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JP2005280218A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂の溶融押出により光学フィルムを製造する方法であって、
むらが少ない、光学フィルムを得ることを可能とする方法を提供する。
【解決手段】 ダイ1から熱可塑性樹脂をフィルム状に押出し、ダイ出口1aから冷却ロール3との接点までの距離において、製品の有効幅以上の幅を有し、かつ長さがダイ出口1aから冷却ロールとの接点までの1/2以上に渡る第1の保温板5を冷却ロール3に接触している側とは反対側のフィルム面に近接させて配置し、かつ上記接点以降の下流部分において、製品の有効幅以上の幅を有する、第2の保温板を近接させて配置し、フィルム2を保温しつつ冷却する光学フィルムの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学用途やディスプレイなどに用いられる光学フィルムの製造方法に関し、より詳細には、熱可塑性樹脂の溶融押出法を用いた製造方法であって、厚み精度に優れた光学フィルムを得ることを可能とする製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイなどに用いられる位相差補償フィルムにおいては、位相差むらによるスジ状の色むらが品質を低下させるため問題となっている。位相差補償フィルムは、一般に、無延伸の原反樹脂フィルムを延伸し、歪みを持たせることにより製造される。しかしながら、原反樹脂フィルム段階で厚みむらが生じていると、延伸により得られた位相差補償フィルムにおいて上記厚みむらに起因する位相差むらが生じることとなる。
すなわち、位相差のばらつきを小さくするには、原反樹脂フィルムの厚みばらつきを小さくすることが必要であり、原反樹脂フィルムの製造工程において、厚み精度に優れた樹脂フィルムを成形することが重要となってきている。
上記のような観点から、従来、光学フィルム用の原反樹脂フィルムの製造に際しては、厚み精度を高めることができるため、溶液流延法による製法が多用されてきている。
しかしながら、溶液流延法による製膜では、生産性が十分でなく、かつ溶剤コストが高くつくという問題があった。そのため、溶融押出による製膜方法の採用が検討されている。
例えば、下記の特許文献1には、液晶表示装置の偏光板などに用いられるポリビニルアルコールフィルムの製造方法であって、溶融押出成形法を用いた製造方法が開示されている。ここでは、フレキシブルリップからなるダイを用い、該フレキシブルリップのリップエッジのRを200μm以下とすることにより、厚みばらつきの少ないポリビニルアルコールフィルムを押出成形により得ることができると記載されている。
他方、下記の特許文献2には、非晶性熱可塑性樹脂を溶融押出法により製膜するに際し、フィルム端部を静電ピニングにより固定することにより、厚みのばらつきを10%以下とする方法が開示されている。
特開2002−28941号公報 特開2003−232925号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、リップ間隔を調整し、かつリップエッジのRを小さくしたとしても、光学フィルムに要求されるような高い厚み精度を有する樹脂フィルムを押出成形により得ることはやはり困難であった。
また、特許文献2に記載の製造方法では、フィルム端部を静電ピニングで固定することにより厚みのばらつきが10%以下とされているが、光学フィルムではより一層の厚みばらつきの低減が求められている。
すなわち、厚み精度が十分でない場合には、長さむらが発生しやすくなり、巻回した場合に、外観が悪化しがちであった。また、偏光子を保護するための偏光子保護フィルムに
光学フィルムを用いた場合には、厚み精度が十分でない場合には、密着むらが生じることとなる。さらに、位相差板の原反フィルムとして用いた場合においても、光学フィルムの厚み精度が十分でない場合には、延伸により位相差むらが生じるという問題がある。従って、光学フィルムでは、厚み精度をより一層改善することが強く求められている。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、生産性に優れた溶融押出法を用いており、しかも厚み精度がより一層高められた光学フィルムを得ることを可能とする製造方法を提供することにある。
本発明は、熱可塑性樹脂を溶融押出により製膜する光学フィルムの製造方法において、ダイ出口から冷却ロールとの接点までの距離であるエアーギャップにおいて、冷却ロールに接触される側とは反対側のフィルム面に接近させて、幅が該フィルムの有効幅以上でありかつ長さがエアーギャップの少なくとも1/2以上の領域に第1の保温板を配置し、前記フィルムの冷却ロールとの接点以降の下流部分において、冷却ロールに接触される面とは反対面側のフィルム面に近接させてフィルムの有効幅以上の幅を有する第2の保温板を配置することを特徴とする。
好ましくは、上記第1,第2の保温板とフィルム面との距離が1mm以下となるように第1,第2の保温板がフィルムに近接される。
本発明に係る製造方法では、好ましくは、熱可塑性樹脂としてノルボルネン系樹脂が用いられる。
また、本発明に係る製造方法では、好ましくは、フィルムの幅方向端部が静電ピニングにより抑えられている。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、熱可塑性樹脂の溶融押出により、光学フィルムが得られる。この製造方法に用いられる装置の例を図1に概略構成図で示す。図1に示すように、ダイ1の出口1aから熱可塑性樹脂をフィルム状に溶融押出する。フィルム2は、冷却ロール3に接触されて冷却される。冷却ロール3の下流には、第2の冷却ロール4が配置されている。
本発明の特徴は、上記フィルム2の冷却に際し、第1,第2の保温板5,6を用いて保温しつつ冷却が行われることにある。
第1の保温板5は、幅は、フィルム2の有効幅を有し、かつ長さは、エアーギャップLの少なくとも1/2以上の領域に渡るように構成されている。エアーギャップLとは、図1に示されているように、ダイ1の出口1aから、フィルム2が冷却ロール3に接する接点までの距離をいうものとする。第1の保温板5は、フィルム2の冷却ロール3に接触される側とは反対側のフィルム面を上記幅及び長さの領域に渡り保温するように構成されている。
第1の保温板5によりフィルム2を保温することにより、外乱による影響を抑制することができ、溶融押出されたフィルム2における温度変化が均一化され得る。そのため、フィルム2の厚み精度を高めることができる。
上記の保温板5は、熱溶融押出直後における外乱を抑制するために設けられているもの
であり、言い換えれば、フィルム2がダイ出口1aから押し出され、冷却ロール3に接触するまでの間の温度変化を均一にするために設けられているものである。従って、第1の保温板5は、フィルム2の冷却ロール3側とは反対側のフィルム面にできるだけ近接配置されていることが望ましく、保温板5とフィルム面との間の距離は1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。1mmより大きくなると、フィルムの温度が不均一となり、厚みむらが生じ易くなるおそれがある。
また、第1の保温板5の長さは、ダイ1の出口1aから冷却ロール3とフィルム2との接点までの距離、すなわちエアーギャップLにおいて、少なくとも1/2以上であることが必要であり、エアーギャップLの80%以上の長さに渡ることが好ましい。エアーギャップLの1/2未満では、外乱の影響を受けやすくなり、フィルム2の厚みむらが生じやすくなるおそれがある。
第1の保温板5は、必ずしも必要ではないが、ヒータを有していることが望ましい。ヒータは、出口1aから冷却ロール3とフィルム2との接点までにおいてフィルム2の温度が徐々に低下するように、言い換えれば冷却速度を均一かつ低くするように保温する機能を有する加熱手段により構成され得る。この場合、第1の保温板5のフィルム2に対向している面内の温度が均一であることが望ましく、従ってこのような保温を可能とするヒータとしては、近赤外線ヒータよりも遠赤外線ヒータが望ましい。
また、フィルム2の端部は静電ピニングで抑えることにより安定化することができる。従って、幅方向端部を静電ピニングで抑えることが可能である限り、第1の保温板5の幅は、フィルム2から切り出される製品の有効幅以上であればよいが、フィルム2の幅方向寸法よりは短いことが望ましい。
第1の保温板5の材質は特に限定されないが、耐熱性に優れていることが望ましいため、例えば、鋼、ステンレスまたはアルミニウムなどの金属により形成されていることが望ましい。
本発明では、上記第1の保温板5の下流に第2の保温板6が配置されている。第2の保温板6は、フィルム2と冷却ロール3との接点の下流部分に配置されている。図1では、第2の保温板6は、第1の保温板5と分離されているが、第1の保温板5の下流側端部に第2の保温板6が連ねられていてもよい。
第2の保温板6は、上記接点以降の下流部分においてフィルム2を冷却ロール3と接触している側とは反対側のフィルム面から保温するために設けられている。冷却ロール3の外周面は円筒曲面である。従って、第2の保温板6は、該円筒曲面上に接触しているフィルム2を保温するために、対応した円筒曲面6aを有する。すなわち、第2の保温板6は、上記円筒曲面6aを有し、該円筒曲面6aとフィルム2との間の距離は、できるだけ短い方が好ましい。
好ましくは、円筒曲面6aとフィルム2との間の距離は1mm以下、より好ましくは0.5mm以下とされる。円筒曲面6aとフィルム2のフィルム面の間の距離が1mmを超えると、第2の保温板6による保温効果が十分に得られず、すなわちフィルム2の温度変化が均一になり難いおそれがあり、厚み精度に優れたフィルム2を得られないことがある。
上記第2の保温板6の幅方向寸法は、第1の保温板5の幅方向寸法と同様に、最終的に得られる製品の有効幅以上であればよい。
また、第2の保温板6における円筒曲面6aの長さ、すなわちフィルム2の長さ方向に沿う寸法は長い方が好ましく、具体的には100mm以上の長さに渡ることが望ましい。第2の保温板6の長さ方向寸法が十分でない場合には、保温板6により温度変化を均一にする効果が十分に得られず、厚み精度に優れた光学フィルムを得られないことがある。
第2の保温板6についても、その材質は特に限定されないが、耐熱性に優れた、例えば鋼、ステンレスまたはアルミニウムなどの金属からなることが望ましい。
上記のように、本発明に係る光学フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂の溶融押出に際し、エアーギャップL、並びにエアーギャップLに続く部分において、第1,第2の保温板5,6を配置し、第1,第2の保温板5,6によりフィルム2の冷却に際しての温度変化を均一化し、それによって厚みむらの少ないフィルムを得ることを可能としたことに特徴を有するものである。
本発明の光学フィルムの製造方法において用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されず、加熱により溶融し、冷却により固化する様々な熱可塑性樹脂が用いられる。
本発明に係る光学フィルムの製造に際して用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、好ましくは、非晶性熱可塑性樹脂が用いられる。非晶性熱可塑性樹脂とは、ほとんど結晶構造をとりえない無定形状態を保つ高分子であり、そのガラス転位点Tgは樹脂によって異なるため、特に限定されるものではないが、一般にTgは100℃以上である。上記非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリサルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルまたはノルボルネン系樹脂などが挙げられる。上記非晶性熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂の中でも、固有複屈折率が低くかつ光弾性係数が小さいため、ノルボルネン系樹脂が好適に用いられる。また、ノルボルネン系樹脂は、温度の低下により急激に固化する樹脂であるため、金属ロールと樹脂との接点における厚みの変動が他の非晶性熱可塑性樹脂に比べて生じ易い。従って、ノルボルネン系樹脂を用いた場合には、本発明の製造方法による効果、すなわち厚みばらつきの低減効果がより大きい。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加重合体並びにこれらの誘導体などが挙げられる。
また、ノルボルネン系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)や、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンなどのノルボルネン系誘導体などが挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物としては、ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合した後、残留している二重結合を水素添加したものが広く用いられ得る。なお、開環重合体水素添加物は、ノルボルネン系モノマーの単独重合体であっ
てもよく、ノルボルネン系モノマーと他の環状オレフィン系モノマーとの共重合体であってもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加重合体としては、ノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、炭素数が2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなどが挙げられる。中でも、共重合性に優れているため、エチレンが好適に用いられる。また、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンが存在している方が共重合性を高めることができ、好ましい。
上記ノルボルネン系樹脂は、公知であり、商業的に入手可能である。公知のノルボルネン系樹脂の例としては、例えば、特開平1−240517号公報に記載されているものが挙げられ、商業的に入手され得るノルボルネン系樹脂の例としては、例えば、JSR社製、商品名「アートン」シリーズ、日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア」シリーズなどが挙げられる。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で、必要に応じて、種々の添加剤が添加されてもよい。このような添加剤としては、熱可塑性樹脂の劣化防止や、成形された光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、あるいは平滑性などを向上させる様々な添加剤が挙げられ、フェノール系もしくはリン系の酸化防止剤、ラクトン系などの熱劣化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系などの紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系や部分エーテル系などの滑剤;アミン系などの帯電防止剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、1種もしくは2種以上添加され得る。
また、本発明においては、フィルムを冷却するために冷却ロールが用いられるが、この冷却ロールの材質についても特に限定されず、例えば、炭素鋼またはステンレス鋼などからなるものが挙げられる。冷却ロールの温度が低すぎると、冷却ロールに接触しているフィルム面のみが急速に冷却され、しわが発生するおそれがある。また、冷却ロールの温度が高すぎると、フィルムが十分に冷却されないため、厚みむらが生じるおそれがある。従って、冷却ロールの温度は、適切な温度範囲に設定されることが望ましい。適切な温度領域は、使用する熱可塑性樹脂によって大きく異なるが、例えば非晶性熱可塑性樹脂の場合、樹脂のガラス転移温度をTgとした場合、Tg−100℃〜Tg−10℃の範囲とすることが望ましい。
また、ダイの温度が変動していると樹脂の流動性が変化するため、ダイの温度も均一であることが望ましく、好ましくは設定温度±0.5℃以下、より好ましくは±0.2℃以下とされることが望ましい。
上記エアーギャップLは、外乱の影響を抑制する上では短い方が好ましく、エアーギャップLが長すぎると外乱の影響を受けやすくなり、かつフィルム温度が低くなりすぎるおそれがある。具体的には、エアーギャップLは90mm以下が好ましく、70mm以下がさらに好ましい。
なお、本発明の製造方法では、複数の冷却ロールが用いられてもよく、その場合、複数の冷却ロールを通過する際に、フィルムが徐々に冷却され、フィルムにおける歪みや厚みむらを低減することができ、望ましい。複数本の冷却ロールが用いられる場合、上流側の
冷却ロールと下流側の冷却ロールにおいて、フィルムの冷却収縮に伴う速度を異ならせることが一般的である。この速度比は、上流側の冷却ロールにおける速度を100とした場合、下流側の冷却ロールの速度を99〜99.99の範囲内とすることが望ましい。もっとも、この速度比は使用する樹脂によって異なるため一義的には定め得ない。
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、ダイ出口から冷却ロールとフィルムとの接点までの距離であるエアーギャップにおいて、第1の保温板が冷却ロールに接触される側とは反対側のフィルム面に近接されて配置され、該第1の保温板の幅方向がフィルムの有効幅以上であり、かつ長さがエアーギャップLの少なくとも1/2以上に渡っており、フィルムの冷却ロールとの接点以降の下流部分においては、第2の保温板がフィルム面に近接されており、第2の保温板は、フィルムの有効幅以上の幅を有する。
従って、溶融押出されたフィルムが、徐々に冷却されるとともに、第1,第2の保温板による保温効果により、冷却されているフィルムにおける温度変化が均一化され、厚みむらの少ない光学フィルムを得ることが可能となる。
よって、光ディスクや液晶ディスプレイといった光学分野において好適に用いられる、厚み精度に優れた光学フィルムを提供することができ、本発明により得られた光学フィルムは、光ディスクの保護フィルムや偏光子の保護フィルムなどに好適に用いられる。さらに、厚みばらつきが少ないため、本発明により得られた光学フィルムは、位相差板の延伸前の原反フィルムとしても好適に用いられ、それによって位相差むらの少ない位相差板を得ることができる。
熱可塑性樹脂としてノルボルネン系樹脂を用いた場合には、ノルボルネン系樹脂が固有複屈折率が低く光弾性係数が小さいため、光学特性に優れたフィルムを得ることができる。
また、フィルムの幅方向端部を静電ピニングで抑えた場合には、厚みばらつきをより一層低減することができる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR1420」、Tg=135℃)を110℃×3時間の条件で予備乾燥したもの)を、下記の押出機、ギアポンプ、及びTダイを有する溶融押出装置を用いて溶融押出し、外径300mm、幅1900mmであり、オイルにより120℃の温度に調節されているロール偏心5μmの金属からなる冷却ロールに、エアーギャップLが65mmとなるようにして接触させた。
溶融押出装置の仕様………L/D=32、開口径が100mm、押出温度が220〜280℃に調整され、押出速度が120kg/時間とされている溶融押出機と、ギアポンプと、リップクリアランスが800μmであり、自動調整ボルトを有し、280℃の温度に設定されており、誤差が±0.1℃以下である幅1800mmのコートハンガータイプのTダイとを有する。
フィルムの冷却に際し、エアーギャップにおける長さが50mm、フィルムと冷却ロールとの接点以降の200mmの長さに渡って、幅が1400mmの保温板を、フィルム面
との距離が1mmとなるように配置した。すなわち、第1,第2の保温板が一体化された保温板を用いた。また、フィルム端部は静電ピニングを用いて抑えた。
上記の条件で、幅1400mmのフィルムを製造し、得られたフィルムについて、セイコーEM社製接触式厚み測定器Millitron1240を用い、幅方向において5mmピッチで厚みを測定した。さらに、流れ方向において100mm間隔で、同様に厚みの測定を行った。各厚みの測定はN=5で行った。このようにして得られた厚みから平均厚みを求めた。 、
平均厚みは58.5μmであった。また、上記のようにして測定された全点における厚みの最大値から最小値を減算し、厚み差を求めた。また、N=5における厚み差は、1.59、1.16、1.54、1.27及び1.31μmであり、平均厚み差は1.37μmであった。
(実施例2)
保温板とフィルムとの距離を0.5mmに変更したことを除いては、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。得られたフィルムの平均厚みは60μmであり、厚み差は0.54、1.13、1.77、1.07及び0.93μmであり、平均厚み差は1.09μmであった。
(実施例3)
フィルム面と保温板との距離は0.5mmとし、表面温度が150℃となるように遠赤外線ヒーターにより加熱されている保温板を用いたことを除いては、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。得られたフィルムの平均厚みは60μmであり、厚み差は0.86、0.65、0.71、0.65及び0.75μmであり、平均厚み差は0.72μmであった。
(実施例4)
フィルム面と保温板との距離を3mmとしたことを除いては、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。その結果、得られたフィルムの平均厚みは61.2μmであり、厚み差は3.02、2.56、2.88、2.42及び2.88μmであり、平均厚み差は2.75μmであった。
(比較例1)
保温板を用いなかったことを除いては、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。その結果、フィルムの平均厚みは60μmであり、厚み差は8.80、8.77、8.19、7.71及び6.19μmであり、平均厚み差は7.93μmであった。
本発明の光学フィルムの製造方法に用いられる装置の本実施形態の概略構成図。
符号の説明
1…ダイ
1a…ダイ出口
2…フィルム
3…冷却ロール
4…冷却ロール
5…第1の保温板
6…第2の保温板
6a…円筒曲面

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂を溶融押出により製膜する光学フィルムの製造方法において、ダイ出口から冷却ロールとの接点までの距離であるエアーギャップにおいて、冷却ロールに接触される側とは反対側のフィルム面に接近させて、幅が該フィルムの有効幅以上でありかつ長さがエアーギャップの少なくとも1/2以上の領域に第1の保温板を配置し、前記フィルムの冷却ロールとの接点以降の下流部分において、冷却ロールに接触される面とは反対面側のフィルム面に近接させてフィルムの有効幅以上の幅を有する第2の保温板を配置することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記第1,第2の保温板とフィルム面との距離が1mm以下とされている請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂である請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記フィルムの幅方向端部を静電ピニングにより抑える請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。

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