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JP2010241811A - ジアルキルカーボネートからジアリールカーボネートまたはアルキルアリールカーボネートを調製するための方法 - Google Patents

ジアルキルカーボネートからジアリールカーボネートまたはアルキルアリールカーボネートを調製するための方法 Download PDF

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JP2010241811A JP2010080923A JP2010080923A JP2010241811A JP 2010241811 A JP2010241811 A JP 2010241811A JP 2010080923 A JP2010080923 A JP 2010080923A JP 2010080923 A JP2010080923 A JP 2010080923A JP 2010241811 A JP2010241811 A JP 2010241811A
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Abstract

【課題】ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物から、ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートを調製するための方法を提供する。
【解決手段】芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れ21と前記ジアルキルカーボネートを含有する流れ22を、供給側(Z)に供給すると共に、反応体および/または反応生成物を任意に含有する1種または複数種の中沸点留分を、気体または液体の状態で排出側(E)から排出させる反応蒸留塔において、反応領域が位置する供給側(Z)と排出側(E)の方向への液体流および/または蒸気流の横断混合を分離装置(T)によって妨げる、反応性分割壁塔を使用する方法。
【選択図】図1

Description

関連出願
この出願は、2009年4月8日に出願されたドイツ国特許出願No.102009016853.2の利益を権利として主張する。全ての有用な目的のために、該ドイツ国特許出願全体は本願明細書の一部を成す。
本発明は、反応性分割壁塔を使用して、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物から、ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートを調製するための方法に関する。
脂肪族炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物から出発するエステル交換反応によって、芳香族および脂肪族−芳香族炭酸エステル(カーボネート)を調製することは、原則として周知である。この反応は、平衡位置が脂肪族的に置換されたカーボネートの方向にほぼ完全にシフトする平衡反応である。したがって、芳香族カーボネートとアルコールから脂肪族カーボネートを調製することは比較的容易である。しかしながら、反応を芳香族カーボネートに向けて逆方向に行うためには、芳香族カーボネート側に極めて不利な平衡を効率的にシフトさせる必要があり、そのため、非常に活性な触媒だけでなく適当なプロセス条件を使用する必要がある。
このような平衡反応が塔において行われ得ること、および、該方法において、平衡が所望の生成物の形成方向へと有利にシフトできることが知られている。このことは、例えばU.ブロック著,Chem.−Ing.Techn.第49巻,第151頁(1977年)、独国特許出願公開第3809417号A、B.シュレーパー,B.グッチェ,J.ウヌックおよびL.ジェロマイン著,Chem.−Ing.−Techn.第62巻,第226頁(1990年)、ウルマンズ工業化学百科事典(Ullmans Encyclopadie der technischen Chemie),第4版、第3巻;第375頁以下(1973年)などに記載されている。
それ故に、既知の方法においては、好ましくは、エステル交換反応は1または複数の反応塔内での向流エステル交換反応として連続的におこなわれる。
しかしながら、文献(例えば、欧州特許出願公開第0461274号、独国特許出願公開第4226755号A、独国特許出願公開第4226756号A)から既知である方法においては、通常は、エステル交換反応および/または不均化反応によりジアリールカーボネートを形成する反応がおこなわれる進行過程のみが記載されている。最近の特許出願、例えば国際特許出願公開2006/033291号A1、欧州特許出願公開第1775280号A1、欧州特許出願公開第1767516号A1、欧州特許出願公開第1767517号A1、欧州特許出願公開第1767518号A1、欧州特許出願公開第1762559号A1、および欧州特許出願公開第1762560号A1は、ジアリールカーボネートを調製するための反応塔の物理的な設計に関する情報も提供する。この工程で形成される反応アルコールとジアルキルカーボネートの混合物は、反応装置から分離された装置内において分離される。
先行技術と比べて、工程の経済性を改善するために、エネルギーの消費量を減少させるための取り組みと、設備コストを減らす方策が共に要求されている。経験に基づくと、これらの2つの要求は、工業的実施を制約する場合にのみ実現できる。
欧州特許出願公開第0461274号Aには、1または複数の直列に連結された多段式の塔内において、芳香族カーボネートを調製するための連続的なエステル交換方法が開示されている。該方法においては、ジアルキルカーボネートまたはアルキルアリールカーボネートがフェノールと反応され、揮発性生成物、すなわち反応アルコールとジアルキルカーボネートは塔の上部から取り出され、ジアリールカーボネートなどの高沸点の生成物は塔の底部から取り出される。ジアルキルカーボネートと反応アルコールは共に塔の上部から取り出されるので、これらの成分を分離するためには、少なくとも1つの更なる工程が必要である。
独国特許出願公開第4226756号Aには、芳香族ヒドロキシ化合物によるジアルキルカーボネートのエステル交換反応によって、ジアリールカーボネートを調製するための二段階法が記載されており、該二段階法においては、第一段階で対応するアルキルアリールカーボネートがまず出発原料から形成され、第二段階でジアリールカーボネートが形成される。該方法の説明で開示されている情報は、反応条件、使用する触媒および反応塔のデザインに限定される。この特許出願の場合も、反応アルコールおよびジアルキルカーボネートは、塔の上部から取り出される。
独国特許出願公開第4226755号Aには、エネルギーと材料の観点から相互に連結させた2つの反応塔を用いてジアリールカーボネートを調製するための方法が記載されており、該方法においては、第一段階で芳香族ヒドロキシ化合物とジアルキルカーボネートを反応させ、第二段階で、形成されたアルキルアリールカーボネートを、芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応または不均化反応によって、ジアリールカーボネートへ変換させる。しかしながら、この方法には、材料とエネルギーの観点から該方法を統合すると、2つの段階を支配する実質的に等しい圧力によって、反応条件が固定されるので、アルキルアリールカーボネートまたはジアリールカーボネートが任意に形成されるように反応条件を選択できないという問題がある。
欧州特許出願公開第781760号Aには、触媒の存在下においてジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を反応させることにより、芳香族カーボネートを調製するための連続的な方法が記載されており、該方法においては、反応中に形成される芳香族カーボネート、アルコール副生成物、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物は連続的に取り除かれ、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物は反応系へ再循環される。この方法においても、反応器の上部端および下底部からそれぞれ取り出される2種類の留分のみが工程の反応部分で得られる。
国際特許出願公開2006/001256号Aは、触媒の存在下において芳香族ヒドロキシ化合物をジアルキルカーボネートと反応させる方法と、この目的に適する工業用装置を開示する。該方法でも、留分は上方からの生成物または底部からの生成物としてのみ取り出される。
装置およびエネルギーの観点からの適切で効率的な統合がされない限り、上記の方法の設備コストおよびエネルギーコストは既知のように高くなる。このことは、ホスゲンを使用しないアリールカーボネートの調製法の利点を生態学的および経済学的観点から疑わしいものにする。
装置とエネルギーの観点からの統合に向けた研究方法には、分割壁塔の使用が含まれる。
反応性分離方法において分割壁塔を操作する方法の例が、欧州特許第0126288号B1に記載されている。しかしながら、この文献には、この技術を、ジアルキルカーボネートのエステル交換反応によりジアリールカーボネートを調製する場合に、どのようにして適用すればよいかに関する情報は記載されていない。
反応性分離方法の別の例は、Ind.Eng.Chem.Res.、2007年,第46巻、第3709頁−第3719頁において見出されるであろう。この文献には、脂肪族ジエチルカーボネートを形成するためのジメチルカーボネートとエタノールのエステル交換反応が記載されている。したがって、この方法においても、ジアリールカーボネートは生成されない。
芳香族ヒドロキシ化合物とアルキルカーボネートのエステル交換反応においては、後者は一般に、高い変換を実現するために、芳香族ヒドロキシ化合物に対して過剰量使用される。
反応塔におけるエステル交換反応の場合、過剰に使用されるジアルキルカーボネートおよび反応において形成される反応アルコールは共に、塔の上部において分離される。芳香族ヒドロキシ化合物、反応において形成されるアルキルアリールカーボネート、存在する可能性のあるジアリールカーボネートおよびジアルキルカーボネートは、好ましくは底部の生成物中に存在する。均一触媒反応の場合、底部の生成物は触媒も含有する。
この操作方法の不都合は、過剰に使用されるジアルキルカーボネートを、独立した工程で反応アルコールから分離する必要があるということである。
反応領域より上方の濃縮区画において、反応アルコールをジアルキルカーボネートから分離することは原則として可能であるが、前者は反応塔の上部からのみ反応領域内へ導入されるので、この方法は、転化率の観点からは比較的非効率的である。この方法においては、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物の分離効率のみが増加する。しかしながら、この効果は、芳香族ヒドロキシ化合物の高い転化率を確実に可能とするために、避けられるべきである。
独国特許出願公開第3809417号A明細書 欧州特許出願公開第0461274号A明細書 独国特許出願公開第4226755号A明細書 独国特許出願公開第4226756号A明細書 国際特許出願公開2006/033291号A1明細書 欧州特許出願公開第1775280号A1明細書 欧州特許出願公開第1767516号A1明細書 欧州特許出願公開第1767517号A1明細書 欧州特許出願公開第1767518号A1明細書 欧州特許出願公開第1762559号A1明細書 欧州特許出願公開第1762560号A1明細書 欧州特許出願公開第781760号A明細書 国際特許出願公開2006/001256号A明細書 欧州特許第0126288号B1明細書
U.ブロック著,Chem.−Ing.Techn.第49巻,第151頁(1977年) B.シュレーパー,B.グッチェ,J.ウヌックおよびL.ジェロマイン著,Chem.−Ing.−Techn.、第62巻,第226頁(1990年) ウルマンズ工業化学百科事典(Ullmans Encyclopadie der technischen Chemie)、第4版、第3巻;第375頁以下(1973年) Ind.Eng.Chem.Res.、2007年、第46巻、第3709頁−第3719頁
したがって、上述の不都合を有さず、上述の既知の方法と比較してエネルギーおよび装置の観点から統合された、芳香族カーボネート(すなわち、ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネート、好ましくはジアリールカーボネート)の調製方法が、依然として要請されている。
本発明の目的は、既知の方法と比較して、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を反応させる操作、および蒸留により反応アルコールとジアルキルカーボネートの混合物を分離する操作が装置とエネルギーの観点から統合された芳香族カーボネート(すなわち、ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネート)の調製方法を提供することである。
図1は、反応性分割壁塔による第1のエステル交換反応段階を一般的に表す。 図2は、膜分離で気体状留出物を分離することを伴う反応性分割壁塔の特定の実施態様を表す。 図3は、蒸留塔で液体状留出物を分離することを伴う反応性分割壁塔の特定の実施態様を表す。 図4は、膜分離で気体状留出物を分離すること、気体状側留を凝縮すること、および生成する凝縮液と供給原料流を混合することを伴う反応性分割壁塔の特定の実施態様を表す。 図5は、膜分離で気体状留出物を分離すること、反応性分割壁塔から液体状側留を取り出すこと、およびこの側留と供給原料流を混合することを伴う反応性分割壁塔の特定の実施態様を表す。 図6は、膜分離で気体状留出物を分離すること、反応性分割壁塔から液体状側留を取り出すこと、蒸留塔内に残存する反応アルコールを除去すること、および該蒸留塔の底部の生成物と供給原料流を混合することを伴う反応性分割壁塔の特定の実施態様を表す。 図7は、膜分離で気体状留出物を分離すること、気体状側留を圧縮すること、および生成する過熱蒸気と、熱せられ任意に一部が気化した加熱供給原料流を混合することを伴う反応性分割壁塔の特定の実施態様を表す。 図8は、統合された凝縮器内での凝縮を伴う工程段階を表す。 図9は、充填物床内での凝縮を伴う工程段階を表す。
本発明の実施態様は、反応性蒸留塔において、触媒の存在下で、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物を反応させることを含むアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートの調製方法であり、該方法においては、該反応性蒸留塔は、1個または複数個の分離装置により分割され、該分離装置は長手方向において分離効果を発揮すると共に、反応領域が位置する供給側(Z)と排出側(E)の方向への液体流および/または蒸気流の横断混合を完全にまたは部分的に妨げ、該芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れ(21)と、該ジアルキルカーボネートを含有する流れ(22)は、前記供給側(Z)に供給され、同時に、反応体および/または反応生成物を任意に含有する1種または複数種の中沸点留分が、気体または液体の状態で排出側(E)から取り出される。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、1個または複数個の該分離装置が液体流および/または蒸気流の横断混合を完全に妨げる該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該流れ(21)が該反応領域より上方に供給され、該流れ(22)が該反応領域より下方に供給される該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、該ジアルキルカーボネートがジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートであり、該ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネートである該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該反応が均一触媒反応である該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該流れ(21)が該触媒を含有する方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該流れ(21)および/またはジアルキルカーボネートを含有する該流れ(22)が、気体状態または加熱状態で供給される該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該流れ(21)が液体状態または少量の蒸気を含む液体状態で導入され、該流れ(22)が気体状態または過熱状態で供給される該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、触媒を含有しないか、または最大で1重量%の触媒を含有する少なくとも1つの別の区画(K1TLO)を、該反応領域より上方の供給側(Z)に配設する該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該区画K1TLOが少なくとも1つの中間凝縮器を備え、該凝縮器における凝縮により得られる凝縮熱を当該方法のために直接にあるいは間接的に戻す該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、少なくとも1つの別の区画(K1TLU)を、反応領域より下方の供給側(Z)に配設する該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該区画K1TLUが少なくとも1つの中間凝縮器を備える該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、少なくとも1つの該中間凝縮器が該反応性蒸留塔内に組み込まれるか、または該反応性蒸留塔の外側に独立した中間凝縮器として配設される該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、少なくとも1つの該中間凝縮器が該反応性蒸留塔に組み込まれるか、または該反応性蒸留塔の外側に独立した中間凝縮器として配設される該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、該反応が100〜300℃の範囲の温度および0.5〜20barの範囲の圧力下で行われる該方法である。
本発明の別の実施態様は、上記方法において、濃縮区画(K1VT)から排出される留出物が、還流比が0.5〜50の条件下で、塔内へランバック(runback)として部分的にまたは完全に導入される該方法である。
発明の詳細な説明
反応において形成される反応アルコールおよび過剰量で使用されるジアルキルカーボネートの分離を、上記の不都合が生じることなく、反応塔内において行えることが判明した。
驚くべきことには、この事実は、反応性分割壁塔(RDWC)を使用することによって達成される。
本発明によると、長手方向において分離効果を発揮すると共に、反応領域が位置する供給側(Z)と排出側(E)の方向への液体流および/または蒸気流の横断混合を完全にまたは部分的に妨げる分離装置によって分割された反応性蒸留塔を用いて、触媒の存在下で、アルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートを、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物から調製するための方法において、芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れ(21)およびジアルキルカーボネートを含有する流れ(22)を、該供給側へ供給すると共に、反応体および/または反応生成物を含有し得る1種または複数種の中沸点留分を気体または液体の状態で該排出側から排出させることを特徴とする該方法が提供される。
このような反応性分割壁塔の構造を図1に示す。
塔(K)は、ストリッピング区画(KAT)より上方であって、濃縮区画(KVT)より下方において、長手方向に延びる分割壁(T)によって供給側と排出側に分割される。
供給側には反応領域(KTRZ)が存在する。好ましい実施態様においては、芳香族ヒドロキシ化合物および任意のエステル交換反応触媒を含有する流れ(21)は、この反応領域より上方で供給され、ジアルキルカーボネートを含有する流れ(22)は、該反応領域より下方において、好ましくは蒸気または加熱状態で供給される。
好ましくは、芳香族ヒドロキシ化合物および任意の触媒を含有する流れは、液体状態または少量の蒸気を含む液体状態で供給される(好ましくは、気体の割合は20重量%未満である)。
好ましくは、ジアルキルカーボネートを含有する流れは、気体状態または過熱状態で導入される。好ましい実施態様においては、蒸気流の過熱温度は0℃〜50℃にすることができる。
本発明により調製されるジアリールカーボネートは、好ましくは下記の一般式(I)で表されるジアリールカーボネートである:
Figure 2010241811
式中、R、R'およびR''はそれぞれ、相互に独立して、H、直鎖状のまたは分枝鎖状の任意に置換されたC−C34−アルキル(好ましくはC−C−アルキル、特に好ましくはC−C−アルキル)、C−C34−アルコキシ(好ましくはC−C−アルコキシ、特に好ましくはC−C−アルコキシ)、C−C34−シクロアルキル、C−C34−アルキルアリール、C−C34−アリールまたはハロゲン基(好ましくは塩素基)である。なお、式(I)の両側におけるR、R'およびR''は同一であってもよく、異なっていてもよい。Rは−COO−R'''であってもよく、式中、R'''はH、任意に枝分かれしたC−C34−アルキル(好ましくはC−C−アルキル、特に好ましくはC−C−アルキル)、C−C34−アルコキシ(好ましくはC−C−アルコキシ、特に好ましくはC−C−アルコキシ)、C−C34−シクロアルキル、C−C34−アルキルアリールまたはC−C34−アリールであってもよい。好ましくは、式(I)の両側におけるR、R'およびR''は同一である。R、R'およびR''は、特に好ましくはHである。
一般式(I)で表されるジアリールカーボネートの例としては、下記の化合物が挙げられる:ジフェニルカーボネート、メチルフェニルフェニルカーボネートおよびジ(メチルフェニル)カーボネートまたはこれらの混合物(ここで、メチル基はフェニル環上の任意の位置に存在することができる)、ジメチルフェニルフェニルカーボネートおよびジ(ジメチルフェニル)カーボネートまたはこれらの混合物(ここで、メチル基はフェニル環上の任意の位置に存在することができる)、クロロフェニルフェニルカーボネートおよびジ(クロロフェニル)カーボネート(ここで、塩素基はフェニル環上の任意の位置に存在することができる)、4−エチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−エチルフェニル)カーボネート、4−n−プロピルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−プロピルフェニル)カーボネート、4−イソプロピルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソプロピルフェニル)カーボネート、4−n−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ブチルフェニル)カーボネート、4−イソブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソブチルフェニル)カーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、4−n−ペンチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ペンチルフェニル)カーボネート、4−n−ヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ヘキシルフェニル)カーボネート、4−イソオクチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソオクチルフェニル)カーボネート、4−n−ノニルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ノニルフェニル)カーボネート、4−シクロヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、1−ナフチルフェニルカーボネート、2−ナフチルフェニルカーボネート、ジ(1−ナフチル)カーボネート、ジ(2−ナフチル)カーボネート、4(1−ナフチル)フェニルフェニルカーボネート、4(2−ナフチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−ナフチル)フェニル]カーボネート、ジ[4−(2−ナフチル)フェニル]カーボネート、4−フェノキシフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−フェノキシフェニル)カーボネート、3−ペンタデシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(3−ペンタデシルフェニル)カーボネート、4−トリチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−トリチルフェニル)カーボネート、メチルサリチラトフェニルカーボネート、ジ(メチルサリチラト)カーボネート、エチルサリチラトフェニルカーボネート、ジ(エチルサリチラト)カーボネート、n−プロピルサリチラートフェニルカーボネート、ジ(n−プロピルサリチラト)カーボネート、イソプロピルサリチラトフェニルカーボネート、ジ(イソプロピルサリチラト)カーボネート、n−ブチルサリチラトフェニルカーボネート、ジ(n−ブチルサリチラト)カーボネート、イソブチルサリチラトフェニルカーボネート、ジ(イソブチルサリチラト)カーボネート、tert−ブチルサリチラトフェニルカーボネート、ジ(tert−ブチルサリチラト)カーボネート、ジ(フェニルサリチラト)カーボネートおよびジ(ベンジルサリチラト)カーボネート。
好ましいジアリールカーボネートは、ジフェニルカーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル−4ーイルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネートおよびジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネートである。
特に好ましくはジフェニルカーボネートである。
本発明の目的にとって好ましく使用されるジアルキルカーボネートは、下記の式(II)で表されるジアルキルカーボネートである:
Figure 2010241811

式中、RおよびRはそれぞれ、相互に独立して、直鎖状または分枝鎖状の任意に置換されたC−C34−アルキル、好ましくはC−C−アルキル、特に好ましくはC−C−アルキルである。RおよびRは同一であってもよく、異なっていてもよい。好ましくはRおよびRは同一である。
好ましいジアルキルカーボネートはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ(n−プロピル)カーボネート、ジ(イソプロピル)カーボネート、ジ(n−ブチルカーボネート)、ジ(sec−ブチル)カーボネート、ジ(tert−ブチル)カーボネートおよびジヘキシルカーボネートである。特に好ましくは、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートである。就中、特に好ましくは、ジメチルカーボネートである。
本発明の目的にとって適する芳香族ヒドロキシ化合物は、好ましくは、下記の一般式(III)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である:
Figure 2010241811

式中、R、R'およびR''は相互に独立して、一般式(I)で与えられる意義を有することができる。
このような芳香族ヒドロキシ化合物の例としては、下記の化合物が挙げられる:フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、クレゾールの混合物、ジメチルフェノールまたこれらの混合物(ここで、メチル基はフェノール環上の任意の位置に存在することができ、例えば、2,4−,2,6−または3,4−ジメチルフェノールが含まれる)、o−、m−またはp−クロロフェノール、o−、m−またはp−エチルフェノール、o−、m−またはp−n−プロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−イソブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、4−n−ペンチルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−イソオクチルフェノール、4−n−ノニルフェノール、o−、m−またはp−メトキシフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ビフェニル−4−オール、1−ナフトール、2−1−ナフトール、4−(1−ナフチル)フェノール、4−(2−ナフチル)フェノール、4−フェノキシフェノール、3−ペンタデシルフェノール、4−トリチルフェノール、メチルサリチル酸、エチルサリチル酸、n−プロピルサリチル酸、イソプロピルサリチル酸、n−ブチルサリチル酸、イソブチルサリチル酸、tert−ブチルサリチル酸、フェニルサリチル酸およびベンジルサリチル酸。
好ましい芳香族ヒドロキシ化合物は、フェノール、4−tert−ブチルフェノール、ビフェニル−4−オールおよび4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールである。
特に好ましくは、フェノールである。
本発明により調製されるアルキルアリールカーボネートは、好ましくは下記の一般式(IV)で表されるアルキルアリールカーボネートである:
Figure 2010241811

式中、R、R'およびR''は一般式(I)で与えられる意義を有することができ、Rは一般式(II)で与えられる意義を有することができる。
好ましいアルキルアリールカーボネートは、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、プロピルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、ヘキシルフェニルカーボネート、メチルo−クレシル(cresyl)カーボネート、メチルp−クレシルカーボネート、エチルo−クレシルカーボネート、エチルp−クレシルカーボネートおよびメチルまたはエチルp−クロロフェニルカーボネートである。特に好ましいアルキルアリールカーボネートは、メチルフェニルカーボネートおよびエチルフェニルカーボネートである。就中、特に好ましくは、メチルフェニルカーボネートである。
本発明の方法に関して適当であるジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物は共に、当業者によって知られており、商業的に入手可能であり、また、当業者に同様に知られている方法によって調製することができる。
本発明の目的に関して、C−C−アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであり、C−C−アルキルは上記以外の、例えば、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1,3−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピルまたは1−エチル−2−メチルプロピルであってもよく、また、C−C34−アルキルは上記以外の、例えば、n−ヘプチル、n−オクチル、ピナシル(pinacyl)、アダマンチル、メンチル異性体、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルまたはn−オクタデシルであってもよい。上記の意義は、例えばアラルキル基またはアルキルアリール基における対応するアルキル基に対して適用される。対応するヒドロキシアルキル基、アラルキル基またはアルキルアリール基におけるアルキレン基は、例えば、上記アルキル基に対応するアルキレン基である。
アリールは、6〜34個の骨格炭素原子を有する炭素環式の芳香族基である。同じ事は、アリールアルキル基(またアラルキル基とも称される)の芳香族部分およびより複雑な基、例えばアリールカルボニル基のアリール成分に適用される
アリールアルキルまたはアラルキルは、それぞれの場合において独立して、直鎖状、環状、分枝鎖状または非分枝鎖状の上で定義したアルキル基が、上で定義したアリール基により単置換、多置換または過置換された基である。
上記の化合物は例示であって、これらに限定されない。
本発明の方法において、1種または複数種の芳香族ヒドロキシ化合物および1種または複数種のジアルキルカーボネートは、好ましくは1:0.1〜1:10、特に好ましくは1:0.2〜1:5、就中、特に好ましくは1:0.5〜1:3のモル比で使用される。ここで、該モル比に関しては、1または複数の(下記の底部蒸発器と比較して)上部の凝縮器、または、所望により配設される1または複数の底部の蒸発器を経由して、エステル交換反応塔へ再循環される芳香族ヒドロキシ化合物またはジアルキルカーボネートの量は考慮に入れない。(当該モル比は、流れ21および22に含まれるジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物の総量に基づく。)
特に連続して行われる方法の場合において、ジアルキルカーボネートを含有する流れ(22)は、ジアルキルカーボネートのみならず、ある割合の芳香族ヒドロキシ化合物、反応において形成される脂肪族ヒドロキシ化合物R−OHおよび/またはR−OH(反応アルコール)、エステル交換反応において形成される極少量のアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネート並びに反応において形成される望ましくない副次的成分を含有してもよい。ジアルキルカーボネートを含有する流れ(22)は、例えば、反応アルコールを0〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%および特に好ましくは0.05〜2重量%、芳香族ヒドロキシ化合物を0〜40重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%、アルキルアリールカーボネートを0〜5重量%、ジアリールカーボネートを0〜5重量%、および、反応において形成される他の副次的化合物(例えば、アルキルアリールエーテル)または出発原料中にもともと存在する不純物を0〜5重量%含有してもよい。これらの含有量は、いずれの場合においても、ジアルキルカーボネートを含有する流れの全重量に基づく量である。好ましくは、ジアルキルカーボネートを含有する流れ(22)は、個々の上述した成分を、全体が100重量%となるまでの量を含むジアルキルカーボネートを含有する流れの全重量に基づいて、ジアルキルカーボネートを50〜100重量%含有する。特に連続して行われる方法の場合、芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れ(21)は、芳香族ヒドロキシ化合物のみならず、ある割合のジアルキルカーボネート、エステル交換反応において形成されるアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネート、並びに反応中に形成される極少量の反応アルコールおよび望ましくない副生成物を含有してもよい。例えば、ジアルキルカーボネートの含有量は0〜50重量%であってもよく、反応アルコールの含有量は0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%であってもよく、アルキルアリールカーボネートおよびジアリールカーボネートの含有量は、いずれの場合においても0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%であってもよく、望ましくない副次的な生成物の含有量は0〜5重量%、好ましくは0〜1重量%であってもよく、いずれの場合においても芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れの全重量に基づく。さらに、触媒は、芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れ(21)と共に、エステル交換反応塔へ供給することができる。この場合、好ましくは、触媒の含有量は、芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れの全重量に基づいて、0〜5重量%である。好ましくは、芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れ(21)は、個々の上述した成分の割合が合計100重量%になる芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れの全重量に基づいて、50〜100重量%の芳香族ヒドロキシ化合物を含有する
文献から周知であるエステル交換反応触媒を、分割壁塔において生じる反応工程で使用することができる。これらは、ジアルキルカーボネート−フェノールエステル交換反応に関する文献から既知であるエステル交換反応触媒、例えば、AlX、TiX、UX、TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、PbXおよびSnXであり、式中、Xはハロゲン、アセトキシ、アルコキシまたはアリールオキシ基を表す(独国特許出願公開第258412号A参照)。本発明において使用することができる特に好ましい触媒は、金属化合物、例えばAlX、TiX、PbXおよびSnXなど、例えば、チタンテトラクロリド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラドデコキシド、スズテトライソオクトキシドおよびアルミニウムトリイソプロポキシドである。就中、特に好ましい金属化合物は、TiXである。上記の金属化合物は、反応させる反応混合物の重量に基づいて、好ましくは0.001〜5重量%の量で使用され、好ましくは0.005〜5重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%の量で使用される。
本発明の目的に関連して、ハロゲンはフッ素、塩素または臭素であり、好ましくはフッ素または塩素であり、特に好ましくは塩素である。
本発明において使用できる更なる触媒は、一般式(R114−X−Sn(Y)で表される有機スズ化合物であり、式中、YはOCOR12、OHまたはOR基であり、式中、R12はC〜C12アルキル、C〜C12アリールまたはC〜C13アルキルアリールであり、R11は、R12とは独立して、R12の意義のうちの1つの意義を有し、xは1〜3の整数である。更なる触媒は、アルキル基において1〜12個の炭素原子を有するジアルキルスズ化合物、またはビス(トリアルキルスズ)化合物であり、例えばトリメチルスズアセテート、トリエチルスズベンゾエート、トリブチルスズアセテート、トリフェニルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズアジペート、ジブチルジメトキシスズ、ジメチルスズグリコレート、ジブチルジエトキシスズ、トリエチルスズヒドロキシド、ヘキサエチルスタンオキサン(hexaethyl stannoxane)、ヘキサブチルスタンオキサン、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ブチルスズトリイソオクトキシド、オクチルスズトリイソオクトキシド、ブチルスタン酸およびオクチルスタン酸であり、該触媒は0.001〜20重量%の量で使用できる(欧州特許出願公開第879号、欧州特許出願公開第880号、欧州特許出願公開第39452号、独国特許出願公開第3445555号A、特開昭54−63023号を参照)。更なる触媒は、式−[−RR11Sn−O−]−で表される高分子スズ化合物であり、式中、RおよびR11は相互に独立して、上記R12の1つの意義をそれぞれ有し、例えば、ポリ[オキシ(ジブチルスタンニレン)](poly[oxy(dibutylstannylene)])、ポリ[オキシ(ジオクチルスタンニレン)]、ポリ[オキシ(ブチルフェニルスタンニレン)]およびポリ[オキシ(ジフェニルスタンニレン)](独国特許出願公開第3445552号A参照)を使用でき、式−[−RSn(OH)−O−]−で表される高分子ヒドロキシスタンオキサン、例えば、ポリ(エチルヒドロキシスタンオキサン)、ポリ(ブチルヒドロキシスタンオキサン)、ポリ(オクチルヒドロキシスタンオキサン)、ポリ(ウンデシルヒドロキシスタンオキサン)およびポリ(ドデシルヒドロキシスタンオキサン)を、ジアルキルカーボネートに基づいて、0.001〜20重量%の量で使用でき、好ましくは0.005〜5重量%の量で使用できる(独国特許出願公開第4006520号A参照)。本発明により使用できる更なるスズ化合物は、以下の一般式で表されるSn(II)オキシドであり:
X−RSn−O−RSn−Y
式中、XおよびYはそれぞれ相互に独立して、OH、SCN、OR13、OCOR13またはハロゲンであり、Rはアルキル、アリールであり、R13は上記R12の意義を有する(欧州特許出願公開第0338760号参照)。
発明において使用できる更なる触媒は、トリオルガノホスファン、キレート化合物またはアルカリ金属ハロゲン化物と任意に併用できる鉛化合物、例えば、Pb(OH)−2PbCO、Pb(OCO−CH、Pb(OCO−CH・2LiCl、Pb(OCO−CH・2PPhであり、該触媒はジアルキルカーボネート1mol当たり0.001〜1molの量、好ましくは0.005〜0.25molの量で使用でき(特開昭57−176932号、特開平01−093580号参照)、また、他の鉛(II)および鉛(IV)化合物、例えばPbO、PbO、鉛丹オキシド、プラムバイト(plumbite)およびプラムベイト(plumbates)(特開平01−093560号参照)、鉄(III)アセテート(特開昭61−172852号参照)、また、銅塩および/または金属錯体、例えばアルカリ金属、亜鉛、チタンおよび鉄の錯体などが使用できる(特開平01−005588号参照)。
本発明の方法において、不均一触媒系を使用することもまた可能である。例えば、ケイ素とチタンハロゲン化物の共加水分解(cohydrolysis)によって得ることができるケイ素とチタンの混合オキシド(特開昭54−125617号参照)、または20m/g以上の高いBET比表面積を有するチタンジオキシド(独国特許出願公開第4036594号A参照)を使用することができる。
本発明の方法に関して好ましい触媒は、上記の金属化合物、即ち、AlX、TiX、UX、TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、PbXおよびSnXである。特に好ましくはAlX、TiX、PbXおよびSnXであり、これらの金属化合物としては、例えば、チタンテトラクロリド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラドデコキシド、スズテトライソオクトキシドおよびアルミニウムトリイソプロポキシドなどが挙げられる。就中、特に好ましくは金属化合物TiXである。チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシドおよびチタンテトラエトキシドが最も好ましい。
好ましくは、触媒は、芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れと共に第一反応塔内へ、溶解または懸濁した状態で導入される。別の方法として、独立した状態で触媒を供給することも可能であり、例えば、反応アルコールに対応するアルコールまたは適当な不活性溶媒中に供給してもよい。不均一触媒を用いる場合、該不均一触媒は、前記の充填物との混合、充填物とは異なる適当な形態または任意に設置される塔のトレー上の床として使用することができる。
反応領域へ供給される液体の滞流量は、この反応領域を経由して流れる液体の滞留時間が1〜120分の範囲、好ましくは10〜60分、特に好ましくは15〜40分の範囲になるように調整される。
この滞留時間を設定するために、規則性充填物、ランダム充填物またはトレー、あるいは、種々の内在物(例えば規則性充填物と滞留トレー)の組み合わせを使用することができる。トレーの使用が好ましい。特に好ましくは、液体含有量の高いトレーを使用する。後者は、液体の高さによって左右される。トレー上の非分散状液体の高さは20〜400mmであり、好ましくは40〜300mmであり、特に好ましくは80〜250mmである。
反応領域における理論段数は、選択される内在物の種類にかかわらず、5〜100段の範囲、好ましくは10〜60段、特に好ましくは20〜40段である。
不均一に触媒される反応の場合、反応領域は触媒を含有することができる。さらに、複数個の中間蒸発器(KETRZ1−N)は、目標とされる方法において所望の反応温度を設定するために、一体化することができる。
反応は100〜300℃の範囲で行われ、好ましくは150〜280℃、特に好ましくは180〜245℃で行われる。反応領域における圧力は、好ましくは0.5〜20barの範囲であり、特に好ましくは1〜15bar、就中、特に好ましくは2〜10barである。
分割壁塔の上部からで取り出される、反応の間に形成されるジアルキルカーボネートとアルキルアルコールを含有する蒸気混合物の全部または一部は、好ましくは、分割壁塔の上部での凝縮後に、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールを分離するための少なくとも1つの蒸留塔を含む、少なくとも1つの別の工程段階へ供給される。
好ましくは、ジアルキルカーボネートと反応アルコールの分離は、1または複数の蒸留塔を用いる蒸留法、または蒸留と膜分離を組み合わせる方法(以下においては混成法と称する)により行われる。
反応アルコールおよびジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する場合(例えば、メタノールとジメチルカーボネートの場合)、好ましくは、少なくとも二段階を経由する方法、例えば二段式加圧法、抽出蒸留法、低沸点共留剤を使用する異相共沸蒸留法または混成法などが使用される。特に好ましくは、二段式加圧法または混成法が使用される。就中、特に好ましくは、二段式加圧法が使用される。このような方法は、原則として当業者には既知である(例えば、ウルマンズ工業化学百科事典、第7巻、2007年、第6.4章および第6.5章;化学工学技術(第67巻)11号/1995年を参照)。
反応アルコールおよびジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成しない場合(例えば、エタノールとジエチルカーボネートの場合)、好ましくは、分離は単一の蒸留塔で行われる。
反応アルコールおよびジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する場合、ジアルキルカーボネートおよびアルキルアルコール(反応アルコール)を分離するための工程段階における第一蒸留塔からの留出物は、好ましくは実質的に共沸組成を有する。この場合、二段式加圧法において、留出物は、該第一蒸留塔の操作圧より低い操作圧で稼働する少なくとも1つの別の蒸留塔へ供給されることが好ましい。操作圧が異なる結果として、共沸混合物の位置は、反応アルコールの割合がより少ない位置へシフトする。1個または複数個の第二または更なる蒸留塔から得られる底部の生成物は、単離される底部の生成物の全重量に基づいて、90〜100重量%の純度の反応アルコールであり、留出物は実質的に共沸混合物である。就中、特に好ましい実施態様においては、好ましくは、より低い操作圧で稼働する第二または更なる蒸留塔は、第一蒸留塔の上方にある凝縮器の凝縮熱を使用して操作される。
二段式加圧法においては、二成分系混合物の共沸組成の圧力依存性が利用される。反応アルコール(アルキルアルコール)およびジアルキルカーボネートの混合物(例えば、メタノールおよびジメチルカーボネートの混合物)の場合、共沸組成は、圧力の増加を伴って反応アルコール含有量がより高い方へとシフトする。これら2成分系混合物が塔(ジアルキルカーボネート塔)へ供給されると共に、反応アルコールの含有量がこの塔の操作圧における共沸組成よりも少ない場合には、実質的に共沸組成の混合物は留出物として得られ、また、実質的に純粋なジアルキルカーボネートは底部の生成物として得られる。この方法によって得られる共沸混合物は、別の蒸留塔(アルキルアルコール塔)へ供給される。この蒸留塔は、ジアルキルカーボネート塔の操作圧と比較して、より低い操作圧で稼働する。この結果として、共沸混合物の位置は、反応アルコールの含有量がより低い方へとシフトする。これによって、ジアルキルカーボネート塔において得られる共沸混合物を、実質的に共沸組成を有する留出物と実質的に純粋な反応アルコールに分離することができる。アルキルアルコール塔からの留出物は、適当な時点でジアルキルカーボネート塔へ戻される。
好ましくは、アルキルアルコール塔の操作圧は、ジアルキルカーボネート塔からの廃熱を使用して操作できる圧力に選択される。操作圧は0.1〜1barの範囲であり、好ましくは0.3〜1barである。ジアルキルカーボネート塔の操作圧は、1〜50barの範囲であり、好ましくは2〜20barである。
反応アルコールとジアルキルカーボネートの共沸混合物を分離するための、別の好ましい方法は、混成法である。混成法においては、二成分系混合物は、蒸留および膜分離を組み合わせる方法によって分離される。この場合、これらの成分は、該成分の極性の特性および異なる分子量に起因して、膜を用いて相互に少なくとも部分的に分離することができるという事実が利用される。反応アルコールとジアルキルカーボネートの混合物(例えばメタノールとジメチルカーボネートの混合物)の場合、適当な膜を使用する透析蒸発または蒸気透過によって、透過物としての反応アルコールに富む混合物と、滞留物(retentate)としての反応アルコールが激減した混合物がもたらされる。これらの2成分の混合物が塔(ジアルキルカーボネート塔)へ供給されると共に、反応アルコールの含有量が、この塔の操作圧における共沸組成よりも少ない場合には、供給物と比較して著しく増加した反応アルコール含有量を有する混合物は留出物として得られ、また、実質的に純粋なジアルキルカーボネートは底部の生成物として得られる。
蒸留および蒸気透過を組み合わせる混成法の場合、留出物は気体状態で塔から取り出される。この方法により得られる気体状混合物は、適切な場合には過熱の後に、蒸気透過物へ供給される。この操作においては、実質的に塔の操作圧は滞留物側に対して設定され、また、より低い圧力が透過物側に対して設定される。塔の操作圧は1〜50barの範囲であり、好ましくは1〜20bar、特に好ましくは2〜10barである。透過物側に対する圧力は0.05〜2barの範囲である。反応アルコールに富み、留分の全重量に基づいて、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%の反応アルコール含有量を有する留分は、透過物側で得られる。塔からの留出物と比較して反応アルコール含有量が低い滞留物は適切な場合には凝縮された後、蒸留塔へ再循環される。
蒸留および透析蒸発を組み合わせる混成法の場合、留出物は液体形態で塔から取り除かれる。この方法により得られる混合物は、適当な場合には加熱の後に、透析蒸発に付される。この操作において、塔における操作圧と比較して同等またはより高い操作圧は滞留物側に設定され、より低い圧力は透過物側に設定される。塔の操作圧は、1〜50bar、好ましくは1〜20bar、特に好ましくは2〜10barの範囲である。透過物側に対する圧力は0.05〜2barの範囲である。反応アルコールに富み、留分の全重量に基づいて、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%の反応アルコール含有量を有する気体状留分は透過物側で得られる。塔からの留出物と比較して反応アルコールの割合が低い留分を含有する液体状滞留物は蒸留塔へ再循環される。透過物の蒸発には熱を必要とするが、透析蒸留に付される供給流には十分な熱量が存在しない場合がある。従って、透析蒸発による分離膜は、適切な場合には付加的な熱交換器を用いて加熱することができる。該熱交換器は、直列に連結された複数の透析蒸発手段に組み込むか、または、適切な場合には、これらの手段の間に設置することができる。
混成法における、ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールの分離は、特に好ましくは蒸留と蒸気透過を組み合わせることによって行われる。
ジアルキルカーボネートと反応アルコールを分離するために選択される方法にかかわらず、更なる反応塔の凝縮器における凝縮から得られる凝縮熱および/または第一反応塔内に配設される任意の中間凝縮器を効果的に利用できるように、圧力および温度などの工程条件は有利に選択できる。
本発明の方法は、好ましくは連続的に行われる。
供給側では、少なくとも1つの更なる区画(KTLO)が、反応領域より上方に存在する。この区画は触媒を含有しないか、または均一触媒反応の場合には極めて少ない量の触媒(1重量%未満)を含有するので、この区画においては、エステル交換反応は生じないか、または非常にわずかしか生じない。この区画の役割は、ジアルキルカーボネートと反応アルコールから、アルキルアリールカーボネートとより高沸点の化合物を分離すること、および、好ましくは芳香族ヒドロキシ化合物も分離することである。
区画KTLOにおける理論段数は、選択される内在物の種類にかかわらず、1〜100段、好ましくは5〜50段、特に好ましくは10〜30段の範囲である。
内在物としては、規則性充填物、ランダム充填物要素またはトレー、あるいは、種々の内在物(例えば構造化充填物およびトレー)の組み合わせを使用することができる。好ましくは、構造化充填物またはランダム充填物要素を使用することである。
特定の実施態様においては、この区画(KTLO)は、1または複数の中間凝縮器(KICTLO1−N)も具有する。中間凝縮器を使用することで、凝縮熱をより高い温度水準で除去することが可能となる。したがって、該凝縮熱を他の工程区画を加熱するために使用でき、あるいは、熱媒体、例えば熱流を発生させるために使用することができる。
さらに、少なくとも1つの更なる区画(KTLU)が、供給側の反応領域より下方に設置される。この区画の役割は、反応アルコールを除去すること、およびジアルキルカーボネートの量を激減させることである。
区画KTLUにおける理論段数は、選択される内在物の種類にかかわらず、1〜100段、好ましくは5〜50段、特に好ましくは10〜30段の範囲である。
内在物としては、規則性充填物、ランダム充填物要素またはトレー、あるいは、種々の内在物(例えば規則性充填物およびトレー)の組み合わせを使用することができる。好ましくは、トレーを使用することである。
均一なエステル交換反応触媒が使用される場合、反応はこの区画でも行われる。本発明の方法の特定の実施態様においては、複数の中間蒸発器(KETLU1−N)がこの区画にも配設される。
排出側では、少なくとも2つの区画が存在する。少なくとも1つの区画(KTRO)が排出位置よりも上方に存在する。この区画は、該区画の上端で供給される液体(11)中に存在する反応アルコールを激減させる働きをする。
区画KTROにおける理論段数は、選択される内在物の種類にかかわらず、1〜100段、好ましくは5〜50段、特に好ましくは10〜30段の範囲である。
内在物としては、規則性充填物、ランダム充填物要素またはトレー、あるいは、種々の内在物(例えば規則性充填物およびトレー)の組み合わせを使用することができる。好ましくは、トレーを使用することである。
特定の実施態様においては、この区画は1または複数の中間蒸発器(KETRO1−N)も具有する。
排出位置よりも下方に、少なくとも1つの更なる区画(KTRU)が存在する。この区画は、ジアルキルカーボネートの沸点よりも高い沸点を有する成分および、ストリッピング区画からの蒸気流(13)中に存在する成分を激減させる働きをする。
区画KTRUにおける理論段数は、選択される内在物の種類にかかわらず、1〜100段、好ましくは5〜50段、特に好ましくは10〜30段の範囲である。
内在物としては、規則性充填物、ランダム充填物要素またはトレー、あるいは、種々の内在物(例えば規則性充填物およびトレー)の組み合わせを使用することができる。好ましくは、トレーを使用することである。
特定の実施態様においては、この区画は1または複数の中間凝縮器(KICTRU1−N)も具有する。
側流(5)は、気体状態または液体状態で取り出すことができる。
少なくとも1つの区画からなると共に、特定の実施態様においては1または複数の中間凝縮器(KICVT1−N)を具有する塔の濃縮区画(KVT)においては、反応アルコールが濃縮される。
濃縮区画における理論段数は、選択される内在物の種類にかかわらず、1〜100段、好ましくは5〜50段、特に好ましくは10〜30段の範囲である。
内在物としては、規則性充填物、ランダム充填物要素またはトレー、あるいは、種々の内在物(例えば規則性充填物およびトレー)の組み合わせを使用することができる。好ましくは、ランダム充填物要素または構造化充填物を使用することである。
好ましいジアルキルカーボネートの1つとしてジエチルカーボネート(DEC)が使用される場合、反応アルコールを、実質的に純粋な状態で塔の上部から取り出すことができる。特に好ましいジアルキルカーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)を使用する場合、実質的に共沸組成を有するメタノール−ジメチルカーボネート混合物が塔の上部において得られる。
濃縮区画(KVT)から出る蒸気(7)は、部分的にまたは完全に凝縮される。得られる凝縮液は、部分的にまたは完全に塔へランバック(8)として供給される。したがって、留出物の一部は気体状態(3)で取り出され、一部は液体状態(4)で取り出される。留出物を取り出す方法は、1または複数の蒸留流のその後の精製過程によって左右される。全留出物の流量、即ち流れ3および4の総量中の気体状留出物(3)の割合は、0〜100%の範囲にすることができる。還流比は、全留出物の流量に対するランバック量の割合によって与えられ、0.5〜50、好ましくは1〜30、特に好ましくは5〜20の範囲である。
濃縮区画から流出する液体は、2つの流れに分割される。一方の支流(10)は、供給側の上部区画(KTLO)内へ導入され、残りの液体(11)は排出側の上部区画(KTRO)内へ供給される。供給側へ供給される液体の割合は、濃縮区画(KVT)から流出する液体の全量に基づいて、5〜95%、好ましくは10〜80%、特に好ましくは25〜50%である。
RDWCのストリッピング区画(KAT)内においては、ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールは激減する。本発明による方法の好ましい実施態様においては、反応性分割壁塔は、わずかに少量の反応アルコールが塔のストリッピング区画内でのエステル交換反応によって形成されるように操作される。ストリッピング区画および塔の底部において形成される反応アルコールの一部は、側留の排出部へ移動する。好ましくは、反応性分割壁塔の操作は、側留中の反応アルコールの含有量が5重量%未満、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満になるように行われるべきである。
ストリッピング区画における理論段数は、選択される内在物の種類にかかわらず、1〜80段、好ましくは5〜40段、特に好ましくは5〜20段の範囲である。
内在物としては、規則性充填物、ランダム充填物要素またはトレー、あるいは、種々の内在物(例えば規則性充填物およびトレー)の組み合わせを使用することができる。好ましくは、トレーを使用することである。
特定の実施態様においては、1または複数の中間蒸発器(KEAT1−N)が、RDWCのストリッピング区画内に配設される。
ストリッピング区画(KAT)から放出される蒸気は、供給側への蒸気流(12)と排出側への蒸気流(13)に分割される。全蒸気流、即ち流れ12および13の総量に基づく供給側への蒸気流(12)の割合は5〜95%、好ましくは10〜80%、特に好ましくは30〜75%である。
ストリッピング区画(KAT)から流れ出す液体(9)は、1または複数の蒸発器によって更に濃縮される。特定の実施態様において、1または複数の蒸発器K1−Nは、反応K1のための唯一の熱供給源として機能する。
底部の温度は100〜300℃、好ましくは150〜280℃、特に好ましくは200〜250℃の範囲である。
反応K1からの底部の生成物(6)は、芳香族ヒドロキシ化合物、アルキルアリールカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、触媒および二次的化合物(二次的化合物の定義:出発原料において不純物として存在する化合物、または反応において望ましくない副生物として形成される化合物である)を含有する。好ましい実施態様においては、底部の生成物(6)は、好ましくはアルキルアリールカーボネートが不均化反応によってさらに反応して、ジアリールカーボネートを形成する少なくとも1つの更なる反応段階へ供給される。
ジアルキルカーボネートが特に好ましいジメチルカーボネートである場合、実質的に共沸組成を有するメタノールとジメチルカーボネートの混合物が、留出物(流れ3および/または4)として得られる。反応アルコールのより高い濃度を可能にするためには、少なくとも1つの更なる精製過程が必要である。反応アルコールをさらに濃縮する1つの可能な方法は膜処理法である。好ましい膜処理法は、透析蒸発法および蒸気透過法である。
蒸気透過法を利用する変形法を、図2に示す実施例によって説明する。
この好ましい実施態様においては、留出物(3)はもっぱら気体状態で取り出された後、透析蒸発法を用いる膜分離(M)へ供給される。メタノールを70重量%より多く、好ましくは90重量%より多く含有するメタノールに富む留分は、透過物(17)として得られる。メタノールを60重量%未満、好ましくは50重量%未満で含有するメタノール濃度の低い留分は、滞留物(15)として得られる。メタノールに富む透過物(17)は、凝縮器MPC1−Nを使用して凝縮した後、工程から排出される。好ましい実施態様においては、滞留物(15)は、凝縮器MRC1−Nを使用して凝縮した後、反応性分割壁塔の濃縮区画(KVT)の領域へ再循環される。
メタノールをさらに濃縮するための別の好ましい実施態様は、図3において示される。この場合、好ましくは、留出物(4)は液体状態で取り除かれる。気体状留出物流(3)は、不活性な化合物(例えば、窒素または二酸化炭素)およびメタノールの沸点またはメタノール/ジメチルカーボネート共沸混合物の沸点よりも低い沸点を有する二次的化合物も含有する。
実質的に共沸組成を有する液体状留出物(4)は、反応性分割壁塔の圧力よりも低い圧力で操作される別の蒸留塔(K)へ供給される。2bar未満に圧力を設定することが好ましく、1bar未満に設定することが特に好ましい。操作圧がより低くなると、共沸点の位置は、メタノール含有量がより低い方へとシフトする。実質的に共沸組成を有する留出物留分および純粋なメタノールを含有する底部の留分が得られる。留出物留分は、適当な位置で反応性分割壁塔へ再循環され、好ましくは濃縮区画(KVT)内において再循環される。
図4は、膜分離によって気体状留出物を分離することを伴う、反応性分割壁塔(K)の特定の実施態様を示す。図2において示される実施態様と対照的に、ジメチルカーボネートを含有する側留(5)は、気体状態で取り出される。該側留は凝縮され、適切な場合には、ジメチルカーボネートを含有する別の流れ(2)と混合され、続いて、該支流は、適切な場合には、蒸発後(蒸発器Kを使用する)に、反応性分割壁塔の供給側の反応領域へ再循環される。
図5は、膜分離によって気体状留出物を分離することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示し、該実施態様においては、ジメチルカーボネートを含有する側留(5)は、反応性分割壁塔から液体として取り出される。適切な場合には、液体状側留は、ジメチルカーボネートを含有する別の流れ(2)と混合され、続いて、適切な場合には、蒸発後に、反応性分割壁塔の供給側の反応領域へ再循環される。
図6は、膜分離によって気体状留出物を分離することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示す。
この場合、側留は、液体状態で取り出され、残存する反応アルコールを分離するために別の蒸留塔へ供給される。
反応が適切に行われる場合、特に均一触媒を使用する場合、エステル交換反応は反応性分割壁塔のストリッピング区画(KAT)内でも起こる。その結果として、反応アルコールは、反応性分割壁塔の排出側にも移動し、また、場合によっては、液状の側留中へ流入する。反応アルコールの残留物含有量についての要求を満足しなければならない場合、これを別の段階で分離する必要がある。
図6に示すように、この分離は、液状の側留を側留ストリッパー(K)へ供給することによって行うことができる。蒸気状留分(24)は、ストリッピング塔の上端で得られ、該留分は、適当な位置で反応性分割壁塔へ再循環され、好ましくは、液体状側留(5)の取出部よりも上方で再循環される。適切な場合には、ストリッピング塔(K)からの底部の生成物(25)は、ジメチルカーボネートを含有する別の流れ(2)と混合され、続いて、適切な場合には、蒸発後に、反応性分割壁塔の供給側の反応領域(KRZ)へ再循環される。
図7は、膜分離によって気体状留出物を分離することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示す。この場合、側留は気体の状態で取り出される。
側留は、続いて、加圧装置(KV)、好ましくは圧縮機または送風機によって、高い圧力に加圧される。適切な場合には、加圧された側留は過熱後に、ジメチルカーボネートを含有する別の気体状の流れと混合され、次いで、反応性分割壁塔の供給側の反応領域(KRZ)へ再循環される。
図1は、反応性分割壁塔による一般的な第1のエステル交換工程を示す。
図2は、膜分離によって気体状留出物を分離することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示す。
図3は、蒸留塔において液体状留出物を分離することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示す。
図4は、膜分離によって気体状留出物を分離すること、気体状側留を凝縮すること、および得られる凝縮物と供給流を混合することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示す。
図5は、膜分離によって気体状留出物を分離すること、液体状側留を反応性分割壁塔から取り出すこと、該側留と供給流を混合することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示す。
図6は、膜分離によって気体状留出物を分離すること、液体状側留を反応性分割壁塔から取り出すこと、蒸留塔中に残在する反応アルコールを除去すること、および該蒸留塔の底部の生成物と供給流を混合することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示す。
図7は、膜分離によって気体状留出物を分離すること、気体状側留を圧縮すること、およびその結果得られる過熱された蒸気を、熱されて任意に一部が気化した供給流と混合することを伴う、反応性分割壁塔の特定の実施態様を示す。
図8は、統合された凝縮器による凝縮を伴う工程段階を示す。
図9は、充填物床による凝縮を伴う工程段階を示す。
これらの図面は、本発明を例示的に説明するものであって、本発明を限定するものとして解釈されるものではない。
上述した全ての参照文献の開示内容は、全ての有用な目的のために、本明細書の一部を成すものである。
以上の説明は、本発明を具体化する特定の特徴的構造について説明するものであり、これらの態様の改変および構成要素の再配置が、本発明の技術的思想および範囲から逸脱せずになされることおよび本発明が、本明細書中に記載される特定の態様に限定されないことは、当業者にとって明らかである。
実施例1
85.91重量%のフェノールと、9.32重量%のジメチルカーボネートと、3.22重量%のジフェニルカーボネートと、1.55重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する369.9kg/hの混合物(21)を、反応領域(KTRZ)の上端から、反応性分割壁塔(K)へ供給する。該反応性分割壁塔は、19段の理論段を有する濃縮区画(KVT)と、9段の理論段を有するストリッピング区画(KAT)と、濃縮区画とストリッピング区画の間で塔を分割して塔を供給側と排出側に分割する分割壁を具備する。供給側の上部区画(KLO)は10段の理論段を有し、分割壁の供給側にある反応領域(KTRZ)は30個の反応トレーを有し(滞流量/トレー:12リットル)、反応領域よりも下方にある供給側の別の区画(KLU)は10段の理論段を有し、側留排出部(5)よりも上方にある排出側の上端区画(KRO)は15段の理論段を有し、側留排出管(5)よりも下方にある排出側の下部区画(KRU)は15段の理論段を有しまた、反応領域(KTRZ)の上部端にあるストリッピング区画KATは6つのトレーを有する(滞流量:12リットル)。98.9重量%のジメチルカーボネートと、0.9重量%のフェノールと、0.2重量%のアニソールを含有する539kg/hの蒸気状混合物(22)は、反応領域(KRZ)の下端から供給される。
反応性分割壁塔は、最上部での圧力が3.6bar(絶対圧)で、還流比が18で操作する。
濃縮区画から流れ落ちる液体の32%の液体(10)は、317kg/hの流量で供給側の上方区画(KTLO)へ供給する。残りの液体(11)は、排出側の上端(KTRO)へ供給する。
塔の底部における温度を230℃に設定し、底部の蒸発器(K)としてケトル型の蒸発器を用いる。加熱蒸気(40bar)を熱媒体として使用する。
ストリッピング区画から放出される蒸気は、供給側および排出側の上方へ均一に分配させる。
留出物(3)は、もっぱら気体状態で取り出す。68重量%のメタノールと31.9重量%のジメチルカーボネートを含有する50kg/hの気体状留出物流が得られる。表示される操作圧での共沸組成は76重量%である。
側留(5)においては、91.3重量%のジメチルカーボネート、8.5重量%のフェノールおよび0.2重量%のメタノールを含有する515kg/hの液体が取り出される。
さらに、62.2重量%のフェノールと、20.6重量%のメチルフェニルカーボネートと、5.3重量%のジフェニルカーボネートと、10重量%のジメチルカーボネートと、0.3重量%のアニソールと、1.6重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する394kg/hの混合生成物(6)が、反応K1からの底部の生成物として得られる。
実施例2
実施例1において記載した反応性分割壁塔と同じ分割壁塔を使用する。85.91重量%のフェノールと、9.32重量%のジメチルカーボネートと、3.22重量%のジフェニルカーボネートと、1.55重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する、396.9kg/hの混合物(21)を、反応領域(KTRZ)の上端から供給する。
86.1重量%のジメチルカーボネート、13.7重量%のフェノールおよび0.2重量%のメタノールを含有し、10℃に過熱される、312.9kg/hの蒸気状混合物(22)を、反応領域(KRZ)の下端から供給する。
反応性分割壁塔は、最上部での圧力が3.6bar(絶対圧)で、還流比が14.2で操作する。
濃縮区画から流れ落ちる液体の37%(202kg/h)の液体(10)を、供給側の上方区画(KTLO)へ供給する。残りの液体(11)は、排出側の上端(KTRO)へ供給する。
塔の底部における温度を230℃に設定し、底部蒸発器(K)としてケトル型の蒸発器を用いる。加熱蒸気(40bar)を熱媒体として使用する。
ストリッピング区画から放出される蒸気は、供給側および排出側の上方へ均一に分配させる。
留出物(3)は、もっぱら気体状態で取り出される。68重量%のメタノールと31.9重量%のジメチルカーボネートを含有する20.5kg/hの気体状留出物流が得られる。表示される操作圧での共沸組成は76重量%である。
側留(5)においては、83.4重量%のジメチルカーボネート、16.3重量%のフェノールおよび0.3重量%のメタノールを含有する263kg/hの液体が取り出される。
該側留は、流量が50kg/hでジメチルカーボネート含有量が100%の別のジメチルカーボネート流(2)と混合され、気化され、過熱される後、反応領域(KRZ)より下方の反応性分割壁塔へ再循環される。
さらに、70.1重量%のフェノールと、15.3重量%のメチルフェニルカーボネートと、3.4重量%のジフェニルカーボネートと、9.6重量%のジメチルカーボネートと、0.02重量%のアニソールと、1.44重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する426.4kg/hの混生成合物(6)が、反応塔K1からの底部生成物として得られる。
実施例3
実施例1および2において記載した反応性分割壁塔と同じ分割壁塔を使用する。85.91重量%のフェノールと、9.32重量%のジメチルカーボネートと、3.22重量%のジフェニルカーボネートと、1.55重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する396.9kg/hの混合物(21)を、反応領域(KTRZ)の上端から供給する。
89.6重量%のジメチルカーボネート、10.2重量%のフェノールおよび0.2重量%のメタノールを含有し、10℃に過熱される、386.2kg/hの蒸気状混合物(22)は、反応領域(KRZ)の下端から供給される。
反応性分割壁塔は、最上部での圧力が3.6bar(絶対圧)で、還流比が10.4で操作される。
濃縮区画から流れ落ちる液体の37%(258.2kg/h)の液体(10)は、供給側の上方区画(KTLO)へ供給される。残りの液体(11)は、排出側の上端(KTRO)へ供給される。
塔の底部における温度を230℃に設定し、底部蒸発器(K)としてケトル型の蒸発器を用いる。加熱蒸気(40bar)を熱媒体として使用する。
ストリッピング区画から放出される蒸気を、供給側および排出側の上方へ均一に分配させる。
留出物(3)は、もっぱら気体状態で取り出される。68重量%のメタノールと31.7重量%のジメチルカーボネートを含有する33kg/hの気体状留出物流が得られる。表示される操作圧での共沸組成は76重量%である。
側留(5)においては、88.1重量%のジメチルカーボネート、11.7重量%のフェノールおよび0.2重量%のメタノールを含有する336.2kg/hの液体が取り出される。
該側留は、流量が50kg/hでジメチルカーボネート含有量が100%の別のジメチルカーボネート流(2)と混合され、気化され、過熱される後、反応領域(KRZ)より下方の反応性分割壁塔へ再循環される。
68.15重量%のフェノールと、16.71重量%のメチルフェニルカーボネートと、3.9重量%のジフェニルカーボネートと、9.8重量%のジメチルカーボネートと、0.01重量%のアニソールと、1.43重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する336.2kg/hの混合物(6)が、反応塔K1からの底部の生成物として得られる。
気体状の留出物は、透析蒸発法を用いる膜分離(M)へ供給される。40重量%のメタノールを含有する16.2kg/hの気体状の流れが、滞留物として得られ、該滞留物は、凝縮の後、反応性分割壁塔の濃縮区画(KVT)における上部の3分の1の部位へ供給される。
95重量%のメタノールを含有するメタノールに富む留分(17)は、透過物として得られる。
実施例4
実施例3において記載された反応性分割壁塔と透析蒸発法の組合せと同じ組み合わせを使用する。
さらに、反応性分割壁塔(K)からの液体状側留(5)は、14段の理論段を有するストリッピング区画を1つだけ備える側留ストリッパー(K)へ供給される。側留ストリッパーは凝縮器を具有せず、4barの操作圧で操作する。該操作圧は、側留の排出部におけるRDWC内の圧力よりも約10mbar高い。側留ストリッパー(K9)は、加熱蒸気(6bar)を用いる循環式蒸発器により加熱される。
85.91重量%のフェノールと、9.32重量%のジメチルカーボネートと、3.22重量%のジフェニルカーボネートと、1.55重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する396.9kg/hの混合物(21)は、反応領域(KTRZ)の上端から供給される。
89.7重量%のジメチルカーボネート、10.1重量%のフェノールおよび0.2重量%のメタノールを含有し、10℃に過熱される、381.9kg/hの蒸気状混合物(22)は、反応領域(KRZ)の下端から供給される。
反応性分割壁塔は、最上部での圧力が3.6bar(絶対圧)で、還流比が10.4で操作される。
濃縮区画から流れ落ちる液体の37%(258.2kg/h)の液体(10)は、供給側の上方区画(KTLO)へ供給される。残りの液体(11)は、排出側の上端(KTRO)へ供給される。
塔の底部における温度を230℃に設定し、底部蒸発器(K)としてケトル型の蒸発器を用いる。加熱蒸気(40bara)を熱媒体として使用する。
ストリッピング区画から放出される蒸気を、供給側および排出側の上方へ均一に分配させる。
留出物(3)は、もっぱら気体状態で取り出される。68重量%のメタノールと31.7重量%のジメチルカーボネートを含有する33kg/hの気体状留出物流が得られる。表示される操作圧での共沸組成は76重量%である。
側留(5)においては、88.3重量%のジメチルカーボネート、11.44重量%のフェノールおよび0.23重量%のメタノールを含有する336.9kg/hの液体が取り出された。
側留ストリッパー(K9)からの底部の生成物は、0.2重量%未満のメタノールを含有し、該生成物は、流量が50kg/hでジメチルカーボネート含有量が100%の別のジメチルカーボネート流(2)と混合され、気化され、過熱される後、反応領域(KRZ)より下方の反応性分割壁塔へ再循環される。
5kg/hの気体状態の留出物が上部の生成物として取り出され、該生成物は、側留の排出部(5)より上方の反応性分割壁塔へ再循環される。
68.15重量%のフェノールと、16.71重量%のメチルフェニルカーボネートと、3.9重量%のジフェニルカーボネートと、9.8重量%のジメチルカーボネートと、0.01重量%のアニソールと、1.43重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する430.1kg/hの混合物(6)が、反応塔K1からの底部の生成物として得られる。
気体状留出物は、透析蒸発法を用いる膜分離(M)へ供給される。40重量%のメタノールを含有する16.2kg/hの気体状流れが滞留物として得られる。該滞留物は、凝縮の後、反応性分割壁塔の濃縮区画(KVT)における上部の3分の1の部位へ供給される。
95重量%のメタノールを含有するメタノールに富む留分(17)が、透過物として得られる。
実施例5
実施例4において記載された反応性分割壁塔、透析蒸発法および側留ストリッピング法の組合せと同じ組み合わせを使用する。
しかしながら、反応性分割壁塔は、還流比を13.4に増加して操作される。
85.91重量%のフェノールと、9.32重量%のジメチルカーボネートと、3.22重量%のジフェニルカーボネートと、1.55重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する396.9kg/hの混合物(21)を、反応領域(KTRZ)の上端から供給する。
94.4重量%のジメチルカーボネート、5.4重量%のフェノールおよび0.2重量%のメタノールを含有し、10℃に過熱される、514.8kg/hの蒸気状混合物(22)を、反応領域(KRZ)の下端から供給する。
濃縮区画から流れ落ちる液体の38%(377.7kg/h)の液体(10)は、供給側の上方区画(KTLO)へ供給される。残りの液体(11)は、排出側の上端(KTRO)へ供給される。
塔の底部における温度を230℃に設定し、底部蒸発器(K)としてケトル型の蒸発器を用いる。加熱蒸気(40bar)を熱媒体として使用する。
ストリッピング区画から放出される蒸気を、供給側および排出側の上方へ均一に分配する。
留出物(3)は、もっぱら気体状態で取り出される。74重量%のメタノールと25.8重量%のジメチルカーボネートを含有する32.7kg/hの気体状留出物流が得られる。表示される操作圧での共沸組成は76重量%である。
側留(5)においては、93.9重量%のジメチルカーボネート、5.9重量%のフェノールおよび0.2重量%のメタノールを含有する470.8kg/hの液体が取り出される。
側留ストリッパー(K9)からの底部の生成物は、0.2重量%未満のメタノールを含有し、該生成物は流量が59kg/hで、ジメチルカーボネート含有量が99.9重量%で、メタノール含有量が0.1重量%の別のジメチルカーボネート流(2)と混合され、気化され、過熱される後、反応領域(KRZ)より下方の反応性分割壁塔へ再循環させる。
15kg/hの気体状態の留出物は、上部の生成物として側留ストリッパー(K9)から取り出し、側留の排出部(5)より上方の反応性分割壁塔へ再循環させる。
65.2重量%のフェノールと、18.84重量%のメチルフェニルカーボネートと、4.6重量%のジフェニルカーボネートと、9.94重量%のジメチルカーボネートと、0.01重量%のアニソールと、1.41重量%のチタンテトラフェノキシドを含有する435.7kg/hの混合物(6)が、反応塔K1からの底部の生成物として得られる。
気体状の留出物は、透析蒸発法を用いる膜分離(M)へ供給される。40重量%のメタノールを含有する12.5kg/hの気体状流れは、滞留物として得られる。該滞留物は、凝縮の後、反応性分割壁塔の濃縮区画(KVT)における上部の3分の1の部位へ供給される。
95重量%のメタノールを含有するメタノールに富む留分(17)が、透過物として得られる。
図1〜図9において使用する符号は以下の意味を有する:
K1:反応の工程区域
: 反応性分割壁塔
1−N:凝縮器1−N
1−N:蒸発器1〜N
IC1−N:中間凝縮器1〜N
T:分割壁
VT1−N:濃縮区画(所望により、1−N区画内に複数存在する)
1.1−N:ジアルキルカーボネート含有する流れのための予熱器/蒸発器/過熱器
2.1−N:芳香族ヒドロキシ化合物を含有する供給流のための予熱器/蒸発器
TRZ:反応領域(分割壁の供給側)
E_TRZ1−N:反応領域部における中間蒸発器1〜N
TLO:供給側の反応領域よりも上方の区画
ICTLO1−N:KTLOにおける中間凝縮器1−N
TLU:供給側の反応領域より下方の区画
ETLU1−N:KTLUにおける中間蒸発器1−N
TRO:排出側の排出部より上方の区画
ETLO1−N:KTROにおける中間蒸発器1−N
TRU:排出側の排出部より下方の区画
ICTRU1−N:KTRUにおける中間凝縮器1−N
AT:ストリッピング区画
E_AT1−N:ストリッピング区画における中間蒸発器1−N
SC1−N:側留凝縮器
V:側留圧縮機
K6:反応アルコール(RAK)の蒸留のための工程区画
:反応アルコールの蒸留塔(RAKD)
1−N:凝縮器1〜N
1−N:蒸発器1〜N
VT:RAKDの濃縮区画
AT:RAKDのストリッピング区画
特定の実施態様:K1および膜分離を併用する混成法
M:膜分離(蒸気透過または透析蒸発)
MRC:膜分離後の滞留物のための凝縮器
MPC:膜分離後の透過物のための凝縮器
K9:蒸留によって反応アルコールをジアルキルカーボネートから除去するための工程区画
:蒸留塔
1−N:凝縮器(任意に多段式である)
1−N:底部の生成物のための蒸発器(任意に多段式である)
VT:濃縮区画
AT:ストリッピング区画
特定の実施態様:工程区画K1で例示される凝縮
CS1−N:直接的な凝縮を伴う塔の部分
3.1−N:KSC1−Nにおける凝縮のために循環流を冷却するための熱交換器
図1〜図9においては、以下の流れが示される。
1 芳香族ヒドロキシ化合物を含有する供給流
2 ジアルキルカーボネートを含有する供給流
3 反応K1からの気体状留出物
4 反応K1からの液体状留出物
5 Kからの気体状または液体状の側留
6 反応K1からの底部の生成物
7 Kの上端から凝縮器K1−Nへ向かう気体状の流れ
8 Kのランバック
9 Kのストリッピング区画からの液体状流出物
10 Kの濃縮区画から分割壁の供給側へ向かう液体状流出物
11 Kの濃縮区画から分割壁の排出側へ向かう液体状流出物
12 Kのストリッピング区画から分割壁の供給側へ向かう気体状の流れ
13 Kのストリッピング区画から分割壁の排出側へ向かう気体状の流れ
14 濃縮されている反応アルコール
15 膜分離(M)から凝縮器(MRC1−N)へ向かう滞留物
16 反応(K1)へ向かう液体状の滞留物
17 膜分離(M)から凝縮器(MPC1−N)へ向かう透過物
18 凝縮器(MRC1−N)を通過した後の残留蒸気流
19 凝縮器(MPC1−N)を通過した後の残留蒸気流
20 反応K1へ向かう、ジアルキルカーボネートを含有する液体状の流れ
21 K1へ向かう、芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れ
22 K1へ向かう、ジアルキルカーボネートを含有する流れ
23 K1−N以降の残留蒸気流
24 Kの上端での蒸気流
25 工程区画K9からの底部の生成物
26 Kへ向かう、圧縮機KVを通過した後のジアルキルカーボネート含有過熱蒸気流
27 冷却前の塔部分での凝縮用外部回路
28 冷却後の塔部分での凝縮用外部回路

Claims (16)

  1. 長手方向において分離効果を発揮すると共に、反応領域が位置する供給側(Z)と排出側(E)の方向への液体流および/または蒸気流の横断混合を完全にまたは部分的に妨げる1個または複数個の分離装置によって分割された反応性蒸留塔内において、触媒が存在する状態で、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させることによって、アルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートを調製するための方法であって、
    前記芳香族ヒドロキシ化合物を含有する流れ(21)と前記ジアルキルカーボネートを含有する流れ(22)を、前記供給側(Z)に供給すると共に、
    反応体および/または反応生成物を任意に含有する1種または複数種の中沸点留分を、気体または液体の状態で排出側(E)から排出させる
    ことを含む該方法。
  2. 1個または複数個の分離装置が、液体流および/または蒸気流の横断混合を完全に妨げる請求項1に記載の方法。
  3. 流れ(21)が反応領域の上方から供給され、流れ(22)が反応領域の下方から供給される請求項1に記載の方法。
  4. 芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、ジアルキルカーボネートがジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートであり、ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネートである請求項1に記載の方法。
  5. 反応が均一に触媒される請求項1に記載の方法。
  6. 流れ(21)が触媒を含有する請求項1に記載の方法。
  7. ジアルキルカーボネートを含有する流れ(21)および/または流れ(22)が、気体の状態または熱せられた状態で供給される請求項1に記載の方法。
  8. 流れ(21)が液体の状態または少量の蒸気を含む状態で導入され、流れ(22)が気体の状態または過熱された状態で供給される請求項1に記載の方法。
  9. 触媒を含有しないか、または最大で1重量%の触媒を含有する少なくとも1つの別の区画(K1TLO)を、反応領域の上方の供給側(Z)に配設させる請求項1の方法。
  10. 区画K1TLOが少なくとも1つの中間凝縮器を備え、前記凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱が、工程へ直接的あるいは間接的に戻される請求項9に記載の方法。
  11. 少なくとも1つの別の区画(K1TLU)が、反応領域より下方の供給側(Z)に配設される請求項1に記載の方法。
  12. 区画K1TLUが少なくとも1つの中間凝縮器を備える請求項11に記載の方法。
  13. 少なくとも1つの中間凝縮器が反応性蒸留塔に組み込まれるか、または反応性蒸留塔の外側に独立した中間凝縮器として配設される請求項10に記載の方法。
  14. 少なくとも1つの中間凝縮器が反応性蒸留塔に組み込まれるか、または反応性蒸留塔の外側に独立した中間凝縮器として配設され請求項12に記載の方法。
  15. 反応が、100〜300℃の範囲の温度および0.5〜20barの範囲の圧力下で行われる請求項1に記載の方法。
  16. 濃縮区画(K1VT)から留出される留出物が、還流比が0.5〜50の条件下で、塔の中へランバックとして部分的にまたは完全に導入される請求項1に記載の方法。
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