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JP2004330651A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルムの製造方法 Download PDF

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less
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amorphous thermoplastic
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Kentaro Ogino
健太郎 荻野
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】フィッシュアイ状の欠陥をはじめとする表面欠陥のない非晶性熱可塑性樹脂からなる薄膜の光学フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】押出機に取り付けられたダイスからシート状に押し出された厚みが100μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを冷却ロールに密着させる際に、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−10℃〜Tg−40℃に温調された表面粗さRyが0.5μm以下の表面が弾性変形可能なタッチロールと剛体の冷却ロールで狭圧する。核の大きさが50μm以下、押出方向(MD)の長さが200μm以下のフィッシュアイ状の欠陥を、核の大きさが30μm以下、MDの長さが50μm以下に低減させることを特徴とする光学フィルムの製造方法。好適には、非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学用途やディスプレー分野などに用いられる光学フィルムの製造方法に関し、より詳細には、押出成形により得られる表面欠陥のない光学フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学用途やディスプレーにおいては、透明性に優れ、かつ表面欠点が少ない光学フィルムが求められている。
光学フィルムにおける欠点とは、光に透かしたとき、もしくは反射させたときに光の屈折の違いによって輝くもの(輝点)であり、その形状としては、魚の目の様な形のいわゆるフィッシュアイと呼ばれるものが大半である。
その発生原因としては、樹脂内の架橋体いわゆるゲルと呼ばれるもの、発泡、異物等である。
光学フィルムの製造方法としては、一般的には溶液キャスティング法が使用されているが、近年はコストと生産性の面から溶融押出法が盛んに研究されている。
しかしながら、溶融押出により光学フィルムを製造した場合、溶融押出中の樹脂の熱履歴による劣化で、上記フィッシュアイ状の欠陥の発生及び成長が起きやすく、非常に大きな問題となっている。
【0003】
また上記フィッシュアイ状の欠陥は、溶融押出成形において、樹脂が金型から出て、目標の厚みまでに引き落とされるときに核自身が引き延ばされるだけでなく、その周辺の欠陥のない樹脂部分までも引き延ばされるために、欠陥の大きさは核以上のものとなる。すなわち、引き落とし量の大きいフィルムの薄膜化、例えば100μm以下のフィルムの製膜を行ったときに特に大きな影響となる。近年の光学フィルムは、ディスプレーの小型化により薄膜化が強く求められており、フィッシュアイ状の表面欠点の増加、増大は深刻な問題となっている。
【0004】
この核を低減する手段として、熱分解で生じるゲル状物質や樹脂中の異物を高精度に除去するため、ポリマーフィルターと呼ばれる非常に目の細かい濾過装置が使用される。また特許文献1には、フィルター出口から金型出口までの平均滞留時間を規定することで、ゲルの成長を防ぐ方法が提案されている。しかしながら、上記の方法では、ゲルの発生、成長を減少させることができても、完全に消去することは困難であった。
【0005】
また特許文献2では、バックアップロールで冷却された表面性の優れた弾性タッチロールと金属ロールで樹脂フィルムを狭圧して、樹脂の未溶融物による突起を解消するという方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、上記方法では、得られるフィルムは100μmを越えており、そのため未溶融物以外のゲル、異物起因の核は殆ど顕在化することがなかった。
また、バックアップロールによってタッチロールの表面が冷却されているため、温度変化によって急激に固化されるような樹脂、例えばノルボルネン系樹脂等の場合、樹脂フィルムが狭圧されたときに瞬時で冷却固化されるために突起の解消には充分ではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−113767号公報
【特許文献2】
特開平04−82725号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、核をはじめとする表面欠陥のない非晶性熱可塑性樹脂からなる薄膜の光学フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明に係る光学フィルムの製造方法は、押出機に取り付けられたダイスからシート状に押し出された厚みが100μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを冷却ロールに密着させる際に、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−10℃〜Tg−40℃に温調された、表面粗さRyが0.5μm以下である弾性変形可能なタッチロールと剛体の冷却ロールで狭圧することにより、核の大きさが50μm以下、押出方向(MD)の長さが200μm以下のフィッシュアイ状の欠陥を、核の大きさが30μm以下、MDの長さが50μm以下に低減させることを特徴とする。
【0010】
本発明の製造方法によれば、表面粗さRyが0.5μm以下のタッチロール及び冷却ロールの温度を非晶性熱可塑性樹脂のTg−10℃〜Tg−40℃に制御することにより、金型から出たフィルムに含まれるフィッシュアイ状の欠点の大きさは大きく減少する。これは、フィルム中に含まれるゲル、未溶融物等の異物をつぶしてフィルム厚みと同程度の大きさにして屈折率の変化を押さえ、光に透かしたとき、または反射したときに目立ちにくくするだけでなく、特にフィルムを引き延ばし厚みを薄くしたときに現れるフィッシュアイ周辺の引き連れによる欠陥を修復できることによる。
【0011】
また、挟圧に供する2本のロールのうちタッチロールの表面が弾性を有する場合、フィルムに対する押圧力が幅方向全体に分散、均一化されるため当たりムラが発生せずに、確実にフィッシュアイをはじめとする表面欠点を減少でき、フィッシュアイ状のフィルム欠陥を修復できる時間を稼ぐことができて、この欠陥が減少しやすい。
【0012】
本発明で用いるタッチロール及び冷却ロールの温度は、非晶性熱可塑性樹脂のTg−10℃〜Tg−40℃に温度調節される。非晶性熱可塑性樹脂の種類によって最適温度は異なるが、基本的に冷却ロール温度が高い方が得られる光学フィルムの欠点は減少しやすい。
【0013】
少なくともタッチロール及び冷却ロールの一方の温度がTg−40℃以下のときは、挟圧しても非晶性樹脂は瞬間に固まるために、金型出口での核の個数と大きく変わらず効果がでない。
【0014】
逆にタッチロール、冷却ロール温度がTg−10℃以上のときは、非晶性熱可塑性樹脂の冷却不足により、ロール出口での非晶性熱可塑性樹脂の剥離ムラによる外観欠陥が発生する。
【0015】
本発明で用いられるタッチロールと冷却ロールの表面粗さは、Ryで0.5μm以下に、好ましくは0.3μm以下にすることで、フィルムの平滑性が保たれ、透明性を確保できる。
【0016】
本発明において用いられるRyとはJIS B 0601−94に定義されるものであって、基準長さ内の山の最大高さと谷の底との長さである。
【0017】
0.5μm以上の場合は、狭圧した際に表面性が悪化して、上記フィッシュアイ状の欠陥の低減効果が薄れる。
【0018】
タッチロールの表面粗さを上げる方法としては、一般に用いられている方法が利用でき、特に限定されないが、表面に研摩やメッキを施したり、金属や硬化樹脂のチューブ等を装着してもよい。
【0019】
本発明の光学フィルムの厚みが100μm以下であるということは、ディスプレーの小型化等に伴って要求されるものであり、100μmの薄膜化は非常に有効である。また核の大きさが30μm以上、MDの長さが50μm以上の表面欠陥がないことは、本フィルムを利用するディスプレー等の製品の製造効率を改善する。
【0020】
本発明の光学フィルムの製造方法に用いられる非晶性熱可塑性樹脂とは、殆ど結晶構造をとりえない無定形状態を保つ高分子であり、そのガラス転移温度(Tg)は、樹脂によって異なるため特に限定されないが、総じて100℃以上のものが好ましい。
【0021】
本発明で用いられる非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリサルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ノルボルネン系樹脂等が挙げられ、中でも、ノルボルネン系樹脂が好適に用いられる。これらの非晶性熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0022】
また、本願の第2の発明に係る光学フィルムの製造方法は、非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂からなることを特徴とする。
【0023】
光学用途に用いられる樹脂としては、主として非晶性熱可塑性樹脂が用いられるが、中でも、ノルボルネン系樹脂は、耐熱性及び透明性に優れており、固有複屈折率が低くかつ光弾性係数が小さいという利点を有する。従って、ノルボルネン系樹脂からなるフィルムは光学フィルムとして好適である。また、ノルボルネン系樹脂は温度低下によって急激に固化されるような樹脂のため、本発明の製造方法は効果的である。
【0024】
上記ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加型重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加重合体並びにこれらの誘導体等が挙げられる。これらのノルボルネン系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。なお、ポリマー分子中に不飽和結合を有する場合は、水素添加により飽和されたものが耐久性向上のために好ましい。
【0025】
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)や、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンなどのノルボルネン系誘導体等が挙げられる。
【0026】
上記ノルボルネン系モノマーの開環重合体としては、上記ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合させたものが広く用いられる。これは、ノルボルネン系モノマーの単独重合体であってもよく、異種のノルボルネン系モノマー同士の共重合体であってもよい。
【0027】
また、上記ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加型重合体としては、ノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。上記α−オレフィンとしては、炭素数2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等が挙げられ、中でも、共重合性が高いことから、エチレンが好ましく、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンが存在している方が共重合性が高められる。
【0028】
第3の発明に係る光学フィルムの製造方法では請求項1記載の弾性変形可能なタッチロールの表面に金属チューブを被覆したことを特徴とする。この場合は、内部に柔軟な材料を用いることによって十分にフィルムとロールとが密着できるだけでなく、ロールの表面を平滑することが容易である。
【0029】
タッチロールの表面に弾性を付与する材料としては、特に限定されないが、表面が平滑であり、柔軟な材料であればよく、シリコーンゴム、二トリルゴム等が挙げられ、また複数の材質のものが多層されたものでもよい。さらに多層の場合はその中で1つでも柔軟なものがあればよく、例えば表面に金属製のチューブなどを装着してもよい。
【0030】
上記金属チューブの材質は特に限定されず、炭素鋼やステンレス鋼、電鋳法で製造されたニッケル等が挙げられる。また、その表面にクロム等でメッキするなど、多層構造でもよい。
【0031】
上記金属チューブの厚みは特に限定されず、所定の圧力を加えたときフィルムに対する押圧力が均一化できる程度にタッチロールの弾性変形が可能であればよく、例えば電鋳ニッケルを用いた場合には100μm〜1mm程度であればよい。
【0032】
挟圧に供する2本のロールが両方とも剛性の金属ロールの場合は、フィルム厚みが薄いと樹脂の微少な厚みムラを吸収できずにロールとフィルムとの密着が十分でなくなり、厚みムラやフレアとなり、光学フィルムの製造には不向きである。
【0033】
通常、シートの型押し成形時には2本の対を成すロール間に溶融樹脂をフィルム状に通過させ挟圧するため、ロールは圧力に耐える材質からなる堅牢な構造を有するものであることを要する。よって、ロールの軸芯部としては、鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属製のものが好適に用いられる。
【0034】
また、一般的にロール温度は転写性に大きく影響を与えるため、ロールを適当な温度に調節できる構造の軸芯部が好ましい。好適に用いられる温度調節手段としては、シーズヒーターを軸芯部に組み込んでロールを加熱する電気加熱方式、誘導発熱式コイルによる電磁誘導作用によってロールを加熱する誘導発熱方式、軸芯部内に設けられた流路に温度制御用の熱媒体を循環させてロールを間接加熱する熱媒体循環加熱方式等が挙げられる。特に好ましいのは熱媒体循環加熱方式であり、この熱媒体は気体でもよいが、水、油等の液体の方が好ましい。熱媒体流路の好適な例としては、内部に二条スパイラルまたは四条スパイラル等の構造を有するものが挙げられる。
【0035】
タッチロールの形状は通常は円筒状であるが、中央部が若干太いクラウン形状でも問題はない。タッチロールの幅は特に限定されず、必要な製品幅以上であればよい。タッチロールと冷却ロールの外径は特に限定されない。また、どちらが大きくてもよく、同じ大きさでもよい。タッチロールの圧力は冷却ロールとフィルムが完全に密着する圧力以上であればよく、適正な圧力は樹脂の粘度などによって決まる。
【0036】
タッチロールの硬度は特に限定されず、所定の圧力を加えたときフィルムに対する押圧力が均一化できる程度に柔軟性があればよい。例えば、シリコーンゴムの場合、ショアーAで30°〜90°程度であればよい。
【0037】
冷却ロールの材質は特に限定されず、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。
【0038】
(実施例)
実施例では、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア1600」、Tg=168℃)をものを用いた。
【0039】
押出機はL/D=32、単軸押出機φ100mmのものを用い、押出温度は270〜320℃に調整した。樹脂は、ポリマーフィルターで異物を濾過した。金型としてTダイ(幅1800mm、コートハンガータイプ、リップクリアランス800μm)を用いた。冷却ロールはφ350mm、幅2000mmの鋼製ロール表面にハードクロムメッキを施した、オイル温調可能なものを用いた。タッチロールはφ350mm、幅1600mmの鋼製ロールに厚さ5mm、硬度90°のシリコーンゴムを被覆し、更に厚さ200μmのニッケルチューブを装着したものを用いた。
【0040】
上記装置を用い、以下の実施例及び比較例では、厚さ40μm、幅1600mmのフィルムを製造して、端部を除く幅1000mm、MD方向25cmの合計0.25mで評価した。なお、核の大きさは、キーエンス社製マイクロスコープを用いて斜め45°から光を当て、輝点となった部分の中央円形部分の核の大きさ及びMD方向の長さを測定した。
【0041】
(実施例1)冷却ロール、タッチロールの温度をそれぞれ120℃として光学フィルムを製造した。冷却ロール表面粗さRyは0.3μm、タッチロール表面粗さRyは0.4μmとした。フィッシュアイ状の欠陥を評価すると以下の通りであった。
核の大きさ20μm以下且つMD長さ30μm以下:10個
核の大きさ30μm以下且つMD長さ50μm以下:5個
核の大きさ又はMD長さが50μm以上:0個
核の大きさ又はMD長さが100μm以上:0個
【0042】
(実施例2)
冷却ロール、タッチロールの温度をそれぞれ140℃として光学フィルムを製造した。冷却ロール表面粗さRyは0.3μm、タッチロール表面粗さRyは0.4μmとした。
フィッシュアイ状の欠陥を評価すると以下の通りであった。
核の大きさ20μm以下且つMD長さ30μm以下:2個
核の大きさ30μm以下且つMD長さ50μm以下:0個
核の大きさ又はMD長さが50μm以上:0個
核の大きさ又はMD長さが100μm以上:0個
【0043】
(比較例1)
冷却ロールの温度を140℃とし、タッチロールを用いないで光学フィルムを製造した。冷却ロール表面粗さRyは0.3μmとした。
フィッシュアイ状の欠陥を評価すると以下の通りであった。
核の大きさ20μm以下且つMD長さ30μm以下:100個以上
核の大きさ30μm以下且つMD長さ50μm以下:約120個
核の大きさ又はMD長さが50μm以上:22個
核の大きさ又はMD長さが100μm以上:7個
(比較例2)
冷却ロール、タッチロールの温度をそれぞれ90℃として光学フィルムを製造した。冷却ロール表面粗さRyは0.3μm、タッチロール表面粗さRyは0.4μmとした。
フィッシュアイ状の欠陥を評価すると以下の通りであった。
核の大きさ20μm以下且つMD長さ30μm以下:100個以上
核の大きさ30μm以下且つMD長さ50μm以下:約100個
核の大きさ又はMD長さが50μm以上:13個
核の大きさ又はMD長さが100μm以上:4個
(比較例3)
冷却ロールの温度を140℃、タッチロールの温度を90℃として光学フィルムを製造した。冷却ロール表面粗さはRy0.3μm、タッチロール表面粗さはRy0.4μmとした。
フィッシュアイ状の欠陥を評価すると以下の通りであった。
核の大きさ20μm以下且つMD長さ30μm以下:100個以上
核の大きさ30μm以下且つMD長さ50μm以下:約70個
核の大きさ又はMD長さが50μm以上:3個
核の大きさ又はMD長さが100μm以上:2個
【0044】
(比較例4)
冷却ロール、タッチロールの温度をそれぞれ160℃として光学フィルムを製造した。冷却ロール表面粗さRyは0.3μm、タッチロール表面粗さRyは0.4μmとした。
その結果、フィルム表面に冷却ロールからの剥離ムラによる面荒れが発生した。
【0045】
(比較例5)
冷却ロール、タッチロールの温度をそれぞれ140℃として光学フィルムを製造した。冷却ロール表面粗さRyは、0.4μm、タッチロール表面粗さRyは0.8μmとした。
その結果、冷却ロール側のフィルム表面に面荒れが発生していた。
【0046】
【発明の効果】
押出機からシート状に押し出された厚みが100μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを、Tg−10℃〜Tg−40℃に温調した、表面粗さRyが0.5μm以下で表面が弾性変形可能なタッチロールと剛体の冷却ロールにより狭圧することでフィッシュアイ状の欠陥を低減させた光学フィルムが製造できる。このフィルムは、小型のディスプレイ装置に利用できる。

Claims (3)

  1. 押出機に取り付けられたダイスからシート状に押し出された厚みが100μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを冷却ロールに密着させる際に、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−10℃〜Tg−40℃に温調された、表面粗さRyが0.5μm以下である弾性変形可能なタッチロールと剛体の冷却ロールで狭圧することにより、核の大きさが50μm以下、押出方向(MD)の長さが200μm以下のフィッシュアイ状の欠陥を、核の大きさが30μm以下、MDの長さが50μm以下に低減させることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 弾性変形可能なタッチロールが、押圧面に金属チューブを被覆してなるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
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