JP2005284141A - 光学フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生産性に優れた押出成形法により得ることができ、厚みむらが非常に小さい光学フィルムを得ることを可能とする製造方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂の押出成形により光学フィルムを製造する方法であって、リップエッジ輝線幅の平均値が50μm以下であり、かつ輝線幅差がTダイ5の幅方向において3μm/9mm以下であるTダイを用いて熱可塑性樹脂を押出す、光学フィルムの製造方法。
【選択図】 図3
【解決手段】 熱可塑性樹脂の押出成形により光学フィルムを製造する方法であって、リップエッジ輝線幅の平均値が50μm以下であり、かつ輝線幅差がTダイ5の幅方向において3μm/9mm以下であるTダイを用いて熱可塑性樹脂を押出す、光学フィルムの製造方法。
【選択図】 図3
Description
本発明は、例えば液晶ディスプレイなどにおいて位相差補償フィルムなどに用いられる光学フィルム及びその製造方法に関し、より詳細には、押出成形により得られ、厚みむらが少ない光学フィルム及びその製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイなどに用いられる位相差補償フィルムにおいては、位相差むらによるスジ状の色むらが品質を低下させるため問題となっている。位相差補償フィルムは、一般に、無延伸の原反樹脂フィルムを延伸し、歪みを持たせることにより製造される。しかしながら、原反樹脂フィルム段階で厚みむらが生じていると、延伸により得られた位相差補償フィルムにおいて上記厚みむらに起因する位相差むらが生じることとなる。すなわち、位相差のばらつきを小さくするには、原反樹脂フィルムの厚みばらつきを小さくすることが必要であり、原反樹脂フィルムの製造工程において、厚み精度に優れた樹脂フィルムを成形することが重要となってきている。
上記のような観点から、従来、光学フィルム用の原反樹脂フィルムの製造に際しては、厚み精度を高めることができるため、溶液流延法による製法が多用されてきている。
しかしながら、溶液流延法による製膜では、生産性が十分でなく、かつ溶剤コストが高くつくという問題があった。そのため、溶融押出による製膜方法の採用が検討されている。
例えば、下記の特許文献1には、液晶表示装置の偏光板などに用いられるポリビニルアルコールフィルムの製造方法であって、溶融押出成形法を用いた製造方法が開示されている。ここでは、フレキシブルリップからなるダイを用い、該フレキシブルリップのリップエッジのRを200μm以下とすることにより、厚みばらつきの少ないポリビニルアルコールフィルムを押出成形により得ることができると記載されている。
特開2002−28941号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、リップ間隔を調整し、かつリップエッジのRを小さくしたとしても、光学フィルムに要求されるような高い厚み精度を有する樹脂フィルムを押出成形により得ることはやはり非常に困難であった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、生産性に優れた押出成形法により光学フィルムに要求される厚み精度が非常に高い樹脂フィルムを得ることを可能とする製造方法、並びにこのような厚み精度が非常に高い光学フィルムを提供することにある。
本発明は、押出成形により光学フィルムを製造する方法であって、リップエッジの輝線幅の平均値が50μm以下であり、かつ輝線幅差がTダイの幅方向において3μm/9mm以下であるTダイを用いて光学フィルムを押出すことを特徴とする。輝線幅を図1及び図2を参照して、説明する。図2は、Tダイの流路面を示す模式的断面図である。Tダイ1は流路2を有し、流路2から排出口2aを経て樹脂が押し出されるように構成されている。そして、図2(a)に示すように、Tダイ1のランド面1aにリップエッジ1bが設けられている。このリップエッジ1bの幅方向寸法Aが輝線幅である。
本発明に係る製造方法では、好ましくは、Tダイリップの表面仕上げはHCrメッキにより行われている。
本発明に係る光学フィルムは、本発明の製造方法により得られたものであり、非晶性熱可塑性樹脂からなり、平均厚みRが100μm以下でありかつ幅方向の厚みむらが3.3×10-3Rμm/5mm以下であることを特徴とする。
本発明に係る光学フィルムでは、好ましくは、少なくとも縦一軸方向に延伸されている。
また、上記非晶性熱可塑性樹脂としては、好ましくはノルボルネン系樹脂が用いられる。
以下、本発明の光学フィルムの製造方法の詳細を説明する。
本発明に係る光学フィルムの製造に際して用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、好ましくは、非晶性熱可塑性樹脂が用いられる。非晶性熱可塑性樹脂とは、ほとんど結晶構造をとりえない無定形状態を保つ高分子であり、そのガラス転位点Tgは樹脂によって異なるため、特に限定されるものではないが、一般にTgは100℃以上である。上記非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリサルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルまたはノルボルネン系樹脂などが挙げられる。上記非晶性熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂の中でも、固有複屈折率が低くかつ光弾性係数が小さいため、ノルボルネン系樹脂が好適に用いられる。また、ノルボルネン系樹脂は、温度の低下により急激に固化する樹脂であるため、金属ロールと樹脂との接点における厚みの変動が他の非晶性熱可塑性樹脂に比べて生じ易い。従って、ノルボルネン系樹脂を用いた場合には、本発明の製造方法による効果、すなわち厚みばらつきの低減効果がより大きい。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加重合体並びにこれらの誘導体などが挙げられる。
また、ノルボルネン系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)や、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンなどのノルボルネン系誘導体などが挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物としては、ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合した後、残留している二重結合を水素添加したものが広く用いられて得る。なお、開環重合体水素添加物は、ノルボルネン系モノマーの単独重合体であってもよく、ノルボルネン系モノマーと他の環状オレフィン系モノマーとの共重合体であ
ってもよい。
ってもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加重合体としては、ノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、炭素数が2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなどが挙げられる。中でも、共重合性に優れているため、エチレンが好適に用いられる。また、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンが存在している方が共重合性を高めることができ、好ましい。
上記ノルボルネン系樹脂は、公知であり、商業的に入手可能である。公知のノルボルネン系樹脂の例としては、例えば、特開平1−240517号公報に記載されているものが挙げられ、商業的に入手され得るノルボルネン系樹脂の例としては、例えば、JSR社製、商品名「アートン」シリーズ、日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア」シリーズなどが挙げられる。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で、必要に応じて、種々の添加剤が添加されてもよい。このような添加剤としては、熱可塑性樹脂の劣化防止や、成形された光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、あるいは平滑性などを向上させる様々な添加剤が挙げられ、フェノール系もしくはリン系の酸化防止剤、ラクトン系などの熱劣化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系などの紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系や部分エーテル系などの滑剤;アミン系などの帯電防止剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、1種もしくは2種以上添加され得る。
本発明の製造方法では、押出成形により上記熱可塑性樹脂を成形し、光学フィルムが得られる。この場合、フィルムの押出成形に用いられるTダイのリップエッジ輝線幅の平均が50μm以下であり、かつ輝線幅差がTダイの幅方向において3μm/9mm以下であるTダイが用いられる。
ここで、輝線幅差とは、図2に示すように、輝線幅の測定におけるある測定点での値と、他の測定点での値との絶対値を示すものとする。リップエッジは、Tダイでは樹脂吐出側の両端に存在するが、両端のリップエッジのいずれにおいても、上記条件を満たす必要がある。
本発明に係る製造方法では、Tダイのリップエッジが上記のように構成されているため、先端が欠けがたく、従って光学フィルムを製造した場合、ダイラインがフィルムに発生し難い。もっとも、輝線幅の平均値を小さくするのは困難であるため、上記のように、輝線幅差を均一にすることが非常に重要である。Tダイのリップランド面は、真直度は10μm未満であることが好ましく、より好ましくは5μm以下であり、面粗度はJIS B0601において規定されているRy値で0.1μm以下であることが望ましい。また、ピットやピンホールがないことが望ましく、リップエッジの欠けの大きさはエッジ先端から流入方向側に向かって15μm未満であることが望ましい。
本発明では、上記非晶性熱可塑性樹脂が押出機に取り付けられたTダイからシート状に押し出され、しかる後、冷却ロールに密着される。図3は、本発明に係る製造方法に用いられる装置の概略構成図である。図3に示すように、押出機4から熱可塑性樹脂が押し出され、Tダイ5に供給される。Tダイ5で熱可塑性樹脂が製膜され、フィルム8が排出さ
れ、冷却ロール6に接触され、冷却される。なお、7はタッチロールであり、冷却ロール6にフィルム8を接触させるために設けられている。このようにして得られたフィルム8は、ロール9,10を経て巻き取られる。
れ、冷却ロール6に接触され、冷却される。なお、7はタッチロールであり、冷却ロール6にフィルム8を接触させるために設けられている。このようにして得られたフィルム8は、ロール9,10を経て巻き取られる。
上記製造方法では、フィルム8の厚みむらを効果的に低減することができる。ここで、厚みむらとは、フィルム8の幅方向において、ある測定点における厚みと、幅方向において、5mm隔てられた位置における厚みとの差の絶対値をいうものとする。
Tダイ5の出口から半溶融状態のフィルム8が排出され、該フィルム8が冷却ロール6に接触される。ここで、上記Tダイ5の出口からフィルム8が冷却ロール6に接する接点までの距離、すなわちエアギャップは短いほうが好ましい。エアギャップが短いほうが、外乱による厚みばらつきを低減することができる。従って、エアギャップは70mm以下とすることが望ましい。
また、フィルム8が冷却ロール6に接触する際に、冷却ロール6とフィルム8との間に空気が入らないことが望ましく、かつ冷却速度が全面で均一であることが望ましい。従って、上記接点の下流側近傍において、タッチロール7などの押圧手段によりフィルム8を冷却ロール6側に押圧することが望ましい。
押圧手段としては、タッチロール7に限定されず、エアナイフや静電ピニングなどを用いてもよい。もっとも、安定性に優れ、フィルム8を均一に冷却ロール6に圧接させ得るため、弾性材料からなる表面を有するタッチロールを用いることが望ましい。
冷却ロールの温度は、フィルム8を構成する樹脂の種類によっても異なるが、用いられている樹脂のガラス転移点Tgとしたとき、Tg−10℃〜Tg−100℃の範囲であることが望ましい。
光学フィルムの平滑性と透明性とを確保するために、冷却ロール6の表面粗さは、JIS B0601に定義されているRy値で0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下とすることが好ましい。上記冷却ロール6は様々な材料で構成され得るが、好ましくは金属からなり、例えば炭素鋼やステンレス鋼などにより構成されているものが好適に用いられる。金属からなる冷却ロール6を用いた場合、冷却ロール6の温度を速やかに一定温度に維持することができ、かつフィルム8を効率よく冷却することができる。
Tダイ5の温度がばらついていると、樹脂の流動性が変化するので、Tダイ5の温度は安定していることが望ましい。好ましくは、Tダイ5のフィルム8を構成する溶融樹脂に接触する部分の温度は、設定温度±0.5℃以内、より好ましくは設定温度±0.2℃以内に保たれていることが望ましい。
また、一般に、ロール温度は樹脂の固化点に大きく影響を与える。従って、冷却ロール6を様々な温度に温度調節できる構造を有するように、冷却ロール6の軸芯部に温度調節機構を連結もしくは内蔵する構造を有することが望ましい。好ましい温度調節手段としては、シーズヒーターを軸芯部に組み込んで冷却ロール6を適当な温度に設定するように加熱する電気加熱方式の温度調節手段、あるいは誘導発熱コイルによる電磁誘導作用による温度調節手段、軸芯部に設けられた流路に温度制御用の熱媒体を循環させて冷却ロールを設定温度に加熱する熱媒体循環加熱方式などの温度調節手段が用いられ得る。特に好ましいのは、熱媒体循環加熱方式であり、熱媒体としては気体を用いてもよく、水または油などの液体を用いてもよい。好ましくは、熱容量が大きい、水や油などの液体を用いることが望ましい。このような熱媒体流路の好適な例としては、内部に二条スパイラル構造または四条スパイラル構造を有するものが挙げられる。
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、熱可塑性樹脂を押出成形することにより、光学フィルムが得られるが、押出成形に用いられるTダイのリップエッジ輝線幅の平均値が50μm以下であり、かつ輝線幅差がTダイの幅方向において3μm/9mm以下である。従って、光学フィルムの押出成形が安定に行われ、厚みむらの少ない光学フィルムを提供することが可能となる。
Tダイリップの表面仕上げがHCrメッキで行われている場合には、Tダイリップの表面が平滑であり、従ってより一層厚みばらつきの少ない光学フィルムを得ることができる。
非晶性熱可塑性樹脂が用いられ、平均厚みRが100μm以下であり、かつ幅方向の厚みむらが3.3×10-3Rμm/5mm以下である本発明の光学フィルムは、本発明の製造方法に従って得ることができ、上記のように幅方向の厚みばらつきが非常に小さいため、位相差板などの光学フィルムとして好適に用いられ得る。
本発明に係る光学フィルムでは、好ましくは、少なくとも縦一軸方向に延伸されており、従って、幅方向だけでなく、長さ方向においても、厚みむらが少ない光学フィルムを提供することができる。非晶性熱可塑性樹脂としてノルボルネン系樹脂が用いられている場合には、固有複屈折率が低く、光弾性係数が小さいため、本発明に従って厚みむらが少ないだけでなく、光学特性に優れた光学フィルムを提供することができる。また、ノルボルネン系樹脂では、押出成形に際しての厚みばらつきが生じ易いが、本発明の製造方法を用いることにより、厚みばらつきの少ないノルボルネン系樹脂からなる光学フィルムを安定的に提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(光学フィルムの製造)
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR1420」、Tg=135℃)を用意し、110℃の温度で3時間予備乾燥した。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR1420」、Tg=135℃)を用意し、110℃の温度で3時間予備乾燥した。
図3に概略構成を示した装置を用い、光学フィルムを押出成形により得た。なお、図3に示した製造装置の仕様は、以下の通りである。
押出機4…短軸式押出機、口径=100mm、L/D=32
Tダイ5…有効幅1800mm、片面ベンディング式自動Tダイ、リップ調整ボルト間隔=36mm、ボルト本数=52本、流路面表面処理=HCrメッキ及びWCの溶射の2種類のTダイを用意した。
Tダイ5…有効幅1800mm、片面ベンディング式自動Tダイ、リップ調整ボルト間隔=36mm、ボルト本数=52本、流路面表面処理=HCrメッキ及びWCの溶射の2種類のTダイを用意した。
冷却ロール6…3本ロール方式、外径300mm、有効幅1900mm、熱媒体温度調節機構が備えられたものである。熱媒体としてはオイルを用いた。
タッチロール7…金属の芯金ロールにゴムライニングを施し、最外層が金属スリーブで構成されているロール、外径=200mm
上記製造装置を用い、押出機4からの押出速度を120kg/時間とし、Tダイ5の温度を280℃とし、冷却ロール6の温度を120℃、タッチロール7の温度を110℃、
フィルムの有効幅を1400mm、エアギャップを65mmとし、光学フィルムを押出成形により製造した。
上記製造装置を用い、押出機4からの押出速度を120kg/時間とし、Tダイ5の温度を280℃とし、冷却ロール6の温度を120℃、タッチロール7の温度を110℃、
フィルムの有効幅を1400mm、エアギャップを65mmとし、光学フィルムを押出成形により製造した。
なお、Tダイにおける上記流路表面処理、輝線幅、輝線幅差を下記の表1に示すように種々変化させ、光学フィルムを作製した。
(輝線幅の測定)
輝線幅測定用マイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルHFマイクロスコープVH8000)を用い、輝線幅を測定した。図2(b)は、輝線幅を測定する方法を示す図であり、ここでは、マイクロスコープ3を、ランド面1aから45度傾けた方向、すなわち、リップエッジ1bに対向するように配置し、該マイクロスコープ3により輝線幅を測定した。また、輝線幅差の測定は、以下の要領で行った。
輝線幅測定用マイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルHFマイクロスコープVH8000)を用い、輝線幅を測定した。図2(b)は、輝線幅を測定する方法を示す図であり、ここでは、マイクロスコープ3を、ランド面1aから45度傾けた方向、すなわち、リップエッジ1bに対向するように配置し、該マイクロスコープ3により輝線幅を測定した。また、輝線幅差の測定は、以下の要領で行った。
Tダイ厚み調整ボルトピッチの1/4の間隔=9mm間隔で輝線幅を上記のようにして測定し、隣り合う輝線幅の差の絶対値を計算し、輝線幅差とした。
(光学フィルムの評価)
上記のようにして得られた光学フィルムについて、フィルム厚み測定器(セイコーEM社製、接触式厚み測定器Millitron1240)を用い、光学フィルムの厚みを測定した。また、フィルムの幅方向において5mm間隔で厚みを測定し、隣り合う測定点の厚みの差の絶対値を求めた。結果を、下記の表1に示す。
上記のようにして得られた光学フィルムについて、フィルム厚み測定器(セイコーEM社製、接触式厚み測定器Millitron1240)を用い、光学フィルムの厚みを測定した。また、フィルムの幅方向において5mm間隔で厚みを測定し、隣り合う測定点の厚みの差の絶対値を求めた。結果を、下記の表1に示す。
また、条件2では、輝線幅差の加工精度を2μm/9mmまで高めることにより、厚みむらを0.1μm/5mmとすることが可能であった。
条件4では、得られた光学フィルムの厚みむらは0.18μm/5mmが最大値であったが、ダイラインが濃く表れ、得られた光学フィルムの表面性に問題があった。また、条件3では、Tダイの流路表面処理はHCrで行われていたため、ダイライン不良は生じなかったが、厚みむらが最大値で0.42μm/5mmと大きかった。これは、輝線幅は40.0μmであるが、輝線幅差の最大値が7.0μm/9mmと大きかったことによる。
従って、条件1,2,及び4と条件3との比較から明らかなように、Tダイのリップエッジの輝線幅差の平均値を50μm以下とし、かつ輝線幅差を3μm/9mm以下とすれば、厚みむらを効果的に小さくし得る。また、Tダイの流路表面をHCrで処理することにより、ダイラインの発生を効果的に抑制することができ、良好な表面性状の得られることがわかる。
1…Tダイ
1a…ランド面
1b…リップエッジ
3…マイクロスコープ
4…押出機
5…Tダイ
6…冷却ロール
7…タッチロール
8…フィルム
A…輝線幅
1a…ランド面
1b…リップエッジ
3…マイクロスコープ
4…押出機
5…Tダイ
6…冷却ロール
7…タッチロール
8…フィルム
A…輝線幅
Claims (5)
- 押出成形により熱可塑性樹脂からなる光学フィルムを製造する方法であって、
リップエッジ輝線幅の平均値が50μm以下であり、かつ輝線幅差がTダイの幅方向において3μm/9mm以下であるTダイを用いて熱可塑性樹脂を押出すことを特徴とする、光学フィルムの製造方法。 - 前記Tダイのリップの表面仕上げがHCrメッキにより行われている、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1に記載の光学フィルムの製造方法により得られ、非晶性熱可塑性樹脂からなり、平均厚みRが100μm以下でありかつ幅方向の厚みむらが3.3×10-3Rμm/5mm以下であることを特徴とする光学フィルム。
- 少なくとも縦一軸方向に延伸されている、請求項3に記載の光学フィルム。
- 前記非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂である請求項3または4に記載の光学フィルム。
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JP2007098908A (ja) * | 2005-10-07 | 2007-04-19 | Sekisui Chem Co Ltd | 金型及び熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 |
JP2007320039A (ja) * | 2006-05-30 | 2007-12-13 | Sumitomo Chemical Co Ltd | アクリル系樹脂押出フィルムおよびその製造方法 |
-
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