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JP2010173986A - 歯磨剤用顆粒の製造方法 - Google Patents

歯磨剤用顆粒の製造方法 Download PDF

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JP2010173986A JP2009020496A JP2009020496A JP2010173986A JP 2010173986 A JP2010173986 A JP 2010173986A JP 2009020496 A JP2009020496 A JP 2009020496A JP 2009020496 A JP2009020496 A JP 2009020496A JP 2010173986 A JP2010173986 A JP 2010173986A
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Abstract

【課題】目的・用途の違いに応じて求められる歯磨用顆粒の顆粒強度を簡便に調製することができる歯磨剤用顆粒の製造方法、及びその方法により得られた顆粒を含有する歯磨剤を提供する。
【解決手段】下記の工程(1)及び(2)を有する歯磨剤用顆粒の製造方法、及びその方法により得られた顆粒を含有する歯磨剤である。
工程(1):少なくとも水不溶性粉末材料及び水不溶性無機結合剤を含有する歯磨剤用顆粒を製造する工程
工程(2):工程(1)で得られた顆粒を、28〜100℃で10時間以上保持する工程
【選択図】図1

Description

本発明は、歯磨剤用顆粒の製造方法、及びその方法により得られた顆粒を含有する歯磨剤に関する。
近年、虫歯や歯周病の原因となる歯垢を効率よく除去し、その効果を触知できるような顆粒を配合した歯磨剤が知られている。これらの顆粒は、歯の表面のエナメル質や歯肉等に傷を与えないようするために、実質的に球状凝集粒子とされ、薬剤、酵素剤、研磨剤等の機能性材料を含有させたものや、その視覚的効果を狙ったものがある。
これらの顆粒の結合剤としてはメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性結合剤やワックス等の有機系結合剤が知られている。有機系結合剤を用いると、比較的容易に粒子強度を高めることができるが、一方で、顆粒の弾性が増す為、顆粒の崩壊する際の感触が変化し、口腔内で違和感が生じる等の問題があった。
そこで、本出願人は、かかる問題点を解消した歯磨剤として、ゼオライト等の水不溶性粉末材料を水不溶性無機結合剤で結着させて得られる顆粒入りの歯磨剤を提案した(特許文献1参照)。この歯磨剤は、水不溶性粉末材料を水不溶性結合剤で造粒し、一定の大きさと強度を保持した顆粒を配合したものであるため、口腔内において顆粒を触知でき、効果感を認識でき、しかも異物感をほとんど感ずることがなく、研磨力が増強されたものである。
しかしながら、口腔内における顆粒の触知や触感に関してはより多様な要望があり、それに対応するためには、その目的・用途に応じて、顆粒強度をその都度調整する必要がある。しかしながら、特定の顆粒強度を得るためには、歯磨用顆粒の構成成分の検討や、顆粒の調製法の検討をその都度行わなければならず、多大なる時間と労力を要するものであった。
特開平1−299211号公報
本発明は、目的・用途の違いに応じて求められる歯磨用顆粒の顆粒強度を簡便に調整することができる歯磨剤用顆粒の製造方法、及びその方法により得られた顆粒を含有する歯磨剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、水不溶性無機結合剤と水不溶性粉末材料とを含有する歯磨剤用顆粒を、特定条件下でエージングすることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕下記の工程(1)及び(2)を有する、歯磨剤用顆粒の製造方法。
工程(1):少なくとも水不溶性粉末材料及び水不溶性無機結合剤を含有する歯磨剤用顆粒を製造する工程
工程(2):工程(1)で得られた顆粒を、28〜100℃で10時間以上保持する工程
〔2〕前記〔1〕の製造方法により得られた顆粒を含有する歯磨剤。
本発明によれば、目的・用途の違いに応じて求められる歯磨用顆粒の顆粒強度を簡便に調整することができる歯磨剤用顆粒の製造方法、及びその方法により得られた顆粒を含有する歯磨剤を提供することができる。
実施例1で得られた顆粒の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。外殻部は水不溶性無機結合剤(コロイダルシリカ)が主体であり、中心部分は炭酸カルシウムが主体である。 実施例及び比較例におけるエージングの温度及び時間の変化による、顆粒強度の増加率の変化を示したグラフである。
本発明の歯磨剤用顆粒の製造方法は、下記の工程(1)及び(2)を有することを特徴とする。
工程(1):少なくとも水不溶性粉末材料及び水不溶性無機結合剤を含有する歯磨剤用顆粒を製造する工程
工程(2):工程(1)で得られた顆粒を、28〜50℃で10時間以上保持する工程
以下、本発明方法に用いられる成分及び工程について順次説明する。
[水不溶性粉末材料]
本発明に用いられる水不溶性粉末材料に特に制限はないが、炭酸カルシウム及び/又は平均粒径が0.1〜100μmのシリカが好ましい。この水不溶性粉末材料は、歯の研磨剤ないし清掃剤として機能するものである。これらの中で、炭酸カルシウムは弱アルカリ性であり、歯垢除去力等の清掃効果が優れているために、より好ましい。
水不溶性粉末材料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、歯磨剤が弱アルカリ性で安定性に影響を与えるおそれがある場合や、炭酸カルシウムがその他の配合成分と反応するおそれがある場合は、シリカを単独で使用することができる。
水不溶性粉末材料として炭酸カルシウムを用いる場合、その平均粒径は、顆粒崩壊後の歯の汚れ除去力及び異物感を感じさせないという観点から、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μm、更に好ましくは1〜5μmである。この平均粒径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定することができる。
また、炭酸カルシウムの比表面積は、汚れ除去力の観点から、1〜10m2/gが好ましく、2〜8m2/gがより好ましい。なお、この比表面積はN2ガス吸着によるBET法により求めることができる。
水不溶性粉末材料として前記シリカを用いる場合、その平均粒径は、前記と同様の観点から、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜20μm、特に好ましくは5〜15μmである。
水不溶性粉末材料の平均粒径を前記範囲にするためには、平均粒径が10μm以下の低研磨性の粒子を造粒して、平均粒径を前記範囲内に調整することもできる。このように調整することにより、歯の表面に強く吸着した着色ペリクルを除くための十分な研磨力を生じさせて歯を白くすることができ、また、顆粒の崩壊後は、研磨力が減少し、長時間の歯磨き操作でも歯を傷つけない(低為害性)という特徴を付与することができる。
また、通常の歯の汚れ除去力(研磨力)を期待して用いられる平均粒径10μm以上のものであっても、造粒により初期研磨力が増強されて歯の汚れ除去力を高めることができ、歯磨き操作とともに顆粒は崩壊して一次粒子となるので歯をほとんど傷つけることはないと考えられる。
[水不溶性無機結合剤]
本発明において、水不溶性無機結合剤は、水不溶性粉末材料を適度に崩壊させるために用いられる。この水不溶性無機結合剤は、後述する工程(II)の水スラリー乾燥時に、好ましくは水スラリーを噴霧乾燥する時に、水分の蒸発に伴って顆粒表面に集積し、顆粒の外殻を形成し、顆粒の強度を高める機能を有する。水不溶性無機結合剤の種類と、その量を調整することにより、顆粒の崩壊強度を適宜調整することができる。
水不溶性無機結合剤は特に限定されず、水酸基を有するケイ素系化合物、アルミニウム系化合物、カルシウム系化合物、マグネシウム系化合物等を使用することができる。その具体例としては、コロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、水酸化アルミニウムゲル、アルミナゾル、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等の水不溶性無機化合物が挙げられる。
これらの中では、水酸基を有するケイ素系化合物、アルミニウム系化合物が好ましく、中でも噴霧造粒法における操作性等の点から、コロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミナゾルがより好ましく、コロイダルシリカ等の水酸基を有するケイ素系化合物が特に好ましい。
なお、前記の水不溶性無機結合剤の例示において、コロイダルシリカのように水を含有する物質があるが、本発明において水不溶性無機結合剤とは、水を除いた実質的な無機結合物質を意味する。
前記の水不溶性無機結合剤は、単独で使用することができるが、2種以上を組み合せて使用することもできる。例えば、接着性が強くて顆粒強度を向上させる結合剤(例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル)と、顆粒の賦型性を向上させる結合剤(例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム)とを組み合せて使用することにより、所定の強度を維持しつつ、粉末材料の種類、量を自在に変化させた、種々の顆粒を得ることができる。
水不溶性無機結合剤の平均粒径は、所望の崩壊強度を得る観点から、好ましくは1〜90nm、より好ましくは3〜70nm、より好ましくは5〜50nm、更に好ましくは7〜40nm、特に好ましくは8〜30nmである。
このような平均粒径を有する水不溶性無機結合剤を用いることにより、所望の崩壊強度を有する顆粒が得られる理由は定かではないが、水不溶性無機結合剤が形成する顆粒の外殻に関連していることが考えられる。本発明では、このような顆粒を特定条件下で更にエージングすることによって、顆粒の強度を増加しうることを見出した。エージングによって顆粒強度が増加する理由は定かではないが、図2に示すように、温度が高いほど顆粒強度の増加率が高く、かつ、28℃以上で増加率が顕著に高くなる傾向にあることから、外殻を形成している水溶性無機結合剤による結合力が反応等により強固になっているものと考えられる。
水不溶性無機結合剤の平均粒径が100nm以下であれば、後述する工程(II)の水スラリー乾燥時に、水分の蒸発に伴って顆粒表面に移動する水不溶性無機結合剤が、水不溶性粉末材料の隙間を移動し易くなることが予想される。その結果、顆粒外殻層の厚みが厚くなり、所望の崩壊強度を有する顆粒が得られるものと推察される。よって、水不溶性無機結合剤の平均粒径の上限は、好ましくは100nm以下、より好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは20nm以下となる。
一方、水不溶性無機結合剤の平均粒径が1nm以上であれば、顆粒外殻層の厚みが厚くなり、所望の崩壊強度を有する顆粒が得られるものと推察される。よって、水不溶性無機結合剤の平均粒径の下限は、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、より好ましくは7nm以上、更に好ましくは8nm以上、特に好ましくは9nm以上となる。
[他の配合成分]
本発明においては、本発明の目的を損わない範囲内で、前記水不溶性無機結合剤以外の他の結合剤を添加することができる。他の結合剤としては、水不溶性有機結合剤や水不溶性繊維等が挙げられる。
水不溶性有機結合剤としては、水不溶性かつ溶剤可溶性であるか、又は多価金属により水不溶性となる油脂や高分子、又は一般に接着剤に用いられる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂を用いることができる。
水不溶性有機結合剤として使用できる油脂としては、ワックス、パラフィン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
水不溶性有機結合剤として使用できる高分子や樹脂としては、(i)アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ヒドロキシメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、マレイン酸エステル、メチルビニルエーテル、α−オレフィン等の単独重合体、及びそれらの共重合体等、(ii)キサンタンガム、デキストリン、ゼラチン等の多糖類、及びそれらの誘導体、(iii)ゴム系ラテックス等が挙げられる。
また、水不溶性繊維としては、例えばセルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン等が挙げられ、これらの中では、顆粒の歯垢除去性の点からセルロースが特に好ましい。
歯磨剤用顆粒中の水不溶性繊維の含有量は、歯垢除去性の点から、1〜30質量%、特に2〜20質量%含有するのが適当である。
[歯磨剤用顆粒]
本発明の歯磨剤用顆粒中の水不溶性粉末材料の含有量は、崩壊性、顆粒崩壊後の研磨力及び歯への損傷防止という観点から、60〜90質量%が好ましく、65〜88質量%がより好ましく、70〜88質量%が更に好ましい。
歯磨剤用顆粒中の水不溶性無機結合剤の含有量は、顆粒の崩壊強度の観点から、10〜40質量%が好ましく、12〜35質量%がより好ましく、12〜30質量%が更に好ましい。また、任意成分である水不溶性有機結合剤の含有量は、崩壊感触の観点から、3重量%以下が好ましく、2重量%以下がより好ましく、配合しないことが最も好ましい。
[歯磨剤用顆粒の製造方法]
本発明の歯磨剤用顆粒は、下記工程(1)、(2)を有する方法により製造される。
工程(1):少なくとも水不溶性粉末材料及び水不溶性無機結合剤を含有する歯磨剤用顆粒を製造する工程
工程(2):工程(1)で得られた顆粒を、28〜100℃で10時間以上保持する工程
工程(1)の歯磨剤用顆粒の製造方法に特に制限はないが、以下の工程(I)及び(II)を含む方法によれば、効率的に製造することができる。
工程(I):水不溶性粉末材料と水不溶性無機結合剤を混合し、固形分が40〜70重量%の水スラリーを調製する工程
工程(II):工程(I)で得られた水スラリーを乾燥して、前記水不溶性無機結合剤を10〜40重量%(固形分含量換算)含有する顆粒を得る工程
[工程(I)]
工程(I)は、水不溶性粉末材料と水不溶性無機結合剤を混合し、固形分が40〜70重量%の水スラリーを調製する工程である。
水不溶性無機結合剤がコロイダルシリカ等の場合では、水不溶性無機結合剤中に水が含まれているため、場合によっては更に水を添加する必要がないことがあるが、通常は、水スラリーの見掛け粘度を調整する観点から、別途に水を添加することが好ましい。
水の配合量は、生産性と所望の顆粒強度を得る観点から、水不溶性無機結合剤中の水も含めて、水スラリー中における固形分濃度が40〜70質量%になるように調整することが好ましく、45〜65質量%になるように調整することがより好ましく、50〜65質量%になるように調整することが更に好ましい。
工程(I)における各成分の混合は、公知の方法で行うことができるが、例えば、バッチ式、連続式、セミバッチ式の何れであってもよい。その際、混合温度は5〜40℃が好ましい。混合時間は固形分濃度がある程度均一になる時間であれば特に制限はないが、通常10〜300分、好ましくは15〜120分である。
[工程(II)]
工程(II)は、工程(I)で得られた水スラリーを乾燥して、水不溶性無機結合剤を固形分含量換算で10〜40重量%含有する顆粒を得る工程である。
乾燥法は、水スラリーの水分を除去できる方法であれば特に制限はないが、生産性の観点から、噴霧乾燥機、流動層乾燥機を用いる方法が好ましく、得られる顆粒の崩壊強度や顆粒の真球度及び熱効率の観点から、噴霧乾燥法がより好ましい。また、水スラリーの微粒化装置としては、圧力噴霧ノズルを採用することが好ましい。
向流式噴霧乾燥塔は、乾燥塔上部から水スラリーを噴霧して微粒化し、乾燥塔下部から熱風を供給して、両者を向流接触させ、乾燥塔底部から乾燥した顆粒を取り出す装置である。乾燥塔内のガス温度は、熱効率の観点から、好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜230℃であり、更に好ましくは140〜210℃である。噴霧乾燥により得られる顆粒の物性は、水スラリー組成や噴霧乾燥条件等を調整することにより制御することができる。
乾燥工程、特に噴霧乾燥工程において、水スラリーが噴霧された時点では、水不溶性粉末材料と水不溶性無機結合剤が一体となった液滴が形成されているが、その液滴が乾燥する際に、水分の蒸発と共に液滴が小さくなり、同時に水不溶性無機結合剤が、水分の蒸発に伴って液滴内部から液滴表面に移動、集積し、顆粒の外殻を形成するものと考えられる。すなわち、このようにして得られた顆粒は、水不溶性無機結合剤が内部よりも表面近傍に多く存在する構造を有するため、適度な崩壊強度を有する顆粒を得ることができるものと考えられる。
[工程(2)]
上記工程(I)及び(II)を含む方法により、工程(1)の歯磨剤用顆粒が得られるが、工程(2)では、この工程(1)で得られた顆粒を、28〜100℃で10時間以上保持してエージング処理する。
工程(1)の処理は、保持時間を短縮する観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは32℃以上、更に好ましくは35℃以上であり、熱源コストを削減する観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、より好ましくは45℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
また、保持時間は、保持時間の選択や、所望する顆粒強度の増加率等により適宜決定しうるが、生産性や保管コスト等の観点から、好ましくは1〜50日、より好ましくは2日〜40日、更に好ましくは4日〜35日、特に好ましくは7日〜30日である。
工程(2)のエージング処理により、顆粒の崩壊強度を120〜200%程度増大させることができる。ここで、水不溶性粉末材料が炭酸カルシウムの場合には、130〜200%程度増大させることができる。このため、本発明によれば、目的・用途に応じて、顆粒強度を目的とする範囲に簡便に調整することができる。
[歯磨剤用顆粒の特性]
歯磨剤用顆粒の崩壊強度は、歯磨剤に配合して使用したとき、口の中での顆粒を触知でき、歯垢除去効果を認識できるにもかかわらず、異物感をほとんど感ずることなく、また歯のエナメル質を傷つけることなく研磨力を発揮させる観点から、好ましくは6〜20g/個(顆粒1個あたり6〜20gの荷重で崩壊)、より好ましくは10〜20gである。
なお、崩壊強度は、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、商品名:MCTM−500)を用いて平均粒径付近の顆粒を10個〜20個測定した平均値で表される。
本発明方法により得られた歯磨剤用顆粒の平均粒径は、十分な研磨力を有し、顆粒崩壊後は、研磨力が低下して長時間の歯磨き操作でも歯を傷つけないようにする観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは50〜500μm、更により好ましくは75〜300μmである。
なお、平均粒径は、JIS標準ふるいを用いて、ふるい分け法による重量分布について幾可平均径を算出し、これを平均粒径とする。
上記したような平均粒径及び崩壊強度を有する顆粒は、水不溶性無機結合剤の種類、配合量、及び製造条件を適宜変化させることによって製造することができる。
[歯磨剤]
本発明方法により得られた顆粒は、歯磨剤中に好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%配合される。前記組成の顆粒を配合した歯磨剤を使用すると、口腔内で顆粒の触知ができて、みぞれ状の感触(シャリシャリ感)を与えるが、徐々に崩壊していき、清掃効果感を認知できるという特徴を有する。
歯磨剤の調製は常法により行うことができる。この際、歯磨剤に通常使用される他の成分、例えば、粘結剤、湿潤剤、甘味剤、界面活性剤、防腐剤、香料、薬用成分、その他一般に使用されている、歯磨用研磨剤、賦形剤等を配合することができる。
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、増粘性シリカ、モンモリロナイト、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、グアガム、ペクチン等が挙げられる。
湿潤剤としては、ソルビット、プロピレングリコール1,3ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールキシキリット、マルチット、ラクチット、エリスリトール等が挙げられ、甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステピオサイド、タイマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。
界面活性剤としては、アシルグルタミン酸ナトリウムやアシルサルコシン酸ナトリウム等のアシルアミノ酸の塩酸、ラウリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸の塩類、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
防腐剤としては、パラベン、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル、p−オキシ安息香酸プロピル、p−オキシ安息香酸ブチル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
香料としては、メントール及びメントールを含む天然物;バジル、カンファー、キャラウェイ、カルダモン、コリアンダー、ゼラニウム、ジンジャー、ローレル、ラベンダー、メース、ナツメグ、ペッパー、ローズ、ローズマリー、タイム、イランイラン、ジャスミン、バニラ、ヒソップ、ラバンジン、オリス、キャロットシード、ダバナ、エレミ、オスマンタスの精油及び抽出物;ボルネオール及びその誘導体;ヘリオトロピン;α−、β−、γ−、δ−イオノン及びこれらの誘導体;チモール、バニリン、エチルバニリン、マルトール並びにエチルマルトール等が挙げられる。
薬用成分としては、虫歯予防剤、抗微生物剤、ビタミン、酵素、抗炎症剤等が挙げられ、具体的には、フッ化ナトリウム、フッ化錫、モノフルオロリン酸ナトリウム、ビタミンE、ビタミンC、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、塩化ナトリウム、グリチルレチン酸、アズレン、β−グリチルレチン酸、ジヒドコレステロール、クロルヘキシジン、エピジヒドコレステロール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオール、アラントイン、トラネキサム酸、プロポリス、塩化セチルピリジニウム等が挙げられる。
上記成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
実施例1
(1)顆粒の製造(工程(1))
表1に示す配合割合で、炭酸カルシウム(商品名:トヨホワイト、東洋電化工業株式会社製、平均粒径約2μm、比表面積約4m2/g)と、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスS、日産化学工業株式会社製、固形分:30.5%、平均粒径:9.5nm)と、セルロース(商品名:KCフロックW−400G、日本製紙ケミカル株式会社製、平均粒径:約24μm)と、水とを、ディスパー翼(型式:HS−P3、アシザワ・ニロアトマイザー株式会社製)で混合し、水スラリーを得た(工程(1))。なお、水スラリー調製は、先ず混合槽に水を投入し、次いでコロイダルシリカを投入し、次に炭酸カルシウムを添加し、更にセルロースを添加し、混合することによって行った(水スラリー固形分:58質量%)。
得られた水スラリーを送風温度190℃で噴霧乾燥し、平均粒径268μm,崩壊強度12.0g/個の顆粒を得た。得られた顆粒の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
(2)エージング処理(工程(2))
噴霧乾燥して得られた顆粒の一部をポリエチレンのチャック付き袋(商品名:ユニパック)に入れ、温度30℃の条件下で7日保管した。
実施例2〜6及び比較例1〜6
実施例1の工程(1)で得られた顆粒を、表1に示す条件でエージング処理した結果を、表1に示す。
実施例7
(1)顆粒の製造(工程(1))
表1に示す配合割合で、シリカ粉末(商品名:ゼオデント124、三晶株式会社製、平均粒径約9μm)と前記コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスS)と水とを、前記ディスパー翼(型式:HS−P3)で混合し、水スラリーを得た(工程(1))。なお、水スラリー調製は、先ず混合槽に水を投入し、次いでコロイダルシリカを投入し、次にシリカ粉末を添加し、混合することによって行った(水スラリー固形分:52質量%)。
得られた水スラリーを送風温度190℃で噴霧乾燥し、平均粒径220μm,崩壊強度6.5g/個の顆粒を得た。
(2)エージング処理(工程(2))
実施例1(2)と同様に行った。
実施例8〜9及び比較例7〜8
実施例7の工程(1)で得られた顆粒を、表1に示す条件でエージング処理した結果を、表1に示す。
実施例及び比較例で得られた顆粒を評価するために、顆粒を下記の組成の歯磨剤に配合できることを確認した。
(歯磨剤組成)
(質量%)
顆粒剤 15.0
ポリエチレングリコール 10.5
ソルビット液 30.0
イオタカラギーナン 2.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2
サッカリンナトリウム 0.1
パラベン 0.1
香料 0.8
水 残量
計 100.0
表1の結果を分かり易くするために、実施例及び比較例におけるエージングの温度及び時間の変化による、顆粒強度の増加率の変化を図2に示す。
図2から、エージングの保持時間が同じであれば、保持温度が高い方が顆粒強度の増加率が高くなることが分かる。

Claims (8)

  1. 下記の工程(1)及び(2)を有する、歯磨剤用顆粒の製造方法。
    工程(1):少なくとも水不溶性粉末材料及び水不溶性無機結合剤を含有する歯磨剤用顆粒を製造する工程
    工程(2):工程(1)で得られた顆粒を、28〜100℃で10時間以上保持する工程
  2. 水不溶性無機結合剤の平均粒径が1〜90nmである、請求項1に記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  3. 水不溶性無機結合剤が、水酸基を有するケイ素系化合物である、請求項1又は2に記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  4. 水不溶性粉末材料が炭酸カルシウム及び/又は平均粒径が0.1〜100μmのシリカである、請求項1〜3のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  5. 工程(2)において、1〜50日保持する、請求項1〜4のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  6. 工程(1)の顆粒を噴霧乾燥法で製造する、請求項1〜5のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  7. 顆粒の平均粒径が500μm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られた歯磨剤用顆粒を含有する歯磨剤。
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