JPH06172852A - 歯車歯元の残留応力付与装置 - Google Patents
歯車歯元の残留応力付与装置Info
- Publication number
- JPH06172852A JPH06172852A JP35259392A JP35259392A JPH06172852A JP H06172852 A JPH06172852 A JP H06172852A JP 35259392 A JP35259392 A JP 35259392A JP 35259392 A JP35259392 A JP 35259392A JP H06172852 A JPH06172852 A JP H06172852A
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- Japan
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- gear
- residual stress
- tooth
- slit
- treated
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Gear Processing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 必要とする部分にだけ限定的に圧縮残留応力
を付与し、その他の部分の表面損傷を防ぐことが可能な
歯車歯元の残留応力付与装置を提供する。 【構成】 硬球噴射口から被処理歯車の歯底部に至る硬
球の弾道上に、被処理歯車の歯底部に対する投影寸法が
使用する硬球径を超え被処理歯車の歯底幅寸法以下のス
リットを有する邪魔板を配置し、かつ被処理歯車の歯底
部の所定位置にスリットの中心を整合させるようにす
る。 【効果】 総合的な歯車の疲労強度向上、寿命延長及び
伝達荷重の増大。
を付与し、その他の部分の表面損傷を防ぐことが可能な
歯車歯元の残留応力付与装置を提供する。 【構成】 硬球噴射口から被処理歯車の歯底部に至る硬
球の弾道上に、被処理歯車の歯底部に対する投影寸法が
使用する硬球径を超え被処理歯車の歯底幅寸法以下のス
リットを有する邪魔板を配置し、かつ被処理歯車の歯底
部の所定位置にスリットの中心を整合させるようにす
る。 【効果】 総合的な歯車の疲労強度向上、寿命延長及び
伝達荷重の増大。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯車歯元の残留応力付
与装置に関するものである。
与装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塑性変形可能な金属材料の表面に硬球を
加速して衝突させる表面処理を施すことにより、金属の
疲労強度を向上し得ることが知られている(ショットピ
ーニング)。この硬球の加速方法としては、投射方式と
噴射方式と呼ばれる方法があり、前者は、インペラと呼
ばれる回転羽根車に硬球を投入することにより、インペ
ラの回転力をもって硬球を加速して被加工物に投射する
ものであり、後者は、加圧空気と共に噴気口から硬球を
噴出させることによって硬球を加速し、被加工物に射出
するものである。
加速して衝突させる表面処理を施すことにより、金属の
疲労強度を向上し得ることが知られている(ショットピ
ーニング)。この硬球の加速方法としては、投射方式と
噴射方式と呼ばれる方法があり、前者は、インペラと呼
ばれる回転羽根車に硬球を投入することにより、インペ
ラの回転力をもって硬球を加速して被加工物に投射する
ものであり、後者は、加圧空気と共に噴気口から硬球を
噴出させることによって硬球を加速し、被加工物に射出
するものである。
【0003】ところで、歯車の歯底部には引張応力が作
用するので、歯底部の疲労強度を向上させるために圧縮
残留応力を付与することが有効である(1992年発行
・自動車工業会学術講演会前刷り集921号参照)。そ
の一方、歯面部では、対になる歯車との接触のために剪
断応力を含む複雑な応力が作用するため、圧縮残留応力
を付与することによって疲労強度は必ずしも向上しな
い。従って、圧縮残留応力の付与は、歯底部に限定的に
行うことが好ましい。
用するので、歯底部の疲労強度を向上させるために圧縮
残留応力を付与することが有効である(1992年発行
・自動車工業会学術講演会前刷り集921号参照)。そ
の一方、歯面部では、対になる歯車との接触のために剪
断応力を含む複雑な応力が作用するため、圧縮残留応力
を付与することによって疲労強度は必ずしも向上しな
い。従って、圧縮残留応力の付与は、歯底部に限定的に
行うことが好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来のショ
ットピーニング装置で歯車に圧縮残留応力付与処理を実
施しようとすると、投射方式は、装置構造は簡便である
が、投射方向の正確な制御が困難であり、その投射角度
にもばらつきが生じやすいため、硬球が拡散して圧縮残
留応力の付与が必要のない部分にまで衝突したり、表面
に損傷を及ぼしたりする不都合がある。また噴射方式
は、投射方式に比して硬球の衝突範囲は狭くなり、射出
方向の制御も比較的容易ではあるが、現状ではmm単位の
射出位置制御すら困難であり、これも硬球の衝突範囲を
限定するには不十分である。
ットピーニング装置で歯車に圧縮残留応力付与処理を実
施しようとすると、投射方式は、装置構造は簡便である
が、投射方向の正確な制御が困難であり、その投射角度
にもばらつきが生じやすいため、硬球が拡散して圧縮残
留応力の付与が必要のない部分にまで衝突したり、表面
に損傷を及ぼしたりする不都合がある。また噴射方式
は、投射方式に比して硬球の衝突範囲は狭くなり、射出
方向の制御も比較的容易ではあるが、現状ではmm単位の
射出位置制御すら困難であり、これも硬球の衝突範囲を
限定するには不十分である。
【0005】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、
必要とする部分にだけ限定的に圧縮残留応力を付与し、
その他の部分の表面損傷を防ぐことが可能な歯車歯元の
残留応力付与装置を提供することにある。
解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、
必要とする部分にだけ限定的に圧縮残留応力を付与し、
その他の部分の表面損傷を防ぐことが可能な歯車歯元の
残留応力付与装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、本発
明によれば、硬球噴射口から被処理歯車の歯底部に至る
硬球の弾道上に、被処理歯車の歯底部に対する投影寸法
が使用する硬球径を超え被処理歯車の歯底幅寸法以下の
スリットを有する邪魔板を配置し、かつ被処理歯車の歯
底部の所定位置にスリットの中心を整合させるようにす
ることによって達成される。
明によれば、硬球噴射口から被処理歯車の歯底部に至る
硬球の弾道上に、被処理歯車の歯底部に対する投影寸法
が使用する硬球径を超え被処理歯車の歯底幅寸法以下の
スリットを有する邪魔板を配置し、かつ被処理歯車の歯
底部の所定位置にスリットの中心を整合させるようにす
ることによって達成される。
【0007】
【作用】このような本発明の主要な作用は、歯車の歯底
部のみに圧縮残留応力を付与することで歯底部の疲労強
度を向上させることができることにある。即ち、硬球の
衝突し得る範囲をスリットの隙間寸法で限定し、かつ硬
球の弾道中心に対する歯底部の位置を精密に制御するこ
とにより、歯底部に限定的に硬球を衝突させることがで
きる。従って、歯底部のみに圧縮残留応力を生じさせて
歯車の疲労破壊強度を好適に向上させることが可能とな
る。
部のみに圧縮残留応力を付与することで歯底部の疲労強
度を向上させることができることにある。即ち、硬球の
衝突し得る範囲をスリットの隙間寸法で限定し、かつ硬
球の弾道中心に対する歯底部の位置を精密に制御するこ
とにより、歯底部に限定的に硬球を衝突させることがで
きる。従って、歯底部のみに圧縮残留応力を生じさせて
歯車の疲労破壊強度を好適に向上させることが可能とな
る。
【0008】なお、ここで言う歯底部とは、図2に符号
6aで示すように、歯溝に於ける基礎円Bより歯元側の
部分で、対になる歯車との接触がない部分のことを指
し、その円周方向寸法を歯底幅寸法Wと定義する。
6aで示すように、歯溝に於ける基礎円Bより歯元側の
部分で、対になる歯車との接触がない部分のことを指
し、その円周方向寸法を歯底幅寸法Wと定義する。
【0009】
【実施例】以下に本発明の構成について添付の図面に示
された好適実施例を参照して詳細に説明する。
された好適実施例を参照して詳細に説明する。
【0010】図1に示すように、本発明装置は、圧縮空
気や遠心力によって硬球を加速するための硬球投射装置
1と、硬球投射装置1に硬球を投入するための硬球供給
装置2と、被処理歯車6を回転支持するためのインデッ
クス装置7とからなっている。これにより、被処理歯車
6の歯溝位置を硬球投射装置1の噴射口3に整合させる
ことができるようになっている。そして硬球投射装置1
の噴射口3から被処理歯車6の歯底部6aに至る硬球の
弾道上には、使用する硬球径以上、被処理歯車の歯底幅
寸法W以下の隙間寸法のスリット4が開口した邪魔板5
が配設されている。この邪魔板5のスリット4により、
噴射された硬球のうち、スリット4を通過した硬球だけ
が歯底部6aに到達し得るようになるため、歯底面以外
の部分には硬球が衝突しないようにすることが可能とな
る。
気や遠心力によって硬球を加速するための硬球投射装置
1と、硬球投射装置1に硬球を投入するための硬球供給
装置2と、被処理歯車6を回転支持するためのインデッ
クス装置7とからなっている。これにより、被処理歯車
6の歯溝位置を硬球投射装置1の噴射口3に整合させる
ことができるようになっている。そして硬球投射装置1
の噴射口3から被処理歯車6の歯底部6aに至る硬球の
弾道上には、使用する硬球径以上、被処理歯車の歯底幅
寸法W以下の隙間寸法のスリット4が開口した邪魔板5
が配設されている。この邪魔板5のスリット4により、
噴射された硬球のうち、スリット4を通過した硬球だけ
が歯底部6aに到達し得るようになるため、歯底面以外
の部分には硬球が衝突しないようにすることが可能とな
る。
【0011】処理を施す歯溝を交替する際には、インデ
ックス装置7を1ピッチだけ回転させるが、この時に歯
底部以外の部分に硬球が衝突しないようにする必要があ
る。そのために、噴射口3あるいはスリット4を一時的
に閉じるためのシャッタ装置8が設けられている。
ックス装置7を1ピッチだけ回転させるが、この時に歯
底部以外の部分に硬球が衝突しないようにする必要があ
る。そのために、噴射口3あるいはスリット4を一時的
に閉じるためのシャッタ装置8が設けられている。
【0012】インデックス装置7は、公知の精密工作機
械と同様の例えばボールスクリュー機構などを適用し得
る。そしてその位置制御は、NC制御(Numerical Cont
rol)が特に好ましいが、機械的な位置規定手段(例え
ばリンクやカム機構など)や、電気−油圧サーボを用い
る方法などであっても良い。これらの制御方法により、
歯底部6aとスリット4との相対位置を0.1μm以下
の設定精度で制御可能である。この設定精度は、歯底幅
寸法Wの1/5以下であれば実用上は十分に対応でき
る。
械と同様の例えばボールスクリュー機構などを適用し得
る。そしてその位置制御は、NC制御(Numerical Cont
rol)が特に好ましいが、機械的な位置規定手段(例え
ばリンクやカム機構など)や、電気−油圧サーボを用い
る方法などであっても良い。これらの制御方法により、
歯底部6aとスリット4との相対位置を0.1μm以下
の設定精度で制御可能である。この設定精度は、歯底幅
寸法Wの1/5以下であれば実用上は十分に対応でき
る。
【0013】硬球の弾道上に於けるスリット4の位置
は、マスキング効果が高まり、歯底面6aに限定的に硬
球を衝突させることができることから、歯底面6aにで
きるだけ近接させることが好ましいが、硬球の弾道が拡
散しない範囲で離すことは差し支えない。
は、マスキング効果が高まり、歯底面6aに限定的に硬
球を衝突させることができることから、歯底面6aにで
きるだけ近接させることが好ましいが、硬球の弾道が拡
散しない範囲で離すことは差し支えない。
【0014】ところで、圧縮残留応力付与に有効な硬球
径は、実用的見地からピーニング加工用のショットと同
程度(0.15mm以上)とするのが妥当であり、当然、
スリット4の隙間寸法Gは0.15mmを超えるものとす
る必要がある。またスリット4の隙間寸法Gが歯底幅寸
法Wを超えると、圧縮残留応力付与を必要としない歯面
にまで硬球が衝突し、歯面に圧縮残留応力を生じさせた
り、歯面を損傷したりするという好ましくない結果を生
む。
径は、実用的見地からピーニング加工用のショットと同
程度(0.15mm以上)とするのが妥当であり、当然、
スリット4の隙間寸法Gは0.15mmを超えるものとす
る必要がある。またスリット4の隙間寸法Gが歯底幅寸
法Wを超えると、圧縮残留応力付与を必要としない歯面
にまで硬球が衝突し、歯面に圧縮残留応力を生じさせた
り、歯面を損傷したりするという好ましくない結果を生
む。
【0015】スリット4の形状は、被処理歯車6の形状
や歯底部6aの形状に対応して定められ、任意の形状に
て実施可能であるが、一対の板の端縁同士を対向させて
配置し、この対向端縁同士間にスリット4を形成するよ
うにしても良く、この場合には、一対の板を相対接離自
在なように支持することにより、被処理歯車6の歯底幅
寸法Wに応じてスリット4の隙間寸法Gが可変となるよ
うに構成することができる。なお、歯底幅寸法Wが30
mmを超える大型歯車は、歯底部の疲労強度が比較的問題
とはならないので、スリット4の最大隙間寸法Gは30
mmあれば実用上は十分であろう。
や歯底部6aの形状に対応して定められ、任意の形状に
て実施可能であるが、一対の板の端縁同士を対向させて
配置し、この対向端縁同士間にスリット4を形成するよ
うにしても良く、この場合には、一対の板を相対接離自
在なように支持することにより、被処理歯車6の歯底幅
寸法Wに応じてスリット4の隙間寸法Gが可変となるよ
うに構成することができる。なお、歯底幅寸法Wが30
mmを超える大型歯車は、歯底部の疲労強度が比較的問題
とはならないので、スリット4の最大隙間寸法Gは30
mmあれば実用上は十分であろう。
【0016】また、スリット4を通過する硬球の衝突範
囲Aが、図2に示すように歯底幅寸法Wより小さい場合
には、スリット位置に応じて被処理歯車6を回転させる
ことにより、歯底部6aの全体に圧縮残留応力を付与で
きる。
囲Aが、図2に示すように歯底幅寸法Wより小さい場合
には、スリット位置に応じて被処理歯車6を回転させる
ことにより、歯底部6aの全体に圧縮残留応力を付与で
きる。
【0017】次に、実際に圧縮残留応力付与を実施した
実例データについて説明する。歯車の素材として、JI
S−G−4105−1979に規定するSCM420H
規格を満足する化学成分を有する直径80mmの機械構造
用棒鋼を使用した。この棒鋼を900℃で2時間加熱保
持した後に空冷して焼き均しを行い、その後ホブ切削に
より歯車形状に粗加工を行った。
実例データについて説明する。歯車の素材として、JI
S−G−4105−1979に規定するSCM420H
規格を満足する化学成分を有する直径80mmの機械構造
用棒鋼を使用した。この棒鋼を900℃で2時間加熱保
持した後に空冷して焼き均しを行い、その後ホブ切削に
より歯車形状に粗加工を行った。
【0018】さらに研磨加工で仕上げた歯車を、ガス浸
炭:930℃/8hr(C.P.=0.85)、油焼き
入れ(120℃)にて浸炭焼き入れ処理を行い、180
℃/1hr空冷にて焼き戻し処理を行った。この試験歯
車の寸法形状を表1に示す。
炭:930℃/8hr(C.P.=0.85)、油焼き
入れ(120℃)にて浸炭焼き入れ処理を行い、180
℃/1hr空冷にて焼き戻し処理を行った。この試験歯
車の寸法形状を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】上記歯車について、硬球材質:鋼、硬球
径:0.4mm、1つの歯底部1mm2あたりの硬球投射時
間:30秒、硬球速度:100m /min に設定し、隙間
寸法G=3mmのスリット4を介して処理を行った。同時
に、同様の歯車に対して従来の投射式ショットピーニン
グによる処理を行った。その後、歯底部表面に100kg
f/mm2の引張応力を加え、かつ歯面部接触部にヘルツ
面圧350kgf/mm2を負荷したときの歯底部及び歯面
が破壊に至るまでの繰り返し回数を測定した。その結果
を表2に示す。
径:0.4mm、1つの歯底部1mm2あたりの硬球投射時
間:30秒、硬球速度:100m /min に設定し、隙間
寸法G=3mmのスリット4を介して処理を行った。同時
に、同様の歯車に対して従来の投射式ショットピーニン
グによる処理を行った。その後、歯底部表面に100kg
f/mm2の引張応力を加え、かつ歯面部接触部にヘルツ
面圧350kgf/mm2を負荷したときの歯底部及び歯面
が破壊に至るまでの繰り返し回数を測定した。その結果
を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】試料A4に示すように、ショットピーニン
グ処理を施さないものは、歯面に疲労破壊が生じる以前
に歯底部から疲労破壊してしまい、歯面の破壊は確認で
きなかった。また試料A3に見られるように、従来のシ
ョットピーニング処理(投射式)を施したものは、ショ
ットピーニング処理を施さないものが破壊した1.2×
105回以上の繰り返し応力を負荷しても歯底部は破壊
せず、その強度が向上しているが、歯面は3.0×10
5回で破壊している。それに対して本発明による処理を
施した試料A1は、歯底部のみに限定的に硬球が衝突し
ているため、歯底部が強化されると共に歯面に悪影響が
及んでいないため、歯底部並びに歯面の破壊までの繰り
返し回数は共に107回以上を数えた。
グ処理を施さないものは、歯面に疲労破壊が生じる以前
に歯底部から疲労破壊してしまい、歯面の破壊は確認で
きなかった。また試料A3に見られるように、従来のシ
ョットピーニング処理(投射式)を施したものは、ショ
ットピーニング処理を施さないものが破壊した1.2×
105回以上の繰り返し応力を負荷しても歯底部は破壊
せず、その強度が向上しているが、歯面は3.0×10
5回で破壊している。それに対して本発明による処理を
施した試料A1は、歯底部のみに限定的に硬球が衝突し
ているため、歯底部が強化されると共に歯面に悪影響が
及んでいないため、歯底部並びに歯面の破壊までの繰り
返し回数は共に107回以上を数えた。
【0023】次に上記と同様の歯車について、スリット
4の隙間寸法Gを変化させて処理した結果を表3に示
す。
4の隙間寸法Gを変化させて処理した結果を表3に示
す。
【0024】
【表3】
【0025】試料B3及びB4に示すように、スリット
4の隙間寸法Gが歯底幅寸法Wより大きい場合は歯面に
も硬球が衝突するため、歯面に疲労破壊が生じる繰り返
し回数が低くなるのに比し、試料B1及びB2に示すよ
うに、スリット4の隙間寸法Gが歯底幅寸法Wより小さ
い場合は、歯底部の強度が向上すると共に、歯面の強度
低下を抑制していることが分かる。
4の隙間寸法Gが歯底幅寸法Wより大きい場合は歯面に
も硬球が衝突するため、歯面に疲労破壊が生じる繰り返
し回数が低くなるのに比し、試料B1及びB2に示すよ
うに、スリット4の隙間寸法Gが歯底幅寸法Wより小さ
い場合は、歯底部の強度が向上すると共に、歯面の強度
低下を抑制していることが分かる。
【0026】次に上記と同様の歯車について、スリット
4と歯底部6aとの相対位置の設定誤差を変化させると
共に、投射一時停止の有無を変化させて処理した結果を
表4に示す。
4と歯底部6aとの相対位置の設定誤差を変化させると
共に、投射一時停止の有無を変化させて処理した結果を
表4に示す。
【0027】
【表4】
【0028】スリット4と歯底部6aとの相対位置はレ
ーザ測距器を用いて把握し、設定位置との差を算出し
た。この場合、位置設定誤差が0.6mmの場合は強度低
下を招かないが、位置設定誤差が1.5mmの場合は歯面
に対しても一部の硬球が衝突するため、歯面の破壊に至
るまでの繰り返し回数が低下していることが分かる。ま
た、処理する対象歯底部を切り換える際に硬球噴射を一
時停止しないと、歯面にも硬球が衝突するため、位置設
定制御精度に関わらず歯面の破壊に至るまでの繰り返し
回数が大幅に低下している。
ーザ測距器を用いて把握し、設定位置との差を算出し
た。この場合、位置設定誤差が0.6mmの場合は強度低
下を招かないが、位置設定誤差が1.5mmの場合は歯面
に対しても一部の硬球が衝突するため、歯面の破壊に至
るまでの繰り返し回数が低下していることが分かる。ま
た、処理する対象歯底部を切り換える際に硬球噴射を一
時停止しないと、歯面にも硬球が衝突するため、位置設
定制御精度に関わらず歯面の破壊に至るまでの繰り返し
回数が大幅に低下している。
【0029】ところで、1つの歯底部に対する硬球の投
射時間については、硬球の投射速度、投射数、残留応力
の大きさ、被処理物の材質などの多くの因子によって定
まるため、一概に規定することはできないが、実用上
は、1mm2当り3秒以下では十分な残留応力を付与し得
ないことが確認されている。また過度に長時間にわたる
ことは、生産性やコストの面から見て望ましくないの
で、処理すべき歯車の使用条件に応じて適宜に定めるこ
とが好ましい。
射時間については、硬球の投射速度、投射数、残留応力
の大きさ、被処理物の材質などの多くの因子によって定
まるため、一概に規定することはできないが、実用上
は、1mm2当り3秒以下では十分な残留応力を付与し得
ないことが確認されている。また過度に長時間にわたる
ことは、生産性やコストの面から見て望ましくないの
で、処理すべき歯車の使用条件に応じて適宜に定めるこ
とが好ましい。
【0030】
【発明の効果】このように本発明により、歯車の歯面の
疲労強度を損なうことなく、歯底部の疲労強度を向上さ
せることができることから、総合的に歯車の疲労強度を
向上し、歯車の寿命延長及び伝達荷重の増大に寄与でき
る。しかも本発明によれば、限定した部分のみに硬球を
衝突させることができるので、例えば機械部分のネジ孔
周辺部やシャフトの応力集中部等に適応すれば、必要以
外の部分の品質及び性能を損なわずに歯車の疲労強度の
向上を企図し得る。
疲労強度を損なうことなく、歯底部の疲労強度を向上さ
せることができることから、総合的に歯車の疲労強度を
向上し、歯車の寿命延長及び伝達荷重の増大に寄与でき
る。しかも本発明によれば、限定した部分のみに硬球を
衝突させることができるので、例えば機械部分のネジ孔
周辺部やシャフトの応力集中部等に適応すれば、必要以
外の部分の品質及び性能を損なわずに歯車の疲労強度の
向上を企図し得る。
【図1】本発明装置の概略構成図。
【図2】噴射口とスリットと歯車との関係を示す説明
図。
図。
1 硬球投射装置 2 硬球供給装置 3 噴射口 4 スリット 5 邪魔板 6 歯車 6a 歯底部 7 インデックス装置
Claims (3)
- 【請求項1】 加速した硬球を衝突させることによって
圧縮残留応力を被処理歯車に付与するための歯車歯元の
残留応力付与装置であって、 硬球噴射口から前記被処理歯車の歯底部に至る硬球の弾
道上に配置され、かつ前記被処理歯車の歯底部に対する
投影寸法が使用する硬球径を超え前記被処理歯車の歯底
幅寸法以下のスリットを有する邪魔板と、 前記被処理歯車の歯底部の所定位置と前記スリットの中
心位置とを整合させるための位置制御手段とを有するこ
とを特徴とする歯車歯元の残留応力付与装置。 - 【請求項2】 前記スリットが、互いに対向する一対の
板の端縁同士間に形成されるものであることを特徴とす
る請求項1に記載の歯車歯元の残留応力付与装置。 - 【請求項3】 前記位置制御手段の位置設定精度が、前
記被処理歯車の歯底幅寸法の1/5以下であることを特
徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の歯車歯元の
残留応力付与装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35259392A JPH06172852A (ja) | 1992-12-09 | 1992-12-09 | 歯車歯元の残留応力付与装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35259392A JPH06172852A (ja) | 1992-12-09 | 1992-12-09 | 歯車歯元の残留応力付与装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06172852A true JPH06172852A (ja) | 1994-06-21 |
Family
ID=18425111
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35259392A Withdrawn JPH06172852A (ja) | 1992-12-09 | 1992-12-09 | 歯車歯元の残留応力付与装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06172852A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5911780A (en) * | 1995-07-13 | 1999-06-15 | Komatsu Ltd. | Gear shot peening method |
DE102009016853A1 (de) | 2009-04-08 | 2010-10-14 | Bayer Materialscience Ag | Verfahren zur Herstellung von Diaryl- oder Alkylarylcarbonaten aus Dialkylcarbonaten |
-
1992
- 1992-12-09 JP JP35259392A patent/JPH06172852A/ja not_active Withdrawn
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