のエキゾーストパイプ20およびサイレンサー10には、車体への取り付け用部材が形成されている。本実施形態のマフラー100は、4サイクルエンジン用のマフラーであり、図1に示した自動二輪車1000は、オフロード車両である。なお、図2(a)に示したエキゾーストパイプ20には、エンジン50へ接続される端部にシリンダヘッド排気ポート部22が取り付けられている。
エキゾーストパイプ20は、図2(b)に示すように、エンジン50の排気孔から繋がっており、エンジン50からの排気ガスをサイレンサー10へ導く。図示した例では、エキゾーストパイプ20のシリンダヘッド排気ポート部22がエンジン50に接続される。そして、サイレンサー10は、消音機能を有しており、エキゾーストパイプ20から導かれた排気ガスを外部へ排出する。サイレンサー10にテールパイプ30が接続されている場合には、排気ガスはテールパイプ30から外部へ排出される。なお、図2(c)に示すように、エキゾーストパイプ20には、さらにチャンバー21を設けることができる。この場合には、エンジン50からの排気ガスは、チャンバー21内で一旦膨張した後、サイレンサー10へ導かれ、外部へと排出される。
図3は、排気ガスが導入されるサイレンサー10の断面構成を模式的に示す断面図である。本実施形態のサイレンサー10は、外筒10aと、その外筒10aに収容された内筒10bとから構成されている。
本実施形態の内筒10bは、ステンレスからなる円筒の部材である。内筒10bは、サイレンサー10内に導入された排気ガスをテールパイプ30まで導く役割を持つ。サイレンサー10の内筒10bの少なくとも一部(ここでは領域P)には、パンチング孔13が形成されている。パンチング孔13は、サイレンサー10内部(ここでの内筒10b)に形成された小孔であり、エキゾーストパイプ20から導入された排気ガスのエネルギーを小孔を通じて、外筒10aにまで通すことができる役割を持っている。
また、外筒10aの内壁と内筒10bの外壁との間には吸音材15が密着するように充填されている。吸音材15は、音波を吸収可能な材料であり、例えば、グラスウール、ステンレスウール(SUSウール)、アルミウール、フェライトなどを用いることができる。この例では、吸音材15としてグラスウールを用いている。この吸音材15は、高周波音(高周波数域の排気音)を良く吸収する。
さらに、サイレンサー10内には、テールパイプ30が挿入されている。本実施形態に係るテールパイプ30は、サイレンサー10の下流端側から該サイレンサー10の中央付近まで挿入されている。このテールパイプ30は、ステンレスからなる筒状の部材であり、その断面形状は円形となる。テールパイプ30は、サイレンサー10内に流入した排気ガスを最終的に外部へと排出する役割を持つ。
本実施形態に係るサイレンサー10では、テールパイプ30と内筒10bとの間に空気層17が形成されている。具体的には、テールパイプ30の外径dは、サイレンサー10の内筒10bの内径Dよりも小さくなっている。これにより、エキゾーストパイプから導入された排気ガスをテールパイプ30と内筒10bとの間に導くことができる。さらに、吸音材15及びパンチング孔(領域P)は、テールパイプ30が位置する領域(空気層17が位置する領域)にまで延長して形成されている。これにより、テールパイプ30と内筒10bとの間に導かれた排気ガスを吸音材で吸収することができる。
上記構成では、テールパイプ30と内筒10bとの間に空気層17を設けることによって、外筒(胴部)断面とテールパイプ断面との拡張比(即ち外筒有効断面積/テールパイプ断面積)を適度に調整することができ、これによってマフラー100の減衰特性を向上させることができる。ここで「外筒有効断面積」とは、実際の外筒の断面積ではなく、吸音材の充填を考慮した実質的に機能し得る部位の有効断面積であり、例えば吸音材の見掛け密度が高ければ外筒有効断面積は減少する。
本実施形態のマフラー100は、外筒10a内における膨張による減音(膨張形)と、吸音材15による減音(吸音形)との併用構造を有している。そして、テールパイプ30と内筒10bとの間に空気層17を設けることにより、吸音材15の充填量を適度に減らしつつ外筒有効断面積(ひいては拡張比)を適度に調整し得、その組合せ(バランス)によって管膨張による減音と、吸音材による減音との両方の効果を得ることができる。従って、排気音を小さくする効果(減音効果)を効果的に得ることができ、マフラー100の減衰特性を向上させることができる。
なお、マフラー100の上記構成は、典型的な小型、軽量化を図った小型マフラーに対して好適に使用され得る。ここでいう「小型マフラー」とは、図1の自動二輪車1000のように、後輪70の車軸72よりも前方に配置された直管構造を有するマフラー100である。この例では、サイレンサー10の下流端10dは、後輪70の車軸72から垂直方向に延びた垂線Aよりも前方に位置している。このように、サイレンサーの下流端が後輪の車軸よりも前方に配置されたマフラーでは、サイレンサーの長さ寸法が短く圧力損失による減音効果があまり期待できないという問題があった。これに対して、本実施形態に係るマフラー構成を採用すれば、図1のような小型マフラーであっても、管膨張及び吸音材による減音効果を効果的に組み合わせることができ、減衰特性を満たすことができる。
サイレンサー10の下流端10dとは、より詳細にはサイレンサー内に設けられた内筒10bの下流端のことである。従って、例えば、サイレンサー10に接続するテールパイプ30の一部が後輪70の車軸72よりも後方に位置していたとしても、ここでいう小型のマフラーに該当する。また、本実施形態に係るマフラー構成は、図1に示したタイプのマフラーに限らず、所謂「クルーザー」タイプのマフラーにも好適に使用し得る。
なお、本明細書における「上流」側及び「下流」側とは、マフラー内の排気ガスの流通方向に対してそれぞれ上流側及び下流側を意味する。換言すれば、「上流」側はエンジンが配置される側であり、「下流」側は排気ガスが外部へと排出される側である。
さらに、図4(a)及び(b)を参照しながら、本実施形態のサイレンサー10の内部構成について詳細に説明する。図4(a)は、本実施形態のサイレンサー10の内部構成を示す図であり、図4(b)は、比較例1のサイレンサー10'の内部構成を示す図である。
本実施形態のサイレンサー10には、マフラー100の減衰特性を向上させる手段として、上述した管膨張及び吸音材による減音だけでなく、それ以外の種々の手段によっても減音効果を得ることができる。例えば、図4(a)に示した例では、サイレンサー10の内部にパンチングコーン32を配置する構造が採用されている。パンチングコーン32は、例えば、ステンレスからなるコーン形状で、コーン状の側面の領域Qにパンチング孔14が形成されている部材である。このパンチングコーン32によっても減音効果を得ることができ、主として、高周波数域の音(例えば、筒抜け音)を減音させることができる。パンチングコーン32は、サイレンサー10の内部に1個または複数個配置することができる。ここでは、パンチングコーン32は、内筒10bとテールパイプ30の上流端部の二箇所(32a、32b)に設けている。上記構成では、管膨張及び吸音材による減音効果に加えてパンチングコーン32による減音効果も盛り込むことができ、その組合せ(バランス)によって、この実施形態のマフラー100の減衰特性を調整することができる。
次に、本実施形態(図4(a))と比較例1(図4(b))とを比較して、本実施形態のマフラー100の構成が減衰特性へ及ぼす影響(効果)について説明する。
図4(b)の比較例1のサイレンサー10'は、本実施形態のサイレンサー10とは空気層17の構成のみが異なる。具体的には、本実施形態では、テールパイプ30と内筒10bとの間に空気層17が設けられているのに対し、比較例1のサイレンサー10'では、空気層17を形成せずに内筒10bの内径はテールパイプ30の前端まで徐々に縮小されている。
両サイレンサーの減衰特性を比較すると図5に示す通りである。図5中において、横軸は周波数(Hz)、縦軸は減衰レベル(dB)(又は音圧レベルともいう)を表し、同じ周波数において減衰レベルが小さくなるということは、減衰特性が良好となる(すなわち騒音値が低くなる)ことを意味する。本実施形態の減衰特性はライン「L0」で示し、比較例1の減衰特性はライン「L1」で示している。
ライン「L0」とライン「L1」とを比較すると、減衰レベル(音圧レベル)は、ライン「L1」よりもライン「L0」の方が全体的に小さくなることが分かった。換言すると、本実施形態に係るサイレンサー10の騒音値は、比較例1のサイレンサー10'に比べて低くなる。本実施形態の騒音値が比較例1に比べて小さいのは、テールパイプ30と内筒10bとの間に空気層17を設けた構成によるものである。つまり、本実施形態によれば、空気層17を設けることにより、吸音材の充填量を減らしつつ外筒有効断面積(ひいては拡張比)を適度に調整し得、管膨張及び吸音材による両方の減音効果を持ってマフラーの減衰特性を向上させ得ることが確認された。
なお、上述した例では、内筒10bの形状は内壁が真っ直ぐ伸びた形状であったが、これに限らず、例えば、内筒10bの断面積(内筒10bの内径)を変化させて消音させる減衰特性を盛り込むことができる。内筒10bの内径を変化させることにより、吸音材15と空気層17との比率を調整し得、これによって所望の減衰特性を得ることができる。他の実施例(図6)及び減衰特性グラフ(図7)も加えて、内筒径の変化によって所望の減衰特性が得られる点について説明する。図6(a)は、実施例aのサイレンサーの内部構造であり、図6(b)は、実施例bのサイレンサーの内部構造である。なお、実施例a及び実施例bのサイレンサーは、本実施形態のサイレンサー10とは内筒10bの構成のみが異なる。従って、同一の構成部材には同一の符号を付し、その重複した説明を省略する。
図6(a)の実施例aでは、内筒10bの中央付近の内径「D1」がテールパイプ30の上流端の位置まで徐々に拡大している(即ち、上流側から下流側にかけて内径「D1」が大きくなる部位を有する)。これにより、本実施形態に比べて空気層17の比率は大きくなり、逆に吸音材15の比率は小さくなる。一方、図6(b)の実施例bでは、内筒10bの中央付近の内径「D2」がテールパイプ30の上流端の位置まで徐々に縮小している(即ち、上流側から下流側にかけて内径「D2」が小さくなる部位を有する)。これにより、本実施形態に比べて空気層17の比率は小さくなり、逆に吸音材15の比率は大きくなる。
これらのサイレンサーの減衰特性を比較すると図7に示す通りである。本実施形態の減衰特性はライン「L0」、実施例aの減衰特性はライン「L2」、実施例bの減衰特性はライン「L3」で示している。ライン「L0」とライン「L2」とライン「L3」とを比較すると、特定の周波数域において減衰レベル(音圧レベル)が逆転する現象が生じた。具体的には、「Fc(Hz)〜Fd(Hz)」付近の周波数域では、ライン「L2」、ライン「L0」、ライン「L3」の順番(即ち空気層17の比率が大きくなる順番)で減衰レベル(音圧レベル)が低下するが、「Fa(Hz)〜Fb(Hz)」の周波数域では上記順番とは逆の順番(すなわち空気層17の比率が小さくなる順番)で減衰レベルが低下する。このような減衰特性の違いは、内筒形状(内径が拡大、縮小、変化せず)の相違、ひいては空気層17と吸音材15との比率の差による。
この現象を利用することにより、特定の周波数域の騒音成分を選択的に低減させることができる。すなわち、内筒径の変化によって空気層17及び吸音材15の比率を適宜調整することにより、所望の周波数域の減衰特性を良好にすることができる。例えば、「Fc(Hz)〜Fd(Hz)」の周波数域騒音成分を低減させたい場合には、実施例aのように内筒径を拡大して空気層17の比率を大きくすれば良く(ひいては吸音材15の充填量を減少すれば良く)、「Fa(Hz)〜Fb(Hz)」の周波数域騒音成分を低減させたい場合には、実施例bのように内筒径を縮小して空気層17の比率を小さくすれば良い(ひいては吸音材15の充填量を増量すれば良い)。このように、要求されるマフラーの消音性能(減衰レベルを低下させたい所望の周波数域)に合わせて好適な内筒10bの形状が選定され得る。
本発明によれば、排気部はサイレンサー10内に挿入されるテールパイプ30を含み、サイレンサー10は、外筒10aと、外筒10aに収容された内筒10bとを備えている。そして、テールパイプ30と内筒10bとの間には、空気層17が設けられている。また、サイレンサー10における外筒10aの内壁と内筒10bの外壁との間には、吸音材15が充填されている。
上記構成では、空気層17を設けることによって吸音材15の充填量を適度に減らしつつ、外筒有効断面積(ひいては拡張比)を適度に調整し得、その組合せ(バランス)によって管膨張による減音と、吸音材による減音との両方の効果を得ることができる。従って、排気音を小さくする効果(減音効果)を効果的に得ることができ、マフラーの減衰特性を向上させることができる。
さらに、内筒10bの内径を適宜可変とすること(例えば、図6(a)に示すように内筒10bの内径「D1」をテールパイプ30の上流端の位置に向かって徐々に拡大したり、或いは図6(b)に示すように内筒10bの内径「D2」をテールパイプ30の上流端の位置に向かって徐々に縮小したりすること)により、空気層17及び吸音材15の比率を適宜調整し得、これによって、所望の周波数域の減衰特性を良好にすることができる。
なお、上記構成は、典型的な小型、軽量化を図った小型マフラー(例えば後輪70の車軸72よりも前方に配置されたマフラー)に対して好適に使用し得る。このような小型マフラーであっても、管膨張及び吸音材による減音効果を効果的に組み合わせることができ、減衰特性を満たすことができる。
なお、図1では、自動二輪車1000として、オフロードタイプの自動二輪車を例に示したが、自動二輪車1000は、オンロードタイプのものであってもよい。また、本願明細書における「自動二輪車」とは、モーターサイクルの意味であり、原動機付自転車(モーターバイク)、スクータを含み、具体的には、車体を傾動させて旋回可能な車両のことをいう。したがって、前輪および後輪の少なくとも一方を2輪以上にして、タイヤの数のカウントで三輪車・四輪車(またはそれ以上)としても、それは「自動二輪車」に含まれ得る。なお、自動二輪車に限らず、本発明の効果を利用できる他の車両にも適用でき、例えば、自動二輪車以外に、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))や、スノーモービルを含む、いわゆる鞍乗型車両に適用することができる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
本発明によれば、消音特性の要求を満たしつつ、小型化を図った鞍乗型車両用マフラーを提供することができる。
本発明の実施形態に係るマフラーを備えた自動二輪車の側面図である。 (a)は、本発明の実施形態に係るマフラーを示す斜視図であり、(b)は、エンジン50を模式的に示す図であり、(c)は、チャンバー21を有するマフラーを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るマフラーの一例を模式的に示す断面図である。 (a)は本発明の実施形態に係るマフラーの一例を模式的に示す断面図である。(b)は比較例1に係るマフラーの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係るマフラー100の減衰特性と、比較例1のマフラーの減衰特性を比較したグラフである。 (a)および(b)は、実施例a及び実施例bのマフラーの断面構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係るマフラー100の減衰特性と、実施例a及び実施例bのマフラーの減衰特性を比較したグラフである。
符号の説明
10 サイレンサー
10a 外筒
10b 内筒
13 パンチング孔(内筒)
14 パンチング孔(パンチング孔)
15 吸音材
17 空気層
20 エキゾーストパイプ
30 テールパイプ
32 パンチングコーン
50 エンジン
100 マフラー(排気部)
1000 自動二輪車
D 内筒の内径
d テールパイプの外径
D1 内筒の内径(拡張)
D2 内筒の内径(縮小)

Claims (8)

  1. エンジンと、
    前記エンジンに接続されるエキゾーストパイプと、前記エキゾーストパイプに接続されるサイレンサーとを有する排気部と
    を備え、
    前記排気部は、前記サイレンサー内に挿入されるテールパイプを含み、
    前記サイレンサーは、外筒と、前記外筒に収容された内筒とを備えており、
    前記テールパイプと前記内筒との間には空気層が設けられていることを特徴とする、排気装置。
  2. 前記サイレンサーにおける前記外筒の内壁と前記内筒の外壁との間には、吸音材が充填されている、請求項1に記載の排気装置。
  3. 前記内筒の少なくとも一部の内径は、前記テールパイプの上流端の位置に向かって徐々に拡大していることを特徴とする、請求項1に記載の排気装置。
  4. 前記内筒の少なくとも一部の内径は、前記テールパイプの上流端の位置に向かって徐々に縮小していることを特徴とする、請求項1に記載の排気装置。
  5. 請求項1から4の何れか一つに記載の排気装置を備えた、鞍乗型車両。
  6. 前記サイレンサーの下流端は、前記鞍乗型車両が備える後輪の車軸よりも前方に設けられている、請求項5に記載の鞍乗型車両。
  7. 前記鞍乗型車両は、4サイクルエンジンを備えている、請求項5に記載の鞍乗型車両。
  8. 前記鞍乗型車両は、オフロード型の自動二輪車である、請求項5に記載の鞍乗型車両。
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