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JP2012071613A - 光学フィルム - Google Patents

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健太郎 荻野
Yoshihiro Takagi
義宏 高榎
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】生産性に優れた押出成形法により得られ、厚み精度が非常に高い光学フィルムを提供する。
【解決手段】押出成形に用いるTダイの樹脂吐出方向とは逆向きにリップエッジを臨む方向を0°、樹脂吐出方向及びTダイのランド面2cと直交し、リップエッジを臨む方向を90°としたとき、45°方向から臨むリップエッジ輝線幅Aの平均値が50μm以下であり、且つ30°、45°、60°の3方向から臨む輝線幅差がそれぞれTダイの幅方向において2μm/5mm以下として、押出成形により得られ、未延伸のフィルムであって、かつ非晶性熱可塑性樹脂からなり、平均厚みRが200μm以下であり且つ幅方向の厚みむらが2.5×10-3Rμm/5mm以下である、光学フィルム。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば液晶ディスプレイなどにおいて位相差フィルムなどに用いられる光学フィルムに関し、より詳細には、押出成形により得られ、厚みむらが少ない光学フィルムに関する。
近年、液晶ディスプレイなどに用いられる位相差フィルムにおいては、位相差むらによるスジ状の色むらが品質を低下させるため問題となっている。位相差フィルムは、一般に、無延伸の原反樹脂フィルムを延伸し、歪みを持たせることにより製造される。しかしながら、原反樹脂フィルム段階で厚みむらが生じていると、延伸により得られた位相差フィルムにおいて上記厚みむらに起因する位相差むらが生じることとなる。即ち、位相差のばらつきを小さくするには、原反樹脂フィルムの厚みばらつきを小さくすることが必要であり、原反樹脂フィルムの製造工程において、厚み精度に優れた樹脂フィルムを成形することが重要となってきている。
上記のような観点から、従来、光学フィルム用の原反樹脂フィルムの製造に際しては、厚み精度を高めることができるため、溶液流延法による製法が多用されてきている。
しかしながら、溶液流延法による製膜では、生産性が十分でなく、且つ溶剤コストが高くつくという問題があった。そのため、溶融押出による製膜方法の採用が検討されている。
例えば、下記の特許文献1には、液晶表示装置の偏光板などに用いられるポリビニルアルコールフィルムの製造方法であって、溶融押出成形法を用いた製造方法が開示されている。ここでは、フレキシブルリップからなるダイを用い、該フレキシブルリップのリップエッジのRを200μm以下とすることにより、厚みばらつきの少ないポリビニルアルコールフィルムを押出成形により得ることができると記載されている。
特開2002−28941号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、リップ間隔を調整し、且つリップエッジのRを小さくしたとしても、光学フィルムに要求されるような高い厚み精度を有する樹脂フィルムを押出成形により得ることはやはり非常に困難であった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、生産性に優れた押出成形法により光学フィルムに要求される厚み精度が非常に高い樹脂フィルムを得ることを可能とする製造方法、並びにこのような厚み精度が非常に高い光学フィルムを提供することにある。
本発明による光学フィルムの製造方法は、押出成形による熱可塑性樹脂からなる光学フィルムの製造方法であって、押出成形に用いるTダイの樹脂吐出方向とは逆向きにリップエッジを臨む方向を0°、樹脂吐出方向及びTダイのランド面と直交し、リップエッジを臨む方向を90°としたとき、45°方向から臨むリップエッジ輝線幅の平均値が50μm以下であり、且つ30°、45°、60°の3方向から臨む輝線幅差がそれぞれTダイ幅方向で2μm/5mm以下であることを特徴とする。
上記輝線幅を図1及び図2を参照して説明する。図1は、2分割されたTダイの一方の流路面を示す模式的正面図である。Tダイ1は樹脂流路2を有し、該樹脂流路2は樹脂流入口2a、マニホールド2b、リップランド2cからなり、溶融樹脂がこの順に通過して、リップ部より押し出されるように構成されている。そして、図2(a)に示すように、Tダイ1のリップランド2cの樹脂流れ方向終端部にリップエッジ2dが設けられている。このリップエッジ2dの幅方向寸法Aが輝線幅である。
従来、リップエッジの輝線幅部分は、図2に示すようにリップランド面(又は天面)との成す角度が略45°となるように形成されていることが多く、輝線幅の測定もマイクロスコープを45°に傾けて測定している。しかしながら、リップランドや、天面の加工に不備があって、部分的に角度が45°にはならない場合がある。その状態で従来通り45°の角度のみで輝線幅を確認した場合、実際の輝線幅とは異なった値が出ることがある。
本発明においては、30°、45°、60°の3方向で測定した輝線幅差をそれぞれTダイ幅方向で2μm/5mm以下とすることで、リップエッジの3次元の形状を均一にすることにより、光学フィルムのように高い厚み精度が要求されるフィルム製膜を可能としたものである。
上記光学フィルムの製造方法においては、好ましくは、Tダイリップの表面仕上げはHCrメッキにより行われている。
本発明に係る光学フィルムは、上記の製造方法により得られたものであり、未延伸のフィルムであって、非晶性熱可塑性樹脂からなり、平均厚みRが200μm以下であり且つ幅方向の厚みむらが2.5×10-3Rμm/5mm以下であることを特徴とする。
幅方向の厚みむらが2.5×10-3Rμm/5mmを超える場合は、例えばフィルムを縦一軸延伸して位相差板として用いたときに、厚みむらに応じて位相差むらが生じ、目視で色むら等の問題が出ることがある。
請求項2に記載の発明による光学フィルムは、好ましくは、請求項3に記載の光学フィルムが少なくとも縦一軸方向に延伸されたものである。
また、非晶性熱可塑性樹脂としては、好ましくは、ノルボルネン系樹脂が用いられる。
以下、請求項1に記載の発明(以下、単に本発明という)の光学フィルムの製造方法の詳細を説明する。
本発明による光学フィルムの製造に際して用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、好ましくは、非晶性熱可塑性樹脂が用いられる。非晶性熱可塑性樹脂とは、ほとんど結晶構造をとりえない無定形状態を保つ高分子であり、そのガラス転位点Tgは樹脂によって異なるため、特に限定されるものではないが、耐熱性の観点から好ましくはTgが100℃以上のものが採用される。上記非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリサルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルまたはノルボルネン系樹脂などが挙げられる。上記非晶性熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂の中でも、固有複屈折率が低くかつ光弾性係数が小さいため、ノルボルネン系樹脂が好適に用いられる。また、ノルボルネン系樹脂は、温度の低下により急激に固化する樹脂であるため、金属ロールと樹脂との接点における厚みの変動が他の非晶性熱可塑性樹脂に比べて生じ易い。従って、ノルボルネン系樹脂を用いた場合には、本発明の製造方法による効果、すなわち厚みばらつきの低減効果がより大きい。
ノルボルネン系樹脂としては飽和ノルボルネン系樹脂が好ましく、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加重合体並びにこれらの誘導体などが挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)や、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンなどのノルボルネン系誘導体などが挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物としては、ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合した後、残留している二重結合を水素添加したものが広く用いられる。なお、開環重合体水素添加物は、ノルボルネン系モノマーの単独重合体であってもよく、ノルボルネン系モノマーと他の環状オレフィン系モノマーとの共重合体であってもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加重合体としては、ノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、好ましくは炭素数が2〜20、より好ましくは2〜10のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなどが挙げられる。中でも、共重合性に優れているためエチレンが好適に用いられる。また、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンが存在している方が共重合性を高めることができ、好ましい。
上記ノルボルネン系樹脂は公知であり、商業的に入手可能である。公知のノルボルネン系樹脂の例としては、例えば、特開平1−240517号公報に記載されているものが挙げられ、商業的に入手され得るノルボルネン系樹脂の例としては、例えば、JSR社製、商品名「アートン」シリーズ、日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア」シリーズなどが挙げられる。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂には本発明の課題達成を阻害しない範囲で、必要に応じて、種々の添加剤が添加されてもよい。このような添加剤としては、熱可塑性樹脂の劣化防止や、成形された光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、あるいは平滑性などを向上させる様々な添加剤が挙げられ、フェノール系もしくはリン系の酸化防止剤;ラクトン系などの熱劣化防止剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系などの紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系や部分エーテル系などの滑剤;アミン系などの帯電防止剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、1種もしくは2種以上添加され得る。
本発明では、押出成形により上記熱可塑性樹脂を成形し光学フィルムが得られる。この場合、押出成形に用いるTダイの樹脂吐出方向とは逆向きにリップエッジを臨む方向を0°、樹脂吐出方向及びTダイのランド面と直交し、リップエッジを臨む方向を90°としたとき、45°方向から臨むリップエッジ輝線幅の平均値が50μm以下であり、且つ30°、45°、60°の3方向から臨む輝線幅差がそれぞれTダイ幅方向で2μm/5mm以下であるTダイが用いられる。
ここで、輝線幅差とは、図2に示すように、輝線幅の測定におけるある測定点での値と、他の測定点での値との絶対値を示すものとする。リップエッジは、Tダイでは樹脂吐出側の両端に存在するが、両端のリップエッジのいずれにおいても、上記条件を満たす必要がある。
本発明では、輝線幅の平均値を小さくするというよりは、上記のように、輝線幅差を均一にすることが非常に重要である。Tダイのリップランド面は、真直度は10μm未満であることが好ましく、より好ましくは5μm以下であり、面粗度はJIS B0601において規定されているRy値で0.1μm以下であることが望ましい。また、ピットやピンホールがないことが望ましく、リップエッジの欠けの大きさはエッジ先端から流入方向側に向かって15μm未満であることが望ましい。
本発明では、押出機に取り付けられたTダイから上記非晶性熱可塑性樹脂がシート状に押し出され、しかる後、冷却ロールに密着される。図3は、本発明に用いられる装置の概略構成図である。図3に示すように、押出機4から熱可塑性樹脂が押し出され、Tダイ5に供給される。Tダイ5で熱可塑性樹脂が製膜され、フィルム8が排出され、冷却ロール6に接触され、冷却される。なお、7はタッチロールであり、冷却ロール6にフィルム8を接触させるために設けられている。このようにして得られたフィルム8は、ロール9,10を経て巻き取られる。
本発明では、フィルム8の厚みむらを効果的に低減することができる。ここで、厚みむらとは、フィルム8の幅方向において、ある測定点における厚みと、幅方向において、5mm隔てられた位置における厚みとの差の絶対値をいうものとする。
Tダイ5の出口から半溶融状態のフィルム8が排出され、該フィルム8が冷却ロール6に接触される。ここで、上記Tダイ5の出口からフィルム8が冷却ロール6に接する接点までの距離、すなわちエアギャップは短いほうが好ましい。エアギャップが短いほうが、外乱による厚みばらつきを低減することができる。従って、エアギャップは70mm以下とすることが望ましい。
また、フィルム8が冷却ロール6に接触する際に、冷却ロール6とフィルム8との間に空気が入らないことが望ましく、かつ冷却速度が全面で均一であることが望ましい。従って、上記接点の下流側近傍において、タッチロール7などの押圧手段によりフィルム8を冷却ロール6側に押圧することが望ましい。
押圧手段としては、タッチロール7に限定されず、エアナイフや静電ピニングなどを用いてもよい。もっとも、安定性に優れ、フィルム8を均一に冷却ロール6に圧接させ得るため、弾性材料からなる表面を有するタッチロールを用いることが望ましい。
冷却ロールの温度は、フィルム8を構成する樹脂の種類によっても異なるが、用いられている樹脂のガラス転移点Tgとしたとき、Tg−10℃〜Tg−100℃の範囲であることが望ましい。
光学フィルムの平滑性と透明性とを確保するために、冷却ロール6の表面粗さは、JIS B0601に定義されているRy値で0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下とすることがより好ましい。上記冷却ロール6は様々な材料で構成され得るが、好ましくは金属からなり、例えば炭素鋼やステンレス鋼などにより構成されているものが好適に用いられる。金属からなる冷却ロール6を用いた場合、冷却ロール6の温度を速やかに一定温度に維持することができ、かつフィルム8を効率よく冷却することができる。
Tダイ5の温度がばらついていると、樹脂の流動性が変化するので、Tダイ5の温度は安定していることが望ましい。好ましくは、Tダイ5のフィルム8を構成する溶融樹脂に接触する部分の温度は、設定温度±0.5℃以内、より好ましくは設定温度±0.2℃以内に保たれていることが望ましい。
また、一般に、ロール温度は樹脂の固化点に大きく影響を与える。従って、冷却ロール6を様々な温度に温度調節できる構造を有するように、冷却ロール6の軸芯部に温度調節機構を連結もしくは内蔵する構造を有することが望ましい。好ましい温度調節手段としては、シーズヒーターを軸芯部に組み込んで冷却ロール6を適当な温度に設定するように加熱する電気加熱方式の温度調節手段、あるいは誘導発熱コイルによる電磁誘導作用による温度調節手段、軸芯部に設けられた流路に温度制御用の熱媒体を循環させて冷却ロールを設定温度に加熱する熱媒体循環加熱方式などの温度調節手段が用いられ得る。特に好ましいのは、熱媒体循環加熱方式であり、熱媒体としては気体を用いてもよく、水または油などの液体を用いてもよい。好ましくは、熱容量が大きい、水や油などの液体を用いることが望ましい。このような熱媒体流路の好適な例としては、内部に二条スパイラル構造または四条スパイラル構造を有するものが挙げられる。
本発明による光学フィルムの製造方法では、Tダイリップの表面仕上げがHCrメッキで行われている場合には、Tダイリップの表面の平滑性に優れる。
従来から、輝線幅を小さく、いわゆるシャープエッジにするためには、Tダイリップ表面仕上げはタングステンカーバイド(WC)等のセラミック溶射が行われている。しかしながら、この場合、金型のリップエッジ先端がギザギザになり、フィルムの面精度いわゆるダイラインが問題となっている。
一方、HCrメッキの場合は溶射に比べて、硬度が低いため、シャープエッジにはならず、加工精度も劣るため、光学フィルムのような、高い厚み精度が要求されるフィルム製膜には不利とされていたが、上述のように、リップの輝線幅を精度良く加工することにより、溶射の金型と同等以上の精度のフィルムを製膜することができる。また、HCrの特性により、リップエッジは溶射の場合の様にギザギザになることも無く、フィルムのダイラインも問題にならない。
本発明による光学フィルムは、熱可塑性樹脂を押出成形することにより得られるが、押出成形に用いられるTダイの樹脂吐出方向とは逆向きにリップエッジを臨む方向を0°、樹脂吐出方向及びTダイのランド面と直交し、リップエッジを臨む方向を90°としたとき、45°方向から臨むリップエッジ輝線幅の平均値が50μm以下であり、且つ30°、45°、60°の3方向から臨む輝線幅差がそれぞれTダイ幅方向において2μm/5mm以下であるTダイを用いるため、リップエッジの3次元の形状が均一になる。従って、光学フィルムの押出成形が安定に行われ、厚みむらの少ない未延伸の光学フィルムを提供することが可能となる。
Tダイリップの表面仕上げがHCrメッキで行われている場合には、Tダイリップの表面が平滑となり、ダイラインの問題の少ない光学フィルムを得ることができる。
非晶性熱可塑性樹脂が用いられ、平均厚みRが200μm以下であり、且つ幅方向の厚みむらが2.5×10-3Rμm/5mm以下であるため、本発明の光学フィルムは、上記のように幅方向の厚みばらつきが非常に小さいため、位相差板などの光学フィルムとして好適に用いられ得る。
本発明の光学フィルムは、少なくとも縦一軸方向に延伸されていてもよく、従って、幅方向だけでなく、長さ方向においても、厚みむらが少ない光学フィルムを提供することができる。
非晶性熱可塑性樹脂としてノルボルネン系樹脂が用いられている場合には、固有複屈折率が低く、光弾性係数が小さいため、本発明に従って厚みむらが少ないだけでなく、光学特性に優れた光学フィルムを提供することができる。また、ノルボルネン系樹脂では、押出成形に際しての厚みばらつきが生じ易いが、本発明の製造方法を用いることにより、厚みばらつきの少ないノルボルネン系樹脂からなる光学フィルムを安定的に提供することができる。
本発明で用いられるTダイの流路面を示す平面図である。 (a)及び(b)は、本発明において用いられるTダイリップ部の輝線幅を 説明するための略図的斜視図及び輝線幅を測定する方法を説明するための略図的斜視図である。 本発明の製造方法で用いられる製造装置の概略構成図である。
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにするが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(光学フィルムの製造)
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア1420」、Tg=140℃)を用意し、110℃の温度で3時間予備乾燥した。
図3に概略構成を示した装置を用い、光学フィルムを押出成形により得た。なお、図3に示した製造装置の仕様は、以下の通りである。
押出機4…単軸式押出機、口径=100mm、L/D=32
Tダイ5…幅1800mm、ベンディング式自動Tダイ、リップランド面表面処理=HCrメッキ及びWC溶射の2種類のTダイを用意した。
冷却ロール6…3本ロール方式、外径300mm、有効幅1900mm、熱媒体温度調節機構が備えられたものである。熱媒体としてはオイルを用いた。
タッチロール7…金属の芯金ロールにゴムライニングを施し、最外層が金属スリーブで構成されているロール、外径=200mm
上記製造装置を用い、押出機4からの押出速度を120kg/時間とし、Tダイ5の温度を280℃とし、冷却ロール6の温度を120℃、タッチロール7の温度を110℃、フィルムの有効幅を1400mm、エアギャップを65mmとし、光学フィルムを押出成形により製造した。
なお、Tダイにおける上記リップランド面表面処理、輝線幅、輝線幅差を下記の表1に示すように種々変化させ、光学フィルムを作製した。
(輝線幅の測定)
輝線幅測定用マイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルHFマイクロスコープVH8000)を用い、輝線幅を測定した。図2(b)は、輝線幅を測定する方法を示す図であり、マイクロスコープ3を、ランド面から30°、45°、60°傾けた方向(図では45°)に配置し、該マイクロスコープ3により輝線幅を測定した。また、5mm間隔で輝線幅を上記のようにして測定し、隣り合う輝線幅の差の絶対値を計算し、輝線幅差とした。
(光学フィルムの評価)
上記のようにして得られた光学フィルムについて、フィルム厚み測定器(セイコーEM社製、接触式厚み測定器Millitron1240)を用い、光学フィルムの厚みを測定した。また、フィルムの幅方向において5mm間隔で厚みを測定し、隣り合う測定点の
厚みの差の絶対値を求めた。結果を下記の表1に示す。
Figure 2012071613
表1から明らかなように、Tダイのリップエッジの輝線幅差の平均値を50μm以下とし、且つ30°、45°、60°の3方向で測定した輝線幅差を2μm/5mm以下とすれば、厚みむらを効果的に小さくし得る。また、Tダイのリップランド表面をHCrで処理することにより、ダイラインの発生を効果的に抑制することができ、良好な表面性状の得られることがわかる。
1…Tダイ
2…樹脂流路
2a…樹脂流入口
2b…マニホールド
2c…リップランド
2d…リップエッジ
2e…天面
3…マイクロスコープ
4…押出機
5…Tダイ
6…冷却ロール
7…タッチロール
8…フィルム
A…輝線幅

Claims (3)

  1. 押出成形に用いるTダイの樹脂吐出方向とは逆向きにリップエッジを臨む方向を0°、樹脂吐出方向及びTダイのランド面と直交し、リップエッジを臨む方向を90°としたとき、45°方向から臨むリップエッジ輝線幅の平均値が50μm以下であり、且つ30°、45°、60°の3方向から臨む輝線幅差がそれぞれTダイの幅方向において2μm/5mm以下として押出成形により得られ、未延伸のフィルムであって、かつ非晶性熱可塑性樹脂からなり、平均厚みRが200μm以下であり且つ幅方向の厚みむらが2.5×10-3Rμm/5mm以下であることを特徴とする光学フィルム。
  2. 請求項1に記載の光学フィルムが少なくとも縦一軸方向に延伸されてなる光学フィルム。
  3. 前記非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂である請求項1または2に記載の光学フィルム。
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