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JP2010187522A - モータ駆動方法ならびに駆動装置およびこれを用いた電気機器 - Google Patents

モータ駆動方法ならびに駆動装置およびこれを用いた電気機器 Download PDF

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JP2010187522A JP2009242027A JP2009242027A JP2010187522A JP 2010187522 A JP2010187522 A JP 2010187522A JP 2009242027 A JP2009242027 A JP 2009242027A JP 2009242027 A JP2009242027 A JP 2009242027A JP 2010187522 A JP2010187522 A JP 2010187522A
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Abstract

【課題】ブラシレスDCモータの高負荷・高速駆動での安定性を高め駆動領域を拡張すると共に、外的要因による不安定状態を抑制し信頼性の高いブラシレスDCモータの駆動装置を提供する。
【解決手段】永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータ4と、前記三相巻線に電力を供給するインバータ3と、低速では通電角が120度以上150度以下の矩形波またはそれに準じる波形を、高速では通電角が120度以上180度未満の矩形波および正弦波、またはそれらに準じる波形を、前記ブラシレスDCモータ4の相電流と所定の位相関係により所定周波数で出力することで、ブラシレスDCモータ4の誘起電圧と相電流および端子電圧位相が、負荷と速度に応じた適切な位相関係で安定するので、高負荷・高速駆動での駆動安定性を高めることが出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータを、三相巻線に電力を供給するインバータにより駆動するための装置に関するものであり、特に冷蔵庫や空気調和機などの圧縮機を駆動するのに最適なブラシレスDCモータの駆動方法ならびに駆動装置、およびこれを用いた電気機器に関するものである。
従来のモータ駆動装置は、電流状態と速度状態により、速度フィードバック運転と速度オープンループ運転を切り替えるステップと設けて、モータを駆動するようにしている(例えば特許文献1)。図12は特許文献1に記載された従来のモータ駆動装置を示すものである。
図12において、直流電源201は6個のスイッチング素子を3相ブリッジ構成としたインバータ202に入力し、前記インバータ202は入力された直流電圧から任意の周波数の交流電圧に変換し、ブラシレスDCモータ203に入力する。
位置検出部204はインバータ202の出力端子電圧からブラシレスDCモータ203の回転により発生する誘起電圧情報を基にしてブラシレスDCモータ203の回転子203a相対位置を検出する。制御回路205は位置検出部204から出力される位置信号を入力としてインバータ202のスイッチング素子の制御信号を発生する。
位置演算手段206は位置検出部204の信号から、ブラシレスDCモータ203の回転子203aの磁極位置情報を演算するものである。自制運転手段207は前記位置演算手段206から得た回転子203aの磁極位置と速度指令値とを基に、ブラシレスDCモータ203の3相巻線に流す電流を切り替えてブラシレスDCモータをフィードバック制御で駆動するものであり、他制運転手段210は、速度指令に基づきブラシレスDCモータの3相巻線に流す電流を切り替えてオープンループ駆動を行うものであり、選択手段211はブラシレスDCモータを自制運転手段で駆動するか、他制運転手段で駆動するかを選択するものである。
駆動制御手段212は前記選択手段211によって選択した運転手段をもとにインバータ202のスイッチング素子の制御信号を生成するものである。
この様に従来のモータ駆動装置は、ブラシレスDCモータの高速駆動時または高負荷時駆動では、フィードバック制御による自制運転からオープンループ駆動を行う他制運転に切換えることで、ブラシレスDCモータの運転範囲を拡張している。
特開2003−219681号公報
しかしながら上記従来の構成は、高速あるいは高負荷時の運転時でのブラシレスDCモータをオープンループで駆動するため、比較的負荷が小さい状態では安定した駆動性能を得ることが出来るが、ある程度以上負荷が大きくなると、不安定な駆動状態に陥る場合がある。
図7はブラシレスDCモータをオープンループ同期駆動した場合の、相電流と端子電圧の位相関係を示したものである。図7において、横軸は時間、縦軸は誘起電圧位相を基準とした位相(即ち誘起電圧との位相差)を示し、(イ)は相電流を、(ロ)は端子電圧、(ハ)は相電流と端子電圧との位相差である。また図7(a)は比較的低負荷の状態を示し、(b)は高負荷状態を示し、誘起電圧位相との差から、(a)(b)共に端子電圧位相より電流位相が進んでいることから、同期駆動により非常に高速(即ち誘起電圧が高い状態)での駆動していることが分かる。
図7(a)に示すように、駆動速度に対して負荷が比較的小さい場合の同期駆動では、転流に対して負荷の状態に見合った角度分回転子が遅れ、即ち回転子(誘起電圧)から見ると転流(即ち電圧および電流位相)が進み位相となり所定の関係が保たれるので弱め磁束制御と同様の状態となり高速での駆動が可能となる。一方、(b)に示すように駆動速度に対して負荷が大きい状態では、(a)と同様に「転流に対して回転子が遅れることで弱め磁束状態になり、転流周期に同期するようになり回転子加速、回転子の加速により電流位相の進み角が減少し回転子が減速」を繰り返し、結局駆動状態(駆動速度)が安定しない。即ち(b)に示す様に、一定周期で繰り返される転流に対して、ブラシレスDCモータの回転が変動するため、誘起電圧位相を基準としたとき、端子電圧位相が変動することになる。このよう駆動状態ではブラシレスDCモータの回転数に変動に伴う「うねり音」の発生や電流脈動による過電流停止の可能性等の不具合発生が予想される。
従って、上記の様な不具合の可能性を回避するためには、ブラシレスDCモータの回転状態が不安定に陥るまでに、負荷を軽減することや、速度を低下することで対応できるが、結局ブラスレスDCモータの高速および高負荷駆動を制限することになり、十分に駆動領域を十分に拡張することが難しいという課題を有している。
さらに上記従来の構成では、モータ電流位相および電圧位相は速度および負荷によって成り行き任せであるため、ブラシレスDCモータの負荷や入力電圧が非常に安定した理想的な環境下では、モータ電流および電圧位相状態が安定し駆動領域の拡張は可能となるが、上記に示した回転の変動現象は、駆動速度と負荷の大きさに影響されると共に、負荷変動(圧縮機などのようにモータ1回転中の負荷変動も含む)や入力電圧の変動(交流電圧の整流平滑に伴うリプル電圧も含む)など外的な要因にも大きく左右されるため、実際には駆動領域の拡張範囲は制限されてしまうという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ブラシレスDCモータの高負荷・高速駆動での安定性を高め駆動領域を拡張すると共に、外的要因による不安定状態を抑制し信頼性の高いブラシレスDCモータの駆動装置を提供する。
さらに高速・高負荷駆動の安定性による駆動領域の拡張ができることで、固定子巻線の巻数を増やして高速駆動性能を犠牲にした高効率低トルクモータを、高速・高負荷での駆動を可能として、高効率・高トルクなモータ駆動装置を実現することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のモータ駆動方法は、ブラシレスDCモータの通電角を低速では120度以上150度以下、高速では120度以上180度未満として、高速では所定の周波数を一定のデューティで、ブラシレスDCモータの速度および負荷状態に見合った相電流との位相関係を保ちながら通電タイミングを図るものである。これによりブラシレスDCモータの相電流および端子電圧位相は誘起電圧位相に対し、駆動速度や負荷状態、入力電圧状態等により適切な位相関係で保持されることになり、さらに外乱発生時等も安定して駆動出来ることになる。
本発明のモータ駆動方法は、ブラシレスDCモータの高速高負荷駆動の安定性を図ることで、運転可能領域を拡張でき、信頼性の高いモータ駆動装置を提供することが出来る。
さらに運転領域の拡張によって、モータ巻数を増やし高速駆動性能を犠牲にした高効率モータを、高負荷・高速での駆動を可能とすることで、従来と同等の負荷駆動範囲を維持しつつ、高効率化を図ることができる。
また本発明のモータ駆動装置を冷凍サイクルの圧縮機の駆動に用いたとき、特に低速での駆動において、機器の高効率化を図ることができ、電気機器の省エネを図ることが出来る。
本発明の実施の形態1によるブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図 本発明の実施の形態1における低速時のインバータ駆動のタイミング図 本発明の実施の形態1における低速時の通電角=効率特性図 本発明の実施の形態1における高速時のインバータ駆動のタイミング図 ブラシレスDCモータの同期駆動時の負荷に対する位相状態を示すグラフ 負荷状態による相電流と端子電圧の位相関係を示したベクトル図 ブラシレスDCモータをオープンループ同期駆動時の位相関係を示すグラフ 本発明の実施の形態1における第2波形発生部の動作を示すフローチャート 本発明の実施の形態1における回転数=デューティ特性図 本発明の実施の形態1における回転数とデューティのタイミング図 本発明の実施の形態1によるブラシレスDCモータの回転子の構造図 従来のモータ駆動装置のブロック図
請求項1に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、低速では通電角が120度以上150度以下の矩形波またはそれに準じる波形を、高速では通電角が120度以上180度未満の矩形波および正弦波、またはそれらに準じる波形を、前記ブラシレスDCモータの相電流と所定の位相関係により所定周波数で出力するとともに、デューティを一定として所定周波数のみを変化させるようにしたブラシレスDCモータの駆動方法である。これによりブラシレスDCモータを駆動状態応じて適切な駆動を選択出来るため、ブラシレスDCモータを常に最適な駆動状態とすることができる。さらに高速ではブラシレスDCモータの固定子巻線電流の位相と印加する電圧との位相関係を安定した状態に保持するので、高速駆動時および高負荷駆動時の駆動状態が安定し、ブラシレスDCモータの駆動可能な負荷及び速度領域を向上することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に、前記ブラシレスDCモータの3相巻線の通電時間を所定のタイミングで一時的に補正することで、前記ブラシレスDCモータの電流位相と電圧位相を所定の位相関係で保持するようにしたものである。これにより、ブラシレスDCモータの電流位相と電圧位相との位相関係を負荷状態に応じた適切な状態安定させたうえでその位相関係を保持することが出来るので、高速高負荷駆動時の安定性を向上し、駆動可能な負荷範囲を拡張することが出来る。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明に、前記ブラシレスDCモータの三相巻線の通電する巻線の切り替えは、前記ブラシレスDCモータの電流位相を基準として任意のタイミングで行なうものである。これによりモータ電流位相と電圧位
相を所定の位相関係で確実保持することが出来る。
請求項4に記載の発明は請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の発明に、ブラシレスDCモータは回転子の鉄心に永久磁石を埋め込んでなる回転子であり、かつ突極性を有する回転子を有するものとしている。これによりブラシレスDCモータの駆動において、永久磁石のマグネットトルクの他に突極性によるリラクタンストルクを利用することができ、低速駆動時の効率向上と共に、高速時の高速駆動性も向上することが出来る。
請求項5に記載の発明は請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の発明において、ブラシレスDCモータが圧縮機を駆動するようにしたもので、圧縮機において高効率・低騒音を実現できる極めて重要な用途の一つである。
請求項6に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、前記ブラシレスDCモータの電流位相を検出する電流位相検出部と、通電角が120度以上150度以下の矩形波またはそれに準じる波形を出力する第1波形発生部と、デューティを一定として所定周波数のみを変化させる周波数設定部と、通電角が120度以上180度未満の矩形波および正弦波、またはそれらに準じる波形を前記周波数設定部で決められた所定周波数で前記ブラシレスDCモータに流れる電流の位相と所定の位相関係により出力する第2波形発生部と、低速では前記第1波形発生部の出力を、高速では前記第2波形発生部の出力をそれぞれ選択する切替判定部とを有することで、ブラシレスDCモータを駆動状態応じて適切な駆動を選択出来るため、ブラシレスDCモータを常に最適な駆動状態とすることができる。さらに第2波形発生部での駆動ではブラシレスDCモータの固定子巻線電流の位相を基準として印加する電圧の位相を決めるので、ブラシレスDCモータの電流位相と電圧位相との関係が安定し、第2転流部による駆動安定性が向上することで、ブラシレスDCモータの駆動可能な負荷領域および速度領域を大幅に拡張することができる。
請求項7に記載の発明は、回転子の回転位置を検出する位置検出部を有し、低速においては位置検出部による回転子の回転位置を元にインバータを駆動するのでより高効率な駆動を行うことが出来る。
請求項8に記載の発明は請求項6または請求項7に記載の発明に、前記所定周波数の上限周波数を設定しその上限周波数以上の周波数の出力を禁止する周波数制限部を有することで、駆動限界周波数を超えるような周波数での駆動を防ぐことで、ブラシレスDCモータの脱調あるいは不安定な駆動状態に陥ることを防止でき、装置の信頼性を向上することが出来る。
請求項9に記載の発明は請求項6から請求項8のいずれか一つに記載の発明に前記上限周波数を前記第1波形発生部により出力する最大周波数により設定する上限周波数設定部することで、運転状況に応じた最大周波数を設定できることが可能であり、より安定した最大限の高速駆動を行うことが出来る。
請求項10に記載の発明は請求項6から請求項9のいずれか一つに記載の発明に、所定時間が経過した後、前記周波数設定部からの駆動から前記転流部からの駆動に一時的に切り替えることで、上限周波数を設定しなおす上限周波数変更部を有することで、時間経過に伴い負荷状態が変化したときでも、最適最高回転数での運転が可能となる。
請求項11に記載の発明は請求項6から請求項10のいずれか一つに記載の発明に、ブラシレスDCモータが、回転子の鉄心に永久磁石を埋め込んでなる回転子であり、かつ突極性を有する回転子とすることで、ブラシレスDCモータの駆動において、永久磁石によ
るマグネットトルクとともに、突極性によるリラクタンストルクも有効に利用できるようになるため、低速時の高効率駆動とともに、高効率の高速駆動性能も更に伸張することが可能となる。
請求項12に記載の発明は、請求項6から請求項11のいずれか一つに記載の発明において、ブラシレスDCモータは圧縮機を駆動するものであり、圧縮機の高効率化および低騒音化駆動を実現できる極めて重要な用途のひとつである。
請求項13に記載の発明は請求項12に記載の発明を冷却システムの圧縮機の駆動に用いた冷蔵庫であり、冷却システムの高効率化と、駆動領域の拡張による冷却性能の向上が可能となり、冷蔵庫の消費電力量の削減と庫内温度が高い場合の冷却時間の短縮が可能となる。
請求項14に記載の発明は請求項12に記載の発明を用いた空気調和機である。これにより冷凍空調サイクルの高効率化により空気調和機の消費電力量を削減できると共に、外気温度が非常に低い場合の暖房能力を向上することができ、幅広い負荷範囲での駆動を可能とできる。
以下本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるブラシレスDCモータの駆動装置を示すブロック図である。
図1において交流電源1は、日本の場合50または60Hz、実効値100Vの商用電源である。整流平滑回路2は交流電源1を入力として、直流電源に整流平滑するもので、ブリッジ接続した4個の整流ダイオード(2a〜2d)と、平滑コンデンサ(2eおよび2f)から構成されている。なお本実施の形態では倍電圧整流回路としているが全波整流回路でも特に構わない。さらに本実施の形態では交流電源を単相としているが、3相交流電源を用いた場合、整流平滑回路に3相整流平滑回路を用いると良い。
インバータ3は整流平滑回路2の直流電圧を入力として、直流電力を交流電力に変換するものであり、6個のスイッチング素子(3a〜3f)を3相ブリッジ接続して構成している。また各スイッチング素子の逆方向に還流電流用のダイオードが接続されているが本図では省略している。
ブラシレスDCモータ4は、永久磁石をもつ回転子4aと3相巻線を有した固定子4bとで構成され、インバータ3により作られた3相交流電流が固定子巻線4bに流れることで回転子4aを回転させることが出来る。回転子4aの回転運動はクランクシャフト(図示せず)により往復運動に変換され、ピストン(図示せず)がシリンダ(図示せず)内を往復運動することにより冷媒を圧縮する圧縮機の駆動を行う。
位置検知部5はブラシレスDCモータ4の回転子4aの磁極相対位置を検出するものであり、本実施の形態では固定子4bの3相巻線に発生する誘起電圧から、回転子4aの相対的な回転位置を検出している。なお、固定子位置の検出方法はモータ電流(相電流はたは母線電流)の検出からベクトル演算を経て磁極位置推定を行っても構わない。
第1波形発生部6は位置検知部5で得た回転子4aの位置情報を基にインバータ3のスイッチング素子を駆動する信号を生成する。この駆動する信号は矩形波通電を基本として、通電角を120度以上150度以下としている。ただし矩形波以外の波形でもそれに準
じる波形として立上がり/立下りに若干の傾斜を持たせた台形波であっても何ら問題ない。
第1波形発生部6ではさらに回転数を一定に保つためにPWMデューティ制御を行っている。これにより回転位置に従って、最適なデューティで運転することが可能となりブラシレスDCモータを最も効率の良い運転が実現できる。
速度検出部7は位置検知部5の出力信号からブラシレスDCモータ4の速度を検出する。具体的方法として一定周期で発生する位置検知部5からの信号を計測する等で簡単に検出することが出来る。
周波数設定部8は、出力デューティを一定として周波数のみを変化させて出力するもので、周波数制限部9は周波数設定部8の周波数が上限を超えないように制限するものである。
第2波形発生部10は、周波数制限部9の出力信号と後述する電流位相検出部16の出力信号を基にインバータ3のスイッチ素子を駆動する信号を作り出す。この駆動する信号は通電角が120度以上、180度未満の矩形波である。ただし台形波等、矩形波に準じた波形であっても、正弦波、あるいは正弦波に準じた歪み波形等であっても問題ない。またここでは最大デューティで駆動するとしており、90〜100%の一定デューティとしている。
切換え判定部11は速度検出部7で検出した速度により低速/高速を判断して、インバータ3を動作させる波形を第1波形発生部6か第2波形発生部10かを切り替えるものである。具体的には回転数が低速の場合、第1波形発生部6からの信号を選択し、高速の場合は第2波形発生部10からの信号を選択してインバータ3を動作させる。
ここで回転数が低速か高速化の判断は、速度検出部7で検出した実際の速度から判断しても構わないし、設定回転数やデューティから判断しても構わない。デューティでの判断は最大デューティ(一般的には100%)で位置検出での駆動における最高速度となるため、この条件で波形発生部を切替えることも可能である。
ドライブ部12は切替判定部11からの出力信号によりインバータ3のスイッチ素子(3a〜3f)を駆動する。この駆動によりインバータ3から最適な交流出力がブラシレスDCモータ4に印加出来るので回転子4aを回転させることができる。
上限周波数設定部13は、第1波形発生部6から駆動されているときの最大回転数(デューティ100%のとき)を基に上限周波数を設定する。本実施の形態では上限周波数(即ちブラシレスDCモータの上限回転数)を、前記最大回転数の1.5倍に設定する。例えば最大回転数50r/sの場合75r/sと設定する。この上限周波数で設定した上限回転数は周波数制限部9の周波数制限に利用する。
この上限周波数の設定は、次のように行う。周波数設定部8と第2波形発生部10による駆動を行っているとき、ブラシレスDCモータ4はインバータ3の転流に回転子4aがついていく同期モータとして運転しているため、転流に対し固定子が遅れることで、電流位相に対し誘起電圧位相が遅れた状態となっている。即ち誘起電圧位相を基準に考えると、誘起電圧位相に対しモータ電流位相が進んだ状態(即ち弱め磁束)で駆動しているため、第1波形発生部6によるデューティ100%での駆動よりも、さらに高速回転が可能となっている。しかしこの進角が大きくなると(即ち転流に対して固定子が大きく遅れてしまうと)モータは同期を外れて脱調してしまう。従ってこの脱調をおこす回転数より上限
周波数が低くなるように予め設定しておくことでモータ駆動装置の信頼性を向上している。
上限周波数変更部14は、切替判定部11により第2波形発生部10による駆動が所定時間(例えば30分間)継続した場合、強制的に切替判定部を第1波形発生部6に切り替え、上限周波数設定部13による上限周波数を再設定する。
電流検出部15はブラシレスDCモータに流れる電流の瞬時値を検出するものであり、電流位相検出部16はブラシレスDCモータのモータ電流の位相を検出するものである。本実施の形態において電流位相検出部16は、電流センサ等で構成した電流検出部15の出力をコンパレータに入力して、ゼロクロスタイミングを検出する様にしている。なお電流検出部15は直流電流センサであっても、交流電流センサであっても、非常に小さい抵抗値の固定抵抗器等、いかなる電流検出器であっても特に構わない。
また電流位相検出の別の方法として、電流検出部15で検出した電流を、所定のサンプリング周期(例えばキャリア周期)でA/D変換を行い、電流位相検出部はA/D変換の結果から最大値や最小値、電流ゼロポイント等から電流の位相を検出することも可能である。
次に本発明の実施の形態1における動作について説明する。
まず、低速時の動作について説明する。図2は本発明の実施の形態1における低速時のインバータ駆動のタイミング図である。ブラシレスDCモータ4の回転数が低い場合、位置検知部5の出力により動作する第1波形発生部6からの信号により駆動され、図2に示すような動作となる。
図2において、Uはスイッチ素子3aの駆動信号、Vはスイッチ素子3cの駆動信号、Wはスイッチ素子3eの駆動信号、Xはスイッチ素子3bの駆動信号、Yはスイッチ素子3dの駆動信号、Zはスイッチ素子3fの駆動信号であり、Iu・Iv・Iwは固定子4bの各巻線のU相、V相、W相の電流を示す。低速時の駆動では、位置検知部5の信号に従って、120度毎の区間で順次転流を行っている。また上アームの駆動信号U、V、WにはPWM制御によるデューティ制御を行っている。このとき、電流波形は図2に示す様に、のこぎり波の形状の波形となる。この時は、位置検知部5の出力により最適なタイミングで転流を行っているので最も効率よくブラシレスDCモータが駆動できることとなる。
次に、最適な通電角について図3を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態1における低速時の通電角=効率特性図である。図3は、実線がモータ効率、破線が回路効率、一点鎖線が総合効率(モータ効率×回路効率)を示す。図3に示すように、通電角を120度より大きくすると、モータ効率は向上する。これは通電角が広がることで、モータ電流の実効値が下がり(即ち力率が上がり)、モータの銅損減少に伴いモータ効率が上がるためである。しかしながら、回路ではスイッチング回数が増加し、スイッチングロスが増加することで、回路効率は低下する。したがって、最も総合効率のよい点が現れる。本実施の形態では、130度が最も効率の高くなるポイントであるということがいえる。
次に、高速時の動作について説明する。図4は本発明の実施の形態1における高速時のインバータ駆動のタイミング図である。ブラシレスDCモータ4の回転数が高い場合、周波数設定部8の出力により動作する第2波形発生部10からの信号により駆動され、図4に示すような動作となる。
図4における記号は図2と同一であるため、符号の説明は省略する。各駆動信号は周波数設定部8の出力にしたがって、所定周波数を出力するように転流を行うが、このとき導電角は120度以上180度未満とする。図4ではこの導電角を150度で示しているが、導電角を上げることによって各相の電流波形は擬似的に正弦波に近づく。
デューティを一定として周波数を上げていくことにで、従来に比べ大幅に回転数を上げることができる。この回転数が上がった状態ではブラシレスDCモータ4は同期モータとして運転しており、駆動周波数の上昇に伴い電流も増加する。このとき、導電角を最大180度未満まで広げることで、ピーク電流値の抑制ができ、より高い電流まで過電流保護がかからずに動作させることができる。
ここで第2波形発生部によるスイッチング素子をオンするタイミングについて説明する。図5はブラシレスDCモータを同期駆動した時の負荷に対する位相状態を示したグラフである。図5において横軸はモータトルク、縦軸は誘起電圧位相を基準とした位相差を示し、位相が正の場合、誘起電圧位相に対して進みであることを示す。また図5の(イ)はモータ相電流、(ロ)はモータ相電圧の位相であり同期運転での安定状態を示している。低負荷状態でも電流位相が端子電圧位相より進んでいることから同期駆動でブラシレスDCモータを高速駆動しているといえる。図5に示す相電流位相と相電圧位相との関係から明確なように、負荷トルクに対して電流位相の変化は少なく端子電圧位相が直線的に変化するため、負荷トルクに応じて電流と電圧との位相差はほぼ線形に変化することが分かる。
先述のように同期駆動では、ブラシレスDCモータの駆動速度および負荷に応じた適切な電流および電圧位相関係で安定することである。このときの端子電圧および電流位相の関係を図6に示す。図6は負荷状態による電流と端子電圧の位相関係をd−q平面状に示したベクトル図である。
図6に示すように同期駆動では、端子電圧ベクトルは負荷が増加したとき大きさをほぼ一定を保ちながら位相は進み方向に推移する。一方電流ベクトルは、ほぼ一定の位相を保ちながら負荷の増加に伴い大きさを変化(負荷増加に伴い、電流が増える)する。このように電圧および電流ベクトルが駆動環境(入力電圧、負荷トルク、駆動速度等)に従い適切な状態で各ベクトルの位相関係が定まる。
ここで、ある負荷状態・速度状態における位相状態の時間的変化を図7を用いて説明する。従来の技術の課題でも説明したように、同期駆動で安定した駆動状態にあるときは、図7(a)の波形(ハ)のように、相電流位相と端子電圧位相との位相差は一定に保たれ安定する。
一方で負荷が極端に大きい場合や、外乱等により駆動状態が不安定(回転速度の変動発生時)となった状態では、回転子の速度変動によって、誘起電圧位相を基準とした電流および端子電圧の位相が変動するが、電流位相の変動に対し端子電圧位相の変動が大きいため電流と端子電圧の位相関係も変動することになる。
即ち同期駆動での不安定現象が発生しているときは誘起電圧・モータ端子電圧・モータ電流の位相関係が不安定(変動)状態にあり、オープンループ駆動による成り行きでの運転では一旦不安定な位相状態に陥ったとき、負荷および速度に見合った位相関係に収束するのが困難な状態にある。従って、電流位相と端子電圧との位相差を図5に示すように負荷に見合った適切な位相関係を保つことで、同期駆動による不安定現象を抑制することが可能となる。
端子電圧と相電流との位相関係を保つ方法として、本実施の形態では、端子電圧の基準位相(即ちドライブ信号の転流基準位置)と電流位相の基準点を検出して、オープンループの同期駆動における転流タイミング(一定周期の転流)を補正するようにしている。
それでは、インバータ3のスイッチング素子の制御タイミングの決定方法について図8の第2波形発生部の動作を示すフローチャートを用いて説明する。
まずstep101にて特定のスイッチ素子のオンタイミングを待つ。本実施の形態ではU相上側スイッチ素子、即ちインバータ3のスイッチ素子3aのオンタイミングを待つものとする。ここでスイッチ素子3aのオンタイミングである場合、step102に進み、スイッチ素子3aのオンから電流が所定の位相になるまでの時間を計測する。本実施の形態ではU相電流を、電流センサを用いた電流検出部15で検出し、電流位相検出部は、電流が負方向から正方向に変化するゼロクロスポイントを電流位相の基準として、スイッチ素子3aのオンタイミングからU相電流が正方向に変移するタイミングまでの時間を計測する。尚、電流ゼロクロスポイントの検出には、電流センサの入力を電流の流れる向きに応じて出力が反転するように構成したコンパレータ回路に入力し、そのコンパレータ回路の出力エッジを検出するようにしている。
step103は計測した時間とこれまでの平均時間との差分を計算して、step104で、その差分に基づいて転流タイミングの補正量を演算する。
転流タイミングの補正量とは、周波数設定部8で設定した指令速度に基づく基本転流周期に対して転流タイミングを補正するものである。従って大きな補正量を付加した場合、過電流や脱調停止の原因ともなる。したがって補正量決定おいては、ローパスフィルタ等を付加した上で補正量演算を行うことで急激な転流タイミングの変動を抑えている。これによりノイズ等の影響により電流ゼロクロス検出を失敗(誤検出)した場合でも補正量への影響を小さくすることができ、駆動安定性をより向上できる。さらに補正量演算において急激な変化を抑えることは、ブラシレスDCモータの加減速時における転流タイミングの変化に対しても緩やかになるため、指令速度が大きく変更され周波数設定部による転流周期が大幅に変わった場合でも転流タイミングの変化は緩やかになり、電流の乱れ等を抑制したスムーズな加減速性能を得ることが出来る。
具体的には位相差を常に平均時間に近づける(位相差を平均時間に保持できる)ように転流タイミングを補正する。例えば負荷が大きくなり、回転子速度の低下により電流位相が遅れ、端子電圧基準位相から相電流基準位相までの平均時間より計測時間が長い場合、転流タイミングを伸ばす(電流位相が遅れたため計測時間が長くなったので、転流タイミングを遅らせて端子電圧位相を遅らせ、電流位相との位相差を平均時間に近づける)様に転流タイミングを補正する。或いは負荷が小さくなり、回転子の速度が上がり電流位相が進み、端子電圧基準位相から相電流位相までの平均時間より計測時間が計測時間が短くなった時は、一旦転流タイミングを短くするよう(電流位相が早くなり計測時間が短くなったので、転流タイミングを早くして端子電圧位相を進ませ、電流位相の位相差が平均時間に近づける)に補正する。
さらに転流タイミングの補正は、特定相(たとえばU相上スイッチングのみ)の任意のタイミング(回転子1回転に1回など)としてその他の相の転流は、目標とする回転数に基づく転流周期で時間的に行う。これにより負荷に応じて相電流と端子電圧位相との位相関係を最適に保つことが出来、ブラシレスDCモータの駆動速度も保持できる。
次にstep105では、step102で得た転流から電流の特定位相までの時間を加味した平均時間として演算し更新する。
step106では周波数設定部で設定した駆動速度を基にしたスイッチ素子の転流周期に対して、補正量を付加することで転流タイミングを決定する。尚、step101において特定のスイッチ素子(本実施の形態ではスイッチ素子3a)の転流タイミングでない場合は補正量を0としてstep106で転流タイミングを決定する。
また本実施の形態ではU相上側スイッチ素子3aのオンタイミングのみで転流周期の補正を行っているため電気角周期中に1回の補正となるが、モータ駆動装置の用途やモータのイナーシャ等を勘案して、1回転に1回の補正としても、電気角1周期に2回としても、または各スイッチ素子がオンする毎回のタイミングで行っても特に構わない。
次に、切換え判定部11により波形発生部の切り替え動作について説明する。
図9は本発明の実施の形態1における回転数=デューティ特性図である。
図9において、回転数50r/s以下の場合は第1波形発生部6により駆動される。デューティは回転数により自動的にフィードバック制御により最も効率のよくなるポイントに調整される。
50r/sで、デューティ100%となり、第1波形発生部6による駆動はそれ以上回転させることのできない限界に到達する。この状態において上限周波数設定部13ではこの50r/sをベースにその1.5倍の75r/sを上限周波数として設定する。周波数設定部8からの出力信号が75r/sを超えると周波数制限部9がこの上限周波数75r/sにしたがって、これ以上の周波数を出すのを防止する。50r/sから75r/sの間はデューティは固定とし回転数のみ(即ち転流周期)を上げている。
次に上限周波数変更部14の動作について説明する。冷蔵庫などの圧縮機に本装置を使用した場合、トルクを落とした高効率なモータを使うことができ、庫内温度が安定している低速回転数が必要なときは高効率の運転ができ、庫内温度が高く高速回転数が必要なときは簡単に回転数を上げることができるので本技術の応用としては最適である。このように冷蔵庫などの圧縮機に本装置を使用した場合、負荷トルクが急激に変化することは少なく比較的長い時間がかかって負荷トルクが変化する。このとき上限周波数を変える必要が生じる。
図10は本発明の実施の形態1における回転数とデューティのタイミング図を示す。
図10において、時刻t0においてブラシレスDCモータ4は起動する。ここでは回転数指令が80r/sが指示されたものとする。ブラシレスDCモータ4にインバータ3が電力を供給し、デューティを上げていくと同時に、位置検知部5と第1波形発生部6によるフィードバックによる駆動で順次回転数もアップしていく。
時刻t1においてデューティは最大の100%となり、位置検知部5と第1波形発生部6によるフィードバックによる駆動ではこれ以上回転数を上げることが出来なくなる。このときブラシレスDCモータ4の回転数は50r/sであり、この回転数をもとに上限周波数設定部13で上限周波数を1.5倍の75r/sと設定する。
次に切替判定部11にて、周波数設定部8と第2波形発生部10による駆動に切り替える。その後デューティは100%一定で、周波数設定部8により周波数を上げていくことでブラシレスDCモータ4の回転数を上げていく。 時刻t2において、回転数指令は80r/sが指示されてはいるが、上限周波数設定部13で決められた上限周波数は75r
/sであるので、周波数制限部9により回転数は75r/sに制限される。
次に、時刻t3(時間t3−t2は一例として30分)においては、冷蔵庫などの圧縮機に使用した場合、負荷状態が変わっている可能性があるので最高回転数の確認を行う。これは上限周波数変更部14が所定時間(本実施例の場合は30分)たったことを検出して、切替判定部11を第1波形発生回路6からの駆動に切り替える。すると回転数が下がり、通常の第1波形発生回路6から動作可能な最大の回転数が回転数検出部7から測定できることになる。
本実施の形態においては、時刻t2における負荷状態に比べて、時刻t3における負荷状態は軽くなっており、最大回転数が上昇して55r/sとなっている。この結果、上限周波数設定部13で上限周波数は再設定されるが、1.5倍の82.5r/sが上限周波数として設定される。
その後、同様に切替判定部11を周波数設定部8と第2波形発生部10とからの駆動に切り替えることにより、回転数を再びアップさせる。このとき指令回転数80r/sに対して上限周波数は82.5r/sであるため所望とする80r/sで運転を継続することとなる。このようにして負荷の変動に対して、一定時間ごとに負荷状態を再度検出して上限周波数の補正を行うことにより、負荷状態に応じた最適な運転が実現できる。
次に、ブラシレスDCモータ4の構造について説明を行う。
図11は、本発明の実施の形態1によるブラシレスDCモータの回転子の構造図である。
回転子コア20は、0.35mmから0.5mm程度の薄い珪素鋼板を打ち抜いたものを、積み重ねたものである。4枚のマグネット21a〜21dは、逆円弧状に回転子コア20に埋め込まれている。このマグネットは通常フェライト系がよく用いられるが、ネオジなどの希土類の磁石が使われる場合は平板構造のものが使われることもある。
このような構造の回転子において、回転子中央からマグネットの中央に向かう軸をd軸、回転子中央からマグネットの間に向かう軸をq軸とすると、それぞれの軸方向のインダクタンスLd、Lqは逆突極性を有し、異なるものとなる。つまりこれは、モータとしては、マグネットの磁束によるトルク(マグネットトルク)以外に、逆突極性を利用したトルク(リラクタンストルク)を有効に使えることとなる。したがってモータとしてよりトルクが有効的に利用できることとなる。この結果、モータとしては高効率なモータとなる。
また、本実施の形態の制御を使用すると周波数設定部8と第2波形発生部10による駆動を行っているとき、電流は進み位相で運転するので、このリラクタンストルクが大きく利用されるようになるので、逆突極性がないモータに比べてより高回転数まで運転することができる。
以上の様に本実施の形態でのブラシレスDCモータの駆動方法は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、低速では通電角が120度以上150度以下の矩形波またはそれに準じる波形を、高速では通電角が120度以上180度未満の矩形波および正弦波、またはそれらに準じる波形を、前記ブラシレスDCモータの相電流と所定の位相関係によって所定周波数で出力するとともに、デューティを一定として所定周波数のみを変化させることで、同期駆動による高速駆動時の安定性をより高めることが出来るのでモータの駆動
領域を拡張することができる。
また相電流位相と端子電圧位相との関係を、負荷及び速度に応じて固定するので、負荷変動や電圧変動等の外乱に対しても安定して駆動できるのでモータ駆動装置の信頼性を上げることができる。
また特に高負荷時の高速駆動での広角通電で、電流ピークを低く抑えることが出来るので、インバータの電流定格を下げることが可能となり、モータ駆動装置の低コスト化が図れる。
また低速では回転子の回転位置を検出する位置検出部を有し、ブラシレスDCモータ回転子の相対位置を位置検出部で検出しながらの速度フィードバック制御を行うのでモータ駆動装置を高効率で駆動することが出来る。
さらに低速駆動領域では、通電角が120度以上150度以下の矩形波またはそれに準じる波形(例えば台形波など)を出力することで、実効電流低下による銅損の低減と回路ロス減少と、回路のスイッチングロスの増加とがつりあう最低損失状態での運転が可能となり、最高効率での運転が可能となる。一般的に正弦波駆動はモータ効率がよいと言われるが、通電角が180度となるため、回路のスイッチング損失が増加することになり、回路を含めた総合効率では、本実施の形態での駆動方法が優位である。
ブラシレスDCモータ4が、回転子4aの鉄心に永久磁石21a〜21dを埋め込んでなる回転子4aであり、かつ突極性を有する回転子4aを有したものであり、永久磁石のマグネットトルクの他に突極性によるリラクタンストルクを使うことにより、低速時の効率アップは当然のこと、高速駆動性能をさらに上げることになる。また永久磁石にネオジなどの希土類磁石を採用してマグネットトルクの割合を多くしたり、インダクタンスLd、Lqの差を大きくしてリラクタンストルクの割合を多くしたりすると、最適な通電角を変えることにより効率を上げることができる。
また本実施の形態のモータ駆動装置を圧縮機駆動に用いることは、巻線の巻込み量を増やしトルクダウンした(即ち従来のモータ駆動装置で用いるブラシレスDCモータより最高回転数を落とした)ブラシレスDCモータを所定の高速で駆動できるので、低回転数時のデューティが従来の駆動方法より大きくできるので、モータの騒音、特にキャリア音(PWM制御の周波数に相当、例えば3kHz)もが低減でき、極めて重要な用途である。
また、前記所定周波数の上限周波数を設定しその上限周波数以上の周波数の出力を禁止する周波数制限部9を有することで、駆動上限能力以上の回転での駆動を防止するので、高速駆動における信頼性を確保している。これによりモータ脱調等による停止で、冷蔵庫などの冷却システムの冷却が予期せず停止してしまい冷えなくなることを防止できる。
さらに上限周波数を第1波形発生部で出力する最大周波数によって設定する上限周波数設定部を有することで、時間経過により負荷状態が変化した場合でも、運転状況に応じた適切な最大駆動周波数の設定が可能となり、負荷状態に応じた高速駆動能力を最大限利用できる。
また、所定時間が経過した後、周波数設定部8からの駆動から位置検知部5からの駆動に一時的に切り替えて上限周波数を設定しなおす上限周波数変更部を有することで、時間経過により負荷状態が変化していても、適切な最高回転数に再設定できることになる。冷却システムの圧縮機の駆動では、負荷状態の変化は非常に緩やかであるため、頻繁に最高回転数を補正する必要も無く、最高回転数を時間経過によって補正することは、非常に有
効な方法である。
尚、本実施の形態において、ブラシレスDCモータは冷蔵庫の圧縮機を駆動するものとしたが、空気調和機の圧縮機を駆動する場合でも同様に、低速時の高効率駆動と高負荷高速駆動ができ、冷房時の最低負荷から暖房時の最大負荷まで幅広い駆動範囲をカバーできるとともに、特に定格以下の比較的低負荷での電力を低減することが可能である。
本発明のモータ駆動装置は、ブラシレスDCモータの駆動領域を拡張し、高負荷高速駆動での駆動安定性を向上したものである。これによりブラシレスDCモータの負荷範囲が拡張できると共に、高効率モータを高速・高負荷で駆動できることから機器の消費電力削減が出来る。従って、自動販売機やショーケース、ヒートポンプ給湯器といった圧縮機を用いた電気機器のほか、洗濯機や掃除機、ポンプなどブラシレスDCモータを用いる様々な用途にも適用できる。
3 インバータ
4 ブラシレスDCモータ
5 位置検出部
6 第1波形発生部
8 周波数設定部
9 周波数制限部
10 第2波形発生部
11 切替判定部
13 上限周波数設定部
14 上限周波数変更部
16 電流位相検出部
17 圧縮機
21 冷蔵庫

Claims (14)

  1. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、低速では通電角が120度以上150度以下の矩形波またはそれに準じる波形を、高速では通電角が120度以上180度未満の矩形波および正弦波、またはそれらに準じる波形を、前記ブラシレスDCモータの巻線電流と所定の位相関係を保持して所定周波数で出力するとともに、デューティを一定として所定周波数のみを変化させる同期駆動を行うようにしたブラシレスDCモータの駆動方法。
  2. 前記ブラシレスDCモータの3相巻線の通電時間を所定のタイミングで一時的に補正することで、前記ブラシレスDCモータの巻線電流の位相と電圧の位相とを所定の位相関係で保持する請求項1に記載のモータ駆動方法。
  3. 前記ブラシレスDCモータの三相巻線の通電する巻線の切り替えは、前記ブラシレスDCモータの巻線電流の位相を基準とした所定のタイミングで行なう請求項1または2に記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
  4. ブラシレスDCモータが、回転子の鉄心に永久磁石を埋め込んでなる回転子であり、かつ突極性を有する回転子を有した請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
  5. ブラシレスDCモータが圧縮機を駆動するものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
  6. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、前記ブラシレスDCモータの電流位相を検出する電流位相検出部と、通電角が120度以上150度以下の矩形波またはそれに準じる波形を出力する第1波形発生部と、デューティを一定として所定周波数のみを変化させる周波数設定部と、通電角が120度以上180度未満の矩形波および正弦波、またはそれらに準じる波形を前記周波数設定部で決められた所定周波数で前記ブラシレスDCモータに流れる電流の位相と所定の位相関係により出力する第2波形発生部と、低速では前記第1波形発生部の出力を、高速では前記第2波形発生部の出力をそれぞれ選択する切替判定部とを有するブラシレスDCモータの駆動装置。
  7. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、前記ブラシレスDCモータの電流位相を検出する電流位相検出部と、前記回転子の回転位置を検出する位置検出部と、低速では前記位置検出部の出力により通電角が120度以上150度未満の矩形波および正弦波、またはそれらに準じる波形を所定周波数で出力して前記インバータを駆動する第1波形発生部と、高速ではデューティを一定として所定周波数のみを変化させる周波数設定部と、通電角が120度以上180度未満の矩形波またはそれに準じる波形を前記周波数設定部で決められた所定周波数で前記ブラシレスDCモータに流れる電流の位相と所定の位相関係により出力する第2波形発生部とを有するブラシレスDCモータの駆動装置。
  8. 前記所定周波数の上限周波数を設定しその上限周波数以上の周波数の出力を禁止する周波数制限部を有する、請求項6または請求項7に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  9. 前記上限周波数を前記第1波形発生部により出力する最大周波数により設定する上限周波数設定部を有する請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  10. 所定時間が経過した後、前記周波数設定部による駆動から前記第1波形発生部による駆動に一時的に切り替えることで、上限周波数を設定しなおす上限周波数変更部を有する請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  11. ブラシレスDCモータが、回転子の鉄心に永久磁石を埋め込んでなる回転子であり、かつ突極性を有する回転子を有した請求項6から請求項10のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  12. ブラシレスDCモータが圧縮機を駆動するものである請求項6から請求項11のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  13. 請求項12に記載のブラシレスDCモータの駆動装置を用いた冷蔵庫。
  14. 請求項12に記載のブラシレスDCモータの駆動装置を用いた空気調和機。
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